JP3590255B2 - 容器のハンドル取付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電気湯沸かし器などの液体容器、その他の容器のハンドル取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
容器の持ち運びの便利のために下向きコの字形又は逆U字形のハンドルを回動自在に取付けることが行われる。図5(a)、(b)はその取付け構造の一例であり、この場合は、ハンドル1の先端に回転軸2を設けると共に、その回転軸2の先端に、テーパ状の抜止め凸部3を設け、上記回転軸2を容器本体4の取付け穴5に挿通すると共に、容器本体4の内側において、抜止め用の圧入部材6を上記抜止め凸部3に圧入するようにしている。
【0003】
また、図5(c)〜(f)はその他の例であり、この場合はハンドル1の先端に設けた回転軸2の先端部外周に円弧状の抜止め凸部3’を形成し、容器本体4に上記抜止め凸部3’を通過させる凹部7を有する取付け穴5を設け、その凹部7に上記の抜止め凸部3’を合わせながら上記の回転軸2を取付け穴5に挿通し、該抜止め凸部3’を取付け穴5の内側に係合させることにより抜止めを図ったものである。
【0004】
なお、上記の抜止め凸部3’と凹部7が合致することがないように、ハンドル1の回動範囲が規制される。
【0005】
上記いずれの場合もハンドル1が起立状態からその自重によって急激に倒れ、容器本体4と衝突して騒音を発生することがなく、しかも使用者がハンドル1を操作する際は軽るく操作できるように、回転部分に適当な大きさの摩擦が全回動範囲わたり生じるように嵌合調整されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例のハンドル取付け構造は、いずれの場合も容器本体4に取付け穴5を設ける構成となっているので、容器本体4の成形金型は取付け穴5の部分の型抜き方向が他の部分と異ることになる。このため、金型構造が複雑になり、成形時のトラブル発生の原因となる。
【0007】
また、上記の図5(a)、(b)に示したハンドル取付け構造は、回転軸2の抜止め凸部3の径が圧入部材6に圧入可能な大きさに制限されるため、圧入部材6との掛り代を大きくすることができない。このため、ハンドル1の抜けに対し強度的に弱い問題がある。
【0008】
また、図5(c)〜(f)に示したハンドル取付け構造は、ハンドル1の抜け方向の荷重を回転軸2の抜止め凸部3’においてのみ受けることになるので、これも強度的に弱い問題がある。
【0009】
更に、上記いずれの場合も、ハンドル1が自重によって回転した際に容器本体4の衝突音の発生を防止するために、その全回動範囲にわたり適当な大きさの摩擦が作用するように嵌合調整される。このため、ハンドル1が丁度蒸気口の上部に停止したままになることがある。そうなると、ハンドル1が蒸気により加熱され、使用者がこれを把持する際に熱つくて持てないことがある。
【0010】
そこで、この発明は、成形金型の構造が簡単であり、ハンドル回転軸の抜け強度が大きく、またハンドルが自重で倒れた際に容器本体と衝突することがなく、かつ蒸気口の上方で停止することがないようにしたハンドル取付け構造を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、容器本体にハンドルを回動自在に取付けてなる容器において、上記の容器本体を構成する胴部材と、その胴部材上部に取付けられる肩部材との嵌合部分におけるいずれか一方の部材にハンドル取付け凹部を設け、上記ハンドルの回転軸を上記ハンドル取付け凹部に嵌合せしめ、他方の部材により上記回転軸を挟み込み、上記回転軸に形成した抜止め凸部を上記肩部材と胴部材の両方又はいずれか一方の内面に係合させた構成とした。
【0012】
