JP3591877B2 - α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】
α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類は、植物の成長促進剤、農業用殺菌剤等の中間体として知られている(特公昭62−54096号公報等) 。
その製造方法として、例えばα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリルは、アルコール溶媒、塩基の水溶液の存在下、フェニルアセトニトリルに、亜硝酸アルキルを反応させた後、酸で中和して低沸分を留去し、析出した固体を濾別することにより製造することも知られている(特開昭54−163548 号公報等) 。
【0003】
しかしながら、原料であるフェニルアセトニトリル類として、不純物を含む粗原料を用いた場合は、上記方法で製造すると、目的物であるα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の純度等が低下するという難点があった。
一方、粗原料を蒸留等により精製して用いる場合は、煩雑な分離精製工程を必要とするのみならず、その操作等により収率が低下するという難点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、粗フェニルアセトニトリル類を用いたα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類のより優れた製造方法を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、粗フェニルアセトニトリル類に、亜硝酸アルキルを反応させた後、反応マスを水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和することにより、目的とするα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類が、高純度、高収率でしかも容易に製造し得ることを見出すとともに更に種々の検討を加えて本発明を完成した。
【0005】
すなわち本発明は、塩基の存在下、式〔I〕
Figure 0003591877
(式中、R、RおよびRは、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、Zは、O、OCH、SまたはSCHを表す。)
で示されるフェニルアセトニトリル類を含む粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させた後、反応混合物を水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和することを特徴とする式〔II〕
【0006】
Figure 0003591877
(式中、R、R、RおよびZは前記と同じ意味を有する。)
で示されるα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の工業的に優れた製造方法を提供するものである。
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の原料成分であるフェニルアセトニトリル類〔I〕の置換基R、RおよびRとしては、例えば、水素原子、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、ニトロ基、トリフルオロメチル基、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチル、ペンチル等の炭素数1〜5のアルキル基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第三級ブトキシ、ペンチルオキシ等の炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられる。
またZとしては、酸素原子、オキシメチレン基、硫黄原子、チオメチレン基などが挙げられる。
【0008】
フェニルアセトニトリル類〔I〕の具体的化合物としては、例えば
2−フェノキシフェニルアセトニトリル、3−フェノキシフェニルアセトニトリル、4−フェノキシフェニルアセトニトリル、2−(2− フルオロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、4−(3− クロロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、3−(4− ブロモフェノキシ) フェニルアセトニトリル、3−(3− ニトロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2−(4− ニトロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2−(2− メトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、4−(3− メトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、3−(2− エトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、4−(2− イソプロポキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、4−(4− ブトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、3−(2− メトキシ−5− ニトロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2−(2,3− ジメトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2−(3,4,5− トリメトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2−( フェニルチオ) フェニルアセトニトリル、4−(4− ニトロフェニルチオ) フェニルアセトニトリル、3−(2− メトキシフェニルチオ) フェニルアセトニトリル、
【0009】
