JP3592053B2 - インクジェットプリンタヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気−機械変換素子を用いてインク滴を噴出するインクジェットプリンタヘッド及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加圧室に圧力を加えてインク滴を噴出する方法の一つとして、電気−機械変換素子を用いたアクチュエータが知られている。近年、高速,高画質,低消費駆動,低価格のインクジェットプリンタが要求されており、そのために低電圧駆動で大変位が得られ、かつ発生力の大きい、更に高集積化で変位の大きな圧電/電歪素子,振動板材料,アクチュエータ構成が考案されている。
【0003】
例えば、特開平6−40035号公報においては、加圧室基板材を凹状に形成させる方法として、圧電/電歪駆動部下の加圧室、流路をグリーンシートにて積層形成し、一体焼成することにより接着剤を用いずに形成できる製造性に優れた圧電/電歪アクチュエータが提示されている。しかしながら、この方法では、加工精度や張り合わせ時の位置精度において問題があり、高密度,高集積化の実現には課題を有している。
【0004】
これに対し、本出願人は先にインクジェット記録ヘッド及びその製造方法なる名称の出願(特願平9ー107296号)を行い、異方性エッチングが可能なリコン,水晶,サファイヤ,酸化マグネシウム等を用いることで、張り合わせ工程を不要にしかつ、マイクロマシーニング技術により、エッチングが位置精度を高く形成でき、凹部の形状を有する基板上に中間層,電気−機械変換素子を形成して高密度,高集積したインクジェットプリンタヘッドを提案した。
ここで、電気−機械変換膜の材料として、一般的には、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTと略す)等の鉛系圧電セラミックス材料が最も圧電性能が高いことから、鉛系圧電セラミックス材料が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、シリコン基板上にスクリーン印刷法にてPZTを形成した後、結晶化させるために熱処理(以後、焼成という)を行うと、シリコン基板上に鉛が拡散し、シリコン基板が変形し、かつ、PZTの圧電特性が低下する問題があった。
本発明において、圧電セラミックスを低温で焼成することにより、シリコン基板を変位させることなく、インクを吐出させるのに十分な変位を示す電気−機械変換層を提供することを目的とする。
【0006】
ここで、電気−機械変換層の焼成時の低温化に必要とされる事項は、
1)仮焼粉の微粒子化、
2)焼結助剤の添加、
3)焼成雰囲気の制御、
が挙げられる。
【0007】
本発明の請求項1,2,3においては微粒子化を、請求項4,5では焼成雰囲気を、請求項6,7,8,9,10においては焼結助剤の添加を用いることで低温焼成を実現する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、噴射すべき液体を保持、加圧するための凹部を有するシリコンからなる加圧室基板と、前記加圧室基板に連通するノズル板と、前記加圧室基板上に形成された、中間層と、さらにその上に下部電極層、電気−機械変換層及び上部電極層からなる電気−機械変換素子部から構成され、前記電気−機械変換素子部を変位させることにより、加圧室内の液体をノズルを介して外部に噴出するインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層は、粒径0.3〜5μmの粒組織をなす圧電セラミックスから成り、該圧電セラミックスは、比表面積が7m2/g以上の仮焼粉をペースト化し、印刷し、700〜1050℃の温度範囲にて熱処理を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記仮焼粉の粒度分布は0.005〜0.2μm、平均粒径が0.04μm以上、0.12μm以下であるインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記仮焼粉は水熱合成法にて合成するインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層を大気中もしくはヘリウム中で熱処理するインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層をヘリウム中で熱処理した後に大気中で再び熱処理するインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層の形成時の熱処理中、液相を形成する成分としてPbO,SiO2,LiCO3,Bi2CO3,GeO2のうち少なくとも1つを含む焼結助剤を添加し、焼結させ、熱処理後粒子内と比較して粒界の組成にPbもしくはGeもしくはSiもしくはLiもしくはBiを多く含有するようにするインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6に記載された前記焼結助剤の添加量が圧電セラミックス重量に対し8wt%以下の量であるインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7に記載されたインクジェッタプリンタヘッドの製造方法において、担持される粒子の粒径をDg、担持助剤粒子の粒径をDiとしたとき、Di/Dgが下記の範囲であるインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
