JP3589286B2 - 画像処理装置及びその方法、並びにその画像処理装置を備えたプリンタシステム - Google Patents

画像処理装置及びその方法、並びにその画像処理装置を備えたプリンタシステム Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、写真のような連続階調から印刷物を作成するために網点画像を生成する画像処理技術に関し、特に、網点画像を生成する際に用いる変換テーブルのスクリーン角をモアレの影響を低減させるように構成する画像処理技術に関する。
【0002】
【従来技術】
カラープリンタやカラーコピー等で用いられる画像記録方式として、電子写真方式が知られている。かかる電子写真方式は、レーザビームを利用して感光体ドラム上に潜像を形成し、帯電したトナーにより現像し、現像されたトナーによる画像を転写紙に転写して定着させることにより、画像を記録する。
【0003】
このようなカラープリンタ等においては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)のトナーを利用してカラー画像の記録が行われるのが一般的であり、中間調表現された各色が減法混色されることにより階調表現された記録画像が生成されることになる。
【0004】
中間調表現法としては、2値記録を用いて疑似中間調表現を行うディザ法が知られている。ディザ法は、各ドットの階調データをドットごとに変化するしきい値で2値化する方法で、原画像のドットと記録画像のドットとが1対1で対応する。各ドットごとのしきい値の定め方としては、原画像をn×nドットのサブマトリクスの集合とみなし、サブマトリクス内の座標情報のみによってしきい値を定める方法が一般的である。このようなしきい値が配されたサブマトリクスはディザマトリクスと呼ばれる。ディザマトリクスは、原画像の階調データを記録画像の階調表現に変換する際に参照するものである点で、原画像から記録画像への変換テーブルの一種と考えることができる。
【0005】
ディザマトリクスのような変換テーブルには、ドット分散型、ドット集中型等のいくつかの種類が存在し、このうちドット集中型の場合は、複数の隣接するドットにより網点が生成されて、その網点の大きさにより中間階調が表現されることになる。本願明細書では、このように網点により中間階調が表現された記録画像を網点画像と呼ぶ。
【0006】
網点画像は変換テーブルを原画像に対して周期的に適用することで生成されるため、かかる変換テーブルの構成内容(例えば、しきい値の配列のされ方)や周期性が、網点画像における網点形状やスクリーン角等を決定づけることになる。
【0007】
ここで、スクリーン角は2色以上の網点画像を重ねた際に発生するモアレの特性と密接に関係しており、特にスクリーン角の角度差が発生するモアレの大きさに関係することが知られている。例えば、3色の網点画像を重ねる場合は、スクリーン角の角度差を30°間隔にした場合にモアレを最も小さくできることが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
CMYKの4色の網点画像を重ねる場合は、他の色に比較して比視感度が低く人間の目にとって目立ちにくいイエロー以外のシアン、マゼンタ、ブラックについてスクリーン角の角度差を30°間隔で設定し、イエローについてはシアンとマゼンタの中間となるように設定することが行われる。
【0009】
この際、最も比視感度が高く目立ちやすいブラックについては、人間が認識しやすい縦横方向(0°、90°)から最も遠い45°にスクリーン角を設定される。その結果、シアンとマゼンタのスクリーン角は、ブラックのスクリーン角45°から30°ずれた15°と75°となり、イエローのスクリーン角は0°となる。図10に、CMYK4色についてのスクリーン角の組み合わせを示す。
【0010】
このようにCMYK4色についてのスクリーン角を設定した場合、イエロー以外の3色については30°間隔の角度差となっているため、発生するモアレは十分に小さくなる。
【0011】
しかし、イエローとシアン(又はマゼンタ)のスクリーン角の角度差は15°となっているため、他に比べ大きなモアレが発生してしまうという問題があった。実際に、イエローの網点画像とシアン(又はマゼンタ)の網点画像を重ねることにより発生するモアレの大きさは、スクリーンの網点ピッチに対して4倍近くになってしまうことがわかっている。
【0012】
一方、レーザビーム等を利用する電子写真方式では、記録画像のドットはレーザビームが走査される主走査方向と転写紙が送られる副走査方向とに沿って固定的に配置されることになり、記録画像のドット配列を所望のスクリーン角に合わせて回転させることはできない。そのため、変換テーブルの適用位置をずらしたり、適用位置によって変換テーブルの値を変更することで、スクリーン角を形成する方法が採用されている。
【0013】
例えば、図11は、変換テーブルであるディザマトリクス30の位置をずらすことによりスクリーン角を形成する方法を示している。図11において直線31はスクリーンの方向を表わしている。この例では、ディザマトリクス30がX軸方向に4ドットずれる間にY方向に1ドットずれるように配されている。従って、周期(a、b)は(4、1)となり、tanθ=b/a=1/4となるスクリーン角θが形成されることになる。
