JPH0770042A - α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法 - Google Patents

α−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリル類の製造方法

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JPH0770042A
JPH0770042A JP15122394A JP15122394A JPH0770042A JP H0770042 A JPH0770042 A JP H0770042A JP 15122394 A JP15122394 A JP 15122394A JP 15122394 A JP15122394 A JP 15122394A JP H0770042 A JPH0770042 A JP H0770042A
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晃 高瀬
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浩幸 甲斐
Moriyasu Masui
盛泰 桝井
Katsuhisa Masumoto
勝久 増本
Akihiko Nakamura
明彦 中村
Yujiro Kiyoshima
裕二郎 清島
Mikio Sasaki
幹雄 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】塩基の存在下、式〔I〕 (式中、R1 、R2 およびR3 は、同一または相異な
り、水素、ハロゲン、ニトロ基、トリフルオロメチル
基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
キシ基を表し、Zは、O、OCH2 、SまたはSCH2
を表す。)で示されるフェニルアセトニトリル類を含む
粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させた後、反応混
合物を水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和する
ことを特徴とする式〔II〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびZは前記と同じ意味を
有する。)で示されるα−ヒドロキシイミノフェニルア
セトニトリル類の製造方法。 【効果】反応マスを水で抽出し、次いで分取した水層を
酸で中和することにより、目的とするα−ヒドロキシイ
ミノフェニルアセトニトリル類を、高純度、高収率でし
かも容易に製造し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、α−ヒドロキシイミノ
フェニルアセトニトリル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】α−ヒド
ロキシイミノフェニルアセトニトリル類は、植物の成長
促進剤、農業用殺菌剤等の中間体として知られている
(特公昭62-54096号公報等) 。その製造方法として、例
えばα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリルは、
アルコール溶媒、塩基の水溶液の存在下、フェニルアセ
トニトリルに、亜硝酸アルキルを反応させた後、酸で中
和して低沸分を留去し、析出した固体を濾別することに
より製造することも知られている(特開昭54-163548 号
公報等) 。
【0003】しかしながら、原料であるフェニルアセト
ニトリル類として、不純物を含む粗原料を用いた場合
は、上記方法で製造すると、目的物であるα−ヒドロキ
シイミノフェニルアセトニトリル類の純度等が低下する
という難点があった。一方、粗原料を蒸留等により精製
して用いる場合は、煩雑な分離精製工程を必要とするの
みならず、その操作等により収率が低下するという難点
があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、粗フェニ
ルアセトニトリル類を用いたα−ヒドロキシイミノフェ
ニルアセトニトリル類のより優れた製造方法を見出すべ
く鋭意検討を重ねた結果、粗フェニルアセトニトリル類
に、亜硝酸アルキルを反応させた後、反応マスを水で抽
出し、次いで分取した水層を酸で中和することにより、
目的とするα−ヒドロキシイミノフェニルアセトニトリ
ル類が、高純度、高収率でしかも容易に製造し得ること
を見出すとともに更に種々の検討を加えて本発明を完成
した。
【0005】すなわち本発明は、塩基の存在下、式
〔I〕 (式中、R1 、R2 およびR3 は、同一または相異な
り、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、トリフルオロ
メチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5の
アルコキシ基を表し、Zは、O、OCH2 、SまたはS
CH2 を表す。)で示されるフェニルアセトニトリル類
を含む粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させた後、
反応混合物を水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中
和することを特徴とする式〔II〕
【0006】 (式中、R1 、R2 、R3 およびZは前記と同じ意味を
有する。)で示されるα−ヒドロキシイミノフェニルア
セトニトリル類の工業的に優れた製造方法を提供するも
のである。
【0007】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の原料成分であるフェニルアセトニトリル類〔I〕
の置換基R1 、R2およびR3 としては、例えば、水素
原子、フッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子、ニ
トロ基、トリフルオロメチル基、メチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三級ブチ
ル、ペンチル等の炭素数1〜5のアルキル基、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、イソブトキシ、第三級ブトキシ、ペンチルオキシ等
の炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられる。また
Zとしては、酸素原子、オキシメチレン基、硫黄原子、
チオメチレン基などが挙げられる。
【0008】フェニルアセトニトリル類〔I〕の具体的
化合物としては、例えば2-フェノキシフェニルアセトニ
トリル、3-フェノキシフェニルアセトニトリル、4-フェ
ノキシフェニルアセトニトリル、2-(2- フルオロフェノ
