JP3592402B2 - 換気装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、家庭の台所用、あるいは業務用の換気装置に関し、油煙等の油汚れにより、不快な状態となることを防止する、自己油浄化機能を有する換気装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、衛生、清潔感の高まり、および省力化から、家庭の台所用、あるいは業務用の換気装置は、油汚れが自己分解し、常に清潔でクリーンな状態に維持されることが求められている。
【0003】
従来、この種の換気装置は、実開昭59−151029号公報に示すような構成が一般的であった。以下、その構成について図5を参照しながら説明する。 図に示すように、本体101の内部にファンモータ102が設けられ、本体101の吸気口103にフィルタ104が設けられている。本体101後面には排気口105が設けられ、本体101内部に遠赤外線熱源106が設けられている。フィルタ104には加熱触媒107が塗布されている。
【0004】
上記構成において、遠赤外線熱源106を通電加熱するとフィルタ104が熱せられ、加熱触媒107の作用により、フィルタ104の表面に付着した調理油が、触媒分解され、気化することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の換気装置では、加熱触媒107を活性化させるために、フィルタ104を300℃以上の高温に上げる必要があり、火災および火傷等に対する安全性、およびエネルギーロスが大きいという課題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、常温で調理時の付着油を浄化することができる換気装置を提供することを第1の目的とする。
【0007】
第2の目的は、効率良く、短時間で、調理時の付着油を分解気化することにある。
【0008】
第3の目的は、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の換気装置は上記した第1、第2、および第3の目的を達成するために、第1の手段は、室内空気を室外へ排気する送風ファンと、この送風ファンを駆動回転させる送風用モータと、波長が300〜500nmの光を発する光源を配置した換気装置本体の少なくとも排気流の接触する部分である基体の表面に樹脂層を形成し、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300m2/g、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒を、前記樹脂層上に、シリカ膜と共に固定化してなる構成とする。
【0010】
また、第1、第2、および第3の目的を達成するために、第2の手段は、室内空気を換気口を通して室外へ排気させる送風ファンと、この送風ファンを駆動回転する送風用モータと、この送風用モータを支持し、かつ排気口を設けたフード本体内にフィルタと、波長が300〜500nmの光を発する光源を配置し、少なくとも前記フード本体の内面とフィルタである基体表面に樹脂層を形成し、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300 m2/g 、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒を、前記樹脂層上に、シリカ膜と共に固定化してなる構成とする。
【0011】
また、第2の目的を達成するための第3の手段は、第1の手段または第2の手段において、二酸化チタンを基体とする光触媒が、未乾燥水酸化チタンスラリに対して、硫酸または硫安をTi O2 に対するSO3 分が0.2〜20重量%となる量を添加して、100〜700℃で加熱することにより得られたものである。
【0012】
また、第2の目的を達成するための第4の手段は、第1の手段または第2の手段において、二酸化チタンを基体とする光触媒の原料を、ミセル径が、10〜80nmの範囲にある水酸化チタンとすることである。
【0013】
また、第2の目的を達成するための第5の手段は、第1の手段または第2の手段において、二酸化チタンを基体とする光触媒の原料を、300nmでの光透過率が17.5±0.5%のとき、500nmの光透過率が80%以上となるように解膠する水酸化チタンスラリとすることである。
【0014】
また、第2の目的を達成するための第6の手段は、第1の手段または第2の手段において、二酸化チタンを基体とする光触媒が、硫酸または硫安添加時のスラリ濃度が10〜400g/l である水酸化チタンを原料とし、スラリ乾燥後のケーキを5mm以下に粉砕した後に加熱を行うことにより得られたものである。
【0015】
また、第3の目的を達成するための第7の手段は、第1の手段または第2の手段において、前記基体を、アルミニウム、鉄、ニッケル、および銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする金属材料、ガラス、セラミックス、樹脂、布、繊維、またはこれらの組み合わせから選択された構成とする。
【0016】