【0014】
しかし、かかる方法では、例えば15°、75°といった無理正接の角度を形成することはできない。ドットの配列は座標系で表現すると整数座標系となっているため、前記a,bは必ず整数値となってしまうからである。ここで、tanθ=b/aにおいて、前記a,bの値が整数値となるような角度θを有理正接の角度と呼び、それ以外の角度を無理正接の角度と呼ぶ。
【0015】
従って、例えば図10に示すようなCMYK4色の場合、シアンやマゼンタのスクリーン角については、実際には15°や75°に近い値を持つような有理正接の角度を用いざるを得ないという問題があった。
【0016】
更に、スクリーン角として有理正接の角度を用いた場合、意図しない模様が生じてしまうという問題が発生する。かかる問題は、スクリーン角が有理正接の角度となっている網点画像どうしを重ねると、一定の周期で網点が完全に重なってしまうという現象に起因している。
【0017】
図12にスクリーン角が有理正接の角度となっている2つの網点画像、すなわちスクリーン角がtan−11/3(約18°)となる第1の網点画像と、スクリーン角がtan−13(約72°)となる第2の網点画像を重ねた例を示す。網点100は第1の網点画像の網点を、網点101は第2の網点画像の網点を、網点102は2つの網点画像において重なってしまっている網点を表わしている。図より、網点102が一定の周期で発生していることがわかる。
【0018】
かかる問題は、有理正接における分母分子の公倍数に依存して発生してしまうため、それぞれのスクリーン角が有理正接の角度である以上避けることができない。特にCMYKの4色について網点が完全に重なってしまう場合、かなり目立つ模様が発生してしまうという問題があった。
【0019】
そこで、本発明の目的は、CMYK4色を用いる場合であっても、モアレの大きさを十分に小さくすることのできる画像処理技術を提供することにある。
【0020】
また、本発明の目的は、無理正接の角度となる所望のスクリーン角及び角度差を形成し、CMYKの4色の網点が一定の周期で完全に重なってしまうことを防ぐ画像処理技術を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像処理方法は、現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルであって、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを記憶手段に記憶しておき、複数の色ごとに、前記変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットの階調データから各ドットにおける画像再生データを求め、前記各ドットにおける画像再生データに含まれる現像面積情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定め、画像を再生することを特徴とする。
また本発明の画像処理方法は、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように画像再生データと階調データとの対応関係が定められている少なくとも2つの変換情報と、スクリーン角に関し前記2つの変換情報のスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換情報と、を記憶手段に記憶しておき、各色の階調データに前記変換情報のうちの一つを適用して画像再生データを求めることを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルを複数記憶する変換テーブル記憶手段と、各色の階調データを受け取り、各色ごとに、前記変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットにおける画像再生データを求めるハーフトーン処理手段と、各色について各ドットにおける画像再生データを受け取り、前記画像再生データに含まれる現像面積情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定め、画像を再生する画像再生エンジンとを備え、前記変換テーブル記憶手段は、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを、記憶していることを特徴とする。
また、本発明の画像処理装置は、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように画像再生データと階調データとの対応関係が定められている少なくとも2つの変換情報と、スクリーン角に関し前記2つの変換情報のスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換情報と、を記憶する記憶手段を参照し、各色の階調データに前記変換情報のうちの一つを適用して画像再生データを求めることを特徴とする。
