JP3260097B2 - 防食被膜及び防食被覆法 - Google Patents

防食被膜及び防食被覆法

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JP3260097B2 JP12615397A JP12615397A JP3260097B2 JP 3260097 B2 JP3260097 B2 JP 3260097B2 JP 12615397 A JP12615397 A JP 12615397A JP 12615397 A JP12615397 A JP 12615397A JP 3260097 B2 JP3260097 B2 JP 3260097B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期間のNOx除
去性と防汚性を有するとともに耐候性、防食性、密着性
に優れた塗膜層を形成するための防食被膜及び防食被覆
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鋼構造物の防食塗装の主流は長い
間油性錆止め塗料によって占められていた。油性系錆止
め塗料は穏やかな腐食環境では良好な防食性能を示し、
幅のある施工性を有するとともに、比較的安価なことも
あって現在でも広い応用分野を有している。
【0003】一方、高分子化学工業の発達に伴い各種の
合成樹脂が開発され、防食塗料等にも応用されるように
なった。例えば、比較的乾燥が遅く、耐候性も劣る油性
錆止め塗料の一部がアルキド樹脂変性されたり、油性調
合ペイントに代わって長油性アルキド樹脂塗料が使用さ
れるようになり、現在では多種多様な合成樹脂塗料が使
用されるようになって来ている。
【0004】さらに、ショッププライマーとして、電気
化学的な作用により鉄素地を保護する目的で、展色剤中
に多量の亜鉛末を含有したジンクリッチペイントが開発
され、合成樹脂塗料との組合せで使用されるようになっ
た。
【0005】特に最近では、腐食環境の厳しい箇所には
ジンクリッチペイントや金属溶射と厚膜型合成樹脂塗料
の組合せによって、高性能で長期の耐久性を有する重防
食塗装系が採用されるようになって来た。前記の如く、
鋼構造物の防錆塗装は、油性系プライマー又はジンクリ
ッチプライマーと合成樹脂系塗料の塗装による一般塗装
系と、金属溶射や厚膜型ジンクリッチプライマーと厚膜
型合成樹脂塗料の塗装による重防食塗装系が並行して利
用されており、構造物の設置箇所の腐食環境、施工条件
等の条件によって選択されている。
【0006】しかし、前記の如き従来の塗装系において
は、油性系プライマー又はジンクリッチプライマーと合
成樹脂系塗料の塗装による一般塗装系で3〜5年、厚膜
型ジンクリッチプライマーと厚膜型合成樹脂塗料の塗装
による重防食塗装系でも5〜10年で一部又は全面塗り
替えを必要とした。これは、紫外線、雨水等による樹脂
や顔料の変質によるチョーキング、変色にもとずく光沢
の低下と、水、酸素、塩素イオン等の腐食性物質の透過
による錆、フクレ、ハクリ等の発生にもとずくものであ
る。
【0007】一方、橋梁やタンク等の鋼構造物の大型化
に伴って塗り替えのための費用、工数等が増大する傾向
にあり、従って長期間にわたる防食性や耐候性を有する
塗膜、すなわち塗り替え周期の長い塗料に対する要望は
非常に強いものとなって来ている。
【0008】一般に、大気中におけるような中性環境下
での塗装鋼構造物での腐食反応においては、酸素還元反
応が腐食におけるカソード反応を支配することから、塗
膜の酸素透過量が問題となるものと考えられている。
【0009】酸素還元反応による腐食におけるカソード
反応支配を考慮した場合、塗膜下での鋼の腐食速度に相
当する限界電流密度(Imax)は次式で表わされる。
【0010】 Imax=Mmax・n・F・=K・Co・nF/d [Mmax:拡散溶存酸素量、 K:酸素拡散係数 d:拡散層の厚さ(塗膜厚)、 n:反応電子数、 F:ファラデー定数、 Co:酸素濃度]
【0011】従って、塗膜下での鋼の腐食速度を低下さ
せるためには、膜厚を非常に厚くするか、膜厚が一定な
らば拡散溶存酸素量又は酸素拡散係数、すなわち酸素透
過量を低減させることが必要である。又チョーキング等
による膜厚の減少を長期間抑制することも必要である。
塗膜の酸素透過量が半減すれば、塗膜下での鋼の腐食速
度も半減することになり、従って塗膜の酸素透過性は塗
装鋼構造物の長期防食性にとって非常に大きな要因とな
る。
【0012】しかるに、前記の如き上塗り塗料に使用さ
れている展色剤としてのアルキド樹脂や塩化ゴムは、酸
素透過性が比較的大きいため、塗膜下での鋼の腐食が促
進され塗膜欠陥が生じ易いとともに、前記上塗り塗料は
紫外線等により樹脂及び顔料が劣化し易く、変色、チョ
ーキング、クラックの発生等により、光沢の減少、退色
が生じる。従って長期間にわたる防食性や耐候性は全く
期待出来なかった。
【0013】又、最近では耐候性の良い樹脂としてシリ
コン樹脂が開発され、上塗り塗料への適用が試みられて
いる。
【0014】しかし、常温乾燥型のシリコンアルキド樹
脂やシリコンアクリル樹脂は、酸素透過性が比較的大き
いため、上塗り塗膜の耐候性が多少向上しても、塗膜下
での鋼の腐食抑制効果は期待出来ず、又上塗り塗膜が軟
らかく、汚れやキズが付き易いと同時に樹脂が白化する
という欠点があった。又、上記樹脂は長期間劣化せず光
沢を有していても、塗膜表層部の顔料が退色し、初期の
色調より大きく変化するため結局は長期間の使用には耐
えないものである。さらに、旧塗膜は塗装後年月がたつ
に従って塗膜内部の架橋等が進行するため、塗り替え塗
料との密着性が悪く、層間でハクリする欠陥が生じるこ
とがあった。特にウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、タ
ールエポキシ系等の上塗り塗膜に対する塗り替え時には
このような欠陥が多々認められた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記課題を
解決し、耐候性、防食性、密着性に優れ、さらにNOx
除去性と防汚性にも優れる防食被膜及び防食被覆法を提
