JP3590242B2 - 電子的撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子的撮像装置、詳しくは固体撮像素子等によって撮影された画像を電子的に記録する電子的撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影レンズ等の撮影光学系によって光学的に撮影された被写体像を撮像素子等の撮像手段によって光電変換し、この光電変換された電気信号としての画像信号を電子的に記録するようにした電子カメラ等の電子的撮像装置(以下、電子カメラという)が広く普及している。このような電子カメラにおいては、撮像手段としてCCD等が一般的に利用されている。
【0003】
通常の場合、CCDにより光電変換して得られる電気信号としての画像信号には、同CCDの製造過程中における種々の要因により発生する白点キズ等の欠陥による固定パターンノイズの他、ショットノイズ等のランダムノイズが混在する。
【0004】
そこで、より良好な画像を表示手段等に表示するために、上記画像信号からノイズ等を抑圧又は除去するための様々な信号処理が施されている。また、被写体像を画像として忠実に表示するために、上記画像信号に対して各種の補正等を施す様々な信号処理が行われている。
【0005】
従来の電子カメラにおいては、例えばAGC(オートゲインコントロール)回路を設け、CCDにより光電変換されて出力される画像信号の出力レベルを調整したり、AWB(オートホワイトバランス)回路等を設けて色バランスの補正処理や、カメラの撮像特性を負の分光特性を有する理想撮像特性に近付けるためのマスキング処理、輪郭信号(エッジ信号)出力のノイズ成分を抑圧してS/N比を向上するコアリング処理等の様々な信号処理が行われている。
【0006】
一方、上記従来の電子カメラにおいては、被写体像の撮影を行う際に必要となる露出調節や焦点調節等の動作を自動的に行わしめるためのAE、AF等の制御回路を設け、カメラの操作を容易にするようにしているものが普通である。
【0007】
図18は、従来の一般的な電子カメラにおける撮影動作時のタイミングチャートを示している。図18によって、上記電子カメラの撮影時の動作を、以下に簡単に説明する。
【0008】
図18において、VDは垂直駆動信号を示しており、一般的なCCDの電子シャッタ機能(手段)は垂直帰線期間(VD)に同期して開動作又は閉動作が行われるようになっている。また、電子カメラの主電源がオン状態にあるときには、CCDは常に駆動されており、AE動作が常時行われるようになっている。この状態において、二段スイッチからなるトリガースイッチの第1トリガー信号が発生すると、これを受けてAF動作が開始される。このAF動作が終了すると、次いで第2トリガー信号の発生を待って本露光動作が開始される。このときの本露光動作は、CCDの電子シャッタ機能による露出時間の制御によって行われ、同電子シャッタ手段は、上述したようにVDに同期して動作することとなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の電子カメラにおいては、上記AGC回路によって撮影時の画像信号の出力レベル値(以下、ゲイン値という)を、図18に示すように高い値(符号<Hi>で示す)に設定すると、これによって得られる画像信号に含まれるノイズ成分の信号レベルも高い値を示すことになり、これによって得られる画像信号のS/N比(符号<Low>で示す)が劣化する場合がある。
【0010】
即ち、CCDによって光電変換を行った後の画像信号であって、A/D変換前の画像信号に含まれるノイズ成分のうち、CCDのショットノイズ以外のノイズが大部分を占める場合においては、図19に示すように画像信号に対してAGC回路の出力レベル値(ゲイン値)を高い値に設定する程、これにより得られる画像信号のS/N比が劣化する傾向にある。
【0011】
また、従来の電子カメラでは、CCDの電子シャッタ手段のシャッタ速度(露光時間)を制御することによってAE制御を行うようにしている。このように、ゲイン値及び絞り値を一定として露光時間を可変制御することで、CCDの撮像面への露光量を一定に維持するように制御する場合には、シャッタ速度、即ち露光時間(log)と、CCDの撮像面照度(log)は、図20に示すように、直線的な時間制御にするのが理想的である。