【0023】
前記画像再生データには更に現像領域位置情報が含まれており、前記画像再生エンジンは、前記画像再生データに含まれる現像面積情報及び現像領域位置情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定めることが好ましい。
【0024】
前記現像面積情報はビーム照射面積であり、前記現像領域位置情報はドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置であって、前記画像再生エンジンは、前記現像領域にビームを照射することによりトナーを付着させることが好ましい。
【0025】
前記変換テーブルは、少なくとも、階調データと現像面積情報との関係を定めるガンマテーブルと、前記ガンマテーブルを特定する識別子をマトリクス上の位置に対応づけたインデックスマトリクスとを含んで構成されていることが好ましい。
【0026】
前記2つの変換テーブルA、Bのインデクスマトリクスに関し、一方のインデクスマトリクスが他方のインデクスマトリクスを±90°回転させたものとなっていることが好ましい。
【0027】
前記変換テーブルA及び前記変換テーブルCは、スクリーン角の和が略90°もしくは−90°となっており、かつ、スクリーン角の角度差が30°以上40°以下の無理正接の角度となっていることが好ましい。
【0028】
前記変換テーブル記憶手段は、更に変換テーブルDを記憶しており、前記変換テーブルC及び前記変換テーブルDは、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められていることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。本発明の第1の実施の形態である画像処理装置1は、変換テーブル記憶手段10、ハーフトーン処理手段11、画像再生エンジン12を含んで構成される。
【0030】
変換テーブル記憶手段10は、現像面積情報を含んだ画像再生データと、階調データとの対応関係が定められた変換テーブルを複数記憶している。現像面積情報とは、各ドットにおけるトナーを付着させる面積、すなわち現像する面積を決定するための情報である。このような情報としては、例えば、ドットに対する面積比や、レーザ駆動信号に用いるパルス幅データといったものが考えられる。
【0031】
前記画像再生データには、更に現像領域位置情報を含んで構成するようにしてもよい。現像領域位置情報とは、各ドットにおけるトナーを付着させる位置を決定するための情報、すなわちドット内のどの領域を現像するかを定めるための情報である。このような情報としては、例えば、ドットの右側、左側といったレーザ走査方向に対する相対的な位置情報が考えられる。
【0032】
このように、画像再生データに現像面積情報及び現像領域位置情報を含ませることで所望のスクリーン角を実現することができるようになるが、かかる原理については後述する。
【0033】
変換テーブルは、例えば、階調データと現像面積情報との関係を定める複数のガンマテーブルと、前記ガンマテーブルを特定する識別子をマトリクス上の位置に対応づけたインデックスマトリクスとから構成することができる。
【0034】
現像領域位置情報については、ガンマテーブルごとに対応付けて構成しても良いし、インデックスマトリクスにおいてマトリクス上の位置に対応づけて構成しても良い。
【0035】
図2に変換テーブルの例を示す。かかる例では、インデクスマトリクスのサイズは12×12となっており、マトリクス上の各位置にはガンマテーブルの識別子(番号)と、現像領域位置情報としてドットにおいてトナーを左右(又は上下)のどちらに付着させるかが示されている。
【0036】
図3はガンマテーブルをグラフに表現した図である。横軸は階調データを表わしており、本実施の形態では256階調となっている。縦軸はトナーを付着させる面積の割合を表わしており、トナーを全く付着させない場合を0、ドット内全部にトナーを付着させる場合を255としている。
【0037】
変換テーブル記憶手段10においては、ガンマテーブルは、図3の各グラフを量子化することにより、図4に示すような表のかたちで記憶されることになる。
【0038】
ここで、図3に示すように、各ガンマテーブルはそれぞれ異なる特性を有している。識別子1〜6のガンマテーブルはグラフ上の曲線の立ち上がりが早いため、かかるガンマテーブルが適用されるドットでは網点の成長が早いという特性を持つことになる。また、識別子7〜12のガンマテーブルはグラフ上の曲線の立ち上がりが遅いため、かかるガンマテーブルが適用されるドットでは網点の成長が遅いという特性を持つことになる。
【0039】
変換テーブルの構成内容、すなわち網点の成長が早い/遅いという特性を持つガンマテーブルがインデクスマトリクス上にどのように配置されているかによって、点状やライン状といった網点形状やスクリーン角等が定まることになる。図2のインデクスマトリクス及び図3のガンマテーブルは、網点がライン状に成長するように構成されており、これらによって成長した網点画像の例を図5に示す。
【0040】
