JP7200167B2 - 車両用強度部材 - Google Patents

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Description

本発明は、車体のルーフセンタ、フロントバンパ等に用いられる車両用強度部材に関する。
車両のルーフで、左右のセンタピラーに挟まれる位置には、ルーフの強度部材としてルーフセンタが設けられている(特許文献1参照)。係るルーフセンタは、概ね断面ハット形状であり、左右のセンタピラー間に延びて長尺に形成されている。しかも、ルーフセンタは、長手方向の複数箇所に折れ部を備え、長手方向の中央部で車両フロアからの高さが高くなるように湾曲形状とされている。
特開2019-77381号公報
上記ルーフセンタは、鋼板をプレス成形することにより形成される。しかし、プレス成形時にスプリングバックが生じ、製品を精度良く製造できない問題があった。
本発明の課題は、長手方向の複数箇所に折れ部を備えるルーフセンタ等の車両用強度部材において、折れ部を含む部位の面剛性を高めることにより、プレス成形時のスプリングバックを抑制することにある。
本発明の第1発明は、長尺の板材を断面ハット形状に形成されており、そのハット形状の天板中央に長手方向に延びる凹部を備えることによって前記ハット形状の天板両側に前記長手方向に延びる突条を備え、短手方向に延びる折れ線によって屈曲された折れ部を長手方向に複数備えて、全体として長手方向に湾曲されている車両用強度部材であって、前記各折れ部と対応する部位に、前記突条の突出方向と同方向に突出して、前記凹部内で前記短手方向に延びる凸ビードを備え、該凸ビードの両端は、前記突条の側部に結合されて一体化されている。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記突条の前記各折れ部と対応する部位で、前記長手方向に沿って所定長さだけ延び、前記各突条の短手方向の中央部の突出量を少なくする側に窪ませて形成された凹ビードをそれぞれ備える。
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記各凸ビードは、前記短手方向で対向配置された前記凹ビード同士間で、前記折れ部の折れ線の延長線上に1本ずつ備える。
本発明の第4発明は、上記第1~第3発明のいずれかにおいて、前記凸ビードの天板面は、前記折れ線を持った前記折れ部が形成されず、平坦面とされている。
本発明の第5発明は、上記第2発明において、前記凸ビードは、前記短手方向で対向配置された前記各凹ビード同士間に2本ずつ備え、前記2本の凸ビードは、長手方向で前記折れ部を挟んで配置されている。
本発明の第6発明は、上記第1~第5発明のいずれかにおいて、前記折れ部により屈曲されることにより前記天板が円弧の内側となるように形成されたルーフセンタである。
本発明によれば、断面ハット形状の天板の各突条の折れ部に対応する部位が凸ビードによって結合されている。そのため、折れ部を含む部位の面剛性が高められ、プレス成形時のスプリングバックを抑制することができる。その結果、製品を精度良く製造することができる。
本発明をルーフセンタに適用した第1実施形態を示す斜視図である。 上記第1実施形態の拡大斜視図である。 上記第1実施形態の折れ部の拡大斜視図である。 図2のIV矢視図である。 図2のV-V線断面矢視図である。 図3のVI-VI線断面矢視図である。 本発明の第2実施形態の図3に対応する拡大斜視図である。 図7のVIII-VIII線断面矢視図である。 本発明の第3実施形態の平面図である。 本発明の第4実施形態の図3に対応する拡大斜視図である。 上記第1実施形態におけるスプリングバック量を、従来技術である比較例に対比して示す説明図である。 上記第1実施形態におけるスプリングバック量を、凸ビードの天板面に折れ線がある場合に対比して示す説明図である。 上記第2実施形態におけるスプリングバック量を、従来技術である比較例に対比して示す説明図である。 上記第3実施形態におけるスプリングバック量を、従来技術である比較例に対比して示す説明図である。
<第1実施形態の構成>
図1は、本発明をルーフセンタに適用した第1実施形態を示す。図1は、車体上部の骨格構造を示す。図1のように、車両1の左右両側にはそれぞれルーフサイドレール2を備える。左右の各ルーフサイドレール2は、それぞれ左右一対のフロントピラー(図示略)、センタピラー6及びリヤピラー7により下方から支持されている。左右の各ルーフサイドレール2間で、左右のセンタピラー6に挟まれる部位には、ルーフセンタ3が固定されている。また、ルーフセンタ3の前後で、左右の各ルーフサイドレール2間には、フロントヘッダ4及びリヤヘッダ5が固定されている。左右の各ルーフサイドレール2間で、フロントヘッダ4、ルーフセンタ3及びリヤヘッダ5の上には、ルーフパネル8が被せられて固定されている。