【0012】
しかし、一般的には電子シャッタ手段の制御は、水平駆動信号(HD)に同期して、即ち水平走査期間を一単位として行われているので、図21に示すように高速シャッタになる程、即ち露光時間が短くなる程、シャッタ間隔は粗い間隔になる傾向があり、このような従来のCCDでは、電荷の蓄積時間を精度良く制御することができなかった。そこで、従来の電子カメラでは、図22に示すように露光時間に応じてゲイン値を制御することでAE精度を確保している。
【0013】
さらに、被写体輝度が低い場合においては、撮像面の露光量を確保するために露光時間を長くとる必要がある。しかし、電子シャッタ手段のシャッタ速度による制御の制限があり、一垂直帰線期間(1V)以上のシャッタ速度、即ち1垂直帰線期間(1V)を超える長い露光時間を設定することができない場合がある。したがって、そのような従来の電子カメラでは、最低被写体輝度に対する最低撮像面照度(図21で符号Aによって示す点)以下の照度において、露光量を確保するために、上記ゲイン値を高く設定する等の制御が行われている。しかし、上述したようにゲイン値を高く設定する程、S/N比が劣化してしまう傾向があるという問題があった。
【0014】
一方、従来の電子カメラでは、CCDの製造過程中における種々の要因により発生する白点キズ等の欠陥の位置情報を、カメラ内に配設されるROM等に記憶させておき、その位置情報を随時参照することにより、欠陥の位置を確認できるようにしている。そして、これら白点キズ等の欠陥に起因する固定パターンノイズ(以下、白点ノイズ又は画像欠陥という)は、図24に示すように画像欠陥を生じさせる画素(以下、欠陥画素という)の信号Bに隣接した垂直方向の正常画素の信号C1,C3及び水平方向の正常画素の信号C2,C4等によって置換することによって、発生した画像欠陥を補正する画像補間処理が施されるのが普通である。
【0015】
しかし、図23のタイミングチャートに示すように、電子カメラの撮影時において、本露光時間<LT>が長くなると、白点ノイズの出力信号レベル<Hi>が高くなる場合がある。そして、図25に示すように露光時間が長くなる程、白点ノイズの出力信号は増大する傾向にある。さらに、上記白点ノイズの出力信号は、図26に示すようにCCDの温度が高くなる程、増大する傾向にある。
【0016】
このように個々の白点ノイズの出力信号が増大すると、所定のレベル以下の微細な白点キズ等に起因して生じ、同電子カメラが認識し得る白点ノイズの数、即ち識別可能となる画素欠陥の数が多くなる。したがって、図27に示すように露光時間が長くなる程、また図28に示すようにCCDの温度が高くなる程、画像欠陥が目立ってしまう、即ち認識し得る欠陥画素(画素欠陥)の数が増加するという傾向がある。
【0017】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、CCD等の撮像素子により光電変換することによって得られる電気信号としての画像信号に対して適切な信号処理を施して、より良好な画像を表示装置に再生表示し得る画像信号を得るようにした電子的撮像装置を提供するにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
第1の発明による電子的撮像装置は、二次元配列の固体撮像素子を用いた電子的撮像装置において、画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段を備え、電子シャッタ手段により制御される所定の露光時間に対応した所定の欠陥画素の位置情報をそれぞれ記憶する複数の記憶手段のうちから、上記電子シャッタ手段により制御される撮影動作時における露光時間に応じた記憶手段に記憶された当該欠陥画素の位置情報を読み出して上記画素欠陥補正手段による補正処理の対象画素を切り換えることを特徴とする。
【0019】
第2の発明による電子的撮像装置は、二次元配列の固体撮像素子を用いた電子的撮像装置において、上記固体撮像素子の温度を検出する温度検出手段と、画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段と、を具備し、上記固体撮像素子の所定の温度に対応した所定の欠陥画素の位置情報をそれぞれ記憶する複数の記憶手段のうちから、上記温度検出手段で検出した上記固体撮像素子の温度に応じた記憶手段に記憶された当該欠陥画素の位置情報を読み出して上記画像欠陥補正手段による補間処理を施す対象画素を切り換えることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0021】
