JP3588946B2 - 自動二輪車における燃料ホースの接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車における燃料ホースの接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動二輪車における燃料ホースの接続構造としては、燃料ホースの端部を燃料タンク側の出口パイプにフレア式管継手を用いてネジ留めしたもの、あるいは、燃料ホースを出口パイプに差込んで燃料ホースの外周をクランプで締付けたもの(例えば特開平2−128977号公報参照)などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、前記出口パイプは、燃料タンクの底板に突設される。したがって、燃料タンクを車体に回動自在に設けて燃料タンク下側のエアクリーナ等が整備できるようにした場合、前記フレア式管継手を用いる方法あるいはクランプを用いる方法のいずれにおいても、従来の構成では、燃料タンクを持上げると燃料ホースが引張られたり折曲がったりするため、燃料ホースを外してから整備を行う必要がある。
【0004】
また、燃料ホースの接続部周辺には、ナット等を締付ける工具(スパナ等)を回すためのスペースが必要となるため、ホース接続部周辺において他部品のレイアウトが制約を受けるといった問題もある。また、特に前記フレア式管継手を用いる場合は、ホース端部をねじ込んでから工具で締付けるため、組付け作業に時間がかかり、工場のラインにおける組立工程上、他工程とのバランスが悪いという問題もある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、燃料タンク下側のエアクリーナ等の整備を燃料ホースを外さずに行うことができ、作業効率の向上が図れる自動二輪車における燃料ホースの接続構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、次のような構成を有する。
すなわち、請求項1の発明は、エンジンの上方に設ける燃料タンクの一端を車体に回動自在に支持させ、該燃料タンクを上方に回動可能とし、その燃料タンクの底板に燃料ポンプを配設するとともに、燃料を燃料タンク外部に導出する出口パイプを突設し、前記エンジンの燃料供給装置へ燃料を導く燃料ホースを、前記出口パイプにコネクタを介して接続した自動二輪車において、前記燃料ポンプの出口パイプを、前記燃料タンクの底部でかつ該燃料タンクの回動軸の近傍に配し、前記燃料ホースを車両前後方向に延出させつつその端部の前記コネクタを前記出口パイプの先端部に対して回動自在に接続し、燃料タンクを持ち上げ回動させる前の状態での平面視で、出口パイプの先端部を斜めに突出させ、その燃料タンクの底板を貫通する部分に対して出口パイプの先端部を前記燃料タンクの回動軸に近接させると共に、燃料タンクを持ち上げ回動させる前の状態での前後方向視で、出口パイプに接続するコネクタの回動軸を前記燃料タンクの回動軸と略平行にしたことを特徴とする自動二輪車における燃料ホースの接続構造である。
【0007】
本発明によれば、出口パイプに接続される燃料ホースの端部が燃料タンクの回動軸近傍にあるため、整備の際に燃料タンクを持上げたときでも、燃料ホースが引張られる不都合は生じない。また、コネクタを出口パイプに対して回動自在とすると共にその回動軸を燃料タンクの回動軸と略平行にしたので、燃料タンクを持上げたとき、コネクタも燃料タンクの動きに追従して回動するようになり、燃料ホースの端部が折曲がるなどの不具合もない。したがって、エアクリーナ等の整備に際して、燃料ホースを外す必要がなくなり、作業効率の向上が図れる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態に係る自動二輪車は、図1に示すように、前輪2および後輪4と、これら前後輪2,4間で車体フレーム6に固定されたV型二気筒エンジン8とを備える。エンジン8の二つのシリンダ10,10は、図2に示すように、それぞれクランクケース12上部から前上方および後上方に突出し、その挟み角は略直角である。車体フレーム6の前端部には、図3に示すように、フロントフォーク14(図1参照)を操舵可能に支持するヘッドパイプ6aが設けられる。このヘッドパイプ6aの左右両側からは、図2および図3に示すように、左右一対の前部フレーム6bが後下方に向けて延びており、この左右の一対の前部フレーム6bには、燃料タンク16が載置されている。燃料タンク16は、その後端部において車幅方向(左右方向)に延びる回動軸16Aを支点として上方に回動可能となっている。