また、第3の目的を達成するための第8の手段は、第1の手段または第2の手段において、シリカ膜が、ケイ酸エステルおよび水に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、前記基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである。
【0017】
また、第3の目的を達成するための第9の手段は、第1の手段または第2の手段において、シリカ膜が、ケイ酸エステル、水および有機溶剤に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、前記基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである。
【0018】
また、第3の目的を達成するための第10の手段は、第1の手段または第2の手段において、シリカ膜が、二酸化チタンを基体とする光触媒100重量部に対して、ケイ酸エステル20〜5000重量部、有機溶剤0〜1000重量部および水10〜1100重量部の割合で混合、分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである。
【0019】
【作用】
本発明は上記した第1の手段および第2の手段の構成により、調理時に発生した油煙は、換気装置本体やフィルタやフード本体に付着するが、この換気装置本体やフィルタやフード本体の基体表面は、シリカ膜により二酸化チタンを基体とする光触媒が固定化されており、さらにこの基体表面に光源の光が照射され、二酸化チタンを基体とする光触媒が励起、活性化され、調理時の付着油を常温で浄化することができることにある。
【0020】
また、第3、第4、第5、および第6の手段の構成により、第1および第2の手段の上記作用に加え、効率良く、短時間で、付着した調理油を分解気化することができることにある。
【0021】
また、第7、第8、第9、および第10の手段の構成により、第1および第2の手段の上記作用に加え、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることができることにある。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の第1実施例について、図1、図2、および図3を参照しながら説明する。
【0023】
図に示すように、1はガスまたは電気を熱源とするテーブルコンロで、このテーブルコンロ1の上には調理鍋2が設置され、油滴12を含んだ油煙11を発生している。前記テーブルコンロ1の下には置き台であるコンロ台3が壁面4に設置されている。換気装置本体10は、前記壁面4の換気口9に設置され、その換気装置本体10内には、送風ファン7を装着した送風用モータ8が固定枠16で固定されている。さらに、換気装置本体10前面に反射板21とともに、波長が300〜500nmの光を発する光源20が支持具22で支持されている。また、排気流が接触する前記送風ファン7、送風用モータ8、換気装置本体10の表面に樹脂層17を形成し、さらに、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300m2/g、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒18が、前記樹脂層17上に、シリカ膜19と共に固定化されている。また、前記樹脂層17と前記シリカ膜19の境界には、樹脂とシリカが混じりあった混合層21を形成してなる構成とする。
【0024】
上記構成において、調理時は送風用モータ8を駆動させ送風ファン7を回転し、調理鍋2より発生する油煙11を排気させる。この時、一部の油滴12は送風ファン7、送風用モータ8、換気装置本体10の表面に付着する。この付着した油滴12は、樹脂層17上に混合層21を介しシリカ膜19と共に固定化した二酸化チタンを基体とする光触媒18に接する。さらに、二酸化チタンを基体とする光触媒18に光源20の光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒18の表面に移動して、この電子と正孔が油滴12を分解する。
【0025】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、調理時に発生した油煙は、送風ファンや換気装置本体の表面に接し、この時油滴が付着するが、送風ファンや換気装置本体表面は、シリカ膜により二酸化チタンを基体とする光触媒が固定化されており、さらにこの表面に光源の光が照射され、二酸化チタンを基体とする光触媒が励起、活性化され、調理時の付着油を常温で浄化することができる。
【0026】
また、二酸化チタンを基体とする光触媒の製造は、まず、硫酸法メタチタン酸スラリ(PH2.0、濃度300g/l )にカセイソーダを添加して中和し、ろ過洗浄して、Ti O2 に対するSO3 分が0.2%以下のスラリとする。つぎに、スラリ濃度を100g/l として、濃塩酸を添加、スラリPHを1.0まで下げて一昼夜撹拌を続ける。つぎに、日本分光(株)のU−Best50を用いて、純水で希釈したスラリを石英セル(4.0cm×1.0cm、厚さ0.1cm)に入れ光透過率を測定し、300nmの光透過率が17.3%に調整したところ、500nmの光透過率が97.5%であった。
【0027】
