JP3586245B2 - 生体内留置用ステント - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血管、胆管、気管、食道、尿道、その他の臓器などの生体内に生じた狭窄部の改善に使用される生体内留置用ステントに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、血管、胆管、食道、気管、尿道、その他の臓器などの生体管腔または体腔の狭窄部に挿入し、管腔または体腔空間を確保するために、種々のステントが提案されている。
【0003】
ステントは、機能および留置方法によって、セルフエキスパンダブルステントとバルーンエキスパンダブルステントに区別される。バルーンエキスパンダブルステントは、ステント自体に拡張機能はなく、ステントを目的部位に留置するには、ステントを目的部位に挿入した後、ステント内にバルーンを位置させてバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力によりステントを拡大(塑性変形)させ目的部位の内面に密着させて固定する。よって、このタイプのステントでは、上記のようなステントの拡大作業が必要となる。
【0004】
他方、セルフエキスパンダブルステントは、ステント自体が収縮および拡張機能を持っている。ステントを目的部位に留置するためには、ステントを収縮させた状態にて目的部位に挿入した後、収縮状態の維持のために負荷した応力を除去する。例えば、目的部位の内径より小さい外径のチューブ内にステントを収縮させて収納し、このチューブの先端を目的部位に到達させた後、ステントをチューブより押し出すことにより行われる。押し出されたステントは、チューブより解放されることにより応力負荷が解除され、収縮前の形状に復元し拡張する。これにより、目的部位の生体器官(例えば、血管)の内面に密着し固定される。このタイプのステントでは、バルーンエキスパンダブルステントのような拡大作業は必要なく、手技が容易である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ジグザグ構造であることにより復元時に拡径することができ、スパイラル状であることにより、湾曲した狭窄部でもそれに沿って湾曲できる生体内留置用ステントを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するものは、線状体により略円筒形状に形成され、生体内挿入時には圧縮されて縮径し、生体内留置時には収縮前の形状に復元する生体内留置用ステントであって、前記生体内留置用ステントは、長さの異なる短線部と長線部が交互に配置されたジグザグ構造の前記線状体によりスパイラル状に成形されており、かつ、前記生体内留置用ステントは、超弾性金属パイプを加工することにより一体的に形成されている生体内留置用ステントである。
【0007】
前記生体内留置用ステントは、並列的に配置された2本の前記線状体により形成されていることが好ましい。前記2本の線状体は、少なくとも2箇所で連結した状態となっていることが好ましい。前記2本の線状体は、中央部付近で連結した状態となっていることが好ましい。前記2本の線状体は、末端でそれぞれ連結した状態となっていることが好ましい。前記2本の線状体は、それぞれの末端でのみ連結した状態となっていてもよい。前記線状体の表面には、生体適合性金属または生体適合性樹脂が被覆されていることが好ましい。前記生体適合性金属は、例えば、金、銀、白金、チタンのいずれかであることが好ましい。
【0008】
本発明のステントを図面に示した実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の生体内留置用ステントの一実施例の斜視図であり、図2は、図1に示したステントの展開図である。
【0009】
この実施例のステント1は、図1に示すように、ジグザグ構造の線状体2によりスパイラル状に成形されている。このように、ジグザグ構造であることにより復元時に拡径することができ、スパイラル状であることにより、図4に示すように湾曲した狭窄部でもそれに沿って湾曲できる。
【0010】
