JP5354876B2 - 圧電体の製造方法、圧電体素子及び液体吐出ヘッド - Google Patents

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本発明は、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜を有する圧電体の製造方法や、これにより得られる圧電体を用いた圧電体素子及び液体吐出ヘッドに関する。
圧電体は、電気エネルギーと機械エネルギーとの可逆的変換を行う圧電特性を備えたものである。具体的には、電気エネルギーを、機械的な変位、応力又は振動に変換し、これと逆の変換を行うものである。このような圧電体を薄膜状に形成し、これを挟持する1対の電極間に電界を負荷して変位を生じさせ、電界を除去すると復元する圧電体の特性を利用した圧電体素子が知られている。圧電体素子は発生する屈曲変位により、ユニモルフ型、バイモルフ型等のタイプがある。これらの圧電体素子は、具体的には、反復する動作を必要とするモーター、超音波モーター、トランスデューサー、アクチュエーター、インクジェットヘッド、マイクロホン、発音体(スピーカーなど)各種振動子や発振子、バイオテクノロジーや医療等の分野における各種センサー、自動車用加速度センサー、計測用圧力センサー等に用いられている。特に、印字性能がよく取り扱いが簡単、低コスト等の理由から、パソコンなどの印刷装置に適用されるインクジェットヘッドのインクの吐出に、圧力波を利用した圧電体を備えた圧電体素子が多用されている。圧電体素子を用いたインクジェットヘッドにおいては、例えば、インクを収納する共通液室に連通する複数の個別液室を設け、各個別液室に対応して設けられる圧電体素子の変位を振動板を介して伝達し、内部のインクを吐出口から液滴として噴射する。
近年、カラーのインクジェットプリンタが普及しているが、その印字性能の向上、特に高解像度化及び高速印字の要請に加え、長尺化及び低コスト化が求められている。これに対し、個別液室を微細化したマルチノズルヘッド構造により高解像度及び高速印字を実現することが試みられている。この液体噴射ヘッドの個別液室の微細化を図るためには、圧電体素子の小型化、高密度化、高性能化を図る必要があり、液体噴出ヘッドの長尺化、低コスト化を図るためには、液体噴射ヘッドを作製する基体を大面積化する必要がある。
従来、圧電体素子に用いられている圧電体は、例えば、PbO、ZrO2及びTiO2の粉末のペーストをシート状に成型加工したグリーンシートを焼結し、PZT系セラミック酸化膜として製造されている。しかし、この方法を用いて、PZT系セラミック酸化膜を、例えば10000nm以下の厚さに形成することは困難である。また、グリーンシートは1000℃以上の温度で焼結するため、焼結時にグリーンシートが70%程度収縮してしまう。グリ−ンシートを用いて圧電体を作製する方法は、数ミクロンオーダーの寸法精度での位置合わせが要求されるインクジェットヘッドのインク吐出用の圧電体素子の製造に適用することには無理がある。
また、圧電体素子の製造における圧電体の作製方法として、スパッタリング法やCVD法、MBE法、ゾルゲル法等により膜厚が10000nm以下のセラミック薄膜を作製する方法が報告されている。これらのセラミックス薄膜の作製方法は、二種類の手法に大別される。一つは加熱成膜によるエピタキシャル成長によって所望の結晶性薄膜を得る方法(加熱成膜法)である。もう一つは結晶膜の前駆体である非晶質膜を形成した後、これを熱焼成もしくは光照射等によって外部からのエネルギーを与えることによって結晶性薄膜を得る方法(ポストアニール法)(特許文献1)である。
上記加熱成膜法により圧電体を作製した場合、基体や下部電極等の下層との界面においてそれぞれの構成原子が相互に拡散した状態や、下層の原子の局部的な隆起が発生している。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察では、下部電極として用いた白金の局部的な隆起や、それぞれの構成元素の相互拡散が確認されている。下部電極の局部的隆起は圧電体作製時の高温加熱に起因することが確認されており、構成元素の相互拡散は下層との界面近傍では、本来の化学量論的な組成からのずれの発生と共に、圧電体から散逸した元素により別の化合物が形成されるおそれもある。これにより本来意図した層構造の圧電体素子とは異なる異物層が組み込まれた圧電体素子が作製され、その結果、圧電体の特性は著しく劣化することになる。
一方、ポストアニール法により圧電体を作製した場合、非晶質から結晶膜への移行過程で結晶核が膜中のいたるところでランダムに発生してしまうため、結晶配向性の制御が極めて困難である。更に、このような圧電体においては高密度となり、膜の面内応力が非常に高くなり、圧電特性そのものを阻害する上、下層との密着性が悪くなるという問題がある。このような圧電体を有する圧電体素子は、反復駆動の応力に対して圧電体層とその下層間に高い密着性を有して優れた耐久性が要求されるインクジェットヘッドの圧電体素子としては、使用に耐え得るものではない。
特開平6−171939号公報