0<Di/Dg<0.8
【0017】
請求項9の発明は、請求項8に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記焼結助剤が担持された粒子は金属アルコキシドまたは金属塩と有機溶媒反応で誘導した反応前駆体の加水分解により形成されるインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0018】
請求項10の発明は、請求項9に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記焼結助剤が坦持された粒子は限外ろ過を用いて形成されるインクジェットプリンタヘッドの製造方法である。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法によって製造されたインクジェットプリンタヘッドである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施例1
図1は、本発明のインクジェットヘッドの実施例における断面を概略的に示したものである。
加圧室2を形成するように、部分的に凹部を有する加圧室基板1に中間層3を設け、その上に下電極層4,電気−機械変換層5,上電極層6を積層させる。加圧室基板1とノズル8を有するノズル板7は接合されている。この構成は便宜的に示されたもので、ノズル板を閉塞させる板を接合し、インク室を構成し、その端面にノズル板を接合させてもよい。
【0021】
以下に本実施例の作製方法を記載する。
図3は、凹部を有する加圧室基板1の作製方法を断面図で工程順に示している。厚さが300μm、面方位が(110)面方位のシリコンウェハー9の上に耐シリコンエッチング膜となる酸化シリコン膜10を熱酸化法により形成させる(図3(A))。耐シリコンエッチング膜には酸化シリコンだけでなく、窒化シリコン,金属等、シリコンエッチング液に対して耐食性を示す膜であればよい。次に、酸化膜上にレジスト11をスピンコート法によって塗布し(図3(B))、フォトリソグラフィ技術を用いて凹部を形成するためのレジストパターンを形成する(図3(C))。
【0022】
その後、フッ酸系エッチング液にて酸化シリコン膜をエッチングした後、更に摂氏90℃の40%KOH水溶液に浸し、異方性エッチングを行い、295μmエッチングし、凹部を形成する(図3(D))。残ったシリコン基板上の酸化シリコン膜は、フッ酸系エッチング液にて剥離する(図3(E))。エッチング量は、予めKOH水溶液の濃度,温度,浸透時間を制御することにより、凹部のエッチング量を制御できる。
【0023】
加圧室基板1上の中間層3には、電気−機械変換層の鉛が拡散しない緻密で高脆性で、なおかつ機械的強度が大きい材料であるジルコニアを用いる。ジルコニアを安定化、もしくは部分安定化させるための添加物の添加量は酸化イットリウムに対して2〜30モル%、酸化マグネシウムや酸化カルシウムに対しては5〜40モル%、酸化セリウムに対しては6〜50モル%とすること及び、これらの酸化物を少なくとも1つ含んだ部分安定化または完全安定化された酸化ジルコニウムが望ましい。
中間層3形成のための膜形成法として加圧室基板1との密着性の高いスパッタ法を用いて、膜を1μm厚形成する。本発明では、中間層3は電気−機械変換層の鉛拡散防止層として用いるので、0.1μm厚程度で十分である。膜厚を2μm以上にすると焼成時に密度変化によるクラックが発生するため、ジルコニアの中間層は2μm以下に形成する。
【0024】
更に、中間層3の上に積層される下電極層4に白金や白金属元素(Pd,Rh,Ih,Ru)などの高融点貴金属、及びそれらの合金を主成分とする電極材料を用いることができるが、安定性の点からも白金もしくはそれらの合金が好適である。前記下電極層4をスクリーン印刷にて5μm厚で印刷形成する。
【0025】
下電極層4上の電気−機械変換層5には、圧電セラミックスであるPZT系セラミックスが好ましい。また、PZTに第3成分を加えたマグネシウムニオブ酸鉛系,ニッケルニオブ酸鉛系,マンガンニオブ酸鉛系をアンチモンスズ酸鉛系、更にはこれらの複合材料が用いられる。なお、PZT系を主成分とする材料に、ランタン,バリウム,ニオブ,亜鉛,セリウム,クロム,コバルト,ストロンチウム,イットリウム,タンタル,タングステン,ニッケル,マンガン等の酸化物やそれらの化合物を添加物とした材料が好ましい。
【0026】
