JP3592058B2 - 光学用ガラス成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、溶融状態のガラス塊をプレス成形して、所要の形状をなす光学用ガラス成形体(ここでは、そのまま、成形光学素子として使用可能なもの、または、その後のプレス成形や研削、研磨などの工程を経て、所要の光学機能面を持った光学素子となる光学素子製造用素材となるもの)の製造方法に関し、特に、ガスが成形面に噴出している状態の多孔質の型部材を用いて、その成形面と非接触の状態で、ガラス塊をプレス成形し、光学用ガラス成形体(光学素子、または、光学素子製造用素材)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスが成形面に噴出している状態の多孔質の型部材を用いて、溶融ガラス塊を、その成形面と非接触の状態でプレス成形し、光学素子を得る技術は、例えば、特公昭48−22977号公報や特公昭54−39846号公報に記述されているように、古くから知られている。
【0003】
さらに、特開昭59−195541号公報に記述された製造方法によれば、レンズ形状面(成形面)を有する多孔質部材からなる上下一対の成形用型部材にレンズ素材を供給し、これら型部材を通して、そのレンズ形状面に加圧ガスを供給することにより、前記レンズ素材を、レンズ形状面に接触することなく、フィルム状のガス層上に浮上、支持し、さらに、前記型部材に圧縮力を負荷して、その状態で、前記レンズ素材をガラス転移点以下の温度に冷却し、所望のレンズ形状に成形している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような、ガスが成形面に噴出している状態の多孔質の型部材を用いて、溶融ガラス塊を、その成形面と非接触の状態でプレス成形し、光学素子を得る際には、空気圧または油圧のピストン・シリンダ機構が用いられており、このピストン・シリンダ機構で発生する力よりも大きなガス圧で、型部材の成形面に対して、溶融ガラス塊を非接触状態に保ちながら、プレス成形している。
【0005】
例えば、特開昭59−195541号公報に所載の実施例では、直径60mm、即ち、面積28.27cmの凸レンズをプレス成形する際に、油圧式ピストン・シリンダ機構により、100kg重の圧縮力を多孔質の型部材に負荷し、この時、併せて、7kg/cmの圧力の圧縮空気を、前記型部材の背面に供給し、その成形面から噴出して、溶融ガラス塊を、成形面と非接触の状態に保ち、この状態でプレス成形している。
【0006】
しかしながら、上記従来例では、以下に述べるような欠点があった。即ち、このような高圧のガスを、多孔質の型部材の背面に供給し、このガスが前記型部材の成形面から噴出している状態で、この成形面の上で、溶融ガラス塊をプレス成形すると、前記成形面の中央でのガスの圧力が、期待する以上に高くなる。
【0007】
換言すれば、成形面の中心部では、供給側圧力とほぼ等しい圧力が発生するが、周辺部に片寄る程、その圧力は低下し、最外周縁部では、大気圧とほぼ同じ圧力まで降下するので、このように、大きな圧力を成形面の中央に発生している多孔質の型部材で、溶融ガラス塊をプレス成形すると、成形面の中央での大きな圧力により、溶融ガラスが流動変形し、成形されるガラス塊の転写面は、型部材の成形面の形状に比べ、中央で、大きく凹んだ形状になってしまう。
【0008】
従って、従来から知られている、上述のような製造方法において、ガスが成形面に噴出している状態の多孔質の型部材を用いて、溶融ガラス塊を、その成形面と非接触の状態でプレス成形した場合、得られた成形光学素子は、その転写面の形状が、型部材の成形面の形状から大きくずれるのである。一般に、このような型部材とガラス成形品との形状のずれは、0.1mm以上あるが、更に、0.5mm以上になる場合もある。
【0009】
一方、従来の方法において、供給するガス圧力を小さくすれば、成形面でのガス圧力も小さくなるので、上述のような溶融ガラス塊からの成形品の転写面の凹み量は、確かに少なくなる。しかし、プレス成形時に、ガス圧による溶融ガラス塊への浮上力が、型部材にかかるプレス力に負け、溶融ガラス塊が、型部材の成形面に接触することがある。この場合には、成形品の表面には、多孔質表面の、粗い成形面が直に転写されてしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に基づいてされたものであり、その第1の目的とするところは、ガスが成形面に噴出している状態の多孔質の型部材を用いて、溶融ガラス塊を、その成形面と非接触の状態でプレス成形して、ガラス光学素子あるいは光学素子製造用素材としてのガラス成形体を得る際に、型部材の成形面とガラス成形体の転写面との間の形状のズレが小さく、また、ガラス成形体と型部材の成形面とが接触することにより、前記ガラス成形体に接触痕が発生する事態が回避され、形状精度、外観精度ともに、良好なガラス成形体を製造することである。
【0011】
また、本発明の第2の目的は、より一層、形状精度、外観精度ともに良好なガラス成形体を得て、その後の光学素子を得るためのプレス成形加工、あるいは、研磨加工、または、研削加工および研磨加工などの加工量を低減させ、製造コストを低減し、更には、加工屑を減らすなどの利益を得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、多孔質の材料からなる上下一対の型部材を備えており、これらの型部材の背面に高圧のガスを供給して、これらの型部材の成形面からガスを噴出した状態において、下型部材の成形面におけるガスで、前記下型部材の成形面上に浮上・保持された状態で、下型部材の成形面に、所望量の溶融ガラスを受けて、溶融ガラス塊を形成し、その後、成形面からガスが噴出している状態の上型部材に対して、下型部材の成形面上に浮上・保持されている状態の前記溶融ガラス塊を相対的に接近させ、前記溶融ガラス塊と上型部材との接近を更に進める過程で、それぞれの型部材の成形面からのガスによって、前記溶融ガラス塊を、上・下型部材に対して非接触の状態に保持したまま、前記上・下型部材の成形面からなるキャビティーの形状に前記溶融ガラス塊の形状を倣わせるように成形を進めて、所要のガラス成形体を得る製造方法において、前記上・下型部材により前記溶融ガラス塊をプレス成形して所望形状のガラス成形体を得るために、前記上・下型部材を進退動作する駆動装置が、上・下型部材の内の少なくとも一方について、NC(数値制御)駆動可能な構成になっており、該NC駆動装置と当該型部材との間に、バネ部材が設置されており、前記NC駆動装置により当該型部材を進出動作することで、溶融ガラス塊をプレス成形すると同時に、前記バネ部材から発生するバネ力を当該型部材に与えることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記NC駆動装置は、前記溶融ガラス塊をプレス成形するに際して、進退動作される型部材の複数の移動位置およびその移動位置への移動速度を予め設定しており、前記溶融ガラス塊の温度が下がって、ガラス粘度の上昇により、その変形能が小さくなるプレス成形の後段で、前記移動速度を前記ガラス変形能より大きくし、前記NC駆動装置により型部材が所定の移動位置まで移動した時、そのバネ部材に蓄勢されたバネ力で前記型部材を押圧して、前記溶融ガラス塊を最終段階までプレス成形するのがよい。また、前記バネ部材によるバネ力で前記型部材が進出動作しなくなった段階で、プレス成形を終了することにするとよい。
【0014】
また、このような光学用ガラス成形体の製造方法において得られたガラス成形体を、加熱軟化させて、一対の成形用型でプレス成形して、成形光学素子を得ること、あるいは、前記ガラス成形体を、研磨加工、または、研削加工および研磨加工することにより、その表面のガラスを削除および研磨加工し、光学素子を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
上記構成からなる光学用ガラス成形体の製造方法を実施する場合の好ましい形態について、以下に述べる。ここでは、多孔質の材料からなる上下一対の型部材を用意し、これらの型部材の背面から高圧のガスを供給する場合、例えば、型部材の背面にガス供給室を設けて、このガス供給室に高圧のガスを供給し、このガスを多孔質の型部材自体の細孔を通して、型部材の成形面に噴出させる。
【0016】
また、型部材の成形面からガスが噴出している状態の下型部材を、ガラス溶融炉の溶融ガラス流出パイプの出口の直下に位置させ、この下型部材の成形面からの噴出ガスにより浮上保持した状態で、成形面の上に溶融ガラスを受ける。所望量の溶融ガラスを成形面上に受けた後、溶融ガラス流をシャーレスで分離・切断し、所要の溶融ガラス塊を得るが、前記浮上状態は維持される。
【0017】
この状態で、下型部材を移動し、上型部材の下に位置させ、その上で、下型部材の成形面上に浮上・保持されている溶融ガラス塊の上方から、上型部材の成形面からガスが噴出している状態で、上型部材を下型部材に向けて接近させる(下型部材を上型部材に向けて、あるいは、両者を相対的に、接近させてもよい)。ここでの、上下型部材の接近機構には、NC(数値制御)駆動可能な駆動装置が用いられる。即ち、NC駆動装置は、これらの型部材あるいはその一方を、任意の位置まで、任意の速度で移動するように、予め、その移動位置および移動速度を、複数段階に設定している。
【0018】