図5において横一列(縦一列)方向の網点、例えば、網点40、41、42、43を観測すると、網点の形成のされ方(いくつのドットにより網点が形成されているか、ドットのどの位置に網点が形成されているか)が異なっていることがわかる。このように網点の形成のされ方が横一列、縦一列方向において異なっている状態は、インデクスマトリクス及びガンマテーブルに関しスクリーン角が無理正接となるように構成されていることを表わしている。これに対し、スクリーン角が有理正接となるように構成されている場合は、網点は横一列、縦一列方向において同じように形成されることになる。
【0041】
ハーフトーン処理手段11は、外部から各色ごとの階調データを受けとり、各色ごとに、前記変換テーブル記憶手段10に記憶されている複数の変換テーブルのうち一つを選択する。そして、各ドットにおいて、当該ドットの階調データに基づいて、前記選択した変換テーブルを参照することにより、当該ドットにおける画像再生データを求める。
【0042】
ここで、ハーフトーン処理手段11が受け取る各色ごとの階調データは、RGBの色空間に対応するものであっても、CMYKの色空間に対応するものであっても良い。通常、プリンタ等で用いられるトナーはCMYKの4色であるため、RGBの色空間に対応する階調データを受け取った場合は、RGB−CMYK変換を行ってから、前記選択した変換テーブルを参照する。なお、かかるRGB−CMYK変換には種々の従来技術を用いることができる。
【0043】
画像再生エンジン12は、前記ハーフトーン処理手段11から前記各色について各ドットにおける画像再生データを受け取り、かかる画像再生データに含まれる現像面積情報及び現像領域位置情報に基いて駆動信号を生成し、前記駆動信号に基づいて、パルス幅変調方式により変調したレーザ駆動パルスを発生させ、かかる駆動パルスに従ってレーザダイオードを駆動し、レーザビームを感光ドラムに照射する。前記駆動信号には、照射面積のほか、照射位置についての情報も含まれているため、かかる情報に基づいて各ドット内において所望の面積、位置にレーザビームが照射され、トナーが付着されることになる。
【0044】
次に、本願発明において、画像再生データに現像面積情報及び現像領域位置情報を含めることにより、所望のスクリーン角を持つライン状の網点画像を実現することができる原理を説明する。
【0045】
本願発明においては、画像再生データに現像面積情報、すなわちトナーを付着させる面積の情報を含める構成としたことにより、かかる情報に基づいてレーザ駆動用のパルス信号のパルス幅を制御することができる。また、画像再生データに現像領域位置情報、すなわちトナーを付着させる位置の情報を含める構成とすることにより、かかる情報に基づいてレーザ駆動用のパルス信号のタイミングを制御することができる。
【0046】
レーザビームを利用してトナーを定着させる現像方式の場合、レーザ駆動用のパルス信号のタイミングとパルス幅を制御することで、ドットに対応する領域内の任意の位置に任意の面積の現像領域を生成することができる。その結果、各ドットの現像領域の面積、位置を制御することで、図5に示すような、複数のドットからなるライン状の網点を生成することが可能となる。
【0047】
このようにして生成される網点は、各ドットの現像領域の面積及び位置を変更することによって、ラインの方向、ラインのピッチを自由に定めることができるため、ドットの配列にかかわらず自由にスクリーン角(ライン方向)を構成することができる。
(第一実施例)
次に、変換テーブル記憶手段10が記憶する変換テーブルの構成についての第一の実施例を説明する。
【0048】
変換テーブル記憶手段10は、少なくとも2つの変換テーブルA、Bを記憶している。かかる2つの変換テーブルA、Bは、それぞれ網点がライン状に成長するようにインデクスマトリクス及びガンマテーブルが構成されており、更にスクリーン角が互いに直交するように構成されている。
【0049】
網点がライン状に成長するような変換テーブルを用いることにより、CMYK4色の場合においても変換テーブルのサイズに比べてモアレの大きさを十分に小さくすることのできる原理を説明する。
【0050】
網点がライン状に成長する場合、スクリーン角が互いに直交する2つの網点画像を重ねたものは、ラインの交点に点状の網点が発生している1つの網点画像とみなすことができる。
【0051】
すなわち、CMYK4色のうち2色について前記変換テーブルA、Bを用いた場合、当該2色については1色分の点状の網点画像とみなすことができる。そのため、CMYK4色に対して実質的に3色分のスクリーン角の調整をすれば良いことになる。従って、3色について、スクリーン角の角度差が30°間隔となるように構成することにより、モアレを最も小さくすることができる。
【0052】
ここで、スクリーン角が互いに直交するような変換テーブルを構成するためには、例えば、ガンマテーブルは共有のものを用いることとし、インデクスマトリクスは互いに±90°回転した関係となるように構成すれば良い。例えば、変換テーブルAについてはインデクスマトリクスとして図2に示すものを、変換テーブルBについては図2に示すものを+方向に90°回転させた図6(a)に示すもの、又は−方向に90°回転させた図6(b)に示すものを用いることにより、変換テーブルA、Bのスクリーン角を直交するように構成することができる。なお、+方向とは左回転を、−方向とは右回転を指している。