2−( フェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−( フェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−( フェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2− フルオロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−(3− フルオロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(3− クロロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− クロロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(4− ブロモフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−(3− ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(3− トリフルオロメチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2− メチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− エチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(2− プロピルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− イソプロピルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(3−t− ブチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2− メトキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− ブトキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、
【0010】
2−(2,4− ジクロロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,4− ジフルオロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(3− クロロ−4− フルオロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−(4− クロロ−2− ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− クロロ−2− メチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(2− フルオロ−6− メトキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(3− メチル−4− ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(2− メトキシ−4− ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,4− ジメチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,5− ジメチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−(2− メトキシ−4− メチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、
【0011】
2−(3,4− ジメトキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(2,4,5− トリクロロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4−(2,3− ジフルオロ−6− ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、3−(4− クロロ−3,5− ジメチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,3,5− トリメチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−(3,4,5− トリメトキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2−( フェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、2−(4− フルオロフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、3−(4− ニトロフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、4−(2− メトキシフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、3−(3,4− ジクロロフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,4− ジメチルフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、2−(2,5− ジメチルフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0012】
本発明の原料である粗ニトリル類は上記のようなフェニルアセトニトリル類〔I〕の他に、不純物として、例えばフェニルアセトニトリル類〔I〕製造時の原料、副生成物等を含有することができる。
【0013】
かかる不純物としては、例えば、フェニルアセトニトリル類〔I〕が以下のルート▲1▼で製造される場合は、例えばトルエン誘導体〔III 〕、ベンジルハライド誘導体〔IV〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕等が挙げられる。
(ルート▲1▼)
Figure 0003591877
【0014】
また以下のルート▲2▼で製造される場合、不純物としては、α−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔IV’ 〕、α,α’−ジ置換キシレン誘導体〔VIII〕等の他、α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕およびこれの製造時の原料、副生成物等が挙げられる。
(ルート▲2▼)
Figure 0003591877
【0015】
粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させるにあたり、使用される亜硝酸アルキルとしては、例えば、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸アミル、亜硝酸ヘキシルなどが挙げられる。かかる亜硝酸アルキルは、公知の方法により合成して用いても良いし、市販品を用いても良い。
亜硝酸アルキルの使用量は、フェニルアセトニトリル類〔I〕に対して0.8ないし10倍モルであり、好ましくは1ないし2倍モルである。
【0016】
また、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩などの無機塩基が通常使用されるが、例えば、ナトリウムエトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドなどの有機塩基を使用することもできる。 これらは、2種以上用いることもできる。
塩基の使用量は、フェニルアセトニトリル類〔I〕に対して通常0.8ないし10倍モルであり、好ましくは1ないし2倍モルである。
【0017】
