JP3586488B2 - パッド付きプラスチック成形品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、コアの所定部にパッドを有するパッド付きプラスチック成形品およびその製造方法に関し、特には、パッドとコアとの合わせ部に、相手物への取り付け後も外部から見られる可視部と、取り付後に相手物によって隠れる非可視部とを有するパッド付きプラスチック成形品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
発泡体表面に表皮が接着したパッドをコアの表面に有するパッド付きプラスチック成形品は、自動車の内装部品、あるいは家具等、各種の分野に用いられている。
たとえば、自動車のインストルメントパネルにあっては、自動車のデザイン等に応じて図14に示すように、コア81の表面にパッド83を部分的に設けたもの、あるいはコアの表面全面にパッドを設けたものが用いられている。
【0003】
前記パッド付きプラスチック成形品としては、従来次のようにして製造されたものが知られている。すなわち、製品部外周にスカート部と称される周縁部を有する表皮を、そのスカート部がキャビティ外周に位置するように分割式成形型の一方の型面に配置し、他方の型面にはコアを配置して前記表皮のスカート部を型面間で挟み、その状態で表皮とコア間で液状発泡原料を発泡させ、その後表皮のスカート部を切除したものが用いられている。なお、前記表皮のスカート部の一部をコアの縁と当接させ、そのコアの縁を介して型面間で挟む場合もある。
【0004】
しかし、前記製造方法による場合は、液状発泡原料が表皮の製品部の縁から外部へ漏出してバリを生じ易く、しかも、前記表皮のスカート部をその後切除(トリミング)しなければならないため後工程に手間取る問題がある。なお、前記液状発泡原料の漏出を防ぐため、スカート部と接するコアの縁表面に弾性シール材を貼着することもあるが、その場合には面倒な弾性シール材貼着作業が必要となる問題がある。
また、その製造方法により得られるパッド付きプラスチック成形品は、表皮の縁が、前記発泡成形時における発泡体の自己接着性により発泡体に接着しているだけであり、表皮の劣化等による収縮で表皮の縁が発泡体から剥離するおそれがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、後加工によって表皮の縁をトリミングする必要がなく、しかも外観の良好なパッド付きプラスチック成形品およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
パッド付きプラスチック成形品の発明は、発泡体が表皮で覆われたパッドをコアの表面に有し、前記パッドとコアとの合わせ部に、相手物への取り付け後も露出する可視部と前記取り付けにより隠れる非可視部とを有するパッド付きプラスチック成形品において、前記コアはパッド設置面と、該パッド設置面周縁の前記可視部と対応する位置に形成された側壁と、前記パッド設置面周縁の前記非可視部と対応する位置に形成された非可視部側端部とを有し、一方、前記パッドの表皮は、縁に側面部を有するとともに該側面部の前記非可視部側に重合用端部を有し、前記重合用端部に外側へ窪む外方突出凹溝が設けられて、該重合用端部と前記コアの非可視部側端部が重なるように前記パッド設置面に被さり、前記パッドの発泡体は、前記表皮とパッド設置面間を満たして当該表皮およびパッド設置面と接着するとともに、前記表皮側面部を前記コアの側壁との間で挟持していることを特徴とする。
【0007】