さらに、ステント1は、超弾性金属パイプを加工することにより一体的に形成されていることが好ましい。具体的には、この実施例のステント1は超弾性金属パイプから、線状体となる部分以外を除去(例えば、切削、溶解)することにより作成することができる。これにより、ステント全体として、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物となる。物性の急激な変更点があると、その部分が他の部分と異なった変形動態を示す。そして、物性の異なった部分に金属ストレスがかかりその部分より破損する危険性がある。また、物性の変更点が存在するとステントとして変形が不自然となり、内部を流れる血液流に不自然な流れを形成し、再狭窄の原因となる。
【0011】
この実施例の生体内留置用ステント1は、図1に示すように、線状体2により略円筒形状に形成され、生体内挿入時には前記線状体が圧縮されて縮径し、生体内留置時には応力負荷が解除されて収縮前の形状に復元する生体内留置用ステントであって、線状体2は中央部3付近が太く、両端部4付近が細く形成されている。
【0012】
この実施例のステント1は、留置する体腔の径により種々考えられるが、主として復元時の外径が2.0〜30mm、好ましくは、2.5〜20mm、内径が1.4〜29mm、好ましくは2.3〜29.4mm、長さが、10〜150mm、より好ましくは15〜100mmの略円筒形状に形成されている。そして、生体内挿入時には圧縮されて縮径し、生体内留置時には応力負荷が解除されて収縮前の形状に復元する。図1は復元した状態を示している。
【0013】
ステント1は線状体2により形成されており、線状体2は中央部3付近が太く、両端部4付近が細く形成されている。つまり、線状体2の断面積は、中央部3付近が大きく、両端部4付近では、中央部3より小さくなっている。このように、本発明のステントは中央部3が剛性が高く、両端部4が柔軟に形成されているので、中央部3は狭窄部を拡張保持するために十分な剛性を有し、両端部4は体腔の湾曲に沿って湾曲できるように柔軟で、内皮細胞を刺激して細胞が過形成し再狭窄が生ずる可能性が少なく、ステント1が狭窄部から逸脱してしまうこともなく安定した留置状態が確保でき、かつ留置作業が容易である。
【0014】
中央部付近での線状体の線径としては、0.10〜1.0mmが好適であり、両端部付近での線状体の線径としては、0.05〜0.8mmが好適である。さらに、中央部付近での線状体の線径と両端部付近での線状体の線径との比は、3〜1が好適であり、特に、2〜1が好適である。また、中央部付近での線状体の断面積としては、0.01〜1mmが好適であり、両端部付近での線状体の断面積としては、0.0025〜0.64mmが好適である。さらに、中央部付近での線状体の断面積径と両端部付近での線状体の断面積との比は、9〜1が好適であり、特に、4〜1が好適である。
【0015】
なお、中央部3と両端部4はそれぞれ一定の線径に形成されていてもよいが、両端部4に向かうにつれて細く、言い換えれば、線径もしくは線の断面積が小さく形成されていることが好ましい。これにより図3に示すような一般的な狭窄部において上記効果をより奏することができる。
【0016】
具体的にはこの実施例の線状体2は、図1のステントを展開した図2に示すように、連続的な「く」の字形状とすることでジグザグ構造となっている。さらに、前記くの字形状を長さの異なる短線部12a(約5mm)と長線部12b(約8mm)により形成することによって、線状体2が全体としてスパイラル形状となるように形成されている。
【0017】
そして、この実施例のステント1のスパイラル形状は、図2に示すように、並列的に配置された2本の線状体により形成されている。このように、スパイラル形状を2本の線状体で形成することにより、図5(a)および(b)に示すように、ステントの軸方向と線状体の螺旋方向とがなす角度αが、スパイラル形状を1本の線状体で形成した場合の角度βより小さく(α<β)することができ、ステントをより柔軟なものとすることができる。並列的に配置する線状体は2本に限定されるものではなく、3〜4本程度であってもよい。
この実施例のステント1を形成する2本の線状体2a,2bは、15aと15b,16aと16b,17aと17b,18aと18b,19aと19bでそれぞれ連結した状態となっている。
【0018】
なお、2本の線状体2a,2bは、少なくとも2箇所で連結していればよい。例えば、線状体2a、2bの末端がそれぞれ一体的に連結していることが好ましい。これにより、自由端が形成されることがないので、末端が体腔(血管)の内壁に損傷を与えることを防止できる。この実施例では、図2に示すように、末端が連結部13に一体的に連結している。
【0019】