供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため研究を行った結果、被塗物上に、ジンク
リッチペイントを塗布し、下塗塗料を塗布後、加水分解
性ケイ素化合物を結合剤とする中塗塗料を塗布し、さら
に、加水分解性ケイ素化合物又は溶剤可溶性フッ素樹脂
に光触媒活性を有する酸化チタンを特定配合した塗料を
塗布することにより、NoX 除去性、防汚性、耐候性、
防食性、密着性に優れるという知見を得た。本発明は、
かかる知見に基づき完成されたものである。
【0017】すなわち、本発明は、塗物上に、ジンクリ
ッチペイントよりなる塗膜層を有し、該ジンクリッチペ
イント塗膜層上に合成樹脂よりなる下塗層を有し、該下
塗層上に、加水分解性を有するシリル基含有ビニル系共
重合体、オルガノシランの加水分解物及びオルガノシラ
ンの加水分解物の部分縮合物から選ばれた少なくとも1
種の加水分解性ケイ素化合物及び顔料を硬化して得られ
た中塗層を有し、該中塗層上に、加水分解性を有するシ
リル基含有ビニル系共重合体、オルガノシランの加水分
解物及びオルガノシランの加水分解物の部分縮合物から
選ばれた少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物又
は、溶剤可溶性フッ素樹脂、及び光触媒活性を有する酸
化チタンをPWCが45〜85となるように配合したも
のを硬化して得られた上塗層を有することを特徴とする
防食被膜である。
【0018】又、本発明は、(A)被塗物上に、ジンク
リッチペイントを塗布し、常温乾燥させてジンクリッチ
ペイント塗膜を形成する工程、(B)ジンクリッチペイ
ント塗膜上に、合成樹脂塗料を下塗塗料として塗布し、
常温乾燥させて下塗塗膜を形成する工程、(C)下塗塗
膜上に、加水分解性を有するシリル基含有ビニル系共重
合体、オルガノシランの加水分解物及びオルガノシラン
の加水分解物の部分縮合物から選ばれた少なくとも1種
の加水分解性ケイ素化合物を結合剤とする塗料を中塗塗
料として塗布し、常温乾燥させて中塗塗膜を形成する工
程、及び(D)中塗塗膜上に、加水分解性を有するシリ
ル基含有ビニル系共重合体、オルガノシランの加水分解
物及びオルガノシランの加水分解物の部分縮合物から選
ばれた少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物又は、
溶剤可溶性フッ素樹脂、及び光触媒活性を有する酸化チ
タンを配合してなり、該酸化チタンのPWCが45〜8
5である塗料を上塗塗料として塗布し、常温乾燥させて
上塗塗膜を形成する工程を有することを特徴とする防食
被覆法である。
【0019】本発明では、NOx除去性が高いため周辺
環境の悪化を防止し、又、光活性が高いため汚れの付着
を抑制でき、汚れの付着による更なるNOx除去性の低
下、美観の低下を防止している。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の防食被膜及び被覆方法に
おいてプライマーとして使用されるジンクリッチペイン
トとは、乾燥塗膜中に75〜95重量%、好ましくは8
0〜90重量%の亜鉛末を含有する有機質系又は無機質
系の塗料である。
【0021】有機質系のジンクリッチペイントのビヒク
ルとしてはエポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の組合せ、塩
化ゴム、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂等が挙げら
れ、又無機質系のジンクリッチペイントのビヒクルとし
てはエチルシリケート、ナトリウムシリケート、リチウ
ムシリケート、カリウムシリケート、アンモニウムシリ
ケート等が挙げられる。特に本発明の如き目的に対して
好ましいビヒクルは、エポキシ樹脂−ポリアミド樹脂の
組合せ、エチルシリケート、カリウムシリケート、リチ
ウムシリケートである。
【0022】本発明に使用される合成樹脂塗料とは、展
色剤として、好ましくはエポキシ樹脂(タール変性、ウ
レタン変性を含む)、ビニル系樹脂(タール変性、アク
リル樹脂を含む)、塩化ゴム、ポリウレタン樹脂及びフ
ェノール樹脂から選ばれた少なくとも1種の合成樹脂
に、通常使用される着色顔料、体質顔料、沈殿防止剤、
分散剤、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、溶剤等を混練し
て得られる塗料である。
【0023】前記エポキシ樹脂とは、分子中に2個以上
のエポキシ基を有する、通常塗料用に使用される樹脂で
ある。
【0024】該エポキシ樹脂としては、例えばビスフェ
ノール型エポキシ樹脂として、一般に市販されているシ
ェル化学社製の商品名エピコート828、同834、同
836、同1001、同1004、同DX−255;チ
バガイギー社製の商品名アラルダイトCY−260;ダ
ウ・ケミカル社製の商品名DER330、同331、同
337;大日本インキ化学工業社製の商品名エピクロン
800等;フェノールノボラック型エポキシ樹脂として
一般に市販されているダウ・ケミカル社製の商品名DE
N431、同438;ポリグリコール型エポキシ樹脂と
して、市販されているチバガイギー社製の商品名アラル
ダイトCT−508;ダウ・ケミカル社製の商品名DE
R−732、同736;エステル型エポキシ樹脂とし
て、例えば大日本インキ工業社製の商品名エピクロン2
00、同400;線状脂肪族エポキシ樹脂として、例え
ば日本曹達社製の商品名BF−1000の如きエポキシ
化ポリブタジエン等を例示することが出来る。
【0025】さらにこれらの樹脂から、容易に類推され
るエポキシ系化合物、ならびに上記エポキシ樹脂の誘導
体も同様に使用可能であり本発明の技術的範囲内に含ま
れる。
【0026】例えばポリオール型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂等が含まれ
る。
【0027】前記エポキシ樹脂には天然アスファルト、
アスファルタイト、アスファルト性パイロビチュメン、
タール、コールタール、人造アスファルト、ピッチ等の
歴青質を混合することが出来る。
