JP3590656B2 - 汚れ防止性の良好な塗装鋼板 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、着色上塗塗膜上に親水性被膜の薄膜が形成されてなる汚れ防止性の良好な塗装鋼板及び汚れ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその解決すべき課題】
従来、建築物の壁材、屋根材、門扉およびシャッタなどや表示板などの屋外用途として、塗膜を形成した着色塗装鋼板が使用されている。
現在、着色塗装鋼板用の上塗塗料としては、耐候性の良好なポリエステル樹脂系塗料、シリコンポリエステル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、塩化ビニル樹脂系塗料などが使用されているが、これらは屋外使用の間に、砂塵、鉄粉、雨(酸性雨)、煤、太陽光線などの影響によって塗膜表面が汚れやすくなり塗膜外観が悪くなるという欠点がある。
【0003】
現在、塗膜の汚れを防止する方法として、WO−94−6870号公報に、有機塗料中にオルガノシリケート又はオルガノシリケートの縮合物(以下、「シリケート」と略称する。)を配合したものを上塗塗料として用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法においては、有機塗料とシリケートとを混合するが、両者の混合安定性が悪く、凝集してブツが発生したり、相分離したり、短時間のうちにゲル化を起こすことが多かった。このため、有機塗料種毎に混合するシリケート種の検討が必要であり、有機塗料種によっては、適当なシリケート種が見出せていないものもある。さらに、有機塗料中に各種シリケートを配合することによる耐候性など各種塗膜性能への影響も検討する必要がある。着色塗装鋼板における上塗塗膜の膜厚は、塩化ビニル樹脂系塗料塗膜を除き、一般に約8〜25ミクロン程度と薄いため、親水性となる各種シリケートの配合による耐水性への悪影響も懸念される。
【0004】
そこで本発明者らは、どのような上塗塗料種の塗装系においても汚れ防止性が良好で、かつ耐候性など各種塗膜性能が良好な塗装鋼板を得るために、従来、屋外使用1〜12ケ月の初期に塗膜表面の汚れが大きく、その後、汚れが少なくなることに着目し、初期の汚れを少なくすることによって目的とする汚れ防止を行うことができると考え、鋭意研究の結果、着色上塗塗膜の上に薄膜の親水性被膜を形成した塗装鋼板が良好な汚れ防止性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、1.金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成されており、さらに該着色上塗塗膜の上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜が、被膜厚さ3ミクロン以下に形成されてなることを特徴とする汚れ防止性の良好な塗装鋼板を提供するものである。
【0006】
また本発明は、2.親水性被膜がクリヤ被膜であることを特徴とする上記項1記載の塗装鋼板を提供するものである。
【0007】
さらに本発明は、3.親水性被膜がポリビニルアルコールとコロイダルシリカとを主成分として含有するものであることを特徴とする上記項1又は2記載の塗装鋼板を提供するものである。
【0008】
また本発明は、4.金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成された着色塗装鋼板の着色上塗塗膜上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜を被膜厚さ3ミクロン以下に形成することを特徴とする汚れ防止方法を提供するものである。
【0009】
【作用】
本発明の塗装鋼板は、従来の着色塗装鋼板の上塗塗膜の上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜を被膜厚さ3ミクロン以下、好ましくは0.5〜2.5ミクロンに形成してなる鋼板である。
【0010】
着色塗装鋼板の屋外での使用初期における塗面の汚れは、塗膜中の樹脂の低分子量成分や添加剤などの塗面表面への移行によって、これらが表面で高濃度となり汚れが付きやすくなるものと考えられる。本発明においては、これら表面への移行物が最上層の親水性被膜表面に移行し、親水性被膜表面であるために雨水によってこれらの移行物が洗い流されやすくなって屋外での使用初期においても汚れにくくなるものと考えられる。
【0011】
本発明においては、屋外での使用初期の汚れ防止を着色上塗塗膜上に形成した薄膜の親水性被膜によって行い、親水性被膜が屋外での使用によって消滅した後には屋外での使用によって着色上塗塗膜表面が親水化されていることによって汚れ防止を行うことができるものである。上塗塗膜は屋外での使用によって表面が徐々に親水化されていき、親水性被膜が消滅する時点には汚れ防止可能な親水性を有し、屋外使用の初期から塗板の寿命まで継続して優れた防止性を発揮することができる。
