JPH10296974A - インクジェット記録ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録ヘッド及びその製造方法

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JPH10296974A
JPH10296974A JP10729697A JP10729697A JPH10296974A JP H10296974 A JPH10296974 A JP H10296974A JP 10729697 A JP10729697 A JP 10729697A JP 10729697 A JP10729697 A JP 10729697A JP H10296974 A JPH10296974 A JP H10296974A
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JP
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substrate
layer
ink jet
recording head
jet recording
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Application number
JP10729697A
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English (en)
Inventor
Etsuko Fujisawa
悦子 藤沢
Zenichi Akiyama
善一 秋山
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛の拡散を阻止する中間層を設けることによ
り、加圧室基板を食刻形成する必要がなく、また、加圧
室基板材を凹状に形成し、基板と同一材料の振動板を有
することにより、機械的強度に優れた信頼性の高い、イ
ンクジェットプリンタヘッドを提供する。 【解決手段】 加圧室(凹部)を有する基板と、該加圧
室の開口側に配設され、該加圧室に連通するノズル孔を
有するノズル板と、前記基板の前記加圧室の底部が形成
されている側の基板上に形成された中間層と、該中間層
の上に形成された電極層、電気−機械変換層、電極層か
らなる電気−機械変換素子層から構成され、該電気−機
械変換素子層を変位させることにより、前記加圧室内の
液体を前記ノズルを通して外部に噴出する。前記基板は
前記加圧室を形成する凹部(加圧室)を部分的に有し、
加圧室基板と同一材料で形成された凹部を設けることに
より、機械的強度を高めている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッド及びその製造方法に係り、より詳細には、電気
−機械変換素子を用いてインク滴を噴射するインクジェ
ット記録ヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】加圧室に圧力を加えてインク滴を噴射す
る方法の一つとして、電気−機械変換素子を用いたアク
チュエータが知られている。近年、高速、高画質、低消
費駆動、低価格のインクジェットプリンタが要求されて
おり、そのために、低電圧駆動で大変位が得られ、か
つ、発生力の大きい、更に高集積化で変化の大きな圧電
/電歪素子、振動板材料、アクチュエータ構成が考案さ
れている。
【0003】特公昭61−2025号公報(液体噴射装
置)に記載の発明は、電気−機械変換素子下の加圧板の
形状を凹部に形成することにより、変換素子の駆動に基
づいて変位する加圧板の加圧部を薄くしてたわみ易くし
ている。すなわち、変換素子に要求される所要の変位量
を得るための駆動電圧を低くすることを可能としてい
る。
【0004】特開平6−40035号公報(圧電/電歪
アクチュエータ)に記載の発明では、圧電/電歪駆動部
下の加圧室、流路をグリーンシートにて積層形成し、一
体焼成することにより、接着剤を用いずに形成出来、製
造性にすぐれた圧電/電歪アクチュエータを提示してい
る。
【0005】また、特開平8−252914号公報(イ
ンクジェットヘッドおよびその製造方法)に記載の発明
では、インクジェットヘッドは単結晶シリコン基板から
なる加圧室基板と弾性膜、圧電膜からなり、圧電膜の直
下に前記加圧室基板が存在しないかのごとく、前記加圧
室基板を形成し、圧電膜中の鉛の拡散を防いだ構成及び
製造方法を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】電気−機械変換膜には
一般的にはチタン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTと略
す)等の鉛系圧電セラミックス材料が最も圧電性能が高
く用いられるが、シリコン基板上にPZTを形成した
後、結晶化させるために焼成を行うとシリコン基板上に
鉛が拡散し、PZTの圧電特性が低下する問題があっ
た。特開平8−252914号公報に記載の発明におい