図2~6は、ルーフセンタ3を単品で示す。図2~6では、説明の都合上、図1に対してルーフセンタ3を上下逆転して図示している。図1のように、ルーフセンタ3は、左右方向に長尺に形成されており、図2のように、概ね断面ハット形状に形成されている。ルーフセンタ3は、長手方向の複数箇所に折れ線によって屈曲された折れ部15を備える。その結果、図1のように車両に固定された状態で、ルーフセンタ3は、長手方向の中央部で車両フロアからの高さが最も高くなるように、長手方向に湾曲形状とされている(図2、4参照)。
ルーフセンタ3は、長尺の高張力鋼板(例えば、引張強度が1180MPa程度で、板厚が1.2~1.6mm程度のハイテン材)を素材として、断面ハット形状にプレス成形により形成されている(図2、5参照)。従って、ルーフセンタ3は、天板10、縦壁13及びフランジ部14を備えて形成されている。また、断面ハット形状の天板10の短手方向中央部には、長手方向に延びる凹部11が形成されている。それにより、断面ハット形状の天板10の短手方向両側には、長手方向に延びる突条12が形成されている。
各折れ部15は、ルーフセンタ3の長手方向に所定間隔を空けて形成されている。所定間隔は、通常一定間隔とされるが、車両構造によっては一定間隔に限定されない。折れ部15では、折れ線に沿ってルーフセンタ3が所定角度θだけ屈曲されている(図6参照)。所定角度は、ルーフセンタ3が全体として必要な湾曲形状となるように決められている。なお、折れ線には角丸め処理(CAD形状におけるフィレット処理)が施されており、折れ線が明確な線とならないようにされている。係る構成のルーフセンタ3は、天板10が円弧の内側となるように湾曲形成され、天板10を下方に向けた状態で両ルーフサイドレール2間に固定される。
各突条12の各折れ部15に対応する部位には、所定長さで長手方向に延びる凹ビード16が形成されている。凹ビード16は、各突条12の短手方向の中央部の突出量を少なくする側に窪ませることにより形成されている。凹ビード16は、ルーフセンタ3の折れ部15を含む部位の面剛性を高める機能を有する。
凹部11の各折れ部15に対応する部位には、各突条12の突出方向と同方向に突出する凸ビード17が形成されている。凸ビード17は、折れ部15の折れ線の延長線上にルーフセンタ3の短手方向に延びて形成され、その両端が各突条12の側部に結合されて一体化されている。従って、凸ビード17は対向配置された凹ビード16同士間に挟まれて配置されている。このように凸ビード17が形成されることにより、ルーフセンタ3の折れ部15を含む部位の面剛性が更に高められる。図2のように、ルーフセンタ3の長手方向の両端部には、折れ部15は設けられていないが、上記凸ビード17と同様の凸ビード17が形成されている。従って、ルーフセンタ3の長手方向の両端部の面剛性が高められている。なお、図3、6のように、凸ビード17には、折れ部15の折れ線が形成されないようにされている。こうすることにより、凸ビード17に折れ部15の折れ線が形成された場合に比べて、ルーフセンタ3の折れ部15を含む部位の面剛性は若干高められる。
<第1実施形態の作用効果>
図11は、上記第1実施形態のルーフセンタ3をプレス成形した際のスプリングバック量を、従来技術である比較例と対比して示す。比較例は、上述の凹ビード16及び凸ビード17を備えない例である。図11では、中心線より左側が比較例を示し、右側が第1実施形態を示す。図11の右端に示す数値は、中心線で各ルーフセンタ3を固定した状態でのCAE解析の結果を示す。この場合、ルーフセンタ3は、引張強度が1180MPaのハイテン材で、長手方向長が1000mm、短手方向長が175mm、板厚が1.4mmのものとした。表示していないが、図11の左端でも、右端と同様の解析結果を得ることができる。この数値から第1実施形態のルーフセンタ3では、比較例に対してスプリングバック量が中心線の片側で2.8mm程度少なくなることが判る。従って、第1実施形態では、従来技術に比べてルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
図12は、図11の場合と同様の対比を、凸ビード17に折れ線が形成されたものを比較例とした場合を示す。図12において、中心線より左側が比較例を示し、右側が第1実施形態を示す。CAE解析の条件及び結果の見方は、図11の場合と同様であり、図12の右端の数値から第1実施形態のルーフセンタ3では、比較例に対してスプリングバック量が中心線の片側で0.35mm程度少なくなることが判る。従って、凸ビード17に折れ線が形成されない第1実施形態では、凸ビード17に折れ線が形成された場合に比べてルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