なお、本発明の実施形態を説明するに先立ち、当該実施形態に関連する本発明の関連技術について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の関連技術である電子的撮像装置の内部構成を示すブロック構成図である。
【0023】
図1に示すように、本関連技術の電子的撮像装置は、撮影レンズやこれを駆動する駆動モータ及び駆動機構等からなる撮影光学系1と、この撮影光学系1により結像される光学的な被写体像を光電変換し、同被写体像の画像信号を生成するCCD等の固体撮像素子(以下、単にCCDという)2と、このCCD2の出力信号から画像信号成分を抽出するCDS回路(相関二重サンプリング回路;correlated double sampling)3と、このCDS回路3の出力信号レベルを所定のゲイン値に調整するためのAGC回路等を含むゲイン制御手段である増幅器(AMP)4と、このAMP4から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器5と、上記CCD2の白点キズ等の欠陥等(以下、白点キズ等という)に起因する画像欠陥を補間する画素欠陥補正手段である画素欠陥補正回路6と、上記CCD2の白点キズの位置情報等が予め記録されたメモリ等の欠陥補正用ROM25と、上記画素欠陥補正回路6によって画像欠陥が補正済みの画像信号をRL信号,GL信号,BL信号の三原色の各色信号に分離する色分離回路8と、画像信号のホワイトバランス(WB)を調整するWB27と、色再現性を改善するための色補正を行う色補正回路28と、色信号のガンマ(γ)補正処理を施す色γ補正回路29と、R,G,Bの各色信号を輝度信号YLと二つの色差信号(R−Y信号及びB−Y信号)に変換して色相や色の飽和度等を調整する色差マトリクス回路10と、上記画素欠陥補正回路6から出力される画像信号のγ補正処理を施すγ補正回路26と、このγ補正回路26によりγ補正処理が施された画像信号から輝度信号(Y信号)のみを抽出し生成するY信号生成部12と、輪郭強調手段の一部を形成し、上記Y信号から低周波成分を除去して輪郭信号(以下、エッジ信号という)を抽出するハイパスフイルタ(HPF)部13と、輪郭強調手段の一部であって、上記HPF13により生成されたエッジ信号のノイズ成分を抑圧又は除去し、S/N比を改善するコアリング処理を施すコアリング部14と、このコアリング部14によってコアリング処理が施されたY信号に対して所定の係数を掛け合わせエッジ強調処理を施す輪郭強調手段の一部であるエッジ強調度積算器15と、このエッジ強調度積算器15から出力されるエッジ強調処理済みのY信号を上記色差マトリクス回路10から出力される輝度信号YLに加算して、輝度信号YHを出力する加算器11と、画像信号を表示可能な形態に処理する信号処理回路を含む表示手段である液晶ディスプレイ(LCD)19と、画像信号を一時的に記憶するメモリ等からなるカメラ内蔵記憶手段であるDRAM16と、画像信号に圧縮処理及び伸長処理を施す圧縮伸長回路17と、画像信号を保存するメモリカード等の記録媒体18と、撮影時にAF動作を開始させると共に、露光動作を開始させるトリガー信号を発生させ得るトリガースイッチ等、複数のスイッチからなる操作部21と、上記CCD2の温度状態を検出する温度検出手段である温度センサ部22と、上記CCD2の駆動パルス等の同期信号を発生させるタイミングジェネレータ(TG)23及びシグナルジェネレータ(SG)24等によって構成されている。
【0024】
そして、上記各構成部材は、制御手段であるCPU20に電気的に接続されており、本関連技術の電子的撮像装置全体は、同CPU20によって統括的に制御されている。なお、上記CCD2は、電子シャッタ機能(手段)を有しており、これにより露光時間の制御を行なうことができるようになっている。
【0025】
このように構成された上記電子的撮像装置において、撮影時に行われる作用は以下の通りである。なお、ここでは撮影時に行われる作用のうち、本発明にかかわる部分のみを説明している。
【0026】