ては、圧電膜の直下に加圧室基板材が存在しないかのご
とく加圧室基板を食刻形成することにより、上記の問題
を解決しているが、圧電膜の直下は電極膜と弾性膜から
なるため、機械的強度が弱い。
【0007】本発明は、鉛の拡散を阻止する中間層を設
けることにより、圧電膜の直下に加圧室基板材が存在し
ないかのごとく加圧室基板を食刻形成する必要がなく、
また、加圧室基板材を凹状に形成させ、圧電膜直下に中
間層、基板と同一材料の振動板を有することにより、機
械的強度に優れた信頼性の高い、インクジェットプリン
タヘッドを提供することを目的とする。
【0008】特開平6−40035号公報に挙げられる
ように、加圧室基板材を凹状に形成させる方法として、
グリーンシートの積層形成が挙げられるが、加工精度や
張り合わせ時の位置精度において問題があり、高密度、
高集積化の実現には課題を有している。
【0009】請求項2の発明は、異方性エッチングが可
能な単結晶基板として、シリコン、水晶、サファイア、
酸化マグネシウム等用いることで、張り合わせ工程を不
要とし、位置精度を高く形成出来、高密度、高集積なイ
ンクジェットプリンタヘッドを提供することを目的とす
る。請求項3の発明は、半導体プロセスやマイクロマシ
ーニング技術によりエッチング技術が確立された加工精
度が高く、コストの安いシリコン単結晶を用いることを
目的とする。
【0010】基板裏面に別基板を接合してインク室を形
成する際に、シリコン基板を用いれば接着剤などの接合
剤を用いずに、硼珪酸系ガラスとシリコン基板間に電界
及び温度をかけて接着する陽極接合を利用することが可
能になるという利点を有する。しかし、シリコン単結晶
基板として結晶面方位が(100)のものを用いた場
合、周知のKOHアルカリ性溶液を用いたウェットエッ
チングで加工した場合、図6(A)に示すように、エッ
チングによって現れる(111)面が前記(100)面
に対して54.7度の傾きを持っているために、更なる
高密度化には不適である。
【0011】請求項4の発明は、図6(B)に示すよう
に、(110)面のシリコン基板を用いることにより、
凹部の壁面を基板表面に対し垂直に出来、従って、凹部
の高さに関係なく幅を決めることが出来、小型化、高密
度化を実現することを目的としている。請求項5の発明
は、基板凹部の薄肉厚部に要求される機械的強度をも
ち、かつ、電気−機械変換部の歪みを効果的に伝搬する
ことを目的とする。
【0012】中間層として求められる特性は、高い靭性
を有し、電気−機械変換層に含有される鉛の拡散を防ぐ
緻密な材料が求められる。
【0013】請求項6の発明は、それらを満足し、なお
かつ機械的強度を有する中間層を提供することを目的と
する。請求項7の発明は、中間層を2層にしてシリコン
基板との密着性を高める材料を提供することを目的とす
る。請求項8の発明は、1層の中間層でシリコン基板と
の密着性を高め、かつ、鉛の拡散を防ぐ緻密な中間層材
料を提供することを目的とする。請求項9の発明は、基
板との密着性を有する膜厚を提供することを目的とす
る。請求項10の発明は、電気−機械変換層を簡易に形
成することを目的とする。
【0014】請求項11の発明は、基板に凹部を形成し
た後に中間層、電気−機械変換層を形成するために、基
板に凹部を形成する時のエッチング液等の溶剤による中
間層、電気−機械変換層との反応を防ぐ保護層や専用治
具で覆うことのない製造方法を提供すること目的する。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、噴射
すべき液体を保持、加圧するための凹部からなる加圧室
を有する基板と、前記加圧室の開口側に配設され、該加
圧室に連通するノズル孔を有するノズル板と、前記基板
の前記加圧室の底部が形成されている側の基板上に形成
された少なくとも1層以上の中間層と、該中間層の上に
形成された電極層、電気−機械変換層、電極層からなる
電気−機械変換素子層から構成され、該電気−機械変換
素子層を変位させることにより、前記加圧室内の液体を
前記ノズルを通して外部に噴出するインクジェット記録
ヘッドにおいて、前記基板が前記加圧室を形成する凹部
(加圧室)を部分的に有する形状であることを特徴と
し、もって、加圧室基板と同一材料で形成された凹部を
設けることにより、機械的強度を高めることが出来、信
頼性の高いインクジットプリンタヘッドが得られるよう
にしたものである。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を単結晶基板と
したことを特徴とし、もって、単結晶基板を用いること
により、張り合わせをせずエッチングにて凹形状を形成
出来、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得
られるようにしたものである。
【0017】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を単結晶Siと
したことを特徴とし、もって、単晶シリコン基板を用い
ることにより、低コストで、加工精度に優れた高密度化