本発明が解決しようとする課題は、結晶配向が制御され優れた圧電特性を有し、しかも適量の気孔を有する圧電体の製造方法を提供することにある。また、圧電特性に優れ、上下層との密着性が高く、膜剥離が抑制された耐久性に優れた圧電体を得て、これを用いた圧電体素子を提供することにある。更に、高解像度化、高速印字が可能であり、個別液室が微細化され高密度に設けられても液体吐出量が多く、大面積化を図ることができるインクジェットヘッドに好適な液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ペロブスカイト型酸化物材料について鋭意研究を行った。基体をAOx結晶の形成温度以上ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の形成温度未満の温度に加熱してエピタキシャル膜を形成すると、基板上にまずAOx結晶化膜が得られることの知見を得た。その後、基体をAOx結晶存在可能の温度を超えるABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の形成温度に加熱することにより、結晶配向が制御され極めて結晶性が高く、しかも気孔を有するABO3ペロブスカイト型酸化物結晶化膜を得ることができることを見出した。このような結晶性の高いABO3ペロブスカイト型酸化物結晶化膜を圧電体として用いた圧電体素子においては、その上下層との密着性が高く、耐久性に優れたものとなることの知見を得た。特に、エピタキシャル成膜技術を用いて真空中でペロブスカイト型酸化物の成膜を行った場合は、気孔率が高いにも拘らず、高度に配向した結晶性の高いペロブスカイト型酸化物結晶膜を得ることができることを見い出した。これを用いた圧電体素子においては特に、膜剥離が抑制され耐久性の優れたものとなることの知見を得た。かかる知見に基き、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、SrTiO で形成された基体上にエピタキシャル成長したA元素としてPbを含みB元素としてZr及びTiの少なくとも一方を含むABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜を形成して圧電体を製造する圧電体の製造方法において、
PbO結晶が形成される温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度未満の温度に前記基体を加熱し、下記式(1)で表される酸化物を用いて、配向したPbO結晶を含む膜を前記基体上に形成する形成工程と、
PbO結晶が存在可能な温度を超える温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度に前記基体を加熱することにより、前記配向したPbO結晶を含む膜を前記ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜に変える変換工程とを含むことを特徴とする圧電体の製造方法に関する。
式(1) (Pb 1-x xm (Zr Ti 1-y )O
(式(1)中、MはLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W又はNbのいずれかの原子を示す。式(1)中、x、xm、yは、これらを用いて得られたABO ペロブスカイト型酸化結晶膜の組成が式(1)中、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0を満たす数値を示す。)
また、本発明は、上記圧電体の製造方法を用いて得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜からなる圧電体と、該圧電体に設けられる一対の電極とを有することを特徴とする圧電体素子に関する。
また、本発明は、上記圧電体素子と、該圧電体素子が対応して設けられ液体を吐出する吐出口に連通する液室とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドに関する。
本発明の圧電体の製造方法は、結晶配向が制御され優れた結晶性を有し、優れた圧電特性を有し、適量の気孔を有する圧電体を製造することができる。
また、本発明の圧電体素子は、圧電特性に優れ、上下層との密着性が高く、膜剥離が抑制され耐久性に優れる。
本発明の液体吐出ヘッドは、高解像度化、高速印字可能であり、液室が微細化されて高密度に設けられても液体吐出量が多く、大面積化を図ることができるインクジェットヘッドに好適である。
[圧電体の製造方法]
本発明の圧電体の製造方法は、基体上にエピタキシャル成長したABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜を形成して圧電体を製造する圧電体の製造方法であり、次の工程を含むことを特徴とする。
(1)AOx結晶が形成される温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度未満の温度に前記基体を加熱し、A元素及びB元素を含む酸化物を用いてAOx結晶を含む膜を前記基体上に形成する形成工程。