さらに、2本の線状体2a,2bは、中央部3付近で連結した状態となっていることが好ましい。具体的には、図2に示すように、線状体2a,2bは中央部付近に交叉部11を有している。このような交叉部11を有することにより拡張保持力をより高めることができる。ただし、交叉部11を設けず、両端でのみ連結していてもよい。
【0020】
線状体2を形成する材料としては、例えばステンレスのワイヤーであってもよいが、好ましくは超弾性金属である。超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜53原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。
【0021】
特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,Bなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。また、上記のTi−Ni−X合金を用いて冷間加工率および/または最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
【0022】
そして、使用される超弾性合金の座屈強度(負荷時の降伏応力)は、好ましくは、8〜150kg/mm、復元応力(除荷時の降伏応力)は、3〜180kg/mm(22℃)、より好ましくは、5〜130kg/mmである。ここでいう超弾性とは、使用温度において通常の金属が塑性変形する領域まで変形(曲げ、引張り、圧縮)させても、変形の解放後、加熱を必要とせずにほぼ元の形状に回復することを意味する。
【0023】
さらに、ステント1は、超弾性金属パイプを加工することにより一体的に形成されていることが好ましい。具体的には、この実施例のステント1は超弾性金属パイプから、線状体となる部分以外を除去(例えば、切削、溶解)することにより作成することができる。これにより、ステント全体として、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物となる。物性の急激な変更点があると、その部分が他の部分と異なった変形動態を示す。そして、物性の異なった部分に金属ストレスがかかりその部分より破損する危険性がある。また、物性の変更点が存在するとステントとして変形が不自然となり、内部を流れる血液流に不自然な流れを形成し、再狭窄の原因となる。
【0024】
なお、ステント1の形成に用いられる超弾性金属パイプは、不活性ガスまたは真空雰囲気にて溶解しTi−Ni合金などの超弾性合金のインゴットを形成し、このインゴットを機械的に研磨し、続いて、熱間プレスおよび押し出しにより、太径パイプを形成し、その後順次ダイス引き抜き工程および熱処理工程を繰り返すことにより、所定の肉厚、外径のパイプに細径化し、最終的に表面を化学的または物理的研磨することにより製造することができる。
【0025】
超弾性金属パイプの加工は、レーザー加工(例えば、YAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工などにより行うことができ、さらにそれらの併用により行ってもよい。このように、超弾性金属パイプを加工することにより作製したステントは、ステントの拡張時(言い換えれば、留置時、応力除荷時)とステントの非留置時(縮径された状態)とを比較した場合、ステントの非留置時にステントの軸方向に若干延びる程度であり、両者間の形状の相違および寸法の相違が少ない。このため、生体内での形状復元時における変形量が少なく、つまり、形状復元時における生体内でのステントの端部の動きがほとんどなく、このため、形状復元時に生体内壁に損傷を与えることが少ない。さらに、ステントの外面は、全体においてエッジがなく面取りされた状態とすることが好ましい。これにより、ステントが生体内壁に損傷を与えることをより防止できる。
【0026】
さらに、線状体2の表面には、生体適合性金属または生体適合性樹脂が被覆されていることが好ましい。
生体適合性材料としては、生体適合性材料を有する合成樹脂または金属が考えられる。
【0027】
合成樹脂としては、熱可塑系または熱硬化系の樹脂から選択できるが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体など)、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素樹脂、シリコーンゴム等が使用でき、好ましくは、ポリオレフィン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルあるいはポリウレタン、また、生体内分解性樹脂(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、両者のコポリマー)である。合成樹脂被膜は、ステントを構成する線状体の湾曲の妨げにならない程度に柔軟であることが好ましい。合成樹脂被膜5の肉厚は、5〜300μm、好ましくは、10〜200μmである。
