JP3657363B2 - 3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法 - Google Patents
3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法 Download PDFInfo
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法に関する。本発明により製造される3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンは、農薬等の合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法としては、▲1▼1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸カリウムとをジメチルスルホキシド中で反応させることにより3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを得、▲2▼得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンをジオキサン中、加熱させる方法が知られている(Journal f. prakt. Chemie. Band 322, Heft 4, 1980, S, 629参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法における3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンの収率は47%と低い。また、溶媒としてジメチルスルホキシドが使用されているが、これは回収操作が煩雑であり工業的な使用には適さない。さらに、上記▲2▼の方法も収率が低く(後述の比較例1参照)、溶媒として使用されるジオキサンには発癌性があることが知られている。従って、上記▲1▼および▲2▼の方法は、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの工業的に有利な製造方法とはいい難い。
しかして、本発明の目的は、回収操作の煩雑な溶媒を使用することなく、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンを高収率かつ高純度で、工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
(1)3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法、および
(2)1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸塩とを水の存在下に反応させ、得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法を提供することにより達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸塩との反応を詳細に説明する。
チオシアン酸塩としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等のアルカリ金属塩;チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;チオシアン酸アンモニウム塩等が使用される。中でも、チオシアン酸ナトリウムが好ましい。チオシアン酸塩の使用量は、1,3−ジクロロプロペン1モルに対して1.0〜1.5モルの範囲が好ましい。
【0006】
反応系に存在させる水の量としては、1,3−ジクロロプロペンに対して0.5〜10重量倍が好ましく、0.5〜2.0重量倍がより好ましい。
【0007】
反応は、相間移動触媒の存在下に行うことができる。相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩が挙げられる。中でもテトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。相間移動触媒の使用量は、1,3−ジクロロプロペン1モルに対して0.001〜0.01モルの範囲が好ましい。
【0008】
反応は、溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限されないが、例えばベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。溶媒の使用量は1,3−ジクロロプロペンに対して0.5〜10重量倍が好ましく、1.0〜2.0重量倍がより好ましい。
【0009】
反応温度は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜80℃の範囲がより好ましい。反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常1〜4時間が適当である。
【0010】
このようにして得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンの反応混合物からの単離・精製は常法にしたがって行うことができる。例えば、反応混合物を冷却したのち、トルエン、ジエチルエーテル、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄したのち乾燥し、減圧下に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留、クロマトグラフィー等で分離精製することにより行う。また、得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを単離・精製することなく、次の反応に用いることもできる。
【0011】
次に3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させる反応について説明する。
【0012】
本発明の反応に使用される金属塩は、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属の塩である。第2A族に属する金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられ、第8族に属する金属としては鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金等が挙げられ、第1B族に属する金属としては銅、銀、金等が挙げられる。
【0013】
これらの金属は、金属塩として用いられる。金属塩としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、チオシアン酸塩等の無機塩;酢酸塩、安息香酸塩、アセチルアセトナート等の有機塩;酸化物等が挙げられる。
【0014】
金属塩の具体例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム塩;硫酸鉄、硝酸鉄等の鉄塩;塩化ルテニウム等のルテニウム塩;塩化コバルト、臭化コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト等のコバルト塩;塩化ニッケル、臭化ニッケル等のニッケル塩;塩化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム塩;塩化第一銅、塩化第二銅、硫酸銅、チオシアン酸銅、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酢酸銅、銅アセチルアセトナート等の銅塩等が挙げられる。中でも、塩化マグネシウム、塩化コバルト、塩化第二銅を用いた場合がより良好な収率が得られる。これらの金属塩は、単独で、または2種以上で使用することもできる。
【0015】
金属塩の使用量は、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1モルに対して0.01〜0.1モルの範囲が好ましい。