キシ) フェニルアセトニトリル、4-(3- クロロフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、3-(4- ブロモフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、3-(3- ニトロフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、2-(4- ニトロフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、2-(2- メトキシフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、4-(3- メトキシフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、3-(2- エトキシフェノキ
シ) フェニルアセトニトリル、4-(2- イソプロポキシフ
ェノキシ) フェニルアセトニトリル、4-(4- ブトキシフ
ェノキシ) フェニルアセトニトリル、3-(2- メトキシ-5
- ニトロフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2-(2,3
- ジメトキシフェノキシ) フェニルアセトニトリル、2-
(3,4,5- トリメトキシフェノキシ) フェニルアセトニト
リル、2-( フェニルチオ) フェニルアセトニトリル、4-
(4- ニトロフェニルチオ) フェニルアセトニトリル、3-
(2- メトキシフェニルチオ) フェニルアセトニトリル、
【0009】2-( フェノキシメチル) フェニルアセトニ
トリル、3-( フェノキシメチル) フェニルアセトニトリ
ル、4-( フェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、
2-(2-フルオロフェノキシメチル) フェニルアセトニト
リル、4-(3- フルオロフェノキシメチル) フェニルアセ
トニトリル、2-(3- クロロフェノキシメチル) フェニル
アセトニトリル、2-(4- クロロフェノキシメチル) フェ
ニルアセトニトリル、3-(4- ブロモフェノキシメチル)
フェニルアセトニトリル、4-(3- ニトロフェノキシメチ
ル) フェニルアセトニトリル、2-(3- トリフルオロメチ
ルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2-(2-
メチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2-
(4- エチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリ
ル、3-(2- プロピルフェノキシメチル) フェニルアセト
ニトリル、2-(4- イソプロピルフェノキシメチル) フェ
ニルアセトニトリル、3-(3-t- ブチルフェノキシメチ
ル) フェニルアセトニトリル、2-(2- メトキシフェノキ
シメチル) フェニルアセトニトリル、2-(4- ブトキシフ
ェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、
【0010】2-(2,4- ジクロロフェノキシメチル) フェ
ニルアセトニトリル、2-(2,4- ジフルオロフェノキシメ
チル) フェニルアセトニトリル、3-(3- クロロ-4- フル
オロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4-(4
- クロロ-2- ニトロフェノキシメチル) フェニルアセト
ニトリル、2-(4- クロロ-2- メチルフェノキシメチル)
フェニルアセトニトリル、3-(2- フルオロ-6- メトキシ
フェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2-(3- メ
チル-4- ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニト
リル、3-(2- メトキシ-4- ニトロフェノキシメチル) フ
ェニルアセトニトリル、2-(2,4- ジメチルフェノキシメ
チル) フェニルアセトニトリル、2-(2,5-ジメチルフェ
ノキシメチル) フェニルアセトニトリル、4-(2- メトキ
シ-4- メチルフェノキシメチル) フェニルアセトニトリ
ル、
【0011】2-(3,4- ジメトキシフェノキシメチル) フ
ェニルアセトニトリル、3-(2,4,5- トリクロロフェノキ
シメチル) フェニルアセトニトリル、4-(2,3- ジフルオ
ロ-6-ニトロフェノキシメチル) フェニルアセトニトリ
ル、3-(4- クロロ-3,5- ジメチルフェノキシメチル) フ
ェニルアセトニトリル、2-(2,3,5- トリメチルフェノキ
シメチル) フェニルアセトニトリル、2-(3,4,5- トリメ
トキシフェノキシメチル) フェニルアセトニトリル、2-
( フェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル、2-(4
- フルオロフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリ
ル、3-(4- ニトロフェニルチオメチル) フェニルアセト
ニトリル、4-(2- メトキシフェニルチオメチル) フェニ
ルアセトニトリル、3-(3,4- ジクロロフェニルチオメチ
ル) フェニルアセトニトリル、2-(2,4- ジメチルフェニ
ルチオメチル) フェニルアセトニトリル、2-(2,5- ジメ
チルフェニルチオメチル) フェニルアセトニトリル等が
挙げられる。
【0012】本発明の原料である粗ニトリル類は上記の
ようなフェニルアセトニトリル類〔I〕の他に、不純物
として、例えばフェニルアセトニトリル類〔I〕製造時
の原料、副生成物等を含有することができる。
【0013】かかる不純物としては、例えば、フェニル
アセトニトリル類〔I〕が以下のルートで製造される
場合は、例えばトルエン誘導体〔III 〕、ベンジルハラ
イド誘導体〔IV〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕等が
挙げられる。 (ルート)
【0014】また以下のルートで製造される場合、不
純物としては、α−置換,α’−ハロキシレン誘導体
〔IV' 〕、α,α’−ジ置換キシレン誘導体〔VIII〕等
の他、α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕およびこ
れの製造時の原料、副生成物等が挙げられる。 (ルート)
【0015】粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させ
るにあたり、使用される亜硝酸アルキルとしては、例え
ば、亜硝酸メチル、亜硝酸エチル、亜硝酸n−プロピ
ル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸ア
ミル、亜硝酸ヘキシルなどが挙げられる。かかる亜硝酸
アルキルは、公知の方法により合成して用いても良い
し、市販品を用いても良い。亜硝酸アルキルの使用量
は、フェニルアセトニトリル類〔I〕に対して0.8な
いし10倍モルであり、好ましくは1ないし2倍モルで
ある。
【0016】また、塩基としては、例えば水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩な
どの無機塩基が通常使用されるが、例えば、ナトリウム
エトキシドのようなアルカリ金属アルコキシドなどの有
機塩基を使用することもできる。 これらは、2種以上
用いることもできる。塩基の使用量は、フェニルアセト
ニトリル類〔I〕に対して通常0.8ないし10倍モル
であり、好ましくは1ないし2倍モルである。
【0017】また反応は、溶媒の存在下に通常実施され