(2)AOx結晶が存在可能な温度を超える温度であって、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度に前記基体を加熱することにより、前記AOx結晶を含む膜を前記ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜に変える変換工程。
本発明の圧電体の製造方法における形成工程において、AOx結晶を含む膜を形成する。AOx結晶を含む膜の形成にはエピタキシャル成膜法を使用する。かかるエピタキシャル成膜法としては、半導体製造プロセスで用いられている堆積膜形成技術を適用した方法を挙げることができる。具体的には、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法、レーザーアブレーション法等の真空中で行う成膜法や、その他、Sol−Gel法、電着法等の大気中で行う方法を挙げることができる。これらのうち、真空中で行う成膜方法を好ましい方法として挙げることができ、特に、スパッタリング法は、基体を十分に加熱することができ、結晶配向性に優れた結晶膜が得られることから好ましい。スパッタリング法とは、真空中にAr等の不活性ガスを導入し、基体とターゲット物質間に高電圧を印加して不活性ガスのイオンを生じさせ、この不活性ガスイオンをターゲット物質に衝突させて弾き飛ばされたターゲット物質を基体上に成膜させる方法である。
上記AOx結晶を含む膜を形成する基体としては、結晶性の材質のものであり線熱膨張係数がABO3ペロブスカイト型酸化物より大きいSrTiO3する。また、La、Zn、S等のドープ処理をして下部電極としての機能を有するものとし、得られる圧電体を圧電体素子に適用したとき下部電極を省略可能とするものであってもよい(LaSTO)。或いは、基体としては、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜との結晶配向を調整するバッファー層が形成されたものであってもよい。このような基体の厚さとしては、例えば、100μmから1000μmを挙げることができる。
形成工程に用いるA元素及びB元素を含む酸化物としては、代表的にはABO3ペロブスカイト型酸化物を挙げることができる。ABO3ペロブスカイト型酸化物として、Aが主成分としてPbを含み、BがZr及びTiを含むことが好ましい。ABO3ペロブスカイト型酸化物としては、式(1)
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)Oz (1)
で表される酸化物を用いる。式(1)中、MはLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W又は Nbのいずれかの原子を示す。式(1)中、x、xm、yは、これらを用いて得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の組成が、式(1)中、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0を満たすような数値を示すものである。このようなABO3ペロブスカイト型酸化物を用いることにより、結晶配向に優れ、圧電特性の優れたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜を得ることができる。
このようなABO3ペロブスカイト型酸化物としては、AOx結晶を含む膜の成膜方法によりその形態を適宜選択することができる。例えば、スパッタリング法等真空中で行うエピタキシャル成膜法による場合は、構成金属原子の酸化物を上記ABO3ペロブスカイト型酸化物の組成になるように適宜混合したものをターゲット物質として用いることができる。また、ゾルゲル法等を使用する場合は、構成金属原子の酸化物を上記ABO3ペロブスカイト型酸化物の組成になるように適宜溶媒に混合して塗工液として用いることができる。
上記ABO3ペロブスカイト型酸化物を用いて、基体をAOxの結晶が形成される温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物の結晶化温度未満に加熱して、基体上にAOxの結晶膜を形成する。例えば、PbZryTi1-y3を用いる場合、PbO2結晶の形成可能な温度であって、PbZryTi1-y3結晶の形成温度未満の温度として、350℃以上、450℃未満を挙げることができる。PbMgNbO3−PbTiO3を用いる場合も上記と同様の条件で加熱して堆積膜を形成することができる。
形成工程において形成された基体上のAOx結晶相はX線回折法により確認することができる。例えば、ABO3ペロブスカイト型酸化物としてPbZryTi1-y3を使用して、PbO2結晶の形成可能な温度であって、PbZryTi1-y3結晶の形成温度未満の温度に加熱した基体SrTiO3上に成膜を行うと、PbO2結晶相が形成される。具体的には、図1に示すように、PbZryTi1-y3をターゲットとしてスパッタリング法により成膜して得られた結晶膜のX線回折による2θ/θのプロファイルには、PbO2のピークのみが表れ、PbO2結晶相のみが形成されている。AOx結晶膜の配向は下層の配向に影響を受けるが、(100)、(111)、(110)であることが好ましい。