また、パッド付きプラスチック成形品の製造方法の発明は、発泡体が表皮で覆われたパッドをコアの表面に有し、かつ前記パッドとコアとの合わせ部に、相手物への取り付け後も露出する可視部と前記取り付けにより隠れる非可視部とを有するパッド付きプラスチック成形品を製造する方法において、パッド設置面と、該パッド設置面周縁の前記可視部に対応する位置に形成した側壁と、前記パッド設置面周縁の前記非可視部に対応する位置に形成した非可視部側端部とを有するコアを、分割式成形型の一方の型面に、前記パッド設置面が他方の型面を向くようにして配置し、一方、縁に形成した側面部と、該側面部の前記非可視部側に形成した重合用端部とを有し、前記重合用端部に外側へ窪む外方突出凹溝が形成された表皮を、当該表皮の可視部側側面部が前記コアの側壁と略接し、かつ前記重合用端部がコアの非可視部側端部と対向するようにして他方の型面に配置し、前記表皮の重合用端部とコアの非可視部側端部とを、前記成形型の型面間で挟持し、前記表皮とパッド設置面間で液状発泡原料を発泡させて、生成する発泡体を前記表皮およびコアと一体化することを特徴とする。
【0008】
【実施例】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。
図1はこの発明のパッド付きプラスチック成形品の一実施例の断面図、図2はその可視部側となるコアの側壁とパッドとの合わせ部付近の拡大断面図、図3は同じく非可視部側の拡大断面図である。
【0009】
また、図4はこの発明のパッド付きプラスチック成形品の製造方法の一実施例を示す成形型の断面図、図5は同実施例における発泡途中の成形型の一部を拡大して示す断面図、図6は同実施例における成形型の他部を拡大して示す断面図、図7は液状発泡原料が表皮とコア間に充満した状態の成形型の一部を示す断面図、図8はその成形型の他部を示す断面図である。
さらに図9はこの発明の製造方法の他の実施例を示す成形型の部分断面図、図10はさらに他の実施例の成形型の一部を示す断面図、図11はその成形型の他部を示す断面図、図12はさらに他の実施例を示す成形型の部分断面図、図13は同実施例の成形型の他部を示す断面図である。
【0010】
図1ないし図3に示すこの発明の一実施例のパッド付きプラスチック成形品10は、自動車のインストルメントパネルとして用いられるもので、コア11の一部にパッド21を有し、車体への取り付け後も露出して外部から眺められる可視部31と、前記取り付けによって隠れる非可視部32を、前記パッド21とコア11との合わせ部Aに有するものである。可視部としては、たとえば図14に示したインストルメントパネルにおける88,89が該当し、また非可視部としては、車体前部の側部内面によって隠れるインストルメントパネルの両端90,90、あるいはグローブボックスにより隠れる助手席側端部91が該当する。
なお、以下の説明ではインストルメントパネルを例にして説明するが、この発明の成形品および製造方法はインストルメントパネルに限るものではなく、用途に応じて各種の成形品に適用される。
【0011】
前記コア11は、ABS樹脂(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリプロピレン等の硬質プラスチック、あるいは繊維強化プラスチック等のような形状保持性の高いプラスチックからなり、その所定部がパッド設置面12となっている。パッド設置面12は、パッド21が配置される部分に、成形品のデザイン、用途等に応じた大きさ、形状等で設けられる。
【0012】
前記パッド設置面12周縁の一部には側壁13が形成されている。この側壁13は、前記合わせ部Aの可視部31に対応する位置に設けられる。この側壁13には、パッド21の側面が密着して前記合わせ部Aの可視部31に隙間が生じないようにされている。
【0013】
また、この実施例では、前記合わせ部Aの非可視部32に対応するパッド設置面12の周縁は、パッド21とは反対側へ屈曲して非可視部側端部15を構成している。このコアの非可視部側端部15は、発泡成形品の形状等によってはパッド設置面12の略延長面で構成してもよい。符号16は、液状発泡原料の注入孔である。
【0014】
一方、前記パッド21は、表皮22と発泡体27とよりなる。前記表皮22は、スラッシュ成形等により成形されたプラスチックレザー等からなり、その成形時に形成された側面部23を縁に有し、前記パッド設置面12に蓋をするように被さっている。