されたインクジェットプリンタヘッドが得られるように
したものである。
【0018】請求項4の発明は、請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を結晶面方位が
(110)のSi基板であることを特徴とし、もって、
(110)単結晶シリコン基板を用いることにより、微
細加工が出来、高密度化されたインクジェットプリンタ
ヘッドが得られるようにしたものである。
【0019】請求項5の発明は、請求項1の発明におい
て、前記加圧室基板の凹部の底部肉厚を1μmから20
μmの範囲としたことを特徴とし、もって、凹部の薄肉
厚部の厚さを1〜20μmに形成することにより、機械
的強度が得られ、かつ、歪みを効果的に伝搬出来、低電
圧駆動、及び、信頼性の高いインクジェットヘッドが得
られるようにしたものである。
【0020】請求項6の発明は、請求項1の発明におい
て、前記中間層の材料を酸化イットリウム及び酸化マグ
ネシウム及び酸化カルシウム及び酸化セリウムのうち、
少なくとも1つの化合物を含有することによって結晶層
を部分安定化もしくは完全安定化されたジルコニアから
なることを特徴とし、もって、中間層にジルコニアを用
いることにより、高い靭性を有し、鉛の拡散を防ぎ、機
械的強度が得られ、信頼性の高いインクジェットプリン
タヘッドが得られるようにしたものである。
【0021】請求項7の発明は、請求項1の発明におい
て、前記中間層に酸化セリウム層を有し、該酸化セリウ
ム層の上に請求項6記載の部分安定化もしくは完全安定
化されたジルコニアを積層して有することを特徴とし、
もって、中間層に酸化セリウム層を設けることにより、
シリコン基板との密着性を高め、信頼性の高いインクジ
ェットプリンタヘッドが得られるようにしたものであ
る。
【0022】請求項8の発明は、請求項6の発明におい
て、前記中間層が40mol%の酸化セリウムにて完全安
定化されたジルコニアであることを特徴とし、もって、
中間層に40mol%の酸化セリウム層で安定化されたジ
ルコニアを用いることにより、中間層を2層にすること
なく、高い靭性を有し、鉛の拡散を防ぎ、機械的強度が
得られ、かつ、シリコン基板との密着性を高める、信頼
性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られるよう
にしたものである。
【0023】請求項9の発明は、請求項1の発明におい
て、前記中間層の膜厚が0.1μm以上2μm以下であ
ることを特徴とし、もって、中間層の膜厚を0.1〜2
μmで形成することにより、焼成時のクラックを防ぐこ
とが出来、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッド
が得られるようにしたものである。
【0024】請求項10の発明は、請求項1の発明にお
いて、前記電気−機械変換膜をスクリーン印刷にて形成
したことを特徴とし、もって、電気−機械変換膜をスク
リーン印刷にて形成することにより、簡便で再現性の良
い電気−機械変換膜を形成でき、低コストで信頼性の高
いインクジェットプリンタヘッドが得られるようにした
ものである。
【0025】請求項11の発明は、請求項1の発明にお
いて、前記凹部を有する加圧室基板を形成した後に、前
記中間層、電気−機械変換素子層を形成することを特徴
とし、もって、加圧室基板に凹部を形成した後に、中間
層、電気−機械変換素子層を形成することにより、エッ
チング液との反応を防ぐための保護膜や専用治具が不要
になり、工程が簡略化出来るようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施例1)図1は、本発明によるインクジェット記録
ヘッドの一実施例を説明するための要部断面構成図で、
図中、1は加圧室基板、2は加圧室、3は中間層、4は
下電極層、5は電気−機械変換層、6は上電極層、7は
ノズル板、8はノズルで、図示のように、加圧室2を形
成するように部分的に凹部(加圧室)2を有する加圧室
基板1上に中間層3を設け、その上に下電極層4、電気
−機械変換層5、上電極層6を積層させる。加圧室基板
1とノズル8を有するノズル板7は接合されている。こ
の構成は(サイドシューター)便宜的に示されたもの
で、ノズル板7に代ってノズルを閉塞させた板を接合し
てインク室を構成し、その端面にノズル板を接合させて
もよい(エンドシューター)。
【0027】図2は、凹部を有する加圧室基板の作製方
法を、断面図で工程順に示したもので、厚さが300μ
m、面方位が(110)面方位のシリコンウェハー1の
上に耐シリコンエッチング膜となる酸化酸11を熱酸化
法により形成する(図2(A))。耐シリコンエッチン
グ膜11には酸化シリコンだけでなく、窒化シリコン、
金属等、シリコンエッチング液に対して耐食性を示す膜
であれば良い。次に、酸化膜11上にレジスト12をス
ピンコート法によって塗布し(図2(B))、フォトリ
ソグラフィ技術を用いて凹部を形成するためのレジスト
パターン12aを形成する(図2(C))。その後、フ
