JP4251119B2 - 画像処理装置およびプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、画像処理装置およびプログラムに関し、特にレーザービームプリンタや印刷製版機器の分野において、多値で表される入力画像データを、誤差拡散処理を行いながら複数の微画素の2値データで階調表現するための画像処理装置およびプログラムに関する。
レーザービームプリンタやインクジェットプリンタ、或いは印刷製版機器等の分野においては、色分解された多値画像データの濃度階調を再現する手法として、2値のドットの集まり(クラスタ)の大きさで表現する面積階調法や、2値のドットの粗密で視覚的に濃度階調を表現するストキャスティックハーフトーニング技術がある。
前者の面積階調法としては、規則正しい格子点を起点に画像濃度に応じて微小ドットを着色しながらドットの面積を変調するディザマトリクス(集中ディザ)法が知られている。一方、後者のストキャスティックハーフトーニング技術としては、画素毎に所定の閾値で2値化しながら、2値化誤差を未処理の隣接画素へ拡散させ、マクロ的に濃度情報を保存する“誤差拡散法”が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ディザマトリクス法では、予め設定した閾値と入力画像データの値とを1画素毎に比較しながら2値化処理を行っているため階調特性と分解能とを両立させるには、2値化処理の解像度を十分高くし、あわせてディザマトリクスのサイズも大きくしなければならない。また、網点が規則的に配置されることから2次色、3次色のカラーモアレ、原稿とのモアレといった問題を持っている。
一方、誤差拡散法では、ディザマトリクスのように2値化閾値が画素位置に依存しないため、ドット構造の周期性が低く入力画像データの画像構造に追従しやすいといった特徴や、マクロ的に濃度情報が保存されるといった特徴があり、階調特性と高分解能とを両立させやすく、かつ、モアレ模様の発生を抑止する効果が大きいと言われている。
しかしながら、誤差拡散法においても、特定データが連続して入力された場合には、拡散誤差が周期性を持ち、特定のテクスチャが発生したり、或いはワームノイズと呼ばれる縞状のノイズが混入する、というような課題があった。これらの課題については、従来、拡散誤差に乱数データを付与する技術(例えば、特許文献1参照)や、拡散誤差に乗算する係数を種々の方法で切替える技術(例えば、特許文献2参照)等を用いることによって解決を図ってきた。特に、インクジェットプリンタでは、このような手法と高解像度化により、誤差拡散法を用いて高画質化が図られている。
ところが、誤差拡散法はインクジェットプリンタでは多く用いられ、その階調再現効果を十分に発揮できているが、レーザービームプリンタではあまり使われず、未だにディザマトリクス法やアナログラインスクリーン法が主流となっている。なぜなら、電子写真プロセスでは、感光体のMTF(Modulation Transfer Function:光学的伝達関数)をはじめ、露光、現像、転写、定着の各プロセスにおいて空間周波数応答が劣化するために、誤差拡散法等で生成された高解像度の微小ドットが細かく配置された画像構造を記録信号として入力しても、再現性がばらついてウォッシュアウトやつぶれが起き、十分な階調再現ができなかったためである。
電子写真プロセスを使うレーザービームプリンタでは、走査ビームの副走査解像度の制約があり、主走査方向についてだけ高解像度化する手法が古くから使われている。この主走査方向についてだけ高解像度化する手法と誤差拡散法とを用いた技術として、電子写真プロセスで再現可能なドットサイズからドット形成が開始されるように条件付けした誤差拡散法と画素クロックに同期した三角波とアナログ信号に変換した画像データとを比較し、PWM(Pulse Wide Modulation)信号を生成するアナログスクリーンを用いる技術(例えば、特許文献3)や、誤差拡散処理にて決定されたドットサイズを注目画素周辺の濃度によってパルス変調することによって画像を再現する技術(例えば、特許文献4)が提案されている。
特公平1−058915号公報 特公平6−66873号公報 特許2664173号 特開2000−138829号公報 R.FLOYD&L.STEINBERG,"An Adaptive Algoritm for Spatial GreyScale",SID 75 DIGEST,pp36-37