【0028】
ステントの表面に合成樹脂を薄く被覆する方法としては、例えば、溶融状態または溶液状態の合成樹脂の中に、ステント本体を挿入して被覆する方法、モノマーをステント本体の表面で重合させながら被覆する化学蒸着などがある。極薄な樹脂被覆が要求される場合は、希薄溶液を用いた被覆、または化学蒸着が好適である。
【0029】
さらに、より生体適合性材料を向上させるために、上記樹脂皮膜に抗血栓性材料を被覆または固定してもよい。抗血栓性材料として、公知の各種の樹脂を単独または混合して使用することができるが、例えば、ポリヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートとスチレンの共重合体(例えば、HEMA−St−HEMAブロック共重合体)などが好適に使用できる。
【0030】
生体適合性金属としては、例えば、金、銀、白金、チタンが挙げられる。
線状体2の表面を金属で被覆する方法としては、電気メッキ法を用いた金メッキ、蒸着法を用いたステンレスメッキ、スパッタ法を用いたシリコンカーバイド、窒化チタンメッキ、金メッキなどが考えられる。
【0031】
次に、本発明の一実施例のステントの製造方法について説明する。
本発明のステントの製造方法は、留置される生体内部位に適合した外径を有する超弾性金属パイプを準備する工程と、準備された超弾性金属パイプの側面を線状体を形成する部位以外を除去する工程とが少なくとも行われる。
【0032】
超弾性金属パイプは、不活性ガスまたは真空雰囲気にて溶解しTi−Ni合金などの超弾性合金のインゴットを形成し、このインゴットを機械的に研磨し、続いて、熱間プレスおよび押し出しにより、太径パイプを形成し、その後順次ダイス引き抜き工程および熱処理工程を繰り返すことにより、所定の肉厚、外径のパイプに細径化し、最終的に表面を化学的または物理的研磨することにより製造することができる。
【0033】
そして、超弾性金属パイプの側面を部分的に除去する工程は、例えば、レーザー加工(例えば、YAGレーザー)、放電加工、機械研磨などによる切削加工、または化学エッチングなどにより行うことができる。さらにそれらの併用により行ってもよい。このように、金属パイプの加工によりステントを形成しているので、パイプの外径がそのままステントの外径となり、作成後の寸法精度が高く、生体内に留置したときに作製形状への復帰が確実であり、狭窄部の改善を確実に行うことができる。また、物性の変更点がほとんど形成されない一体物であるため、物性の急激な変更点に蓄積される金属ストレスによる破損、不自然な血液流形成といったことがない。さらに、つなぎ目がないので、溶接やロウ付けといった煩雑な作業が不要である。
【0034】
より具体的には、超弾性金属パイプを部分的に削除する工程では、まず、超弾性金属パイプを放電加工により、加熱熔融させて部分的に除去し、ほぼ目的形状に初期加工する放電加工(一次加工)工程を行い、ステント形成体を作成する。この一次加工時に、ステント形成体の線状体が上述したように中央部では太く、両端部では細くなるように形成する。続いて、放電加工処理したステント形成体のエッジを削りとる面取り工程(二次加工)を行う。面取り工程は、例えば、硬質微粒子を用いたブラスト処理により行われる。そして、放電加工時にステント形成体の周縁に形成された熱変性部分を除去するために、熱変性部分処理工程(三次加工、化学エッチング)を行う。この熱変性部分処理工程は、例えば、フッ酸と硝酸の混合液に少量の過酸化水素液を混合した変性部処理液にブラスト処理したステント形成体を浸漬することにより行われる。なお、化学エッチング(熱変性部分処理工程)によって、バリ取りおよび面取りを同時に行ってもよく、この場合には、ブラスト処理工程は行わなくてもよい。
【0035】
なお、Ni−Ti製超弾性合金により本発明のステントを形成する場合には、上述した一次加工時には、線状体は全体にほぼ同じ太さに形成した後、処理液(例えば、所定の濃度に調整したフッ酸と硝酸の混合液)に両端部を浸漬し、部分的に溶解することにより、両端部付近の線状体を補足する両端部処理工程を行うものとしてもよい。なお、この工程では、それぞれの端部を個々に処理することになる。さらに、上述の処理液に両端部付近を浸漬し、かつ徐々に引き上げることによって端部に向かって徐々に線状体が細くなるように形成してもよい。なお、この両端部処理は、前述したブレード状、メリヤス織り状、多角形の切欠部を有するすべてのステントに応用することができ、また加工も簡単である。