その後の変換工程において、基体をAOx結晶が存在可能な温度を超える温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度に基体を加熱してAOxの結晶を含む膜をABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜に変換する。例えば、ABO3ペロブスカイト型酸化物としてPbZryTi1-y3を使用し、基体SrTiO3を450℃未満に加熱して形成したPbO2相は、PbZryTi1-y3結晶の形成温度、600℃以上に加熱することにより、エピタキシャル成長したPbZryTi1-y3結晶相になる。図2に示すように、基体上の結晶膜のX線回折の2θ/θのプロファイルには、AOx結晶相のPbO2(100)のピークは消失し、PbZryTi1-y3のピークのみが表れ、PbO2結晶相がPbZryTi1-y3結晶相に変化している。ここで、AOx結晶存在可能の温度を超えるABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の形成温度としては、700℃以下であることが好ましい。
本発明に係る圧電体の製造方法における工程を図11の模式図に示す。図中「加熱成膜工程」は、AOx結晶が形成される温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度未満の温度に基体を加熱し、A元素及びB元素を含む酸化物を用いてAOx結晶を含む膜を形成する形成工程である。また、「高温加熱工程」は、AOx結晶が存在可能な温度を超える温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度に基体を加熱する変換工程である。この工程において、AOx結晶を含む膜を、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜に変える。
本発明の圧電体の製造方法により、エピタキシャル成長したABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜を形成し圧電体を得ることができる。ABO3ペロブスカイト型酸化物としては、Pb系酸化物であることが好ましい。ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の結晶性として、結晶化度が100%である場合の他、90%であってもよい。ここで、結晶化度はXRD測定によることができる。結晶化度が100%とは、主たる配向と異なる配向の結晶が測定されないことであり、結晶化度が90%とは、主たる配向と異なる配向の存在が(100−90)%未満であることである。
このようにして得られるABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜は、単結晶膜又は単一配向膜であり、結晶の成長方向のみならず、膜の面方向においても優れた結晶性を有するものとなる。具体的には、上記PbZryTi1-y3の結晶膜について、図3に示すPbZryTi1-y3(004)の逆格子空間マッピングから、膜の面方向においても優れた結晶性を有することを確認することができる。
また、上記方法により形成されるABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜は適量の気孔を有し、この気孔は膜厚方向において連なる形状を有するものである。上記PbZryTi1-y3の結晶膜について、膜厚方向において連なる気孔を有することは、図4に示す走査電子顕微鏡撮像からも明らかである。
更に、上記方法により製造するABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の膜厚としては、100nm以上10μm以下であることが好ましい。膜厚が100nm以上であれば、インクジェット記録装置の液体吐出ヘッドの圧電体として用いた場合、充分な変位量を得ることができる。また、膜厚が10μm以下であれば、より高精細な液体吐出ヘッドの圧電体として好ましい。
本発明の圧電体の製造方法により製造される圧電体として、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜からなるものであっても、また、ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜に他の機能層を積層することもできる。
また、圧電体の形状として、上面形状が長方形のものに限らず、楕円、円形、平行四辺形等いずれであってもよく、断面形状は長方形、台形、逆台形等であってもよい。
[圧電体素子]
本発明の圧電体素子は、上記圧電体の製造方法を用いて得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜からなる圧電体と、該圧電体に設けられる一対の電極とを有するものである。本発明の圧電体素子は、気孔を有し、変位量が大きく、高密度に設けることができる。
本発明の圧電体素子の一例として、例えば、図5に示すように、基体41、振動板42、バッファ層43、下部電極層44、上記ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜を有する圧電体からなる圧電体層45及び上部電極層46が順次積層された積層構造を有する圧電体素子51を挙げることができる。