る。かかる溶媒としては、例えばメタノール、エタノー
ル等のアルコール類、、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ヘキサン、
ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-
ジクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素類などの実質上反応に不活性な
溶媒が挙げられる。これらは2種以上用いることもでき
る。また、含水アルコールを使用することもできる。溶
媒の使用量は、粗フェニルアセトニトリル類に対して、
通常、約1〜10重量倍である。
【0018】反応は、塩基の存在下、通常0℃ないし反
応混合物の還流温度、好ましくは0ないし40℃で実施
される。
【0019】かくして、目的物であるα−ヒドロキシイ
ミノフェニルアセトニトリル類〔II〕を含む反応混合物
が得られるが、該混合物を水で抽出することにより目的
物〔II〕を水層に、不純物を有機層に分離取得すること
ができる。
【0020】水で抽出するにあたっては、反応混合物に
水を加えるが、反応混合物に親水性の有機溶媒が含まれ
る場合は、予め濃縮等の手段により、親水性の有機溶媒
を除去した反応混合物が通常使用される。水は、その総
量が、使用した粗フェニルアセトニトリル類に対して、
通常、約1〜20重量倍程度になるように加えられる。
【0021】また、水に不溶または難溶の有機溶媒、例
えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジエチル
エーテル等のエーテル類、メチルイソブチルケトン等の
ケトン類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロ
ロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素などを加えることも好ましく、かかる有機溶媒の添加
により不純物を効率よく分離することができる。その場
合、有機溶媒は、その総量が加えた水に対して、通常、
約0.1〜5重量倍程度になるように加えられる。
【0022】抽出操作により分取された水層は、更に水
に不溶または難溶の有機溶媒で洗浄することもできる。
【0023】次いで、分取された水層を酸で中和する
が、中和することなしに、次工程原料として供給するこ
ともできる。 酸を使用する場合の酸としては、有機
酸、無機酸いずれを用いても良いが、好ましくは無機酸
である。好ましい無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、
硝酸などの鉱酸が挙げられる。酸は、系のpHが7以
下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下になるま
で使用される。酸による中和反応は、通常−10ないし
100℃、好ましくは0ないし40℃で実施される。
【0024】かくして目的物α−ヒドロキシイミノフェ
ニルアセトニトリル類〔II〕が得られるが、目的物は常
法により取り出すことができる。例えば、目的物が結晶
として得られる場合は、濾過することにより、油状物と
して得られた場合は、例えば有機溶媒で抽出した後、該
有機溶媒を留去することにより、単離することができ
る。
【0025】次に、本発明の原料である粗ニトリル類の
製造方法について説明する。本発明の粗ニトリル類は特
に限定されるものではないが、例えば前記ルート、
等の方法により製造することができる。
【0026】粗ニトリル類をルートで製造する場合、
例えばトルエン誘導体〔III 〕にハロゲンを作用させて
ベンジルハライド誘導体〔IV〕を製造し、次いでこれに
シアノ化合物を作用させることによりフェニルアセトニ
トリル類〔I〕を含む粗ニトリル類を製造し得る。
【0027】トルエン誘導体〔III 〕における置換基R
1 、R2 およびR3 としては、例えば、前記と同様な水
素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜5のアル
キル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられ
る。またZとしては、O、OCH2 、SまたはSCH2
などが挙げられる。具体的化合物としては、例えば1-メ
チル-2- フェノキシベンゼン、1-(2- フルオロフェノキ
シ)-2-メチルベンゼン、1-(4- ブロモフェノキシ)-3-メ
チルベンゼン、1-(2- メトキシフェノキシ)-2-メチルベ
ンゼン、1-(2- イソプロポキシフェノキシ)-4-メチルベ
ンゼン、1-(4- ブトキシフェノキシ)-4-メチルベンゼ
ン、1-(2,3- ジメトキシフェノキシ)-2-メチルベンゼ
ン、1-メチル-2-(3,4,5-トリメトキシフェノキシ) ベン
ゼン、1-メチル-2-(フェニルチオ) ベンゼン、1-(2- メ
トキシフェニルチオ)-3-メチルベンゼン等が挙げられ
る。また、ベンジルハライド誘導体〔IV〕は、トルエン
誘導体〔III 〕から、例えば特開昭56−166142
号、特開昭57−18644号公報等に記載の方法に準
拠して製造し得る。
【0028】ベンジルハライド誘導体〔IV〕にシアノ化
合物を作用させるに当たり、使用するベンジルハライド
誘導体〔IV〕は、不純物、例えばトルエン誘導体〔III
〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕等の不純物を含ん
でいる粗ベンジルハライド誘導体であっても良いし、も
ちろん高純度のものであっても良い。シアノ化合物とし
ては、例えばシアン化ナトリウム、シアン化カリウム、
これらの混合物等が挙げられる。また反応系中で、シア
ン化水素とアルカリ金属塩、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
と反応させることによって、調製して用いることもでき
る。かかるシアン化合物の使用量は、ベンジルハライド
誘導体〔IV〕に対して通常0.8ないし10倍モルであ
り、好ましくは1ないし2倍モルである。
【0029】また反応は、溶媒の存在下で通常実施され
る。かかる溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶
媒、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどが挙げられるが、相間移動触媒の存在下、水と、
水に不溶または難溶の有機溶媒を用いることもできる。
かかる有機溶媒としては、例えばヘキサン、ヘプタン等
の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタ
ン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン
化炭化水素、これらの混合物等が挙げられる。溶媒は、
用いるベンジルハライド誘導体に対して、通常1〜10重
量倍使用される。
【0030】また相間移動触媒としては、4級アンモニ
ウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられるが、好まし
くは4級アンモニウム塩である。4級アンモニウムとし
ては、例えば、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、