再度カセイソーダを添加してスラリPHを6.5とし、液の電気電導度が100μS/cm2になるまで洗浄したスラリ(100g/l )に濃硫酸を、Ti O2 に対するSO3 分が10.0重量%となる量添加、室温で30分間撹拌した後、スラリ全量を100℃で乾燥した。つぎに、石川式擂潰機で乾燥ケーキを5mm以下の粒径まで粉砕した後、500℃に設定した炉内で30分間焼成したところ、島津製作所製フローソーブによる比表面積124m2/g、X線結晶子径119オングストロームで、LECO社製炭素硫黄分析装置によるSO3 量7.32%のアナターゼ型二酸化チタンを基体とする光触媒が得られた。
【0028】
また、二酸化チタンを基体とする光触媒6g 、ケイ酸エチル9g 、塩酸0.5モル/リットルの水3g およびブチルセロソルブ6g を3mmφのガラスビーズ90g とともに120mlのマヨネーズ瓶に仕込み、レッドデビル社製のペイントコンディショナーで10分間分散、混合して、シリカゾルを含有する塗料とした。
【0029】
つぎに、スカイアルミニウム(株)製スカイコート(カラーアルミニウム板)60mm×150mmのエポキシ樹脂塗布面に前記の塗料を塗布し、一昼夜乾燥後、150℃で焼き付けしてシリカ膜を作製した。この時、エポキシ樹脂の表面の一部が有機溶剤であるブチルセロソルブに溶解し、エポキシ樹脂とシリカ膜の境界に、エポキシ樹脂とシリカ膜の混合層が形成された。
【0030】
図3は、本発明の換気装置の調理油の油滴を分解浄化した時の浄化率測定グラフであり、本発明の二酸化チタンを基体とする光触媒は、ゾルゲル法により成膜後に焼成した二酸化チタンを基体とする光触媒A、および気相法による二酸化チタンを基体とする光触媒である市販品Bと比べ、油滴の浄化性能が著しく高いことを示している。
【0031】
なお、換気装置本体にフィルタを設置し、この表面に樹脂層を形成し、その上に二酸化チタンを基体とする光触媒をシリカ膜と共に固定化してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0032】
なお、光触媒の基体である二酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型のどちらも使用できるが、アナターゼ型が好ましい。
【0033】
なお、二酸化チタンを基体とする光触媒の粒子径は、塗膜強度のためには1μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以下である。
【0034】
本発明の光触媒は、W、Sn 、Mo 、V、Mn 、Zn 、Zr 、Nb 、Cd 、Ag 、Pb 、Fe 、Pt 、Pd 、Ni およびCu 等の金属またはその酸化物等の触媒活性を向上させる物質をさらに含むことも好ましい。
【0035】
つぎに本発明の第2実施例について図4を参照しながら説明する。なお、第1実施例と同一箇所には、同一番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
図に示すように、テーブルコンロ1上を覆うように設けたフード本体6は、壁面4に設置され、そのフード本体6内の背部には気流案内板15が設置され、送風ファン7を装着した送風用モータ8が固定枠16で固定され、送風ファン7は壁面4の換気口9に臨んでいる。送風ファン7に対面するフード本体6内部には調理鍋2より発生する油煙11中の油滴12を補足するフィルタ13が設置されている。さらに、フード本体6の前面部5内に反射板21とともに、波長が300〜500nmの光を発する光源20を設けている。また、排気流が接触する前記送風ファン7、送風用モータ8、排気口14を設けたフード本体6と、このフード本体6の前面部5と、フィルタ13および気流案内板15等の表面に樹脂層17を形成し、さらに、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300m2/g、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒18を、前記樹脂層17上に混合層21を介しシリカ膜19と共に固定化してなる構成とする。
【0037】
上記構成において、調理時は送風用モータ8を駆動させ送風ファン7を回転し、調理鍋2より発生する油煙11を排気流に乗せてフィルタ13に吸引させ、油煙11中の油滴12をフィルタ13に付着捕集させる。また、一部の油滴12は、フード本体6の内部にも付着する。ここで、フィルタ13や、フード本体6に付着した油滴12は、樹脂層17上に混合層21を介しシリカ膜19と共に固定化した二酸化チタンを基体とする光触媒18に接する。さらに、二酸化チタンを基体とする光触媒18に光源20の光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒18の表面に移動して、この電子と正孔が油滴12を分解する。
【0038】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、調理時に発生した油煙は、排気流に乗ってフィルタやフード本体に付着するが、フィルタやフード本体の表面は、シリカ膜により二酸化チタンを基体とする光触媒が固定化されており、さらにこの表面に光源の光が照射され、二酸化チタンを基体とする光触媒が励起、活性化され、調理時の付着油を常温で浄化することができる。
【0039】
なお、実施例では、送風ファンがフード本体に内設されているが、送風ファンとフード本体を別置きし、ダクトで接続してもよく、その作用効果に差異を生じない。