【0012】
本発明塗装鋼板において、金属板としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−アルミ合金や鉄−亜鉛合金やニッケル−亜鉛合金などの合金メッキ鋼板、アルミニウム板、アルミニウムメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板及びターンシートなどを挙げることができる。また塗膜との付着性、耐食性などを改善するため、これらの金属板の表面にリン酸塩処理やクロメート処理などの公知の金属表面処理を施したものも本発明における金属板に包含される。
【0013】
本発明においては、上記金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成されている。
【0014】
上記下塗塗膜は、金属板と着色上塗塗膜との付着性向上、耐食性の向上などを目的に施されるものである。上記下塗塗膜を形成する下塗塗料としては、エポキシ樹脂系、エポキシ変性ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体系などの塗料が用いられる。下塗塗料は、通常、塗料に用いられる体質顔料、防錆顔料、着色顔料、その他塗料添加剤を含有していてもよい。下塗塗膜の膜厚は特に限定されるものではないが、通常、15ミクロン以下、好ましくは、2〜10ミクロン程度である。
【0015】
前記着色上塗塗膜の形成に用いられる着色上塗塗料は、美粧性の向上、耐候性の向上などを目的に施されるものである。上記上塗塗膜を形成する上塗塗料としては、従来公知の着色塗装鋼板用に使用される上塗塗料を挙げることができる。上塗塗料の代表例としては、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、シリコンポリエステル樹脂系、フッ素樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系などの塗料が挙げられる。上塗塗料は、着色顔料を含有し、その他塗料に用いられる体質顔料、防錆顔料、金属粉、雲母状酸化鉄粉、光輝性マイカ粉、有機樹脂微粒子やガラスビーズなどの骨材、消泡剤や塗面調整剤などの塗料添加剤などを含有していてもよい。上塗塗膜の膜厚は特に限定されるものではないが、ポリ塩化ビニル樹脂系上塗塗膜を除くと、通常、8〜25ミクロン、好ましくは、10〜20ミクロン程度である。ポリ塩化ビニル樹脂系上塗塗膜の膜厚は、通常、60〜400ミクロンである。
【0016】
上記下塗塗料および上塗塗料の塗装は、通常、塗料を希釈溶剤で粘度調整した後、スプレー、ロールコート、カーテンフローコート、浸漬塗装、流し塗り、刷毛塗りなどの塗装方法によって行うことができ、乾燥させることによって硬化塗膜を形成することができる。下塗塗料および上塗塗料の乾燥条件は、いずれも使用されている樹脂の種類などによって適宜選択すればよいが、通常、素材到達最高温度100℃〜250℃となる条件で15秒〜30分間加熱すればよい。
【0017】
本発明塗装鋼板においては、上記上塗塗膜の上に親水性被膜が形成されている。上記親水性被膜を形成するのに用いられる塗料組成物は、下記基体樹脂、必要に応じて、架橋剤、親水性向上剤、その他、高分子樹脂粉末、体質顔料、着色顔料、溶剤、塗料用添加剤などを含有する。
【0018】
上記基体樹脂としては、水溶性または水分散性(以下、「水性」と略称する。)の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどの各種セルロース誘導体、及びナイロン樹脂などの一種または二種以上の混合樹脂からなる水性の樹脂を挙げることができる。
【0019】
上記架橋剤としては、高メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂、メチロール化尿素樹脂などの水性アミノ樹脂;チタンキレート、ジルコニウムキレート、アルミニウムキレートなどの金属キレート、シランカップリング剤などを挙げることができる。
【0020】
上記金属キレートは、例えば金属元素Mがチタニウムまたはジルコニウム元素の場合には、一般式(R1)4−n M(R2)n で示され、Mがアルミニウム元素の場合には、一般式(R1)3−m M(R2)m で示されるアルコキシド化合物〔これらの式中、nは2〜4の整数、mは2〜3の整数を示し、R1 はエチル基、アミル基、フェニル基、ビニル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル基、アミノアルキル基などの置換基を表し、R2 は通常、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基など)を表す〕に、マレイン酸などのジカルボン酸類;ジアセトンアルコールなどのケトンアルコール;アセチルアセトンなどのジケトン;マロン酸エチルなどのジエステル;サリチル酸;カテコール、ピロガロールなどの2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノアルコールなどのアルカノールアミン類をリガンド(配位子)として結合せしめた2個以上の金属アルコキシド結合を有する配位化合物(錯化合物)であることができる。