このように、NC駆動装置を用いて、上下型部材を相対的に接近させると、両型部材の成形面にあるフィルム状のガス層によって、溶融ガラス塊は、プレス成形の圧力を受けながら、非接触状態を維持できる。その後、溶融ガラス塊と上型部材との接近を更に進める過程で、溶融ガラス塊を、上下型部材の成形面に対して非接触の状態に保持したまま、それら成形面で形成されるキャビティーの形状に倣わせるようにプレス成形を行う。
【0019】
この工程において、温度降下により次第に低下して行く溶融ガラス塊の変形能よりも、プレス成形速度を小さくする。その結果、型部材に供給するガスの圧力を過剰に大きくしなくとも、プレス変形中の溶融ガラス塊が上下型部材の成形面に接触することはない。しかも、この時、型に供給されるガスの圧力は適当な大きさなので、型部材の成形面から噴出するガスの圧力により、溶融ガラス塊の転写面の形状が、前記成形面の形状から大きくずれることもない。
【0020】
このように、溶融ガラス塊のプレス変形が進むにつれ、ガラスの温度が下がり、逆に、粘度が上がり、変形能は漸次、小さくなるので、変形能が小さくなるに伴い、プレス成形速度も遅くする必要がある。しかし、本発明では、プレス成形速度の設定を、NC(数値制御)駆動装置により、容易に行なえる。
【0021】
一方、プレス変形が進んだ時点で、プレス成形速度が、溶融ガラス塊の変形能より大きくなった場合、例えば、ガラス塊の温度降下速度の個体間のバラツキにより、溶融ガラス塊の温度が下がり過ぎた場合には、型部材に供給されているガスの圧力が十分でなければ、溶融ガラス塊と型部材の成形面とが接触することになるが、本発明では、NC駆動装置と型部材との間に圧縮コイルバネのようなバネ部材が設置されており、このバネ部材のバネ定数が適当な値に選定されているので、問題を生じない。
【0022】
即ち、前記バネ部材は、NC駆動装置による型部材の進出が溶融ガラス塊の変形能を越える時、前記溶融ガラス塊側の抵抗では、上述のフィルム状のガス層が破れず、かつ、溶融ガラス塊の浮上・保持が維持される範囲で、前記バネ部材が蓄勢される程度のばね定数に設定されており、これによって、上述のように溶融ガラス塊の温度が下がり過ぎた際、以下に示すような作用をなす。
【0023】
プレス成形速度がガラスの変形能より大きくなった場合、型部材の成形面と溶融ガラス塊とは、ガス層により非接触の状態に保たれたまま、型部材がバネ部材を押し縮めるように作用するのである。この時、NC駆動装置は、所定の位置まで型部材を移動するが、バネ部材が縮まることで、上下の型部材の相互の間隔は狭められず、NC駆動装置で予め設定した所定の間隔まで、相対的に移動しないで、その手前の間隔位置(その時点での溶融ガラス塊の変形能に見合う間隔)で、前記ガス層を介して、溶融ガラス塊と非接触の状態を保つのである。
【0024】
換言すれば、この際のバネ部材の圧縮程度に応じて、型部材にはバネ力が作用しているので、このバネ力により、溶融ガラス塊のプレス成形が進むが、しかしながら、このバネ力は、上述のように、比較的弱いものなので、型部材と溶融ガラス塊との間にガス層を保持したまま、このプレス成形が進むのである。
【0025】
このバネ力によるプレス成形が進み、バネ部材が元の状態に戻り、型部材が本来の位置、すなわち、NC駆動装置で設定したと同じ位置まで到達した時、即ち、上下の型部材が相互に所定間隔まで接近した時、プレス成形が完了する。
【0026】
このようにして、プレス成形された光学用ガラス成形体は、比較的弱い圧力のガスにより浮上・保持させておけるので、従来のように、成形面中央でのガス圧によりガラス成形体の転写面が大きく凹むこともない。また、NC駆動装置の移動速度を、ガラスの変形能に見合った数値に設定し、さらに、NC駆動装置と型部材との間に設けるバネ部材を比較的弱くしていることで、型部材の進出が過剰なプレス圧の発生を招く虞がある場合に、型部材を逃がすことにより、型部材の成形面と溶融ガラス塊(更には、ガラス成形体)との直接の接触を防ぐことができる。また、弱いバネ力によるプレス圧を、型部材相互が所定の距離に戻るまで付与することにより、ガラス成形体の厚さを、所定の厚みにすることができる。
【0027】
そして、このようにして得られたガラス成形体は、比較的弱いガス圧で浮上されているので、型部材の成形面とガラス成形体の転写面との間の形状のズレが小さく、また、NC駆動装置の設定速度とバネ部材の作用により、ガラス成形体と型部材とが接触して、成形体表面に接触痕が発生したりすることがなく、得られたガラス成形体の表面(転写面)は、高い精度の形状で鏡面状態に保たれる。
【0028】
また、本発明の別の実施の形態として、以下のような構成にした場合(バネ部材の蓄勢力を積極的に利用する場合)について説明する。
【0029】
上述の光学用ガラス成形体の製造方法において、NC駆動装置を操作させることにより、少なくとも一方の型部材を上下に進出駆動させ、溶融ガラス塊をプレス成形する場合、NC駆動装置が、型部材の複数の移動位置、および、その移動位置への移動速度を予め設定していて、プレス成形の後段、即ち、溶融ガラス塊の温度が下がり(粘度が上がり)、変形能が小さくなった時、NC駆動装置の移動速度をガラスの変形能より大きくなるように積極的に設定し、NC駆動装置が所定の移動位置まで移動した時、バネ部材の、例えば、圧縮による反発力が型部材に与えられ、それにより、溶融ガラス塊をプレス成形するのである。
【0030】
更に詳述すると、溶融ガラス塊を、成形面からガスが噴出している状態の上下の型部材でプレス成形して、型部材の成形面から非接触の状態で、所望の形状に倣わせ、所望の光学用ガラス成形体を得るに際して、型部材を駆動させるNC駆動装置では、型部材の複数の移動位置および移動速度を予め設定し、プレス成形の前半(前段)、ガラスの温度が高く、変形能が高いときは、事前に設定したNC駆動装置の移動速度、すなわち、プレス成形速度をガラスの変形能と同じか、小さく設定する。この場合には、型部材の成形面から噴出するガスの圧力が低くても、型部材の成形面と溶融ガラス塊とが接触することがない。
【0031】
逆に、プレス成形の後半(後段)で、溶融ガラス塊の温度が低く、変形能も低くなった時、NC駆動装置による型部材の移動速度、すなわち、プレス成形速度を、ガラスの変形能より大きくする。この場合、NC駆動装置と型部材との間にバネ部材が介されているので、型部材の成形面と溶融ガラス塊とは、ガス層を介して非接触の状態に保たれたままで、バネ部材が圧縮され、その蓄勢力を、溶融ガラス塊の変形能に見合って、解放する過程で、溶融ガラス塊のプレス成形が進むのである。
【0032】
このようにして得られたガラス成形体は、成形過程で、比較的弱いガス圧で浮上・保持されながら成形されているので、型部材の成形面と成形体の転写面との間の形状のズレが小さく、その表面は、非接触での成形のため、鏡面状態に保たれる。また、NC駆動装置の設定速度とバネ部材の作用により、成形体と型部材の表面とが接触して、成形体の表面に接触痕が発生することがなく、更に、バネ力によって、プレス成形を完了することにより、所望の中心厚のガラス成形体を得ることができ、形状精度、外観精度ともに良好なガラス成形体を得ることができる。
【0033】
なお、この実施の形態において、バネ部材のバネ力による、溶融ガラス塊のプレス成形を行う場合、プレス成形が進む過程で、型部材にバネ力が作用しなくなった時、プレス成形が終了するように、NC駆動装置による型部材の移動位置を予め、設定するとよい。
【0034】
このようにして得られたガラス成形体を、そのまま、光学素子として使用することもできるが、従来のように、これを光学素子製造用素材として使用することができる。この場合は、上述のガラス成形体を加熱軟化させ、一対の成形型でプレス成形するか、あるいは、研磨加工、または、研削加工および研磨加工によって、その表面のガラスを削除し、研磨することで、所要の光学機能面を持った光学素子を得ることができる。
【0035】
この場合の利点は、プレス成形体の表面が、平滑、均質であり、その形状も、最終製品としての光学素子にかなり近い形状であるため、少ないプレス量で所要の形状にプレス成形できることであり、また、比較的少ない精研削あるいは研磨加工によって、所望の精度の光学素子が得られることである。
【0036】
更に詳述すると、このようなガラス成形体を光学素子製造用素材として用いると、上述のように、プレス成形による場合、プレス量が少なくてよいから、プレス時間が短く、また、プレス時の成形型のダメージも少ない。従って、従来から知られているガラス塊、すなわち、やや偏平な丸い形状のガラス塊をプレス成形して光学素子を得る場合に比べると、成形時間が短く、型の耐久性も向上するので、その光学素子の製造コストが低減できる。また、研削、研磨の加工による場合、ガラス成形体の形状を最終形状の光学素子に近似させることが可能であり、表面も、無傷で、平滑、均質であるから、研削、研磨の加工量を少なくできる。即ち、従来から知られているガラス光学素子用素材を研削加工および研磨加工して光学素子を得る場合(この場合には、軟化状態の光学ガラスを低温の金属の型部材でプレス成形して得るため、その表面に大きなウネリがある)に比べて、加工量が減り、加工屑が減少し、また、加工時間も減少するので、その製造コストが低減できる。
【0037】
次に、本発明の光学用ガラス成形体の製造方法について、図面を参照して、具体的に説明する。
【0038】
(実施の形態1)
