JP3586155B2 - 植物汁の製造方法及び植物汁並びに植物汁含有飲食物 - Google Patents

植物汁の製造方法及び植物汁並びに植物汁含有飲食物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、飲食物に含有する植物汁及びこの製造方法、並びにこれらを利用した植物汁含有飲食物に関するものであって、特に健康に悪影響をもたらす硝酸イオンを選択的に低減させた植物汁、この製造方法並びに植物汁含有飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビタミン類、ミネラル、食物繊維等が多く含まれている植物は、栄養性や健康への寄与が期待される。このため、これらの植物成分を容易かつ大量に摂取すべく、植物から汁液を得、これを飲食物に加工することが従来から行われてきた。
【0003】
ところで、植物はその成長において栄養源として硝酸イオンを土壌から吸収し代謝消費しているが、植物の種類によってはこの硝酸イオンを組織内に多量に蓄積するものがある。この硝酸イオンは、人間が摂取すると体内において健康上好ましくない成分である亜硝酸やニトロソ化合物の生成に関与することが知られている。このため、その影響を軽減する上で食品中から硝酸の低減を図る必要がある。
【0004】
硝酸イオンを低減化する方法としては、イオン交換法、電気透析法、逆浸透膜濾過法等が考えられるが、これらの中で電気透析法及び逆浸透膜濾過法は、硝酸イオン除去効率が低いばかりか、硝酸除去時に陽イオンとして存在するミネラル等も除去されるため有益成分の低下及び嗜好性の極端な低下などが起こってしまう。また、設備にかかるコストも大きいなど様々な課題を有している。これに対し、イオン交換法は、硝酸イオン除去効率が高く、ミネラルなどの減少も起こらない上、設備コストも比較的低く収まると言った有利な点を有している。そこで、本発明は、イオン交換法によって植物汁中の硝酸イオンの低減を図る方法に着目することとした。
【0005】
従来、イオン交換法によって植物汁の硝酸イオンの低減を図った例としては、人参の搾汁液に対し陰イオン交換樹脂処理する方法が開示されている(「人参ジュースの製造方法,(特開昭59−31678)号」)。
この発明では、イオン交換処理に陰イオン交換樹脂体を用いることで優れた硝酸イオン除去効果を得ているが、その反面、嗜好性、特に味の点で処理後に大きく変化してしまうという問題があることが分かった。
【0006】
また、「青汁又はその乾燥粉末及びその製造方法(特開平4−341153)」および「青汁又はその乾燥粉末(特開平5−7471)」にも、対象をイネ科植物に限定してはいるものの、イオン交換樹脂やイオン交換膜等を用いた脱塩処理により硝酸イオン濃度の低減を図る方法が開示されている。しかし、これらの発明によるイオン交換処理法は、処理後の味が処理前の味に比べて大幅に変化する課題があり、我々が対象としている植物汁に応用すると、嗜好性の低下が生じてとても飲食物に利用可能な植物汁とはならないものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
これより本発明は、イオン交換処理法により植物汁の硝酸濃度を低減する植物汁の製造方法において、優れた硝酸イオン除去効果を利用して硝酸イオン濃度の低減化を図りつつ、しかも嗜好性及びミネラル等の有益成分の濃度を低下させない植物汁の製造方法を開発すると共に、これにより嗜好性および健康上好ましい植物汁並びにこれを利用した飲食物を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、先ずイオン交換処理後の嗜好性の低下原因について鋭意研究した。その結果、硝酸除去後の陰イオン組成の極端な変化、特に無機陰イオン成分と有機酸の2種類の成分の大幅な増減が嗜好性の低下に大きく影響していることを見出した。すなわち、従来、植物汁液を陰イオン交換体に接触処理させる場合には、イオン交換基に水酸イオン単独、無機陰イオン単独、或いは有機酸単独でイオン結合しているイオン交換体が用いられてきたが、水酸イオンのみがイオン結合しているイオン交換体を用いた場合には、処理された植物汁液サンプル中の無機陰イオンと有機酸が大幅に減少すると共に酸度低下に伴うpHの上昇などが発生し、味の本質的な構成が大きく崩れて嗜好性が大幅に低減することが分かった。更にこの場合、陰イオン交換体由来のアミン臭が混入することがあり、不快臭として残ることが分かった。このことは、特開平9−225号にも同様のことが記載されており、嗜好性低下を更に増長させるものである。また、無機陰イオンのみがイオン結合しているイオン交換体例えば塩素だけが結合しているイオン交換体を用いた場合には、処理されたサンプル中の塩素以外の無機陰イオンと有機酸がそれぞれ塩素イオンに交換され、塩素イオン濃度の大幅な上昇が生じて塩味が強くなると共に塩辛さが目立つ味になり、味の本質的な構成が大きく崩れて嗜好性が大幅に低減する結果となることが分かった。また、有機酸のみがイオン交換結合しているイオン交換体を用いた場合は、処理されたサンプルの無機陰イオンが有機酸に変換されるため、サンプルの味における塩味が無くなると共にコクも無くなり、薄く希薄な味になることが分かった。