しかしながら、特許文献3に開示された技術では、特定濃度以上では画素単位内のPWM処理で濃度を再現し誤差値をゼロにしている。このため、上記特定濃度以上ではラインスクリーン構造となり、誤差拡散処理が為されているハイライト領域との境界で見苦しいテクスチャノイズが発生するといった問題点がある。一方、特許文献4に開示された技術では、誤差拡散処理で決定したドットサイズを注目画素周辺の濃度によってパルス変調しているため、拡散させた濃度誤差と再現画像との間に不一致が発生し、トーンジャンプや濃度の逆転が発生する虞があるといった問題点がある。このような問題点は、電子写真方式の画像形成装置の再現性が印刷と同程度(2400dpi)まで向上すれば回避されると期待される。しかしながら、2400dpiの1画素の大きさは約10μm(トナー1,2個分の大きさ)であり、このように微小な画素のオン・オフを電子写真方式で安定的に制御することは難しいといった問題点がある。
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、多値画像をその多値画像よりも画素サイズが小さい2値画像に変換する際に、電子写真方式でも再現可能なドットサイズと周期を確保しつつ、トーンジャンプの発生を回避する技術を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明は、画素値が多値である入力画像を、該入力画像よりも画素サイズが小さい微画素を用いて2値化する画像処理装置において、前記入力画像から処理対象である注目画素の画素値に基づいて、塗潰す微画素の数を算出する算出手段と、前記注目画素に対応する微画素の塗潰しパターンを、少なくとも処理済み周辺画素に対応する微画素の塗潰しパターンに基づいて決定する塗潰しパターン決定手段と、前記算出手段による算出結果と前記塗潰しパターン決定手段により決定された塗潰しパターンとに応じた所定の閾値パターンにしたがって前記注目画素に対応する微画素を塗潰す2値化手段と、前記算出手段による算出結果を前記入力画像における画素値に換算し、前記注目画素より前の2値化処理で生じた量子化誤差と前記注目画素の画素値とにより算出された補正画素値とその換算結果との差を前記量子化誤差として算出する誤差算出手段とを有することを特徴とする画像処理装置を提供する。
また、上記課題を解決するために、本発明は、コンピュータ装置に、画素値が多値である入力画像を、該入力画像よりも画素サイズが小さい微画素を用いて2値化させるプログラムにおいて、前記入力画像から処理対象である注目画素の画素値に基づいて、塗潰す微画素の数を算出する算出機能と、前記注目画素に対応する微画素の塗潰しパターンを、処理済み周辺画素に対応する微画素の塗潰しパターンに基づいて決定する塗潰しパターン決定機能と、前記算出機能による算出結果と前記塗潰しパターン決定機能により決定された塗潰しパターンとに応じた所定の閾値パターンにしたがって前記注目画素に対応する微画素を塗潰す2値化機能と、前記算出機能による算出結果を前記入力画像における画素値に換算し、前記注目画素より前の2値化処理で生じた量子化誤差と前記注目画素の画素値とにより算出された補正画素値とその換算結果との差を前記量子化誤差として算出する誤差算出機能とを実現させるプログラムを提供する。
このような画像処理装置およびプログラムによれば、注目画素に対応して塗潰される微画素とその周辺に位置する画素に対応して塗潰される微画素とで網点を形成するように各微画素が塗潰される。このため、例えば、600dpiの入力画像を2400dpiの2値画像に変換する場合には、互いに隣接する4つの画素に対応する微画素で網点を形成させるようにすれば、ドット周期が300lpiになり、電子写真方式で応答可能なドット周期が確保される。加えて、上記画像処理装置およびプログラムによれば、注目画素の塗潰しパターンにより、塗潰すべき微画素の数として多値量子化により算出された値が、さらに、その注目画素の画素値に応じて補正されるので、電子写真方式でも再現可能なドットサイズが確保される。