先ず、最初の実施の形態として、図1〜図8に示す事例について述べる。なお、図1〜図3において、符号1は溶融ガラス流出パイプ、2は溶融ガラス流、3は多孔質材料よりなる下型部材、4は下型保持ブロック、5は縦駆動用のNC駆動装置、6は型駆動部材、7は圧縮コイルバネなどのバネ部材、8は横駆動用のNC駆動装置、9は多孔質材料よりなる上型部材、10は上型保持ブロック、11は成形されたガラス成形体である。また、符号12はカートリッジヒーター、13は案内棒、14はガス供給管、15はガス加熱ヒーターである。
【0039】
図4〜図8は、この事例における光学用ガラス成形体の製造方法での、各工程における成形型の位置および成形品の様子を説明するための図である。なお、図4において、符号16は成形前の溶融ガラス塊である。
【0040】
この実施の形態における成形装置においては、図1に示すように、多孔質の下型部材3がNC駆動装置5により、上下方向に駆動され、このNC駆動装置5は、NC駆動装置8により、横方向に進退駆動される。従って、多孔質の下型部材3は、上下・左右に、NC駆動装置5、8によって、予め設定された速度で、予め設定された移動位置まで動くことができる。
【0041】
即ち、この実施の形態では、横駆動用のNC駆動装置8のフレーム上に縦駆動用のNC駆動装置5が設置されており、NC駆動装置5の垂直ガイドに下型部材3が移動可能に設置され、また、NC駆動装置8のほぼ中央部の上方に位置して、プレス成形用の上型部材9が固定されている構成を、1成形ユニットとして、使用しており、この成形ユニットを、平面視で、溶融ガラス流出パイプ1の位置を中心に、放射状に多数(この実施の形態では、8基)配列している。
【0042】
そして、図1に示すように、まず、各NC駆動装置8は、図2のA、B、C・・G、Hの順番で、成形装置の中心位置(図1では、NC駆動装置8の左端)において、溶融ガラス塊を下型部材3の成形面に受ける(図2では、A位置のNC駆動装置8がそのように動作している)。このためには、先ず、この位置で、NC駆動装置5の働きで、下型部材3を溶融ガラス流出パイプ1の出口の直下まで上昇させ、下型部材3の成形面上に溶融ガラス流2を所望重量になるまで受け取り、その後、下型部材3を所定距離、下降させ、溶融ガラス流を括れさせ、その位置で下型部材3をしばらく保持し、溶融ガラス流が自然分離(シャーレス分離)した後、更に、下型部材3を下降する。こうして、下型部材3の成形面上に溶融ガラス塊16を得るのである。
【0043】
次に、この下型部材3を、それに対応して、NC駆動装置8の中間部に配置した上型部材9の下の位置まで移動させ、この位置で、再び、NC駆動装置5の働きで、下型部材3を上昇させ、下型部材3と上型部材9とにより、溶融ガラス塊16を上下から保持し(図1では、NC駆動装置8の中間位置)、プレス成形して、ガラス成形体11を得るのである。その後、下型部材3を下降させ、NC駆動装置8により、下型部材3を(図1では、NC駆動装置8の右端)水平に移動させ、成形されたガラス成形体11を取り出す。これを、各NC駆動装置5、8について、タイミングをずらせて、図2のA位置のものからH位置のものへの順序で動作させるのである(例えば、B位置からF位置までのものは、プレス成形状態を示しており、G位置のものは、ガラス成形体11を取り出す状態を示している)。
【0044】
このようにして、8個の成形ユニットからなる成形装置は、間欠的に、しかもタイミングをずらせて、順番に駆動されていて、溶融ガラス塊16から、ガラス成形体11を得るのである。
【0045】
ここで、説明の便宜上、図2に於いて、各成形ユニットにAからHの名称をつける。ここでは、図2で、右側に位置する成形ユニットをAとし、そこから半時計回りに、BからHとする。
【0046】
これを具体的に説明すると以下の通りとなる。まず、A位置の成形ユニットでは、現在、溶融ガラス流出パイプ1から流出する溶融ガラス流2を下型部材3の成形面上に受け、所要量で分離して、溶融ガラス塊16を得ている。また、B位置の成形ユニットでは、A位置の成形ユニットで溶融ガラス塊16を得る直前おいて、既に溶融ガラス塊16を得ており、現在は、上型部材9の下に、溶融ガラス塊16を載せた下型部材3を移動しており、上型9と下型3によって、溶融ガラス塊16のプレス成形が始まったばかりの状態である。
【0047】
更に、C位置の成形ユニットは、B位置の成形ユニットで、溶融ガラス塊16を得る直前に、既に溶融ガラス塊16を得ており、現在は、溶融ガラス塊16をプレス成形している状態である。この状態は、D、E、Fの各位置における成形ユニットにおいて、それぞれ、先行して実施されていて、その逆順序で、プレス成形が経過されている。そして、F位置の成形ユニットでは、プレス成形は、ほぼ、完了し、G位置の成形ユニットでは、プレス成形が完了して、ガラス成形体11が下型部材3の成形面上から取り出される状態である。
【0048】
なお、H位置の成形ユニットでは、次に、新たな溶融ガラス塊16を受けに行くために、待機している状態であり、下型部材3は上型部材9の下に移動されている。
【0049】
次に、本発明で使用する型構造の詳細な具体例を図3を用いて説明する。ここでは、多孔質の下型部材3は、下型保持ブロック4により保持されており、その成形面の裏面に高圧のガスを供給するための空間を構成するガス供給室が、下型保持ブロック4の内部に設けられている。このガス供給室には、ガス供給管14を介して、高圧のガスが供給される。なお、ガス供給管14の内部には、ガス加熱ヒーター15が設置されており、供給ガスを所望温度に加熱する。また、下型保持ブロック4の内部には、カートリッジヒーター12が設けられており、下型保持ブロック4を加熱することができる。
【0050】
NC駆動装置によって昇降される型駆動部材6と下型保持ブロック4とは、案内棒13を介して、上下方向に関し、相対的に摺動可能に設置されている。そして、この案内棒13の周囲には、前述のようなバネ部材7が設置されている。このバネ部材7は、下型保持ブロック4と型駆動部材6との間に介装されており、これらに所要のバネ力(最小値)を付与している。
【0051】
而して、下型部材3および下型保持ブロック4に、下方への力が付与されていない時、このバネ力により、下型部材3および下型保持ブロック4は、所定の位置、即ち、型駆動部材6に対して、もっとも高い位置に保たれる。また、下型部材3および下型保持ブロック4に、下方への力が付与される時、これらは下方へ移動し、型駆動部材6に近い位置へ移動すると同時に、上方へのバネ力がバネ部材7に蓄勢される。
【0052】
型駆動部材6は、縦駆動用のNC駆動装置5に連結されており、予め設定された速度で、予め設定された位置まで移動することができる。一方、上型部材9および上型保持ブロック10の構成は、下型部材の場合と同様であるが、上型保持ブロック10は、NC駆動装置8のフレームに固定されている。なお、図3には示していないが、上型保持ブロック10の内部にも、カートリッジヒーターが設置されている。なお、上型保持ブロック10へのガス供給管14は、横方向から設置されているが、その他の構成は、下型部材の場合と同様である。
【0053】
次に、この成形装置による成形工程を、図4〜図8を用いて説明する。図4には、NC駆動装置5の移動により、下型部材3が上昇し、ガス圧により、下型部材3の成形面上に浮上した状態で保持されている溶融ガラス塊16が、上型部材9に接近しつつある状態を示している。この状態では、NC駆動装置5による、下型部材3の上昇速度は、何らの制約もないから、可成り速く設定されている。
【0054】
図5には、溶融ガラス塊16が、成形面にガスが噴出している上型部材9に近接した状態が示されている。この状態まで移動した後、NC駆動装置5は、下型部材3の移動速度を遅くし、溶融ガラス塊の変形能以下にする。勿論、この状態では、溶融ガラス塊16は、下型部材3からは浮上した状態で、保持されており、上下の型部材の成形面とも非接触の状態である。
【0055】
図6には、溶融ガラス塊の変形能よりも遅い速度で型部材を押圧し、プレス成形した状態が示されている。ここまでは、上下の型部材の成形面からガスが噴出しているので、ガラスの変形能より遅い速度でプレス成形する条件では、溶融ガラス塊と型部材の成形面とが接触する虞はない。
【0056】
図7には、更にプレス成形を進めている状態を示しており、溶融ガラス塊が予定より早く温度降下して、ガラスの変形能よりも、型部材の進出の速度が大きくなった場合、あるいは、予め、その時点で、積極的に型部材の速度を大きくするようにNC駆動装置5を制御した場合が当てはまる。
【0057】
即ち、一般に、成形過程では、ガラスの温度が下がると、その変形能は小さくなるので、同じ速度でプレス成形をしても、溶融ガラス塊の温度が高いプレス成形の前半(前段)では、プレス速度がガラスの変形能より小さく、逆に、プレス成形の後半(後段)では、プレス速度がガラスの変形能より大きくなることがある。従って、図7の状態で、NC駆動装置5の駆動で、本来ならば、上型部材9と下型部材3とが、互いに接触する位置(図8を参照)まで上昇されるのであるが、ガラスの変形能よりも大きな速度で、NC駆動装置5により型部材が押圧されたため、この状態では、下型保持ブロック4と型駆動部材6との間に設置されたバネ部材7が、溶融ガラス塊16側の反力を受けて、少し縮んだ状態になっている(この場合、上下の型部材と溶融ガラス塊16との間には、型部材の成形面から噴出するガスにより、フィルム状のガス層が形成され、溶融ガラス塊16を浮上した状態に保持するが、この非接触状態が破れない程度の反力で、バネ部材7が縮まなければならない)。
【0058】
