JP3589713B2 - スイッチトキャパシタフィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はスイッチトキャパシタフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6(a)に2層ポリシリコンキャパシタの断面構造図を図6(b)に該回路図を示す。
図6(a),図6(b)において、16はN型シリコン基板、12はウェルを形成するP型半導体層、15はP型半導体層12の電気的接続をとるためのP型拡散層であり、P型半導体層12上に第1絶縁膜14を介して形成された第1ポリシリコン電極10と、第1ポリシリコン電極10上に第2絶縁膜13を介して形成された第2ポリシリコン電極11とで、2層ポリシリコンキャパシタ容量C0が形成される。さらに、第1ポリシリコン電極10とP型半導体層12の間には、第1絶縁膜14により形成される第1ポリシリコン電極−P型半導体層間容量CsおよびP型半導体層内に発生する空乏層により形成されるP型半導体層の空乏層容量Cdが形成され、これらCs,Cdは2層ポリシリコンキャパシタ容量C0に対して寄生キャパシタ容量となる。また、図6(b)でa1は第2ポリシリコン電極端子、a2は第1ポリシリコン電極端子およびbはP型半導体層端子である。
【0003】
図7(a)に図6(a)の2層ポリシリコンキャパシタを用いた従来のスイッチトキャパシタフィルタを示す。図7(a)において3は演算増幅器、SW1〜SW4はMOSトランジスタからなるスイッチ手段、1,2は2層ポリシリコンキャパシタである。SW1〜SW4は図7(b)に示す互いに逆相でハイレベルの非重複期間tを持つ2相クロックΦ1、Φ2で導通、非導通が制御され、SW1とSW4をΦ1(またはΦ2)、SW2とSW3をΦ2(またはΦ1)で制御する場合、図7(a)は位相反転型のスイッチトキャパシタフィルタとして動作し、SW1とSW3をΦ1(またはΦ2)、SW2とSW4をΦ2(またはΦ1)で制御する場合、図7(a)は位相非反転型のスイッチトキャパシタフィルタとして動作する。
【0004】
従来では2層ポリシリコンキャパシタを用いる場合、シリコン基板からのノイズの影響を考慮して、キャパシタを形成しているP型半導体層端子bを安定な電位(例えばグランド)に、また第2ポリシリコン電極端子a1を演算増幅器の非反転入力端子側に接続することが推奨されている。詳しくは電子技術、1992年12月号の「アナ・デジ混在LSIの設計ノウハウ」と題する文献で論じられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合には、例えばSW1,SW3が導通状態、SW2,SW4が非導通状態となり、2層ポリシリコンキャパシタ1に対して充放電を行おうとした場合、寄生キャパシタ容量Cs1,Cd1の直列接続された容量が2層ポリシリコンキャパシタ1の2層ポリシリコンキャパシタ容量C01と並列に接続されるため、寄生キャパシタ容量Cs1,Cd1が充放電時の負荷となり、充放電スピードを劣下させるという問題が生じる。次にSW1,SW3が非導通状態、SW2,SW4が導通状態となり、2層ポリシリコンキャパシタ1に蓄積された電荷を2層ポリシリコンキャパシタ2へ転送する際にも寄生キャパシタ容量Cs2,Cd2の直列接続された容量は、2層ポリシリコンキャパシタ2の2層ポリシリコン容量C02に並列接続されるため、同様に演算増幅器3の出力に対しても寄生キャパシタ容量Cs2,Cd2は充放電時の負荷となり、充放電スピードを劣下させるという問題が生じる。
【0006】
本発明は2層ポリシリコンキャパシタを用いる場合にも、第1ポリシリコン電極とウェルを形成する半導体層との間の寄生容量の影響による充放電スピードの劣下という問題の生じないスイッチトキャパシタフィルタを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために構成された請求項1記載のスイッチトキャパシタフィルタは、演算増幅器と、MOSトランジスタからなる複数個のスイッチ手段と、複数個のキャパシタとにより構成されるスイッチトキャパシタフィルタにおいて、前記複数個のキャパシタは、N型半導体基板内に形成され、PN分離によって電気的に絶縁されたP型ウェル層である半導体層と、前記P型ウェル層である半導体層上に第1絶縁膜を介して形成された第1ポリシリコン電極と、前記第1ポリシリコン電極上に第2絶縁膜を介して形成されるとともに前記第1電極との間で2層ポリシリコンキャパシタを構成する第2ポリシリコン電極とを備え、前記第1ポリシリコン電極と前記P型ウェル層である半導体層とを電気的に接続してあることを特徴としている。
【0008】