そこで本発明者は、これらの知見に基づいて植物汁からの硝酸イオンの低減化を図りつつ、嗜好性、並びにミネラル等の健康上の有益成分を維持してすることが可能な植物汁の製造方法の開発を達成すべく鋭意研究を行ったところ、遂にイオン交換基に無機陰イオンと有機酸とを強制的にイオン結合させたイオン交換体を用いて植物汁を処理することによって硝酸イオン除去効果と嗜好性及びミネラル等の有益成分の維持を同時に達成できることを見いだし、本発明を想到するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、植物汁液を「少なくとも1種以上の無機陰イオンと少なくとも1種以上の有機酸とが混在してイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体」により接触処理する工程を経て植物汁を製造することを特徴とするものである。
【0010】
ここで、「少なくとも1種以上の無機陰イオンと少なくとも1種以上の有機酸とが混在してイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体」とは、イオン交換基に水酸イオンのみ、無機陰イオンのみ、或いは有機酸のみがイオン結合してなる陰イオン交換体ではなく、1種以上の無機陰イオンと1種以上の有機酸の両方がそれぞれイオン交換基にイオン結合している構造を備えている陰イオン交換体のことを意味するものであり、具体的な処理環境としては、1)植物汁と陰イオン交換体との接触空間内に「無機陰イオンと有機酸とが結合している陰イオン交換体」が充填されている場合、2)植物汁と陰イオン交換体との接触空間内で「無機陰イオンのみが結合している陰イオン交換体」と「有機酸のみが結合している陰オン交換体」とが均一に混合分散している場合、3)植物汁と陰イオン交換体との接触空間内で「無機陰イオンのみが結合している陰イオン交換体」と「有機酸のみが結合している陰オン交換体」と「無機陰イオンと有機酸とが結合している陰イオン交換体」とが均一に混合分散している場合、4)植物汁と陰イオン交換体との接触空間内で「無機陰イオンのみが結合している陰イオン交換体」と「無機陰イオンと有機酸とが結合している陰イオン交換体」とが均一に混合分散している場合、5)植物汁と陰イオン交換体との接触空間内で「有機酸のみが結合している陰オン交換体」と「無機陰イオンと有機酸とが結合している陰イオン交換体」とが均一に混合分散している場合、等を包含するものである。
【0011】
また、植物汁と陰イオン交換体との接触空間内における無機陰イオン及び有機酸のイオン結合割合は、全イオン交換基の5〜95%に無機陰イオンがイオン結合してなるものが好ましい。この場合、例えば下記同時結合法により本発明で使用する陰イオン交換体を作成する場合、水溶液のpH等の影響(特に中性域)によって若干の水酸イオンが結合する場合があるが、好ましいのは、全イオン交換基に無機陰イオン或いは有機酸がイオン結合しているもの、すなわち無機陰イオンが結合している残りの95〜5%のイオン交換基に有機酸が結合しているものである。
【0012】
なお、特開平8−242826号には、野菜を破砕・搾液して野菜汁とし、次いで有機酸を添加し、更にこの野菜汁を弱塩基性陰イオン交換樹脂にて処理することを特徴とする保存可能な野菜搾汁液の製造法が開示されており、また、特開平9−225号には、野菜を破砕・搾液して野菜汁とし、次いで有機酸を添加し、更にこの野菜汁を、予め有機酸を吸着させた弱塩基性陰イオン交換樹脂にて処理することを特徴とする保存可能な野菜搾汁液の製造法が開示されているが、これら二つの発明は、高温下で搬送・保存しても異臭を発生することのない常温流通に耐えることができる野菜汁を製造することを目的とするものであり、これらの明細書中には硝酸イオンの除去効果について評価が無い上、無機陰イオンと有機酸とが混在してイオン結合してなる陰イオン交換体を用いるイオン交換処理について示唆されていない。しかも、前者(特開平8−242826号)の発明では、弱塩基性陰イオン交換樹脂として脱塩、脱酸用途用のものを用いているが、これはイオン交換樹脂のイオン交換基に水酸イオン(0H)がイオン結合しているものであり、この樹脂による処理後の搾汁液では大幅な無機陰イオン濃度及び有機酸濃度の低下が予想され、これに伴う酸度の低下も起こる。言いかえれば味への関連性の高い成分が大幅に減少するため、特に味における嗜好性の低下は免れないと言える。また、後者(特開平9−225 号)では、予め有機酸を吸着させた弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いているから、一見すると予め有機酸を陰イオン交換樹脂を吸着させる点から本発明で用いる陰イオン交換樹脂と共通しているようにも思えるが、両者は、イオン交換基に無機陰イオンが結合しているか否かの点で大きく構造上異なっており、そのために特開平9−225 号に開示された方法では無機陰イオン濃度の大幅な減少による嗜好性の低下が起こることになる。従って、特開平8−242826及び特開平9−225号に開示された発明と本発明とは発明の目的を全く異にし、両者は本発明が目的とする硝酸イオンの除去効果と嗜好性特に味への影響の低減とを同時に達成するという点で顕著な効果の差異が認められるのである。