図8は、図7の状態から、溶融ガラス塊の変形能に追従する形で、バネ部材7の、蓄勢されたバネ力により、プレス成形が進み、バネ部材が元の状態に戻り、上型部材9と下型部材3とが接触する位置まで到達した状態を示している。なお、この状態でも、上下の型部材の成形面からは、ガスが噴出していて、プレス成形が進んでいるので、溶融ガラス塊と型部材の成形面とは接触することがなく、この過程で、成形面に倣った、平滑で、均質な転写面が溶融ガラス塊16に形成され、最終的に得られたガラス成形体11の形状精度を良好なものとしている。
【0059】
(実施の形態2)
次に図9〜図17を参照して、本発明の第2の実施の形態について具体的に説明する。なお、図9は装置の一部の構成を示す概略的正面図である。図9において、符号1は溶融ガラス流出パイプ、2は溶融ガラス流、3は多孔質の下型部材、4は下型保持ブロック、5は縦駆動用のNC駆動装置、6は型駆動部材、7はバネ部材、9は多孔質の上型部材、10は上型保持ブロック、11は成形終了後のガラス成形体、17は下型部材の上昇用のNC駆動装置、18はロータリーテーブルの下板、19はロータリーテーブルの上板である。
【0060】
また、図10は装置の構成を示す概略的平面図で、ここで、符号20は下型部材の外周方向駆動装置である。また、図11は、装置の型部分の構成を説明する断面図で、ここで、符号12はカートリッジヒーター、13は案内棒、14はガス供給管である。図12ないし図17は、第2の実施の形態におけるガラス成形体を製造する工程での、型部材の位置および成形品の様子を説明するための図であり、図12において、符号16は溶融ガラス塊である。
【0061】
この実施の形態では、図10に示すように、成形装置は、上板19と下板18の2枚の板からなるロータリーテーブルの周方向に、等間隔で、上下一対の成形用型部材3、9が配置されている。更に詳述すると、下型部材3は、ロータリーテーブルの下板18の上に載せられている。上型部材9は、NC駆動装置5を介して、ロータリーテーブルの上板19に固定されている。該ロータリーテーブルは所定ピッチ(30゜角)で間欠的に回転可能で、その回転している状態で、NC駆動装置5を下降させ、溶融ガラス塊16をプレス成形することができる。
【0062】
ここでは、溶融ガラス流を下型部材3の成形面上に受ける際には、ロータリーテーブルの下板18の上に載った下型部材3が、駆動装置20により、放射方向に水平に突出した位置に移動する。この状態で、ロータリーテーブルが回転して、下型部材3が溶融ガラス流出パイプ1の下に移動すると、下型部材3は、下方から突き上るNC駆動装置17により、上昇する。
【0063】
而して、溶融ガラス流出パイプ1の下で、下型部材3の成形面上に溶融ガラス流2を受け、所定量に到達すると、NC駆動装置17により、下型部材3を下降し、自然切断によって、所望の溶融ガラス塊を得、その後、駆動装置20により、下板18の上に下型部材3を戻す。
【0064】
溶融ガラス塊16を載せた下型部材3は、次に、ロータリーテーブルの間欠的な回転で、順次、移動する間に、NC駆動装置5が働いて、型駆動部材6を下降し、上型部材9の成形面と下型部材3の成形面との間で、溶融ガラス塊16をプレス成形し、所要のガラス成形体11を得る。そして、プレス成形が終了した後、上型部材9を上昇し、型開きして、ガラス成形体11を取り出すのである。
【0065】
次に、この実施の形態における型構造を、図11を用いて具体的に説明する。多孔質の下型部材3は、下型保持ブロック4により保持されており、その成形面の裏面に位置して、高圧のガスを供給するための空間部であるガス供給室が、下型保持ブロック4の内部に設けられている。該ガス供給室には、ガス供給管14を介して、高圧のガスが供給されるが、ガス供給管14はフレキシブルチューブに接続されており、自在に動くことが可能である。また、下型保持ブロック4の内部には、これを加熱するためのカートリッジヒーター12が設けられている。
【0066】
下型保持ブロック4の下部には、下型部材上昇用のNC駆動装置17の昇降ロッドの先端部が嵌脱自在に嵌合できる嵌合部(凹凸形状で)が形成されている。また、この下型保持ブロック4は、ロータリーテーブルの下板18の上に、位置合わせして置かれるようになっている。
【0067】
また、上型部材9および上型保持ブロック10の構成は、下型部材3と同様の構成であり、特に、上型保持ブロック10と型駆動部材6とは、互いに、案内棒13を介して、上下に摺動可能に設置されている。この案内棒13の周囲には、バネ部材7が設置され、上型保持ブロック10と型駆動部材6の間に介装されていて、これらにバネ力を付与している。即ち、上型部材9および上型保持ブロック10に、上方への力が付与されていない時、このバネ力により、上型部材3および上型保持ブロック4は、所定の位置、換言すれば、型駆動部材6に対して、最も低い位置に保たれる。また、上型部材3および上型保持ブロック4に、上方への力が付与される時、これらは上方へ移動し、型駆動部材6に近い位置へ移動すると同時に、バネ部材7には、バネ力が蓄勢される。なお、型駆動部材6は、NC駆動装置5によって昇降されるもので、予め設定された速度で、予め設定された位置まで移動することができる。
【0068】
次に、この実施の形態においてガラス成形体を成形する工程を、図12から図17を用いて説明する。図12は、多孔質の下型部材3の成形面上に浮上・保持された溶融ガラス塊16に対して、上型部材9が、駆動NC装置5の駆動で、型駆動部材6を介して下降し、接近しつつある状態を示している。この状態では、上型部材9の下降速度は、かなり速い速度である。
【0069】
図13は、溶融ガラス塊16に、上型部材9が近接した状態を示している。この状態まで移動した後は、上型部材9の移動速度を遅くし、ガラスの変形能以下にする必要がある。勿論、図13の状態では、溶融ガラス塊16は、下型部材3の成形面から浮上・保持されており、上型部材9の成形面とも非接触の状態である。
【0070】
図14は、ガラスの変形能よりも遅い速度で、溶融ガラス塊16をプレス成形している状態を示している。ここまでは、上下の型部材3、9の各成形面からガスが噴出しているので、ガラスの変形能より遅い速度でプレス成形する際、溶融ガラス塊16と型部材の成形面とが接触することはない。
【0071】
図15は、ガラスの変形能よりも遅い速度で、更にプレス成形を進めた状態を示している。図16は、更にプレス成形を進め、ガラスの変形能よりも大きな速度でプレス成形した状態に到ったことを示している。この状態で、NC駆動装置5の駆動により、型駆動部材6は、上型部材9と下型部材3とが、本来ならば、接触する位置まで下降しているが、しかしながら、ガラスの変形能よりも大きな速度で型駆動部材6を下降させたために、この状態では、上型保持ブロック10と型駆動部材6との間に設置されたバネ部材7は、少し縮んだ状態になり、上下の型部材とガラスとの間で、溶融ガラス塊16は、両型部材の成形面から噴出するガスにより、浮上・保持されている。
【0072】
図17は、図16の状態からバネ部材7の蓄勢力によるプレス成形が進み、バネ部材7が元の状態に戻り、上型部材9と下型部材3とが接触した状態を示している。この状態でも、上下の型部材の成形面からガスが噴出した状態で、プレス成形が進んでいるので、溶融ガラス塊16と成形面とが接触することなく、得られたガラス成形体は、良好な形状精度を保有する。
【0073】
【実施例】
(第1の実施例)
以下、本発明の実施の形態1に基づく光学用ガラス成形体の実施例を、具体的に説明する。ここでは、多孔質の下型部材3および上型部材9の素材として、多孔質のカーボンが用いられた。この多孔質カーボンの平均孔径は15μmで、気孔率は約30%である。
【0074】
下型部材3の成形面は、曲率半径:15mmの凹球面に加工されている。この成形面の直径:22mmである。また、上型部材9の成形面も、曲率半径:15mmの凹球面で、直径:22mmである。上型部材の外周部には、高さ3mmのリング状の部材が設置されている。
【0075】
下型保持ブロック4および上型保持ブロック10は、ステンレス鋼で作られており、また、ガス供給管14もステンレス鋼で作られている。そして、ガス供給管14の内部には、ガス加熱用の白金製のヒーター15が設置されている。同じく、案内棒13は、ステンレス鋼で作られており、下型保持ブロック4に対して4本、設けられている。バネ部材7は、ジルコニアで作られており、一本当たりのバネ定数は0.005N/mmである。
【0076】
型駆動部材6は、ステンレス鋼で作られている。型駆動部材6の上面と、下型保持ブロック4の下面との間は、30mmの距離に設定されている。また、この状態において、バネ部材7は、自然長から2mm縮んだ時、そのバネ力(蓄勢力)と、下型部材3および下型保持ブロック4の自重とが、ほぼ釣合った状態になっている。
【0077】
型駆動部材6は、縦駆動用のNC駆動装置5に連結されている。このNC駆動装置5は、型駆動部材6の移動ストローク長さ:100mm、移動速度:0から500mm/sの範囲で制御される。これらの移動速度および移動位置は、それぞれ、複数個の設定値を、予め、コンピュータまたはシーケンサーなどの制御系(図示せず)で設定しておく。
【0078】
横駆動用のNC駆動装置8は、NC駆動装置5の横方向の移動について、ストローク長さ:500mm、その他をNC駆動装置5と同様に設定した仕様で、前記制御系により、制御される。
【0079】