本発明によれば、多値画像をその多値画像よりも画素サイズが小さく、解像度が高い2値画像へ変換する際に、電子写真方式でも再現可能なドットサイズと周期を確保しつつ、トーンジャンプの発生を回避することが可能になるといった効果を奏する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。
[A.構成]
(A−1:画像処理装置1の構成)
図1は、本発明に係る画像処理装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示されているように、この画像処理装置1は、画像入力部10と、画像処理部20と、画像出力部30とを有している。以下、本実施形態では、解像度が600dpiである256階調の多値画像を解像度が2400dpiである2値画像に変換して出力する場合について説明する。
図1の画像入力部10は、例えばスキャナや、ネットワークに接続されたI/Fとプリントジョブを処理する処理装置等であり、処理対象の多値画像を本発明の画像処理部20へ引渡すものである。本実施形態では、処理対象の多値画像は256階調であるから、画像入力部10は、上記多値画像の画素値として0から255までのいずれかの整数値を画像処理部20へ引渡す。
画像処理部20は、後述する誤差拡散処理を行って上記多値画像を上記2値画像へ変換するものである。より詳細に説明すると、画像処理部20は、図2に示されているように、上記多値画像の各画素毎に上記2値画像を形成する4×4の微画素を対応させ、その16個の微画素のうち、画像入力部10から引渡された画素値に基づいて算出される数分の微画素を塗潰すことによって、上記多値画像を上記2値画像へ変換するものである。例えば、画像処理部20は、画像入力部10から引渡された画素値が0〜15の範囲の値である場合には、上記16個の微画素の全てを塗潰さないことで、その濃度を表現し、例えば上記画素値が16〜31の範囲の値である場合には、上記16個の微画素のうち、1つの微画素を塗潰すことで、その濃度を表現する。このように、画像処理部20は、上記画素値が16増加する度に塗潰す微画素の数を1つ増加させて、その画素値を2値で表現する。そして、図1に示す画像処理装置1は、画像処理部20によって変換された2値画像を画像出力部30によって印刷用紙等の記録媒体上に電子写真方式等で形成させることによって画像処理を完了する。尚、塗潰す微画素の数の決定に際し、画素値が0〜7の場合に微画素の全てを塗潰さないように、システムに応じて、範囲と塗潰し個数は変更可能である。
図1に示す画像処理装置1が行う誤差拡散処理が従来の誤差拡散処理と異なっている点は、図2に示すように、上記多値画像において互いに隣接する画素A、B、CおよびDに対応する微画素を各画素の画素値に応じて塗潰す際に、各画素で塗潰される微画素(以下、ドットとも呼ぶ)が他の画素で塗潰された微画素と網点を形成するように塗潰す点である(以下では、このようにして集められたドットをクラスタとも呼ぶ。)。本実施形態では、このようにしてクラスタ(すなわち、網点)を形成することにより、そのクラスタの大きさと周期が電子写真方式で再現可能な大きさと周期に維持され、前述した電子写真方式に特有な問題点を解消することが可能になる。なお、本実施形態では、多値画像にて互いに隣接する4つの画素に対応する微画素でクラスタを構成する場合について説明するが、クラスタを構成する画素の数が4に限定されるものではないことは言うまでもない。また、本実施形態では、電子写真方式で画像を形成する場合について説明するが、印刷においても程度が異なるが同様の問題があり、電子写真方式に限定されるものではないことは言うまでもない。以下では、本発明に係る画像形成装置に特有な誤差拡散処理を実現する画像処理部20を中心に説明する。尚、以下では注目画素の画素値および上記補正画素値を特に分ける必要がない場合には多値データと記す。
(A−2:画像処理部20の構成)
図3は、画像処理部20の構成例を示すブロック図である。図3に示されているように、画像処理部20は、パターンマッチング部210と、多値量子化部220と、誤差フィルタ230とを有している。
パターンマッチング部210は、図13に示されているように、メモリ211とパターンを決定するパターン決定部212とを含んでおり、前述した画像入力部10に入力された画素(以下、注目画素)の周辺に位置する処理済み画素(以下、処理済み周辺画素:例えば、図4においては、画素Xが注目画素であり、画素K、L、MおよびNが周辺処理済み画素である)の塗潰しパターンに基づいてその注目画素の塗潰しパターンを特定するものである。