また、これらの発明では、弱塩基性陰イオン交換樹脂にて樹脂処理する前に搾汁液に有機酸を添加することを必須条件としているから、生産現場においては有機酸添加を行うタンク等が必要になり、その処理方式はバッチ式を余儀なくされるなど搾汁から樹脂処理までを連続的に実施することができない。すなわち生産効率の点でも本発明の方がより優れていると言える。
【0013】
次に、本発明は「少なくとも1種以上の無機陰イオンと少なくとも1種以上の有機酸とが混在してイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体」を作成する方法として、無機陰イオンと有機酸とが共に溶解している水溶液に陰イオン交換体を接触させる方法、言いかえれば陰イオン交換体に対して無機陰イオンと有機酸とを同時に結合する方法(「同時結合法」という)を提案する。この場合、無機陰イオンと有機酸とが共に溶解している水溶液に陰イオン交換体を接触させる酸接触工程の後、余剰の酸を除去する余剰酸除去工程とを経て作成するのがより好ましい。
また、別の好ましい一例として、無機陰イオンがイオン結合した陰イオン交換体と有機酸がイオン結合した陰イオン交換体をそれぞれ別々に作成し、各陰イオン交換体を適宜比率に混合して作成する(混合法)を提案する。
また、無機陰イオンがイオン結合した陰イオン交換体と有機酸がイオン結合した陰イオン交換体をそれぞれ別々に作成した後、それらのイオン交換体でそれぞれ植物汁液サンプルを接触処理し、得られた植物汁を任意の比率により混合する方法を提案する。
ただし、これらの方法は、その混合率により任意に味が調整できる点が簡便ではあるが、陰イオン交換体の前処理と後処理が無機陰イオン及び有機酸それぞれに必要となり、短時間における生産が困難であるなど生産効率の点では上記同時結合法が優れているとも言える。
【0014】
なお、無機陰イオンが溶解している溶液に陰イオン交換体を接触させた後、この陰イオン交換体を有機酸が溶解している溶液に接触させる方法も考えられるが、生産効率を考慮して同一カラム内で接触工程を行おうとすると、カラムの上層部と下層部では無機陰イオン及び有機酸の結合率に偏りが生じる。そこで本発明者は、かかる作成方法の場合は、無機陰イオン及び有機酸を結合させた後、上向きの水流や空気流等を陰イオン交換体層に送るなどして攪拌均質化を図ることを提案する。
この攪拌均質化は、無機陰イオンと有機酸を陰イオン交換体に結合させる場所と植物汁液と接触させる場所とが同一の場合は、この場所で実施すれば良く、これが異なる場合は,どちらで行っても良い。また、植物汁液との接触場所への陰イオン交換体の移送を兼ねて行っても良い。
【0015】
【発明の実施の形態】
上記の如く本発明の植物汁の製造方法は、植物汁液を、少なくも1種以上の無機陰イオンと少なくとも1種以上の有機酸とが混在してイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体によって接触処理する工程を有することを特徴とするものである。以下、この植物汁の製造方法及びこの製造方法によって得られる植物汁について詳細に説明する。
【0016】
ここで、本発明が対象とする植物とは、食経験のある植物組織及び植物体を指し、その可食部位は特に限定するものではなく、葉、葉柄、茎、根、花、果実(果菜を含む)、種実、種子、豆類等、いずれであっても良い。具体的にはセリ科植物(パセリ、セロリ、セリ、ミツバ、セルリアック、ニンジン、キンサイ、アシタバ等)、アブラナ科植物(キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、カラシナ、カリフラワー、タカナ、キョウナ、クレソン、コマツナ、タイサイ、チンゲンサイ、カブ、ワサビ、ナバナ、ケール等)、キク科植物(アーティチョーク、シュンギク、レタス、フキ、ヨメナ、ヨモギ、ゴボウ等)、ユリ科植物(アスパラガス、ニラ、ネギ、リーキ、タマネギ、ニンニク、ユリ、ラッキョウ等)、ウコギ科植物(ウド、タラノキ等)、シナノキ科植物(モロヘイヤ等)、ミカン科植物(サンショウ、柑橘類等)、イネ科植物(大麦、タケノコ、ハトムギ等)、ツルナ科植物(ツルナ等)、アカザ科植物(ホウレンソウ、ビート等)、ミョウガ科植物(ミョウガ等)、シソ科植物(シソ等)、ナス科植物(ナス、トマト、トウガラシ、ピーマン、パプリカ等)、アオイ科植物(オクラ等)、ウリ科植物(キュウリ、カボチャ、スイカ、メロン、その他ウリ類等)、コショウ科植物(コショウ等)、ツバキ科植物(チャ)、バラ科植物(イチゴ、リンゴ等)、マメ科植物(ダイズ、インゲン、エンドウ等)、アカネ科植物(コーヒー等)、スイレン科植物(レンコン等)、ショウガ科植物 (ショウガ等)等を挙げることができ、中でもセリ科、キク科、アカザ科、及びアブラナ科植物等の硝酸含有量が高いことで知られる植物種については本発明は特に有効である。