【0053】
ただし、図2や図6に示したものは一例であり、スクリーン角が互いに直交し、かつ網点がライン状に成長するような変換テーブルであればどのような内容のものでも良い。
【0054】
更に、変換テーブル記憶手段10は、少なくとも以下のような1つの変換テーブルCを記憶している。すなわち、かかる変換テーブルCは、スクリーン角に関し、変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるようにインデクスマトリクス及びガンマテーブルが構成されている。
【0055】
このような条件を満たす変換テーブルAとCは、必ずどちらかのスクリーン角が無理正接の角度となる。なぜなら、tan(θ−θ)=(tanθ−tanθ)/(1+tanθtanθ)の関係より、θ−θが無理正接の角度であるということは、分子の(tanθ−tanθ)か、分母の(1+tanθtanθ)のいずれかが無理数となっていることを意味し、そのためには、tanθかtanθのいずれかが無理数であることが必要となるからである。
【0056】
従って、変換テーブルAとBを適用して生成される2つの網点画像を重ねて得られる網点画像Xと、変換テーブルCを適用して生成される網点画像Yを重ねた場合、スクリーン角が有理正接の角度となる網点画像どうしを重ねた場合に発生する問題、すなわち一定の周期で網点が完全に重なってしまうという問題は、発生しない。
(第二実施例)
次に、変換テーブル記憶手段10が記憶する変換テーブルの構成についての第二の実施例を説明する。
【0057】
変換テーブル記憶手段10は、第二実施例と同様に構成された変換テーブルA、B、Cに加え更に変換テーブルDを記憶している。前記変換テーブルC及び前記変換テーブルDは、網点がライン状に成長するようにインデクスマトリクス及びガンマテーブルが構成されており、更にスクリーン角が互いに直交するように構成されている。
【0058】
変換テーブルCは変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように構成されているため、変換テーブルCとスクリーン角が直交する変換テーブルDについても、変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差は無理正接の角度となっている。
【0059】
CMYK4色に対してそれぞれ前記変換テーブルA、B、C、Dを用いた場合、A、Bの組とC、Dの組はそれぞれ1色分の点状の網点画像とみなすことができる。そのため、本実施例の場合、CMYK4色に対して実質的に2色分のスクリーン角の調整をすれば良いことになる。
【0060】
以下、各スクリーン角をどのような基準で定めるかについて説明する。
【0061】
モアレのサイズKは、スクリーン角の角度差α及びスクリーンピッチdに基づいて、以下の式で求めることができる。なお、モアレのサイズを求める式の導出については、「ジョンA.C.ユール著 カラーレプロダクションの理論 印刷学会出版部 p.312〜314」に詳しく記載されている。
【0062】
K=d/(2sin(α/2)) (1)
モアレがスクリーンピッチに対して何倍になっているか(以下、「モアレサイズ比」と呼ぶ。)は、上式においてd=1とすることにより算出できる。図7にスクリーン角の角度差とモアレサイズ比の対応関係を示す。
【0063】
また、モアレの並ぶ向き(以下、「モアレ方向」と呼ぶ。)は、それぞれのスクリーン角をp、qとすると、(p+q)/2+90°で与えられる。
【0064】
人間の視覚特性は、ななめ方向よりも縦横方向の方が検知能力が高く敏感であることが知られている。従って、モアレサイズ比が大きいモアレについて、モアレ方向がななめ方向になるように、スクリーン角を構成することで、モアレの影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0065】
図7からわかるように、モアレサイズ比は、角度差が小さいところで大きくなっている。そこで、変換テーブルA、Bのうち、変換テーブルCとのスクリーン角の角度差が小さくなる方について、次のようにスクリーン角を設定する。
【0066】
今、変換テーブルAの方が、Bよりも、変換テーブルCとのスクリーン角の角度差が小さいとする。その場合、A、Cにより生じるモアレのモアレ方向がななめ方向(略45°方向又は135°方向)になるようにするためには、A、Cのスクリーン角の和が略90°又は−90°になるように構成すれば良い。
【0067】
すなわち、A、Cのスクリーン角の角度差をβとすると、Aのスクリーン角は(±90°−β)/2、Cのスクリーン角は(±90°+β)/2のように、各変換テーブルのインデクスマトリクス及びガンマテーブルを構成する。
【0068】