また、上記目的を達成するために構成された請求項2記載のスイッチトキャパシタフィルタは、演算増幅器と、MOSトランジスタからなる複数個のスイッチ手段と、複数個のキャパシタとにより構成されるスイッチトキャパシタフィルタにおいて、前記複数個のキャパシタは、P型半導体基板内に形成され、PN分離によって電気的に絶縁されたN型ウェル層である半導体層と、前記N型ウェル層である半導体層上に第1絶縁膜を介して形成された第1ポリシリコン電極と、前記第1ポリシリコン電極上に第2絶縁膜を介して形成されるとともに前記第1電極との間で2層ポリシリコンキャパシタを構成する第2ポリシリコン電極とを備え、前記第1ポリシリコン電極と前記N型ウェル層である半導体層とを電気的に接続してあることを特徴としている。
【0011】
【作用】
上記のように構成された請求項1及び2記載のスイッチトキャパシタフィルタにおいては、2層ポリシリコンキャパシタを構成する第1ポリシリコン電極と半導体基板のP型(N型)ウェル層との間に形成される寄生キャパシタ容量に対して、第1ポリシリコン電極と半導体基板のP型(N型)ウェル層とを電気的に接続し、その両端の電位を等しくすることで、寄生キャパシタ容量への電荷の充放電は禁止され、2層ポリシリコンキャパシタへの電荷の充放電が優先的に行われるようになる。
【0012】
【実施例】
(第1実施例)
図1(a)に本発明の第1実施例であるスイッチトキャパシタフィルタを示す。この図において3は演算増幅器、SW1〜SW4はMOSトランジスタからなるスイッチ手段、1,2は2層ポリシリコンキャパシタである。SW1〜SW4は図6(b)と同様に互いに逆相でハイレベルの非重複期間tを持つ2相クロックΦ1、Φ2で導通、非導通が制御され、SW1とSW4をΦ1(またはΦ2)、SW2とSW3をΦ2(またはΦ1)で制御する場合、図1(a)は位相反転型のスイッチトキャパシタフィルタとして動作し、SW1とSW3をΦ1(またはΦ2)、SW2とSW4をΦ2(またはΦ1)で制御する場合、図1(a)は位相非反転型のスイッチトキャパシタフィルタとして動作する。
【0013】
本発明のスイッチトキャパシタフィルタにおいて2層ポリシリコンキャパシタ1、2は、図1(b)に示すように、2層ポリシリコンキャパシタ1、2のP型半導体層はN型シリコン基板16内にPN分離によって互いに電気的に絶縁されて形成されており、それぞれのP型半導体層端子は、それぞれの第1ポリシリコン電極端子に接続して構成されている。
【0014】
次に、本発明のスイッチトキャパシタフィルタの動作を図2を用いて説明する。図2はSW1,SW3が導通状態、SW2,SW4が非導通状態となって2層ポリシリコンキャパシタ1に充放電を行わせる場合の関連する部分回路図を示したものである。図2(a)は本発明、図2(b)は図7に示した従来例の場合である。
【0015】
従来のスイッチトキャパシタフィルタでは、2層ポリシリコンキャパシタ1のP型半導体層端子bがグランド電位に接続されているため、寄生キャパシタである第1ポリシリコン電極−P型半導体層間容量Csと、P型半導体層の空乏層容量Cdとが直列接続された寄生容量Cx1、
【0016】
【数1】
Cx1=1/(1/Cs1+1/Cd1)
が、2層ポリシリコンキャパシタ容量C01と並列接続されるため、2層ポリシリコンキャパシタ1への充放電時のトータルのキャパシタ容量は、C0+Cx1となり、結果として充放電スピードが遅くなり、2層ポリシリコンキャパシタ1の2層ポリシリコンキャパシタ容量C01への未充電または未放電が生じ、出力電圧Voに誤差が発生するという問題が生じる。
【0017】
これに対して本発明のスイッチトキャパシタフィルタでは、2層ポリシリコンキャパシタ1のP型半導体層端子bを、第1ポリシリコン電極端子a2と接続してあるため、寄生キャパシタ容量Cs1,Cd1が直列接続された容量Cx1の両端の電位は等しくなり、結果的に寄生容量Cx1には電荷の充放電が行われず、2層ポリシリコンキャパシタ容量C01への充放電スピードに影響を与えない。
【0018】
次に図3でSW1,SW3が非導通状態、SW2,SW4が導通状態となって2層ポリシリコンキャパシタ1に蓄積された電荷を2層ポリシリコンキャパシタ2に転送する場合の動作を、関連する部分回路図を示して説明する。図3(a)は本発明、図3(b)は図7に示した従来例の場合である。
この場合にも図2での説明と同様に、従来例では寄生キャパシタ容量Cs2,Cd2を直列接続した寄生容量Cx2、
【0019】
【数2】
Cx2=1/(1/Cs2+1/Cd2)
が、2層ポリシリコンキャパシタ2の2層ポリシリコンキャパシタ容量C02と並列接続される。このため演算増幅器3の出力に対してトータル容量がC02+Cx2となり、結果として演算増幅器の充放電スピードが遅くなり、2層ポリシリコンキャパシタ2の2層ポリシリコンキャパシタ容量C02への未充電または未放電が生じ、出力電圧Voに誤差が発生するという問題が生じる。
【0020】