【0017】
次に、本発明における「植物汁液」とは、上記植物の未乾燥物或いは乾燥物を搾汁または抽出して得られる搾汁液或いは抽出液を包含する意であり、その植物由来の成分並びに風味が引き出されていることが重要である。乾燥度合いの異なる植物の併用や搾汁処理及び抽出処理を併用しても良いし、更には搾汁液と抽出液を混合しても良く、或いはこれらの如何なる組み合わせであっても良い。例えば、未乾燥植物組織を水抽出した後、その抽出残差を搾汁して得られた搾汁液を植物汁液とすること等も前記の組み合わせの一つと考えることができる。
なお、植物汁液は、一般的には水溶液であることが製造上の取り扱いが容易である点とその後の飲食物への利用が容易である点から好ましいが、陰イオン交換体との接触により新たに得られる無機陰イオン及び有機酸が十分に溶解しうる範囲内でエタノールに代表されるアルコール類が含有されていても良い。
【0018】
植物汁液の原料は、上記植物種及びその部位等は一種に限定するものではなく、複数種、複数部位が含まれたものであっても良い。
また、植物汁液は、食品等への使用が認められている化学物質及び植物以外の生物由来物質、例えばpH調整機能を有する成分(無機酸、有機酸、アルカリ等)、栄養成分(ビタミン類、ミネラル、アミノ酸、糖質、蛋白質、脂質等)、抗酸化成分、酵素、ペプチド、食物繊維類、アルコール等を添加しても良く、後の陰イオン交換体との反応に適応できる性状を有していればよい。なお、製造工程の効率的運転、コスト低減並びに工程の簡素化を考慮すると、植物の搾汁液や抽出液に他の素材を加えずに行うことが望ましく、本発明はそれに対応できるものである。
【0019】
植物汁液の溶存成分濃度は、特に限定するものではなく、陰イオン交換体と接触できる液状であれば良く、例えば、汁液が搾汁後に濃縮或いは希釈したものであっても良く、もちろん未処理(ストレート)であっても良い。抽出液においても同様にその抽出倍率を限定するものではなく、その後の希釈或いは濃縮については自由に選択できる。
植物汁液の温度は特に限定するものでなく、使用する陰イオン交換体や製造ラインの材質の耐熱性の範囲内で制御される程度でよいが、好ましくは汁液の劣化が起こりにくい室温或いはそれ以下の温度に設定する。
【0020】
陰イオン交換体への接触前の植物汁液pHは、陰イオン交換体のイオン交換反応が起こりうる範囲に調整すれば良く、汁液の性状劣化を抑制する上では中性から酸性であることが好ましい。
また、植物汁液の清澄性は、陰イオン交換体との接触に支障がない程度でよく、事前の清澄化工程の精度及び方法は特に限定するものではない。
【0021】
陰イオン交換体との接触前の植物汁液は、予めその性状を不安定にさせる酵素類を失活或いは除去させておくのが好ましい。このように予め処理しておけば、陰イオン交換体による接触処理の際の凝集を効果的に防ぐことができる。
【0022】
次に、本発明で用いる「陰イオン交換体」についてであるが、本発明では、通常使用されている「陰イオン交換樹脂」に無機陰イオン及び有機酸をイオン結合させる前処理したものを用いる。
【0023】
ここで、上記前処理前の「陰イオン交換樹脂」すなわち「接触処理に用いる陰イオン交換体」の基本骨格を構成する「陰イオン交換樹脂」は、陰イオン交換能を有していることと植物汁液に対して不溶であることが重要であり、その形態は使用に適したものを適宜選択すれば良く、例えば粉状、球状、繊維状、膜状、あるいはその他の形態であっても良い。
また、イオン交換樹脂は、そのイオン交換能の違いから強塩基性或いは弱塩基性イオン交換体とに大別され、球状樹脂タイプ(陰イオン交換樹脂)の場合には更に、ゲル、ポーラス、およびハイポーラスタイプなど樹脂母体の形状により分類されるが、本発明においてはこれらのいずれを用いることもできる。
具体的には、ダイアイオン・SAシリーズ(SA10A ,11A ,12A ,20A ,21A 等),PAシリーズ(PA306,308,312,316,318,406,408,412,416,418 等),WAシリーズ(WA10,11,20,21,30 等) 、アンバーライト・IRA シリーズ(IRA−400 ,410 ,900 ,9 3ZU 等)を例示することができる。
【0024】
「陰イオン交換体の前処理」は、陰イオン交換樹脂に無機陰イオンと有機酸とを同時に結合させる法、すなわち無機陰イオンと有機酸が共に溶解している水溶液に陰イオン交換体を接触させる方法(この工程を「酸接触工程」という)によって行うのが好ましい。