【0028】又、前記エポキシ樹脂の硬化剤としては、
アミンアダクト、ポリアミド樹脂等通常塗料用に使用さ
れるものが使用可能である。
【0029】該硬化剤を例示すると、ポリアミド樹脂と
して一般に市販されている富士化成工業社製商品名トー
マイドY−25、同245、同2400、同2500;
第一ゼネラル社製商品名ゼナミド2000、バーサミド
115、同125;三和化学社製商品名サンマイド32
0、同330、同X2000;シェル化学社製商品名エ
ピキュアー3255、同4255;アミンアダクト樹脂
として富士化学工業社製商品名トーマイド238、フジ
キュアー202:旭電化社製商品名アデカハードナーE
H−531;脂肪族ポリアミンとして三和化学社製商品
名サンマイドT−100、同D−100、同P−10
0;複素環状ジアミン誘導体として味の素社製エポメー
トB−002、同C−002、同S−005の如きもの
が挙げられる。
【0030】該硬化剤のエポキシ樹脂に対する添加量は
当量前後、すなわちエポキシ樹脂1当量に対して0.7
〜1.3当量程度の範囲である。
【0031】又、ポリイソシアネートを前記エポキシ樹
脂の硬化剤として使用することも出来る。
【0032】前記ポリイソシアネートは、1分子中に2
個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート
であり例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレン
ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソ
シアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フ
ェニレンジイソシアネート、2,4−トリレン−ジイソ
シアネート、2,6−トリレン−ジイソシアネート、
1,5−ナフチレン−ジイソシアネート、4,4′,
4″−トリフェニルメタン−トリイソシアネート、4,
4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、3,3′
−ジメチル−4,4′−ジフェニレン−ジイソシアネー
ト、m−キシリレン−ジイソシアネート、p−キシリレ
ン−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
リジンイソシアネート等のポリイソシアネート及び前記
イソシアネート化合物の過剰と、例えばエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、2,2,4−トリメチ
ル−1,3−ペンタンジオール、ヘキサメチレングリコ
ール、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプ
ロパン、ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリ
スリトール等の低分子ポリオールとの付加反応によって
得られる2官能以上のポリイソシアネート、ビューレッ
ト構造を有するポリイソシアネート、アロファネート結
合を有するポリイソシアネート等が挙げられる。前記エ
ポキシ樹脂とポリイソシアネートの混合割合は、(エポ
キシ樹脂中の水酸基)/(ポリイソシアネート中のイソ
シアネート基)=1/1.3〜1/0.5(当量比)の
範囲が好ましい。
【0033】本発明に使用されるビニル系樹脂とは、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、スチレン、ビニルトルエン、ビニルアルコー
ル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、アク
リル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステ
ル等のモノマーの1種もしくは2種以上の共重合体であ
り、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0034】又、本発明に使用される塩化ゴム樹脂とは
天然ゴムの塩素化物で通常塩素含量65〜68%の化合
物である。
【0035】塩化ゴムはロジン、クマロン−インデン樹
脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、石油樹脂、ニト
リルゴム、クロロプレンゴム、アルキド樹脂と混合して
使用することが出来る。
【0036】又、塩化パラフィン、塩化ジフェニル、ジ
オクチルフタレート、トリクレジルフォスフェート等の
可塑剤と混合して使用される。
【0037】さらに、本発明に使用されるポリウレタン
樹脂とは、分子中に2個以上の活性水素を有する化合
物、例えば、多塩基酸と多価アルコールから得られるポ
リエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ
オキシアルキレングリコール、アクリルポリオール等を
主剤とし、前述した分子中に2個以上のイソシアネート
基を有するポリイソシアネートを硬化剤とした組成物で
ある。
【0038】本発明で用いる加水分解性ケイ素化合物と
は、加水分解性を有するシリル基含有ビニル系共重合
体、オルガノシランの加水分解物及びオルガノシランの
加水分解物の部分縮合物からなる群より選ばれたもので
あって、これらを単独で、又は2種以上組み合わせて使
用することが出来る。
【0039】該シリル基含有ビニル系共重合体は、一般
式(I):>C=C<の基を少なくとも1個含むエチレ
ン性不飽和単量体少なくとも1種と、下記一般式(II)
のシリル基含有量体少なくとも1種とを含む共重合体で
ある。
【0040】RSiXn1 (3-n) (II) (式中、Rはビニル基を含む1価の有機基、R1 は炭素
原子数1〜10個のアルキル基、アリール基又はアラル
キル基、Xはハロゲン、アルコキシ、アルコキシアルコ
キシ、アシロキシ、ケトキシメート、アミノ、酸アミ
ド、アミノオキシ、メルカプト、アルケニルオキシ基か
らなる群から選ばれる加水分解性基、nは1〜3の整数
である。)
【0041】前記シリル基含有単量体の例を挙げると、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシ
