JP3590791B2 - ブロー成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、補強用のリブが形成された2重壁の偏平なブロー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
2重壁の偏平なブロー成形体を強化するため両壁をつなぐリブが形成されるが、この種のリブとしては、図7に示すように、2重壁の一方の壁1から連続して他方の壁2に向けて延びる両側面部3aと狭くなった頂面部3bで構成された断面略台形状をなすリブ3、図8に示すように、2重壁の一方の壁1から連続して他方の壁2に向けて延び全体が互いに溶着して板状となったリブ4が知られている。リブ3の頂面部3bはブロー成形時に壁2の内面に溶着し(図9(a)参照)、リブ4の頂部は同じく壁2の内面に溶着し(図10(a)参照)、2重壁を列状に連結して補強している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、断面台形状をなすリブ3は、ブロー成形体をリブ3の長さ方向に対し垂直に曲げるようにかかる荷重には強いが、ブロー成形体をリブ3の長さ方向に沿って曲げるようにかかる荷重に対しては、リブがない場合よりかえって剛性が弱く、図9(b)に示すように、開口側が広がり(荷重の向きが反対になれば逆に狭まる)、ブロー成形体全体が曲がりやすい。また、板状のリブ4は、ブロー成形体の壁面に対し垂直にかかる荷重に対しては強いが、図10(b)に示すように、横方向に斜めにかかる荷重(剪断荷重)に対しては剛性が弱く、座屈が起こりやすい。
【0004】
本発明は、2重壁の偏平なブロー成形体に1列又は複数列の補強用のリブを形成する場合において、従来の断面台形状のリブ又は板状のリブを形成した場合の問題点のないブロー成形体を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るブロー成形体は2重壁の偏平なブロー成形体であり、2重壁の間に1列又は複数列の補強用のリブが形成され、そのリブは列の長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した第1リブと第2リブからなり、前記第1リブは、2重壁の一方の壁から連続して他方の壁に向けて延びる両側面部と狭くなった頂面部で構成された断面略台形状をなす部分であり、その頂面部が他方の壁の内側に溶着し、前記第2リブは、2重壁の一方の壁から連続して他方の壁に向けて延び、その頂部を含む全部又は大部分が互いに溶着して板状をなす部分であり、その頂部は他方の壁との間に隙間を有することを特徴とする。なお、断面略台形状とは、列の長さ方向に垂直な断面でみたときの形状を表す。
【0006】
あるいは、同じく2重壁の間に1列又は複数列の補強用のリブが形成され、そのリブは列の長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した第1リブと第2リブからなり、前記第1リブは、2重壁の一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延びる両側面部と狭くなった頂面部で構成された一対の断面略台形状をなす部分であり、それぞれの対向する頂面部が2重壁の中間位置で互いに溶着し、前記第2リブは、2重壁の一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、それぞれの対向する頂部を含む全部又は大部分が互いに溶着して板状をなす部分であり、対向する頂部は間に隙間を有することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6を参照し、本発明に係るブロー成形体について具体的に説明する。
図1に示すブロー成形体10には、2重壁(壁11、壁12)の間に補強用のリブ13が平行に3列形成されている。リブ13は第1リブ14と第2リブ15からなり、第1リブ14と第2リブ15は長さ方向に交互に配置され、かつ遷移部16を介して長さ方向に連続して一体的に連なっている。また、隣接する列でみると、第1リブ14と第2リブ15は長さ方向に位置がずれており、いわゆる千鳥配置とされている。
【0008】
第1リブ14は、図2(a)に示すように、壁11から連続して壁12に向けて延びる両側面部14aと、開口側(一方の壁11側)より狭くなった頂面部14bで構成された断面略台形状をなす部分であり、その頂面部14bが壁12の内側に溶着している。また、第2リブ15は、図2(b)に示すように、壁11から連続して壁12に向けて延び、その頂部15aを含む大部分が互いに溶着して板状をなし、その板状の部分15bが底部の低い断面略台形の部分15cに乗った形態をなす。頂部15aは壁12との間に隙間17を有する。
【0009】
2重壁の間にリブ13(第1リブ14、第2リブ15)を形成するための金型18(壁11の側のキャビティを構成する金型)の一部が、図3に記載されている。この金型18のキャビティ面には、3列の断面略台形の突起19が形成され、その突起19は、長さ方向に沿って交互に連続して配置された高い突起19aと低い突起19bからなる。前記第1リブ14は高い突起19aの部分で形成され、第2リブ15は低い突起19bの部分で形成される。低い突起19bの部分では、パリソンは両側の高い突起19a間に張設された形になり、大部分が低い突起19bに密着し切れないまま折り返され、それがエア圧により圧着して図1に示すように板状の部分15bが形成される。