この酸接触工程は、例えばカラムに陰イオン交換樹脂を充填し、カラム入り口から無機陰イオン及び有機酸が共に溶解している水溶液を注入し、カラム出口より得られる排出液の成分組成がカラム通液前の前記水溶液とほぼ同様になるまで水溶液をカラムに通液し続けるようにすればよい。この方法は極めて簡便である上に効率的な方法である。
【0025】
上記酸接触工程に引き続いて余分な陰イオン類を洗浄除去する(この工程を「余剰酸除去工程」という)のが好ましい。上記酸接触工程を実施した直後の陰イオン交換体のまわりには、当該陰イオン交換体と化学的に結合してない無機陰イオンや有機酸などの余分な陰イオン類が存在するため嗜好性やpH等に影響を与える可能性があり、これを洗浄し除去するのが好ましい。すなわち、この余剰酸除去工程は、存在が予想される余剰の無機陰イオンや有機酸が植物汁液サンプルに混入してその嗜好性やpH等に影響を与えることがないようにするためのもので、その洗浄精度は高い程良いがサンプルへの混入の影響が出にくい範囲まで、具体的には洗浄排出液の酸度が少なくとも0.05%を下回るまで洗浄することが望ましく、その洗浄には脱イオン水を用いることが望ましい。
【0026】
しかしながら、酸度が少なくとも0.05%を下回るまで水で洗浄するには多量の水と時間を要するため、効率面でやや難がある。そこで、これを改善する方法として酸接触工程に用いられる水溶液と陰イオン交換樹脂のイオン交換能との関係から次の様な改善方法が挙げられる。
陰イオン交換樹脂として弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いる場合、弱塩基性陰イオン交換樹脂の中性塩分解能が弱いため、無機陰イオン及び有機酸をイオン結合させる上でこれらを酸(塩酸、クエン酸水溶液等)として供給することが考えられるが、その後の余剰酸除去工程における陰イオン除去が極めて困難であるため、結局のところ多量の水が必要とされる。よって弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いる場合は、余剰酸除去工程前に、極希薄なアルカリ水溶液を少量樹脂に接触させ、イオン交換体周辺の液pHを中和することで、その後の水による洗浄を少量に終わらせるのが好ましい。但し、この方法には工程の増加という課題がある。
他方、陰イオン交換樹脂として強塩基性イオン交換樹脂を用いる場合は、結合させるイオン類を酸として供給し、上記と同様に余剰酸除去工程前に中和処理することが水の使用量を低減する上で好ましい。
そこで結局のところ最も好ましくは、使用する陰イオン交換体を強塩基性イオン交換体に限定し、これにイオン結合させる無機陰イオンと有機酸の供給源である水溶液のpHを中性に調整しておく。これより、余剰酸除去工程前に中和処理が必要なく、且つ少量の水の使用による洗浄が可能になる。すなわち、酸接触工程に用いる水溶液を中性にし、強塩基性陰イオン交換体等の中性塩分解能を利用してイオン交換する方法である。その調製方法としては、各種無機陰イオン及び/又は有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等に代表される無機塩類及び/又は有機酸塩類を水溶液にする方法と、無機酸及び/又は有機酸水溶液に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等に代表されるアルカリ成分を添加して、そのpHを中性に調整したものであっても良く、また、これらの方法の組み合わせであっても良い。
【0027】
次に、陰イオン交換樹脂に結合させる「無機陰イオン」としては、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン等が挙げられるが、本発明の目的を考慮して硝酸イオン及び亜硝酸イオンはその選択から除かれるべきである。また、嗜好性への影響を考慮すると好ましくは塩素イオン及び硫酸イオンから選ばれる1種類以上を少なくとも含んでいることが必要であり、これらの条件を満たしていれば、その他に別の無機陰イオンを結合させても良い。
【0028】
陰イオン交換樹脂に結合させる「有機酸」としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、L−アスコルビン酸、フマル酸、グルコン酸、酢酸、アジピン酸等が挙げられ、食品添加上支障のないものであれば特に限定するものではない。ただし、しゅう酸は食品におけるアクとして知られ、更には性状安定性や嗜好性を低下させる原因物質であることも知られているため、しゅう酸は除くのが好ましい。
【0029】
なお、一般的に植物中に含まれる無機陰イオンとしては、硝酸イオンを除くと塩素イオン、次いで硫酸イオンが多く含まれており、有機酸ではリンゴ酸或いはクエン酸などが多く含まれていることなどを考慮すると、予め陰イオン交換樹脂にイオン結合させるものは、これら無機陰イオン及び有機酸の高含有成分の組み合わせを用いることが元の植物汁の成分組成を極端に変化させず味の極端な変化を抑制する点から最も好ましい。