【0021】
前記親水性向上剤としては、通常水分散液として供されるコロイダルシリカ、ケイ酸ソーダ、界面活性剤などを挙げることができる。
【0022】
界面活性剤としては、親水性を付与できるものであれば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれであってもよく、代表例としてジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキレンオキシドシラン化合物を挙げることができる。
上記ジアルキルスルホコハク酸エステル塩は、例えば下記式〔1〕で表される化合物である。
【0023】
【化1】
(R3 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、M1 はリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属元素、アンモニウム基またはアミンを表す。)
【0024】
上記アルキレンオキシドシラン化合物は、例えば下記式〔2〕で表される非イオン性の化合物である。
【0025】
【化2】
(xは5〜20の整数、yは1〜8の整数、aは5〜20の整数、bは0〜15の整数、R4 は炭素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
【0026】
本発明においては、上記塗料組成物から得られる親水性被膜が、水との接触角が60度以下、好ましくは40度以下であることが必要であり、これを満足するように各成分を配合すればよい。得られる親水性被膜の、水との接触角が60度を超えると屋外での使用初期における塗膜の汚れ防止効果が十分でなくなる。本発明において、接触角は、20℃にて試験塗板上に0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクタングルメータDCCA型にて測定した値である。
【0027】
本発明においては、上記塗料組成物の親水性被膜が被膜厚さ3ミクロン以下、好ましくは0.5〜2.5ミクロンに形成されている。親水性被膜の被膜厚さが3ミクロンを超えると屋外での使用によって親水性被膜が消滅していく際に親水性被膜の無い箇所と残存箇所との違いが明確となり、これらの箇所における塗板表面の汚れ程度の差が大きくなり美観を損ねることになる。
【0028】
親水性被膜を形成する塗料組成物の塗装方法としてはロールコート法;スプレー、カーテンフローコート、浸漬塗装又は流し塗りなどによって塗布した後、ロール絞りによって膜厚調整を行う方法などを挙げることができる。塗装後、乾燥させることによって硬化塗膜を形成することができる。乾燥条件は、いずれも使用されている樹脂の種類などによって適宜選択すればよいが、通常、素材到達最高温度100℃〜250℃となる条件で15秒〜30分間加熱すればよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明塗装鋼板は、屋外での使用初期の汚れ防止を着色上塗塗膜上に形成した薄膜の親水性被膜によって行い、親水性被膜が屋外での使用によって消滅した後には屋外での使用によって上塗塗膜表面が親水化されていることによって汚れ防止を効果的に行うことができるものである。
本発明方法においては、着色上塗塗膜上に親水性被膜を形成することによって汚れ防止を行うので、上塗塗料中にシリケートなどの汚れ防止剤を混合する必要がなく、着色上塗塗膜の塗膜性能を低下させることがないため、上塗塗料の混合安定性や上塗塗膜の耐候性など各種塗膜性能への影響を調べて上塗塗料種毎に混合するシリケートなどの汚れ防止剤の種類を検討する必要がない。
【0030】
【実施例】
実施例により本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」および「%」は特に断りのない限り、それぞれ重量基準によるものとする。
【0031】
着色上塗塗膜形成板の作成
作成例1
厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板にKPカラー8416プライマ(関西ペイント(株)製、プレコートメタル用エポキシ樹脂系プライマ)を乾燥膜厚約4ミクロンとなるよう塗装し、素材到達最高温度(M.T.)が200℃となる条件で30秒間焼付けてプライマ塗装板を得た。この塗装板にKPカラー1573白(関西ペイント(株)製、ポリエステル樹脂系上塗塗料、白色)を乾燥膜厚が18ミクロンとなるように塗装し、M.T.が210℃となる条件で45秒間焼付けて上塗塗装板Aを得た。
【0032】
作成例2
作成例1において、上塗塗料としてKPカラー1573白のかわりにKPカラー7516白(関西ペイント(株)製、シリコンポリエステル樹脂系上塗塗料、白色)を塗装し、M.T.が230℃となる条件で45秒間焼付ける以外は作成例1と同様に行い上塗塗装板Bを得た。