エトキシ)シラン等がある。
【0042】又、前記シリル基含有ビニル系共重合体の
製造に適したエチレン性不飽和単量体の例を挙げると、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルメタクリ
レート、2−メチルヘキシルメタクリレート、ラウリル
メタクリレート等のアルキルアクリレート;スチレン、
ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族
炭化水素;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニ
リデン等のハロゲン化ビニリデン;ブタジエン、イソプ
レン等の共役ジエン;炭素原子数1〜12個の飽和脂肪
酸のビニルエステル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニ
ル等があり、これらを単独で、又は2種以上組み合わせ
て使用することが出来る。
【0043】本発明のシリル基含有ビニル系共重合体を
製造する場合、前記エチレン性不飽和単量体とシリル基
含有単量体とを、任意の割合で用いることが出来るが、
シリル基含有単量体は0.5〜25モル%、エチレン性
不飽和単量体は99.5〜75モル%の割合で用いるの
が好ましい。この共重合体を製造する場合、従来から公
知の方法を用いることが出来る。該シリル基含有ビニル
系共重合体の分子量は、3,000〜1,000,00
0、特に、10,000〜300,000とするのが好
ましい。
【0044】本発明で用いるオルガノシランの加水分解
物は、下記一般式(III-A) 、(III-B) 又は(IV)で示さ
れる化合物である。
【0045】 R2 Si(OR33 (III-A) Si(OR34 (III-B) R2 2Si(OR32 (IV) (式中、R2 は炭素原子数1〜8個の有機基であり、R
3 は炭素原子数1〜4個のアルキル基であり、各R2
3 は同一でも、異なっていてもよい。)
【0046】又、本発明では、一般式(III-A) 、(III-
B) 又は(IV)で示される化合物の部分縮合化合物を使
用することが出来る。本発明においては、このオルガノ
シランの加水分解物又はその部分縮合物はバインダーの
働きをする一成分である。又、部分縮合化合物のポリス
チレン換算分子量は、1,000〜5,000、好まし
くは1,500〜3,000である。
【0047】この加水分解物又はその部分縮合物を使用
する場合、固形分10〜80重量%を含有する溶剤溶液
とするのが好ましい。
【0048】上記一般式(III-A) 、(III-B) 又は(IV)
における有機基R2 の具体例を挙げると、メチル基、エ
チル基、n−プロピル基、i−プロピル基、i−ブチル
基等のアルキル基、γ−クロロプロピル基、ビニル基、
3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリシドキシ
プロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル基、γ−メ
ルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−エポキシシ
クロヘキシルエチル基等がある。又、アルキル基R3
具体例を挙げると、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基等がある。
【0049】又、一般式(III-A) で示されるオルガノシ
ランの具体例を挙げると次のとおりである:メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピ
ルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、
3,3,3−トルフロロプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリル
オキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェ
ニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキ
シルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシク
ロヘキシルエチルトリエトキシシラン、i−ブチルトリ
メトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン等であ
り、特にメチルトリメトキシシラン及びメチルトリエト
キシシランが好ましい。
【0050】前記一般式(III-B) で示されるオルガノシ
ラン(アルキルシリケート)の具体例を挙げると、テト
ラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ
−n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリ
ケート、テトラ−n−ブチルシリケート、テトラ−i−
ブチルシリケート、テトラ−sec−ブチルシリケート
等がある。又、前記(IV)のオルガノシランの具体例を
挙げると、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエ
トキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ
−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジ
メトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン等があり、特にジメチルジメトキシシラン、ジエチ
ルジエトキシシランが好ましい。本発明では、これらの
加水分解性ケイ素化合物を、単独で、又は2種以上組み
合わせて使用することが出来る。
【0051】これらの一般式(III-A) 、(III-B) 及び
(IV)のオルガノシラン類を併用する場合、オルガノシ