上記CCD2によって得られた画像信号は、CDS回路3において画像信号成分が抽出され、AMP4において出力信号レベルが所定のゲイン値に調整された後、A/D変換器5においてデジタル信号に変換される。このデジタル信号に変換された画像信号は、画素欠陥補正回路6に入力され、ここで欠陥補正用ROM25に予め記録されている白点キズの位置情報等に基いて欠陥画素の位置が判別され、これに対して所定の補正量による画像欠陥補正処理が施される。したがって、上記画素欠陥補正回路6は、欠陥画素の位置を判別する判別手段としての役目もしている。
【0027】
その後、画像信号は上記色分離回路8に出力される主信号と、上記γ補正回路26に出力される副信号とに分岐される。ここで、上記主信号に対しては、上記色分離回路8以降の各回路において、所定の色補正処理等の信号処理が施される。
【0028】
一方、上記副信号に対しては、まず上記γ補正回路26によってγ補正処理が施された後、Y信号生成部12において、輝度信号(Y信号)のみが抽出されて、生成される。このY信号は上記HPF部13に入力され、これを受けてHPF部13は、上記Y信号からエッジ信号を生成して、これを上記コアリング部14に出力する。このコアリング部14において、上記エッジ信号に対して所定のコアリング処理を施した後、これを上記エッジ強調度積算器15へ出力する。そして、このエッジ強調度積算器15においてエッジ強調処理がなされた後、このエッジ強調処理済みのY信号は、上記加算器11において上記主信号の輝度信号YLに加算され、上記LCD19に出力されて、画像の再生表示処理がなされる。
【0029】
ここで、上記エッジ強調度積算器15によって施されるエッジ強調処理は、図2に示すように高いエッジ強調度によってエッジ強調処理を強くかける程、画像信号(Y信号)のS/N比が劣化する傾向がある。
【0030】
そこで、本関連技術の電子的撮像装置における上記エッジ強調度積算器15では、図3に示すように画像信号の信号レベル(ゲイン値)に応じて、エッジ強調処理を施すための係数、即ちエッジ強調度を変化させるように制御している。
【0031】
この場合における撮影動作時のタイミングチャートは、図4に示すようになる。図4において、画像信号の信号レベルを高ゲイン値<Hi>に設定して撮影を行った場合、上記エッジ強調度積算器15はエッジ強調度を可変制御して、所定のS/N比を確保し得る低エッジ強調度<Low>を設定し、これによってエッジ強調処理を施す。
【0032】
このように上記第1の関連技術によれば、画像信号の信号レベル(ゲイン値)に応じてエッジ強調度を可変制御するようにしたので、所定のS/N比を確保した画像信号を得ることができ、よって良好な画像で再生表示することができる。
【0033】
一方、輪郭強調手段による信号処理によってS/N比の劣化を防ぐ手段としては、上述の第1の関連技術に示したエッジ強調度の可変制御による手段の他に、例えばコアリング部14によって施されるコアリング処理のコアリングレベルを可変制御する手段が考えられる。
【0034】
次に示す上記第1の関連技術の一変形例は、画像信号の信号レベル(ゲイン値)に応じてコアリングレベルを可変制御するようにしたものである。なお、この一変形例の電子的撮像装置は、上述の第1の関連技術の電子的撮像装置と同様の構成からなるものであり、輪郭信号手段における信号処理が若干異なるのみである。したがって、装置内部の構成については、その詳細な説明及び図示を省略する。
【0035】
まず、一般的な電子的撮像装置におけるコアリング部14によって施されるコアリング処理の入出力特性を図5に示す。図5に示されるように、通常のコアリング処理は、画像信号のY信号から上記HPF部13によって抽出されたエッジ信号の入力に対する出力に不感帯域(図5の符号Fに示す領域)を設け、これによりエッジ信号の出力のノイズ成分を抑圧するというものである。
【0036】
このようなコアリング処理においては、上記不感帯域Fを拡げて、抑圧すべきノイズレベルを上げる程、即ちコアリングレベルを上げる程、図6に示すようにS/N比は向上し、またコアリングレベルを低く設定すればS/N比も劣化するという傾向がある。
【0037】
したがって、画像信号のS/N比を所定の一定レベルに保持するためには、図7に示すように画像信号の信号レベル(ゲイン値)に応じてコアリングレベルを変化させるように制御すれば良い。そこで、本変形例においては、画像信号の信号レベルに応じて、上記コアリング部14により施されるコアリング処理のコアリングレベルを可変制御するようにしている。