【0033】
作成例3
作成例1において、上塗塗料としてKPカラー1573白のかわりにフッカロン3000白(関西ペイント(株)製、フッ化ビニリデン樹脂系上塗塗料、白色)を塗装し、M.T.が250℃となる条件で60秒間焼付ける以外は作成例1と同様に行い上塗塗装板Cを得た。
【0034】
製造例1
ニッポラン3202〔日本ポリウレタン(株)製、エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマ、固形分約22%〕250部、スノーテックスN〔日産化学(株)製、コロイダルシリカ水分散液、固形分20%〕175部、SILWET L−77〔日本ユニカー(株)製、前記式〔2〕で表されるアルキレンオキシドシラン化合物〕10部及び脱イオン水を混合し、固形分約16%の塗料組成物を得た。
【0035】
製造例2〜10
表1に示す組成配合(固形分量)とし、脱イオン水で固形分割合を約16%とする以外は、製造例1と同様に行い各塗料組成物を得た。製造例9及び10の塗料組成物は比較例用である。表1中の配合量は固形分量による表示である。
【0036】
表1中における(註)はそれぞれ下記のとおりである。
(注1)S−727:大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ウオーターゾールS−727」、固形分60%の水溶性アクリル樹脂溶液。
(注2)KC−33:三井東圧化学(株)製、商品名「アルマテックスKC−33」、固形分65%の水溶性アクリル樹脂溶液。
(注3)E−902:三井東圧化学(株)製、商品名「アルマテックスE−902」、固形分45%のアクリル樹脂エマルジョン。
(注4)ポバール:商品名「デンカポバールK−05」、電気化学工業(株)製、完全ケン化型ポリビニルアルコール。
(注5)CFP−70:東レ(株)製、商品名「AQナイロンCFP70」。
(注6)290M:日本乳化剤(株)製、商品名「Newcol 290M」、前記式〔1〕で表されるジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩。
(注7)エパン610:第一工業製薬(株)製、ノニオン系界面活性剤。
(注8)KBM603:信越化学(株)製、商品名、アミノ基含有シランカップリング剤。
(注9)サイメル303:三井サイテック(株)製、商品名、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂。
(注10)Nacure5225:米国キング・インダストリー社製、ドデシルベンゼンスルフォン酸のアミン中和物溶液、固形分25%。
【0037】
実施例1
作成例1で得た上塗塗装板Aの上塗塗膜上に製造例1で得た塗料組成物を乾燥膜厚が約2ミクロンとなるように塗装し、M.T.が200℃となる条件で30秒間焼付けて親水性被膜を形成して塗装鋼板を得た。
【0038】
実施例2〜12ならびに比較例1、2及び6
実施例1において、上塗塗装板、塗料組成物の種類、及び塗料組成物の乾燥膜厚を後記表2に示すとおりとする以外は実施例1と同様に行い上塗塗膜上に被膜を形成して各塗装鋼板を得た。
【0039】
比較例3〜5
作成例1〜3で得た上塗塗装板A、B、Cの各々を比較例とした。Aを比較例3、Bを比較例4及びCを比較例5とする。
【0040】
実施例1〜12及び比較例1〜6で得た塗板について、水との接触角、暴露汚染性について試験を行った。試験結果を表2に示す。試験は下記試験方法に従って行った。
【0041】
試験方法
水との接触角:20℃にて試験塗板上に0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクタングルメータDCCA型にて測定した。
【0042】
暴露汚染性:兵庫県尼崎市の工業地帯にある関西ペイント(株)尼崎工場内にて、試験塗板を傾斜角30度で暴露した。暴露期間2ケ月、4ケ月、及び20ケ月の塗板と暴露前の塗板との、(CIE1976)L* a* b* 表色系における座標L*(明度指数)の差△L* を色差計にて測定し、その絶対値を表示した。値が小さいほど暴露による汚染が少ないことを示す。暴露期間20ケ月において、実施例1〜12の塗板の親水性塗膜および比較例1、2の塗板の最上層塗膜は、ほとんど乃至全て消滅しており、比較例6の塗板の最上層塗膜はかなり残存しており、消滅部と残存部との境界が明確であった。
【0043】
暴露後の塗面外観:上記暴露汚染性の試験と同様に暴露を行った。暴露期間10ケ月、及び20ケ月の塗板の塗面外観を、目視にて3m の距離をおいて観察した。評価は下記基準によって行った。
◎:表面が均一である。
〇:汚れによる斑模様がわずかに認められる。
△:汚れによる斑模様がかなりはっきりと認められる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【産業上の利用分野】
本発明は、着色上塗塗膜上に親水性被膜の薄膜が形成されてなる汚れ防止性の良好な塗装鋼板及び汚れ防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術およびその解決すべき課題】