【0030】
次に、陰イオン交換体による植物汁液への接触処理は、バッチ式或いは連続式のどちらによる方法も選択できるが、生産効率を考慮した場合、カラム等のイオン交換反応槽で連続的にサンプルを注入及び排出できる様な連続式の接触処理を選択するべきである。
【0031】
上記の陰イオン交換体による接触処理により得られた植物汁液は、硝酸イオンが除去低減され、更にミネラル等の有益成分及び嗜好性等がある程度維持されている。この植物汁液は接触処理後の工程として様々な加工工程を実施しても良いし、また実施しなくても良い。
【0032】
上記陰イオン交換体による接触処理により得られた植物汁液について更に詳しく分析を行ってみると、陰イオン交換体との反応後に硝酸イオン濃度が極端に減少する一方、ミネラル成分であるカリウムイオン濃度は余り変化しないことが判明した。また、塩素イオンと硫酸イオンとの化学当量濃度の和、並びに最高値を示す有機酸の化学当量濃度のそれぞれの値は、硝酸イオンの化学当量濃度値を上回る現象が起きることも判明した。これらの現象及び濃度変化を式に表すと次の▲1▼〜▲3▼の通りとなる。
【0033】
▲1▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)/カリウムイオン濃度(化学当量濃度)}<0.02
▲2▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)}<{塩素イオン濃度(化学当量濃度)+硫酸イオン濃度(化学当量濃度)}
▲3▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)}<{最高値を示す有機酸濃度(化学当量濃度)}
【0034】
以上の式▲1▼〜▲3▼の全て満たす植物汁は、従来の陰イオン交換処理による植物汁の処理では得ることが困難であり、従来開示もされていなかった。そこで本発明は、植物汁液をイオン交換体により接触処理して得られる植物汁であって、上記▲1▼〜▲3▼の全ての条件を満たすことを特徴とする植物汁を発明として提案する。式▲1▼〜▲3▼の全て満たす植物汁であれば、健康への有害性が懸念される硝酸イオンが十分に除去され、味と健康への寄与が高いカリウムが維持され、しかも無機陰イオンと有機酸に硝酸イオンがイオン交換されているため、これらのバランスにより味の変化を極力抑えることができ、総合的に安全性が向上された健康性の高い植物汁といえる。
【0035】
更に原料とした植物本来の味の強い植物汁を提供せんとする場合には、以上の式▲1▼〜▲3▼の全て満たし、かつ塩素イオン濃度が原料とした植物の塩素イオン濃度(化学当量濃度)と同じか或いはこれよりも高い値に設定した植物汁とするのが好ましい。逆に、原料とした植物本来の味を抑えた植物汁を提供せんとする場合には、以上の式▲1▼〜▲3▼の全て満たし、かつ塩素イオン濃度が原料とした植物の塩素イオン濃度(化学当量濃度)よりも低い値に設定した植物汁とするのが好ましい。
【0036】
尚、本発明の植物汁は、本発明で得られる植物汁液を保存可能な状態にしたものを指し、その形態、状態等、即ち、液体、固体、粉体、ゼリー状、ペースト状等、更には、その包装形態等は特に限定するものではなく、また、これが飲食物における原料、中間製品、及び最終製品のいずれであっても良い。
【0037】
また、この植物汁は陰イオン交換体との接触後に様々な加工、例えば濃度、糖度、及びpHの調整、食品添加物等の添加、その他の食品素材との混合、殺菌等を施しても良く、前述の成分特性を維持しているものであることが重要である。従って、上記植物汁は、そのままで飲食に供することができるが、更に加工が進められて植物汁含有飲食物として飲料、食品全般、及び調味料等に利用することができる。
その形態及び状態、更には植物汁の含有率等を特に限定するものではなく、これを最終製品としてだけではなく、原料及び中間製品としても用いることが可能である。
【0038】
本発明で得られる植物汁及び植物汁含有飲食物は、人だけでなく、他の生物にも提供できるもので、例えば、牛、豚、馬、鶏、等の家畜類をはじめ、様々な動物、魚介類、鳥類、昆虫等の飼料並びにペットフードとしても応用することができ、これら動物の健康に及ぼす硝酸イオンの悪影響を除去できる点で優れた飼料等として提供することができる。
【0039】
以下、調査例、実施例、比較例、並びにこれらの評価に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0040】
(調査例)
セリ科植物、キク科植物、アカザ科植物、アブラナ科植物等の可食部由来搾汁液の硝酸イオン値およびカリウムイオン値を調査した。各試料植物はそのままジューサーミキサーで搾汁し、得られた搾汁液を遠心分離して、その上清をサンプルとし、硝酸イオン値はイオンクロマトグラフィーにて、そしてカリウムイオン値はイオンメーター(堀場・C−131)にて分析した。