【0038】
この場合における撮影動作は、図8に示すタイミングチャートに示すようになる。図8において、画像信号の信号レベルが高ゲイン値<Hi>に設定されているときには、上記コアリング部14はコアリングレベルを可変制御して、所定のS/N比を確保し得る高コアリングレベル<Hi>を設定し、これによってコアリング処理を施す。このように上記一変形例によっても、上記第1の関連技術と全く同様の効果を得ることができる。
【0039】
ところで、上述の第1の関連技術の電子的撮像装置においては、画像信号のS/N比を所定の一定レベルに保持するために、画像信号の信号レベルに応じてエッジ強調度を可変制御するようにしている。この場合においては、図9に示すようにエッジ強調度が上がると、これに伴って白点ノイズの出力レベルが高くなる傾向がある。また、通常のCCDにおいては、上述したように撮影時の本露光時間が長くなると、白点ノイズの出力レベルが高くなる傾向がある(図23、図25参照)。
【0040】
そこで、上記第1の関連技術の他の変形例として、次のような信号処理の手段が考えられる。なお本変形例においても、その主要な構成については上述の第1の関連技術と同様であり、輪郭信号手段における信号処理が若干異なるのみである。したがって、装置内部の構成の詳細な説明及び図示は省略している、本変形例における電子的撮像装置は、上記第1の関連技術の電子的撮像装置と同様にCCD2の電子シャッタ機能によって露光時間が制御されている。このCCD2は、上記CPU20によって制御されており、同CPU20は撮影時の電子シャッタ手段による露出時間に応じて、エッジ強調度積算器15を制御することにより、同エッジ強調度積算器15によるエッジ強調処理を施す際のエッジ強調度を可変制御している。
【0041】
図10は、画像信号のS/N比を所定の一定レベルに保持するため、即ち白点ノイズの信号出力レベルを一定レベルに保持するために、上記CCD2の露光時間に応じて制御されるエッジ強調度の関係を示している。
【0042】
この場合における撮影動作は、図11に示すタイミングチャートに示すように、撮影時の電子シャッタの露光時間<LT>が長くなったときには、上記エッジ強調度積算器15はエッジ強調度を可変制御して、所定のS/N比を確保し得る低エッジ強調度<Low>を設定し、これによってエッジ強調処理を施す。このように上記他の変形例によれば、長時間露光時における白点ノイズの出力レベルを一定レベルに抑えることができるので、画像信号のS/N比の劣化を防ぎ、よって良好な画像を再生表示し得る画像信号を得ることができる。
【0043】
一方、通常のCCDにおいては、上述したようにCCDの温度が高くなる程、白点ノイズの出力信号が増大する傾向にある(図26参照)。そこで、上記第1の関連技術の別の変形例として、次のような信号処理の手段が考えられる。なお、本変形例においても、その構成は上述の第1の関連技術と同様であって、輪郭信号手段における信号処理が若干異なるのみである。したがって、装置内部の構成の詳細な説明及び図示は省略する。
【0044】
本変形例における電子的撮像装置は、上記第1の関連技術の電子的撮像装置と同様に温度センサ部22が配設されており、これによって、同電子的撮像装置が電源オン状態となっている間は、上記CCD2の温度状態が常に検出されている。この温度センサ部22は上記CPU20によって制御されており、同CPU20は、上記温度センサ部22により検出された撮影時のCCD2の温度状態に応じて、上記エッジ強調度積算器15を制御してエッジ強調処理を施す際のエッジ強調度を可変制御している(図12参照)。
【0045】
このような信号処理を行わしめることによって本変形例によれば、上記CCD2の温度変化に関らず、これに応じたエッジ強調度によってエッジ強調処理を施すようにしているので、画像信号のS/N比を所定の一定レベルに保持することができ、よって良好な画像信号を得ることができる。
【0046】
また、上述したように上記第1の関連技術の電子的撮像装置においては、欠陥補正用ROM25に予め記録されている白点キズの位置情報等に基いて、画素欠陥補正回路6が欠陥画素の位置を判別し、判別された欠陥画素に対して所定の補正量によって画像欠陥補正処理を施している。
【0047】