また反応は、溶媒の存在下に通常実施される。かかる溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類などの実質上反応に不活性な溶媒が挙げられる。これらは2種以上用いることもできる。また、含水アルコールを使用することもできる。
溶媒の使用量は、粗フェニルアセトニトリル類に対して、通常、約1〜10重量倍である。
【0018】
反応は、塩基の存在下、通常0℃ないし反応混合物の還流温度、好ましくは0ないし40℃で実施される。
【0019】
かくして、目的物であるα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類〔II〕を含む反応混合物が得られるが、該混合物を水で抽出することにより目的物〔II〕を水層に、不純物を有機層に分離取得することができる。
【0020】
水で抽出するにあたっては、反応混合物に水を加えるが、反応混合物に親水性の有機溶媒が含まれる場合は、予め濃縮等の手段により、親水性の有機溶媒を除去した反応混合物が通常使用される。
水は、その総量が、使用した粗フェニルアセトニトリル類に対して、通常、約1〜20重量倍程度になるように加えられる。
【0021】
また、水に不溶または難溶の有機溶媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチルエーテル等のエーテル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素などを加えることも好ましく、かかる有機溶媒の添加により不純物を効率よく分離することができる。
その場合、有機溶媒は、その総量が加えた水に対して、通常、約0.1〜5重量倍程度になるように加えられる。
【0022】
抽出操作により分取された水層は、更に水に不溶または難溶の有機溶媒で洗浄することもできる。
【0023】
次いで、分取された水層を酸で中和するが、中和することなしに、次工程原料として供給することもできる。 酸を使用する場合の酸としては、有機酸、無機酸いずれを用いても良いが、好ましくは無機酸である。好ましい無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸が挙げられる。
酸は、系のpHが7以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下になるまで使用される。
酸による中和反応は、通常−10ないし100℃、好ましくは0ないし40℃で実施される。
【0024】
かくして目的物α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類〔II〕が得られるが、目的物は常法により取り出すことができる。例えば、目的物が結晶として得られる場合は、濾過することにより、油状物として得られた場合は、例えば有機溶媒で抽出した後、該有機溶媒を留去することにより、単離することができる。
【0025】
次に、本発明の原料である粗ニトリル類の製造方法について説明する。
本発明の粗ニトリル類は特に限定されるものではないが、例えば前記ルート▲1▼、▲2▼等の方法により製造することができる。
【0026】
粗ニトリル類をルート▲1▼で製造する場合、例えばトルエン誘導体〔III 〕にハロゲンを作用させてベンジルハライド誘導体〔IV〕を製造し、次いでこれにシアノ化合物を作用させることによりフェニルアセトニトリル類〔I〕を含む粗ニトリル類を製造し得る。
【0027】
トルエン誘導体〔III 〕における置換基R、RおよびRとしては、例えば、前記と同様な水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられる。またZとしては、O、OCH、SまたはSCHなどが挙げられる。
具体的化合物としては、例えば1−メチル−2− フェノキシベンゼン、1−(2− フルオロフェノキシ)−2−メチルベンゼン、1−(4− ブロモフェノキシ)−3−メチルベンゼン、1−(2− メトキシフェノキシ)−2−メチルベンゼン、1−(2− イソプロポキシフェノキシ)−4−メチルベンゼン、1−(4− ブトキシフェノキシ)−4−メチルベンゼン、1−(2,3− ジメトキシフェノキシ)−2−メチルベンゼン、1−メチル−2−(3,4,5−トリメトキシフェノキシ) ベンゼン、1−メチル−2−(フェニルチオ) ベンゼン、1−(2− メトキシフェニルチオ)−3−メチルベンゼン等が挙げられる。
また、ベンジルハライド誘導体〔IV〕は、トルエン誘導体〔III 〕から、例えば特開昭56−166142号、特開昭57−18644号公報等に記載の方法に準拠して製造し得る。
【0028】
ベンジルハライド誘導体〔IV〕にシアノ化合物を作用させるに当たり、使用するベンジルハライド誘導体〔IV〕は、不純物、例えばトルエン誘導体〔III 〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕等の不純物を含んでいる粗ベンジルハライド誘導体であっても良いし、もちろん高純度のものであっても良い。
シアノ化合物としては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、これらの混合物等が挙げられる。また反応系中で、シアン化水素とアルカリ金属塩、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等と反応させることによって、調製して用いることもできる。
かかるシアン化合物の使用量は、ベンジルハライド誘導体〔IV〕に対して通常0.8ないし10倍モルであり、好ましくは1ないし2倍モルである。
【0029】
また反応は、溶媒の存在下で通常実施される。かかる溶媒としては、例えば
非プロトン性極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられるが、相間移動触媒の存在下、水と、水に不溶または難溶の有機溶媒を用いることもできる。かかる有機溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、これらの混合物等が挙げられる。溶媒は、用いるベンジルハライド誘導体に対して、通常1〜10重量倍使用される。
【0030】
また相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられるが、好ましくは4級アンモニウム塩である。4級アンモニウムとしては、例えば、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等が通常用いられる。
相間移動触媒の使用量は、ベンジルハライド誘導体〔IV〕に対して通常0.001ないし1倍モルであり、好ましくは0.005ないし0.1倍モルである。
【0031】
反応は、通常0℃ないし溶媒の還流温度で実施される。
かくして、シアノ化合物がベンジルハライド誘導体〔IV〕に選択的に反応してフェニルアセトニトリル誘導体〔I〕が生成するが、トルエン誘導体〔III 〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕は、ほぼ定量的に保持される。
得られた反応混合物は、通常の方法、例えば水洗後、溶媒を留去した後、あるいは更にトルエン誘導体〔III 〕等を留去した後、粗ニトリル類として本発明の反応に供することができる。
【0032】