ッ酸系エッチング液にて酸化シリコン膜をエッチング
後、更に摂氏90℃の40%KOH水溶液に浸し、異方
性エッチングを行い295μmエッチングし、凹部2を
形成する(図2(D))。残ったシリコン基板1上の酸
化シリコン膜11をフッ酸系エッチング液にて剥離する
(図2(E))。エッチング量は予め、KOH水溶液の
濃度、温度、浸透時間を制御することにより凹部2のエ
ッチング量を制御出来る。
【0028】加圧室基板1上の中間層3には、電気−機
械変換層5の鉛が拡散しない緻密で、高脆性で、なおか
つ、機械的強度が大きい材料であるジルコニアを用い
る。ジルコニアを安定化、もしくは部分安定化させるた
めの添加量は酸化イットリウムに対して2〜30モル
%、酸化マグネシウムや酸化カルシウムに対しては5〜
40%、酸化セリウムに対しては6〜50モル%とする
ことが望ましい。膜形成法として加圧室基板1との密着
性の高いスパッタ法にて1μm厚形成する。本発明で
は、中間層3を電気−機械変換層5の鉛拡散層として用
いるので、該中間層3の厚さは0.1μm厚程度で十分
であり、膜厚を2μm以上にすると焼成時に密度変化に
よるクラックが発生する。故に、ジルコニアの中間層3
は2μm以下に形成する。
【0029】更に、中間層3の上の下部電極層4には、
白金や白金属元素(Pd,Rh,Ih,Ru)などの高
融点貴金属、及びそれらの合金を主成分とする電極材料
が用いられるが、安定性の点から白金もしくはそれらの
合金が好適であり、スクリーン印刷形成にて5μm厚で
印刷する。
【0030】下部電極層4上の電気−機械変換層5には
PZTを主成分とする材料、マグネシウムニオブ酸鉛を
主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛主成分とする材
料、マンガンニオブ酸鉛を主成分とする材料、アンチモ
ンスズ酸鉛を主成分とする材料、チタン酸鉛を主成分と
する材料、更には、これらの複合材料が用いられる。な
お、PZT系を主成分とする材料に、ランタン、バリウ
ム、ニオブ、亜鉛、セリウム、クロム、コバルト、スト
ロンチウム、イットリウム、タンタル、タングステン、
ニッケル、マンガン等の酸化物やそれらの化合物の添加
物として含有せしめた材料、たとえば、PLZT系とな
るように、前記材料に所定の添加物を適宜に加えても、
何ら差し支えない。
【0031】電気−機械変換層5の形成法において、周
知の真空成膜法であるスパッタ、CVDやゾルーゲルな
どは全面デポによるパターニングにより工程が煩雑にな
り、コストが高くなる。特に、ゾルーゲル法では1回の
塗布による膜厚が0.1μm以下と小さいために、加圧
室基板をたわませるだけの膜厚を形成するには塗布回数
が多くなり、作製工程が多くなる。また、これらの方法
で形成された膜は、膜厚方向における組成の均一化が難
しく、圧電特性の再現性が悪い。一方、PZT等圧電体
の仮焼粉をペースト加工し、スクリーン印刷で形成した
膜は、パターニング工程が不要で低コストで簡便に形成
できる。一回の印刷工程で20μmの膜厚を形成出来
る。この後、900〜1100℃の温度で大気中にて焼
成させる。
【0032】上電極層6は、スクリーン印刷にて銀−パ
ラジウムを焼き付けにより形成したり、または、金、
銅、スズ等のメッキ可能材料を成膜後、金−スズ、鉛−
スズ等のメッキを施して形成する。
【0033】(実施例2)図3は、図4に示すような基
板1の凹部の幅が300μm、長辺が4000μm、中
間層の膜厚が1μm、20μm厚のNb0.5mol%ドー
プしたPb(Zr0.52Ti0.48)O3を30Vにて駆動
したときの凹部の変位量と加圧板基板の薄肉部の厚さと
の相関を示す。図3より凹部の厚みの増加に従い、変位
量が減少し、厚さ20μmにてインクを吐出しなくなる
ことが解ると、また厚みが1μm以下であると、電気−
機械変換層をスクリーン印刷するときの圧力で凹部が破
壊されることが起き、製造時の歩留まりが悪くなる。
【0034】(実施例3)シリコン基板と酸化セリウム
の格子定数は非常に近く、酸化セリウムは5.41Å、
シリコンは5.43Åである。ターゲットに酸化セリウ
ムを用い、真空槽内を0.01〜0.005Torr程度の
アルゴンと酸化混合ガスを導入し、基板温度600℃好
ましくは800℃、RFマグネトロンスパッタにて(1
00)シリコン基板上にCeO2をエピタキシャルな膜
を成膜する。成膜速度は0.1〜0.3μm/h。その
後、酸化イットリウム、酸化マグネシウムや酸化カルシ
ウムや酸化セリウムで安定化させたジルコニアを積層さ
せるが、酸化セリウムとの整合性を考慮すると、酸化セ
リウムで定化させたジルコニアであることが望ましい。
【0035】(実施例4)酸化セリウムで安定化させた
ジルコニアの組成比を変えて、結晶性、鉛透過性を調べ
た。シリコン(100)基板を800℃に加熱し、(C
eO2X(ZrO21-XX=0.6,0.4,0.12)のターゲ
ットからRFマグネトロンスパッタにて、アルゴンと酸
素を導入しながら(5×10-4Torr)成膜した。図5
は、X線回析により測定されたシリコン(100)基板