【0016】
かかる反応は、溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限されないが、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド等のアミド等が挙げられる。溶媒の使用量は3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンに対して1〜50重量倍が好ましく、4〜20重量倍がより好ましい。
【0017】
反応温度は0〜200℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲がより好ましい。反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常0.5〜5時間が適当である。
【0018】
このようにして得られた3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの反応混合物からの単離・精製は常法にしたがって行うことができる。例えば、反応混合物を冷却したのち金属塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留、クロマトグラフィー等で分離精製することにより行う。
【0019】
原料となる1,3−ジクロロプロペンは殺線虫剤として大量生産されており、安価に容易に入手可能である。
【0020】
本発明により製造される3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンは、これに塩素化剤を作用させることにより2−クロロ−5−クロロメチル−1,3−チアゾールに変換することができる。2−クロロ−5−クロロメチル−1,3−チアゾールは、例えば殺虫剤として有用なヘキサヒドロトリアジン化合物の合成中間体として有用である(特公平6−776号公報参照)。
【0021】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
チオシアン酸ナトリウム200gを水250mlに溶かし、この溶液に1,3−ジクロロプロペン250gおよびテトラブチルアンモニウムクロリド2.5gを加え、60℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水200ml中にあけたのち、キシレン500mlで1回抽出した。有機層を飽和食塩水500mlで洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン258.0gを得た。
収率:84.1%
純度:98.1%
沸点:83〜88℃/5mmHg
1H−NMRスペクトル(CDCl3 )δ:
6.42(d,J=7.0Hz,(cis)), 6.39(d,J=14.0Hz,(trans)), 6.06(dt,J=14.0Hz,7.8Hz,(trans)), 6.04(dt,J=7.0Hz,7.0Hz,(cis)), 3.80(d,J=7.0Hz,(cis)), 3.59(d,J=7.8Hz,(trans))
【0023】
実施例2
チオシアン酸ナトリウム200gを水250mlに溶かし、この溶液に1,3−ジクロロプロペン250gを加え、60℃で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水200ml中にあけたのち、キシレン500mlで1回抽出した。有機層を飽和食塩水500mlで洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン241.8gを得た。
収率:78.6%
純度:97.8%
沸点:84〜88℃/5mmHg
【0024】
実施例3
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン198g、キシレン1375mlおよび塩化第二銅9.35gの混合物をキシレン還流温度で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、銅塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン184.0gを得た。
収率:90.7%
純度:97.6%
沸点:60〜75℃/5mmHg
1H−NMRスペクトル(CDCl3 )δ:
6.27(d,J=13.5Hz,(trans)), 6.15(d,J=8.1Hz,(cis)), 5.92(dt,J=13.5Hz,7.4Hz,(trans)), 5.60(dt,J=8.1Hz,5.7Hz,(cis)), 4.18(d,J=7.4Hz,(cis)), 4.06(d,J=5.7Hz,(trans))
【0025】
実施例4
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1.34g、トルエン5ml、および塩化第一銅0.20gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、銅塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン1.23gを得た。
収率:90.0%
純度:98.0%
【0026】
実施例5
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン6.70g、トルエン25mlおよび塩化マグネシウム0.33gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、マグネシウム塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン6.10gを得た。
収率:89.8%
純度:98.6%
【0027】
実施例6
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン6.70g、トルエン25mlおよび塩化コバルト0.33gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、コバルト塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン5.96gを得た。
収率:87.6%
純度:98.5%
【0028】
比較例1
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1.34gおよびジオキサン5mlの混合物をジオキサン還流温度で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン0.73gを得た。
収率:51.8%
純度:95.0%
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンを高収率かつ高純度で工業的に有利に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法に関する。本発明により製造される3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンは、農薬等の合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法としては、▲1▼1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸カリウムとをジメチルスルホキシド中で反応させることにより3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを得、▲2▼得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンをジオキサン中、加熱させる方法が知られている(Journal f. prakt. Chemie. Band 322, Heft 4, 1980, S, 629参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法における3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンの収率は47%と低い。また、溶媒としてジメチルスルホキシドが使用されているが、これは回収操作が煩雑であり工業的な使用には適さない。さらに、上記▲2▼の方法も収率が低く(後述の比較例1参照)、溶媒として使用されるジオキサンには発癌性があることが知られている。従って、上記▲1▼および▲2▼の方法は、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの工業的に有利な製造方法とはいい難い。
