JP2009159998A - 青汁食品の風味改善剤及び風味改善方法 - Google Patents

青汁食品の風味改善剤及び風味改善方法 Download PDF

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雅人 齋藤
Takeshi Ikemoto
毅 池本
Atsushi Sugita
淳 杉田
Junko Niiguni
純子 新國
Tomoko Fukubayashi
智子 福林
Keiko Suzuki
恵子 鈴木
Arinori Tanaka
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Abstract

【課題】青臭さや苦味がなく、香りも良く摂取が容易であり、かつ有用な栄養素や機能性成分を豊富に含有する嗜好性に優れた青汁食品を得る。
【解決手段】甜菜の葉及び/又は茎部を原料とすることにより、青臭さや苦味がなく、摂取が容易な嗜好性に優れた青汁食品が提供できる。さらに、他の青汁原料、特にケールと組み合わせることで、青汁素材の飲みにくさを大幅に改善し、嗜好性に優れ、栄養的にもさらに優れた青汁食品が提供できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、甜菜の葉及び/又は茎部を含むことを特徴とする青汁食品に関する。
人が健康を保持し、増進するためには、日頃から炭水化物、脂肪、蛋白質、ビタミン及びミネラルの栄養素をバランスよく食事から摂取することが基本であり、さらにこれらの栄養素に加えて、食物繊維を摂取することの重要性が叫ばれている。また近年では、オリゴ糖が疾病予防等の機能面から特に注目されている。オリゴ糖の一種であるラフィノースには、整腸作用、免疫賦活作用、肝機能改善作用やアトピー性皮膚炎改善作用が確認されており(例えば、特許文献1、非特許文献1、2参照)、特に整腸作用では特定保健用食品素材として認められている。しかし我国においては、食生活の欧米化が進み、主食としての穀類と野菜などのグリーン食材の摂取が減少し、動物性食品の摂取が増大している。このことが生活習慣病である心臓病、糖尿病、癌などの疾病増加を招いていると言われている。野菜類の摂取減少は、ビタミン、ミネラルと、さらに食物繊維の摂取不足をもたらす。食物繊維はまた、穀類はその消費量が減少しつつある上に、食味向上をねらって精製度を上げていることもあって、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの摂取量がさらに減少する傾向にある。
このような状況を打開するため、従来、野菜類の摂取を目的として、野菜類を青汁食品として摂取することが試みられている(例えば、特許文献2、3参照)。例えば青汁食品に用いられる素材として、ケール、大麦若葉、明日葉、キャベツ等があるが、青臭さ、苦味、香り等、嗜好性の面で十分に満足のいくものとは必ずしもいえず、これらの改良が望まれていた。一方、ビートオリゴ糖の原料である甜菜においては、その葉や茎部は原料としては使用されておらず、家畜の飼料として一部利用される他は、その固さのため、食品としての利用が十分に図られていなかった。
特開平11−255656号公報、第3頁右欄3〜20行目。 特開2002−51753号公報。 特開2002−218964号公報。
歯学,1998年,第85巻,第4号,p.551−558 アレルギーの臨床,1998年,第18巻,p.1092−1095
上記事情において、青臭さや苦味がなく嗜好性の高い青汁食品が望まれていた。即ち、本発明の目的とするところは、青臭さや苦味がなく香りがよく嗜好性に優れ、且つ栄養素や機能性成分を豊富に含有する青汁食品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、甜菜の葉及び/又は茎部を利用した青汁食品が、青臭さや苦味がなく嗜好性に優れること、さらに従来の青汁素材を組み合わせることにより、従来の青汁食品の青臭さや苦味、香りが顕著に改善され嗜好性が向上し、栄養的にも優れたものとなることを見出し、本願発明を完成したものである。
即ち、本願第1の発明は、甜菜の葉及び/又は茎部を原料とする青汁食品であり、第2の発明は、他の青汁原料と組み合わせることを特徴とする前記の青汁食品である。また第3の発明は、甜菜の葉及び/又は茎部由来の成分が10質量%以上であることを特徴とする前記の青汁食品である。
さらに本願第4の発明は、他の青汁原料が、ケールであることを特徴とする、前記の青汁食品であり、第5の発明は、甜菜の葉及び/又は茎部が凍結乾燥処理されたものであることを特徴とする前記の青汁食品である。