このような一連の装置を、1成形ユニットとし、本実施例では、図2に示すように、平面視で、8個の成形ユニットを放射状に並べ、1台のガラス成形体の製造装置として、構成している。この放射状の8台の成形ユニットからなる前記製造装置の中心には、白金製の溶融ガラス流出パイプ1が設置されている。この溶融ガラス流出パイプ1の上部は、ガラス溶融るつぼ(図示せず)に接続されており、この中で、光学用ガラス材料が、所要温度に溶融される。そして、この溶融ガラス流出パイプ1の出口からは、溶融ガラスが、液滴状に滴下される。
【0080】
次に、本実施例でのガラス成形体11の製造工程について具体的に述べることにする。ガラス溶融るつぼ(図示せず)は、電熱などの適当な加熱手段(図示せず)で、1200℃に加熱されており、この中で、光学用ガラス材料として、光学ガラスSK12を溶融する。そして、加熱手段およびセンサ(何れも、図示せず)の働きにより1000℃に保たれた溶融ガラス流出パイプ1からは、同温度に(1000℃)に調温された溶融ガラスが、液滴状に滴下している。
【0081】
下型保持ブロック4は、その内部に設置されたカートリッジヒーター12により、300℃に保たれている。そして、ガス供給管14には、0.1MPaの圧力の窒素ガスが供給され、このガス供給管14内で、ガス加熱ヒーター15により、300℃に加熱され、このブロック4内に供給される。而して、溶融ガラス流2を下型部材3の成形面上に受け始めるとき、毎分:5Lの流量の窒素ガスを、前記成形面から噴出する状態に保つ。
【0082】
なお、以下の作用説明において、下型部材3と型駆動部材6の位置について、予め、その表記方法を説明する。本実施例では、NC駆動装置5による型駆動部材6の移動ストロークが100mmであり、その最上端に位置した時、下型部材3と上型部材9が、互いに接触する高さになる。従って、この高さを0mmと表記する。また、型駆動部材6が最下端にある時、その高さを−100mmと表記する。
【0083】
したがって、下型部材3、型駆動部材6が共に、−10mmにある場合は、下型部材3は、上型部材9の下、10mmの位置にあり、型駆動部材6は、最上端から10mm下の位置にあり、バネ部材7は縮んでいない状態である。また、下型部材3が−4mm、型駆動部材6が−2mmとは、下型部材3が上型部材9の下、4mmの位置にあり、型駆動部材6が最上端から2mm下の位置にあり、バネ部材7が2mm、縮んだ状態である。
【0084】
溶融ガラス流2を下型部材3の上に受け始めるとき、下型部材3は、最上端の位置、即ち、高さ:0mmに位置している。この位置において、下型部材3の成形面から毎分:5Lの流量の窒素ガスを噴出している状態で、溶融ガラス流2を受け始め、その後、10秒間で、下型部材3の上に受けられた溶融ガラスの重量が、所望の重量、本実施例においては、2.5gに達するまで、NC駆動装置5を動かして、下型部材3を1mm下降させた。
【0085】
そして、下型部材3の上に所望の重量の溶融ガラスを得た後、下型部材3を更に7mm急降下した。これにより、溶融ガラス流2は、自然流下の過程で、括れ始め、その位置(上述の7mm急降下した位置)で、下型部材3を0.7秒、停止・保持すると、その間に、溶融ガラス流は、自然切断(シャーレス)により分離され、溶融ガラス塊16が得られた。
【0086】
この時点で、下型部材3の成形面から噴出している窒素ガスの流量を、毎分:0.3Lに減じた。下型部材3の上に浮上・保持された状態で、所望量の溶融ガラス塊16を得た後、下型部材3を最下端、即ち、−100mmの位置まで下降させ、次いで、NC駆動装置3の駆動で、下型部材3を横方向へ300mm、移動させ、上型部材9の直下の位置まで移動した。
【0087】
ここで、NC駆動装置5を駆動し、型駆動部材6を上昇させ、プレス成形を開始した。溶融ガラス塊16の上部が、上型部材9の成形面に接近するまでの間は、比較的速い速度(本実施例では、毎秒50mmの速度)で、−10mmの位置まで下型部材3を上昇する。この上昇途中の様子を図4に示す。−10mmの位置まで上昇した後、下型部材3の上昇速度を毎秒6mmに減じ、−4mmの位置まで上昇した。この位置まで上昇したときの様子を図5に示す。この時、上型部材9の成形面は、溶融ガラス塊16の上面に接近した位置にあるが、溶融ガラス塊16は、まだ、プレス成形されておらず、その形状は、以前(下型部材3の成形面上で浮上・保持された状態)と同じである。
【0088】
なお、この時、下型保持ブロック4は300℃に保たれ、また、ガス加熱ヒーター15により300℃に加熱された窒素ガスが、毎分0.3Lの流量で、下型部材3の成形面から噴出している。一方、この時、上型保持ブロック10は、その中に配置されているカートリッジヒーター(図示せず)により、500℃に加熱されている。また、ガス加熱ヒーター15により500℃に加熱された窒素ガスが、毎分:5Lの流量で、上型部材9の成形面から下向きに噴出している。
【0089】
続いて、この位置、すなわち−4mmの位置から、−2mmの位置まで、さらに下型部材3を上昇した。この時の下型部材3の上昇速度は、毎秒:1mmであった。この時、溶融ガラス塊16の温度は800℃である。そして、この温度のガラスの変形能は、毎秒:1mmの速度でのプレス成形速度より大きいので、この速度で、−4mmの位置から−2mmの位置まで、下型部材3を上昇させることにより、溶融ガラス塊16は、下型部材3および上型部材9から、共に非接触の状態に保たれたまま、型部材の成形面の形状に倣って変形が進む。この様子を図6に示す。
【0090】
ここでは、溶融ガラス塊16が非接触状態でプレス成形され、かなり押しつぶされている。この間、プレス変形速度は、ガラスの変形能より小さいので、溶融ガラスの成形面と型部材の成形面とが接触することはない。また、これまでの工程において、バネ部材7が所定の長さより縮まることもない。
【0091】
更に、この位置、すなわち−2mmの位置から、0mmの位置まで、NC駆動装置5を駆動して、型駆動部材6を毎秒:1mmで上昇した。即ち、本来ならば、下型部材3と上型部材9が接触する高さであるが、この時、溶融ガラス塊16の温度は既に750℃に降下しており、この温度のガラスの変形能は毎秒:1mmのプレス変形速度より小さい。従って、上述のように、この速度で、−2mmの位置から0mmの位置まで、型駆動部材6を上昇させると、型部材の成形面から噴出しているガスにより、溶融ガラス塊16は、非接触の状態に保たれるが、バネ部材7は、下型部材3に掛かる反力増加(ガラスの変形能に対応)で縮む。図7は、NC駆動装置5の駆動で型駆動部材6が0mmの位置まで上昇した直後の様子を示す。
【0092】
この状態では、バネ部材7が1mm縮んでいる。従って、0.02Nのバネ力(蓄勢力)が下型部材3に作用している。この状態で保持していると、このバネ力により、溶融ガラス塊の被成形面と型部材の成形面とを非接触の状態に保ったまま、成形面上のガス層を介して、プレス成形が進んで行く。即ち、本実施例では、15秒後には、バネ力によるプレス成形が進み、図8に示すように、下型部材3と上型部材9が、遅れて接触した。
【0093】
このように、バネ力によるプレス成形が完了した後、直ちに、下型部材3を下降させ、型開きをした。下型部材3がそのストロークの下端まで下降した後、NC駆動装置8の働きで、そのストロークの右端まで移動し、そこで、ガラス成形体11を下型部材3の成形面から取り出した。
【0094】
このようにして、本実施例では、溶融ガラス流を下型に受ける時間として10秒を要し、その後、プレス成形してガラス成形体を得、これを取り出すまでに、更に30秒を要した。従って、本実施例では、溶融ガラス流を、間欠的ではあるが、継続的に下型部材に受けて、所望量の溶融ガラス塊に分離するために、図2に示すように、8台の成形ユニットをタイミングを計って、使用することにより、順次、継続的に溶融ガラス塊を得て、それぞれの成形ユニットでプレス成形を実現し、生産性を向上しているのである。
【0095】
本実施例で得られたガラス成形体11は、その表面が鏡面状で滑らかであり、表面に異物などはなく、その表面形状は、所望形状に対して10μm以内のウネリがあるだけのものであった。従って、上述のガラス成形体11は、プレス成形して、最終的な高精度の光学機能面を持った光学素子を得るための、光学素子成形用素材として適しており、また、精研磨して光学素子を得るための、光学素子研磨用素材として適している。
【0096】
特に、本実施例においては、更に以下の点にメリットが得られる。
1) 形状精度、外観精度とも優れたガラス成形体が得られる。
2) 溶融ガラス塊から連続的にガラス成形体が得られるので、生産性がよく、製品コストを低減できる。
3) ガラス成形体が光学素子成形用素材または光学素子研磨用素材として適した形状精度、外観精度を有するので、その後の光学素子を完成するまでの工程が短縮でき、安価に製造することが可能になる。
【0097】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。ここでは、第1の実施例に比べて、溶融ガラス塊をプレス成形してガラス成形体を得る工程において、型保持ブロックの温度およびガスの温度をコントロールしながら、プレス成形することで、ガラス成形体を、そのまま、光学素子として使用することができる程度の、高精度の形状精度にすることを特徴としている。
【0098】