従来、建築物の壁材、屋根材、門扉およびシャッタなどや表示板などの屋外用途として、塗膜を形成した着色塗装鋼板が使用されている。
現在、着色塗装鋼板用の上塗塗料としては、耐候性の良好なポリエステル樹脂系塗料、シリコンポリエステル樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、塩化ビニル樹脂系塗料などが使用されているが、これらは屋外使用の間に、砂塵、鉄粉、雨(酸性雨)、煤、太陽光線などの影響によって塗膜表面が汚れやすくなり塗膜外観が悪くなるという欠点がある。
【0003】
現在、塗膜の汚れを防止する方法として、WO−94−6870号公報に、有機塗料中にオルガノシリケート又はオルガノシリケートの縮合物(以下、「シリケート」と略称する。)を配合したものを上塗塗料として用いる方法が提案されている。しかしながら、この方法においては、有機塗料とシリケートとを混合するが、両者の混合安定性が悪く、凝集してブツが発生したり、相分離したり、短時間のうちにゲル化を起こすことが多かった。このため、有機塗料種毎に混合するシリケート種の検討が必要であり、有機塗料種によっては、適当なシリケート種が見出せていないものもある。さらに、有機塗料中に各種シリケートを配合することによる耐候性など各種塗膜性能への影響も検討する必要がある。着色塗装鋼板における上塗塗膜の膜厚は、塩化ビニル樹脂系塗料塗膜を除き、一般に約8〜25ミクロン程度と薄いため、親水性となる各種シリケートの配合による耐水性への悪影響も懸念される。
【0004】
そこで本発明者らは、どのような上塗塗料種の塗装系においても汚れ防止性が良好で、かつ耐候性など各種塗膜性能が良好な塗装鋼板を得るために、従来、屋外使用1〜12ケ月の初期に塗膜表面の汚れが大きく、その後、汚れが少なくなることに着目し、初期の汚れを少なくすることによって目的とする汚れ防止を行うことができると考え、鋭意研究の結果、着色上塗塗膜の上に薄膜の親水性被膜を形成した塗装鋼板が良好な汚れ防止性を示すことを見出し本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、1.金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成されており、さらに該着色上塗塗膜の上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜が、被膜厚さ3ミクロン以下に形成されてなることを特徴とする汚れ防止性の良好な塗装鋼板を提供するものである。
【0006】
また本発明は、2.親水性被膜がクリヤ被膜であることを特徴とする上記項1記載の塗装鋼板を提供するものである。
【0007】
さらに本発明は、3.親水性被膜がポリビニルアルコールとコロイダルシリカとを主成分として含有するものであることを特徴とする上記項1又は2記載の塗装鋼板を提供するものである。
【0008】
また本発明は、4.金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成された着色塗装鋼板の着色上塗塗膜上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜を被膜厚さ3ミクロン以下に形成することを特徴とする汚れ防止方法を提供するものである。
【0009】
【作用】
本発明の塗装鋼板は、従来の着色塗装鋼板の上塗塗膜の上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜を被膜厚さ3ミクロン以下、好ましくは0.5〜2.5ミクロンに形成してなる鋼板である。
【0010】
着色塗装鋼板の屋外での使用初期における塗面の汚れは、塗膜中の樹脂の低分子量成分や添加剤などの塗面表面への移行によって、これらが表面で高濃度となり汚れが付きやすくなるものと考えられる。本発明においては、これら表面への移行物が最上層の親水性被膜表面に移行し、親水性被膜表面であるために雨水によってこれらの移行物が洗い流されやすくなって屋外での使用初期においても汚れにくくなるものと考えられる。
【0011】
本発明においては、屋外での使用初期の汚れ防止を着色上塗塗膜上に形成した薄膜の親水性被膜によって行い、親水性被膜が屋外での使用によって消滅した後には屋外での使用によって着色上塗塗膜表面が親水化されていることによって汚れ防止を行うことができるものである。上塗塗膜は屋外での使用によって表面が徐々に親水化されていき、親水性被膜が消滅する時点には汚れ防止可能な親水性を有し、屋外使用の初期から塗板の寿命まで継続して優れた防止性を発揮することができる。
【0012】
本発明塗装鋼板において、金属板としては、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、亜鉛−アルミ合金や鉄−亜鉛合金やニッケル−亜鉛合金などの合金メッキ鋼板、アルミニウム板、アルミニウムメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、錫メッキ鋼板及びターンシートなどを挙げることができる。また塗膜との付着性、耐食性などを改善するため、これらの金属板の表面にリン酸塩処理やクロメート処理などの公知の金属表面処理を施したものも本発明における金属板に包含される。
