JP3589748B2 - 搬送用トレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パレットに多段に載置される物品とパレット間或いは物品間に配設される搬送用トレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、パレットに多段に載置される物品とパレット間或いは物品間に配設される搬送用トレイとして、合成樹脂シート、不織布、スポンジシート或いはスポンジ等を貼着した合成樹脂シート等からなる平板状の搬送用トレイが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の合成樹脂シートを搬送用トレイとして用いるものにあっては、傷つきやすい面を有する物品、例えば、アルミニウム製のタイヤホイール或いは塗装が施されたタイヤホイールようなものには使用できないという問題があり、また、不織布、スポンジシートは、強度的に或いは反復使用性に問題があり、更に、スポンジ等を貼着した合成樹脂シートは、スポンジ等の貼着作業に手間が掛かりコスト面で問題があるとともに、リサイクルの面でも問題がある。
【0004】
また、平板状の単なるシート状の搬送用トレイの場合には、物品が水平方向に移動しやすく、多段に積み重ねた物品を安定的に積み重ねることができないために、高く積み重ねることができなかったり、積み重ねられた物品が崩れる等の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、上述したような従来の搬送用トレイが有する課題を解決するとともに、強度的に優れた、しかも、取扱性の良い搬送用トレイを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、硬質合成樹脂シートと、該硬質合成樹脂シートと同一或いは類似の合成樹脂で形成された軟質シートとの積層体を真空成形等により成形することにより製造された搬送用トレイにおいて、下部基板に、頂部が上部基板とほぼ同じ高さで、且つ、前記頂部から下部基板に向けて傾斜した傾斜面を有する山部が、搬送用トレイの長辺に沿って3列形成されているとともに、3個の山部で囲まれた略正三角形状の下部基板と、搬送用トレイの四隅に位置する下部基板と、中央の列の両端に配設された山部と搬送用トレイの長辺に沿って配列された山部とで挟まれる搬送用トレイの短辺側の下部基板と、搬送用トレイの長辺に沿って配列された2個の山部と搬送用トレイの長辺とで囲まれた下部基板とには、それぞれ、凹部が形成されており、更に、前記3個の山部で囲まれた略正三角形状の下部基板に形成された凹部が、前記略正三角形状の下部基板に突設された3個の柱状凸部により囲まれているように構成したものである。
【0007】
以下に、本発明の搬送用トレイの斜視図である図1、物品の一例としてのタイヤホイールを載置した本発明の搬送用トレイを積み重ねた状態の断面図である図2、本発明の搬送用トレイの一部拡大平面図である図3及び本発明の搬送用トレイの一部断面を含む拡大斜視図である図4を用いて、本発明の搬送用トレイの実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0008】
【実施例】
Tは、平面形状が略矩形の搬送用トレイであり、搬送用トレイTは、硬質合成樹脂シート1と、硬質合成樹脂シート1の裏面に積層された、硬質合成樹脂シート1と同一或いは類似の合成樹脂からなるとともに、硬質合成樹脂シート1より軟らかい合成樹脂材で形成された軟質シート2との積層体を、真空成形等により成形することにより製造される。Wは、搬送用トレイTに載置される物品の一例としてのタイヤホイールである。
【0009】
硬質合成樹脂シート1と同一或いは類似の合成樹脂からなるとともに、硬質合成樹脂シート1より軟らかい合成樹脂材からなる軟質シート2としては、硬質合成樹脂シート1と同一或いは類似の合成樹脂に可塑剤を添加して成形された軟質合成樹脂シート或いは硬質合成樹脂シート1と同一或いは類似の合成樹脂に発泡剤を添加して成形された軟質発泡合成樹脂シートがある。また、上記の硬質合成樹脂シート1としては、硬質の無発泡合成樹脂シートを用いることも或いは硬質の発泡合成樹脂シートを用いることができる。
【0010】
