JP4542360B2 - 自己拡張型生体内留置用ステント - Google Patents
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これらのうち、特に接続部の形状に注目した場合、例えば特表2001−526562号公報(特許文献1)、国際公開公報WO9830172(特許文献2)のように、接続部を渦巻き状やS字状に湾曲させたもの、あるいは国際公開公報WO9830173(特許文献3)のように直線的な接続部を設けたもの、さらには米国特許第6,299,635号明細書(特許文献4)のように、直線的な接続部とV字状の接続部を有するものがある。
渦巻き状やS字状の接続部を有するステントは、ステント全体を湾曲させたときの柔軟性に富むという特徴があるが、その一方で接続部の差し渡し長さ(ステント長軸方向の長さ)が長くなりカバレッジが低下しやすい。また、ステントをデリバリーにマウントするときに、接続部が過大に変形し、その部分に不要な歪みが集中する可能性が高い。また、その変形具合は、接続部ごとに異なり、マウントした状態で接続部の形が不揃いになるという不具合が生じることがあった。また、接続部が、深いU字やV字型でも同様な不都合が生じていた。
一方、直線的な接続部では、これらの不都合は生じにくいものの、ステントを湾曲させたときに接続部の柔軟性がやや劣ることがあった。また、曲線的な接続部と比較して、多少なりともカバレッジが低下することは避けられなかった。
本発明は、従来技術のかかる課題を解決し、ジグザグ状の波状環状体の適切な形状を与え、かつ接続部の歪み集中が生じにくい自己拡張型生体内留置用ステントを提供するものである。
(1) 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には縮径され、生体内留置時には縮径前の形状に復元可能な自己拡張型生体内留置用ステントであって、該ステントは、応力負荷時に外径が縮径する方向への変形が可能な複数の波状環状体と、該複数の波状環状体を隣り合う前記波状環状体の谷部と山部が近接するようにステントの軸方向に配列した状態にて接続する接続部とを備え、前記波状環状体は、ステントを縮径させたとき、該ステントの中心軸とほぼ平行となる多数の支柱部と、隣り合う支柱部を連結するループ部とを有し、前記接続部は、隣り合う前記波状環状体の前記ループ部である谷部と近接する前記波状環状体の前記ループ部である山部を接続するとともに、直線的でなく、緩やかなカーブを描く概ね円弧状に湾曲した形状であり、かつ、該接続部の中央の点から、該接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さをD、該対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さをBとしたとき、0.12<D/B<0.8であり、かつ、該接続部の幅は、前記支柱部の幅および前記ループ部の幅より広いものである自己拡張型生体内留置用ステント。
(2) 前記各環状体における前記支柱部のステント縮径時の軸方向の長さL(mm)と前記各環状体における前記支柱部の数Nとの比N/Lが、7.8<N/L<15.4である上記(1)に記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
(3) 前記接続部は、単一の曲率を有する円弧状である上記(1)または(2)に記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
(5) 前記ステントは、生体内挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に一体に形成されているものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
(6) 前記接続部は、隣り合う前記環状体間に2以上設けられている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
そして、前記各環状体における前記支柱部のステント縮径時の軸方向の長さL(mm)と前記各環状体における前記支柱部の数Nとの比N/Lが、7.8<N/L<15.4であれば、ジグザグ状の波状環状体は、十分な血管拡張力を発揮する。
図1は、本発明の実施例のステントの斜視図である。図2は、図1に示したステントの展開図である。図3は、図1に示したステントを縮径させた状態のステントの展開図である。図4は、本発明のステントを説明するための部分拡大図である。図5は、本発明のステントを説明するための部分拡大図である。
また、環状体のステントの軸方向の長さ(非縮径時)は、1〜2.5mm、より好ましくは、1.6〜2.2mmである。また、ステント1における環状体2の数は、長さによって上限はないが、3〜60、より好ましくは5〜55である。
また、支柱部の幅(F)は、0.03〜0.2mm、より好ましくは0.08〜0.12mmである。また、ループ部を構成する線状体の幅は、0.03〜0.2mm、より好ましくは、0.08〜0.12mmである。
また、対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さBは、0.1〜3.0mmが好ましく、接続部3が接続されている互いに対向するループ部22の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDは、0.1〜1.0mmが好ましく、特に、0.2〜0.9mmが好ましい。
さらに、この実施例のステント1のように、X線不透過材料製マーカー5を設けることが好ましい。X線不透過材料製マーカー5は、ステントの端部側に設けることが好ましい。特に、両端部側にそれぞれ設けることが好ましい。具体的には、図1ないし図3に示すように、両端側にそれぞれ複数のX線不透過材料製マーカー5を設けることが好ましい。
このようなマーカーは、例えば、ステントに形成された小開口に、この小開口より若干小さい部分と大きい部分を有するX線造影用物質の円盤状部材を配置し両面より押圧して、リベット状にかしめることにより取り付けられることが好ましい。