電気−機械変換層5の形成法については、周知の真空成膜法であるスパッタ,CVDやゾルーゲルなどは全面デポによるパターニングにより工程が煩雑になり、コストが高くなる。特に、ゾルーゲル法では、1回の塗布による膜厚が0.1μm以下と小さいために、加圧室基板1を撓ませるだけの膜厚を形成するには塗布回数が多くなり、作製工程が多くなる。また、これらの方法で形成された膜は、膜厚方向における組成の均一化が難しく、圧電特性の再現性が悪い。
これに対し、PZT等圧電体の仮焼粉をペースト加工し、スクリーン印刷で形成した膜は、パターニング工程が不要で、一回の印刷工程で20μmの膜厚を形成できるため、簡便に低コストで電気ー機械変換層5を形成することができる。ただし、ペースト印刷した後、熱処理を行う必要がある。
【0027】
一般的に圧電セラミックスの焼成は、1200〜1300℃で行うが、本構成の場合、鉛拡散防止層である中間層3が鉛を遮蔽せずに加圧室基板(シリコン基板)1に鉛を拡散させてしまうために、シリコン基板が変形する。焼成時の固相反応における駆動力は、表面の自由エネルギーが高いほど、すなわち、粒径が小さいほど焼結が早い。
以上のことから、圧電セラミックスを低温で形成させるために、微粒子を用いることが必須である。図2は、PZTの比表面積に対する密度の相関を焼成温度ごとに示したグラフである。このグラフから明かなように、1050℃において7m2/g以下の仮焼粉は密度が低く、圧電特性が得られない。
【0028】
印刷用ペーストとしては前記の圧電セラミックス粉体とエチルセルロース,ニトロセルロース等の樹脂とテルピネオール,酢酸エチルエステル等の溶媒が混合されペーストが作製される。圧電ペーストはスクリーン印刷で任意のパターンに印刷される。印刷後、150℃1時間乾燥の後、焼成炉に入れ、この後、700〜1050℃の温度、好ましくは900〜1000℃で大気中にて焼成させる。上電極層6は同様にスクリーン印刷にて銀−パラジウムを焼き付けにより形成する。
【0029】
実施例2
本発明で規定する平均粒径は比表面積から導かれた粒径である。
図4は、圧電セラミックスの焼成温度と密度の相関を平均粒径ごとに示したグラフである。図4から明かなように、平均粒径の小さいものほど低温における緻密化が実現できる。
【0030】
実施例3
微粒子の製造法にはアルコキシド法,蓚酸法,部分化学法,水熱合成法等の手法があり、これら化学的方法による粉体合成で得られる粉体は、従来の機械的粉砕による仮焼成の作製法に比べ、いずれも粒径が小さく従来法の粉体に比べ焼成温度が200℃前後低くなる。また、気相中で微粒子を製造する手法も存在するが、水熱合成法で作製した圧電セラミックスがコスト的に安く、最も高い結晶性で微細な粉体を形成することができる。
【0031】
実施例4
図7に1050℃、2時間焼成下での焼成雰囲気を変えたときの電気−機械変換層の密度を示す。大気およびヘリウムでの密度が高く、緻密な圧電セラミックスが得られ、最大分極,歪みも大きい。
【0032】
実施例5
図8に900℃での焼成時間及び焼成後のポストアニール時間を変えたときの圧電特性を示す。ポストアニール時間により顕著に圧電特性が向上するのが見られる。圧電体はヘリウム焼成にて緻密な組織を形成し、ポストアニール時間により大気中で酸素欠損を補いながら、粒成長する。この場合、ヘリウムで2時間焼成後、大気中で18時間焼成するのが最も効果的である。
図9は、図8における圧電セラミックスの圧電特性の各パラメータを示したものであって、図9(A)において、Prは分極、Ecは電界強度を、Psは最大分極を示し、又、図9(B)は電界強度と変位ΔLの関係を示している。
【0033】
実施例6
PZTに強誘電を示す融点の低いゲルマニウム鉛酸や鉛−ボロン−シリコンを添加することにより、低温下での誘電率,機械結合係数の上昇の報告があった(T.Ogawa,A.Sano,A.Senda and K.Wakino:J.J.Applied Physics,Vol.28(1989)Supplement 28−2,pp.91−94)。また、ゲルマニウム・シリコン酸鉛,酸化鉛を添加によっても同様の効果がある。
【0034】
PZTにPb5Ge3O11(以降、PGOと省略)の添加方法について以下で説明する。
Pb3O4,TiO2,ZrO2,GeO2の粉体試薬を目的とする組成に該当するように秤量する。エタノール中でボールミルを24時間行った後、乾燥させた粉体を成形後、800℃で10時間大気中で焼成後、成形体を粉砕し、再びエタノール中でボールミルを24時間行った後、乾燥させた粉体を成形後、1000℃10時間大気中で焼成する。以上の工程でPGOを添加したPZTの仮焼粉が作製される。これらの仮焼粉は有機ビヒクルと混合してペーストにし、スクリーン印刷後、焼成する。PGOの融点は738℃であるために液相を形成し、それらはPZTの粒界で粒子間の隙間を埋める役目をするために緻密な組織を形成する。故に、粒界近傍は粒子内に比べ添加物元素が多く存在する。
【0035】
実施例7