また粗ニトリル類をルート▲2▼で製造する場合、例えば、塩基の存在下にα,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕とフェノール誘導体〔VII 〕とを反応せしめてα−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔IV’ 〕を製造し、次いでこれにシアノ化合物を作用させることによりフェニルアセトニトリル類〔I’〕を含む粗ニトリル類を製造し得る。
【0033】
またα,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕の具体的化合物としては、例えばα,α’−ジクロロ−o− キシレン、α,α’−ジクロロ−m− キシレン、α,α’−ジクロロ−p− キシレン、α,α’−ジブロモ−o− キシレン、α,α’−ジブロモ−m− キシレン、α,α’−ジブロモ−p− キシレン等が挙げられる。
【0034】
またフェノール誘導体〔VII 〕における置換基R、R、Rとしては、例えば、前記と同様な水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられる。またAとしては、O、Sなどが挙げられる。 具体的化合物としては、例えばフェノール、2−フルオロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、4−ブロモフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、2−メチルフェノール、4−i−プロピルフェノール、3−t−ブチルフェノール、2−メトキシフェノール、4−ブトキシフェノール、2,4−ジクロロフェノール、2,5−ジクロロフェノール、3−クロロ−4− フルオロフェノール、4−フルオロ−3− メチルフェノール、4−クロロ−2− メチルフェノール、2−フルオロ−6− メトキシフェノール、
【0035】
2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2−メトキシ−4− メチルフェノール、3,4−ジメトキシフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、4−クロロ−3,5− ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、チオフェノール、4−フルオロチオフェノール、2−クロロチオフェノール、3−ブロモチオフェノール、2−メトキシチオフェノール、2,5−ジクロロチオフェノール、3,4−ジクロロチオフェノール、2,4−ジメチルチオフェノール、2,5−ジメチルチオフェノール、3,5−ジメチルチオフェノール等が挙げられる。
【0036】
α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕は、フェノール誘導体〔VII 〕に対して、通常1.5 モル倍以上、好ましくは2〜6モル倍使用される。
【0037】
また塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、または炭酸塩などが挙げられる。その使用量は、フェノール誘導体〔VII 〕に対して、通常0.7 〜1.5 モル倍、好ましくは0.9 〜1.2 モル倍使用される。
【0038】
反応は通常、溶媒、α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕、フェノール誘導体〔VII 〕などの混合物に塩基を滴下することにより実施される。
溶媒としては、水、または有機溶媒と水との混合溶媒が通常使用される。かかる有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジイソプロピルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等のエーテル類などが挙げられる。
溶媒の使用量は通常、フェノール誘導体〔VII 〕に対して1〜20重量倍程度である。
【0039】
また、有機溶媒と水との二層系溶媒の存在下に実施する場合は、相間移動触媒を共存させることも有効である。かかる相間移動触媒としては、例えば臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩が挙げられる。その使用量は通常、フェノール誘導体〔VII 〕に対して、0.02〜0.1モル倍である。
反応は通常、約20〜100℃で実施される。生成したベンジルハライド誘導体〔IV’ 〕は、例えば抽出、蒸留、晶析等の手段により取り出すことができる。
【0040】
次いで、ベンジルハライド誘導体〔IV’ 〕にシアノ化合物を作用させることにより、フェニルアセトニトリル類〔I’〕を含む粗ニトリル類を製造し得るが、使用するベンジルハライド誘導体〔IV’ 〕は、不純物、例えば、α,α’−ジ置換キシレン誘導体〔VIII〕、α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕製造時の原料、副生成物等の不純物などを含む粗ベンジルハライド誘導体であっても良いし、もちろん高純度品であっても良い。
シアノ化反応、後処理を、例えば前記ルート▲1▼と同様に実施することにより、フェニルアセトニトリル類〔I’〕を含む粗ニトリル類を製造し得、本発明の反応に供することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、粗フェニルアセトニトリル類に、亜硝酸アルキルを反応させた後、反応マスを水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和することにより、目的とするα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類を、高純度、高収率でしかも容易に製造し得る。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0043】
参考例1 原料の製造
(1) 2−フェノキシベンジルブロミドの製造
2−フェノキシトルエン120.0g(651mmol)をクロロベンゼン240gに溶解させ、135ないし140℃に加熱し還流させた。該溶液中に、140ないし150℃に加熱した気体臭素105.0g(657mmol)を、4時間かけて吹き込み、さらに135ないし140℃で1.5時間攪拌を続けた。次いで、室温まで放冷することにより、2−フェノキシベンジルブロミド122.9g(467mmol、収率71.7%)、2−フェノキシトルエン16.5g(89.3mmol、回収率13.7%)、および2−フェノキシベンザルブロミド32.0g(93.6mmol、収率14.4%)を含むクロロベンゼン溶液(408.1g)を得た。
【0044】
(2) 2−フェノキシフェニルアセトニトリルの製造
上記のクロロベンゼン溶液(393.3g)に、テトラ−n−ブチルアンモニムブロミド7.25g(22.5mmol)を加えて78ないし82℃に加熱し、これにに30%シアン化ナトリウム水溶液80.9g(495mmol)を3時間かけて滴下した後、さらに78ないし82℃で2時間攪拌を続けた。