上記基体としては、結晶性がよく、線熱膨張係数が圧電体材料より大きいSrTiO3用いる。基体の厚さとしては、例えば、100μmから1000μmの範囲を挙げることができる。
上記振動板は、圧電体の変位を伝達するために設けられ、基体に対して結晶配向や結晶格子定数の整合性が高く、圧電体の変移を増幅して伝達可能とするため、ヤング率が充分に高いものが好ましい。振動板の材質としては、例えば、安定化ジルコニアやSrTiO3等を挙げることができる。また、基体としてSOIを用いた場合は、Si単結晶層上のSiO2層を振動板として用いることもできる。或いは、基体の一部とバッファー層とを振動板として兼用することもできる。振動体の厚さとしては、例えば、2μm〜10μmを挙げることができる。
上記バッファー層は、基体の結晶格子定数と圧電体の結晶格子定数とを調整し格子整合性を取る役割を担うために設けられ、基体と圧電体との格子整合性がよい場合は省略することもできる。また、圧電体に圧縮応力をかける必要があるときは、圧縮応力をかけることが可能な材料を選択することが好ましい。バッファー層は複数の層からなる積層構造を有するものとして、その機能を達成するようにしてもよい。バッファー層の材質としては、直下の振動板に対しても結晶格子整合性が高い材質であることが好ましく、基体の材質がSiの場合、例えば、安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)、CeO2、SrTiO3等を挙げることができる。また、基体の材質がSrTiO3等、基体と圧電体との格子整合性が高い場合は、バッファー層を敢えて設ける必要はない。
上記下部電極層は、バッファー層43の直上に設けられても、振動板42とバッファー層43間に設けられていてもよい。また、バッファー層を設けない場合は、下部電極層と振動板との密着性を向上させるための密着層を介して下部電極層を設けることができる。下部電極の材質として、具体的には、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の白金族金属や、SrRuO3、LaScCoO3、BaPbO3、RuO3等の酸化物系導電材料を挙げることができる。密着層の材質としては、例えばTi、Cr、Ir等の金属や、これらの酸化物としてTiO2、IrO2等を挙げることができる。
このような下部電極層は、その上に設けられる圧電体の結晶配向に影響を及ぼすため、基体面の優先配向結晶方位が(100)、(110)、(111)のいずれかであることが好ましい。下部電極層の基体面の優先配向結晶方位が(100)、(110)、(111)であるとき、積層される圧電体の優先配向結晶方位が(100)/(001)として配向する。
このような下部電極層を構成する金属薄膜又は酸化物導電材料薄膜において結晶配向率が80%以上であることが好ましい。結晶配向率とは、X線回折によるθ−2θ測定の膜のピーク強度比として得られる割合とする。金属薄膜又は酸化物導電材料電極薄膜の結晶配向率が80%以上であれば、下部電極層が良好な電気特性を有し、その上に設けられる圧電体が優れた結晶性を有するものとなる。下部電極層の金属薄膜又は酸化物導電材料薄膜の結晶配向率が90%以上であることがより好ましい。また、下部電極層の厚さとしては100nmから1000nmが好ましく、密着層を設ける場合のその厚さとしては5nmから300nmが好ましく、より好ましくは10〜70nmである。
上記圧電体層としては、A元素およびB元素を含む酸化物としてABO3ペロブスカイト型酸化物を用いてエピタキシャル成膜法により形成した上記ABO3ペロブスカイト型酸化物の膜を有するものである。かかるABO3ペロブスカイト型酸化物としては好ましくは、Aが主成分としてPbを含み、BがZr及びTiを含むことが好ましい。ABO3ペロブスカイト型酸化物としては、式(1)
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)Oz (1)
で表される酸化物を用いる。式(1)中、MはLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W又は Nbのいずれかの原子を示す。式(1)中、x、xm、yは、これらを用いて得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の組成が、式(1)中、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0を満たすような数値を示すことが好ましい。
上記上部電極層としては、上記下部電極層と同様のものを挙げることができる。
このような圧電体素子としては、上記圧電体を備え、圧電体層が、適度な気孔を有し、層方向においても均一な結晶構造を有するため、変位量が大きく、圧電特性に優れ、各層間において結晶配向の整合性を有し、耐久性に優れたものとなる。
上記圧電体素子として、例えば、以下(1)〜(4)等の材質の構成を挙げることができる。以下の表示において「/」は積層を表す。
(1)Pt/Ti(上部電極層):PbZrTiO3(圧電体層):Pt(下部電極層):LaNiO3/CeO2/YSZ(Y2O3-ZrO2)(バッファー層):Si/SiOx(振動板):Si(基体)。