前記表皮側面部23には、前記可視部31側となる表皮側面部23aと、非可視部32側となる表皮側面部23bが存在し、その非可視部32側表皮側面部23bの端からは重合用端部25が延びている。この重合用端部25は、発泡体27を成形する際に、前記非可視部32側でコア11と表皮22間から液状発泡原料が漏出するのを防止するためのもので、表皮22の形状、あるいは発泡体27の成形条件等により、表皮側面部23bの端から重合用端部25の先端までが適宜の長さとされる。
【0015】
また、前記発泡体27は、表皮22とパッド設置面12間で発泡成形されたポリウレタン樹脂等よりなり、前記表皮22とパッド設置面12間を満たして表皮22およびパッド設置面12に接着し、前記表皮側面部23aをパッド設置面12の側壁13とで挟持している。
【0016】
前記表皮側面部23aの挟持は、前記表皮22とコア11間における発泡体27成形時における発泡体(液状発泡原料)の体積増および発泡ガスの圧力により、表皮側面部23aがコアの側壁13に押圧され、その状態で発泡体27が硬化することによりなされる。そのため、前記可視部31側の表皮側面部23aとコア11の側壁13との合わせ部が密着し、その合わせ部に隙間を生じないので、外観が損なわれることがない。
【0017】
また、この実施例では、前記コア11の側壁13と発泡体27で挟持される表皮側面部23aには、内側へ窪んだ内方突出凹溝24が形成されている。この内方突出凹溝24によって発泡体27と表皮側面部23aが係合した状態となり、前記接着との相乗効果により表皮側面部23aが確実に発泡体27に固定される。そのため、劣化等による表皮22の収縮によっても表皮側面部23aが発泡体27から剥離するおそれがなくなる。
【0018】
さらに、前記表皮側面部23aの内方突出凹溝24は、このパッド付きプラスチック成形品10の製造時に、前記表皮側面部23aの剛性を高めて、表皮側面部23aに不要な波打ち等を防ぎ、表皮側面部23aとパッド設置面の側壁13間でシール不良を生じるのを防止する作用がある。また、パッド付きプラスチック成形品10の製造時に、表皮側面部23aとパッド設置面の側壁13間に万一発泡体が侵入した場合にも、その侵入発泡体を内方突出凹溝24内に収容して表皮22の表面まで漏出するのを防止する作用もある。
なお、符号26は、前記表皮の重合用端部25に形成された外側へ窪んだ外方突出凹溝で、重合用端部25の剛性を増大させている。
【0019】
このようにしてなるパッド付きプラスチック成形品10は相手物、この実施例では車体に取り付けられる。その際、前記可視部31では表皮側面部23aが発泡体27と側壁13によって挟持され、隙間のない状態となっているため、外観が良好である。一方、前記非可視部32は、図3に示すように相手物品35、この実施例ではグローブボックス、計器盤等によって隠れるため、表皮22の重合用端部25が必要以上に長かったり、表皮22の重合用端部25とコア11の非可視部側端部15間に隙間があっても外観を損なうことがない。
したがって、この構造のパッド付きプラスチック成形品10によれば、発泡体27成形後に可視部側31の表皮端部および、非可視部側32の表皮端部を切除してトリミングする必要がない。
【0020】
次にこの発明の製造方法の実施例について説明する。図4はその製造方法の一実施例を示す成形型の断面図、図5はその発泡途中を示す成形型の部分拡大断面図、図6は同発泡途中における成形型の他の部分の拡大断面図、図7は液状発泡原料が充満した状態の成形型の部分断面図、図8はその成形型の他の部分の断面図である。
【0021】
図4ないし図8に示した成形型40は、分割型41,43よりなり、内部に成形用のキャビティ44を有する。また一方の分割型41には発泡成形装置の注入ノズルNを挿入するためのノズル孔42が形成されている。