図5は、平均粒径0.1μmのPZTに酸化鉛を添加したときの燃結助剤の添加量と歪みの相関を示すグラフである。圧電セラミックス層に焼結助剤である酸化鉛、もしくはゲルマニウム酸鉛、もしくはゲルマニウム・シリコン酸鉛の添加量が主成分の酸化物鉛の8wt%より多く添加した場合には、焼成時にシリコンからなる基板上の中間層3に焼成助剤が拡散するために、鉛拡散防止を目的とした中間層3で鉛を遮蔽できずにシリコン基板1にまで鉛が拡散する。しかるに、圧電セラミックス内の鉛濃度が低下するためにインクを吐出するだけの圧電特性が得られない。
【0036】
実施例8
微粒子である圧電セラミックスの主成分である担持されていない酸化物鉛の粒子に対して、それに担持されるため添加される粒子の粒径が大きいと均一に酸化物鉛にコーティングされず、局所的に添加物が存在するために、均一な粒組織が形成されない。また、逆に粒径の大きな粒子が存在するために低温化ができない。故に、担持されるべき粒子の粒径Diは、常に主成分である酸化鉛の粒径Dgに対して小さく、好ましくは、Di/Dg<0.8であることが望ましい。
【0037】
実施例9
圧電セラミックスの主成分である担持されていない酸化物鉛の微粒子に焼結助剤を添加するには、高温プラズマ中で反応させて付着させる方法があるが、コストが高くまた粒径1μm程度の微粒子が限界であるため、1μm以下の微粒子には適用できない。また、機械的混合法で担持させると、焼成後の粒径分布が図6(A)に示されるような分布となり、焼成時に異常粒成長が発生するために、劣化が早く粒界でのクラックが発生しやすい。請求項10,11の発明で規定する手法では、1μm以下の微粒子には均一にコーティングでき、かつ低コストである。また、焼成後の粒径分布が図6(B)に示されるような分布となり、信頼性が高い。
【0038】
以下にPZTにPGOを添加する方法を記述する。
ゲルマニウムアルコキシドをエチレングリコールと水に溶解し、90℃1時間で環流することにより、加水分解と重縮合を行わせ、一方、硝酸鉛もしくは塩化鉛をエチレングリコールと水に溶解し、同様に90℃1時間で環流する。その後、両方の溶液を混合させて、90℃1時間の環流で加水分解を行い、成分である水に溶かしたPZTと混合して、90℃1時間の環流を行う。
以上にてPZTにPGOが担持された粉体が混合液中に生成された。しかし、溶媒中の粉体を取り出すには乾燥・蒸発をさせる方法があるが、これでは溶媒のエチレングリコールを完全に除去できずに粉体中に残留有機物として存在するために、焼成時の焼結を妨げる問題がある。また、通常のろ過では、前記分体は微粒子であるためにフィルターを通過してろ過されない。一方、減圧ろ過で行った場合、1気圧以上の圧力がかけられないため、ろ過効率が非常に悪い。故に、任意に圧力をかけて行う限外ろ過にて効果的にエチレングリコール及び水を取り除くことで、PGOが添加されたPZTが得られる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1,2に対応する効果:シリコン基板が変形することなく、耐え得る温度範囲で熱処理が行えることにより、信頼性の高い、低コストにて高密度のインクジェットプリンタヘッドが得られる。また、微小な圧電セラミックス粉を用いることにより、シリコン基板が変形することなく耐え得る温度範囲で熱処理が行えることにより、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0041】
請求項3の発明に対応する効果:水熱合成粉からなる微小な圧電セラミックス粉を用いることにより、低コストでインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0042】
請求項4,5に対応する効果:簡便な方法でより信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0043】
請求項6に対応する効果:添加物を混入することにより、焼成温度を低下させ、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0044】
請求項7に対応する効果:添加物の混入量を限定することにより、中間層への鉛抜けを防ぎ、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0045】
請求項8対応する効果:担持させる粉体とされる粉体との相関を限定することにより、焼成温度を低下させ、均一に添加された信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0046】
請求項9に対応する効果:効果的に添加物を担持させ、低コストで長期的信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0047】
請求項10に対応する効果:限外ろ過を用いることにより、溶媒の残留による焼結温度の上昇を防ぐことができ、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0048】
請求項11に対応する効果:圧電セラミックスの焼成時においてシリコン基板(加圧室基板)が変形せず、信頼性が高く高密度のインクジェットプリンタヘッドが低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットプリンタヘッドの断面を概略的に示す図である。