ラン換算で(III-A) 対 (III-B)の混合比(重量比)を1
00:0〜30とし(すなわち、(III-B) を含有しない
場合もある)、オルガノシラン換算で (III-A)と(III-
B) との合計量対(IV)の混合比(重量比)を100:
5〜150、特に100:10〜120とするのが好ま
しい。一般式(IV)のオルガノシランの混合比が、前記
範囲よりも大きい場合には、形成された塗膜に亀裂が入
り易く、逆に前記範囲よりも小さい場合、硬化性が低下
し、かつ塗膜硬度が低下する傾向がある。
【0052】本発明では前記オルガノシランの加水分解
物又はその部分縮合物が用いられるが、この加水分解及
び部分縮合を行うために水を添加する。水の添加量は一
般式(III-A) 、(III-B) 及び(IV)のオルガノシランの
アルコキシ基1当量に対して、通常0.1〜1.0モ
ル、特に0.15〜0.7モルとするのが好ましい。水
の添加モル数が前記範囲よりも小さいと貯蔵安定性が悪
くなる傾向があり、又水の添加モル数が前記範囲よりも
大きいと硬化乾燥が遅くなる傾向がある。又、このよう
なオルガノシランの縮合物を生成させるために生成促進
剤を用いてもよい。
【0053】このような促進剤としては、一般式
(V):M(OR)x で表わされる化合物や鉱酸等を用
いることが出来る。一般式(V)において、MはTi,
Al,B,Zr等の金属であり、Rは炭素原子数2〜5
個のアルキル基であり、xは2〜4の整数である。
【0054】一般式(V)の具体例を挙げると、テトラ
−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタ
ン、トリ−i−プロポキシアルミニウム、モノ−sec
−ブトキシ−ジ−i−プロポキシアルミニウム、ジエト
キシホウ素、ジ−n−プロポキシホウ素、テトラ−n−
ブトキシジルコニウム等、及び鉱酸として塩酸、硫酸等
がある。その添加量はオルガノシラン100重量部に対
して0.05〜2.0重量部の範囲にするのが好まし
い。
【0055】本発明で用いる溶剤可溶型フッ素樹脂とし
ては、塗料用に通常使用される有機溶剤に溶解するもの
であれば特に制限なく、従来から公知の含フッ素共重合
体が使用出来、それらは硬化剤を使用しないで硬化する
ラッカータイプ、自己架橋タイプのもの、又硬化剤と併
用する常温硬化タイプ、焼付硬化タイプのもの等、特に
制限なく使用出来る。
【0056】具体的には、例えば特開昭57−3410
7号、特開昭57−78270号、特開昭59−102
961号、特開昭59−120661号、特開昭59−
197471号、特開昭60−28458号、特開昭6
1−12760号、特開昭61−43667号、特開昭
61−57609号、特開昭61−115967号、特
開昭61−200145号、特開昭61−247727
号、特開昭61−258852号、特開昭62−841
37号等に記載の含フッ素共重合体、該共重合体の変性
物等が代表的な含フッ素共重合体として挙げられるが、
これらに限定されるものではない。
【0057】共重合体の具体的一例を挙げるとフルオロ
オレフィン、官能基を有するビニルエーテル、官能基を
含まないビニルエーテル及び/又はカルボン酸ビニルエ
ステルとその他共単量体を必須成分とした共重合体;フ
ルオロオレフィン、シクロアルキルビニルエーテル、ア
ルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエー
テルを必須成分とする共重合体;フルオロオレフィン、
アルキルビニルエーテル及びヒドロキシビニルエーテル
の共重合体に二塩基酸無水物を反応させて一部をカルボ
キシル化した共重合体;テトラフルオロエチレン及びク
ロロトリフルオロエチレンから選ばれた少なくとも1種
のパーハロオレフィン、フッ化ビニリデン、ビニルエス
テル及び他の単量体との共重合体を加水分解した水酸基
含有共重合体;テトラフルオロエチレン及びクロロトリ
フルオロエチレンから選ばれた少なくとも1種のパーハ
ロオレフィン、α−オレフィン、ヒドロキシアルキルビ
ニルエーテル及び他の共単量体からなる共重合体;クロ
ロトリフルオロエチレン、テトラフルオロプロピルビニ
ルエーテル及び官能基として水酸基、グリシジル基又は
アミノ基を有するビニルエーテルの1種又は2種以上か
らなる共重合体;ジフルオロエチレンとヒドロキシル
基、グリシジル基又はカルボキシル基等の官能基を有す
る単量体とテトラフルオロエチレン又はクロロトリフル
オロエチレンの共重合体等が挙げられ、かかる市販品と
してはルミフロンLF100、ルミフロンLF200、
ルミフロンLF210、ルミフロンLF300、ルミフ
ロンLF400、ルミフロンLF500、ルミフロンL
F554、ルミフロンLF916(以上旭硝子社製商品
名);フルオネートJZ−111−60、フルオネート
HZ−1148−60、フルオネートK−700、フル
オネートK−702、フルオネートK−703、フルオ
ネートK−704(以上大日本インキ化学工業社製商品
名);セントラル硝子社製セフラルコート;三菱レイヨ
ン社製ダイヤナールLR−2504、ダイヤナールAR
−2126;東レ社製コータックスFX−68、コータ
ックスFX−96、コータックスFX−145等が代表
的なものとして挙げられる。
【0058】又、本発明の溶剤可溶型樹脂はキシレン、
トルエン等の単独で、かつ極性の低い有機溶剤に可溶で
あるが、必要によっては他の有機溶剤を混合して使用す
ることも可能である。他の有機溶剤としては、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、ベンゼン、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル、
酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の
ケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ピリジン等の含窒素溶剤;1,1,1−トリクロロ
エタン、トリクロロエチレン等の含ハロゲン溶剤等が挙
げられる。
【0059】本発明の溶剤可溶型フッ素樹脂は、通常の
ラジカル開始剤の存在下、溶液重合により製造すること