ここで、塗潰しパターンを図5に示した4種類として、より詳細に説明する。上記メモリ211には、処理済み周辺画素の各々の塗潰しパターンを示すデータが格納されている。このパターンマッチング部210のパターン決定部212は、上記メモリ211の格納内容に基づいて、注目画素が、図2に示す画素A、B、CおよびDの何れに対応する画素であるかを特定し、その特定結果を、注目画素に対応する多値データと所定の閾値との比較結果に応じて変更し、決定したパターンに応じた信号(以下、パターン信号)を多値量子化部220へ出力する。具体的には、パターンマッチング部210は、図4の画素K、L、MおよびNの塗潰しパターンが何れもパターン510と異なる場合には、パターンマッチング部210は、注目画素の塗潰しパターンをパターン510と特定する。なお、注目画素が多値画像の1行目或いは1列目に位置する画素である場合には、余白部分を処理済み周辺画素と見なしてその注目画素の塗潰しパターンを特定すれば良いことは言うまでもない。逆に、図4の画素Nがパターン510で塗潰されていた場合には、パターンマッチング部210は、画素X(すなわち、注目画素)の塗潰しパターンをパターン520と特定する。また、図4の画素Lがパターン510で塗潰されていた場合には、パターンマッチング部210は、注目画素の塗潰しパターンをパターン530と特定する。そして、図4の画素Kがパターン510で塗潰されていた場合には、パターンマッチング部210は、注目画素の塗潰しパターンをパターン540と特定する。このように、塗潰しパターン520、530および540は、図4に示す画素K、LおよびNの何れかがパターン510で塗潰されていることに従属して特定されるものである。一方、パターン510は、周辺処理済み画素に対応して塗潰された微画素とは独立に、新たにクラスタを形成することを示す塗潰しパターンである。次に、パターンマッチング部210は、特定されたパターンのうち、パターン510に対して、注目画素に対応する多値データと所定の閾値との比較結果に応じてパターン510を発生させるか否かを決定する。これにより、新たにクラスタを形成するか否かが決定され、パターン510を発生させない場合には、全白を示す信号値である“(0)”のパターン信号を出力する。ここで、所定の閾値としては、周辺画素の多値データから算出した値や多値データに応じた固定値、さらには、乱数などや、値ではなく所定のFlagの“0”または“1”によって判定する方法など、公知の手法を利用可能である。なお、本実施形態では、パターンマッチング部210は、注目画素の塗潰しパターンをパターン510と特定した場合には、信号値が“(1)”であるパターン信号を、パターン520と特定した場合には、信号値が“(2)”であるパターン信号を、パターン530と特定した場合には、信号値が“(3)”であるパターン信号を、パターン540と特定した場合には、信号値が“(4)”であるパターン信号を出力するものとする。
多値量子化部220は、図14に示されているように、注目画素に対応する微画素のうち塗潰す微画素の個数を算出する算出部221と、その算出結果と上記パターン信号の示す塗潰しパターンとに基づいて注目画素に対応する微画素を塗潰す2値化部222と、2値化部222にて生じた量子化誤差を算出する誤差演算部223などで構成される。また、2値化部222には、パターン信号に対応する閾値マトリクスを格納するメモリがあり、パターン信号に応じて随時閾値マトリクスが読み出される。
この多値量子化部220は、注目画素の多値データと、上記パターン信号の示す塗潰しパターンと、に基づいて注目画素に対応する微画素を塗潰し2値化するためのものである。またさらに、2値化により生じた量子化誤差を算出するためのものである。より詳細に説明すると、算出部221は、注目画素の多値データと、パターンマッチング部210から出力されたパターン信号と、に基づいて、後述する数1または数2にしたがって、塗潰す微画素の個数を算出する。2値化部222は、算出部221によって算出された個数とパターンマッチング部210から出力されたパターン信号に対応する閾値マトリクスとに基づいて塗潰す微画素の配置を特定し、塗潰すものである。