【0013】
本発明においては、上記金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成されている。
【0014】
上記下塗塗膜は、金属板と着色上塗塗膜との付着性向上、耐食性の向上などを目的に施されるものである。上記下塗塗膜を形成する下塗塗料としては、エポキシ樹脂系、エポキシ変性ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体系などの塗料が用いられる。下塗塗料は、通常、塗料に用いられる体質顔料、防錆顔料、着色顔料、その他塗料添加剤を含有していてもよい。下塗塗膜の膜厚は特に限定されるものではないが、通常、15ミクロン以下、好ましくは、2〜10ミクロン程度である。
【0015】
前記着色上塗塗膜の形成に用いられる着色上塗塗料は、美粧性の向上、耐候性の向上などを目的に施されるものである。上記上塗塗膜を形成する上塗塗料としては、従来公知の着色塗装鋼板用に使用される上塗塗料を挙げることができる。上塗塗料の代表例としては、ポリエステル樹脂系、アクリル樹脂系、シリコンポリエステル樹脂系、フッ素樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系などの塗料が挙げられる。上塗塗料は、着色顔料を含有し、その他塗料に用いられる体質顔料、防錆顔料、金属粉、雲母状酸化鉄粉、光輝性マイカ粉、有機樹脂微粒子やガラスビーズなどの骨材、消泡剤や塗面調整剤などの塗料添加剤などを含有していてもよい。上塗塗膜の膜厚は特に限定されるものではないが、ポリ塩化ビニル樹脂系上塗塗膜を除くと、通常、8〜25ミクロン、好ましくは、10〜20ミクロン程度である。ポリ塩化ビニル樹脂系上塗塗膜の膜厚は、通常、60〜400ミクロンである。
【0016】
上記下塗塗料および上塗塗料の塗装は、通常、塗料を希釈溶剤で粘度調整した後、スプレー、ロールコート、カーテンフローコート、浸漬塗装、流し塗り、刷毛塗りなどの塗装方法によって行うことができ、乾燥させることによって硬化塗膜を形成することができる。下塗塗料および上塗塗料の乾燥条件は、いずれも使用されている樹脂の種類などによって適宜選択すればよいが、通常、素材到達最高温度100℃〜250℃となる条件で15秒〜30分間加熱すればよい。
【0017】
本発明塗装鋼板においては、上記上塗塗膜の上に親水性被膜が形成されている。上記親水性被膜を形成するのに用いられる塗料組成物は、下記基体樹脂、必要に応じて、架橋剤、親水性向上剤、その他、高分子樹脂粉末、体質顔料、着色顔料、溶剤、塗料用添加剤などを含有する。
【0018】
上記基体樹脂としては、水溶性または水分散性(以下、「水性」と略称する。)の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどの各種セルロース誘導体、及びナイロン樹脂などの一種または二種以上の混合樹脂からなる水性の樹脂を挙げることができる。
【0019】
上記架橋剤としては、高メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂、メチロール化尿素樹脂などの水性アミノ樹脂;チタンキレート、ジルコニウムキレート、アルミニウムキレートなどの金属キレート、シランカップリング剤などを挙げることができる。
【0020】
上記金属キレートは、例えば金属元素Mがチタニウムまたはジルコニウム元素の場合には、一般式(R1)4−n M(R2)n で示され、Mがアルミニウム元素の場合には、一般式(R1)3−m M(R2)m で示されるアルコキシド化合物〔これらの式中、nは2〜4の整数、mは2〜3の整数を示し、R1 はエチル基、アミル基、フェニル基、ビニル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル基、アミノアルキル基などの置換基を表し、R2 は通常、炭素数1〜10のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基など)を表す〕に、マレイン酸などのジカルボン酸類;ジアセトンアルコールなどのケトンアルコール;アセチルアセトンなどのジケトン;マロン酸エチルなどのジエステル;サリチル酸;カテコール、ピロガロールなどの2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミノアルコールなどのアルカノールアミン類をリガンド(配位子)として結合せしめた2個以上の金属アルコキシド結合を有する配位化合物(錯化合物)であることができる。
【0021】
前記親水性向上剤としては、通常水分散液として供されるコロイダルシリカ、ケイ酸ソーダ、界面活性剤などを挙げることができる。
【0022】