【0040】
つぎに本発明の第3実施例について説明する。
【0041】
二酸化チタンを基体とする光触媒は、未乾燥水酸化チタンスラリに対して、硫酸または硫安をTi O2 に対するSO3 分が0.2〜20重量%となる量を添加して、100〜700℃で加熱するものである。
【0042】
上記組成物において、二酸化チタンを基体とする光触媒に光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒の表面に移動して、この電子と正孔が油滴を効率良く、短時間で分解する。
【0043】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、効率良く、短時間で、調理時の付着油を分解気化することができる。
【0044】
なお、SO3 の添加量は、0.2%〜20重量%が好ましく、より好ましくは、1.0〜20.0重量%であり、もっとも好ましくは、2.0〜15.0重量%である。比表面積は50〜300m2/g、好ましくは70〜300m2/gである。
【0045】
つぎに本発明の第4実施例について説明する。
【0046】
二酸化チタンを基体とする光触媒は、ミセル径が、10〜80nmの範囲にある水酸化チタンを原料とするものである。
【0047】
上記組成物において、二酸化チタンを基体とする光触媒に光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒の表面に移動して、この電子と正孔が油滴を効率良く、短時間で分解する。
【0048】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、効率良く、短時間で、調理時の付着油を分解気化することができる。
【0049】
つぎに本発明の第5実施例について説明する。
【0050】
二酸化チタンを基体とする光触媒は、300nmでの光透過率が17.5±0.5%のとき、500nmの光透過率が80%以上となるように解膠する水酸化チタンスラリを原料とするものである。
【0051】
上記組成物において、二酸化チタンを基体とする光触媒に光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒の表面に移動して、この電子と正孔が油滴を効率良く、短時間で分解する。
【0052】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、効率良く、短時間で、調理時の付着油を分解気化することができる。
【0053】
なお、水酸化チタンスラリの解膠率は高い程良く、解膠の目安として波長300nmでの光透過率が17.5±0.5%のときに500nmの光透過率80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより一層好ましい。
【0054】
さらに水酸化チタンをミセルまで解膠した後、硫酸分を添加すると、より微細な二酸化チタン粒子が得られ、より活性の高い光触媒を得ることができ、よりいっそう好ましい。
【0055】
つぎに本発明の第6実施例について説明する。
【0056】
二酸化チタンを基体とする光触媒は、硫酸または硫安の添加時のスラリ濃度が10〜400g/l である水酸化チタンを原料とし、スラリ乾燥後のケーキを5mm以下に粉砕した後に加熱を行うものである。
【0057】
上記組成物において、二酸化チタンを基体とする光触媒に光を照射すると、光により価電子帯から伝導帯に電子が移行して、生成した電子と正孔が二酸化チタンを基体とする光触媒の表面に移動して、この電子と正孔が油滴を効率良く、短時間で分解する。
【0058】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、効率良く、短時間で、調理時の付着油を分解気化することができる。
【0059】
なお、硫酸、または硫安の添加時の二酸化チタンまたは水酸化チタンのスラリ濃度が10g/l 以下では、スラリ乾燥時の水分蒸発量が多いため、また過乾燥時には硫酸または硫安の流失割合が多く、経済的でない。スラリ濃度が400g/l 以上では、粘度が高く、硫酸の均一添加処理が困難なため、好ましくない。
【0060】
さらに加熱の際に、ケーキが大きいとSO3 分の偏析が生じやすいので、5mm以下に粉砕して行うのが好ましい。
【0061】
また、水酸化チタン、二酸化チタンに酸化ジルコニウムや酸化タングステンを添加した後、硫酸分を加えることによっても、光触媒活性を向上させることができる。
【0062】
つぎに本発明の第7実施例について説明する。
【0063】
基体がアルミニウム、鉄、ニッケル、および銅を主成分とする金属材料、ガラス、セラミックス、樹脂、布、繊維、またはこれらの組み合わせからなるものである。
【0064】
上記構成において、基体に樹脂層を形成し、この樹脂層上に、二酸化チタンを基体とする光触媒をシリカ膜とともに、容易に固定できる。
【0065】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることができる。
【0066】
つぎに本発明の第8実施例について説明する。
【0067】
シリカ膜は、ケイ酸エステルおよび水に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面に被覆し、400℃以下で加熱処理されるものである。