次いで、室温まで放冷し、二層に分離した反応液を分液して有機層を得、該有機層を水で洗浄した後、濃縮した。かくして、2−フェノキシフェニルアセトニトリル92.6g(442mmol、収率98.3%)、2−フェノキシトルエン15.8g(85.7mmol、回収率99.7%)、および2−フェノキシベンザルブロミド30.9g(90.4mmol、回収率100%)を含む混合物を得た。
【0045】
実施例1
α−ヒドロキシイミノ−2−フェノキシフェニルアセトニトリルの製造例
【0046】
(1) 亜硝酸メチルの調製
亜硝酸ナトリウム35.6g(516mmol)、メタノール17.9g(559mmol)および水21.5gからなる混合物を、室温で緩やかに撹拌して懸濁液とした。室温、撹拌下、該懸濁液に60%硫酸44.28g(271mmol)を8時間かけて滴下することにより、気体の亜硝酸メチル(約516mmol)を8時間かけて発生させ、次反応に用いた。
【0047】
(2) α−ヒドロキシイミノ−2−フェノキシフェニルアセトニトリルの製造
水酸化ナトリウム21.3g(516mmol)をメタノール116.3gに溶かし、これに、参考例1で製造した2−フェノキシフェニルアセトニトリル90.0g(430mmol)、2−フェノキシトルエン15.3g(83.3mmol)、および2−フェノキシベンザルブロミド30.1g(87.9mmol)を含む混合物のクロロベンゼン溶液(367.1g)を混合し、室温で撹拌した。
次いで、該混合物に、(1) で調製した亜硝酸メチル31.5g(約516mmol)を8時間かけて吹き込み、さらに室温で15時間攪拌を続けた。該反応混合物を濃縮してメタノールおよびその他の低沸成分を留去した後、水300ml,およびトルエン300mlを添加して抽出、分液した。得られた水層は、さらにトルエン150mlで2回洗浄した。
【0048】
得られた有機層をすべて合わせた後、濃縮して、2−フェノキシフェニルアセトニトリル0.64g(3mmol、回収率0.7%)、2−フェノキシトルエン15.3g(83.3mmol、回収率100%)、および2−フェノキシベンザルブロミド22.4g(65.6mmol、回収率74.6%)を含む混合物を得た。
一方、得られた水層を0ないし5℃に冷却し、97%硫酸30.3g(309mmol)を0ないし10℃で滴下して、該反応混合物のpHを2以下とした。次いで、室温でトルエン400mlを加えて抽出、分液し、水層はさらにトルエン150mlで1回抽出した。得られた有機層をすべて合わせ、食塩水150mlで洗浄した後、濃縮することにより、α−ヒドロキシイミノ−2−フェノキシフェニルアセトニトリル93.7g(393mmol、収率91.4%)を得た。このものの純度は、高速液体クロマトグラフ法により分析したところ99.5%であった。
【0049】
比較例1
(1) 2−フェノキシベンジルブロミドの蒸留
参考例1−(1) に準拠して製造した2−フェノキシベンジルブロミド28.97g(110mmol)、2−フェノキシトルエン4.68g(25.4mmol)、2−フェノキシベンザルブロミド5.41g(15.8mmol)を含むクロロベンゼン溶液(91.68g)を減圧下で蒸留し、沸点133〜134℃/0.3mmHgの留分を集めることにより、2−フェノキシベンジルブロミド16.86g(64.1mmol、蒸留収率58.2%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、含量は93.8%であった。
【0050】
(2) 2−フェノキシフェニルアセトニトリルの蒸留
参考例1−(2) に準拠して製造した2−フェノキシフェニルアセトニトリル130.9g(626mmol)、2−フェノキシトルエン23.8g(129mmol)、2−フェノキシベンザルブロミド41g(120mmol)を含むトルエン溶液440.8gを減圧下で蒸留し、沸点159℃/3mmHgの留分を集めることにより、2−フェノキシフェニルアセトニトリル101.9g(487mmol、蒸留収率77.8%)を得た。
ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、含量は98.2%であった。
【0051】
参考例2−(1) 原料の製造
攪拌下、トルエン2017gにα,α’−ジクロロ−o−キシレン840g(4.8mol)、2,5−ジメチルフェノール195g(1.6mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム25.8g(0.08mol)を加えた後、水268gを加えて60℃に昇温した。
次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液261g(1.76mol)を5時間かけて滴下し、同温度で3時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液し、有機層を5%塩酸1000gで洗浄、水1000gで2回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸留により留去して2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド292g(1.12mol、収率69.9%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン64.3g(0.186mol、収率23.2%)を含む混合物372gを得た。
【0052】
水241g、トルエン670g、シアン化ナトリウム60.2g(1.23mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム16.4g(0.051mol)からなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、トルエン84.5gと上記で製造した混合物338gとの混合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに2.75時間保温した。
次いで、室温まで冷却して水層を分液し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液345gで洗浄、水345gで2回洗浄した後、濃縮することにより2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル248g(0.987mol、収率97.1%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン57.5g(0.166mol、回収率98.3%)を含む混合物306gを得た。
【0053】
参考例2−(2)
攪拌下、トルエン1619gにα,α’−ジクロロ−o−キシレン788g(4.50mol)、2,5−ジメチルフェノール183g(1.50mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム24.2g(0.075mol)を加えた後、水1246gを加えて60℃に昇温した。