モアレと元の網点画像との干渉により2次的に発生するモアレを2次モアレと呼ぶが、2色の網点画像を重ねた場合の2次モアレは、スクリーン角の角度差が30°〜40°となっている場合に抑制される。そこで、前記βは1次モアレ及び2次モアレともに抑制されるように、30°〜40°の無理正接の角度となるように構成する。
【0069】
以上の基準に基づいて、例えば変換テーブルA、B、C、Dについて、それぞれスクリーン角を27°、117°、60°、150°とすることが考えられる。この場合、A、Cのスクリーン角の角度差は33°となっており、30°〜40°の無理正接の角度となっている。また、A、Cのスクリーン角の和は87°であり、約90°となっている。
【0070】
図8(a)に、この場合の、モアレサイズ比、モアレ方向、2次モアレのモアレサイズ比を示す。モアレサイズ比が最も大きくなっているA(27°)とC(60°)の組み合わせにおいて、モアレ方向は133.5°のななめ方向となっていることがわかる。
【0071】
なお、比較のために、図8(b)に変換テーブルA、B、C、Dについて、それぞれスクリーン角を18°、108°、72°、162°とした場合のモアレサイズ比、モアレ方向、2次モアレのモアレサイズ比を示す。この場合、A、Cのスクリーン角の和は90°となっているが、スクリーン角の角度差は54°となっており、30°〜40°の無理正接の角度という条件を満たしていない。そのため、モアレサイズ比が最も大きくなっているB(108°)とC(72°)の組み合わせにおいて、モアレ方向は0°となっており、人間の検知能力の高い横方向となってしまっていることがわかる。
【0072】
このように本発明の条件を満たすように変換テーブルを構成することで、最もモアレサイズ比が大きくなるモアレについて、モアレ方向をななめ方向とすることができ、モアレの影響を低減させることができる。
(第2の実施形態)
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。本発明の第2の実施の形態であるプリンタシステム2は、コントローラ3、プリンタエンジン4を含んで構成される。
【0073】
コントローラ3は、変換テーブル記憶手段10、ハーフトーン処理手段11、パルス幅変調手段20を含んで構成される。ここで、コントローラ3は、プリンタシステムに専用化した装置であっても、汎用の情報処理装置において各手段の動作を規定したソフトウェアを起動することにより実現したものであってもよい。 変換テーブル記憶手段10、ハーフトーン処理手段11の構成・動作については、第1の実施の形態におけるものと同様であるので、説明を省略する。
【0074】
パルス幅変調手段20は、前記ハーフトーン処理手段11より、各色について各ドットにおける画像再生データを受け取り、前記画像再生データに基いて現像面積情報及び現像領域位置情報に応じた駆動信号を生成し出力する。
【0075】
プリンタエンジン4は、前記パルス幅変調手段20より駆動信号を受け取り、かかる駆動信号に基づいて、パルス幅変調方式により変調したレーザ駆動パルスを発生させ、かかる駆動パルスに従ってレーザダイオードを駆動し、レーザビームを感光ドラムに照射する。
【0076】
なお、本実施の形態における前記パルス幅変調手段20及びプリンタエンジン4は、第1の実施の形態における画像再生エンジン12に相当する。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、画像処理プログラムを記録した記録媒体を備える。この記録媒体はCD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリその他の記録媒体であってよく、ネットワークを介して流通する場合も含む。
【0077】
画像処理プログラムは記録媒体からデータ処理装置に読み込まれ、データ処理装置の動作を制御する。データ処理装置は画像処理プログラムの制御により、現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルとして、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを記憶手段に記憶する。
【0078】
すなわち、データ処理装置は画像処理プログラムの制御により、図1における、変換テーブル記憶手段10による処理と同一の処理を実行する。
【0079】
また、データ処理装置は画像処理プログラムの制御により、現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルとして、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを記憶手段に記憶しておき、複数の色ごとに、前記変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットの階調データから各ドットにおける画像再生データを求める。
【0080】
すなわち、データ処理装置は画像処理プログラムの制御により、図1における、変換テーブル記憶手段10、ハーフトーン処理手段11による処理と同一の処理を実行する。
(その他の変形例)