界面活性剤としては、親水性を付与できるものであれば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれであってもよく、代表例としてジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキレンオキシドシラン化合物を挙げることができる。
上記ジアルキルスルホコハク酸エステル塩は、例えば下記式〔1〕で表される化合物である。
【0023】
【化1】
(R3 は炭素数1〜18のアルキル基を示し、M1 はリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属元素、アンモニウム基またはアミンを表す。)
【0024】
上記アルキレンオキシドシラン化合物は、例えば下記式〔2〕で表される非イオン性の化合物である。
【0025】
【化2】
(xは5〜20の整数、yは1〜8の整数、aは5〜20の整数、bは0〜15の整数、R4 は炭素数1〜6の低級アルキル基を表す。)
【0026】
本発明においては、上記塗料組成物から得られる親水性被膜が、水との接触角が60度以下、好ましくは40度以下であることが必要であり、これを満足するように各成分を配合すればよい。得られる親水性被膜の、水との接触角が60度を超えると屋外での使用初期における塗膜の汚れ防止効果が十分でなくなる。本発明において、接触角は、20℃にて試験塗板上に0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクタングルメータDCCA型にて測定した値である。
【0027】
本発明においては、上記塗料組成物の親水性被膜が被膜厚さ3ミクロン以下、好ましくは0.5〜2.5ミクロンに形成されている。親水性被膜の被膜厚さが3ミクロンを超えると屋外での使用によって親水性被膜が消滅していく際に親水性被膜の無い箇所と残存箇所との違いが明確となり、これらの箇所における塗板表面の汚れ程度の差が大きくなり美観を損ねることになる。
【0028】
親水性被膜を形成する塗料組成物の塗装方法としてはロールコート法;スプレー、カーテンフローコート、浸漬塗装又は流し塗りなどによって塗布した後、ロール絞りによって膜厚調整を行う方法などを挙げることができる。塗装後、乾燥させることによって硬化塗膜を形成することができる。乾燥条件は、いずれも使用されている樹脂の種類などによって適宜選択すればよいが、通常、素材到達最高温度100℃〜250℃となる条件で15秒〜30分間加熱すればよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明塗装鋼板は、屋外での使用初期の汚れ防止を着色上塗塗膜上に形成した薄膜の親水性被膜によって行い、親水性被膜が屋外での使用によって消滅した後には屋外での使用によって上塗塗膜表面が親水化されていることによって汚れ防止を効果的に行うことができるものである。
本発明方法においては、着色上塗塗膜上に親水性被膜を形成することによって汚れ防止を行うので、上塗塗料中にシリケートなどの汚れ防止剤を混合する必要がなく、着色上塗塗膜の塗膜性能を低下させることがないため、上塗塗料の混合安定性や上塗塗膜の耐候性など各種塗膜性能への影響を調べて上塗塗料種毎に混合するシリケートなどの汚れ防止剤の種類を検討する必要がない。
【0030】
【実施例】
実施例により本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」および「%」は特に断りのない限り、それぞれ重量基準によるものとする。
【0031】
着色上塗塗膜形成板の作成
作成例1
厚さ0.5mmの溶融亜鉛メッキ鋼板にKPカラー8416プライマ(関西ペイント(株)製、プレコートメタル用エポキシ樹脂系プライマ)を乾燥膜厚約4ミクロンとなるよう塗装し、素材到達最高温度(M.T.)が200℃となる条件で30秒間焼付けてプライマ塗装板を得た。この塗装板にKPカラー1573白(関西ペイント(株)製、ポリエステル樹脂系上塗塗料、白色)を乾燥膜厚が18ミクロンとなるように塗装し、M.T.が210℃となる条件で45秒間焼付けて上塗塗装板Aを得た。
【0032】
作成例2
作成例1において、上塗塗料としてKPカラー1573白のかわりにKPカラー7516白(関西ペイント(株)製、シリコンポリエステル樹脂系上塗塗料、白色)を塗装し、M.T.が230℃となる条件で45秒間焼付ける以外は作成例1と同様に行い上塗塗装板Bを得た。
【0033】
作成例3
作成例1において、上塗塗料としてKPカラー1573白のかわりにフッカロン3000白(関西ペイント(株)製、フッ化ビニリデン樹脂系上塗塗料、白色)を塗装し、M.T.が250℃となる条件で60秒間焼付ける以外は作成例1と同様に行い上塗塗装板Cを得た。
【0034】
製造例1
ニッポラン3202〔日本ポリウレタン(株)製、エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマ、固形分約22%〕250部、スノーテックスN〔日産化学(株)製、コロイダルシリカ水分散液、固形分20%〕175部、SILWET L−77〔日本ユニカー(株)製、前記式〔2〕で表されるアルキレンオキシドシラン化合物〕10部及び脱イオン水を混合し、固形分約16%の塗料組成物を得た。