が出来る。
【0060】本発明で用いる光触媒活性を有する酸化チ
タンとはTiO2 ゾルを基板材料に塗布して薄膜を形成
し、この薄膜に触媒機能を有する金属塩の水溶液又は金
属の塩基性水溶液中に平均粒径0.01〜0.05μm
程度のアナターゼ型TiO2がゾル状態で数%〜数十%
存在しているものである。触媒機能を有する金属として
は、Cu,Ag,Fe,Pd,Pt等が挙げられ、塩と
しては硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等でよい。
【0061】又、本発明の光触媒活性を有する酸化チタ
ンの10〜50重量%を活性炭、シリカゲル、ゼオライ
ト、リン酸カルシウムからなる群より選ばれた少なくと
も1種と置換えることが可能である。前記リン酸カルシ
ウムとしては、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三
カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウ
ム、ハイドロキシアパタイト等が挙げられるが、特にハ
イドロキシアパタイトが好ましい。
【0062】置き換える割合が10重量%未満では、置
換効果が認められない。逆に50重量%を越えると光触
媒効果を低下させることとなり好ましくない。
【0063】本発明の中塗塗料は、前記加水分解性を有
するシリル基含有ビニル系共重合体、オルガノシランの
加水分解物及びオルガノシランの加水分解物の部分縮合
物から選ばれた少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合
物を結合剤とする。
【0064】本発明の上塗塗料は、前記加水分解性を有
するシリル基含有ビニル系共重合体、オルガノシランの
加水分解物及びオルガノシランの加水分解物の部分縮合
物から選ばれた少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合
物又は、前記溶剤可溶性フッ素樹脂及び光触媒活性を有
する酸化チタンを配合してなり、該酸化チタンのPWC
が45〜85、好ましくは50〜80になるように配合
する。
【0065】ここでPWCとは、Pigment We
ight Concentration(顔料重量濃
度)のことであり、以下の式により算出される。
【0066】
【0067】PWCが45未満では、光触媒効果が十分
に発揮されない。逆に85を越えると成膜性が低下し、
割れ、剥離等が発生し、好ましくない。
【0068】本発明の塗料組成物は、以上説明した塗料
組成物に、必要に応じ各種顔料、有機溶剤あるいは添加
剤等を配合し塗料として使用可能となる。
【0069】顔料としては、通常塗料用として利用され
ている顔料がそのまま使用可能である。具体的には酸化
チタン、亜鉛華、酸化鉄、黄鉛等の着色無機顔料、フタ
ロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の着色有機顔
料、石英粉、酸化アルミナ、沈降性硫酸バリウム等の体
質顔料、ステンレス粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、ブロ
ンズ粉、雲母粉等の金属粉等が代表的なものとして挙げ
られる。
【0070】又、有機溶剤としては、トルエン、キシレ
ン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエ
ステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶
剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコー
ル系溶剤等が代表的なものとして挙げられる。
【0071】又、添加剤としては、表面調整剤、分散
剤、紫外線吸収剤、増粘剤、反応調整触媒等の通常塗料
用添加剤として知られている添加剤が挙げられる。
【0072】本発明の防食被覆方法においては、まずサ
ンドブラストやショットブラスト等で十分錆落しをした
鉄鋼表面に対して、前記ジンクリッチペイントをスプレ
ーや刷毛塗り等により塗布する。
【0073】本発明においては、前記ジンクリッチペイ
ントの乾燥塗膜の厚さは10〜150μm程度、好まし
くは15〜75μmである。
【0074】該膜厚が10μmに満たない場合は目的と
する防食性が得られにくく、一方膜厚が150μmを越
えるとジンクリッチペイントの乾燥塗膜層内部において
凝集破壊を起こし易く、このためわずかな衝撃、機械的
応力、熱ショック等により、塗膜層が剥離し易くなると
いう欠点が生じる。
【0075】前記ジンクリッチペイントを常温乾燥させ
て得られたジンクリッチペイント塗膜上に、前記合成樹
脂塗料を刷毛、スプレー塗装機、ローラー等により、乾
燥膜厚25〜300μm程度になるよう塗布した後、常
温乾燥させる。通常1〜7日程度で合成樹脂塗膜が形成
される。
【0076】次いで、該合成樹脂塗膜上に前記中塗塗料
を、刷毛、スプレー塗装機、ローラー等により乾燥膜厚
が10〜100μm程度になるよう塗布し、常温乾燥さ
せる。さらに該中塗塗膜上に前記上塗塗料を刷毛、スプ
レー塗装機、ローラー等により乾燥膜厚が10〜100
μm程度になるように塗布し、常温乾燥させて仕上げ
る。かくして、本発明の方法により得られた塗膜は、長
期間のNOx除去性と防汚性を有し、長期耐候性、長期
防食性、優れた密着性を有するものとなる。
【0077】以下、本発明を実施例により、さらに詳細
に説明する。
【0078】
【実施例】実施例中、「部」又は「%」は「重量部」又
は「重量%」を示す。まず実施例に先立って以下の配合
により各塗料を作成した。
【0079】 ジンクリッチペイントの作成 [配合1] ケイ酸カリウム水溶液(固形分40%) 30部 亜鉛末 70部
【0080】 [配合2] エチルシリケート溶液 25部 亜鉛末 75部 エチルシリケート溶液は日本コルコート社製商品名コル
コート40[固形分40%アルコール溶液;平均縮合度
4〜5程度の鎖状、分岐状のテトラエチルオルソシリケ
ートの縮合体混合物]を使用した。