なお、上記抜止め凸部が回転軸の全周に形成されたフランジ状凸部である構成や、上記胴部材と肩部材の上記ハンドル取付け凹部の近傍における嵌合構造を、上記ハンドル取付け凹部を設けた方の部材の端部が他方の部材の端部の内側に嵌る印籠嵌合構造とした構成をとるとができる。また上記回転軸の外周面に制動凸部を設け、その制動凸部との摺接部を上記のハンドル取付け部に設け、上記制動凸部と摺接部との位置関係を、上記ハンドルが蒸気口の上方を通過する所定の回動範囲以外の範囲において摺接して制動される関係に設定した構成をとることもできる。
【0013】
更に、上記ハンドル取付け凹部の反対側から上記回転軸を覆う補助部材を、上記ハンドル取付け凹部を設けた肩部材又は胴部材のいずれか一方の部材に取付けた構成をとることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。添付図面に示した実施形態は、電気湯沸かし器11のハンドル12の取付け構造に関するものである。
【0015】
図1に示すように、電気湯沸かし器11は、容器本体の構成部材としての胴部材13とその上部に取付けられた肩部材14を有し、肩部材14に蓋15が取付けられ、その蓋15に蒸気口16が設けられる。ハンドル12は、下向きコの字形又は逆U字形に形成され、その両端部に設けられた回転軸17が胴部材13と肩部材14の嵌合部18において、左右同一構造で取付けられる。
【0016】
図2は上記取付け構造の詳細を示すものであり、肩部材14の下端部の内側に所要の間隔をおいて肩内壁19が設けられる。肩内壁19の上端は、図3(b)に示すように、肩部材14の内面と一体化され、またその下端は、肩部材14の下端より下方へ長さLだけ長くなるように形成され、その長さLの分だけ胴部材13の内側に嵌合する。
【0017】
上記の肩部材14の下端縁に逆U字形の取付け凹部21が設けられ、その取付け凹部21の外表面に沿って逆U字形の補強リブ22が形成される。また、上記取付け凹部21の両端部分の内面と前記の肩内壁19との間にリブ23、23が一体に設けられ、そのリブ23、23の外側にこれと一体のねじ穴柱部24、24が形成される。上記のリブ23、23及びねじ穴柱部24、24は、肩内壁19の上下方向の全幅にわたり形成される。
【0018】
一方、胴部材13の上端面の内側に嵌合リブ25が形成され、肩部材14の下端部内側面にこの嵌合リブ25が嵌合されることにより、両部材13、14の嵌合部18(図1参照)におけるすき間を無くすると共に、胴部材13の上端部が外方へめくれることを防止している。
【0019】
上記の嵌合リブ25は、肩部材14の取付け凹部21に対向した部分においては省略され(図2参照)、その省略された部分が胴部材13の上端面による軸支持部26となっている。
【0020】
ハンドル12はその両端部内側に内向きの回転軸27が設けられ、その回転軸27の先端部に全周にわたるフランジ状の抜止め凸部28が形成される。上記の回転軸27の直径は、前記の取付け凹部21の深さと等しい大きさに形成される。従って、その回転軸27を取付け凹部21に嵌めると共に、抜止め凸部28を肩部材14と肩内壁19との間の間隙29(図3(b)参照)に収納した状態で肩部材14と胴部材13を嵌合させると、肩部材14の取付け凹部21と胴部材13の軸支持部26との間で上記回転軸27を回転自在に挾み込むことができ、同時に抜止め凸部28を肩部材14の取付け凹部21の内面側と胴部材13の上端部内面側に係合させることにより、回転軸27の抜け止めを図ることができる。
【0021】
図示の実施形態においては、肩部材14と胴部材13が分離された状態において、ハンドル12が肩部材14から外れないようにして、製作過程又は分解修理時における取扱いの便宜を図るために、金属板を屈曲形成してなる補助部材31を用いている。この補助部材31は、前記の間隙29にその下方から挿入される。
【0022】
上記の補助部材31は、図2に示すように、外壁32と内壁33及びこれらの下端相互を連結する底壁34及び底壁34の両端に形成された耳片35、35から成り、各耳片35に取付け穴36が設けられる。また、外壁32にU字形の凹部37が形成され、その凹部37に前記回転軸27の下半分が嵌合される。
【0023】