(2)SrRuO3(上部電極層):PbZrTiO3(圧電体層):SrRuO3(下部電極層):LaNiO3/CeO2/YSZ(Y2O3-ZrO2)(バッファー層):Si/SiO2(振動板):Si(基体)。
(3)Pt/Ti(上部電極層):PbZrTiO3(圧電体層):SrRuO3(下部電極層):LaNiO3/CeO2/YSZ(Y2O3-ZrO2)(バッファー層):Si/SiO2(振動板):Si(基体)。
(4)Pt/Ti(上部電極層):PbZrTiO3(圧電体層):Pt/SrRuO3(下部電極層):LaNiO3/CeO2/YSZ(Y2O3-ZrO2)(バッファー層):Si/SiO2(振動板):Si(基体)。
上記圧電体素子の製造方法としては、各層を半導体製造プロセスで用いられている堆積膜形成技術を適用したエピタキシャル成膜技術を使用して作製する方法を挙げることができる。
振動板の作製方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、レーザーアブレーション法、MBE法等の薄膜作製方法を用いることができる。特に、スパッタ法は、加熱中に十分基体を加熱することによって、基体に対してエピタキシャル成長した酸化物薄膜を得ることができる。
また、下部電極層の作製方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、PLD法、Sol−Gel法、MBE法、水熱合成法等の薄膜作製技術を用いることができる。これらの方法により、電極材料を特定の方向に配向させて成膜することができる。バッファー層の作製方法としては、スパッタリング法、CVD法、PLD法、Sol−Gel法、MBE法、水熱合成法等の薄膜作製技術を用いることができる。
圧電体層の作製方法としては、上記圧電体の製造方法を用いて作製することができる。
上部電極層の作製方法としては、スパッタリング法、蒸着法等の気相法、スクリーン印刷法等の塗布法、メッキ法等の液相法などの方法を挙げることができる。
[液体吐出ヘッド]
本発明の液体吐出ヘッドは、上記圧電体素子と、該圧電体素子が対応して設けられ液体を吐出する吐出口に連通する液室とを有することを特徴とする。本発明の液体吐出ヘッドにおいて、上記圧電体素子の圧電体の変位が伝達されることにより液室において大きい容積変化を生じ、内部の液体を吐出口から多量に吐出する。
本発明の液体吐出ヘッドの一例としてのインクジェットヘッドとして、例えば、図6の模式図に示すものを挙げることができる。図6に示すインクジェットヘッドには、基体41の圧電体素子51が設けられる側と逆側に液吐出口53を有する液室61が設けられる。また、液吐出口は液室の下面に設けたものを図示しているが、液室の側面に設けることもできる。
本発明の液体吐出ヘッドは微細でありながら、変位量が大きく、気孔を有する圧電体を有する上記本発明の圧電体素子を備えているため、圧電体素子を高密度に設けることができ、吐出力が大きく、吐出速度が速い。その上、反復変位に対して歪を吸収し耐久性に優れる。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法としては、上記方法により圧電体素子51を形成した基体41に、圧電体素子51が設けられる側と逆側に凹部を設け、液室61を形成する方法を挙げることができる。また、図7に示すように、圧電体素子51が設けられる基体41とは別の基板Mに液室、液供給路を設け、これと圧電体素子を設けた基体41とを接合する方法等を挙げることができる。
前者の方法としては、圧電体素子を設けた基体41の裏面に、異方性エッチングを利用したウエットエッチング、ICP、リーガプロセス、ボッシュプロセス等のドライエッチングにより一定ピッチで液室61となる複数の凹部を形成する。液室の積層方向の断面形状としては、例えば、長方形、円形、楕円形等適宜選択することができる。また、サイドシューターの場合、液室の形状を液吐出口に向かってテーパー部を有し絞った形状にすることもできる。
凹部を形成した基体41に液吐出口53を穿孔したノズルプレート52を接合する。ノズルプレートの材質としては、圧電体素子の基体と同じで材質でも異なる材質であってもよく、例えば、SUS、Ni等を挙げることができる。この場合、接合する基体との熱膨張係数の差が1E−6〜/℃から1E−8/℃である材料が好ましい。
上記基体41とノズルプレートの接合方法としては、有機接着剤を用いる方法でもよいが、無機材料による金属接合による方法が好ましい。金属接合に用いる材料としては、250℃以下の低温でこれらの基体を接合することができ、基体との熱膨張係数の差が小さいものが、長尺化された場合でも素子の反り等の問題が回避され、また、圧電体素子に対する損傷を抑制できることから、好ましい。かかる金属接合に用いる材料として、具体的には、In、Au、Cu、Ni、Pb、Ti,Cr等を挙げることができる。
また、後者の方法としては、図7に示すように、圧電体素子51が形成された基体41を、各液室(図示せず)を上記と同様の方法等により形成した基板Mの表面側の開口部(図示せず)を閉塞するように、圧電体素子を位置決めして接合する。一方、基板Mの裏面側の開口部(図示せず)を閉塞するように、液吐出口53を形成したノズルプレート52を位置決めして接合する。基体間の接合は上記方法と同様の方法を挙げることができる。
