JPS639198Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はスピーカの指向特性を向上せしめる音
響レンズ装置に係り、特に音響レンズをスピーカ
に対し回動できるようにした音響レンズの取付装
置に関する。

従来より、この種の音響レンズ装置として例え
ば第１図に示すように、スピーカ１の前方の取付
板２に取付孔２ａをあけ、この取付孔２ａに複数
のフイン３ａからなる音響レンズ３を回動自在に
取付け、音響レンズ３の向きを回動により変え
て、スピーカとして所望の指向性を得ようとする
ものが知られている。

この種の装置において、音響レンズの取付手段
としては第２図、第３図、第４図、第５図に示す
如く、弾性爪と凹部との係合が考えられる。

即ち、第２図は音響レンズ３の正面図、第３図
は音響レンズ３の背面図、第４図は音響レンズ３
の平面一部断面図で、複数の傾斜したフイン３ａ
を前面に備えたリング状部材３ｂは外周部に弾性
爪３ｃを有し、全体で一体化された樹脂製の音響
レンズ３を構成している。一方スピーカの前方に
は例えば第５図に示すバツフル板の如く取付孔２
ａを穿つた取付板２が配されており、取付孔２ａ
の内周壁２ｂには前記弾性爪３ｃと対応するよう
に凹部２ｃが複数形成されている。そして前記弾
性爪３ｃは通常前記凹部２ｃに係合してロツク状
態であり、フイン３ａを手でおさえて回動させる
と、弾性爪３ｃがその弾性により凹部２ｃから離
脱し、取付孔２ａの内周壁２ｂと弾性爪３ｃの外
周壁３ｄとが摺動し、弾性爪３ｃは他の凹部２ｃ
と係合し、再びロツクされる。よつて音響レンズ
３はスピーカに対しある角度回動した位置にて係
止され、スピーカの指向特性が変わる。

しかし乍らこの装置における上記の様な弾性爪
３ｃと凹部２ｃとの係合は、単なる弾性片と凹部
との係合であるため、繰り返し係脱を行うと、凹
部２ｃの縁、あるいは弾性爪３ｃの角部が摩耗
し、係合に緩みが生じる。

本考案は上記の欠点に鑑みてなされたもので、
繰り返し使用によつてもがたつきの生じない音響
レンズの取付装置の提供を目的とするものであ
る。

以下に本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第６図、第７図、第８図は本考案の実施例に
おける取付板２を示すもので、第６図、第７図の
ように取付板２には取付孔２ａが穿設されてお
り、取付孔２ａの内周壁２ｂには肉薄のリング状
の突条２ｄが形成されており、この突条２ｄは４
ケ所にて切断され、切断部分は凹部２ｃを構成し
ている。また突条２ｄは第８図に拡大して示す如
く、取付孔内周壁２ｂのうち、下部にのみ幅狭に
形成されており、その先端部は上方へ盛り上つた
幅広部２ｅとなつている。

一方音響レンズ３に設けられる弾性爪３ｃは第
９図の側面断面図、第１０図の上面断面図に示す
ように、リング状部材３ｂから突設され、リング
状部材３ｂに対し垂直でかつ回動半径と略同一の
曲面からなる外周壁３ｄを有し、先端には爪部３
ｅを形成している。

従つて前記弾性爪３ｃを取付孔２ａに嵌着する
と、通常は、弾性爪３ｃが凹部２ｃに係合し、ロ
ツク状態となるが、フイン３ａをもつて音響レン
ズ３を取付板２に対し回動させると、弾性爪３ｃ
は凹部２ｃから離脱し、取付孔２ａの内周壁２ｂ
上を摺動する。この際内周壁２ｂの突条２ｄは幅
狭であつて弾性爪３ｃの先端よりに位置している
ため、突条２ｄと摺動するのは弾性爪３ｃの外周
壁３ｄのうち、先端の爪部３ｅに近い下方部分の
みである。よつて回動時における弾性爪の弾性力
は弾性爪の腕が長いため比較的弱くなり、回動は
容易である。ところが弾性爪３ｃが凹部２ｃに係
合する直前あるいは離脱する直後においては、前
述の如く突条２ｄは上方へ向けて幅広部２ｅとな
つているため、この幅広部２ｅにより弾性爪３ｃ
はその根元部（リング状部材３ｂに近い部分）が
押圧される。従つて弾性爪３ｃはより大きく湾曲
されるから、強い弾性力を発揮し、係合、離脱時
の負荷は比較的大きく、両者の係合保持力も大と
なる。

また弾性爪３ｃと凹部２ｃとは係合、離脱によ
りその角部が摩耗し易いのであるが、上記の如
く、突条２ｄは角部において幅広部２ｅとなつて
いるため、耐摩耗性も向上する。

本考案は以上の如くであり、特に複数のフイン
を設けたリング状部材に複数の弾性爪を形成し、
この弾性爪を取付孔の内壁に係合し、前記フイン
をスピーカ前面で回動可能に装着したスピーカ装
置において、前記取付孔の内周壁には前記弾性爪
を係止する複数の凹部を形成し、この凹部と凹部
との間の内周壁には、弾性爪の外周壁下面と摺動
する幅狭の突条を設け、前記凹部近傍の突条先端
部を、前記弾性爪の根元部と摺動する幅広部とし
て形成したことを特徴とする構成である。

従つて、音響レンズの保持にがたつきがなく確
実であるとともに、繰り返す回動作用によつても
係合部が摩耗し難く、また弾性爪と凹部との係止
の際の負荷が幾分大きくなるため、快適な操作感
を得ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の音響レンズ付スピーカ装置を示
す断面図、第２図は従来の音響レンズの正面図、
第３図は第２図の音響レンズの背面図、第４図は
第２図の音響レンズの平面一部断面図、第５図は
従来の取付板の正面図、第６図は本考案の取付板
の正面図、第７図は第６図の取付板の側面断面
図、第８図は第６図のＢ部分をＡ方向から見た拡
大図、第９図は本考案実施例の弾性爪の拡大断面
図、第１０図は第９図の弾性爪の側面断面図であ
る。 ２ａ……取付孔、２ｂ……内周壁、２ｃ……凹
部、２ｄ……突条、２ｅ……幅広部、３……音響
レンズ、３ａ……フイン、３ｂ……リング状部
材、３ｃ……弾性爪、３ｄ……外周壁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数のフインを設けたリング状部材に複数の弾
   性爪を形成し、この弾性爪を取付孔の内壁に係合
   し、前記フインをスピーカ前面で回動可能に装着
   したスピーカ装置において、前記取付孔の内周壁
   には前記弾性爪を係止する複数の凹部を形成し、
   この凹部と凹部との間の内周壁には、弾性爪の外
   周壁下面と摺動する幅狭の突条を設け、前記凹部
   近傍の突条先端部を、前記弾性爪の根元部と摺動
   する幅広部として形成したことを特徴とする音響
   レンズの取付装置。