上記の補助部材31の外壁32と内壁33は、図3(b)に示すように抜止め凸部28の前面と後面に接して間隙29内に挿入され、各耳片35をねじ穴柱部24に当て、ビス38により固定する。これにより、ハンドル12は肩部材14と一体化される。
【0024】
なお、上記の補助部材31は,左右両方の取付け部においても同一形状のものを用いることにより、左右の区別なく同一形状の部品を共用することができる。
【0025】
上記の回転軸27の外周面には、図4(a)、(b)に示すように、制動凸部39が設けられ、前記の取付け凹部21内周の円弧面が制動凸部39に対する摺接面となっており、制動凸部39がその摺接面に摺接することにより所要の大きさの摩擦が生じ、ハンドル12の回動を制動する。
【0026】
上記の制動凸部39と摺接面の位置関係は次のようなものである。すなわち、図4(b)に示すように、ハンドル12が起立状態にあるときに、回転軸27の中心で直交する垂直線Aと水平線Bとにより中心の回りをI〜IV象限に分けると、I、II象限に摺接面(取付け凹部21の円弧面)が位置し、IV象限に制動凸部39が位置する。制動凸部39は、IV象限の全体にわたる周方向長さを有するが、図示のようにIII 象限の方向に5度だけずれた位置に形成される。
【0027】
従って、ハンドル12が起立状態にあるとき(図1のAの状態)、制動凸部39は、胴部材13の軸支持部26と点接触し、その自重により前後いずれの方向へも軽く回動し得る状態にある。いま、後方へ回動したとすると、蒸気口16の上方を通過して約85度(図1において符号Mで示す範囲)回動するまでは軽く回動するが、それ以上回動すると制動凸部39の先端が摺接面と摺接を開始し制動される。回動角度が大きくなるに従い摺接する面積も次第に大きくなるので、制動力も次第に大きくなり、ハンドル12は胴部材13に対し軽く当たって停止する(図1のBの状態)か、又は当たる直前で停止する。
【0028】
逆に、ハンドル12が起立状態から前方へ回動すると、早い時期に制動凸部39の後端が摺接面に摺接触して制動され、肩部材14に対し軽く当たって停止する(図1のCの状態)か、当たる直前で停止する。
【0029】
即ち、ハンドル12が蒸気口16の上方を通過する所定の回動範囲Mにおいては制動は生じないが、それ以外の範囲(図1においてN、Nで示す範囲)は制動が生じる範囲となる。
【0030】
胴部材13、肩部材14及びハンドル12は以上のごときものであり、予めハンドル12を補助部材31を用いて肩部材14に取付けたのち、胴部材13と肩部材14を嵌合部18において嵌合されると共に、従来周知の手段(肩部材14に係合した内容器を、胴部材13の底カバー部材に固定する構造)により胴部材13と肩部材14を固定する。また、肩部材14は胴部材13の上端縁に載ると共に、肩部材14の肩内壁19と一体のリブ23が長さL(図3(b)参照)だけ胴部材13の内面に伸びて該リブ23が胴部材13の内面に微小間隔をおいて対向する嵌合形態、即ち印籠嵌合となる。
【0031】
上記の印籠嵌合によると、ハンドル12に外方へ抜ける方向の力が作用した場合に肩部材14のリブ23が胴部材13の内面に当たるため、抜け方向の強度が向上する。
【0032】
以上述べた実施形態は、肩部材14に取付け凹部21を設けているが、この取付け凹部21を胴部材13の上端縁に形成し、その胴部材13側の取付け凹部21に嵌合したハンドル12の回転軸17を肩部材14の下端縁の軸支持部で挾み込む構成をとることもできる。この場合は、前記の肩内壁19に相当する内壁が胴部材13に設けられ、補助部材31は前記と逆の方向から差込んで胴部材13に固定され、ハンドル12を胴部材13と一体化する。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ハンドルの回転軸を肩部材又は胴部材の嵌合部分におけるいずれか一方の部材に設けたハンドル取付け凹部と、他方の部材とにより挾み込むことにより支持する構造であるから、肩部材又は胴部材に取付け穴を設ける必要がない。このため成形金型が簡素化され、これにより成形時のトラブルが減少すると共に、成形金型のコストも低減することができる。