ところで、通常のCCDでは、撮影時の本露光時間が長くなったり、CCDの温度が高くなったりした場合には、個々の白点ノイズの出力信号が増大し、所定のレベル以下の微細な白点キズ等に起因する画像欠陥が目立つようになる(図27、図28参照)。
【0048】
したがって、上記第1の関連技術における画素欠陥補正回路6のように、常に一定の補正量によって画像欠陥の補正処理を施すようにした場合、撮影時の露光時間や温度等の条件によっては、補正が不足したり、逆に過剰に補正をかけてしまうことになり、これによって画質を劣化させてしまう場合があった。
【0049】
そこで、図14に示すように撮影時のCCDへの露光量に応じて、欠陥画素の補正量を変化させるようにすれば、常に適切な補正量によって欠陥画素の補正を施すことができ、よって画質を劣化させることもない。
【0050】
本発明の第1の実施形態の電子的撮像装置は、CCDの電子シャッタ手段による露光時間に応じて、画素欠陥補正回路によって施される補正処理の補正量を切り換えるようにしたものである。
【0051】
即ち、本実施形態の電子的撮像装置の内部構成は、図13のブロック構成図に示すように上述の第1の関連技術における欠陥補正用ROM25に代えて、構成の異なる欠陥補正用ROM25Aを用いた点が異なるのみであり、その他の構成部材は、上述の第1の関連技術と同様である。したがって、これら第1の関連技術と同様の構成部材には同じ符号を付して、その説明を省略し異なる部分、即ち欠陥補正用ROM25Aについてのみ、以下に説明する。
【0052】
本実施形態の電子的撮像装置における欠陥補正用ROM25Aは、第1ROM25aと第2ROM25bの二つのROMによって構成されている。各ROM25a,25bには、それぞれにCCD2の白点キズ等の欠陥に関する異なる情報、例えば白点キズ等の位置情報等が記録されている。この情報としては、例えば第1ROM25aには、露光時間が比較的長い場合に対応する画像欠陥を補正する補正量の情報や、露光時間が長い場合に認識される白点キズ等の欠陥の数や位置情報等が、また第2ROM25bには露光時間が比較的短い場合に対応する画像欠陥の補正量や、露光時間が短い場合に認識される欠陥の数や位置情報等が、それぞれ記録されている。
【0053】
そして、CPU20は、撮影時の露光時間に応じて欠陥補正用ROM25Aの第1ROM25aと第2ROM25bを切換制御して、画素欠陥補正手段である画素欠陥補正回路6が施す補正処理の対象画素を切り換えるように構成されている。
【0054】
このように構成された上記電子的撮像装置において、例えば長い露光時間による撮影が行われた場合には、上記CPU20は欠陥補正用ROM25Aを第1ROM25a側に切り換えて、これに記録されている情報を上記画素欠陥補正回路6に伝達する。これを受けて、同補正回路6は、伝達された情報に基いて画素欠陥補正処理を施す。
【0055】
このように構成された上記第1の実施形態によれば、撮影時の露光時間に応じて、画素欠陥補正回路6による補間処理を施す対象画素を切り換えるようしたので、画像信号に対して過剰な補正をかけることがなく、よって画質の劣化を防ぎ、良好な画像を得ることができる。
【0056】
上述したように上記第1の実施形態においては、露光時間に応じて欠陥補正要路M25Aの切換制御を行うようにしているが、上述したように撮影時のCCD2の温度状態によっても、個々の白点ノイズの出力信号が増大することにより、画像欠陥が目立つ場合がある。
【0057】
このような場合には、図15に示すように撮影時のCCDの温度を検出し、その検出結果に応じて、欠陥画素の補正量を変化させるようにすれば、同様に適切な欠陥画素の補正を施すことができることとなる。そこで、次に示すような変形例が考えられる(図13参照)。
【0058】
即ち、本変形例の電子的撮像装置では、CCD2の温度状態を温度センサ部22によって検出し、検出された温度情報に基いて欠陥補正用ROM25Aの切換制御を行うようにしている。
【0059】