図6は、2値化部222内のメモリに格納されている閾値マトリクスの一例を示す図であり、閾値マトリクス610はパターン510に、閾値マトリクス620はパターン520に、閾値マトリクス630はパターン530に、閾値マトリクス640はパターン540に夫々対応している。図6に示されているように、マトリクス610、620、630および640には、1〜16までの閾値が1つずつ各々固有の順番で配置されている。これらの閾値は算出部221にて算出された個数に応じて塗潰される微画素の配置を示している。例えば、パターンマッチング部210より引渡されたパターン信号の信号値が“(1)”であり、後述する数1により塗潰すべき微画素の個数が3であると算出されると、閾値の値が1〜3に対応する微画素が塗潰されることになる。そして、上記誤差演算部は、塗潰した微画素の数を前述した多値画像における画素値に換算し、その換算結果と上記補正画素値との差を上述した量子化誤差として算出し、誤差フィルタ230により後続して処理される画素へ拡散する。
[B.動作]
次いで、本実施形態に係る画像処理装置1が行う動作のうち、その特徴を顕著に示す動作について図面を参照しつつ説明する。
画像処理部20は、画像入力部10から注目画素の画素値を引渡されると、その画素値をパターンマッチング部210へ引渡す。また、パターンマッチング部210は、メモリ211の格納内容を参照し、処理済み周辺画素に対応する塗潰しパターンに基づいて注目画素に対応する微画素の塗潰しパターンを特定し、その特定結果に応じたパターン信号を多値量子化部220へする。以下、パターンマッチング部210が行う動作について図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図7に示されているように、パターンマッチング部210は、上記多値データを受け取ると、先ず注目画素が“A”または“D”の位置か判定する(ステップSA1)。パターンマッチング部210は、ステップSA1の判定結果が“Yes”である場合には、後述するステップSA2の処理を行い、逆に、ステップSA1の判定結果が“No”である場合には、ステップSA7の処理を行う。
ステップSA1の判定結果が“Yes”である場合に後続して実行されるステップSA2では、上記注目画素に対応した多値データが所定の閾値よりも小さいか否かを判定する。そして、ステップSA2の判定結果が“No”である場合には、さらに画素位置を判定する(ステップSA4)。ステップSA2の判定結果が“Yes”である場合には、パターンマッチング部210は、上記注目画素に対応するパターン信号をパターン(0)、すなわち、微画素を全て塗潰さないパターンに決定する(ステップSA3)。ステップSA2の判定結果が“No”である場合に後続して実行されるステップSA4においては、パターンマッチング部210は、注目画素の画素位置が“A”であるか否かを判定する。そして、その判定結果が“Yes”である場合には、注目画素の画素位置は“A”になり、対応したパターン(1)に決定される(ステップSA5)。逆に、ステップSA4の判定結果が“No”である場合には、パターン(4)に決定される(ステップSA6)。
ステップSA1の判定結果が“No”である場合に後続して実行されるステップSA7では、パターンマッチング部210は、注目画素の位置が“B”であるかを判定する。この判定結果が“Yes”である場合には、パターン(2)に決定される(ステップSA8)。また、この判定結果が“No”である場合には、パターン(3)に決定される(ステップSA9)。
以上のように決定されたパターンは、パターン信号として、多値量子化部220へ出力されるとともに、次画素以降のパターンマッチング処理に用いるパターンとして記憶される(ステップSA10)。
以上の処理によって、ランダムな配置のクラスタを構成することが可能となるが、例外が生じるケースがある。すなわち、図4の画素K、L、MおよびNの塗潰しパターンのうち、画素MおよびNの塗潰しパターンがパターン510の場合である。この場合に、図12に示す市松パターン1210に対応するパターン信号が出力される。また、注目画素のパターンがパターン540と特定された際にも、ステップSA2の処理と同様に、注目画素に対応した多値データが所定の閾値よりも小さいか否かを判定することで、市松パターン1220を発生させることができる。