前記一方の分割型41の型面には、その型面に設けたクリップ等を利用して前記コア11が配置される。その際、前記コア11のパッド設置面12が他の分割型43側を向くようにされる。また、前記パッド設置面12と対向する他方の分割型43の型面には、前記表皮22がその側面部23をパッド設置面12に向け、かつ前記内方突出凹溝24のある表皮側面部23aをパッド設置面の側壁13側にし、また重合用端部25をコア11の非可視部側端部15に対向させて配置される。
【0022】
なお、前記表皮の重合用端部25が配置される分割型43の型面には、図6からよりよく理解されるようにウレタンエラストマー等の弾性材45が埋設され、その弾性材45表面の凹部46に前記重合用端部25の外方突出凹溝26が嵌まって保持される。
【0023】
そして分割型41,43が閉型される。この閉型により、前記表皮22はパッド設置面12に蓋をするように被さり、また内方突出凹溝24のある可視部側表皮側面部23aが、パッド設置面12の側壁13と略接するようになる。この閉型時および前記表皮22の配置時、表皮側面部23aは内方突出凹溝24により剛性が高くなっており、波打ち等による不規則な隙間を側壁13との間に生じるおそれがない。また、前記閉型により、表皮22の重合用端部25がコア11の非可視部側端部15と重なって、両分割型41,43の型面間で挟持され、シールされる。
【0024】
ついで、前記分割型41のノズル孔42に挿入された注入ノズルNから、ポリウレタン原料等の液状発泡原料Pが、コア11の注入孔16を介してコアのパッド設置面12と表皮22間に注入される。
注入された液状発泡原料Pは、発泡反応により発泡体を形成しながらパッド設置面12と表皮22間を満たす。そして、発泡体(液状発泡原料P)が図5に示す鎖線のように可視部側の表皮側面部23aに到ると、その表皮側面部23aをパッド設置面12の側壁13側へ押圧して、側壁13に圧着させ側壁13と表皮側面部23a間をシールする。その際、前記表皮側面部23aは内方突出凹溝24により波打等が少なくなっているため、側壁13に確実に密着できる。そしてそのシールにより、発泡体が表皮側面部23aと側壁13間から漏出するのが防止され、外観良好な可視部31が得られる。
また、図7に示すように発泡体27が表皮側面部23aと側壁13間に侵入することがあっても、その侵入発泡体27aは表皮側面部23aの内方突出凹溝24に収容され、表皮側面部23aと側壁13間から露出するのが防止される。
【0025】
一方、非可視部32の合わせ部では、表皮22の重合用端部25とコア11の非可視部側端部15が両分割型41,43の型面で挟持され、シールされるため、発泡体の漏出が防がれる。しかも、図8に示すように、表皮22の重合用端部25とコア11の非可視部側端部15間に発泡体27が侵入した場合も、その侵入発泡体27bは重合用端部25に形成された外方突出凹溝26内に収容されるため、発泡体の漏出が防止される。なお、この非可視部側で発泡体が多少漏出してバリ等を形成することがあっても、この非可視部はパッド付きプラスチック成形品の取り付け後に隠れるため、外観上問題となることはない。
したがって、この製造方法によれば、発泡体漏出防止のためのシール材を表皮22またはコア11に貼る必要がなくなり、製造作業が容易になる。
【0026】
そして、前記発泡時に生じる発泡体(液状発泡原料)の自己接着性により発泡体27と表皮22が接着してパッドを形成するとともに、その発泡体27がコア11のパッド設置面12と接着する。
その後、成形型を開いて成形品を取り出せば、図1に示した所望のパッド付きプラスチック成形品10が得られる。
【0027】
得られた成形品10は、前記のように可視部31のコア11とパッド21との合わせ部に、発泡体の漏出および隙間がなく、きわめて外観が良好である。しかも、可視部31側の表皮側面部23aが発泡体27に強固に固着されているため、表皮側面部23aの剥離のおそれがない。さらに、非可視部32側の重合端部25は、パッド付きプラスチック成形品の取り付け後は相手物により隠れるため、長すぎても切除する必要がなく、余分なトリミング作業が不要である。