この場合においては、上記欠陥補正用ROM25Aの第1ROM25aには、CCDの温度状態が比較的高い場合に対応する画像欠陥の補正量や、温度状態が高いときの白点キズ等の欠陥の数や位置情報等が、また第2ROM25bにはCCDの温度情報が比較的低い場合に対応する画像欠陥の補正量や、温度状態が低いときの欠陥の数や位置情報等が、それぞれ記録されている。このように構成した場合にも、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また、上述したようにエッジ強調度積算器15におけるエッジ強調度を上げてエッジ強調処理を施すと、これに伴って白点ノイズの出力レベルも高くなる傾向がある(図9参照)ことから、画像信号より抽出されたエッジ信号に対して、一定のエッジ強調度によってエッジ強調処理を施した場合には、図16に示すように、撮像面W内において欠陥画素のある位置(符号Y)における処理結果と、欠陥画素のない位置(符号N)、即ち正常画素に対する処理結果とでは異なる結果となり、欠陥画素に起因して生じる白点ノイズの出力信号レベルが目立つ場合がある。
【0061】
そこで、本発明の第2の関連技術においては、欠陥画素の有無を判別し、欠陥画素のある位置と欠陥画素のない位置(正常画素)とで、それぞれ異なるエッジ強調度によってエッジ強調処理を施すようにしている。なお、その他の構成は、上述の第1の関連技術、第1の実施形態と同様である(図1、図13参照)。
【0062】
この場合において、欠陥画素の有無は上記欠陥補正用ROM25(図1参照)又は欠陥補正用ROM25A(図13参照)に記録されている欠陥の位置情報等が利用されることとなる。その他の構成については、上述の第1の関連技術、第1の実施形態と同様である。
【0063】
このように上記第2の関連技術によれば、欠陥補正用ROM25,25Aに予め記録されている欠陥画素の位置情報等に基いて、欠陥画素のある位置と欠陥画素のない位置とで、異なるエッジ強調度によってエッジ強調処理を施すようにしたので、これによって欠陥画素が目立つことがなくS/N比の劣化を防ぐと共に、良好な画像を再生表示し得る画像信号を得ることができる。
【0064】
なお、上述の第2の関連技術においては、欠陥画素の位置情報に応じたエッジ強調処理を施すようにしたが、これとは別に、例えば画像欠陥(白点ノイズ)の出力レベルに応じて、全体のエッジ強調処理のエッジ強調度を可変制御するようにした変形例も考えられる。
【0065】
この場合においては、図17に示すように白点ノイズ信号の出力レベルに応じたエッジ強調度によるエッジ強調処理が施されることとなる。このような信号処理の制御を施すことによっても、上述の第2の関連技術と同様の効果を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
第1の発明によれば、画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段を備え、撮影動作時の電子シャッタ手段による露光時間に応じて画素欠陥補正手段による補間処理を施す対象画素を切り換えるようにしたので、適正な補正量による補間処理を施すことができ、画像の劣化を防止することができる。
【0067】
第2の発明によれば、固体撮像素子の温度を検出する温度検出手段と、画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段とを具備し、撮影動作時に温度検出手段により検出された固体撮像素子の温度に応じて画像欠陥補正手段による補間処理を施す対象画素を切り換えるようにしたので、適正な補正量でによる補間処理を施すことができ、画像の劣化を防止することができる。
【0068】
以上述べたように本発明によれば、CCD等の撮像素子により光電変換することによって得られる電気信号としての画像信号に対して適切な信号処理を施して、より良好な画像として表示装置に再生表示し得る画像信号を得るようにした電子的撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の関連技術の電子的撮像装置の内部構成を示すブロック構成図。
【図2】図1の電子的撮像装置の撮影時におけるエッジ強調度と画像信号のS/N比の関係を示す図。
【図3】図1の電子的撮像装置の撮影時において、画像信号の出力レベル(ゲイン)に応じて制御されるエッジ強調度の関係を示す図。
【図4】図1の電子的撮像装置の撮影動作時のタイミングチャート。
【図5】一般的な電子的撮像装置におけるコアリング部によるコアリング処理の入出力特性を示す図。
【図6】図1の電子的撮像装置の一変形例において、撮影時のコアリングレベルと画像信号のS/N比の関係を示す図。
【図7】図6の電子的撮像装置の撮影時において、画像信号の信号レベル(ゲイン)に応じて制御されるコアリングレベルの関係を示す図。