【0036】
また、超弾性金属パイプの加工工程の上記の一次加工は、準備された所定の外径の超弾性金属パイプをレーザー装置(例えば、YAGレーザー装置)によりレーザー加工することにより行うこともできる。このレーザー加工においても、上述の放電加工と同様に、レーザー照射により部分的に加熱熔融させ、ほぼ目的の形状に超弾性金属パイプに加工する。
【0037】
さらに、超弾性金属パイプの加工工程は、以下のようにフォトファブリケーション技術を用いて行ってもよい。
この方法では、まず最初に超弾性金属パイプの内面、外面の脱脂、洗浄を行う。脱脂および洗浄は、例えば、界面活性剤水溶液中への浸漬、RO水中への浸漬、ヘキサンなどの洗浄用有機溶媒中への浸漬により行われる。そして、乾燥させた後、超弾性金属パイプの外面および内面にフォトレジストを塗布する。フォトレジストとしては、ポジ型、ネガ型のいずれでもよく、さらに、UVレジスト、電子線レジスト、X線レジストでもよい。フォトレジストの膜厚としては、0.5〜4μm程度が好適である。そして、フォトレジスト膜のパイプへの密着性を高めるために、80〜90℃程度で加熱処理(プリベーキング)を行う。
【0038】
続いて、超弾性金属パイプの削除部分の形状に対応した模様を有するマスキングフィルム(フォトレジストがポジ型、ネガ型により相違する)を超弾性金属パイプの外面に巻き付け真空密着させた後、露光作業を行う。露光作業は、例えば、超高圧水銀灯を用いて行うことができる。また、この際に全体に確実に照射されるように超弾性金属パイプを回転させながら行うことが好ましい。そして、現像処理を行う。現像処理は、超弾性金属パイプをフォトレジスト現像液に浸漬することにより行われる。続いて、120〜145℃に加熱しポストベーキング処理する。これにより、マスキング工程が終了する。
【0039】
このようにして、超弾性金属パイプの削除部分には、フォトレジストが存在せず、線状体を形成する部分には、硬化したフォトレジストが存在する超弾性金属パイプが作成される。エッジング液にこのステント形成体を浸漬し、削除部分を溶解し除去する。超弾性金属パイプの削除部分はエッジング液に接触するため溶解し、線状体を形成する部分は硬化したフォトレジストによりエッジング液に接触しないため溶解されない。このエッジング液処理により、ステントのほぼ外形をしたステント形成体が作成される。そして、ステント形成体の表面に付着している硬化フォトレジストを除去する。この処理は、硬化フォトレジストを溶解する溶液にステントを浸漬することにより行われる。さらに、ステントの周縁に形成されたバリの除去および面取りのために、上述のようにブラスト処理する。さらに、エッジング液に浸漬し、表面処理を行う。これにより、本発明のステントが作成される。さらに、必要により、ステントに金属メッキまたは樹脂皮膜の形成工程が行われる。
【0040】
次に、本発明のステントの具体的実施例について述べる。
(実施例1)
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径7.5mm、内径7.0mm、肉厚0.25mm、長さ約50mmの超弾性金属パイプを作成した。つぎに、NEC(株)製YAGレーザーSL116E(XYテーブル付き)を用いて、パイプを回転させてレーザー加工を行った。加工条件は電流29A、加工スピード10mm/min、Qスイッチ周波数1KHzにて加工した。そして、ステントの線状体のエッジを面取りするために、粒径15〜30μmのガラスビーズを用いて、圧力2〜3kg/cmにてブラスト処理した。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取りを行なった。さらに、放電加工時に線状体の周縁に形成された熱変性部分の除去を行った。この作業は、フッ酸と硝酸の混合液に少量の過酸化水素液を混合した変性部処理液を準備し、この処理液(約40℃)に上記のようにブラスト処理したステントを約2分間浸漬して、ステントの外面を化学エッチングし、線状体はほぼ断面形状が角のとれた長方形となり、中央部の線状体の線径は0.4mm、断面積は0.092mm[0.4(線径:長方形の横の長さ)×0.23(肉厚:長方形の縦の長さ)]、両端部の線状体の線径が0.3mm、断面積は0.039mm[0.3(線径:長方形の横の長さ)×0.13(肉厚:長方形の縦の長さ)]、線径比(中央部:両端部)=1.3:1、断面積比(中央部:両端部)=2.4:1である本発明の生体内留置用ステントを作製した。