このような液体吐出ヘッドは、高解像度化、高速印字のプリンター、ファクシミリや複合機、複写機等のインクジェット記録装置や、あるいは、各種液体を吐出するための産業用液吐出装置等に使用することができる。
参考例1]
本発明の圧電体の製造方法、圧電体素子、液体吐出ヘッドについて、実施例を挙げて具体的に説明する。尚、以降、参考例1につき実施例1とも記載する。
まず、スパッタリング装置を用い、Si基体の開口部上に安定化ジルコニアYSZ(Y23−ZrO2)を成膜し、振動板を作製した。このときSi基体を800℃に加熱し、イオン化するガスとして、Ar及びO2を用い、Si基体とターゲット間の印加電力は60W、装置内の圧力は1.0Paとして、1時間スパッタリングを行い、結晶成長させ、単一配向の膜厚200nmの振動板を得た。
次に、振動板の作製方法と同様の方法で下部電極層を作製した。ターゲットとしてPtを用い、基体の温度600℃、イオン化するガスArを用い、振動板とターゲット間の印加電力は100W、装置内の圧力は0.5Paとして、スパッタリングを行い結晶成長させ、単一高配向の膜厚400nmのPt膜を得た。
その後、上記スパッタリング装置を用い、下記の組成のターゲットを用い、スパッタリングにより圧電体を作製した。基体の温度400℃、イオン化するガスAr及びO2を用い、電極とターゲット間の印加電力は100W、装置内の圧力は0.5Paとして、スパッタリングを行い結晶成長させ、膜厚3000nmの圧電体を得た。
ターゲット組成
(Pb1-xxxm(ZryTi1-y)Oz
式中、M=La、x=0.6、xm=1.20、y=0.52、z=3.0
その後、RTA(Rapid Thermal Annealing)を用いて、大気中で680℃5時間の加熱処理を行った。得られた圧電体についてSEMを用いて断面SEM像を得た。結果を図8に示す。
その後、上部電極層を下部電極層の作製方法と同様の方法により作製した。
次に、Si基体を、振動板が設けられた面と反対側の面からICPによるドライトエッチング法を行って中央部を取り除き凹部を形成した。基体の温度は20℃、使用ガスはSF6、C48、高周波コイルの誘電はRFで1800W、装置内の圧力は4.0Paとした。液吐出口を備えたSi製のノズルプレートを上記凹部を形成したSi基体に、Si−Si接合法により貼り合わせた。各圧電体素子10の振動板は長さ5000μm、幅100μmとして、インクジェットヘッドを作製した。
得られたインクジェットヘッドについて、印可電圧20V、10kHz時の圧電体そしの変位量と、液体吐出ヘッドのインク液(密度1.0×103kg/m3、粘度2cps、表面張力3.5×10-2N/m)の吐出量、吐出速度を測定した。変位量の測定は、インクのない状態での空変位をレーザードップラー変位計で凹部の中心(幅70μmの中心、長さ3mmの中心)を測定した。また、吐出量の測定は、吐出液滴と入力信号と同期させてCCDにより液滴を観察しサイズを観察することにより吐出量を測定した。吐出速度の測定も、入力信号と同期させてCCDにより液滴を観察し算出した。結果を表1、表2に示す。
更に、液体吐出ヘッドの耐久試験を行なった。109回を越えても不吐出ノズルはなかった。
[比較例1]
圧電体作製において、スパッタリング時の基体の温度を600℃として結晶成長させ、その後の大気中における加熱処理を行わずに圧電体を作製した他は、実施例1と同様にして圧電体を作製し、液体吐出ヘッドを作製した。
得られた圧電体について断面SEM像を実施例1と同様にして得た。結果を図9に示す。液体吐出ヘッドについて、実施例1と同様にして圧電体素子の変位量と、液体吐出ヘッドの液滴の吐出量、吐出時間を測定した。結果を表1、表2に示す。
また、耐久試験では106〜107回で剥離が生じ、不吐出のノズル部分が発生した。 [比較例2]
圧電体作製において、CSD(Chemical Solution Deposition,Sol−Gel)法を用いた。実施例1で用いたターゲット組成と同様の組成に相当する組成の酢酸鉛、ランタンイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、チタンイソプロポキシドをメトキシエタノール中で加熱溶解した。この溶液を希塩酸で加水分解しPb1.1La0.01Zr0.52Ti0.483の10質量%(酸化物換算濃度)の圧電体用塗布液ゾルを得た。
次に、スピンコーターを用いて上記のゾルを3000rpmで上記基板に塗布し、400℃で5分間乾燥し溶剤を除去し前駆体膜を形成した。この塗布、乾燥の操作を3回繰り返すごとに650℃で15分仮焼成を行った。7層の塗工、乾燥、仮焼成を行ってから最後に基板全体を700℃で1時間熱処理して結晶化させることにより各種圧電体の7回塗布膜を得た。圧電体の作製方法の他は、実施例1と同様にして、液体吐出ヘッドを作製した。
得られた圧電体について断面SEM像を実施例1と同様にして得た。結果を図10に示す。液体吐出ヘッドについて、実施例1と同様にして圧電体素子の変位量と、液体吐出ヘッドの液滴の吐出量、吐出時間を測定した。結果を表1、表2に示す。