搬送用トレイTは、下部基板3及び下部基板3より一段高く形成された上部基板4とから構成されており、下部基板3には、頂部5aが上部基板4とほぼ同じ平面を形成するとともに、頂部5aから下部基板3に向けて傾斜した傾斜面5bを有する円錐台状の山部5が設けられている。上述したように、搬送用トレイTは、積層体を真空成形等することにより製造されるので、図2及び図4に示されているように、搬送用トレイTの裏側には、円錐台状の山部5に沿って該山部5と同形状の凹部5’が形成される。
【0011】
図1に示されている実施例においては、搬送用トレイTの相対する長辺6に沿って3列に山部5が配設されており、一列目には4個、2列目、即ち、中央の列には3個、3列目には4個の山部5が形成されており、各列の山部5は、隣接する列の山部5に対して千鳥状に位置するように配列されている。なお、上部基板4と山部5の頂部5aとは、積載される物品に応じて、何方か一方を高くすることもできるとともに、山部5の形状は、円錐台状に限定されることなく、積載される物品に応じて、柱状、三角錐状、四角錐状、椀状等種々の形状に形成することができる。
【0012】
3個の山部5で囲まれる略正三角形状の下部基板3上の三角領域7の3つの角部には、下部基板3から略三角柱状の柱状凸部8が突設されており、3つの柱状凸部8により囲まれる下部基板3の中央部には、凹部9が設けられている。また、長辺6に沿って配列されている山部5の隣接する2個の山部5と長辺6に囲まれた下部基板3には、平面形状が略菱形状の凹部10が設けられており、更に、平面形状が略矩形の搬送用トレイTの四隅の下部基板3には、平面形状が略三角形状の凹部11が設けられている。更にまた、中央の列の両端に配設された山部5と長辺6に沿って配列されている山部5とで挟まれる搬送用トレイTの短辺側6’の下部基板3の領域には、所定の間隔を置いて、平面形状が略菱形状の凹部12が設けられている。
【0013】
平面形状が略矩形の搬送用トレイTの四隅に配設された山部5の周囲には、山部5と上部基板4との間に設けられた略半円状の溝部13a及び3個の山部5で囲まれる略正三角形状の下部基板3上の三角領域7に設けられた3つの柱状凸部8のうちの搬送用トレイTの四隅に配設された山部5側の2個の柱状凸部8により、略円形状の溝部13が形成され、図3において二点鎖線で示されている溝部13の外輪13bに沿って、開放側端部w1を下にしてタイヤホイールWが、搬送用トレイT上に載置される。
【0014】
また、長辺6に沿って配列された山部5のうち、隅部以外の山部5、即ち、図1に示されている搬送用トレイTの隅部から2番目の山部5は、長辺6に沿って設けられた略四分円状の溝部14a及び3個の山部5で囲まれる下部基板3上の三角領域7に設けられた3組の柱状凸部8のうちの、それぞれの2個の柱状凸部8により形成される略円形状の溝部14により囲まれており、この溝部14の外輪14bに沿って、開放側端部w1を下にしてタイヤホイールWが、搬送用トレイT上に載置される。
【0015】
更に、中央の列の搬送用トレイTの短辺側6’側に配置された山部5は、短辺側6’側の上部基板4と山部5との間に配設された溝部15a及び3個の山部5で囲まれる下部基板3上の三角領域7に設けられた4組の柱状凸部8のうちの、それぞれの2個の柱状凸部8により形成される略円形状の溝部15により囲まれており、この溝部15の外輪15bに沿って、開放側端部w1を下にしてタイヤホイールWが、搬送用トレイT上に載置される。
【0016】
更にまた、中央の列の真ん中に配置された山部5のように、周りが全て山部5で囲まれた山部5は、3個の山部5で囲まれる下部基板3上の三角領域7に設けられた6組の柱状凸部8のうちの、それぞれの2個の柱状凸部8により形成される略円形状の溝部16により囲まれており、この溝部16の外輪16aに沿って、開放側端部w1を下にしてタイヤホイールWが、搬送用トレイT上に載置される。
【0017】
上述したような構成を有する搬送用トレイTに設けられた略環状の溝部13、14、15、16には、開放側端部w1を下にしてタイヤホイールWが載置されることになるが、タイヤホイールWは、開放側端部w1が、このような溝部13、14、15、16に嵌合されているので、水平方向への移動が阻止され、安定した状態で搬送用トレイTに載置されることになる。また、タイヤホイールWの開放部に、山部5が嵌合することにより、より確実に、タイヤホイールWの水平方向への移動を防止することができるとともに、タイヤホイールWを、より安定した状態で搬送用トレイTに載置することができる。