なお、この実施例で用いた装置の構成、および、装置の作動は、第1の実施例とほぼ同じである。すなわち、成形ユニットとしての、型の材料、型形状、型保持ブロックの構成およびその内部のカートリッジヒーター、ガス供給管、ガス加熱ヒーター、バネ部材、縦駆動用のNC駆動装置、横駆動用のNC駆動装置などは、その構成が同一であり、また、装置の作動順序も、第1の実施例と同様であるから、その点の説明は省略する。
【0099】
以下、この実施例での、プレス成形工程について詳細な説明をする。溶融ガラス流2を、下型部材3に受けるとき、下型保持ブロック4は300℃に、下型部材3の成形面から噴出している窒素ガスも300℃である。他の条件も第1の実施例と同様である。
【0100】
所望重量の溶融ガラスを下型部材3の成形面上に受けた後、溶融ガラス流2を自然切断(シャーレス)した後、下型保持ブロック4および窒素ガスの温度を、それぞれ、600℃まで上昇した。この時、0.1MPaの圧力の窒素ガスが毎分:3Lの流量で、下型部材3の成形面から噴出しており、この窒素ガスにより溶融ガラス塊16を浮上・保持している。一方、上型保持ブロック10は600℃に加熱され、また、600℃に加熱された0.1MPaの圧力の窒素ガスが、毎分:4Lの流量で、上型部材9の成形面から噴出している。
【0101】
この状態で、縦駆動用のNC駆動装置5を駆動して、型駆動部材6を上昇させ、プレス成形を開始した。まず、毎秒:50mmの速度で、−10mmの位置まで上昇した。その後、毎秒:6mmの上昇速度で、−4mmの位置まで上昇した。この時点で、溶融ガラス塊16は、まだ、プレス成形されていない。而して、上下の型保持ブロックの温度、および、それらから噴出している窒素ガスの温度を、700℃に上げた。
【0102】
続いて、この位置、即ち、−4mmの位置から−2mmの位置まで、更に、下型部材3を上昇した。この時の下型部材3の上昇速度は、毎秒1mmであった。この時、ガラス塊16の温度は、800℃であり、この温度のガラスの変形能は、毎秒1mmの速度でのプレス変形速度より大きいので、この速度で、−4mmの位置から−2mmの位置まで、下型部材3を上昇させることにより、溶融ガラス塊16は、下型部材3および上型部材9の各成形面に対して非接触の状態に保たれたまま、型部材の成形面の形状に倣って変形を進める。この間、プレス変形速度は、ガラスの変形能より小さいので、溶融ガラスの成形面と型部材の成形面が接触することはない。また、これまでの工程において、バネ部材7が所定の長さより縮まることはない。
【0103】
さらに、この位置、即ち、−2mmの位置から0mmの位置まで、NC駆動装置5を駆動し、型駆動部材6を上昇した。この場合、本来ならば、下型部材3と上型部材9が接触する高さまで、型駆動部材6を上昇したので、型部材相互は互いに接触するのであるが、この時の型駆動部材6の上昇速度は、毎秒1mmであり、この時、ガラス塊16の温度が750℃であり、この温度のガラスの変形能は、毎秒1mmの速度でのプレス変形速度より小さいから、この速度で、−2mmの位置から0mmの位置まで型駆動部材6を上昇させると、型部材の成形面から噴出しているガスにより、溶融ガラス塊自体は非接触の状態に保たれるが、バネ部材7が縮んで、蓄勢されることになる。
【0104】
即ち、NC駆動装置5の駆動で、型駆動部材6が0mmの位置まで上昇した直後の状態では、バネ部材7は、1mm縮んでいる。従って、0.02Nのバネ力が下型部材3に作用している。この状態で、両型部材の成形面にて溶融ガラス塊16を浮上・保持していると、このバネ力により、溶融ガラス塊の被成形面と型部材の成形面とが非接触の状態に保ったまま、プレス成形が進んで行く。
【0105】
本実施例では、15秒後に、バネ力によるプレスが進み、図8に示すように、下型部材3と上型部材9が接触した。また、本実施例では、この15秒間に、上下の型保持ブロックの温度、および、それらから噴出している窒素ガスの温度を、700℃から600℃に下げた。そして、バネ力によるプレスが完了した後、直ちに、下型部材3を下降させ、型開きをし、ガラス成形体11を取り出した。
【0106】
このように、本実施例では、溶融ガラス流を下型部材の成形面に受ける時間として10秒を要し、その後、プレス成形して、ガラス成形体11を得て、それを取り出すまでに40秒を要した。なお、生産効率を上げるため、溶融ガラス流を間欠的ではあるが、継続的に下型部材に受けるために、10台の成形ユニットをタイミングをずらせて、用いている。
【0107】
このようにして得られたガラス成形体11は、その表面が鏡面状で、滑らかであり、表面に異物などの付着がなく、その表面形状は、所望形状に対して1μm以内の誤差に収まっていた。従って、本実施例で得られたガラス成形体11は、光学素子として、そのまま使うことが可能であった。特に、これは、高い形状精度を必要としない、コンパクトカメラの後玉のレンズとして、十分に使用可能であった。
【0108】
なお、本実施例では、そのままで、光学素子として利用可能な、形状精度、外観精度ともに大変優れたガラス成形体を、安価に得られ、また、その後の製造過程での加工が少なく、光学素子を非常に安価に製造することが可能になる。
【0109】
(第3の実施例)
この実施例では、第1の実施例で得られたガラス成形体を、光学素子成形用素材として用い、このガラス成形体を加熱軟化して、一対の成形用型でプレス成形して、光学素子を得ている。この点について、以下に説明する。
【0110】
ガラス成形体を得る工程までは、第1の実施例と同じである。そして、得られたガラス成形体11は、例えば、この実施例で示すように、直径:22mm、周辺部厚み:3mm、上下面の曲率半径:15mm、表面のウネリが10μm以内の形状精度を有する、両凸形状のものである。
【0111】
また、成形用型としては、タングステン・カーバイト系の超硬合金からなる上下一対の型部材を用意した。この型部材の成形面を研磨加工した後、その上に保護膜としてTiN膜を付け、その上に離型膜としてダイヤモンド状カーボン膜を付けた。この型部材の成形面の形状は、上下の型部材とも、曲率半径:16mm、直径:25mmである。
【0112】
まず、上下の型部材を、620℃に加熱し、続いて、これらの成形面で囲まれたキャビティに、第1の実施例で得られた両凸形状のガラス成形体を入れ、これを610℃になるまで加熱した。その後、プレス成形を開始し、プレス力として2000Nを上型部材に付与した。このプレス成形は、10秒で終了した。
【0113】
その後、ガラス成形体を上記キャビティ内に保持したまま、型部材を500℃になるまで冷却した。その後、型開きし、成形された光学素子を取り出した。
【0114】
得られた光学素子は、直径:24mm、周辺部厚み:2.5mm、上下面の曲率半径16mmで、その表面形状は、予め設定した所望形状に対して、形状誤差で0.05μm以内であった。このようにして得られた光学素子は、非常に精度の良いものであり、カメラやビデオカメラのレンズとして利用することができる。
【0115】
なお、本実施例特有の効果として、以下の点がある。
【0116】
1)光学素子を得るためのプレス成形時間を短縮できる。即ち、光学素子の形状に近似したガラス成形体11を、成形用素材として使っているので、その後に、光学素子をプレス成形する際の変形量が少なくて良く、そのため、プレス成形時間が短くなる。因みに、従来では、偏平な両凸形状のガラス塊を、成形用素材として使用していたので、プレス変形量が大きく、プレス時間も長かった。
【0117】
2)光学素子成形用素材であるガラス成形体を加熱するのに要する時間を短縮できる。即ち、成形用素材を加熱する方法として、何らかの加熱手段を用いて成形用素材を加熱する方法と、成形型からの伝熱により成形用素材を加熱する方法があるが、従来のように、偏平な両凸形状のガラス塊を加熱する場合、型部材の成形面とガラス塊の表面との距離が大きいため、型部材からの伝熱により、成形用素材を加熱する効果は期待できない。これに対して、本実施例では、光学素子の形状に近似した形状のガラス成形体を、成形用素材として使うので、型部材の成形面とガラス成形体の表面との距離が均等で、接近しているので、型部材からの伝熱により、ガラス成形体(成形用素材)を加熱する効果が大きい。そのため、加熱に要する時間を短縮できる。
【0118】
3)成形用素材であるガラス成形体が最終製品である光学素子に近い形状精度を有するため、その後のプレス成形が少なくてよく、優れた精度を有する光学素子を、安価に、速く製造することができる。即ち、従来、光学素子の成形用素材として、光学素子の形状に近似したものが必要な場合には、大きなガラスブロックを切断し、研削・研磨加工して、そのような形状の成形用素材を得ていた。その結果、この工程により、コストが大変高いものになっていた。これに対して、本実施例によれば、溶融ガラス塊をプレス成形して、近似形状のガラス成形体(成形用素材)を得ているので、その製造コストは安い。
【0119】
(第4の実施例)
この実施例では、第1の実施例で得られたガラス成形体11の表面を、研削加工および研磨加工し、光学素子を得ている。以下に、この実施例について詳細に説明する。
【0120】
ガラス成形体11を得る工程までは、第1の実施例と同じである。そのようにして得られたガラス成形体は、直径:22mm、周辺部厚み:3mm、上下面の曲率半径:15mm、表面のウネリが10μm以内の形状精度を有する、両凸形状のものである。このガラス成形体の表面を、ペレット砥石を用いた、所謂、精研削加工して、15μmの厚さ、除去した。この精研削工程は、ガラス成形体の一面につき、15秒を要した。また、精研削工程が終了した後、この面を、研磨砥粒を用いた、所謂、研磨加工して、1μmの厚さ、除去した。この研磨工程は、一面につき、3分を要した。