塩化ベンジルトリエチルアンモニウム等が通常用いられ
る。相間移動触媒の使用量は、ベンジルハライド誘導体
〔IV〕に対して通常0.001ないし1倍モルであり、
好ましくは0.005ないし0.1倍モルである。
【0031】反応は、通常0℃ないし溶媒の還流温度で
実施される。かくして、シアノ化合物がベンジルハライ
ド誘導体〔IV〕に選択的に反応してフェニルアセトニト
リル誘導体〔I〕が生成するが、トルエン誘導体〔III
〕、ベンザルハライド誘導体〔V〕は、ほぼ定量的に
保持される。得られた反応混合物は、通常の方法、例え
ば水洗後、溶媒を留去した後、あるいは更にトルエン誘
導体〔III 〕等を留去した後、粗ニトリル類として本発
明の反応に供することができる。
【0032】また粗ニトリル類をルートで製造する場
合、例えば、塩基の存在下にα,α’−ジハロキシレン
誘導体〔VI〕とフェノール誘導体〔VII 〕とを反応せし
めてα−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔IV' 〕を製
造し、次いでこれにシアノ化合物を作用させることによ
りフェニルアセトニトリル類〔I'〕を含む粗ニトリル類
を製造し得る。
【0033】またα,α’−ジハロキシレン誘導体〔V
I〕の具体的化合物としては、例えばα,α’−ジクロ
ロ-o- キシレン、α,α’−ジクロロ-m- キシレン、
α,α’−ジクロロ-p- キシレン、α,α’−ジブロモ
-o- キシレン、α,α’−ジブロモ-m- キシレン、α,
α’−ジブロモ-p- キシレン等が挙げられる。
【0034】またフェノール誘導体〔VII 〕における置
換基R1 、R2 、R3 としては、例えば、前記と同様な
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜5のア
ルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基などが挙げられ
る。またAとしては、O、Sなどが挙げられる。 具体
的化合物としては、例えばフェノール、2-フルオロフェ
ノール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール、4-
ブロモフェノール、3-トリフルオロメチルフェノール、
2-メチルフェノール、4-i-プロピルフェノール、3-t-ブ
チルフェノール、2-メトキシフェノール、4-ブトキシフ
ェノール、2,4-ジクロロフェノール、2,5-ジクロロフェ
ノール、3-クロロ-4- フルオロフェノール、4-フルオロ
-3- メチルフェノール、4-クロロ-2- メチルフェノー
ル、2-フルオロ-6- メトキシフェノール、
【0035】2,4-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフ
ェノール、2-メトキシ-4- メチルフェノール、3,4-ジメ
トキシフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、4-ク
ロロ-3,5- ジメチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェ
ノール、3,4,5-トリメチルフェノール、チオフェノー
ル、4-フルオロチオフェノール、2-クロロチオフェノー
ル、3-ブロモチオフェノール、2-メトキシチオフェノー
ル、2,5-ジクロロチオフェノール、3,4-ジクロロチオフ
ェノール、2,4-ジメチルチオフェノール、2,5-ジメチル
チオフェノール、3,5-ジメチルチオフェノール等が挙げ
られる。
【0036】α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕
は、フェノール誘導体〔VII 〕に対して、通常1.5 モル
倍以上、好ましくは2〜6モル倍使用される。
【0037】また塩基としては、例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カ
ルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化
物、または炭酸塩などが挙げられる。その使用量は、フ
ェノール誘導体〔VII 〕に対して、通常0.7 〜1.5 モル
倍、好ましくは0.9 〜1.2 モル倍使用される。
【0038】反応は通常、溶媒、α,α’−ジハロキシ
レン誘導体〔VI〕、フェノール誘導体〔VII 〕などの混
合物に塩基を滴下することにより実施される。溶媒とし
ては、水、または有機溶媒と水との混合溶媒が通常使用
される。かかる有機溶媒としては、例えばトルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジ
クロロベンゼン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタ
ン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルイソブチ
ルケトン等のケトン類、ジイソプロピルエーテル、メチ
ル−t−ブチルエーテル等のエーテル類などが挙げられ
る。溶媒の使用量は通常、フェノール誘導体〔VII 〕に
対して1〜20重量倍程度である。
【0039】また、有機溶媒と水との二層系溶媒の存在
下に実施する場合は、相間移動触媒を共存させることも
有効である。かかる相間移動触媒としては、例えば臭化
テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエ
チルアンモニウム等の四級アンモニウム塩が挙げられ
る。その使用量は通常、フェノール誘導体〔VII 〕に対
して、0.02〜0.1モル倍である。反応は通常、約
20〜100℃で実施される。生成したベンジルハライ
ド誘導体〔IV' 〕は、例えば抽出、蒸留、晶析等の手段
により取り出すことができる。
【0040】次いで、ベンジルハライド誘導体〔IV' 〕
にシアノ化合物を作用させることにより、フェニルアセ
トニトリル類〔I'〕を含む粗ニトリル類を製造し得る
が、使用するベンジルハライド誘導体〔IV' 〕は、不純
物、例えば、α,α’−ジ置換キシレン誘導体〔VII
I〕、α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕製造時の
原料、副生成物等の不純物などを含む粗ベンジルハライ
ド誘導体であっても良いし、もちろん高純度品であって
も良い。シアノ化反応、後処理を、例えば前記ルート
と同様に実施することにより、フェニルアセトニトリル
類〔I'〕を含む粗ニトリル類を製造し得、本発明の反応
に供することができる。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によれば、粗フェニルアセ
トニトリル類に、亜硝酸アルキルを反応させた後、反応
マスを水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中和する
ことにより、目的とするα−ヒドロキシイミノフェニル
アセトニトリル類を、高純度、高収率でしかも容易に製
造し得る。
【0042】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるもの
ではない。
【0043】参考例1 原料の製造 (1) 2−フェノキシベンジルブロミドの製造 2−フェノキシトルエン120.0g(651mmo