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されることなく、種々に変形して適用することが可能である。例えば、コントローラに含まれる各手段を別々の装置により構成するようにしてもよい。例えば、変換テーブル記憶手段10及びハーフトーン処理手段11をホストコンピュータにインストールされる制御プログラムにより実現し、パルス幅変調手段20をプリンタ装置にインストールされる制御プログラムにより実現するようにしてもよい。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように構成された2つの変換テーブルA、Bと、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように構成された変換テーブルCとを備えたことにより、CMYK4色を用いる場合であっても、モアレの大きさを十分に小さくすることができる。
【0082】
また、本発明は、変換テーブルにおいて、画像再生データに現像面積情報を含ませるたことにより、スクリーン角及び角度差を無理正接の角度とすることができ、その結果、CMYKの4色の網点が一定の周期で完全に重なってしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のインデックステーブルの一例を示す図である。
【図3】本発明のガンマテーブルの例をグラフとして表わした図である。
【図4】本発明のガンマテーブルの例を示す図である。
【図5】本発明により生成される網点画像の例を示す図である。
【図6】本発明のインデックステーブルの一例を示す図である。
【図7】スクリーン角の角度差とモアレサイズ比の対応を示す図である。
【図8】スクリーン角と、モアレサイズ比、モアレ方向、2次モアレのモアレサイズ比及びモアレ方向の関係を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図10】従来技術における、CMYK4色のスクリーン角の組み合わせを示す概念図である。
【図11】従来技術における、スクリーン角の形成方法を説明するための図である。
【図12】従来技術における、網点画像が重なってしまう状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像処理装置
2 プリンタシステム
3 コントローラー
4 プリンタエンジン
10 変換テーブル記憶手段
11 ハーフトーン処理手段
12 画像再生エンジン
20 パルス幅変調手段
21 画像圧縮手段
30 ディザマトリクス
31 スクリーンの方向
40、41、42、43、100、101、102 網点

Claims (14)

  1. 現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルを複数記憶する変換テーブル記憶手段と、
    各色の階調データを受け取り、各色ごとに、前記変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットにおける画像再生データを求めるハーフトーン処理手段と、
    各色について各ドットにおける画像再生データを受け取り、前記画像再生データに含まれる現像面積情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定め、画像を再生する画像再生エンジンとを備え、
    前記変換テーブル記憶手段は、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、
    スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを、記憶しており、
    前記ハーフトーン処理手段は、前記変換テーブルA、B、Cに対応する3つの画像再生データが求まるように、各色について前記変換テーブルのうちの一つを参照することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記画像再生データには更に現像領域位置情報が含まれており、
    前記画像再生エンジンは、前記画像再生データに含まれる現像面積情報及び現像領域位置情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定めることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記現像面積情報はビーム照射面積であり、前記現像領域位置情報はドット内のビーム走査方向におけるビーム照射位置であって、
    前記画像再生エンジンは、前記現像領域にビームを照射することによりトナーを付着させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
  4. 前記変換テーブルは、少なくとも、
    階調データと現像面積情報との関係を定めるガンマテーブルと、