しかして、本発明の目的は、回収操作の煩雑な溶媒を使用することなく、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンを高収率かつ高純度で、工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
(1)3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法、および
(2)1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸塩とを水の存在下に反応させ、得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法を提供することにより達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
まず、1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸塩との反応を詳細に説明する。
チオシアン酸塩としては、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム等のアルカリ金属塩;チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;チオシアン酸アンモニウム塩等が使用される。中でも、チオシアン酸ナトリウムが好ましい。チオシアン酸塩の使用量は、1,3−ジクロロプロペン1モルに対して1.0〜1.5モルの範囲が好ましい。
【0006】
反応系に存在させる水の量としては、1,3−ジクロロプロペンに対して0.5〜10重量倍が好ましく、0.5〜2.0重量倍がより好ましい。
【0007】
反応は、相間移動触媒の存在下に行うことができる。相間移動触媒としては、4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩が挙げられる。中でもテトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド等のハロゲン化テトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。相間移動触媒の使用量は、1,3−ジクロロプロペン1モルに対して0.001〜0.01モルの範囲が好ましい。
【0008】
反応は、溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限されないが、例えばベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテルが挙げられる。溶媒の使用量は1,3−ジクロロプロペンに対して0.5〜10重量倍が好ましく、1.0〜2.0重量倍がより好ましい。
【0009】
反応温度は0〜150℃の範囲が好ましく、20〜80℃の範囲がより好ましい。反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常1〜4時間が適当である。
【0010】
このようにして得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンの反応混合物からの単離・精製は常法にしたがって行うことができる。例えば、反応混合物を冷却したのち、トルエン、ジエチルエーテル、塩化メチレン、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出し、抽出液を飽和食塩水で洗浄したのち乾燥し、減圧下に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留、クロマトグラフィー等で分離精製することにより行う。また、得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを単離・精製することなく、次の反応に用いることもできる。
【0011】
次に3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させる反応について説明する。
【0012】
本発明の反応に使用される金属塩は、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属の塩である。第2A族に属する金属としてはマグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられ、第8族に属する金属としては鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金等が挙げられ、第1B族に属する金属としては銅、銀、金等が挙げられる。
【0013】
これらの金属は、金属塩として用いられる。金属塩としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、チオシアン酸塩等の無機塩;酢酸塩、安息香酸塩、アセチルアセトナート等の有機塩;酸化物等が挙げられる。
【0014】
金属塩の具体例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム塩;硫酸鉄、硝酸鉄等の鉄塩;塩化ルテニウム等のルテニウム塩;塩化コバルト、臭化コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト等のコバルト塩;塩化ニッケル、臭化ニッケル等のニッケル塩;塩化パラジウム、酢酸パラジウム等のパラジウム塩;塩化第一銅、塩化第二銅、硫酸銅、チオシアン酸銅、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酢酸銅、銅アセチルアセトナート等の銅塩等が挙げられる。中でも、塩化マグネシウム、塩化コバルト、塩化第二銅を用いた場合がより良好な収率が得られる。これらの金属塩は、単独で、または2種以上で使用することもできる。
【0015】
金属塩の使用量は、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1モルに対して0.01〜0.1モルの範囲が好ましい。
【0016】
かかる反応は、溶媒の存在下または不存在下に行うことができる。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り特に制限されないが、例えばトルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド等のアミド等が挙げられる。溶媒の使用量は3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンに対して1〜50重量倍が好ましく、4〜20重量倍がより好ましい。
【0017】
反応温度は0〜200℃の範囲が好ましく、100〜150℃の範囲がより好ましい。反応時間は、反応条件によっても異なるが、通常0.5〜5時間が適当である。
【0018】
このようにして得られた3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの反応混合物からの単離・精製は常法にしたがって行うことができる。例えば、反応混合物を冷却したのち金属塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮し、濃縮物を減圧蒸留、クロマトグラフィー等で分離精製することにより行う。