これに対して本発明のスイッチトキャパシタフィルタでは、2層ポリシリコンキャパシタ2のP型半導体層端子bを第1ポリシリコン電極端子a2と接続してあるため、寄生キャパシタ容量Cs2,Cd2が直列接続された容量Cx2の両端の電位は等しくなり、結果的に寄生容量Cx2には電荷の充放電が行われず、演算増幅器3の2層ポリシリコンキャパシタ容量C02への充放電スピードに影響を与えない。
【0021】
以上の説明のように、本発明によれば、2層ポリシリコンキャパシタを用いる場合、第1ポリシリコン電極とウェルを形成する半導体層との間の寄生容量の影響による充放電スピードの劣下という問題の生じないスイッチトキャパシタフィルタを提供することができる。
(第2実施例)
図4に本発明の第2実施例を示す。第1実施例では、2層ポリシリコンキャパシタ1、2を構成する半導体層を、N型シリコン基板内に形成され、PN分離によって互いに電気的に絶縁されてウェルを形成するP型半導体層を示したが、第2の実施例は半導体層としてP型シリコン基板内に形成され、PN分離によって互いに電気的に絶縁されてウェルを形成するN型半導体層とした場合である。第2実施例におても構成されるスイチトキャパシタフィルタの回路構成、作動および効果は第1実施例と同様である。
【0022】
(第3実施例)
図5に本発明の第3実施例を示す。第1実施例では、2層ポリシリコンキャパシタ1、2を構成する半導体層を、N型シリコン基板内に形成され、PN分離によって互いに電気的に絶縁されてウェルを形成するP型半導体層を示したが、第3の実施例は半導体層としてSOI(Silicon On Insulator)分離により互いに電気的に絶縁された半導体層とした場合である。この場合半導体層およびシリコン基板はP型、N型どちらでもかまわない。第3実施例におても構成されるスイチトキャパシタフィルタの回路構成、作動および効果は第1実施例と同様である。
【0023】
【発明の効果】
2層ポリシリコンキャパシタへの電荷の充放電速度を向上させ、回路動作の高速化を図ることができる。従って、2層ポリシリコンキャパシタを用いる場合、第1ポリシリコン電極とウェルを形成する半導体層との間の寄生容量の影響による充放電スピードの劣下という問題の生じないスイッチトキャパシタフィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるスイッチトキャパシタフィルタを示す図である。
【図2】図1におけるスイッチトキャパシタフィルタの作動を説明する図である。
【図3】図1におけるスイッチトキャパシタフィルタの作動を説明する図である。
【図4】本発明の第2実施例におけるスイッチトキャパシタフィルタを示す図である。
【図5】本発明の第3実施例におけるスイッチトキャパシタフィルタを示す図である。
【図6】2層ポリシリコンキャパシタを説明する図である。
【図7】従来のスイッチトキャパシタフィルタを示す図である。
【符号の説明】
1,2 2層ポリシリコンキャパシタ
3 演算増幅器
SW1〜SW4 MOSスイッチ
Vi スイッチトキャパシタフィルタの入力信号端子
Vo スイッチトキャパシタフィルタの出力端子
Φ1,Φ2 2相クロック信号
t Φ1,Φ2のハイレベルの非重複期間

Claims (2)

  1. 演算増幅器と、
    MOSトランジスタからなる複数個のスイッチ手段と、
    複数個のキャパシタとにより構成されるスイッチトキャパシタフィルタにおいて、前記複数個のキャパシタは、
    N型半導体基板内に形成され、PN分離によって電気的に絶縁されたP型ウェル層である半導体層と、
    前記P型ウェル層である半導体層上に第1絶縁膜を介して形成された第1ポリシリコン電極と、
    前記第1ポリシリコン電極上に第2絶縁膜を介して形成されるとともに前記第1電極との間で2層ポリシリコンキャパシタを構成する第2ポリシリコン電極とを備え、前記第1ポリシリコン電極と前記P型ウェル層である半導体層とを電気的に接続してあることを特徴とするスイッチトキャパシタフィルタ。
  2. 演算増幅器と、
    MOSトランジスタからなる複数個のスイッチ手段と、
    複数個のキャパシタとにより構成されるスイッチトキャパシタフィルタにおいて、前記複数個のキャパシタは、
    P型半導体基板内に形成され、PN分離によって電気的に絶縁されたN型ウェル層である半導体層と、
    前記N型ウェル層である半導体層上に第1絶縁膜を介して形成された第1ポリシリコン電極と、
    前記第1ポリシリコン電極上に第2絶縁膜を介して形成されるとともに前記第1電極との間で2層ポリシリコンキャパシタを構成する第2ポリシリコン電極とを備え、前記第1ポリシリコン電極と前記N型ウェル層である半導体層とを電気的に接続してあることを特徴とするスイッチトキャパシタフィルタ。
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