    前記ガンマテーブルを特定する識別子をマトリクス上の位置に対応づけたインデックスマトリクスとを含んで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  5. 前記2つの変換テーブルA、Bのインデクスマトリクスに関し、一方のインデクスマトリクスが他方のインデクスマトリクスを+方向又は−方向に90°回転させたものとなっていることを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
  6. 前記変換テーブルA及び前記変換テーブルCは、スクリーン角の和が略90°もしくは−90°となっており、かつ、スクリーン角の角度差が30°以上40°以下の無理正接の角度となっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  7. 前記変換テーブル記憶手段は、更に変換テーブルDを記憶しており、前記変換テーブルC及び前記変換テーブルDは、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  8. 網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように画像再生データと階調データとの対応関係が定められている少なくとも2つの変換情報と、
    スクリーン角に関し前記2つの変換情報のスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換情報と、を記憶する記憶手段を参照し、
    前記2つの変換情報と前記少なくとも1つの変換情報とに対応する3つの画像再生データが求まるように、各色の階調データに前記変換情報のうちの一つを適用して画像再生データを求めることを特徴とする画像処理装置。
  9. 請求項1乃至8記載のいずれかの画像処理装置を備えたことを特徴とするプリンタシステム。
  10. 現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルであって、
    網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている少なくとも2つの変換テーブルA、Bと、
    スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換テーブルCを記憶手段に記憶しておき、
    各色ごとに、前記変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットの階調データから各ドットにおける画像再生データを求め、
    前記各ドットにおける画像再生データに含まれる現像面積情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定め、画像を再生する画像処理方法であって、
    前記画像再生データを求める際に、前記変換テーブルA、B、Cに対応する3つの画像再生データが求まるように、各色について前記変換テーブルのうちの一つを参照することを特徴とする画像処理方法。
  11. 前記画像再生データには更に現像領域位置情報が含まれており、前記現像面積情報及び現像領域位置情報に基づいて当該ドットにおける現像領域を定めることを特徴とする請求項10記載の画像処理方法。
  12. 網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように画像再生データと階調データとの対応関係が定められている少なくとも2つの変換情報と、
    スクリーン角に関し前記2つの変換情報のスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている少なくとも1つの変換情報と、を記憶手段に記憶しておき、
    前記2つの変換情報と前記少なくとも1つの変換情報とに対応する3つの画像再生データが求まるように、各色の階調データに前記変換情報のうちの一つを適用して画像再生データを求めることを特徴とする画像処理方法。
  13. コンピュータ上で動作する画像処理プログラムを記録した記録媒体において、
    現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルとして、網点をライン状に成長させ、かつスクリーン角が互いに直交するように前記対応関係が定められている2つの変換テーブルA、Bを記憶させるステップと、
    現像面積情報を含んだ画像再生データと階調データとの対応関係を定める変換テーブルとして、スクリーン角に関し前記2つの変換テーブルA、Bのスクリーン角との角度差が無理正接の角度となるように前記対応関係が定められている1つの変換テーブルCを記憶させるステップと、
    前記変換テーブルA、B、Cに対応する3つの画像再生データが求まるように、各色について、記憶されている変換テーブルのうちの一つを参照して各ドットの階調データから各ドットにおける画像再生データを求めるステップとを備えることを特徴とする、コンピュータ上で動作する画像処理プログラムを記録した記録媒体。
  14. 前記画像再生データには更に現像領域位置情報が含まれていることを特徴とする請求項13記載の記録媒体。
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