<第2実施形態の構成>
図7、8は、本発明の第2実施形態を示す。第2実施形態が上述の第1実施形態に対して特徴とする点は、各凸ビード17を2本の凸ビード17A、17Bにより構成した点である。その他の構成は、第2実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
図7、8のように、2本の凸ビード17A、17Bは、ルーフセンタ3の長手方向で折れ部15を挟んで配置されている。2本の凸ビード17A、17Bの各端部は、各突条12の側部に結合されて一体化されている。その結果、2本の凸ビード17A、17Bが凹部11上で占有する長手方向の寸法L1は、凹ビード16の長手方向の寸法L2と同程度とされている。
<第2実施形態の作用効果>
図13は、第2実施形態のルーフセンタ3をプレス成形した際のスプリングバック量を、従来技術である比較例と対比して示す。比較例は、上述の凹ビード16及び凸ビード17を備えない例である。図13では、中心線より左側が比較例を示し、右側が第2実施形態を示す。図13の右端に示す数値は、中心線で各ルーフセンタ3を固定した状態でのCAE解析の結果を示す。CAE解析の条件及び結果の見方は、図11の場合と同様であり、表示していないが、図13の左端でも、右端と同様の解析結果を得ることができる。この数値から第2実施形態のルーフセンタ3では、比較例に対してスプリングバック量が中心線の片側で2.3mm程度少なくなることが判る。従って、第2実施形態でも、従来技術に比べてルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
<第3実施形態の構成>
図9は、本発明の第3実施形態を示す。第3実施形態が上述の第1実施形態に対して特徴とする点は、凹ビード16を無くした点である。その他の構成は、第3実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
図9のように、第3実施形態においても第1実施形態と同様の凸ビード17が折れ部15に対応して形成されている。
<第3実施形態の作用効果>
図14は、第3実施形態のルーフセンタ3をプレス成形した際のスプリングバック量を、従来技術である比較例と対比して示す。比較例は、上述の凹ビード16及び凸ビード17を備えない例である。図14では、中心線より左側が比較例を示し、右側が第3実施形態を示す。図14の右端に示す数値は、中心線で各ルーフセンタ3を固定した状態でのCAE解析の結果を示す。CAE解析の条件及び結果の見方は、図11の場合と同様であり、表示していないが、図14の左端でも、右端と同様の解析結果を得ることができる。この数値から第3実施形態のルーフセンタ3では、比較例に対してスプリングバック量が中心線の片側で0.8mm程度少なくなることが判る。従って、第3実施形態でも、従来技術に比べてルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
<第4実施形態の構成>
図10は、本発明の第4実施形態を示す。第4実施形態が上述の第1実施形態に対して特徴とする点は、各凸ビード17を凹部11の折れ部15上で交わるX字形状の凸ビード17Cとした点である。その他の構成は、第4実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
図10のように、X字形状の凸ビード17Cは、凹部11の折れ部15上で交わるX字形状であり、X字形状の各端部は、各突条12の側部に結合されて一体化されている。その結果、凸ビード17Cが凹部11上で占有する長手方向の寸法L3は、凹ビード16の長手方向の寸法L4より僅かに大きいが概ね同程度とされている。
<第4実施形態の作用効果>
第4実施形態のルーフセンタ3をプレス成形した際のスプリングバック量は、図示を省略したが、第2実施形態の場合と同程度となる。従って、第4実施形態でも、従来技術に比べてルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
<その他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、車両強度部材をルーフセンタとする例を説明したが、フロントバンパの強度部材等としてもよい。
<各発明に対応する上記実施形態の作用効果>
最後に上述の「課題を解決するための手段」における第1発明以降の各発明に対応する上記実施形態の作用効果を付記しておく。