結果は表1に示した。セリ科、キク科、アカザ科、アブラナ科植物の4つの科に属する植物の汁液は非常に高い硝酸イオン含有量(300〜4000ppm)を示し、硝酸イオン/カリウムイオン比も高い値になった。
【0041】
【表1】
Figure 0003586155
【0042】
(比較例1)
セリ科植物であるニンジンの肥大根を4cm幅で輪切りし、これをイオン交換水で90℃15分間茹でた後、ジューサーミキサーにて粉砕搾汁し、遠心分離にてパルプ分を除去した後、エバポレーターにてBrix36(約6倍濃縮)まで濃縮し、得られた濃縮液を脱脂綿にて濾過し、橙色の濃縮汁液を得た。
【0043】
(比較例2)
比較例1で得られた濃縮汁液を使用し、この汁液100mlを塩素イオンが結合した陰イオン交換体(強塩基性陰イオン交換樹脂・IRA400・40ml)によりカラム方式で連続的に接触処理し、イオン交換済み汁液を得た。尚、塩素イオンの結合した陰イオン交換体の作成に当たっては、カラムに充填した陰イオン交換体に対して、10%のNaCl水溶液をイオン交換体容量の5倍量当たる量を通液し、その後イオン交換水で洗浄し、洗浄排水の酸度が0.05%未満になるまでこれを実施し、上記陰イオン交換体を得た。
【0044】
(比較例3)
比較例1で得られた濃縮汁液を使用し、この汁液100mlをリンゴ酸が結合した陰イオン交換体(強塩基性陰イオン交換樹脂・IRA400・40ml)によりカラム方式で連続的に接触処理し、イオン交換済み汁液を得た。尚、リンゴ酸の結合した陰イオン交換体の作成に当たっては、カラムに充填した陰イオン交換体に対して、15%のリンゴ酸ナトリウム水溶液をイオン交換体容量の5倍量当たる量を通液し、その後イオン交換水で洗浄し、洗浄排水の酸度が0.05%未満になるまでこれを実施し、上記陰イオン交換体を得た。
【0045】
(実施例1)
比較例1で得られた濃縮汁液を使用し、この汁液100mlを、塩素イオン、硫酸イオン、リンゴ酸、及び酢酸が、5:2:12:3の割合(モル換算)でイオン結合した陰イオン交換体(強塩基性陰イオン交換樹脂・IRA400・40ml)によりカラム方式で連続的に接触処理し、イオン交換済み汁液を得た。尚、上記無機陰イオンと有機酸の結合した陰イオン交換体の作成に当たっては、カラムに充填した陰イオン交換体に対して、上記モル比率で溶解している水溶液(15%W/V )をイオン交換体容量の5倍量当たる量を通液し、その後イオン交換水で洗浄し、洗浄排水の酸度が0.05%未満になるまでこれを実施し、上記陰イオン交換体を得た。
【0046】
(評価1)
比較例1、2、3、及び実施例1において作成したイオン交換済み汁液を、それぞれBrix値を6.0に調整し、硝酸値と味に関する評価を行った。
結果は、表2に示した。イオン交換を実施した全てのサンプルにおいて顕著な硝酸イオン除去効果が発揮されたが、比較例2、3では、味の変化が大きくニンジン本来の味をとどめていなかった。特に比較例2では、塩味及び塩辛さが強くなり、比較例3では、コクがなく、水で希釈したような薄い味になった。これに対して実施例1は、ややコクが弱まる傾向が見られたが、比較例1に見られる本来の味が十分に備わっているため、ストレートジュースとしても十分に使用できる良好な品質になっており、硝酸値が低減できていることを考慮すると、比較例1よりも総合的には品質が優れていると判断することができる。
【0047】
【表2】
Figure 0003586155
【0048】
(評価2)
次に、比較例1と実施例1における汁液をBrix6.0に希釈して、各々の成分変化量を調査した。
結果は表3に示した。実施例1のサンプルは硝酸イオン含有量が顕著に減少しているにも関わらず、塩素、硫酸、カリウムイオン、及び最高濃度有機酸(リンゴ酸)は大きな濃度変動はなく、硝酸イオンの選択的除去がなされていた。また、無機陰イオンと有機酸との混合イオン交換が成されたことにより、硝酸イオン値は、塩素イオンと硫酸イオンの和及び最高濃度示す有機酸の値に対して、それぞれよりも低い値となると共に、硝酸イオン/カリウムイオン比が0.002 と極めて低い値を示した。
【0049】
【表3】
Figure 0003586155
【0050】
(比較例4)
セロリの葉及び葉柄をイオン交換水で90℃・2分間茹でた後、ジューサーミキサーにて破砕搾汁し、遠心分離にてパルプ分を除去した後、エバポレーターにてbrix20まで濃縮し、得られた濃縮液を脱脂綿にて濾過し、濃縮汁液を得た。
【0051】
(実施例2)
比較例4で得られた濃縮汁液を使用し、この汁液100mlを、リンゴ酸と塩素イオンがモル換算で4:1で結合した陰イオン交換体(強塩基性陰イオン交換樹脂・PA316 ・40ml)が充填されたカラムでイオン交換処理を実施し、イオン交換済み汁液を得た。使用した陰イオン交換体は、リンゴ酸:塩素=4:1(モル濃度換算)に調整した15%(W/V) 水溶液を樹脂が充填されたカラムに、イオン交換体樹脂容量の5倍量に当たる量を通液し、その後イオン交換水で洗浄し、洗浄排水の酸度が0.05%未満になるまでこれを実施し、上記陰イオン交換体を得た。