【0081】 [配合3] (主剤) エポキシ樹脂 6部 キシロール 10部 メチルイソブチルケトン 9部 亜鉛末 65部 (硬化剤) ポリアミド樹脂 4部 キシロール 4部 イソブタノール 2部 前記エポキシ樹脂はシェル化学社製商品名エピコート#
1001[エポキシ当量450〜520]を、ポリアミ
ド樹脂は富士化成社製商品名トーマイド#210[アミ
ン価95±5]を使用した。
【0082】前記配合1〜3はジンクリッチペイントの
配合であるが、各々使用時に亜鉛末、又は亜鉛末と硬化
剤を混合する。
【0083】 合成樹脂塗料の作成 [配合4] (主剤) ビスフェノール型エポキシ樹脂[商品名エピコート828シェル化学社製:エ ポキシ当量184〜194] 25部 酸化チタン顔料 20部 タルク 15部 沈降性硫酸バリウム 15部 沈降防止剤(有機ベントナイト) 2部 メチルイソブチルケトン 13部 キシロール 10部 前記組成物をローラーで練合し主剤を得た。
【0084】 (硬化剤) ポリアミド樹脂[商品名トーマイド#245富士化成工業社製;活性水素当量 90] 60部 イソブタノール 40部 前記配合をディスパーで撹拌し硬化剤を作成した。
【0085】使用直前に、主剤80部に対し硬化剤20
部を混合し配合4の塗料組成物を得た。
【0086】 [配合5] 大豆油変性中油型アルキド樹脂(油長50%、酸価5) 15部 塩化ゴム 15部 塩素化パラフィン40% 7部 酸化チタン 15部 金属ドライヤー 2部 皮張り防止剤 0.5部 沈降防止剤 1部 キシロール 44.5部
【0087】 [配合6] アクリル樹脂[大日本インキ化学工業社製、商品名アクリディックA−169 、不揮発分50%] 40部 酸化チタン 20部 沈降防止剤 1部 キシロール 39部
【0088】 [配合7] 塩化ビニル樹脂(ユニオンカーバイド社製 商品名:VYHH) 20部 ジブチルフタレート(DBP) 9部 酸化チタン 10部 沈降防止剤 1部 メチルイソブチルケトン 30部 キシロール 20部 酢酸ブチル 10部
【0089】 [配合8] フェノール樹脂[日立化成工業社製商品名:ヒタノール1131] 20部 大豆油変性中油型アルキド樹脂(配合5と同一) 15部 トルオール 20部 酢酸エチル 15部 酸化チタン 30部
【0090】 [配合9] (主剤) ポリエステル樹脂(バイエル社製商品名:デスモフェン1100) 14.1部 ポリエステル樹脂(バイエル社製商品名:デスモフェン800) 14.1部 酸化チタン 10部 キシロール 6部 酢酸エチル 6部 酢酸ブチル 6部 セロソルブアセテート 4.8部 前記主剤に、硬化剤として多価イソシアネート[三菱化
成工業社製商品名マイテックGP101A:不揮発分7
5%]を39部塗装時に混合する。
【0091】中塗塗料の作成 [配合10] キシレン45部、イソブタノール40部を加え混合した
後、撹拌しながら85℃に加熱した。次に、イソブチル
メタクリレート50部、2−エチルヘキシルメタクリレ
ート35部、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラ
ン15部とアゾビスイソバレロニトリル1.5部の混合
溶液を85℃で3時間かけて滴下し、その後90℃に昇
温し2時間維持し反応を終了させて不揮発分55%のシ
リル基含有ビニル系樹脂溶液を得た。なお、該ビニル系
樹脂は、重量平均分子量は14,000であり、ポリマ
ー1分子あたり平均約7個のシリル基を有している。こ
のシリル基含有ビニル系樹脂溶液100部に酸化チタン
25部、炭酸カルシウム15部、沈降性硫酸バリウム1
0部を加え、ポットミルにて24時間練合し、中塗塗料
用主剤を得た。使用直前に前記主剤に硬化促進剤(ジブ
チル錫ラウレート)を主剤:硬化促進剤を100:0.
1の割合で添加し中塗塗料とする。
【0092】上塗塗料の作成 [配合11] メチルトリエトキシシリケート40部とイソプロピルア
ルコール54部を40℃で撹拌し、次いでこれに0.1
N−塩酸0.3部と水5.7部からなる混合物を90分
間かけて滴下した。滴下後40℃でさらに4時間撹拌
し、不揮発分40%のメチルトリエトキシシリケートの
加水分解縮合物溶液「以下加水分解縮合物A−1とい
う」を得た。なお、該縮合物のポリスチレン換算重量平
均分子量は、10,000であった。この加水分解縮合
物A−1 100部に光触媒酸化チタンSSP−25
(堺化学工業社製商品名、平均粒子径9nm、比表面積
270m 2 /g)160部、キシロール10部、イソプ
ロピルアルコール10部を加え塗料化した。これに硬化
促進剤(ジブチル錫ラウレート)0.1部を添加し、上
塗塗料とする。PWCは80であった。
【0093】[配合12]テトラエトキシシリケート
[「エチルシリケート40」(日本コルコート社製商品
名)]35部とイソプロピルアルコール61部を40℃
で撹拌混合し、次いでこれに1−N−塩酸1部と水3部
からなる混合物を90分間かけて滴下した。滴下後40
℃でさらに4時間撹拌し、不揮発分35%のテトラエト
キシシリケートの加水分解縮合物溶液[以下加水分解縮
合物A−2という]を得た。なお、該縮合物のポリスチ
レン換算重量平均分子量は、13,000であった。こ
の加水分解縮合物A−2 100部に光触媒酸化チタン
SSP−25 120部、モレキュラーシーブ4A(ユ
ニオン昭和社製商品名、ゼオライト)40部、キシロー
ル10部、イソプロピルアルコール10部を加えて塗料
化した。これに硬化促進剤(ジブチル錫ラウレート)
0.1部を添加し、上塗塗料とする。PWCは80であ
った。
【0094】[配合13]溶剤可溶性フッ素樹脂[「ル
ミフロンLF200」(旭硝子社製商品名;不揮発分6
0±1%)]50部、光触媒酸化チタンSSP−25
62部、モレキュラーシーブ4A 20部、キシロール
20部を加えて塗料化した。これに硬化剤[「コロネー
トHX」(日本ポリウレタン工業社製商品名;無黄変型
イソシアネート、不揮発分100%]5.4部を添加
し、上塗塗料とする。PWCは40であった。
【0095】[配合14]前記[配合11]において、
光触媒酸化チタンSSP−25 160部をルチル型酸
化チタン[「タイペークCR−95」(石原産業社製商
品名)]26.7部に変更し、上塗塗料とする。PWC