【0018】
図2に示されているように、多段にタイヤホイールWを積み重ねる場合には、下に位置する搬送用トレイTb上に載置されたタイヤホイールWの上部w2が、上に位置する搬送用トレイTuの裏側に形成された山部5と同形状の凹部5’に嵌合することになる。このように、下に位置する搬送用トレイTbの山部5の周囲の溝部13、14、15、16にタイヤホイールWの開放側端部w1が嵌合されるとともに、上に位置する搬送用トレイTuの裏側に形成された山部5と同形状の凹部5’にタイヤホイールWの上部w2が嵌合されるので、安定した状態で、搬送用トレイTを介して多段にタイヤホイールWを積み重ねることができる。また、図2に示されているように、中段及び上段に位置するタイヤホイールWの開放部には、それぞれ、下に位置する搬送用トレイTbの山部5及び上に位置する搬送用トレイTuの山部5が嵌合されているので、搬送用トレイTを介して、より安定した状態で、多段にタイヤホイールWを積み重ねることができる。
【0019】
多段にタイヤホイールWを積み重ねた場合に、傷つきやすいタイヤホイールWの上部w2の表面w2’が、搬送用トレイTの裏側に配置された軟質シート2と接触することになるので、タイヤホイールWを車に装着した際に、人目に付く外側に位置するタイヤホイールWの表面w2’が、搬送用トレイTにより損傷を受けるようなことが防止できる。また、搬送用トレイTの硬質合成樹脂シート1と軟質シート2を、同一或いは類似の合成樹脂により形成したので、リサイクルの際に、硬質合成樹脂シート1と軟質シート2とを分離する必要がないので、リサイクル作業が簡素化され、リサイクルにかかる費用を低減することができる。
【0020】
同一或いは類似の合成樹脂により形成される硬質合成樹脂シート1及び軟質シート2の具体的な組み合わせとしては、硬質ポリプロピレンシートとポリプロピレンに可塑剤や発泡剤を添加して成形された軟質ポリプロピレンシート或いは軟質発泡ポリプロピレンシートとの組合せ、硬質ポリエチレンシートと該ポリエチレンに可塑剤や発泡剤を添加して成形された軟質ポリエチレンシート或いは軟質発泡ポリエチレンシートとの組合せ、硬質高密度ポリエチレンシートと高密度ポリエチレンに可塑剤や発泡剤を添加して成形された軟質高密度ポリエチレンシート或いは軟質発泡高密度ポリエチレンシートとの組合せ等、公知の種々の硬質合成樹脂シートと該合成樹脂に可塑剤や発泡剤を添加して成形された軟質合成樹脂シート或いは軟質発泡合成樹脂シートとの組合せを使用することができる。
【0021】
上述した実施例においては、硬質合成樹脂シート1と該硬質合成樹脂シート1の裏面に積層された、硬質合成樹脂シート1と同一或いは類似の合成樹脂からなる軟質シート2との積層体を成形することにより、搬送用トレイTを製造するようにした例が示されているが、硬質合成樹脂シート1を、その両面から軟質シート2でサンドイッチ状に挟持して形成された積層体を成形して、搬送用トレイTを製造することもできる。また、硬質合成樹脂シート1を複数枚、積層することも、また、硬質合成樹脂シート1の片面或いは両面に、複数枚の軟質シート2を積層することもできる。物品の上面及び下面が、共に、傷つきやすい場合には、上記のように、硬質合成樹脂シート1の両面に軟質シート2を積層することが好ましい。
【0022】
搬送用トレイT上に載置されるタイヤホイールW等の物品の一部を支持する柱状凸部8により囲まれる下部基板3の中央部に凹部9を設けることにより、屈曲し易いこの部分を、あたかもリブを設けたように補強することができ、搬送用トレイTを曲げ難くすることができるとともに、搬送用トレイTの強度を向上することができる。
【0023】
搬送用トレイTの四隅の下部基板3に、平面形状が略三角形状の凹部11を設け、また、長辺6に沿って配列されている山部5の隣接する2個の山部5と長辺6に囲まれる下部基板3に、平面形状が略菱形状の凹部10を設け、更に、中央の列の両端に配設された山部5と長辺6に沿って配列されている山部5とで挟まれる搬送用トレイTの短辺側6’の下部基板3の領域に、平面形状が略菱形状の凹部12を設けたので、強度的に弱いこのような部分を、あたかもリブを設けたように補強することができる。
【0024】
