JP3754052B2 - 生体内留置用ステント - Google Patents
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まず、コイル状、ロール状、高次コイル状、板バネコイル状のものでは、生体内に挿入されるとステントは拡張し、このときに、端部、例えば、コイルの両端部、ロールの側面端部が移動する。つまり、縮径した状態から基本形状に復帰するためは、コイル状のものは長さが短くなり、これにつられてコイルの端部の距離も短くなる。ロール状のものでは長さは変わらないが側面端部間の距離が変動する。ステントは、シースより放出された状態で生体内に露出し、上記のステントの端部の移動が生体管腔または体腔の内面に接触した状態にて生じることが多く、生体内面に損傷を与える危険性がある。そして、与えられた損傷より再び狭窄を起こす可能性が高い。
該生体内留置用ステントは、超弾性金属パイプを準備する工程と、準備された超弾性金属パイプの側面を切削加工により部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程と、該側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程の後の面取り工程と、該面取り工程の後に、切削加工により形成された熱変性部分を除去する熱変性部分処理工程が行われることにより製造されている。
また、本発明のステントは、超弾性金属パイプの側面を部分的に切削除去することにより、前記切欠部または前記開口が形成されており、さらに、該ステントは、全体においてエッジがなく面取りされた状態となっているとともに前記切削加工時に形成された熱変性部分が除去されている。
そして、前記ステントは、前記切欠部または開口を備える第1のフレーム体と、前記切欠部または開口を備える第2のフレーム体と、該第1のフレーム体と該第2のフレーム体を接続する接続フレームを備えていることが好ましい。
図1は、本発明のステントの一実施例の平面図である。
本発明のステント1は、生体挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に形成されている。そして、円筒体2の側面に形成された複数の切欠部または複数の開口により構成された応力負荷時に外径が縮径する方向への変形を補助する変形補助機能を有している。さらに、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されている。
この実施例のステント1は、円筒状フレーム体2と、この円筒状フレーム2を構成するフレーム6a,6bにより区画(囲撓)された開口4およびフレーム6aにより区画された切欠部5を有しており、フレーム2は両端部3a,3bを有している。そして、このステント1、言い換えればフレーム体2の全体は、超弾性金属により形成されており、接続部などの物性の急激な変更点が形成されないように一体に形成されている。
そして、ステント1は、外径が2.0〜30mm、好ましくは、2.5〜20mm、内径が1.4〜29mm、好ましくは1.6〜29.4mmのものであり、長さは、10〜150mm、より好ましくは15〜100mmである。
そして、ステント1は、例えば、超弾性金属パイプを用いて、切欠部および開口となる部分を除去(例えば、切削、溶解)することに作成され、これにより、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物となっている。物性の急激な変更点があると、その部分が他の部分と異なった変形動態を示す。そして、物性の異なった部分に金属ストレスがかかりその部分より破損する危険性もある。また、物性の変更点が存在するとステント全体として変形が不自然となり、内部を流れる血液流に不自然な流れを形成し、再び狭窄の原因となる。しかし、本発明のステントでは、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物により形成されているので、上記のような問題はない。
そして、この超弾性金属パイプへの切欠部または複数の開口の形成は、レーザー加工(例えば、YAGレーザー)、放電加工、化学エッチング、切削加工などにより行うことができ、さらにそれらの併用により行ってもよい。
次に、図2に示す実施例のステントについて説明する。
このステント10は、比較的長い部分にわたり狭窄部が形成された場合または狭窄部が形成された血管が蛇行または湾曲している場合に使用される。形状は、図1に示したステントを2つフレーム6cにより接続した形状となっている。そして、このステント10も上述の物と同様に、急激な物性の変更点が形成されない一体形成物により形成されている。
本発明のステントの製造方法では、留置される生体内部位に適合した外径を有する超弾性金属パイプを準備する工程と、準備された超弾性金属パイプの側面を部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程を少なくとも有している。
この方法では、まず最初に超弾性金属パイプの内面、外面の脱脂、洗浄を行う。脱脂および洗浄は、例えば、界面活性剤水溶液中への浸漬、RO水中への浸漬、ヘキサンなどの洗浄用有機溶媒中への浸漬により行われる。そして、乾燥させた後、超弾性金属パイプの外面および内面にフォトレジストを塗布する。フォトレジストとしては、ポジ型、ネガ型のいずれでもよく、さらに、UVレジスト、電子線レジスト、X線レジストでもよい。フォトレジストの膜厚としては、0.5〜4μm程度が好適である。そして、フォトレジスト膜のパイプへの密着性を高めるために、80〜90℃程度で加熱処理(プリベーキング)を行う。
さらに、必要により、ステントに金属メッキまたは樹脂皮膜の形成工程が行われる。
(実施例1)