超弾性金属としては、超弾性合金が好適に使用される。ここでいう超弾性合金とは一般に形状記憶合金といわれ、少なくとも生体温度(37℃付近)で超弾性を示すものである。特に好ましくは、49〜54原子%NiのTiNi合金、38.5〜41.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(X=Be,Si,Sn,Al,Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金等の超弾性金属体が好適に使用される。特に好ましくは、上記のTiNi合金である。また、Ti−Ni合金の一部を0.01〜10.0%Xで置換したTi−Ni−X合金(X=Co,Fe,Mn,Cr,V,Al,Nb,W,B、Au,Pdなど)とすること、またはTi−Ni合金の一部を0.01〜30.0%原子で置換したTi−Ni−X合金(X=Cu,Pb,Zr)とすること、また、冷間加工率または/および最終熱処理の条件を選択することにより、機械的特性を適宜変えることができる。
この実施例のステント10においても、接続部3は、概ね円弧状に湾曲するとともに、接続部3の幅(E)は、支柱部21の幅(F)より広いものとなっている。さらに、各環状体2における支柱部21のステント縮径時の軸方向の長さL(mm)と各環状体2における支柱部21の数Nとの比N/Lが、7.8<N/L<15.4であることが好ましい。そして、接続部3は、単一の曲率を有する円弧状であって、接続部3の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さをD、該対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さをBとしたとき、0.1<D/B<1となっていることが好ましい。
筒状カバー7としては、図7に示すように、筒状にあらかじめ形成されたものが好適であるが、帯状のものをステントに巻き付けて全体として筒状に形成したものでもよい。あらかじめ筒状に形成されたものとしては、チューブ状に接続部がなく形成されたものが好適であるが、帯状のものを巻いて端部を熱融着して筒状としたもの、また、帯状のものをスパイラルに巻いて筒状としたもの、シリコーン樹脂溶液にステントを浸漬した後、引き上げることにより筒状のシリコーン膜を形成したものなどでもよい。この実施例では、チューブ状に接続部がなく形成されたものが用いられている。
筒状カバー7としては、多孔質膜であってもよい。多孔質膜の空孔率としては、25〜80%程度のものが好適であり、細孔径は0.1〜10μm程度のものが好適である。上記の空孔率の範囲内であれば、筒状カバーとしての物性に問題がない。多孔質膜の具体例としては、例えば、PTFE系の商品名ポアフロン(住友電気工業株式会社製)、商品名ミクロテックス(日東電工株式会社製)、商品名ゴアテックス(ゴアテックスジャパン株式会社製)などが使用できる。また、多孔質を用いることにより、膜そのものが非常に柔軟になり、屈曲した体腔に沿って曲がり、また、ステントの拡張力に影響を与えない。
上記説明では、ステントの外側から筒状カバーを固着しているが、筒状カバーは、ステントの側壁を封鎖できればよく、筒状カバーをステント内に挿入して、ステントの内側(内面側)にカバーを固着したものでもよい。
(実施例1)
TiNi合金(51原子%Ni)の合金パイプを冷間加工して、外径約1.6mm、内径約1.1mm、長さ約1000mmの超弾性金属パイプを作製した。そして、金属パイプを軸がぶれないようにファスナー機構の付いた回転モーター付治具にセットし、さらにこれを数値制御可能なXYテーブル上にセットした。そして、XYテーブルおよび回転モーターをパーソナルコンピュータに接続し、パーソナルコンピュータの出力が、XYテーブルの数値制御コントローラーおよび回転モーターに入力されるものとした。パーソナルコンピュータ内には図面ソフトが記憶されており、ここに図2に示すような構図のステントの展開図面を入力した。このような構成により、パーソナルコンピュータより出力される図面データに基づいて、XYテーブルおよび回転モーターが駆動する。
このようにして金属パイプにレーザーを照射することにより、図2のような展開図を有する形状のステント基材を作製した。
上記金属パイプのレーザー加工条件としては、電流値25A,出力1.5W、駆動スピード200mm/分にて行った。そして、上記のステント基材に内面研削加工,ブラスト処理を施した後、化学研磨液を加温したものに、約2分間浸漬し、面取り(バリ取り、化学研磨)を行った。
目的とする形状に成形したステント基材は,このあと適宜,化学研磨工程と電解研磨工程を経て,表面を平滑にし,かつ金属光沢を付与する工程を施した。
このようにして作製したステントは、外径約10mm、全長60mm、肉厚0.2mm、各環状体における支柱部の数Nが24、環状体の長さが2.6mm、環状体の支柱部のステント縮径時の軸方向の長さLが2.86mm、N/L=24/2.86≒8.39(インチ単位による演算値213.1)、支柱部の幅0.11mm、ループ部を構成する線状体の幅、0.11mm、接続部は単一の曲率を有する円弧状のものであり、接続部のステントの軸方向の長さ(対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さ)Bが1.0mm、接続部の幅が0.13mm、接続部の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDが0.254mm、D/Bが0.254であった。
このステントは、十分な拡張力を有するとともに、接続部に歪みの集中が生じにくいものであった。
実施例1と同様にステントを作成した。作製したステントは、外径約8mm、全長40mm、肉厚0.2mm、各環状体における支柱部の数Nが30、環状体の長さ1.7mm、環状体の支柱部のステント縮径時の軸方向の長さLが2.10mm、N/L=30/2.1≒14.3(インチ単位の演算値:362)、支柱部の幅0.11mm、ループ部を構成する線状体の幅、0.11mm、接続部は単一の曲率を有する円弧状のものであり、接続部のステントの軸方向の長さ(対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さ)Bが2.0mm、接続部の幅が0.14mm、接続部の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDが0.254mm、D/Bが0.127であった。