第1発明によれば、折れ部15に対応して凸ビード17が形成されるため、折れ部15を含む部位の面剛性が高められる。そのため、車両用強度部材(ルーフセンタ3)がプレス成形される際のスプリングバック量が、凸ビード17を形成しない場合に比べて抑制され、しかも、スプリングバック量のばらつき幅が小さくなる。その結果、車両用強度部材を精度良く製造することができる。
第2発明によれば、折れ部15に対応して突条12に凹ビード16が更に形成されるため、折れ部15を含む部位の面剛性が更に高められる。そのため、車両用強度部材(ルーフセンタ3)がプレス成形される際のスプリングバック量が、凹ビード16を形成しない場合に比べて更に抑制され、しかも、スプリングバック量のばらつき幅が小さくなる。その結果、車両用強度部材を更に精度良く製造することができる。
第3発明によれば、各凹ビード16間で折れ部15の折れ線の延長線上に1本の凸ビード17が形成されるため、凸ビード17が確実に機能して折れ部15を含む部位の面剛性が確実に高められる。そのため、車両用強度部材(ルーフセンタ3)がプレス成形される際のスプリングバック量が少なくなり、車両用強度部材を精度良く製造することができる。
第4発明によれば、凸ビード17の天板面が平坦面とされているため、凸ビード17の天板面に折れ部15の折れ線が形成される場合に比べて折れ部15を含む部位の面剛性が更に高められる。そのため、車両用強度部材(ルーフセンタ3)がプレス成形される際のスプリングバック量が、凸ビード17の天板面に折れ線が形成される場合に比べて更に抑制され、しかも、スプリングバック量のばらつき幅が小さくなる。その結果、車両用強度部材を更に精度良く製造することができる。
第5発明によれば、凹部11に折れ部15の折れ線が形成される場合でも、この折れ線を挟んで2本の凸ビード17A、17Bを形成するので、折れ部15を含む部位の面剛性を高めることができる。そのため、車両用強度部材(ルーフセンタ3)がプレス成形される際のスプリングバック量が、凸ビード17A、17Bを形成しない場合に比べて抑制され、しかも、スプリングバック量のばらつき幅が小さくなる。その結果、車両用強度部材を精度良く製造することができる。
第6発明によれば、ルーフセンタ3の折れ部15に対応して凸ビード17、17A、17B、17Cが形成されるため、ルーフセンタ3がプレス成形される際のスプリングバック量を抑制して、ルーフセンタ3を精度良く製造することができる。
1 車両
2 ルーフサイドレール
3 ルーフセンタ
4 フロントヘッダ
5 リヤヘッダ
6 センタピラー
7 リヤピラー
8 ルーフパネル
10 天板
11 凹部
12 突条
13 縦壁
14 フランジ部
15 折れ部
16 凹ビード
17、17A、17B、17C 凸ビード

Claims (6)

  1. 長尺の板材を断面ハット形状に形成されており、そのハット形状の天板中央に長手方向に延びる凹部を備えることによって前記ハット形状の天板両側に前記長手方向に延びる突条を備え、短手方向に延びる折れ線によって屈曲された折れ部を前記長手方向に複数備えて、全体として前記長手方向に湾曲されている車両用強度部材であって、
    前記各折れ部と対応する部位に、前記突条の突出方向と同方向に突出して、前記凹部内で前記短手方向に延びる凸ビードを備え、
    該凸ビードの両端は、前記突条の側部に結合されて一体化されている
    車両用強度部材。
  2. 請求項1において、
    前記突条の前記各折れ部と対応する部位で、前記長手方向に沿って所定長さだけ延び、前記各突条の前記短手方向の中央部の突出量を少なくする側に窪ませて形成された凹ビードをそれぞれ備える
    車両用強度部材。
  3. 請求項2において、
    前記各凸ビードは、前記短手方向で対向配置された前記凹ビード同士間で、前記折れ部の折れ線の延長線上に1本ずつ備える
    車両用強度部材。
  4. 請求項3において、
    前記凸ビードの天板面は、前記折れ線を持った前記折れ部が形成されず、平坦面とされている
    車両用強度部材。
  5. 請求項2において、
    前記凸ビードは、前記短手方向で対向配置された前記各凹ビード同士間に2本ずつ備え、
    前記2本の凸ビードは、前記長手方向で前記凹部の前記折れ部を挟んで配置されている
    車両用強度部材。
  6. 請求項1~5のいずれかにおいて、
    前記折れ部で屈曲されることにより前記天板が円弧の内側となるように形成されたルーフセンタである
    車両用強度部材。
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