l)をクロロベンゼン240gに溶解させ、135ない
し140℃に加熱し還流させた。該溶液中に、140な
いし150℃に加熱した気体臭素105.0g(657
mmol)を、4時間かけて吹き込み、さらに135な
いし140℃で1.5時間攪拌を続けた。次いで、室温
まで放冷することにより、2−フェノキシベンジルブロ
ミド122.9g(467mmol、収率71.7
%)、2−フェノキシトルエン16.5g(89.3m
mol、回収率13.7%)、および2−フェノキシベ
ンザルブロミド32.0g(93.6mmol、収率1
4.4%)を含むクロロベンゼン溶液(408.1g)
を得た。
【0044】(2) 2−フェノキシフェニルアセトニトリ
ルの製造 上記のクロロベンゼン溶液(393.3g)に、テトラ
−n−ブチルアンモニムブロミド7.25g(22.5
mmol)を加えて78ないし82℃に加熱し、これに
に30%シアン化ナトリウム水溶液80.9g(495
mmol)を3時間かけて滴下した後、さらに78ない
し82℃で2時間攪拌を続けた。次いで、室温まで放冷
し、二層に分離した反応液を分液して有機層を得、該有
機層を水で洗浄した後、濃縮した。かくして、2−フェ
ノキシフェニルアセトニトリル92.6g(442mm
ol、収率98.3%)、2−フェノキシトルエン1
5.8g(85.7mmol、回収率99.7%)、お
よび2−フェノキシベンザルブロミド30.9g(9
0.4mmol、回収率100%)を含む混合物を得
た。
【0045】実施例1 α−ヒドロキシイミノ−2−フェノキシフェニルアセト
ニトリルの製造例
【0046】(1) 亜硝酸メチルの調製 亜硝酸ナトリウム35.6g(516mmol)、メタ
ノール17.9g(559mmol)および水21.5
gからなる混合物を、室温で緩やかに撹拌して懸濁液と
した。室温、撹拌下、該懸濁液に60%硫酸44.28
g(271mmol)を8時間かけて滴下することによ
り、気体の亜硝酸メチル(約516mmol)を8時間
かけて発生させ、次反応に用いた。
【0047】(2) α−ヒドロキシイミノ−2−フェノキ
シフェニルアセトニトリルの製造 水酸化ナトリウム21.3g(516mmol)をメタ
ノール116.3gに溶かし、これに、参考例1で製造
した2−フェノキシフェニルアセトニトリル90.0g
(430mmol)、2−フェノキシトルエン15.3
g(83.3mmol)、および2−フェノキシベンザ
ルブロミド30.1g(87.9mmol)を含む混合
物のクロロベンゼン溶液(367.1g)を混合し、室
温で撹拌した。次いで、該混合物に、(1) で調製した亜
硝酸メチル31.5g(約516mmol)を8時間か
けて吹き込み、さらに室温で15時間攪拌を続けた。該
反応混合物を濃縮してメタノールおよびその他の低沸成
分を留去した後、水300ml,およびトルエン300
mlを添加して抽出、分液した。得られた水層は、さら
にトルエン150mlで2回洗浄した。
【0048】得られた有機層をすべて合わせた後、濃縮
して、2−フェノキシフェニルアセトニトリル0.64
g(3mmol、回収率0.7%)、2−フェノキシト
ルエン15.3g(83.3mmol、回収率100
%)、および2−フェノキシベンザルブロミド22.4
g(65.6mmol、回収率74.6%)を含む混合
物を得た。一方、得られた水層を0ないし5℃に冷却
し、97%硫酸30.3g(309mmol)を0ない
し10℃で滴下して、該反応混合物のpHを2以下とし
た。次いで、室温でトルエン400mlを加えて抽出、
分液し、水層はさらにトルエン150mlで1回抽出し
た。得られた有機層をすべて合わせ、食塩水150ml
で洗浄した後、濃縮することにより、α−ヒドロキシイ
ミノ−2−フェノキシフェニルアセトニトリル93.7
g(393mmol、収率91.4%)を得た。このも
のの純度は、高速液体クロマトグラフ法により分析した
ところ99.5%であった。
【0049】比較例1 (1) 2−フェノキシベンジルブロミドの蒸留 参考例1−(1) に準拠して製造した2−フェノキシベン
ジルブロミド28.97g(110mmol)、2−フ
ェノキシトルエン4.68g(25.4mmol)、2
−フェノキシベンザルブロミド5.41g(15.8m
mol)を含むクロロベンゼン溶液(91.68g)を
減圧下で蒸留し、沸点133〜134℃/0.3mmH
gの留分を集めることにより、2−フェノキシベンジル
ブロミド16.86g(64.1mmol、蒸留収率5
8.2%)を得た。ガスクロマトグラフィーにより分析
したところ、含量は93.8%であった。
【0050】(2) 2−フェノキシフェニルアセトニトリ
ルの蒸留 参考例1−(2) に準拠して製造した2−フェノキシフェ
ニルアセトニトリル130.9g(626mmol)、
2−フェノキシトルエン23.8g(129mmo
l)、2−フェノキシベンザルブロミド41g(120
mmol)を含むトルエン溶液440.8gを減圧下で
蒸留し、沸点159℃/3mmHgの留分を集めること
により、2−フェノキシフェニルアセトニトリル10
1.9g(487mmol、蒸留収率77.8%)を得
た。ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、含
量は98.2%であった。
【0051】参考例2−(1) 原料の製造 攪拌下、トルエン2017gにα,α’−ジクロロ−o
−キシレン840g(4.8mol)、2,5−ジメチ
ルフェノール195g(1.6mol)、臭化テトラ−
n−ブチルアンモニウム25.8g(0.08mol)
を加えた後、水268gを加えて60℃に昇温した。次
いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液261g
(1.76mol)を5時間かけて滴下し、同温度で3
時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液し、有
機層を5%塩酸1000gで洗浄、水1000gで2回
洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸留
により留去して2−(2,5−ジメチルフェノキシメチ
ル)ベンジルクロリド292g(1.12mol、収率
69.9%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノ
キシメチル)ベンゼン64.3g(0.186mol、
収率23.2%)を含む混合物372gを得た。
【0052】水241g、トルエン670g、シアン化
ナトリウム60.2g(1.23mol)、臭化テトラ
−n−ブチルアンモニウム16.4g(0.051mo
l)からなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、ト
ルエン84.5gと上記で製造した混合物338gとの
混合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに2.75
時間保温した。次いで、室温まで冷却して水層を分液
し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液345gで洗
浄、水345gで2回洗浄した後、濃縮することにより
2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルア
セトニトリル248g(0.987mol、収率97.