は40であった。
【0096】[配合15]前記[配合11]において、
光触媒酸化チタンSSP−25 160部を26.7部
に変更し、上塗塗料とする。PWCは15であった。
【0097】[配合16]前記[配合9]において、酸
化チタンを光触媒酸化チタンSSP−25に変更する。
【0098】[配合17]ルミフロンLF−200 5
0部、タイペークCR95 23.6部、キシロール1
0部を添加し上塗塗料とする。
【0099】実施例1〜7 150×70×3.2mmの鋼板(JIS G 310
1、SS−400)をショットブラストにより黒皮、
錆、油分を完全に除去した後、表1に示した塗装系に従
って、まずジンクリッチペイントをエアースプレーにて
乾燥膜厚が35±5μmになるよう塗装し、20℃、6
5%RHで3日間乾燥してジンクリッチペイント塗膜を
得た。
【0100】次いでその上に合成樹脂塗料をエアースプ
レーにて乾燥膜厚が100±10μmになるよう塗装し
て20℃、65%RHで1日間乾燥し、合成樹脂塗膜を
得た。
【0101】その上に中塗塗料をエアースプレーにて乾
燥膜厚が30±5μmになるよう塗装し、20℃、65
%RHで1日間乾燥し、中塗塗膜を得た。さらに上塗塗
料をエアースプレーにて乾燥膜厚が50±10μmにな
るよう塗装し、20℃、65%RHで7日間乾燥した。
【0102】得られた各試験片は後述する比較試験に供
した。
【0103】比較例1〜6 前記実施例と同様の方法により、表2に示した塗装系に
もとずいて試験片を得た後、比較試験に供した。
【0104】
【0105】表2
【0106】前記実施例1〜7及び比較例1〜6で得ら
れた試験片を1000時間の塩水噴霧試験、1000時
間の塩水浸漬試験、1000時間のサンシャインウエザ
ロ試験及びNOx除去量の測定に供した。その結果を表
3に示した。
【0107】〈NOx除去率〉試験方法、条件を下記及
び図1に示す。
【0108】 [試験方法] 曝露容器 12×24cm 曝露窓 パイレックスガラス パネル 10×10cm2 パネル−曝露窓間隔 0.5cm 光源 東芝ブラックライト(15W;20cmL;2本) 照射距離 20cm 主波長 354nm UV−A量 0.4mW/cm2 入り口ガス組成 NOx 6ppm+空気 ガス流速 流量 3リットル/min 線速度 8.3cm/sec NOxメーター 島津製作所 CLM−500 化学発光式 感度 フルスケール 10ppm±0.2ppm 状態調整 暗所雰囲気にて上記ガスを2時間流通
【0109】表3
【0110】注1)JIS K 5400の方法により
1000時間の噴霧 注2)3重量%の塩化ナトリウム水溶液中に20℃にて
1000時間の浸漬 注3)1000時間 注4)60°−60°鏡面光沢保持率 注5)NOx除去率(%)=(1−出口NOx濃度/入
り口NOx濃度)×100 UV照射1時間後の測定値
【0111】
【発明の効果】本発明の防食被覆法は、耐候性、防食
性、密着性に優れ、さらにNOx除去性と防汚性にも優
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】NOx除去率の測定方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B05D 7/24 303 B05D 7/24 303B (56)参考文献 特開 平9−1724(JP,A) 特開 平9−24335(JP,A) 特開 昭60−75366(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 1/00 - 35/00 B01J 35/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗物上に、ジンクリッチペイントよりな
    る塗膜層を有し、該ジンクリッチペイント塗膜層上に合
    成樹脂よりなる下塗層を有し、 該下塗層上に、加水分解性を有するシリル基含有ビニル
    系共重合体、オルガノシランの加水分解物及びオルガノ
    シランの加水分解物の部分縮合物から選ばれた少なくと
    も1種の加水分解性ケイ素化合物及び顔料を硬化して得
    られた中塗層を有し、 該中塗層上に、加水分解性を有するシリル基含有ビニル
    系共重合体、オルガノシランの加水分解物及びオルガノ
    シランの加水分解物の部分縮合物から選ばれた少なくと
    も1種の加水分解性ケイ素化合物又は、溶剤可溶性フッ
    素樹脂、及び光触媒活性を有する酸化チタンをPWCが
    45〜85となるように配合したものを硬化して得られ
    た上塗層を有することを特徴とする防食被膜。
  2. 【請求項2】 (A)被塗物上に、ジンクリッチペイン
    トを塗布し、常温乾燥させてジンクリッチペイント塗膜
    を形成する工程、 (B)ジンクリッチペイント塗膜上に、合成樹脂塗料を
    下塗塗料として塗布し、常温乾燥させて下塗塗膜を形成
    する工程、 (C)下塗塗膜上に、加水分解性を有するシリル基含有
    ビニル系共重合体、オルガノシランの加水分解物及びオ
    ルガノシランの加水分解物の部分縮合物から選ばれた少
    なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物を結合剤とする
    塗料を中塗塗料として塗布し、常温乾燥させて中塗塗膜
    を形成する工程、及び (D)中塗塗膜上に、加水分解性を有するシリル基含有
    ビニル系共重合体、オルガノシランの加水分解物及びオ
    ルガノシランの加水分解物の部分縮合物から選ばれた少
    なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物又は、溶剤可溶
    性フッ素樹脂、及び光触媒活性を有する酸化チタンを配
    合してなり、該酸化チタンのPWCが45〜85である
    塗料を上塗塗料として塗布し、常温乾燥させて上塗塗膜
    を形成する工程を有することを特徴とする防食被覆法。
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