次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液244g(1.65mol)を5時間かけて滴下し、同温度で3時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液し、有機層を5%塩酸810gで洗浄、水810gで2回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸留により留去して2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド279g(1.07mol、収率71.3%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン57.7g(0.167mol、収率22.2%)を含む混合物364gを得た。このようにして得られる混合物は、トルエンを加えて希釈して次工程に用いることができる。
【0054】
参考例2−(3)
攪拌下、トルエン140.0gにα,α’−ジクロロ−o−キシレン113.8g(0.65mol)、2,5−ジメチルフェノール15.9g(0.13mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム2.10g(0.0065mol)を加えた後、水108.0gを加えて60℃に昇温した。
次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液21.2g(0.143mol)を5時間かけて滴下し、同温度で2時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液し、有機層を5%塩酸70.2gで洗浄、水70.2gで2回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸留により留去して2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド26.4g(0.101mol、収率77.8%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン3.08g(0.0089mol、収率13.7%)を含む混合物33.5gを得た。このようにして得られる混合物は、トルエンを加えて希釈して次工程に用いることができる。
【0055】
参考例2−(4)
α,α’−ジクロロ−o−キシレン 45.5g(0.26mol)用いる以外は参考例2−(3) と同様にして反応、後処理を実施して2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド20.7g(0.079mol、収率61.1%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン6.97g(0.020mol、収率30.9%)を含む混合物36.7gを得た。
【0056】
参考例2−(5)
α,α’−ジクロロ−o−キシレン 22.8g(0.13mol)、2,5−ジメチルフェノール 15.9g(0.13mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム 2.10g(0.0065mol)にトルエン 140.3gを加え、次に水を108.0gを加えて攪拌し、該混合物に27%水酸化ナトリウム水溶液21.2g(0.143mol)を60℃で5時間かけて滴下し、さらに60℃で9時間保温した。該反応液を室温まで冷却した後、水層を分液した。有機層を5%塩酸70.2gで洗浄した後、水 70.2gで2回洗浄した。有機層を濃縮することにより2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド12.1g(0.0464mol、収率35.7%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン11.7g(0.0338mol、収率52.0%)を含む混合物25.7gを得た。
【0057】
参考例3−(1) 原料の製造
水266g、シアン化ナトリウム66.6g(1.36mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム16.4g(0.051mol)、トルエン439gからなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、参考例2−(3) に準拠して製造した2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド266g(1.02mol)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン56.5g(0.163mol)を含む混合物のトルエン溶液715gを5時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間保温した。
次いで、室温まで冷却して水層を分液し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液379gで3回洗浄、水379gで洗浄した後、10%食塩水379gで洗浄し、1141gの有機層を得た。該有機層のうち716gに11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液43.3g(0.064mol)を加え、23℃で3時間攪拌した後、析出した不溶分を濾過により除去した。有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液100gで洗浄、次いで水100gで洗浄し、さらに10%食塩水で洗浄した後、濃縮することにより2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル157.1g(0.625mol、収率97.7%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン35.4g(0.102mol、回収率99.5%)を含む混合物531.4gを得た。
【0058】
参考例3−(2)
参考例2−(2) に準拠して、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド292g(1.12mol、収率69.9%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン64.3g(0.186mol、収率23.2%)を含む混合物372gを得た。
【0059】
水241g、シアン化ナトリウム60.2g(1.23mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム16.4g(0.051mol)、トルエン670gからなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、上記で製造した混合物338gにトルエン84.5gを加えた混合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに2.75時間保温した。
次いで、室温まで冷却して水層を分液し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液345gで洗浄、水345gで2回洗浄した後、濃縮することにより2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル248g(0.987mol、収率97.1%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン57.5g(0.166mol、回収率98.3%)を含む混合物306gを得た。