1%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメ
チル)ベンゼン57.5g(0.166mol、回収率
98.3%)を含む混合物306gを得た。
【0053】参考例2−(2) 攪拌下、トルエン1619gにα,α’−ジクロロ−o
−キシレン788g(4.50mol)、2,5−ジメ
チルフェノール183g(1.50mol)、臭化テト
ラ−n−ブチルアンモニウム24.2g(0.075m
ol)を加えた後、水1246gを加えて60℃に昇温
した。次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液2
44g(1.65mol)を5時間かけて滴下し、同温
度で3時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分液
し、有機層を5%塩酸810gで洗浄、水810gで2
回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを蒸
留により留去して2−(2,5−ジメチルフェノキシメ
チル)ベンジルクロリド279g(1.07mol、収
率71.3%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェ
ノキシメチル)ベンゼン57.7g(0.167mo
l、収率22.2%)を含む混合物364gを得た。こ
のようにして得られる混合物は、トルエンを加えて希釈
して次工程に用いることができる。
【0054】参考例2−(3) 攪拌下、トルエン140.0gにα,α’−ジクロロ−
o−キシレン113.8g(0.65mol)、2,5
−ジメチルフェノール15.9g(0.13mol)、
臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム2.10g(0.
0065mol)を加えた後、水108.0gを加えて
60℃に昇温した。次いで、これに27%水酸化ナトリ
ウム水溶液21.2g(0.143mol)を5時間か
けて滴下し、同温度で2時間保温した後、室温まで冷却
した。水層を分液し、有機層を5%塩酸70.2gで洗
浄、水70.2gで2回洗浄した後、α,α’−ジクロ
ロ−o−キシレンを蒸留により留去して2−(2,5−
ジメチルフェノキシメチル)ベンジルクロリド26.4
g(0.101mol、収率77.8%)、1,2−ビ
ス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン3.
08g(0.0089mol、収率13.7%)を含む
混合物33.5gを得た。このようにして得られる混合
物は、トルエンを加えて希釈して次工程に用いることが
できる。
【0055】参考例2−(4) α,α’−ジクロロ−o−キシレン 45.5g(0.
26mol)用いる以外は参考例2−(3) と同様にして
反応、後処理を実施して2−(2,5−ジメチルフェノ
キシメチル)ベンジルクロリド20.7g(0.079
mol、収率61.1%)、1,2−ビス(2,5−ジ
メチルフェノキシメチル)ベンゼン6.97g(0.0
20mol、収率30.9%)を含む混合物36.7g
を得た。
【0056】参考例2−(5) α,α’−ジクロロ−o−キシレン 22.8g(0.
13mol)、2,5−ジメチルフェノール 15.9
g(0.13mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム 2.10g(0.0065mol)にトルエン
140.3gを加え、次に水を108.0gを加えて
攪拌し、該混合物に27%水酸化ナトリウム水溶液2
1.2g(0.143mol)を60℃で5時間かけて
滴下し、さらに60℃で9時間保温した。該反応液を室
温まで冷却した後、水層を分液した。有機層を5%塩酸
70.2gで洗浄した後、水 70.2gで2回洗浄し
た。有機層を濃縮することにより2−(2,5−ジメチ
ルフェノキシメチル)ベンジルクロリド12.1g
(0.0464mol、収率35.7%)、1,2−ビ
ス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン1
1.7g(0.0338mol、収率52.0%)を含
む混合物25.7gを得た。
【0057】参考例3−(1) 原料の製造 水266g、シアン化ナトリウム66.6g(1.36
mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム16.
4g(0.051mol)、トルエン439gからなる
混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、参考例2−(3)
に準拠して製造した2−(2,5−ジメチルフェノキシ
メチル)ベンジルクロリド266g(1.02mo
l)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチ
ル)ベンゼン56.5g(0.163mol)を含む混
合物のトルエン溶液715gを5時間かけて滴下し、同
温度でさらに3時間保温した。次いで、室温まで冷却し
て水層を分液し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液
379gで3回洗浄、水379gで洗浄した後、10%
食塩水379gで洗浄し、1141gの有機層を得た。
該有機層のうち716gに11%次亜塩素酸ナトリウム
水溶液43.3g(0.064mol)を加え、23℃
で3時間攪拌した後、析出した不溶分を濾過により除去
した。有機層を10%亜硫酸ナトリウム水溶液100g
で洗浄、次いで水100gで洗浄し、さらに10%食塩
水で洗浄した後、濃縮することにより2−(2,5−ジ
メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル15
7.1g(0.625mol、収率97.7%)、1,
2−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼ
ン35.4g(0.102mol、回収率99.5%)
を含む混合物531.4gを得た。
【0058】参考例3−(2) 参考例2−(2) に準拠して、2−(2,5−ジメチルフ
ェノキシメチル)ベンジルクロリド292g(1.12
mol、収率69.9%)、1,2−ビス(2,5−ジ
メチルフェノキシメチル)ベンゼン64.3g(0.1
86mol、収率23.2%)を含む混合物372gを
得た。
【0059】水241g、シアン化ナトリウム60.2
g(1.23mol)、臭化テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム16.4g(0.051mol)、トルエン67
0gからなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、上
記で製造した混合物338gにトルエン84.5gを加
えた混合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに2.