【0009】
エンジン8上方であって左右の前部フレーム6b間には、図2および図3に示すように、エアクリーナ18が配設され、エアクリーナ18は、燃料タンク16を持上げて開いたときに露出する。このエアクリーナ18には、エンジン8の吸気口20に連通する前後一対のスロットルボディ22が接続される。各スロットルボディ22には、燃料をスロットルボディ22内の吸気通路へ噴射するインジェクタ(燃料供給装置に相当)24が設置される。二つのインジェクタ24は、デリバリパイプ26によって連結されており、このデリバリパイプ26に供給された燃料は、各インジェクタ24に振分けられる。デリバリパイプ26後部の右側面には、燃料を取入れる入口部26aが設けられていて、この入口部26aには、燃料タンク16からの燃料を導入するための入口パイプ28が後下方に向けて突設される。入口パイプ28の先端部外周には、係合鍔部28a(図6参照)が全周に亙って設けられる。
【0010】
燃料タンク16は、略鞍形に形成されており、図2に示すように、その底板16aの後端部には、燃料ポンプ30が設置されている。燃料ポンプ30は、図4に示すように、底板16a上に固定される台座30aと、台座30aの右側端部に配設された入口側フィルタ30bと、この入口側フィルタ30bからの燃料を圧送するポンプ部30cと、このポンプ部30cの反対側(左側)に配置された出口側フィルタ30dとを備える。ポンプ部30cと出口側フィルタ30dとはパイプ30eによって連通しており、また出口側フィルタ30dの下端には、燃料を燃料タンク16外部に導出する出口パイプ32が接続される。出口パイプ32は、台座30aの中央から下方に延びると共に燃料タンク16の底板16aを貫通して外部に臨む。その外部に臨んだ部分は、図3に示すように、前記燃料タンク16の回動軸16Aと略平行に(具体的には右斜め後方に)突出し、その先端部外周には、前記入口パイプ28と同様に係合鍔部32a(図4参照)が全周に亙って設けられる。
【0011】
前記燃料ポンプ30の出口パイプ32と前記デリバリパイプ26の入口パイプ28とを連結する燃料ホース34は、図5に示すように、ホース本体36と、このホース本体36に被覆されるプロテクタ38とから主に構成され、これらホース本体36とプロテクタ38は、適当な可撓性を有する合成樹脂からなる。また、ホース本体36の両端部には、前記入口パイプ28および出口パイプ32のそれぞれの先端部に着脱自在かつ回動自在に接続されるコネクタ40が取り付けられている。
【0012】
コネクタ40は、ワンタッチでパイプと接続可能な嵌込み式のもので、図6に拡大して示すように、Oリング40aを介してホース本体36の端部に嵌入されるハウジング40bと、このハウジング40bの先端部に設けられて前記入口パイプ28あるいは出口パイプ32の係合鍔部28a,32aに対して係合・離脱するリテーナ(スプリング)40cとを備える。リテーナ40cは、入口パイプ28あるいは出口パイプ32の挿入に伴う係合鍔部28a,32aからの押圧力で弾性変形してその内径を拡げ、係合鍔部28a,32aを通過させた後は復元して係合鍔部28a,32aの背面を係合部40c1で係止する。また、リテーナ40cは、作業者によりその先端40c2が内側に押圧されたときに、係合部40c1の内径を拡げて係合鍔部28a,32aを解放し、入口パイプ28あるいは出口パイプ32を抜脱可能な状態とする。この嵌込み式のコネクタ40により、作業者は、工具を使わずに燃料ホース34をワンタッチで入口パイプ28や出口パイプ32に接続したり外したりすることができる。また、リテーナ40cおよびハウジング40bは、入口パイプ28および出口パイプ32を円周方向に拘束するものではなく、入口パイプ28および出口パイプ32の先端外周に対して回動自在である。
【0013】
なお、図6において符号40d,40eで示す部材は、挿入された入口パイプ28または出口パイプ32の先端外周をシールするOリングであり、符号40f,40gで示す部材は、それぞれインナスペーサ,アウタスペーサである。
【0014】