【0019】
原料となる1,3−ジクロロプロペンは殺線虫剤として大量生産されており、安価に容易に入手可能である。
【0020】
本発明により製造される3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンは、これに塩素化剤を作用させることにより2−クロロ−5−クロロメチル−1,3−チアゾールに変換することができる。2−クロロ−5−クロロメチル−1,3−チアゾールは、例えば殺虫剤として有用なヘキサヒドロトリアジン化合物の合成中間体として有用である(特公平6−776号公報参照)。
【0021】
【実施例】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0022】
実施例1
チオシアン酸ナトリウム200gを水250mlに溶かし、この溶液に1,3−ジクロロプロペン250gおよびテトラブチルアンモニウムクロリド2.5gを加え、60℃で3時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水200ml中にあけたのち、キシレン500mlで1回抽出した。有機層を飽和食塩水500mlで洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン258.0gを得た。
収率:84.1%
純度:98.1%
沸点:83〜88℃/5mmHg
1H−NMRスペクトル(CDCl3 )δ:
6.42(d,J=7.0Hz,(cis)), 6.39(d,J=14.0Hz,(trans)), 6.06(dt,J=14.0Hz,7.8Hz,(trans)), 6.04(dt,J=7.0Hz,7.0Hz,(cis)), 3.80(d,J=7.0Hz,(cis)), 3.59(d,J=7.8Hz,(trans))
【0023】
実施例2
チオシアン酸ナトリウム200gを水250mlに溶かし、この溶液に1,3−ジクロロプロペン250gを加え、60℃で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、水200ml中にあけたのち、キシレン500mlで1回抽出した。有機層を飽和食塩水500mlで洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン241.8gを得た。
収率:78.6%
純度:97.8%
沸点:84〜88℃/5mmHg
【0024】
実施例3
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン198g、キシレン1375mlおよび塩化第二銅9.35gの混合物をキシレン還流温度で1時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、銅塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン184.0gを得た。
収率:90.7%
純度:97.6%
沸点:60〜75℃/5mmHg
1H−NMRスペクトル(CDCl3 )δ:
6.27(d,J=13.5Hz,(trans)), 6.15(d,J=8.1Hz,(cis)), 5.92(dt,J=13.5Hz,7.4Hz,(trans)), 5.60(dt,J=8.1Hz,5.7Hz,(cis)), 4.18(d,J=7.4Hz,(cis)), 4.06(d,J=5.7Hz,(trans))
【0025】
実施例4
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1.34g、トルエン5ml、および塩化第一銅0.20gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、銅塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン1.23gを得た。
収率:90.0%
純度:98.0%
【0026】
実施例5
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン6.70g、トルエン25mlおよび塩化マグネシウム0.33gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、マグネシウム塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン6.10gを得た。
収率:89.8%
純度:98.6%
【0027】
実施例6
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン6.70g、トルエン25mlおよび塩化コバルト0.33gの混合物をトルエン還流温度で4時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、コバルト塩を濾過により取り除き、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン5.96gを得た。
収率:87.6%
純度:98.5%
【0028】
比較例1
3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペン1.34gおよびジオキサン5mlの混合物をジオキサン還流温度で6時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、減圧下に濃縮した。濃縮物を減圧蒸留に付すことにより、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペン0.73gを得た。
収率:51.8%
純度:95.0%
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンを高収率かつ高純度で工業的に有利に製造することができる。
Claims (6)
- 3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法。
- 1,3−ジクロロプロペンとチオシアン酸塩とを水の存在下に反応させ、得られた3−クロロ−1−チオシアナト−2−プロペンを、元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属の塩の存在下に転位させることを特徴とする3−クロロ−1−イソチオシアナト−1−プロペンの製造方法。
- 元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属がマグネシウム、ルテニウム、コバルト、ニッケル、パラジウムまたは銅である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
- 元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属がマグネシウム、コバルト、ニッケル、パラジウムまたは銅である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
- 元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属の塩が塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化パラジウム、塩化第一銅、塩化第二銅、酸化銅またはチオシアン酸銅である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
- 元素の長周期型周期表第2A族、第8族または第1B族に属する金属の塩が塩化マグネシウム、塩化コバルト、塩化第一銅または塩化第二銅である請求項1または請求項2に記載の製造方法。
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