上述した実施例には、下部基板3に山部5を設けるとともに、三角領域7に突設された柱状凸部8等により、山部5の周囲に溝部13、14、15、16を形成し、該溝部13、14、15、16に、タイヤホイールWの開放側端部w1を嵌合するようにした例が示されているが、三角領域7に突設された柱状凸部8等により、山部5の周囲に溝部13、14、15、16を形成することなく、単に、平板状の基板に、上述したような山部5を、適当数、形成し、該山部5を、タイヤホイールWの開放部等の物品の凹部や穴部に嵌合させることにより、物品の水平方向のずれを防止するように構成することもできる。
【0025】
図2の上下を逆にしたように、平板状の基板の上面を凹ませて、上述した凹部5’のような凹部を形成し、該凹部に対応して裏面に、上述した山部5のような山部を膨出させて、搬送用トレイTを構成することもできる。この場合には、基板の上面に形成された凹部に、物品を嵌合させることにより、物品の水平方向のずれを防止することができる。また、搬送用トレイTを介して、物品を多段に積み重ねた場合には、下に位置する搬送用トレイTの凹部に嵌合された物品の上部に形成された凹部或いは穴部に、上に位置する搬送用トレイTの裏面から膨出された山部を嵌合させることにより、搬送用トレイTを介して、安定した状態で、多段に物品を積み重ねることができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏するものである。
【0027】
搬送用トレイを、硬質合成樹脂シートと、該硬質合成樹脂シートと同一或いは類似の合成樹脂で形成された軟質シートとの積層体により成形するようにしたので、リサイクルの際に、硬質合成樹脂シートと軟質シートとを分離する必要がないので、リサイクル作業が簡素化され、リサイクルにかかる費用を低減化することができる。
【0028】
搬送用トレイに形成された凹部或いは山部に物品を嵌合するようにしたので、搬送用トレイに載置される物品の水平方向のずれを防止することができる。
【0029】
山部を囲んで形成された溝部に物品を嵌合するようにしたので、搬送用トレイ上に載置された物品の水平方向の移動を、より確実に防止することができる。
【0030】
下に位置する搬送用トレイの凹部或いは山部に物品の下部を嵌合するとともに、上に位置する搬送用トレイの裏面に形成された山部或いは凹部に物品の上部を嵌合するようにしたので、安定した状態で、搬送用トレイを介して多段に物品を積み重ねることができる。
【0031】
搬送用トレイを、硬質合成樹脂シートと軟質シートとの積層体で形成し、物品の傷つきやすい部分が軟質シートと接触するようにしたので、物品の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の搬送用トレイの斜視図である。
【図2】図2は物品の一例としてのタイヤホイールを載置した本発明の搬送用トレイを積み重ねた状態の断面図である。
【図3】図3は本発明の搬送用トレイの一部拡大平面図である。
【図4】図4は本発明の搬送用トレイの一部断面を含む拡大斜視図である。
【符号の説明】
T・・・・・・・・・・・・搬送用トレイ
W・・・・・・・・・・・・物品の一例としてのタイヤホイール
1・・・・・・・・・・・・硬質合成樹脂シート
2・・・・・・・・・・・・軟質シート
3・・・・・・・・・・・・下部基板
4・・・・・・・・・・・・上部基板
5・・・・・・・・・・・・山部
8・・・・・・・・・・・・柱状凸部
9、10、11、12・・・凹部
Claims (1)
- 硬質合成樹脂シートと、該硬質合成樹脂シートと同一或いは類似の合成樹脂で形成された軟質シートとの積層体を真空成形等により成形することにより製造された搬送用トレイにおいて、下部基板に、頂部が上部基板とほぼ同じ高さで、且つ、前記頂部から下部基板に向けて傾斜した傾斜面を有する山部が、搬送用トレイの長辺に沿って3列形成されているとともに、3個の山部で囲まれた略正三角形状の下部基板と、搬送用トレイの四隅に位置する下部基板と、中央の列の両端に配設された山部と搬送用トレイの長辺に沿って配列された山部とで挟まれる搬送用トレイの短辺側の下部基板と、搬送用トレイの長辺に沿って配列された2個の山部と搬送用トレイの長辺とで囲まれた下部基板とには、それぞれ、凹部が形成されており、更に、前記3個の山部で囲まれた略正三角形状の下部基板に形成された凹部が、前記略正三角形状の下部基板に突設された3個の柱状凸部により囲まれていることを特徴とする搬送用トレイ。
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