次に多値量子化部220の動作について説明する。多値量子化部220では、パターンマッチング部210から出力されたパターン信号に基づき、2値化部222に内蔵されたメモリから対応する閾値マトリクスを読み出し、この閾値マトリクスに含まれている閾値のうち、算出部221にて算出された数値以下の閾値に該当する微画素が塗り潰されることになる。
算出部221では、数1または数2にしたがって塗潰す微画素の数を算出するとともに、算出した微画素の数を2値化部222および誤差演算部223に引渡す。尚、本実施形態では、数1はパターン(1)の場合に用いられ、数2はパターン(2)〜(4)の場合に用いられる。
(数1) Z=(Y+8)/16
ただし、数1において、Yは注目画素を処理する前の2値化処理にて生じた量子化誤差と注目画素の画素値とを加算して得られる補正画素値であり、8および16は、256階調の多値画像の1画素を4×4の16個の微画素のオン・オフに変換する場合に用いる係数である。これらの係数は処理対象の入力画像の階調および解像度と、出力である2値画像の解像度とに応じて定まる値である。なお、算出部221は、数1の計算結果が非整数になった場合には、その算出結果を超えない整数値に丸めるものとする。例えば、補正画素値の値が16である場合には、Zの値は“1.5”になるが、多値量子化部220は、この値を“1”に丸め、1個分の微画素を塗潰す。また、数1の計算結果が負の値になった場合には、多値量子化部220は、その算出結果を“0”に丸め、数1の算出結果が16を超える場合には、その算出結果を“16”に丸める。
(数2) Z=X+(Y+8)/16
ここで、数2が数1と異なっている点は、Xが加算されている点とYが注目画素の多値データとなっている点とである。数2のXは、−16〜16の範囲の整数であり、注目画素の多値データに基づいて算出される値である。例えば、図8に示すように、低濃度域では、オフセットを正の値にすることにより、塗潰す微画素の数を増加させることができる。これにより、塗潰された微画素の孤立に起因して生じるドットの消失を回避することが可能になる。また、高濃度域では、オフセットを負の値にすることによって、図9に示されているように、ドットの潰れを回避することが可能になる。なお、上記オフセットにより加算された分の濃度は、量子化誤差として未処理の周辺画素に拡散されるため、画像全体での濃度は保存される。
しかしながら、上記オフセットを無条件に加算してしまうと、トーンジャンプを引き起こしてしまう虞がある。例えば、画素Aに対応する6個の微画素が塗潰されている状況下で、画素B、CおよびDの画素値が128〜143の範囲にある場合に、オフセットの値を0にしてしまうと、各々8個の微画素が塗潰される(図10(a)参照)。これに対して、オフセットの値を常に1にしてしまうと、図10(b)に示されるように画素B、CおよびDに対応して塗潰される微画素は各々9個になり、これは、注目画素の画素値が144である場合に塗潰される微画素の数に相当する。このように、無条件にオフセットを行ってしまうと、画素A、B、CおよびDで形成するクラスタ内で塗潰される微画素の数が一気に3個増加し、トーンジャンプが発生してしまう。
そこで、本実施形態では、画素B、CおよびDの画素値が128〜143である場合には、以下に述べるアルゴリズムにしたがってオフセットを算出することにより、画素値が4増加する毎に何れかの画素で塗潰される微画素の数が1増加するようにオフセットの値を定めている。具体的には、算出部221は、画素B、CおよびDの画素値が132〜135の範囲内である場合には、数2の計算を行うことに先立って、0〜1の範囲で乱数を1つ発生させ、画素値を微画素の数である16で割った剰余値に応じて、上記乱数との比較により、ヒットする確率が高くなるように設定し、ヒットした場合にのみオフセットの値を+1にセットし、他の場合には0にセットする。その結果、画素B、CおよびDの何れか1つについてのみ微画素が1つ余分に塗潰され、図10(c)に示すような状態になる。これにより、トーンジャンプの発生を回避しつつ濃度の再現性を向上させることが可能になる。
誤差演算部223では、算出部221で算出した塗潰し微画素の数を多値画像における画素値に換算し、その換算結果と上記補正画素値との差である量子化誤差を誤差フィルタ230へ引渡す。このようにして誤差フィルタ230に引渡された量子化誤差は、後続の画素を処理する際に誤差拡散される。