75時間保温した。次いで、室温まで冷却して水層を分
液し、有機層を1%水酸化ナトリウム水溶液345gで
洗浄、水345gで2回洗浄した後、濃縮することによ
り2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニル
アセトニトリル248g(0.987mol、収率9
7.1%)、1,2−ビス(2,5−ジメチルフェノキ
シメチル)ベンゼン57.5g(0.166mol、回
収率98.3%)を含む混合物306gを得た。
【0060】実施例2 室温、攪拌下、トルエン50.42gに、参考例2−
(1) で得られた混合物29.77g、メタノール6.4
6g、水酸化カリウム6.46g(115mmol)を
加えた後、これに亜硝酸ブチル11.87g(115m
mol)を同温度で2時間かけて滴下し、同温度でさら
に3時間攪拌した。得られた104gの均一溶液を2分
割した。次いで、2分割した一方の溶液52gに水50
gを加えて、抽出、分液し、得られた水層をトルエン2
5mlで2回洗浄した後、15℃に冷却して、36%塩
酸を用いてpHを1とした。これにジエチルエーテル5
0mlを加えて抽出、分液した後、水層をさらにジエチ
ルエーテル25mlで2回抽出し、得られたエーテル層
をすべて合わせ、これを10%食塩水30mlで3回洗
浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮することにより微
桃色の固体13.65gを得た。高速液体クロマトグラ
フィーで分析したところα−ヒドロキシイミノ−2−
(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセト
ニトリルの含量は、95.1%であった。収率96.5
【0061】比較例2 実施例2で2分割したもう一方の溶液52gを15℃に
冷却して、36%塩酸を用いてpHを1とした後、ジエ
チルエーテル50ml、水25mlを加えて抽出、分液
した後、水層をさらにジエチルエーテル25mlで2回
抽出し、得られたエーテル層をすべて合わせ、これを1
0%食塩水30mlで3回洗浄、無水硫酸ナトリウムで
乾燥、濃縮することにより茶色の固体17.65gを得
た。α−ヒドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフ
ェノキシメチル)フェニルアセトニトリルの含量は7
4.5%(収率は97.7%)であった。1,2−ビス
(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼンの含量
は15%であった。
【0062】実施例3−(1) 参考例2−(1) に準拠して製造した2−(2,5−ジメ
チルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル75.
40g(300mmol)および1,2−ビス(2,5
−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン17.54g
(50.6mmol)を含む混合物のトルエン溶液26
4.5gに、攪拌下、室温で水酸化カリウム23.57
g(420mmol)、n−ブタノール58.93gを
加えた後、亜硝酸ブチル37.12g(360mmo
l)を含むトルエン溶液142.1gを同温度で5時間
かけて滴下し、同温度でさらに2.8時間保温した。得
られた486.9gの均一溶液に水298gを加えて5
0℃に加熱し、同温度でさらに3時間保温した。この混
合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しながらトルエ
ン、n−ブタノールを留去して635gにまで濃縮した
後、トルエン150gで2回洗浄した。かくしてα−ヒ
ドロキシイミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメ
チル)フェニルアセトニトリルのカリウム塩91.15
g(286mmol、収率95.4%)を含む水溶液6
24.9gを得、これを36%塩酸で中和した。1,2
−ビス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン
は、水溶液中に確認されず、洗浄後のトルエン層29g
中に17.43g(50.3mmol、回収率99.4
%)含まれていた。
【0063】実施例3−(2) 水500g、トルエン434g、亜硝酸ナトリウム10
3.5g(1.50mol)およびn−ブタノール11
3.4g(1.53mol)からなる混合物を攪拌下、
0℃に冷却した後、35%塩酸156.3g(1.50
mol)を5時間かけて滴下し、さらに同温度で2時間
保温した。該混合物を分液し、有機層を4%炭酸水素ナ
トリウム水溶液250gで2回洗浄し、さらに20%食
塩水250gで洗浄した。かくして得られた亜硝酸ブチ
ルのトルエン溶液をガスクロマトグラフィー内部標準法
により分析した結果、亜硝酸ブチルの含量は26.1
%、収率は、亜硝酸ナトリウムに対して、98.7%で
あった。
【0064】参考例3−(1) に準拠して得た2−(2,
5−ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリ
ル155.8g(0.620mol)および1,2−ビ
ス(2,5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼン3
5.1g(0.101mol)を含む混合物のトルエン
溶液527.2gに22−25℃、攪拌下で水酸化カリ
ウム50.3g(0.896mol)、n−ブタノール
125.7gを加えた後、上記に準拠して製造した亜硝
酸ブチル79.2g(0.768mol)を含むトルエ
ン溶液308.3gを同温度で5時間かけて滴下し、同
温度でさらに2時間保温した。該反応混合物に水620
gを加えて60℃に加熱し、同温度でさらに3時間保温
した。この混合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しな
がら、トルエン、n−ブタノールを留去した後、トルエ
ン300gで2回洗浄した。かくしてα−ヒドロキシイ
ミノ−2−(2,5−ジメチルフェノキシメチル)フェ
ニルアセトニトリルのカリウム塩189.1g(0.5
94mol、収率95.8%、E/Z=15/85)を
含む水溶液1262.7gを得た。1,2−ビス(2,
5−ジメチルフェノキシメチル)ベンゼンは水溶液中に
は認められず、洗浄したトルエン594g中に33.7
g(0.097mol、回収率96.1%)含まれてい
た。
【0065】参考例4 原料の製造 攪拌下、トルエン1619gにα,α’−ジクロロ−o
−キシレン788g(4.5mol)、4−クロロ−2
−メチルフェノール214g(1.5mol)、臭化テ
トラ−n−ブチルアンモニウム24.2g(0.075
mol)を加えた後、水1246gを加えて60℃に昇
温した。次いで、これに27%水酸化ナトリウム水溶液
244g(1.65mol)を5時間かけて滴下し、同
温度で3時間保温した後、室温まで冷却した。水層を分
液し、有機層を5%塩酸810gで洗浄、水810gで
2回洗浄した後、α,α’−ジクロロ−o−キシレンを
蒸留により留去して2−(4−クロロ−2−メチルフェ
ノキシメチル)ベンジルクロリド274g(0.976
mol、収率65.0%)、1,2−ビス(4−クロロ