【0060】
実施例2
室温、攪拌下、トルエン50.42gに、参考例2−(1) で得られた混合物29.77g、メタノール6.46g、水酸化カリウム6.46g(115mmol)を加えた後、これに亜硝酸ブチル11.87g(115mmol)を同温度で2時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間攪拌した。得られた104gの均一溶液を2分割した。
次いで、2分割した一方の溶液52gに水50gを加えて、抽出、分液し、得られた水層をトルエン25mlで2回洗浄した後、15℃に冷却して、36%塩酸を用いてpHを1とした。これにジエチルエーテル50mlを加えて抽出、分液した後、水層をさらにジエチルエーテル25mlで2回抽出し、得られたエーテル層をすべて合わせ、これを10%食塩水30mlで3回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮することにより微桃色の固体13.65gを得た。
高速液体クロマトグラフィーで分析したところα−ヒドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルの含量は、95.1%であった。収率96.5%
【0061】
比較例2
実施例2で2分割したもう一方の溶液52gを15℃に冷却して、36%塩酸を用いてpHを1とした後、ジエチルエーテル50ml、水25mlを加えて抽出、分液した後、水層をさらにジエチルエーテル25mlで2回抽出し、得られたエーテル層をすべて合わせ、これを10%食塩水30mlで3回洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮することにより茶色の固体17.65gを得た。
α−ヒドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルの含量は74.5%(収率は97.7%)であった。
1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼンの含量は15%であった。
【0062】
実施例3−(1)
参考例2−(1) に準拠して製造した2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル75.40g(300mmol)および1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン17.54g(50.6mmol)を含む混合物のトルエン溶液264.5gに、攪拌下、室温で水酸化カリウム23.57g(420mmol)、n−ブタノール58.93gを加えた後、亜硝酸ブチル37.12g(360mmol)を含むトルエン溶液142.1gを同温度で5時間かけて滴下し、同温度でさらに2.8時間保温した。
得られた486.9gの均一溶液に水298gを加えて50℃に加熱し、同温度でさらに3時間保温した。この混合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しながらトルエン、n−ブタノールを留去して635gにまで濃縮した後、トルエン150gで2回洗浄した。
かくしてα−ヒドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルのカリウム塩91.15g(286mmol、収率95.4%)を含む水溶液624.9gを得、これを36%塩酸で中和した。1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼンは、水溶液中に確認されず、洗浄後のトルエン層29g中に17.43g(50.3mmol、回収率99.4%)含まれていた。
【0063】
実施例3−(2)
水500g、トルエン434g、亜硝酸ナトリウム103.5g(1.50mol)およびn−ブタノール113.4g(1.53mol)からなる混合物を攪拌下、0℃に冷却した後、35%塩酸156.3g(1.50mol)を5時間かけて滴下し、さらに同温度で2時間保温した。該混合物を分液し、有機層を4%炭酸水素ナトリウム水溶液250gで2回洗浄し、さらに20%食塩水250gで洗浄した。
かくして得られた亜硝酸ブチルのトルエン溶液をガスクロマトグラフィー内部標準法により分析した結果、亜硝酸ブチルの含量は26.1%、収率は、亜硝酸ナトリウムに対して、98.7%であった。
【0064】
参考例3−(1) に準拠して得た2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル155.8g(0.620mol)および1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン35.1g(0.101mol)を含む混合物のトルエン溶液527.2gに22−25℃、攪拌下で水酸化カリウム50.3g(0.896mol)、n−ブタノール125.7gを加えた後、上記に準拠して製造した亜硝酸ブチル79.2g(0.768mol)を含むトルエン溶液308.3gを同温度で5時間かけて滴下し、同温度でさらに2時間保温した。
該反応混合物に水620gを加えて60℃に加熱し、同温度でさらに3時間保温した。この混合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しながら、トルエン、n−ブタノールを留去した後、トルエン300gで2回洗浄した。
かくしてα−ヒドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルのカリウム塩189.1g(0.594mol、収率95.8%、E/Z=15/85)を含む水溶液1262.7gを得た。1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼンは水溶液中には認められず、洗浄したトルエン594g中に33.7g(0.097mol、回収率96.1%)含まれていた。
【0065】
参考例4 原料の製造
攪拌下、トルエン1619gにα,α’−ジクロロ−o−キシレン788g(4.5mol)、4−クロロ−2−メチルフェノール214g(1.5mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム24.2g(0.075mol)を加えた後、水1246gを加えて60℃に昇温した。
次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液244g(1.65mol)を5時間かけて滴下し、同温度で3時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液し、有機層を5%塩酸810gで洗浄、水810gで2回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸留により留去して2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド274g(0.976mol、収率65.0%)、1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン82.6g(0.213mol、収率28.5%)を含む混合物381gを得た。