2値化部222では、前述のようにパターンマッチング部210から出力されたパターン信号に基づき、閾値マトリクスを内部メモリより呼び出し、算出部221で算出された塗潰し微画素の数と比較することで、微画素の塗潰し位置を特定し塗潰すとともに、2値化された塗潰し画素を出力する。以降画像処理部20は、処理対象の多値画像を形成する全ての画素について上述した処理を施し、その多値画像の2値化を完了する。
以上に説明したように、本実施形態に係る画像処理装置1によれば、図5に示すような塗潰しパターンを用いることによって、塗潰される微画素を集めてクラスタを構成し電子写真方式で再現可能な大きさにすることが可能になる。なお、上述した実施形態では、低濃度域でドットの消失が発生することを回避するために、図5に示す塗潰しパターンを用いて、多値画像において互いに隣接する4つの画素に対応する微画素をクラスタを構成するように塗潰す場合について説明した。これと同様に、高濃度域では、図11に示す4つの塗潰しパターンを用いて、塗潰されない微画素でクラスタを構成させ、ドットの潰れによる濃度の再現の悪化を回避することも可能である。また、注目画素の濃度値に応じて、図5に示す塗潰しパターンと図11に示す塗潰しパターンとを切替えて用いるとしても良いことは勿論である。これにより、高濃度域または低濃度域におけるドットの潰れや消失を解消し、濃度の再現性を向上させることが可能になる。トーンジャンプの発生を回避することが可能になるといった効果を奏する。
[C.変形]
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明した、係る形態を以下に述べるように変形しても良いことは勿論である。
(C−1:変形例1)
上述した実施形態では、注目画素に対応する微画素の塗潰し個数を算出する際に、その注目画素の画素値に量子化誤差を加算して得られる補正画素値、または注目画素の画素値により、塗潰すべき微画素の個数を算出する場合について説明した。しかしながら、上記画素値、さらに、所定の乱数または所定のアルゴリズムにしたがって生成される擬似乱数(例えば、M系列の擬似乱数)を加算して画素値を算出し、その画素値から塗潰すべき微画素の数を算出するとしても勿論良い。このような乱数または擬似乱数を加算することにより、周期的に同一個数の微画素が塗潰されることによって生じるワームを回避することが可能になるといった効果を奏する。
(C−2:変形例2)
上述した実施形態では、上記多値データと所定の閾値とを比較することで、新たにクラスタを形成するか否かを決定する場合について説明したが、多値データとして上記補正画素値と注目画素の画素値とを所定の条件で切替えて使い分けるとしても良い。また、多値画像を形成する画素毎に制御フラグを定めておき、その制御フラグに“1”がセットされている場合には、その画素の画素値には拘わりなく、新たにクラスタを形成しないようにしたり、逆に、形成するとしても良い。このようにすると、各画素毎にその変換態様を意図的に制御することが可能になる。
(C−3:変形例3)
上述した実施形態では、図5に示すパターン510とクラスタを構成するためのパターンとして、520、530および540を用いる場合について説明した。しかしながら、これら3つのパターンの他に、参照したMとN画素にパターン510が存在した場合には、パターン520や530に代えて、図12に示すパターン1210を用いたり、多値データが所定の閾値よりも大きい場合には、パターン540に代えて図12に示すパターン1220を用いるとしても勿論良い。また、高濃度域を処理する場合には、パターン1210に代えてパターン1230を用い、パターン1220に代えてパターン1240を用いるようにすれば良い。図12に示すような市松パターンを用いることにより、クラスタを分割して形成することが可能になり、各クラスタの出現周期をランダムにすることが可能になる。これにより、周期的な図柄を有する画像を出力する場合に、図柄の周期とクラスタの周期とが干渉して生じる原稿モアレの発生を回避することが可能になるといった効果を奏する。
(C−4:変形例4)