−2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン82.6g
(0.213mol、収率28.5%)を含む混合物3
81gを得た。
【0066】水196g、トルエン324g、シアン化
ナトリウム49.0g(1.00mol)、臭化テトラ
−n−ブチルアンモニウム12.9g(0.040mo
l)からなる混合物を攪拌下、80℃に昇温した後、ト
ルエン313gと上記で製造した混合物313gとの混
合物を5時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間保温
した。次いで、室温まで冷却して水層を分液し、有機層
を5%水酸化ナトリウム水溶液338gで3回洗浄、水
338gで2回洗浄、10%塩化ナトリウム水溶液33
8gで洗浄した後、濃縮することにより2−(4−クロ
ロ−2−メチルフェノキシメチル)フェニルアセトニト
リル202g(0.745mol、収率93.2%)、
1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチ
ル)ベンゼン66.2g(0.171mol、回収率9
9.4%)を含む混合物を得た。
【0067】実施例4 参考例4で製造した2−(4−クロロ−2−メチルフェ
ノキシメチル)フェニルアセトニトリル188.9g
(695mmol)および1,2−ビス(4−クロロ−
2−メチルフェノキシメチル)ベンゼン61.8g(1
60mmol)を含む混合物のトルエン溶液676.1
gに、攪拌下、室温で水酸化カリウム56.8g(97
8mmol)、n−ブタノール142gを加えた後、亜
硝酸ブチル86.47g(839mmol)を同温度で
5時間かけて滴下し、同温度でさらに3時間保温した。
得られた961gの均一溶液に水588gを加え、この
混合物を減圧下に加熱し、水を随時追加しながらトルエ
ン、n−ブタノールを留去して1271gにまで濃縮し
た後、トルエン350gで2回洗浄した。かくしてα−
ヒドロキシイミノ−2−(4−クロロ−2−メチルフェ
ノキシメチル)フェニルアセトニトリルのカリウム塩2
39.7g(707mmol、収率102%)を含む水
溶液1288gを得、これを36%塩酸で中和した。
1,2−ビス(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチ
ル)ベンゼンは、水溶液中に確認されず、洗浄後のトル
エン層683g中に61.8g(160mmol、回収
率100%)含まれていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桝井 盛泰 滋賀県甲賀郡甲賀町大字五反田1405番地 塩野義製薬株式会社内 (72)発明者 増本 勝久 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 中村 明彦 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 清島 裕二郎 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内 (72)発明者 佐々木 幹雄 大阪府高槻市塚原2丁目10番1号 住友化 学工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基の存在下、式〔I〕 (式中、R1 、R2 およびR3 は、同一または相異な
    り、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、トリフルオロ
    メチル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5の
    アルコキシ基を表し、Zは、O、OCH2 、SまたはS
    CH2 を表す。)で示されるフェニルアセトニトリル類
    を含む粗ニトリル類に亜硝酸アルキルを反応させた後、
    反応混合物を水で抽出し、次いで分取した水層を酸で中
    和することを特徴とする式〔II〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびZは前記と同じ意味を
    表わす。)で示されるα−ヒドロキシイミノフェニルア
    セトニトリル類の製造方法。
  2. 【請求項2】フェニルアセトニトリル類が、2−フェノ
    キシフェニルアセトニトリル、2−(2−メチルフェノ
    キシメチル)フェニルアセトニトリル、2−(2,5−
    ジメチルフェノキシメチル)フェニルアセトニトリル、
    2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシメチル)フェ
    ニルアセトニトリルから選ばれる請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】亜硝酸アルキルが、亜硝酸メチル、亜硝酸
    エチル、亜硝酸n−プロピル、亜硝酸イソプロピル、亜
    硝酸n−ブチル、亜硝酸アミル、亜硝酸ヘキシルから選
    ばれる請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリ
    ル類のZが、OCH2 またはSCH 2 である請求項1記
    載の製造方法。
  5. 【請求項5】式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリ
    ル類を含む粗ニトリル類が、式〔IV’〕 (式中、R1 、R2 およびR3 は、前記と同じ意味を表
    わし、Aは、OまたはSを表わし、Xは、ハロゲン原子
    を表わす。)で示されるα−置換,α’−ハロキシレン
    誘導体〔IV' 〕をシアノ化合物と反応させることにより
    製造される請求項4記載の製造方法。
  6. 【請求項6】α−置換,α’−ハロキシレン誘導体〔I
    V' 〕が、式〔VII 〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびAは、前記と同じ意味
    を表わす。)で示されるフェノール誘導体〔VII 〕と、
    式〔VI〕 (式中、Xは、前記と同じ意味を表わす。)で示される
    α,α’−ジハロキシレン誘導体〔VI〕とを反応させる
    ことにより製造される請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】式〔I〕で示されるフェニルアセトニトリ
    ル類を含む粗ニトリル類が、式〔IV〕 (式中、R1 、R2 、R3 、XおよびZは、前記と同じ
    意味を表わす。)で示されるベンジルハライド誘導体と
    シアノ化合物とを反応させることにより製造される請求
    項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】式〔IV〕で示されるベンジルハライド誘導
    体が、式〔III 〕 (式中、R1 、R2 、R3 およびZは、前記と同じ意味
    を表わす。)で示されるトルエン誘導体とハロゲン原子
    とを反応させることにより製造される請求項7記載の製
    造方法。
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