また、耐久試験では106〜107回で剥離が生じ、不吐出のノズル部分が発生した。
Figure 0005354876
結果より、実施例1の400℃におけるスパッタリングによる結晶成長後、大気中で加熱処理をした圧電体からなる圧電体素子の変位量は90nmであった。これに対し、600℃におけるスパッタリングによる結晶成長後、加熱処理を行わなかった比較例1の圧電体素子の変位量は50nmであった。更に、CSD法による圧電体からなる圧電体素子の変位量は60nmであった。
Figure 0005354876
結果より、本発明の液体吐出ヘッドにおいて、液吐出量は多く、液吐出は高速であることが明らかである。
本発明の圧電体の製造方法の一工程における基体上の膜のX線回折によるθ−2θプロファイルを示す図である。 本発明の圧電体の製造方法により得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜のX線回折によるθ−2θプロファイルを示す図である。 本発明の圧電体の製造方法により得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の逆格子空間マップを示す図である。 本発明の圧電体の製造方法により得られたABO3ペロブスカイト型酸化物結晶膜の断面SEM撮像を示す図である。 本発明の圧電体素子の一例の構成を示す模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの一例の構成を示す模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの他の一例の構成を示す模式図である。 本発明の圧電体素子の参考例1の断面SEM撮像を示す図である。 比較例1の圧電体の断面SEM撮像を示す図である。 比較例2の圧電体の断面SEM撮像を示す図である。 本発明に係る製造方法を示す模式図である。
符号の説明
41 基体
42 振動板
43 バッファー層
44 下部電極層
45 圧電体
46 上部電極層
51 圧電体素子
52 ノズルプレート
53 液吐出口
61 液室
M 基板

Claims (9)

  1. SrTiO で形成された基体上にエピタキシャル成長したA元素としてPbを含みB元素としてZr及びTiの少なくとも一方を含むABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜を形成して圧電体を製造する圧電体の製造方法において、
    PbO結晶が形成される温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度未満の温度に前記基体を加熱し、下記式(1)で表される酸化物を用いて、配向したPbO結晶を含む膜を前記基体上に形成する形成工程と、
    PbO結晶が存在可能な温度を超える温度であってABO3ペロブスカイト型酸化物結晶が形成される温度に前記基体を加熱することにより、前記配向したPbO結晶を含む膜を前記ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜に変える変換工程とを含むことを特徴とする圧電体の製造方法。
    式(1) (Pb 1-x xm (Zr Ti 1-y )O
    (式(1)中、MはLa、Ca、Ba、Sr、Bi、Sb、W又はNbのいずれかの原子を示す。式(1)中、x、xm、yは、これらを用いて得られたABO ペロブスカイト型酸化結晶膜の組成が式(1)中、0≦x<0.2、1.0≦xm≦1.3、0.40≦y<0.65、2.5≦z≦3.0を満たす数値を示す。)
  2. 前記ABO3ペロブスカイト型酸化物結晶の膜が、単結晶膜又は単一配向膜であることを特徴とする請求項1記載の圧電体の製造方法。
  3. 前記ABO 3 ペロブスカイト型酸化物結晶の膜が100nm以上10μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1又は2記載の圧電体の製造方法。
  4. 前記形成工程が、スパッタリング法によってなされることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の圧電体の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか記載の圧電体の製造方法を用いて得られたABO 3 ペロブスカイト型酸化物結晶の膜からなる圧電体と、該圧電体に設けられる一対の電極とを有することを特徴とする圧電体素子。
  6. 前記圧電体が気孔を有する請求項5記載の圧電体素子。
  7. 請求項5又は6記載の圧電体素子と、該圧電体素子が対応して設けられ液体を吐出する吐出口に連通する液室とを有することを特徴とする液体吐出ヘッド。
  8. 前記PbO 結晶の配向が、(100)、(111)、(110)のいずれかである請求項1から4のいずれか記載の圧電体の製造方法。
  9. 前記変換工程において前記基体を加熱する温度が、350℃以上、450℃未満である請求項1から4、8のいずれか記載の圧電体の製造方法。
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