【図8】図6の電子的撮像装置の撮影動作時のタイミングチャート。
【図9】図1の電子的撮像装置の撮影時におけるエッジ強調度と白点ノイズ信号の出力レベルの関係を示す図。
【図10】図1の電子的撮像装置の他の変形例において、撮影時の露光時間に応じて制御されるエッジ強調度の関係を示す図。
【図11】図10の電子的撮像装置の撮影動作時のタイミングチャート。
【図12】図1の電子的撮像装置の別の変形例において、撮影時のCCDの検出温度に応じて制御されるエッジ強調度の関係を示している。
【図13】本発明の第1の実施形態の電子的撮像装置の内部構成を示すブロック構成図。
【図14】図13の電子的撮像装置において、撮影時のCCDへの露光量に応じて欠陥画素の補正量を変化させた場合の露光量と補正量との関係を示す図。
【図15】図13の電子的撮像装置において、撮影時のCCDの温度状態に応じて欠陥画素の補正量を変化させた場合の温度状態と補正量との関係を示す図。
【図16】撮像面内における画像欠陥を例示する図。
【図17】図13の電子的撮像装置の変形例において、撮影時の白点ノイズ信号の出力レベルに応じて制御されるエッジ強調度の関係を示す図。
【図18】従来の一般的な電子カメラの撮影動作時のタイミングチャート。
【図19】従来の電子カメラの撮影時における画像信号の出力レベル値(ゲイン)とS/N比の関係を示す図。
【図20】電子カメラのAE制御の理想的な露光時間と撮像面照度の関係を示す図。
【図21】従来の電子カメラのAE制御の実際の露光時間と撮像面照度の関係を示す図。
【図22】従来の電子カメラにおけるAE制御を行う際の出力信号レベル(ゲイン)と撮像面照度の関係を示す図。
【図23】従来の電子カメラの撮影時における本露光時間が長い場合のタイミングチャート。
【図24】従来の電子カメラの一般的な画像補正処理を説明する図。
【図25】従来の電子カメラの撮影時における露光時間と白点ノイズの出力信号の関係を示す図。
【図26】従来の電子カメラの撮影時におけるCCDの温度と白点ノイズの出力信号の関係を示す図。
【図27】従来の電子カメラの撮影時における露光時間と認識し得る欠陥画素(画像欠陥)の数の関係を示す図。
【図28】従来の電子カメラの撮影時におけるCCDの温度と認識し得る欠陥画素(画像欠陥)の数の関係を示す図。
【符号の説明】
1……撮影光学系
2……CCD(固体撮像素子)
3……CDS回路(相関二重サンプリング回路)
4……AMP(増幅器、ゲイン制御手段)
5……A/D変換器
6……画素欠陥補正回路(画素欠陥補正手段)
8……色分離回路
9……WB回路(ホワイトバランス回路)
10……色差マトリクス回路
11……加算器
12……Y信号生成器(輝度信号生成器)
13……HPF部(ハイパスフイルタ部、輪郭強調手段)
14……コアリング部(輪郭強調手段)
15……エッジ強調度積算器(輪郭強調手段)
20……CPU(制御手段)
21……操作部(トリガースイッチ等)
22……温度センサ部(温度検出手段)
25,25A……欠陥補正用ROM
26……γ補正回路
Claims (2)
- 二次元配列の固体撮像素子を用いた電子的撮像装置において、
画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段を備え、
電子シャッタ手段により制御される所定の露光時間に対応した所定の欠陥画素の位置情報をそれぞれ記憶する複数の記憶手段のうちから、上記電子シャッタ手段により制御される撮影動作時における露光時間に応じた記憶手段に記憶された当該欠陥画素の位置情報を読み出して上記画素欠陥補正手段による補正処理の対象画素を切り換えることを特徴とする電子的撮像装置。 - 二次元配列の固体撮像素子を用いた電子的撮像装置において、
上記固体撮像素子の温度を検出する温度検出手段と、
画像欠陥の補間処理を施す画素欠陥補正手段と、
を具備し、
上記固体撮像素子の所定の温度に対応した所定の欠陥画素の位置情報をそれぞれ記憶する複数の記憶手段のうちから、上記温度検出手段で検出した上記固体撮像素子の温度に応じた記憶手段に記憶された当該欠陥画素の位置情報を読み出して上記画像欠陥補正手段による補間処理を施す対象画素を切り換えることを特徴とする電子的撮像装置。
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