上の(CeO2X(ZrO21-XX=0.6,0.4,0.12)
である。強度ピークを表す角度から結晶の配向方向がわ
かる。
【0036】図5に示すように、結晶配向性はCeO2
が40mol%の時、最も結晶性がよく、シリコン基板上
にエピタキシャル成長している。40mol%のCeO2
安定化されたジルコニア膜0.5μm上にNb0.5mol
%ドープしたPb(Zr0.52Ti0.48)O3を積層させ
て、1000℃にて焼成した後のシリコン基板上への鉛
拡散はなく、PZTは良好な圧電特性を示す。
【0037】
【発明の効果】
請求項1の効果:噴射すべき液体を保持、加圧するため
の凹部からなる加圧室を有する基板と、前記加圧室の開
口側に配設され、該加圧室に連通するノズル孔を有する
ノズル板と、前記基板の前記加圧室の底部が形成されて
いる側の基板上に形成された少なくとも1層以上の中間
層と、該中間層の上に形成された電極層、電気−機械変
換層、電極層からなる電気−機械変換素子層から構成さ
れ、該電気−機械変換素子層を変位させることにより、
前記加圧室内の液体を前記ノズルを通して外部に噴出す
るインクジェット記録ヘッドにおいて、前記基板が前記
加圧室を形成する凹部を部分的に有する形状であるの
で、加圧室基板と同一材料で形成された凹部を設けるこ
とにより、機械的強度を高めることが出来、信頼性の高
いインクジットプリンタヘッドが得られる。
【0038】請求項2の効果:請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を単結晶基板と
したので、単結晶基板を用いることにより、張り合わせ
をせずエッチングにて凹形状を形成出来、信頼性の高い
インクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0039】請求項3の効果:請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を単結晶Siと
したので、単晶シリコン基板を用いることにより、低コ
ストで、加工精度に優れた高密度化されたインクジェッ
トプリンタヘッドが得られる。
【0040】請求項4の効果:請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板の材料を結晶面方位が
(110)のSi基板としたので、(110)単結晶シ
リコン基板を用いることにより、微細加工が出来、高密
度化されたインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0041】請求項5の効果:請求項1の発明におい
て、前記加圧室基板の凹部の底部肉厚を1μmから20
μmの範囲としたので、凹部の薄肉厚部の厚さを1〜2
0μmに形成することにより、機械的強度が得られ、か
つ歪みを効果的に伝搬出来、低電圧駆動、及び信頼性の
高いインクジェットヘッドが得られる。
【0042】請求項6の効果:請求項1の発明におい
て、前記中間層の材料を酸化イットリウム及び酸化マグ
ネシウム及び酸化カルシウム及び酸化セリウムのうち、
少なくとも1つの化合物を含有することによって結晶層
を部分安定化もしくは完全安定化されたジルコニアから
なるので、中間層にジルコニアを用いることにより、高
い靭性を有し、鉛の拡散を防ぎ、機械的強度が得られ、
信頼性の高いインクジェットプリンタヘッドが得られ
る。
【0043】請求項7の効果:請求項1の発明におい
て、前記中間層に酸化セリウム層を有し、該酸化セリウ
ム層の上に請求項6記載の部分安定化もしくは完全安定
化されたジルコニアを積層して有するので、中間層に酸
化セリウム層を設けることにより、シリコン基板との密
着性を高め、信頼性の高いインクジェットプリンタヘッ
ドが得られる。
【0044】請求項8の効果:請求項6の発明におい
て、前記中間層が40mol%の酸化セリウムにて完全安
定化されたジルコニアであるので、中間層に40mol%
の酸化セリウム層で安定化されたジルコニアを用いるこ
とにより、中間層を2層にすることなく、高い靭性を有
し、鉛の拡散を防ぎ、機械的強度が得られ、かつシリコ
ン基板との密着性を高める、信頼性の高いインクジェッ
トプリンタヘッドが得られる。
【0045】請求項9の効果:請求項1の発明におい
て、前記中間層の膜厚が0.1μm以上2μm以下であ
るので、中間層の膜厚を0.1〜2μmに形成すること
により、焼成時のクラックを防ぐことが出来、信頼性の
高いインクジェットプリンタヘッドが得られる。
【0046】請求項10の効果:請求項1の発明におい
て、前記電気−機械変換膜をスクリーン印刷にて形成し
たので、電気−機械変換膜をスクリーン印刷にて形成す
ることにより、簡便で再現性の良い電気−機械変換膜を
形成でき、低コストで信頼性の高いインクジェットプリ
ンタヘッドが得られる。
【0047】請求項11の効果:請求項1の発明におい
て、前記凹部を有する加圧室基板を形成した後に、前記
中間層、電気−機械変換素子層を形成するようにしたの
で、加圧室基板に凹部を形成した後に、中間層、電気−