【0028】
なお、前記表皮22の重合用端部25の外方突出凹溝26には、図9に示すようにガス抜き孔28を円形等の適宜形状および適宜間隔で設けてもよい。そうすれば、発泡原料から発生して表皮22とコア11間に溜まり易い過剰の発泡ガスが、ガス抜き孔28から分割型41,43のパーティング面47を通って効率よく逃げ、ボイド等のない良好な発泡体27を成形することができる。
【0029】
図10には他の例の製造方法を示す。以下、前記実施例と同一部材については同一符号で示す。この実施例では、表皮22側面部23aの内方突出凹溝24と対向するコア51の側壁53に、内外を連通する貫通孔54が形成されている。そのため、前記表皮側面部23aと側壁53間に侵入する発泡体の量が多い場合でも、その侵入発泡体27aが側壁53の貫通孔54を通ってコアの側壁53外へ流出するため、表皮22の可視部側表面へ漏出するのを確実に防ぐことができる。しかも、表皮22とコア51間の余剰の発泡ガスも前記貫通孔54から外部へ効率よく逃がすことができ、発泡体27にボイド等を発生するのを防ぐことができる。
【0030】
また、図11に示すように前記コア51の非可視部側端部55にも、重合用端部25の外方突出凹溝26と対向する位置に、内外を連通する貫通孔56を形成してもよい。そうすれば、前記外方突出凹溝26と非可視部側端部55間に侵入した発泡体27b、およびその表皮22とコア51間の余剰発泡ガスが、前記貫通孔56からコアの非可視部側端部55裏面へ流出するため、良好な成形品を得ることができる。
【0031】
図12に示すさらに他の実施例は、コア61の側壁63に、表皮22側面部23aの内方突出凹溝24と対向する凹溝64を形成したものである。そのため、前記可視部側の表皮側面部23aと側壁63間に侵入する発泡体27aの量が多くても、前記内方突出凹溝24とそれと対向する凹溝64間に形成される大なる空間に、前記侵入発泡体27aを収容することができ、侵入発泡体27aが可視部側の表皮22表面へ漏出するおそれがない。
【0032】
さらに前記側壁63の凹溝64に、側壁63の内外を連通する貫通孔65を設ければ、前記侵入発泡体27aの量がより多くなってもその貫通孔65を通って侵入発泡体27aがコアの側壁63外へ流出するため、表皮22表面に発泡体が漏出するのを防止できる。その場合、表皮22とコア61間の余剰発泡ガスも貫通孔65を通して外部へ逃がすことができる。
【0033】
また、図13に示すように前記コア61の非可視部側端部65においても、表皮の重合用端部25の外方突出凹溝26と対向する凹溝67を設けたり、さらにはその凹溝67に内外を連通する貫通孔66を形成してもよい。そうすれば、前記側壁63の貫通孔65と同様の作用、効果が得られる。
【0034】
なお、前記各実施例においてはパッドをコアの一部に設ける場合について示したが、この発明のパッド付きプラスチック成形品およびその製造方法は、パッドをコアの一側全面に設ける場合にも適用される。その場合、コアの側壁はコアの縁に形成される。また、前記液状発泡原料の注入は、分割型を開いて行なうオープン注入でもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明のパッド付きプラスチック成形品は、可視部となるパッドとコアとの合わせ部において、コアの側壁に表皮側面部が隙間なく密着しており、外観が良好である。また、前記可視部側では表皮側面部がコアの側壁と発泡体とで挟持されて露出せず、一方非可視部側ではコアの非可視部側端部に重なった表皮の重合用端部が、パッド付きプラスチック成形品の取り付け後に相手物に隠れて露出しないため、何等表皮の縁をトリミングすることなく使用できる。
【0036】