【0066】
水196g、トルエン324g、シアン化ナトリウム49.0g(1.00mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム12.9g(0.040mol)からなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、トルエン313gと上記で製造した混合物313gとの混合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間保温した。
次いで、室温まで冷却して水層を分液し、有機層を5%水酸化ナトリウム水溶液338gで3回洗浄、水338gで2回洗浄、10%塩化ナトリウム水溶液338gで洗浄した後、濃縮することにより2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル202g(0.745mol、収率93.2%)、1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン66.2g(0.171mol、回収率99.4%)を含む混合物を得た。
【0067】
実施例4
参考例4で製造した2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル188.9g(695mmol)および1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン61.8g(160mmol)を含む混合物のトルエン溶液676.1gに、攪拌下、室温で水酸化カリウム56.8g(978mmol)、n−ブタノール142gを加えた後、亜硝酸ブチル86.47g(839mmol)を同温度で5時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間保温した。
得られた961gの均一溶液に水588gを加え、この混合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しながらトルエン、n−ブタノールを留去して1271gにまで濃縮した後、トルエン350gで2回洗浄した。
かくしてα−ヒドロキシイミノ−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルのカリウム塩239.7g(707mmol、収率102%)を含む水溶液1288gを得、これを36%塩酸で中和した。1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)ベンゼンは、水溶液中に確認されず、洗浄後のトルエン層683g中に61.8g(160mmol、回収率100%)含まれていた。

Claims (8)

  1. 塩基の存在下、式〔I〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、RおよびRは、同一または相異なり、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基を表し、Zは、O、OCH、SまたはSCHを表す。)
    で示されるフェニルアセトニトリル類を含む粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させた後、反応混合物を水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和することを特徴とする式〔II〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、R、RおよびZは前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法。
  2. フェニルアセトニトリル類が、2−フェノキシフェニルアセトニトリル、2−(2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル、2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル、2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリルから選ばれる請求項1記載の製造方法。
  3. 亜硝酸アルキルが、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸アミル、亜硝酸ヘキシルから選ばれる請求項1記載の製造方法。
  4. 式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリル類のZが、OCHまたはSCHである請求項1記載の製造方法。
  5. 式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリル類を含む粗ニトリル類が、式〔IV’〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、RおよびRは、前記と同じ意味を表わし、Aは、OまたはSを表わし、Xは、ハロゲン原子を表わす。)
    で示されるα−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔IV’ 〕をシアノ化合物と反応させることにより製造される請求項4記載の製造方法。
  6. α−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔IV’ 〕が、式〔VII 〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、R、RおよびAは、前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるフェノール誘導体〔VII 〕と、式〔VI〕
    Figure 0003591877
    (式中、Xは、前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるα,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕とを反応させることにより製造される請求項5記載の製造方法。
  7. 式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリル類を含む粗ニトリル類が、式〔IV〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、R、R、XおよびZは、前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるベンジルハライド誘導体とシアノ化合物とを反応させることにより製造される請求項1記載の製造方法。
  8. 式〔IV〕で示されるベンジルハライド誘導体が、式〔III 〕
    Figure 0003591877
    (式中、R、R、RおよびZは、前記と同じ意味を表わす。)
    で示されるトルエン誘導体とハロゲン原子とを反応させることにより製造される請求項7記載の製造方法。
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