【0121】
このように、ガラス成形体の表面を、研削加工および研磨加工して得られた光学素子は、その表面形状が大変に優れている。これを具体的数値で示せば、本実施例で得られた光学素子の表面形状は、所望する形状からの形状誤差が0.02μm以内である。特に、本実施例の効果としては、研削加工および研磨加工において発生する加工屑の発生を大幅に抑えられる点が挙げられる。
【0122】
因みに、従来からの方法で、研削加工および研磨加工により光学素子を製造する場合、加工用素材として、ハンドプレス品またはダイレクトプレス品と呼ばれる成形ガラス塊を用いていた。このような従来の成形ガラス塊は、金属の成形型の中に溶融状態のガラスを入れ、プレス成形して得ているが、500μmに近い、大きなウネリがあるという形状欠陥が、また、窒化ボロンの離型剤がその表面に付着しているという外観欠陥があった。
【0123】
従って、従来の成形ガラス塊から、研削加工および研磨加工により光学素子を得るためには、これらの形状および外観の欠陥部を除去するために、カップ状のダイヤモンド砥石を、カーブジェネレーター加工機に取り付け、これらの欠陥部を除去するための研削加工が必要になる。従来は、この研削加工で、成形ガラス塊の表面を、500μm程度、除去していたのである。これに対して、本実施例では、この研削加工の工程が不要になるので、加工屑の発生を、大幅に抑えることができる。
【0124】
(第5の実施例)
この実施例では、第2の実施例で得られたガラス成形体11の表面を、研磨加工し、光学素子を得ている。以下、この実施例について詳細に説明する。ここでの、ガラス成形体を得る工程までは、第2の実施例と同じである。得られたガラス成形体は、直径:22mm、周辺部厚み:3mm、その上下面における曲率半径:15mm、表面のウネリが1μm以内の形状精度を有する両凸形状である。
【0125】
このガラス成形体11の表面を、研磨砥粒を用いた、所謂、研磨加工して、2μmの厚さ、除去した。この研磨工程は、一面につき5分を要した。このようにして得られた光学素子は、その表面形状が大変に優れている。具体的には、本実施例で得られた光学素子の表面形状は、所望形状からの形状誤差で、0.02μm以内であった。
【0126】
本実施例の効果は、研磨加工において発生する加工屑の発生を大幅に抑えられる点てあり、特に、ガラス成形体の形状精度が良いので、第4の実施例での精研削工程をも不要にすることができるので、より大幅に、加工屑の発生を抑えることができる。
【0127】
(第6の実施例)
この実施例は、本発明の第2の実施の形態を具体的に示したもので、以下にこれを詳細に説明する。ここでは、多孔質の下型部材3および上型部材9の素材として、多孔質のカーボンを用いている。この多孔質カーボンの平均孔径は15μmで、気孔率は30%である。下型部材3の成形面は、曲率半径:25mmの凹球面に加工されている。この成形面の直径は30mmである。下型部材の外周部には、高さ:5mmのリング状の部分が形成されている。
【0128】
また、上型部材9の成形面は、その曲率半径:13mmの凸球面であり、直径が24mmである。なお、その外周部は、平面になっている。
【0129】
下型保持ブロック4および上型保持ブロック10は、ステンレス鋼で作られており、また、ガス供給管14もステンレス鋼でで作られている。更に、これは、ステンレス製のフレキシブルチューブに接続されている。また、案内棒13はステンレス鋼で作られており、上型保持ブロック4に対して4本、設けられている(図11には2本のみが、示されている)。更に、バネ部材7は、ジルコニアで作られており、一本当たりのバネ定数は0.005N/mmである。
【0130】
型駆動部材6は、ステンレス鋼で作られており、その下面と、上型保持ブロック4の上面との間は、30mmの距離に設定されている。この状態で、バネ部材7は、自然長から2mm縮んだ状態である。型駆動部材6は、NC駆動装置5に連結され、NC駆動装置5は、型駆動部材を、ストローク長さ:200mmで、移動速度:0から500mm/sの範囲に設定できる。この移動速度および移動位置は、それぞれ、複数個の設定値を、予め、コンピュータまたはシーケンサーから設定して置くことができる。
【0131】
ロータリーテーブルは直径:1mであり、その上には、上下の型部材とNC駆動装置からなる成形ユニットが12個、円周方向に並んで配置されている。ロータリーテーブルの下板に置かれている下型部材3は、駆動装置20により、半径方向(放射方向)に200mm、移動することができる。そして、500mmのストロークを有する下型部材の上昇用NC駆動装置により、下型部材3は、白金製の溶融ガラス流出パイプ1の出口の直下に持ち上げられる。
【0132】
この溶融ガラス流出パイプ1の上部は、ガラス溶融るつぼ(図示せず)に接続されており、この中で、光学ガラス材料が溶融され、溶融ガラス流出パイプ1の出口からは、溶融ガラス流が液滴状に滴下している。
【0133】
続いて、本実施例での、ガラス成形体の製造工程について具体的に述べる。ここでは、ガラス溶融るつぼ(図示せず)が1200℃に加熱されており、この中で、光学用ガラス素材として、光学ガラスSK12を溶融する。ここでは、溶融ガラス流出パイプ1が1000℃に保たれており、そこからは、1000℃の溶融ガラス流が液滴状に滴下している。なお、下型保持ブロック4は、その内部に設置されたカートリッジヒーター12により、300℃に保たれ、また、ガス供給管14より、0.1MPaの圧力の窒素ガスの供給を受けている。
【0134】
溶融ガラス流2を下型部材3の成形面上に受け始めるとき、毎分:5Lの流量の窒素ガスを、下型部材3の成形面から噴出する。この際、下型部材3は、下型上昇用NC駆動装置17の最上端の上昇動作位置に位置している。この位置で、下型部材3の成形面から毎分:5Lの流量の窒素ガスを噴出している状態で、溶融ガラス流2を受け始めた。15秒後に、下型部材3の成形面上に受けられた溶融ガラスが所望の重量、本実施例においては、5gに達する。
【0135】
なお、溶融ガラス流を下型部材3の成形面に受ける15秒の間、下型上昇用NC駆動装置17を動かし、下型部材3を1mm、下降させた。そして、下型部材3の成形面上に所望の重量の溶融ガラス塊を得た後、下型部材3を、更に7mm程、急降下した。このようにすると、溶融ガラス流2は括れ始め、その位置で、下型3を0.7秒、保持すると、その間に、溶融ガラス流2は、自然切断し、溶融ガラス塊16が得られた。
【0136】
そして、この時点で、下型部材3の成形面から噴出している窒素ガスの流量を、毎分0.3Lに減じた。下型部材3の成形面上に、浮上・保持されている溶融ガラス塊16を得た後、下型部材3を最下端まで下降させ、次いで、下型外周方向駆動装置20により、この下型部材3をロータリーテーブルの中心方向へ200mm程、動かし、ロータリーテーブルの下板18の上に載せた。ここで、NC駆動装置5を働かせ、下型部材3を下降させ、プレス成形を開始した。
【0137】
なお、以下の作用説明において、上型部材9と型駆動部材6の位置について、予め、その表記方法を説明する。本実施例では、NC駆動装置5による型駆動部材6の移動ストロークが200mmであり、その最下端に位置した時、下型部材3と上型部材9が、互いに接触する高さになる。従って、この高さを0mmと表記する。また、型駆動部材6が最上端にある時、即ち、上型部材9が最上端にある時、その高さを+200mmと表記する。
【0138】
従って、上型部材9、型駆動部材6が共に、+10mmにある場合は、上型部材9は下型部材3の上、10mmの位置にあり、型駆動部材6は、その最下端から10mm上の位置にあり、バネ部材7は、縮んでいない状態である。また、上型部材9が+4mm、型駆動部材6が+2mmでは、上型部材9は下型部材3の上、4mmの位置にあり、型駆動部材6は、最下端から2mm上の位置にあり、バネ部材7は、2mm、縮んだ状態である。
【0139】
ガラス塊16の上部が、上型部材9の成形面に接近するまでの間は、比較的速い速度で上型部材9を下降する。本実施例では、毎秒50mmの速度で、+20mmの位置まで下降した。この下降途中の様子を図12に示す。+20mmの位置まで下降した後、上型部材9の下降速度を毎秒6mmに減じ、+15mmの位置まで下降した。+15mmの位置まで下降した時の様子を図13に示す。この時、上型部材9の成形面は、溶融ガラス塊16の上面に接近した位置にあるが、溶融ガラス塊16は、まだ、プレス成形がなされておらず、溶融ガラス塊16の形状は、それ以前と同じである。なお、この時、下型保持ブロック4は300℃に保たれ、毎分:0.3Lの流量の窒素ガスが、下型部材3の成形面から噴出している。
【0140】
一方、この時、上型保持ブロック10は、その中に設置されているカートリッジヒーターにより、500℃に加熱されている。また、毎分:5Lの流量の窒素ガスが、下型部材3の成形面から噴出している。続いて、この位置、すなわち+15mmの位置から、+7mmの位置まで、更に上型部材9を下降した。この時の上型部材9の下降速度は毎秒:1mmであった。なお、この時、溶融ガラス塊16の温度は800℃であり、この温度のガラスの変形能は、毎秒:1mmの速度での、プレス変形速度より大きいので、この速度で、+15mmの位置から+7mmの位置まで、上型部材9を下降させた場合、溶融ガラス塊16は、下型部材3および上型部材9から、共に非接触の状態に保持されたまま、型部材の成形面の形状に倣って変形が進む。
【0141】