【0068】
上記構成において、ケイ酸エステルおよび水に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料を、基体表面に作製された樹脂層表面に直接被覆できるので、二酸化チタンを基体とする光触媒をシリカ膜とともに、容易に固定できる。
【0069】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることができる。
【0070】
なお、ケイ酸エステルとしては、公知のいずれのものも使用できるが、ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチルが好ましく、ケイ酸エチルが最も好ましい。
【0071】
塗料に添加する水は、ケイ酸エステルの加水分解に使用されるものであるが、塗料中での二酸化チタンを基体とする光触媒の分散性、塗膜強度を上げるためには塗料は酸性が好ましく、PH4以下が好ましく、PH2以下が特に好ましい。
【0072】
塗料PHを下げる方法としては、水に少量の酸を添加して塗料PHを下げることが好ましい。
【0073】
水に添加する酸は、塩酸、硫酸、硝酸等いずれも使用できる。
【0074】
さらに、樹脂層の種類は、基体への付着性、および二酸化チタンを分散させた塗料への溶解性があれば、エポキシ、アクリル、ウレタン樹脂等、何でも使用し得る。また樹脂に顔料を入れて着色させたり、紫外線吸収剤を添加して耐光性を向上させることも可能である。樹脂の厚みは1μm以上あれば十分である。
【0075】
塗布した後の加熱処理は、樹脂層および基体の酸化、変質、および変形が生じない温度で行うことが好ましい。一般的には400℃以下で行うのが好ましいが、100℃以下ではシリカゾルのゲル化に長時間を要し、膜強度を得にくいため、100〜400℃がさらに好ましい。
【0076】
なお、塗膜を60℃以上の温水で洗浄して、遊離シリカ、樹脂等を除去した後、紫外線を照射して二酸化チタンを基体とする光触媒粒子表面に付着した樹脂を分解しておくと触媒活性が一段と強くなる。
【0077】
つぎに本発明の第9実施例について説明する。
【0078】
シリカ膜は、ケイ酸エステル、水および有機溶剤に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面に被覆し、400℃以下で加熱処理されるものである。
【0079】
上記構成において、ケイ酸エステル、水および有機溶剤に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料を、基体表面に作製された樹脂層表面に直接被覆できるので、二酸化チタンを基体とする光触媒をシリカ膜とともに、容易に固定できる。
【0080】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることができる。
【0081】
なお、有機溶剤は、親水性の二酸化チタン粒子、およびケイ酸エステルの加水分解で生成するシリカゾルと親和しやすく、ケイ酸エステルおよびその分解生成物であるアルコールと混和し、かつシリカ膜を基体に良好に接着させるために、樹脂層を溶解できることが必要である。またケイ酸エステルの加水分解で生じるアルコールが樹脂層を溶解できる性質を有し、かつその量が充分である場合には溶剤は加える必要はない。
【0082】
さらに、有機溶剤の種類は、使用する樹脂の種類に応じて、適当な溶解性を有するものを適宜選択できるが、代表的なものとしては、セロソルブ類、カルビトール類、アルコール類が挙げられる。セロソルブ類では、アルキル基を有するものが好ましく、特にブチル基を有するブチルセロソルブが好ましい。カルビトール類では、カルビトール、および酢酸カルビトールが好ましい。アルコール類では、エタノール、ブタノールが好ましい。
【0083】
つぎに本発明の第10実施例について説明する。
【0084】
シリカ膜は、二酸化チタン100重量部に対して、ケイ酸エステル20〜5000重量部、有機溶剤0〜1000重量部および水10〜1100重量部の割合で混合、分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理されるものである。
【0085】
上記構成において、ケイ酸エステル、水および有機溶剤に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料を、基体表面に作製された樹脂層表面に直接被覆できるので、二酸化チタンを基体とする光触媒をシリカ膜とともに、容易に固定できる。
【0086】
このように本発明の実施例の換気装置によれば、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得ることができる。
【0087】
なお、シリカ膜を作製するための配合割合は、二酸化チタン100重量部に対し、ケイ酸エステルとしてケイ酸エチルを使用した場合、ケイ酸エチルは30〜3200重量部、好ましくは60〜1400重量部、さらに好ましくは80〜520重量部であり、ケイ酸エステルとしてケイ酸メチル、ケイ酸ブチルを使用した場合、好ましい量はそれぞれの分子量の比に対応した係数、0.73、1.54をケイ酸エチルでの数値に乗じた値となる。溶剤は0〜1000重量部、好ましくは0〜500重量部、また水は10〜1100重量部、好ましくは20〜200重量部、さらに好ましくは30〜200重量部である。