燃料ポンプ30側のコネクタ40は、図3および図5に示すように、右側方に突出した前記出口パイプ32に右側から嵌込まれるようになっており、よって、その出口パイプ32に対する回動軸40Aは燃料タンク16の回動軸16Aと略平行に(略車幅方向に)沿っている。これに合わせて、そのハウジング40bは略L字形に成形されており、車幅方向に延びる出口パイプ32と、車両前後方向に延びる燃料ホース34とを略直角に連結する。一方、デリバリパイプ26側のコネクタ40のハウジング40bは、略直線的に成形されており、後下方に突出した入口パイプ28と燃料ホース34の前端とを略真っすぐに接続する。
【0015】
以上のような構成を有する本実施形態によれば、エアクリーナ18やスロットルボディ22等を整備するために、図2に示すように、回動軸16Aを支点として燃料タンク16を持上げると、燃料タンク16と共に出口パイプ32も上方に移動するが、コネクタ40が回動軸16Aに近いために移動量が少なく、燃料ホース34が引張られることはない。しかも、コネクタ40が出口パイプ32に対して円周方向に回動自在でかつその回動軸40Aが燃料タンク16の回動軸16Aと略平行であるので、燃料タンク16および出口パイプ32が上方に移動しても、その移動に追従してコネクタ40が出口パイプ32に対し回動する。したがって、本実施形態によれば、燃料タンク16を持上げても燃料ホース34が引張られたり折曲がったりする不具合がないため、エアクリーナ18等の整備に際して燃料ホース34を外しておく必要はない。よって、作業効率の向上が図れる。
【0016】
また、嵌込み式のコネクタ40により、燃料ホース34を出口パイプ32にワンタッチで着脱できるので、図2に示すように、後側のシリンダヘッド42と燃料タンク16の後端との隙間が狭くても、作業者は楽に燃料ホース34の接続作業を行うことができる。また、出口パイプ32の周辺に工具を回すためのスペースを残す必要がなく、出口パイプ32周辺におけるシリンダヘッド42等のレイアウトの自由度も広がる。この効果については、燃料ホース34前端のコネクタ40が接続されるデリバリパイプ26周辺においても同様に得られる。
【0017】
なお、本実施形態は本発明の好適な実施の態様であり、本発明の技術的範囲は本実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、燃料タンク16の後端を支点として燃料タンク16を上方に回動可能としたものであるが、本発明は、燃料タンク16の前端あるいは左右の一側端を支点として回動可能とした自動二輪車に対しても適用可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明によれば、エアクリーナ等の整備に際して、燃料ホースを外す必要がなくなり、作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る自動二輪車の側面図である。
【図2】本実施形態に係るエンジン周辺の側面図である。
【図3】本実施形態に係る燃料タンク周辺の平面図である。
【図4】本実施形態に係る燃料ポンプを図2におけるA方向で見た背面図である。
【図5】本実施形態に係る燃料ホースの全体図である。
【図6】本実施形態に係るコネクタを拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
8 エンジン
16 燃料タンク
16a 底板
16A 回動軸
24 インジェクタ(燃料供給装置に相当)
30 燃料ポンプ
32 出口パイプ
34 燃料ホース
40 コネクタ
40A 回動軸
Claims (1)
- エンジンの上方に設ける燃料タンクの一端を車体に回動自在に支持させ、該燃料タンクを上方に回動可能とし、その燃料タンクの底板に燃料ポンプを配設するとともに、燃料を燃料タンク外部に導出する出口パイプを突設し、前記エンジンの燃料供給装置へ燃料を導く燃料ホースを、前記出口パイプにコネクタを介して接続した自動二輪車において、
前記燃料ポンプの出口パイプを、前記燃料タンクの底部でかつ該燃料タンクの回動軸の近傍に配し、前記燃料ホースを車両前後方向に延出させつつその端部の前記コネクタを前記出口パイプの先端部に対して回動自在に接続し、
燃料タンクを持ち上げ回動させる前の状態での平面視で、出口パイプの先端部を斜めに突出させ、その燃料タンクの底板を貫通する部分に対して出口パイプの先端部を前記燃料タンクの回動軸に近接させると共に、
燃料タンクを持ち上げ回動させる前の状態での前後方向視で、出口パイプに接続するコネクタの回動軸を前記燃料タンクの回動軸と略平行にしたことを特徴とする自動二輪車における燃料ホースの接続構造。
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