なお、この金型18において、低い突起19bの高さをゼロ(壁11を形成するキャビティ面と同じ高さ)にすることもできる。この場合、第2のリブ15に、板状の部分15bが乗る断面略台形の部分15cが形成されず、板状の部分15bのみとなる。また、この金型18において、突起19に段差を付けない(長さ方向に沿って同じ高さとする)場合は、図7に示すブロー成形体が形成される。
【0010】
図4に示すブロー成形体20には、2重壁(壁21、壁22)の間に同じく補強用のリブ23が平行に3列形成されている。また、リブ23は第1リブ24と第2リブ25からなり、第1リブ24と第2リブ25は長さ方向に交互に配置され、かつ長さ方向に連続して連なっている。ブロー成形体10との違いは、3列の中央のリブが壁21から壁22に向かって延び、かつ3列の両側のリブが壁22から壁21に向かって延びている点のみである。
【0011】
図5に示すブロー成形体30には、2重壁(壁31、壁32)の間に補強用のリブ33が平行に2列形成されている。リブ33は第1リブ34と第2リブ35からなり、第1リブ34と第2リブ35は長さ方向に交互に配置され、かつ遷移部36を介して長さ方向に連続して連なっている。
第1リブ34は、図6(a)に示すように、壁31及び壁32から連続して対向する壁に向けて延びる両側面部34aと、狭くなった頂面部34bで構成された一対の断面略台形状をなす部分であり、それぞれの対向する頂面部34b、34bが2重壁の中間位置で互いに溶着している。また、第2リブ35は、図6(b)に示すように、壁31及び壁32から連続して対向する壁に向けて延び、それぞれの対向する頂部35a、35aを含む大部分が互いに溶着して板状をなし、その板状の部分35bがそれぞれ底部の低い断面略台形の部分35cに乗った形態をなす。対向する頂部35a、35aは間に隙間37を有する。
【0012】
【発明の効果】
本発明に係るブロー成形体では、1列又は複数列に補強用リブが形成され、そのリブが前記の形態の第1リブと第2リブから構成されるので、第1リブの開口側を広げたり狭めたりする方向の曲げ荷重に対しては第2リブが大きい抵抗を与え、横方向に斜めにかかる荷重(剪断荷重)に対しては第1リブが大きい抵抗を与える。従って、曲げ荷重に対する抵抗力(曲げ剛性)はどの方向にも強く、剪断荷重に対する抵抗力(剪断剛性)及び圧縮荷重に対する抵抗力(圧縮剛性)も強く、座屈が起こりにくくなっている。そのため、本発明に係るブロー成形体10は、一般的にいって、図7のタイプのブロー成形体と比べて30〜40%程度、図8のタイプのブロー成形体と比べて20〜30%の軽量化が可能となる。従って、例えば自動車用スポイラー、OA用フロアボード、自動車の床材、パレット等として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るブロー成形体の斜視図である。
【図2】そのリブの長さ方向に垂直な面での第1リブの断面図(a)及び第2リブの断面図(b)である。
【図3】その製造用金型(片側)の一部斜視図である。
【図4】本発明に係る別のブロー成形体の斜視図である。
【図5】本発明に係るさらに別のブロー成形体の斜視図である。
【図6】そのリブの長さ方向に垂直な面での第1リブの断面図(a)及び第2リブの断面図(b)である。
【図7】従来のブロー成形体の斜視図である。
【図8】従来の別のブロー成形体の斜視図である。
【図9】従来のブロー成形体のリブの断面形状(a)及びその問題点を説明する断面図(b)である。
【図10】従来の別のブロー成形体のリブの断面形状(a)及びその問題点を説明する断面図(b)である。
【符号の説明】
10、20、30 ブロー成形体
11、12、21、22、31、32 壁
13、23、33 補強用リブ
14、24、34 第1リブ
14a、34a 第1リブの側面部
14b、34b 第2リブの頂面部
15、25、35 第2リブ
15a、35a 第2リブの頂部
15b、35b 第2リブの板状部
15c、35c 第2リブの断面台形部
16、36 遷移部
17、37 隙間

Claims (2)

  1. 2重壁の偏平なブロー成形体に1列又は複数列の補強用のリブが形成され、そのリブは列の長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した第1リブと第2リブからなり、前記第1リブは、2重壁の一方の壁から連続して他方の壁に向けて延びる両側面部と狭くなった頂面部で構成された断面略台形状をなす部分であり、その頂面部が他方の壁の内側に溶着し、前記第2リブは、2重壁の一方の壁から連続して他方の壁に向けて延び、その頂部を含む全部又は大部分が互いに溶着して板状をなす部分であり、その頂部は他方の壁との間に隙間を有することを特徴とするブロー成形体。
  2. 2重壁の偏平なブロー成形体に1列又は複数列の補強用のリブが形成され、そのリブは列の長さ方向に交互に配置されかつ長さ方向に連続した第1リブと第2リブからなり、前記第1リブは、2重壁の一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延びる両側面部と狭くなった頂面部で構成された一対の断面略台形状をなす部分であり、それぞれの対向する頂面部が2重壁の中間位置で互いに溶着し、前記第2リブは、2重壁の一方の壁及び他方の壁から連続して対向する壁に向けて延び、それぞれの対向する頂部を含む全部又は大部分が互いに溶着して板状をなす部分であり、対向する頂部は間に隙間を有することを特徴とするブロー成形体。
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