【0034】
また、ハンドルの回転軸は、上記の取付け凹部に嵌合するものであるから、抜止め凸部をその全周にわたるフランジにより形成することができ、そのフランジが肩部材と胴部材の両方又はいずれか一方の内面に係合させることができる。これにより、ハンドルの抜け方向の強度を向上させることができる。
【0035】
また、ハンドルの取付け部近傍において、ハンドルを取付けた部材(図示の実施形態では肩部材14)の一部を他方の部材(同じく胴部材13)の内側に嵌合した印籠嵌合構造を採用することにより、ハンドルの抜け方向の強度を向上させることができる。
【0036】
更に、回転軸に設けた制動凸部とこれに対向した摺接面の位置関係を、ハンドルが蒸気口の上方を通過する所定の範囲以外の範囲において摺接する位置関係に設定することにより、ハンドルが蒸気口の上方で停止することがなく、従って、ハンドルが蒸気により加熱されることが防止されると共に、胴部材や肩部材に対して軽く当たるか、又は当たる手前で停止させることができるので、衝突音の発生を防止することができる。
【0037】
また、ハンドルの回転軸を取付け凹部の反対側から覆う補助部材を、該取付け凹部を設けた肩部材又は胴部材のいずれかに取付けることにより、ハンドルが肩部材又は胴部材と一体化されるので、製作過程又は分解修理時の取扱いの便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の一部省略側面図
【図2】同上のハンドル取付け部の分解斜視図
【図3】(a) 同上のハンドル取付け部の断面図
(b) (a)図のb−b線の断面図
(c) (a)図のc−c線の断面図
【図4】(a) 同上のハンドル取付け部の正面図
(b) (a)図のb−b線の断面図
【図5】(a) 従来例のハンドル取付け部の分解斜視図
(b) 同上のハンドル取付け部の断面図
(c) 他の従来例のハンドル取付け部の分解斜視図
(d) 同上のハンドルの一部斜視図
(e) 同上のハンドル取付け部の断面図
(f) 同上のハンドル取付け部の側面図
【符号の説明】
11 電気湯沸かし器
12 ハンドル
13 胴部材
14 肩部材
15 蓋
16 蒸気口
17 回転軸
18 嵌合部
19 肩内壁
21 取付け凹部
22 補強リブ
23 リブ
24 ねじ穴柱部
25 嵌合リブ
26 軸支持部
27 回転軸
28 抜止め凸部
29 間隙
31 補強部材
32 外壁
33 内壁
34 底壁
35 耳片
36 取付け穴
37 凹部
38 ビス
39 制動凸部

Claims (3)

  1. 容器本体にハンドルを回動自在に取付けてなる容器において、上記の容器本体を構成する胴部材と、その胴部材上部に取付けられる肩部材との嵌合部分におけるいずれか一方の部材にハンドル取付け凹部を設け、上記ハンドルの回転軸を上記ハンドル取付け凹部に嵌合せしめ、他方の部材により上記回転軸を挟み込み、上記回転軸に形成した抜止め凸部を上記肩部材と胴部材の両方又はいずれか一方の内面に係合させ、上記胴部材と肩部材の上記ハンドル取付け凹部の近傍における嵌合構造を、上記ハンドル取付け凹部を設けた方の部材の端部が他方の部材の端部の内側に嵌る印籠嵌合構造としたことを特徴とするハンドル取付け構造。
  2. 上記回転軸の外周面に制動凸部を設け、その制動凸部との摺接部を上記のハンドル取付け部に設け、上記制動凸部と摺接部との位置関係を、上記ハンドルが蒸気口の上方を通過する所定の回動範囲以外の範囲において摺接して制動される関係に設定したことを特徴とする請求項1に記載の容器のハンドル取付け構造。
  3. 上記ハンドル取付け凹部の反対側から上記回転軸を覆う補助部材を、上記ハンドル取付け凹部を設けた肩部材又は胴部材のいずれか一方の部材に取付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の容器のハンドル取付け構造。
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