上述した実施形態では、本発明に係る画像処理装置に特有な誤差拡散処理をハードウェアモジュール(パターンマッチング部、多値量子化部および誤差フィルタ)により実現する場合について説明したが、ソフトウェアモジュールで実現するとしても良いことは勿論である。具体的には、CPU(Central Processing Unit)などの制御部に図7に示すフローチャートに示す誤差拡散処理を行わせるプログラムと図6に示す閾値マトリクスとをコンピュータ装置に記憶させておくことによって、このコンピュータ装置に上述した実施形態に係る画像処理装置と同一の機能を付与することが可能になる。
本発明の1実施形態に係る画像処理装置1の構成例を示すブロック図である。 同画像処理装置1にて、多値画像の1画素と2値画像の微画素の配列との対応を示す図である。 同画像処理装置1の画像処理部20の構成例を示す図である。 注目画素と処理済み周辺画素の位置関係を示す図である。 同パターンマッチング部210に格納されているパターンテーブルの表す塗潰しパターンの一例である。 各塗潰しパターンに対応する閾値マトリクスの一例を示す図である。 同画像処理部20が行う誤差拡散処理の流れを示すフローチャートである。 低濃度域におけるオフセット処理の一例を示す図である。 高濃度域におけるオフセット処理の一例を示す図である。 注目画素の濃度に応じたオフセット処理の一例を示す図である。 高濃度域用の塗潰しパターンの一例である。 変形例3に係るサブパターンの一例を示す図である。 本発明の1実施形態に係る画像処理装置1のパターンマッチング部210の構成例を示す図である。 本発明の1実施形態に係る画像処理装置1の多値量子化部220の構成例を示す図である。
符号の説明
10…画像入力部、20…画像処理部、30…画像出力部、210…パターンマッチング部、220…多値量子化部、230…誤差フィルタ。

Claims (4)

  1. 画素値が多値である入力画像を、該入力画像よりも画素サイズが小さい微画素を用いて2値化する画像処理装置において、
    前記入力画像から処理対象である注目画素の画素値に基づいて、塗潰す微画素の数を算出する算出手段と、
    前記注目画素に対応する微画素の塗潰しパターンを、少なくとも処理済み周辺画素に対応する微画素の塗潰しパターンに基づいて決定する塗潰しパターン決定手段と、
    前記算出手段による算出結果と前記塗潰しパターン決定手段により決定された塗潰しパターンとに応じた所定の閾値パターンにしたがって前記注目画素に対応する微画素を塗潰す2値化手段と、
    前記算出手段による算出結果を前記入力画像における画素値に換算し、前記注目画素より前の2値化処理で生じた量子化誤差と前記注目画素の画素値とにより算出された補正画素値とその換算結果との差を前記量子化誤差として算出する誤差算出手段と
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記算出手段は、前記補正画素値に基づいて塗潰す微画素の数を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記算出手段は、前記塗潰しパターン決定手段により決定された塗潰しパターンと前記注目画素の画素値とに基づいて塗潰す微画素の数を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. コンピュータ装置に、
    画素値が多値である入力画像を、該入力画像よりも画素サイズが小さい微画素を用いて2値化させるプログラムにおいて、
    前記入力画像から処理対象である注目画素の画素値に基づいて、塗潰す微画素の数を算出する算出機能と、
    前記注目画素に対応する微画素の塗潰しパターンを、処理済み周辺画素に対応する微画素の塗潰しパターンに基づいて決定する塗潰しパターン決定機能と、
    前記算出機能による算出結果と前記塗潰しパターン決定機能により決定された塗潰しパターンとに応じた所定の閾値パターンにしたがって前記注目画素に対応する微画素を塗潰す2値化機能と、
    前記算出機能による算出結果を前記入力画像における画素値に換算し、前記注目画素より前の2値化処理で生じた量子化誤差と前記注目画素の画素値とにより算出された補正画素値とその換算結果との差を前記量子化誤差として算出する誤差算出機能と
    を実現させるプログラム。
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