【0052】
(評価3)
比較例4と実施例2におけるセロリ汁液をBrix2.0まで希釈して、各々の成分変化量を調査した。
結果は表4に示した。実施例2のサンプルは高濃度の硝酸イオンが塩素イオン及びリンゴ酸に効率的に変換されたため、塩素イオン及びリンゴ酸(最高濃度有機酸)の濃度上昇が確認された。しかしながら、この濃度上昇は、元の組成バランスを著しく変化させるものではなかった。また、硝酸イオン値が塩素イオンと硫酸イオンの和及び最高濃度示す有機酸の化学当量濃度に対して、そのどちらよりも低い値になると共に、硝酸イオン/カリウムイオン比が0.00037 未満と極めて低い値を示した。
【0053】
【表4】
Figure 0003586155
【0054】
(比較例5)
比較例4で作成したセロリ汁液をBrix2.0に調整したもの、実施例1で作成したニンジン汁液をBrix18.0に調整したもの、イオン交換水のそれぞれを、容量比で1:2:3で混合し、ミックスジュースを作成した。
【0055】
(実施例3)
実施例2で作成したセロリ汁液をBrix2.0に調整したもの、実施例1で作成したニンジン汁液をBrix18.0に調整したもの、イオン交換水のそれぞれを、容量比で1:2:3で混合し、ミックスジュースを作成した。
【0056】
(評価4)
比較例5と実施例3において作成したミックスジュースの硝酸イオン値と味を評価した。
結果は、表5に示した。
【0057】
【表5】
Figure 0003586155

Claims (11)

  1. 植物汁液を、硝酸イオン及び亜硝酸イオンを除いた少なくとも1種以上の無機陰イオンと、しゅう酸を除いた少なくとも1種以上の有機酸とが混在してイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体により接触処理する工程を有する植物汁の製造方法。
  2. 陰イオン交換体の全イオン交換基の5〜95%に無機陰イオンがイオン結合してなる構造を備えた陰イオン交換体により接触処理することを特徴とする請求項1に記載の植物汁の製造方法。
  3. 接触処理に用いる陰イオン交換体は、無機陰イオンと有機酸とが共に溶解している水溶液に陰イオン交換体を接触させた後、余剰の陰イオン類を除去して作成したものである請求項1又は2に記載の植物汁の製造方法。
  4. 接触処理に用いる陰イオン交換体は、無機陰イオンがイオン結合した陰イオン交換体と、有機酸がイオン結合した陰イオン交換体とをそれぞれ別々に作成し、各陰イオン交換体を適宜比率に混合して作成したものである請求項1又は2に記載の植物汁の製造方法。
  5. 接触処理に用いる陰イオン交換体は、無機陰イオンが溶解している溶液に陰イオン交換体を接触させた後、この陰イオン交換体を有機酸が溶解している溶液に接触させて作成したものである請求項1又は2に記載の植物汁の製造方法。
  6. 無機陰イオンは、硝酸イオン及び亜硝酸イオンを除いたその他の無機陰イオン、例えば塩素イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどの中から選ばれる1種類以上の無機陰イオンである請求項1〜5のいずれかに記載の植物汁の製造方法。
  7. 有機酸は、しゅう酸を除いたその他の有機酸であってクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、L−アスコルビン酸、フマル酸、グルコン酸、酢酸、アジピン酸などの食品添加上支障のない有機酸の中から選ばれる1種類以上の有機酸である請求項1〜6のいずれかに記載の植物汁の製造方法。
  8. 植物汁液は、その由来植物としてセリ科植物、アカザ科植物、キク科植物、及びアブラナ科植物のいずれかに属する植物を一種以上含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の植物汁の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの製造方法によって得られた植物汁。
  10. 植物汁液を陰イオン交換体により接触処理して得られる植物汁であって、次の▲1▼〜▲3▼の全ての条件を満たすことを特徴とする植物汁。
    ▲1▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)/カリウムイオン濃度(化学当量濃度)}<0.02
    ▲2▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)}<{塩素イオン濃度(化学当量濃度)+硫酸イオン濃度(化学当量濃度)}
    ▲3▼{硝酸イオン濃度(化学当量濃度)}<{最高値を示す有機酸濃度(化学当量濃度)}
  11. 請求項9又は10に記載の植物汁を含有する植物汁含有飲食物。
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