また、この発明の製造方法によれば、前記のようにパッドとコアとの合わせ部における可視部の外観が良好で、かつ後工程による表皮のトリミング作業が不要なパッド付きプラスチック成形品を、コア等にシール材を貼ることなく簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のパッド付きプラスチック成形品の一実施例の断面図である。
【図2】その可視部側となるパッド設置面の側壁とパッドとの合わせ部付近の拡大断面図である。
【図3】同じく非可視部側の拡大断面図である。
【図4】この発明のパッド付きプラスチック成形品の製造方法の一実施例を示す成形型の断面図である。
【図5】同実施例における発泡途中の成形型の一部を拡大して示す断面図である。
【図6】同実施例における成形型の他部を拡大して示す断面図である。
【図7】液状発泡原料が表皮とコア間に充満した状態の成形型の一部を示す断面図である。
【図8】その成形型の他部を示す断面図である。
【図9】この発明の製造方法の他の実施例を示す成形型の部分断面図である。
【図10】さらに他の実施例の成形型の一部を示す断面図である。
【図11】その成形型の他部を示す断面図である。
【図12】さらに他の実施例を示す成形型の部分断面図である。
【図13】同実施例の成形型の他部を示す断面図である。
【図14】インストルメントパネル用の一般的なパッド付きプラスチック成形品の斜視図である。
【符号の説明】
11:コア
12:パッド設置面
13:側壁
15:非可視部側端部
21:パッド
22:表皮
23:側面部
23a:可視部側表皮側面部
23b:非可視部側表皮側面部
24:内方突出凹溝
25:重合用端部
26:外方突出凹溝
27 発泡体
31:可視部
32:非可視部
41,43:分割型
Claims (3)
- 発泡体が表皮で覆われたパッドをコアの表面に有し、前記パッドとコアとの合わせ部に、相手物への取り付け後も露出する可視部と前記取り付けにより隠れる非可視部とを有するパッド付きプラスチック成形品において、
前記コアはパッド設置面と、該パッド設置面周縁の前記可視部と対応する位置に形成された側壁と、前記パッド設置面周縁の前記非可視部と対応する位置に形成された非可視部側端部とを有し、
一方、前記パッドの表皮は、縁に側面部を有するとともに該側面部の前記非可視部側に重合用端部を有し、前記重合用端部に外側へ窪む外方突出凹溝が設けられて、該重合用端部と前記コアの非可視部側端部が重なるように前記パッド設置面に被さり、
前記パッドの発泡体は、前記表皮とパッド設置面間を満たして当該表皮およびパッド設置面と接着するとともに、前記表皮側面部を前記コアの側壁との間で挟持していることを特徴とするパッド付きプラスチック成形品。 - 発泡体が表皮で覆われたパッドをコアの表面に有し、かつ前記パッドとコアとの合わせ部に、相手物への取り付け後も露出する可視部と前記取り付けにより隠れる非可視部とを有するパッド付きプラスチック成形品を製造する方法において、
パッド設置面と、該パッド設置面周縁の前記可視部に対応する位置に形成した側壁と、前記パッド設置面周縁の前記非可視部に対応する位置に形成した非可視部側端部とを有するコアを、分割式成形型の一方の型面に、前記パッド設置面が他方の型面を向くようにして配置し、
一方、縁に形成した側面部と、該側面部の前記非可視部側に形成した重合用端部とを有し、前記重合用端部に外側へ窪む外方突出凹溝が形成された表皮を、当該表皮の可視部側側面部が前記コアの側壁と略接し、かつ前記重合用端部がコアの非可視部側端部と対向するようにして他方の型面に配置し、
前記表皮の重合用端部とコアの非可視部側端部とを、前記成形型の型面間で挟持し、前記表皮とパッド設置面間で液状発泡原料を発泡させて、生成する発泡体を前記表皮およびコアと一体化することを特徴とするパッド付きプラスチック成形品の製造方法。 - 請求項2において、表皮の重合用端部の外方突出凹溝と対向する凹溝をコアの非可視部側端部に設けたことを特徴とするパッド付きプラスチック成形品の製造方法。
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