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径7.8mm、内径7.0mm、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作成した。そして、ソルディック株式会社製NC放電加工機(A3R回転ヘッド付き)を用いて、可動側に超弾性金属パイプをセットし、固定側に加工金型をセットして、図1に示すような形状のステントを作成した。なお、放電加工においては、加工電流2A、サーボ電圧3〜4Vにて行った。この状態において、図1に示すフレーム6aの幅は、0.45mmであった。そして、ステントのフレームのエッジを面取りするために、粒径15〜30μmのガラスビーズを用いて、圧力2〜3kg/cm2にてブラスト処理した。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取りが行われ、その結果、図2に示すフレーム6aの幅は、0.40mmとなった。
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径4.2mm、内径3.6mm、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作成した。そして、YAGレーザー装置[ミヤチテクノス株式会社製、ML−4140A]を用いて、レーザー加工した。加工は、超弾性金属パイプ内に外径3.6mm、長さ100mmのステンレス製心棒を挿入し、レーザー照射条件(電流16A、照射速度10mm/min)]にて、2回繰り返して行い、図2に示すような2つのステントが連続した形状のステント形成体を作成した。このステント形成体の平均線径は0.35ミリであった。そして、ステント形成体のフレームのエッジを面取りするために、粒径15〜30μmのガラスビーズを用いて、圧力2〜3kg/cm2にてブラスト処理した。このブラスト処理によりバリ取りおよび面取りが行われ、その結果、ステントのフレームの平均線径は、0.31mmとなった。
実施例2のステントを用いて、その生体適合性を高めるために表面全体を金メッキした。金メッキは、スルファミン酸系メッキ浴(徳力本店株式会社製、商品名オーロフレックスTI)を約40℃に加温し、シアン金カリウムを溶解し、このメッキ浴中に、実施例2のステントを浸漬した。これにより、ステントの表面には、1.8μmの非光沢の金メッキ層が形成された。このステントも、実施例2と同様に冠動脈の狭窄改善に使用される。
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径4.2mm、内径3.6mm、長さ約15mmの超弾性金属パイプを作成した。この超弾性金属パイプを、最初に界面活性剤水溶液に浸漬し、続いて、RO水に浸漬し、乾燥させた後、ヘキサン中に浸漬し、脱脂処理および洗浄処理した。
2 円筒状フレーム体
2a,2b フレーム体
3a,3b 両端部
6a,6b、6c フレーム
4 開口
5 切欠部
10 ステント
30 ステント
40 ステント
Claims (8)
- 生体挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に形成されており、さらに、側面に形成された複数の切欠部または複数の開口により構成された応力負荷時に外径が縮径する方向への変形を補助する変形補助機能を有し、かつ、全体において物性の急激な変更点が形成されることなく一体に形成されている生体内留置用ステントであって、
該生体内留置用ステントは、超弾性金属パイプを準備する工程と、準備された超弾性金属パイプの側面を切削加工により部分的に除去して、側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程と、該側面に複数の切欠部または複数の開口を形成する工程の後の面取り工程と、該面取り工程の後に、切削加工により形成された熱変性部分を除去する熱変性部分処理工程が行われることにより製造されたことを特徴とする生体内留置用ステント。
- 前記開口は、円形または多角形である請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記開口は、ステントの軸方向がステントの軸と直交する方向より長い楕円または多角形である請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記切欠部は、半円形または多角形である請求項1に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントの表面には、生体適合性金属または生体適合性樹脂が被覆されている請求項1ないし4のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記生体適合性金属は、例えば、金、銀、白金、チタンのいずれかである請求項5に記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、前記切欠部または開口を備える第1のフレーム体と、前記切欠部または開口を備える第2のフレーム体と、該第1のフレーム体と該第2のフレーム体を接続する接続フレームを備えている請求項1ないし6のいずれかに記載の生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、超弾性金属パイプの側面を部分的にレーザー加工により除去することにより、前記切欠部または前記開口が形成されており、さらに、該ステントは、全体においてエッジがなく面取りされた状態となっているとともに前記レーザー加工時に形成された熱変性部分が除去されている請求項1に記載の生体内留置用ステント。
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