この実施例のステントの中央部と左右両端部をプッシュプルゲージにて2mm押し込んだ時の反発力を測定したところ、中央部は370g、左右両端部は150gであっり、応力付加をやめると作成形状に復元した。このステントは、心臓冠動脈の狭窄改善に使用される。
【0041】
(実施例2)
実施例1のステントを用いて、その生体適合性を高めるために表面全体を金メッキした。金メッキは、スルファミン酸系メッキ浴(徳力本店株式会社製、商品名オーロフレックスTI)を約40℃に加温し、シアン金カリウムを溶解し、このメッキ浴中に、実施例2のステントを浸漬した。これにより、ステントの表面には、1.8μmの非光沢の金メッキ層が形成された。このステントも、実施例1と同様に冠動脈の狭窄改善に使用される。
【0042】
【発明の効果】
本発明のステントは、ジグザグ構造の線状体によりスパイラル状に成形されている。このように、ジグザグ構造であることにより復元時に拡径することができ、スパイラル状であることにより、図4に示すように湾曲した狭窄部でもそれに沿って湾曲できる。
さらに、ステントは、超弾性金属パイプを加工することにより一体的に形成されている。具体的には、この実施例のステントは超弾性金属パイプから、線状体となる部分以外を除去(例えば、切削、溶解)することにより作成することができる。これにより、ステント全体として、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物となる。物性の急激な変更点があると、その部分が他の部分と異なった変形動態を示す。そして、物性の異なった部分に金属ストレスがかかりその部分より破損する危険性がある。また、物性の変更点が存在するとステントとして変形が不自然となり、内部を流れる血液流に不自然な流れを形成し、再狭窄の原因となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の生体内留置用ステントの一実施例の斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した生体内留置用ステントの展開図である。
【図3】図3は、体腔内の狭窄部の一般的形態を示す断面概略図である。
【図4】図4は、本発明の生体内留置用ステントの一実施例の効果を説明するための説明図である。
【図5】図5は、本発明の生体内留置用ステントの一実施例の効果を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 生体内留置用ステント
2 線状体
3 中央部
4 両端部

Claims (8)

  1. 線状体により略円筒形状に形成され、生体内挿入時には圧縮されて縮径し、生体内留置時には収縮前の形状に復元する生体内留置用ステントであって、前記生体内留置用ステントは、長さの異なる短線部と長線部が交互に配置されたジグザグ構造の前記線状体によりスパイラル状に成形されており、かつ、前記生体内留置用ステントは、超弾性金属パイプを加工することにより一体的に形成されていることを特徴とする生体内留置用ステント。
  2. 前記ステントは、前記超弾性金属パイプから、前記線状体となる部分以外を除去することにより作成されたものである請求項1に記載の生体内留置用ステント。
  3. 前記生体内留置用ステントは、並列的に配置された2本の前記線状体により形成されている請求項1または2に記載の生体内留置用ステント。
  4. 前記2本の線状体は、少なくとも2箇所で連結した状態となっている請求項3に記載の生体内留置用ステント。
  5. 前記2本の線状体は、中央部付近で連結した状態となっている請求項3に記載の生体内留置用ステント。
  6. 前記2本の線状体は、末端でそれぞれ連結した状態となっている請求項3に記載の生体内留置用ステント。
  7. 前記2本の線状体は、それぞれの末端でのみ連結した状態となっている請求項3に記載の生体内留置用ステント。
    生体内留置用ステント。
  8. 前記線状体の表面には、生体適合性金属または生体適合性樹脂が被覆されている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
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