+7mmの位置まで下型部材3が上昇した時の様子を図14に示す。溶融ガラス塊16が、非接触状態でプレス成形され、少し押しつぶされている。この間、プレス変形速度は、ガラスの変形能より小さいので、溶融ガラス塊の成形面と多孔質の型部材の成形面が接触することはない。また、これまでの工程において、バネ部材7が所定の長さより縮まることはない。
【0142】
更に、この位置、即ち、+7mmの位置から、+3mmの位置まで、上型部材9を下降した。この時の上型部材9の下降速度は毎秒:0.7mmであった。なお、この時、ガラス塊16の温度は760℃であり、この温度のガラスの変形能は毎秒:0.7mmの速度での、プレス変形速度より大きいので、この速度で、+7mmの位置から+3mmの位置まで、上型部材9を下降させることにより、溶融ガラス塊16は、下型部材3および上型部材9から、共に非接触の状態に保持されたまま、型部材の成形面の形状に倣って変形が進む。
【0143】
+3mmの位置まで下型部材3が上昇したときの様子を図15に示す。溶融ガラス塊16が、非接触状態でプレス成形され、かなり押しつぶされている。この間、プレス変形速度はガラスの変形能より小さいので、溶融ガラス塊の被成形面と型部材の成形面とが接触することはない。また、これまでの工程において、バネ部材7が所定の長さより縮まることはない。
【0144】
さらに、この位置、即ち、+3mmの位置から0mmの位置まで、NC駆動装置5の駆動で、型駆動部材6を下降した。即ち、下型部材3と上型部材9が接触する高さまで、型駆動部材6を下降したが、この時のNC駆動装置5による下降速度は毎秒0.7mmで、溶融ガラス塊16の温度が730℃であり、この温度のガラスの変形能は、毎秒0.7mmの速度での、プレス変形速度より小さいから、バネ部材7は反力を受け、縮小される。しかし、型部材の成形面から噴出しているガスにより、溶融ガラス塊は、非接触の状態に保たれる。
【0145】
図16は、NC駆動装置5が駆動され、型駆動部材6が0mmの位置まで下降した直後の様子を示す。この状態では、バネ部材7は、1mm縮んでいる。従って、0.02Nのバネ力(蓄勢力)が上型部材9に作用している。この状態で保持していると、このバネ力により、溶融ガラス塊の被成形面と型部材の成形面とを非接触の状態に保ったまま、プレス成形が進んで行く。本実施例では、20秒後に、バネ力によるプレスが進み、図17に示すように、下型3と上型9が接触した。
【0146】
このように、バネ力によるプレスが完了した後、直ちに、上型部材9を上昇させ、型開きし、成形ガラス塊11を取り出した。その後、下型部材3は、搬送装置20により、再び、半径方向に移動し、溶融ガラス流を受ける工程へ進むために待機する。
【0147】
本実施例では、溶融ガラス流を下型に受ける時間として15秒を要し、その後、プレス成形し、ガラス成形体を得て、これを取り出すまでに30秒を要した。なお、本実施例では、生産効率を向上するため、溶融ガラスを間欠的ではあるが、継続して下型部材に受けるために、図10に示すように、12台の成形ユニットの上下の型部材を用い、順次、タイミングをずらせて、溶融ガラス流を下型部材に受け、プレス成形に移行するようにしている。
【0148】
このようにして得られたガラス成形体11は、その表面が鏡面状で、滑らかであり、表面に異物などの付着がなく、その表面形状は、所望形状に対し15μm以内のウネリがある程度のものであった。従って、これは、プレス成形して光学素子を得るための、光学素子成形用素材として適し、また、研磨して光学素子を得るための、光学素子研磨用素材として適している。
【0149】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したようになり、形状精度、外観精度ともに良好なガラス成形体を得ることができる。従って、このガラス成形体を光学素子製造用の素材として用いると、特に、光学素子の成形用素材として用いると、光学素子の製造時間、成形時間を短縮することができ、製造コストを下げることができる。また、このガラス成形体を、そのまま光学素子として利用することも可能で、この場合、光学素子の製造コストを大幅に下げることができる。
【0150】
また、本発明によれば、形状精度、外観精度ともに良好なガラス成形体を得ることができるので、これを、光学素子の研磨加工用素材として使用することで、研磨加工時間、または、研磨加工時間および研削加工時間を短縮することができ、その結果、製造コストを下げることができ、また、研削加工屑を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す概略正面図である。
【図2】同じく、概略平面図である。
【図3】同じく、型部材の構成を示す断面図である。
【図4】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図5】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図6】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図7】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図8】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す概略正面図である。
【図10】同じく、概略平面図である。
【図11】同じく、型部材の構成を示す断面図である。
【図12】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図13】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図14】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図15】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図16】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【図17】同じく、成形工程中の型の動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 溶融ガラス流出パイプ
2 溶融ガラス流
3 多孔質の下型部材
4 下型保持ブロック
5 縦駆動用のNC駆動装置
6 型駆動部材
7 バネ部材
8 横駆動用のNC駆動装置
9 多孔質の上型部材
10 上型保持ブロック
11 ガラス成形体
14 ガス供給管
16 溶融ガラス塊

Claims (5)

  1. 多孔質の材料からなる上下一対の型部材を備えており、これらの型部材の背面に高圧のガスを供給して、これらの型部材の成形面からガスを噴出した状態において、下型部材の成形面におけるガスで、前記下型部材の成形面上に浮上・保持された状態で、下型部材の成形面に、所望量の溶融ガラスを受けて、溶融ガラス塊を形成し、その後、成形面からガスが噴出している状態の上型部材に対して、下型部材の成形面上に浮上・保持されている状態の前記溶融ガラス塊を相対的に接近させ、前記溶融ガラス塊と上型部材との接近を更に進める過程で、それぞれの型部材の成形面からのガスによって、前記溶融ガラス塊を、上・下型部材に対して非接触の状態に保持したまま、前記上・下型部材の成形面からなるキャビティーの形状に前記溶融ガラス塊の形状を倣わせるように成形を進めて、所要のガラス成形体を得る製造方法において、
    前記上・下型部材により前記溶融ガラス塊をプレス成形して所望形状のガラス成形体を得るために、前記上・下型部材を進退動作する駆動装置が、上・下型部材の内の少なくとも一方について、NC(数値制御)駆動可能な構成になっており、該NC駆動装置と当該型部材との間に、バネ部材が設置されており、
    前記NC駆動装置により当該型部材を進出動作することで、溶融ガラス塊をプレス成形すると同時に、前記バネ部材から発生するバネ力を当該型部材に与えることを特徴とする、
    光学用ガラス成形体の製造方法。
  2. 前記NC駆動装置は、前記溶融ガラス塊をプレス成形するに際して、進出動作される型部材の複数の移動位置およびその移動位置への移動速度を予め設定しており、前記溶融ガラス塊の温度が下がって、ガラス粘度の上昇により、その変形能が小さくなるプレス成形の後段で、前記移動速度を前記ガラス変形能より大きくし、前記NC駆動装置により型部材が所定の移動位置まで移動した時、そのバネ部材に蓄勢されたバネ力で前記型部材を押圧して、前記溶融ガラス塊を最終段階までプレス成形することを特徴とする、請求項1に記載の光学用ガラス成形体の製造方法。
  3. 前記バネ部材によるバネ力で前記型部材が進出動作しなくなった段階で、プレス成形を終了することを特徴とする、請求項2に記載の光学用ガラス成形体の製造方法。
  4. 請求項1記載の製造方法で得られたガラス成形体を、加熱軟化させて、一対の成形用型でプレス成形して、成形光学素子を得ることを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 請求項1記載の製造方法で得られたガラス成形体を、研磨加工、または、研削加工および研磨加工することにより、その表面のガラスを削除および研磨加工し、光学素子を得ることを特徴とする光学素子の製造方法。
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