【0088】
上記の、配合割合において、二酸化チタンを基体とする光触媒が該配合割合より少なくなると、膜としての光触媒活性が低くなり、多くなるとシリカ膜の付着性、強度が劣るので好ましくない。
【0089】
【発明の効果】
以上の実施例から明らかなように、本発明によれば、調理時に発生した油煙は、換気装置本体や送風ファンに付着するが、換気装置本体や送風ファンの表面は、シリカ膜により二酸化チタンを基体とする光触媒が固定化されており、さらにこの表面に光が照射され、二酸化チタンを基体とする光触媒が励起、活性化され、調理時の付着油を常温で浄化することができる換気装置が提供できる。
【0090】
また、調理時に発生した油煙は、換気装置本体、フードおよびフィルタに付着するが、換気装置本体、フードおよびフィルタの表面は、シリカ膜により二酸化チタンを基体とする光触媒が固定化されており、さらにこの表面に光が照射され、二酸化チタンを基体とする光触媒が励起、活性化され、調理時の付着油を常温で浄化することができる換気装置が提供できる。
【0091】
また、効率良く、短時間で、付着した調理油を分解気化することができる換気装置が提供できる。
【0092】
また、固定容易性、耐候性、および耐久性に優れている二酸化チタンを基体とする光触媒を含むシリカ膜を得る換気装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の換気装置の縦断面図。
【図2】同実施例の要部断面図。
【図3】同実施例の油浄化性能測定グラフ。
【図4】同第2実施例の換気装置の縦断面図。
【図5】従来の換気装置の縦断面図。
【符号の説明】
6 フード本体
7 送風ファン
8 送風用モータ
9 換気口
10 換気装置本体
13 フィルタ
17 樹脂層
18 二酸化チタンを基体とする光触媒
19 シリカ膜
20 光源
Claims (10)
- 室内空気を室外へ排気する送風ファンと、この送風ファンを駆動回転させる送風用モータと、波長が300〜500nmの光を発する光源を配置した換気装置本体の少なくとも排気流の接触する部分である基体の表面に樹脂層を形成し、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300m2/g、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒を、前記樹脂層上に、シリカ膜と共に固定化してなる換気装置。
- 室内空気を換気口を通して室外へ排気させる送風ファンと、この送風ファンを駆動回転する送風用モータと、この送風用モータを支持し、かつ排気口を設けたフード本体内にフィルタと、波長が300〜500nmの光を発する光源を配置し、少なくとも前記フード本体の内面とフィルタである基体表面に樹脂層を形成し、SO3 分を0.2〜20重量%含有し、比表面積が50〜300m2/g、結晶子径が80〜250オングストロームの範囲にある二酸化チタンを基体とする光触媒を、前記樹脂層上に、シリカ膜と共に固定化してなる換気装置。
- 二酸化チタンを基体とする光触媒は、未乾燥水酸化チタンスラリに対して、硫酸または硫安をTi O2 に対するSO3 分が0.2〜20重量%となる量を添加して、100〜700℃で加熱することにより得られたものである、請求項1または2記載の換気装置。
- 二酸化チタンを基体とする光触媒は、ミセル径が、10〜80nmの範囲にある水酸化チタンを原料とするものである、請求項1または2記載の換気装置。
- 二酸化チタンを基体とする光触媒は、300nmでの光透過率が17.5±0.5%のとき、500nmの光透過率が80%以上となるように解膠する水酸化チタンスラリを原料とするものである、請求項1または2記載の換気装置。
- 二酸化チタンを基体とする光触媒は、硫酸または硫安の添加時のスラリ濃度が10〜400g/l である水酸化チタンを原料とし、スラリ乾燥後のケーキを5mm以下に粉砕した後に加熱を行うことにより得られたものである、請求項1または2記載の換気装置。
- 基体がアルミニウム、鉄、ニッケル、および銅からなる群より選ばれる少なくとも1種を主成分とする金属材料、ガラス、セラミックス、樹脂、布、繊維、またはこれらの組み合わせから選択される請求項1または2記載の換気装置。
- シリカ膜は、ケイ酸エステルおよび水に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである、請求項1または2記載の換気装置。
- シリカ膜は、ケイ酸エステル、水および有機溶剤に二酸化チタンを基体とする光触媒を分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである、請求項1または2記載の換気装置。
- シリカ膜は、二酸化チタンを基体とする光触媒100重量部に対して、ケイ酸エステル20〜5000重量部、有機溶剤0〜1000重量部および水10〜1100重量部の割合で混合、分散させた塗料で、基体表面に作製された樹脂層表面を被覆後、400℃以下で加熱処理することにより得られたものである、請求項1または2記載の換気装置。
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