このステントは、十分な拡張力を有するとともに、接続部に歪みの集中が生じにくいものであった。
実施例1と同様にステントを作成した。作製したステントは、外径約8mm、全長40mm、肉厚0.2mm、各環状体における支柱部の数Nが30、環状体の長さ1.8mm、環状体の支柱部のステント縮径時の軸方向の長さLが3.0mm、N/L=30/3.0=10(インチ単位の演算値:346)、支柱部の幅0.11mm、ループ部を構成する線状体の幅、0.11mm、接続部は単一の曲率を有する円弧状のものであり、接続部のステントの軸方向の長さ(対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さ)Bが2.0mm、接続部の幅が0.12mm、接続部の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDが1.0mm、D/Bが0.5であった。
このステントは、十分な拡張力を有するとともに、接続部に歪みの集中が生じにくいものであった。
実施例1と同様にステントを作成した。作製したステントは、外径約10mm、全長60mm、肉厚0.2mm、各環状体における支柱部の数Nが24、環状体の長さ1.8mm、環状体の支柱部のステント縮径時の軸方向の長さLが2.28mm、N/L=24/3.10≒7.74(インチ単位の演算値:196.6)、支柱部の幅0.12mm、ループ部を構成する線状体の幅、0.12mm、接続部は単一の曲率を有する円弧状のものであり、接続部のステントの軸方向の長さ(対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さ)Bが3.0mm、接続部の幅が、0.10mm、接続部の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDが0.254mm、D/Bが0.085であった。
このステントを管腔臓器を模したチューブ内に挿入し、湾曲させたところ、わずかな湾曲量における接続部でのキンクが見られた。
実施例1と同様にステントを作成した。作製したステントは、外径約10mm、全長60mm、肉厚0.2mm、各環状体における支柱部の数Nが24、環状体の長さ2.4mm、環状体の支柱部のステント縮径時の軸方向の長さLが3.2mm、N/L=24/3.2=7.5(インチ単位の演算値:190)、支柱部の幅0.10mm、ループ部を構成する線状体の幅、0.10mm、接続部は単一の曲率を有する円弧状のものであり、接続部のステントの軸方向の長さ(対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さ)Bが1.0mm、接続部の幅0.08mm、接続部の中央の点から、接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さDが3.0mm、D/Bが3.0であった。
このステントを管腔臓器を模したチューブ内に挿入し、湾曲させたところ、チューブの湾曲に対する追従性が悪く、ステントとチューブ間に隙間が生じた。接続部の端部でのキンクが生じやすく、また、環状体のガバレッジが低く、十分な拡張力が期待できない可能性があるものと思われる。
2 環状体
3 接続部
21 支柱部
22 ループ部
Claims (6)
- 略円筒形状に形成され、生体内挿入時には縮径され、生体内留置時には縮径前の形状に復元可能な自己拡張型生体内留置用ステントであって、該ステントは、応力負荷時に外径が縮径する方向への変形が可能な複数の波状環状体と、該複数の波状環状体を隣り合う前記波状環状体の谷部と山部が近接するようにステントの軸方向に配列した状態にて接続する接続部とを備え、前記波状環状体は、ステントを縮径させたとき、該ステントの中心軸とほぼ平行となる多数の支柱部と、隣り合う支柱部を連結するループ部とを有し、前記接続部は、隣り合う前記波状環状体の前記ループ部である谷部と近接する前記波状環状体の前記ループ部である山部を接続するとともに、直線的でなく、緩やかなカーブを描く概ね円弧状に湾曲した形状であり、かつ、該接続部の中央の点から、該接続部が接続されている互いに対向するループ部の頂点同士を結ぶ線に下ろした垂線の足の長さをD、該対向するループ部の頂点同士を結ぶ線分の長さをBとしたとき、0.12<D/B<0.8であり、かつ、該接続部の幅は、前記支柱部の幅および前記ループ部の幅より広いものであることを特徴とする自己拡張型生体内留置用ステント。
- 前記各環状体における前記支柱部のステント縮径時の軸方向の長さL(mm)と前記各環状体における前記支柱部の数Nとの比N/Lが、7.8<N/L<15.4である請求項1に記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、単一の曲率を有する円弧状である請求項1または2に記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、X線造影マーカーを有し、該X線造影マーカーはステント両端に突出させずに、ステント長軸方向に対して最端の前記環状体より中央側に設けられているものである請求項1ないし3のいずれかに記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
- 前記ステントは、生体内挿入前および生体内挿入後のいずれにおいても超弾性を示す超弾性金属により略円筒形状に一体に形成されているものである請求項1ないし4のいずれかに記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
- 前記接続部は、隣り合う前記環状体間に2以上設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の自己拡張型生体内留置用ステント。
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