【図2】圧電セラミックス(PTZ)の比表面積と密度の相関を示すグラフである。
【図3】インクジェットプリンタヘッドの加圧室基板の作製工程を説明するための図である。
【図4】圧電セラミックスの焼成温度と密度の相関を平均粒径ごとに示すグラフである。
【図5】圧電セラミックス(平均粒径0.1μmのPTZ)に酸化鉛を添加したときの添加量と歪の相関を示すグラフである。
【図6】圧電セラミックスの粒径分布を示すグラフであって、(A)は機械的混合法による場合、(B)は化学的コーティングによる場合を示す。
【図7】圧電セラミックスの焼成雰囲気実験結果を示す表である。
【図8】圧電セラミックスのヘリウム焼成後大気中ポストアニール実験結果を示す表である。
【図9】図8における圧電セラミックスの圧電特性の各パラメータを示す図であり、(A)は電界強度と分極の関係を、又、(B)は電界強度と変位の関係を示す。
【符号の説明】
1…加圧室基板、2…加圧室、3…中間層、4…下電極層、5…電気−機械変換層、6…上電極層、7…ノズル板、8…ノズル、9…シリコンウェハー、10…酸化シリコン膜、11…レジスト。
Claims (11)
- 噴射すべき液体を保持、加圧するための凹部を有するシリコンからなる加圧室基板と、前記加圧室基板に連通するノズル板と、前記加圧室基板上に形成された、中間層と、さらにその上に下部電極層、電気−機械変換層及び上部電極層からなる電気−機械変換素子部から構成され、前記電気−機械変換素子部を変位させることにより、加圧室内の液体をノズルを介して外部に噴出するインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層は、粒径0.3〜5μmの粒組織をなす圧電セラミックスから成り、該圧電セラミックスは、比表面積が7m2/g以上の仮焼粉をペースト化し、印刷し、700〜1050℃の温度範囲にて熱処理を行うことを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記仮焼粉の粒度分布は0.005〜0.2μm、平均粒径が0.04μm以上、0.12μm以下であることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記仮焼粉は水熱合成法にて合成することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層を大気中もしくはヘリウム中で熱処理することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層をヘリウム中で熱処理した後に大気中で再び熱処理することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記電気−機械変換層の形成時の熱処理中、液相を形成する成分としてPbO,SiO2,LiCO3,Bi2CO3,GeO2のうち少なくとも1つを含む焼結助剤を添加し、焼結させ、熱処理後粒子内と比較して粒界の組成にPbもしくはGeもしくはSiもしくはLiもしくはBiを多く含有するようにすることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項6に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記焼結助剤の添加量が圧電セラミックス重量に対し8wt%以下の量であることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項7に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、担持される粒子の粒径をDg、担持助剤粒子の粒径をDiとしたとき、Di/Dgが下記の範囲であることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
0<Di/Dg<0.8 - 請求項8に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記焼結助剤が担持された粒子は金属アルコキシドまたは金属塩と有機溶媒反応で誘導した反応前駆体の加水分解により形成されることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項9に記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法において、前記焼結助剤が坦持された粒子は限外ろ過を用いて形成されることを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載されたインクジェットプリンタヘッドの製造方法によって製造されたことを特徴とするインクジェットプリンタヘッド。
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