【0035】
製造例2〜10
表1に示す組成配合(固形分量)とし、脱イオン水で固形分割合を約16%とする以外は、製造例1と同様に行い各塗料組成物を得た。製造例9及び10の塗料組成物は比較例用である。表1中の配合量は固形分量による表示である。
【0036】
表1中における(註)はそれぞれ下記のとおりである。
(注1)S−727:大日本インキ化学工業(株)製、商品名「ウオーターゾールS−727」、固形分60%の水溶性アクリル樹脂溶液。
(注2)KC−33:三井東圧化学(株)製、商品名「アルマテックスKC−33」、固形分65%の水溶性アクリル樹脂溶液。
(注3)E−902:三井東圧化学(株)製、商品名「アルマテックスE−902」、固形分45%のアクリル樹脂エマルジョン。
(注4)ポバール:商品名「デンカポバールK−05」、電気化学工業(株)製、完全ケン化型ポリビニルアルコール。
(注5)CFP−70:東レ(株)製、商品名「AQナイロンCFP70」。
(注6)290M:日本乳化剤(株)製、商品名「Newcol 290M」、前記式〔1〕で表されるジアルキルスルホコハク酸エステルのナトリウム塩。
(注7)エパン610:第一工業製薬(株)製、ノニオン系界面活性剤。
(注8)KBM603:信越化学(株)製、商品名、アミノ基含有シランカップリング剤。
(注9)サイメル303:三井サイテック(株)製、商品名、メチルエーテル化メチロールメラミン樹脂。
(注10)Nacure5225:米国キング・インダストリー社製、ドデシルベンゼンスルフォン酸のアミン中和物溶液、固形分25%。
【0037】
実施例1
作成例1で得た上塗塗装板Aの上塗塗膜上に製造例1で得た塗料組成物を乾燥膜厚が約2ミクロンとなるように塗装し、M.T.が200℃となる条件で30秒間焼付けて親水性被膜を形成して塗装鋼板を得た。
【0038】
実施例2〜12ならびに比較例1、2及び6
実施例1において、上塗塗装板、塗料組成物の種類、及び塗料組成物の乾燥膜厚を後記表2に示すとおりとする以外は実施例1と同様に行い上塗塗膜上に被膜を形成して各塗装鋼板を得た。
【0039】
比較例3〜5
作成例1〜3で得た上塗塗装板A、B、Cの各々を比較例とした。Aを比較例3、Bを比較例4及びCを比較例5とする。
【0040】
実施例1〜12及び比較例1〜6で得た塗板について、水との接触角、暴露汚染性について試験を行った。試験結果を表2に示す。試験は下記試験方法に従って行った。
【0041】
試験方法
水との接触角:20℃にて試験塗板上に0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクタングルメータDCCA型にて測定した。
【0042】
暴露汚染性:兵庫県尼崎市の工業地帯にある関西ペイント(株)尼崎工場内にて、試験塗板を傾斜角30度で暴露した。暴露期間2ケ月、4ケ月、及び20ケ月の塗板と暴露前の塗板との、(CIE1976)L* a* b* 表色系における座標L*(明度指数)の差△L* を色差計にて測定し、その絶対値を表示した。値が小さいほど暴露による汚染が少ないことを示す。暴露期間20ケ月において、実施例1〜12の塗板の親水性塗膜および比較例1、2の塗板の最上層塗膜は、ほとんど乃至全て消滅しており、比較例6の塗板の最上層塗膜はかなり残存しており、消滅部と残存部との境界が明確であった。
【0043】
暴露後の塗面外観:上記暴露汚染性の試験と同様に暴露を行った。暴露期間10ケ月、及び20ケ月の塗板の塗面外観を、目視にて3m の距離をおいて観察した。評価は下記基準によって行った。
◎:表面が均一である。
〇:汚れによる斑模様がわずかに認められる。
△:汚れによる斑模様がかなりはっきりと認められる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
Claims (4)
- 金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成されており、さらに該着色上塗塗膜の上に水との接触角が60度以下の親水性被膜が、被膜厚さ3ミクロン以下に形成されてなることを特徴とする汚れ防止性の良好な塗装鋼板。
- 親水性被膜がクリヤ被膜であることを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
- 親水性被膜がポリビニルアルコールとコロイダルシリカとを主成分として含有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の塗装鋼板。
- 金属板上に、下塗塗膜を介して、又は介さずに、着色上塗塗膜が形成された着色塗装鋼板の着色上塗塗膜上に、水との接触角が60度以下の親水性被膜を被膜厚さ3ミクロン以下に形成することを特徴とする汚れ防止方法。
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