機械変換層を形成することにより、エッチング液との反
応を防ぐための保護膜や専用治具が不要になり、工程が
簡略化出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるインクジェット記録ヘッドの一
実施例を説明するための要部断面構成図である。
【図2】 凹部を有する加圧室基板の作製方法を、断面
図で工程順に示したものである。
【図3】 図4に示す基板を駆動したときの凹部の変位
量と加圧板基板の薄肉部の厚さとの相関を示した図であ
る。
【図4】 基板の凹部の幅が300μm、長辺が400
0μm、中間層の膜厚が1μm、20μm厚のNb0.
5mol%ドープしたPb(Zr0.52Ti0.48)O3の構成
例を示す図である。
【図5】 X線回析により測定されたシリコン(10
0)基板上の(CeO2X(ZrO21-XX=0.6,0.
4,0.12)である。
【図6】 シリコン基板のエッチング例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1…加圧室基板、2…加圧室、3…中間層、4…下電極
層、5…電気−機械変換層、6…上電極層、7…ノズル
板、8…ノズル。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 噴射すべき液体を保持、加圧するための
    凹部からなる加圧室を有する基板と、前記加圧室の開口
    側に配設され、該加圧室に連通するノズル孔を有するノ
    ズル板と、前記基板の前記加圧室の底部が形成されてい
    る側の基板上に形成された少なくとも1層以上の中間層
    と、該中間層の上に形成された電極層、電気−機械変換
    層、電極層からなる電気−機械変換素子層から構成さ
    れ、該電気−機械変換素子層を変位させることにより、
    前記加圧室内の液体を前記ノズルを通して外部に噴出す
    るインクジェット記録ヘッドにおいて、前記基板が前記
    加圧室を形成する凹部を部分的に有する形状であること
    を特徴とするインクジット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記凹部を有する加圧室基板の材料を単
    結晶基板としたことを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記凹部を有する加圧室基板の材料を単
    結晶Siとしたことを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記凹部を有する加圧室基板の材料を結
    晶面方位が(110)のSi基板であることを特徴とす
    る請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記加圧室基板の凹部の底部肉厚を1μ
    mから20μmの範囲としたことを特徴とする請求項1
    記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記中間層の材料を酸化イットリウム及
    び酸化マグネシウム及び酸化カルシウム及び酸化セリウ
    ムのうち、少なくとも1つの化合物を含有することによ
    って結晶層を部分安定化もしくは完全安定化されたジル
    コニアからなることを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記中間層に酸化セリウム層を有し、該
    酸化セリウム層の上に請求項6記載の部分安定化もしく
    は完全安定化されたジルコニアを積層して有することを
    特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記中間層が40mol%の酸化セリウム
    にて完全安定化されたジルコニアであることを特徴とす
    る請求項6記載のインクジェット記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記中間層の膜厚が0.1μm以上2μ
    m以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジ
    ェット記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記電気−機械変換層をスクリーン印
    刷にて形成したことを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェット記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記凹部を有する加圧室基板を形成し
    た後に、前記中間層、電気−機械変換素子層を形成する
    ことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘ
    ッドの製造方法。
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