本発明により、甜菜の葉及び茎部を青汁食品として、食品に有効利用することができた。さらに、凍結乾燥という加工処理と、他の青汁素材との組み合わせにより、栄養的にも優れ、風味においても嗜好性に優れた、飲みにくさが大幅に改善された青汁食品を提供することができた。
以下、本発明を詳しく説明する。甜菜(てんさい、Beta vulgaris var. rapa)は、サトウダイコン又はビートとも呼ばれるアカザ科の植物で、ヨーロッパ原産の野生種から改良されたもので、日本では本州北部、北海道などで栽培される多年草である。草丈60〜90cmで、根は白〜黄白色、肉質で紡錘形に肥大する。根際から長い柄のある長卵形の葉が群生し、葉質は厚い。夏には高さ1mほどの茎を伸ばし、多数の黄緑色の小花を穂状花序につける。根はショ糖を15〜18%含み、甜菜糖(ビートオリゴ糖)の原料となる。本願青汁食品の原料となる葉や茎部にもビートオリゴ糖や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素や機能性成分が含まれている。特に、ビートオリゴ糖中には機能性成分であるラフィノースが含まれており、栄養的に特に優れている。甜菜の葉、茎部の成分分析の結果を、従来の青汁素材の成分(五訂日本食品標準成分表より抜粋)と合わせて表1に示す。
Figure 2009159998
表1の比較から分かるように、甜菜の葉、茎部では、糖質と食物繊維の合計量である炭水化物、特に糖質が多く、その他マグネシウムやビタミンB6などの栄養素が多く含まれており、特徴的な組成となっている。そのため、他の青汁素材と組み合わせた場合、栄養的に優れたものとなり得る。従来青汁素材として利用されているケールと比較すると、カリウム、マグネシウム、鉄が多く、ケールと組み合わせた場合、特に栄養的に優れたものと
なる。
本願における甜菜の葉及び/又は茎部を原料とする青汁食品とは、原料となる甜菜の葉及び/又は茎部を細断、粉砕、磨砕等の微細化処理したもの、あるいは原料や前記微細化処理物を圧搾して得られる搾汁であって、その形状としては、微細固形状、半固形状、ペースト状、液状である。さらにこれら形状のものを乾燥させた後、粉砕して得られる粉末状のものであっても良い。粉末状のものとしては、原料を細断せずそのまま乾燥させたものを粉砕しても良い。乾燥の方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥等の方法が挙げられるが、凍結乾燥法を用いると、熱により変質がなく、粉砕も容易であり、嗜好性に優れたものが得られるため好ましい。また保存性の面からも好ましい。
本発明の青汁食品では、甜菜の葉や茎部を、他の青汁原料と組み合わせて使用することができる。これら青汁原料は、上記の甜菜の場合と同様に処理され青汁食品とする。処理は甜菜の葉や茎部と原料の段階から混合して処理しても、途中の段階で混合しても、別々に調製した青汁食品を混合しても良い。本発明における甜菜の葉や茎部以外の他の青汁の素材としては、特に限定はないが、例えば、ケール、ブロッコリー、キャベツ、小松菜、ダイコン葉、クレソン、ナズナ、大麦若葉、明日葉、セリ、パセリ、ニンジン、セロリ、アスパラガス、ホウレン草、ニガウリ、緑茶、シソ、春菊、ニワトコ、ハコベ、ヨモギ、桑、シモン葉、クマザサ、モロヘイヤ等が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を甜菜の葉及び/又は茎部と組み合わせることができる。本発明において、甜菜の葉や茎部と上記他の青汁原料を組合せて青汁食品とする場合、青汁食品における甜菜の葉及び/又は茎部由来の成分が、乾燥残分として、全乾燥残分量の10質量%以上であることが望ましい。この範囲であると、甜菜由来の栄養成分が有効に摂取され、青汁食品の嗜好性の改善効果に優れる。
上記の青汁素材のうち、特にケールは、青汁食品として栄養的に優れているものの、青臭さ、苦味、香り等から嗜好性に劣っていたものであるが、甜菜の葉や茎部と組み合わせることにより、顕著にその嗜好性が改善されるため、本願青汁食品において、甜菜の葉及び/又は茎部と組み合わせることが特に望ましい青汁原料である。
本発明の青汁食品では、風味や品質保持の点や、様々な剤型への利用が容易であることから、甜菜の葉及び/又は茎部を凍結乾燥処理により製造することが特に好ましい。まず甜菜の葉及び茎部を収穫した後、泥などを洗い落とすために、水洗いする洗浄工程を行う。この洗浄工程は25℃以下の水で行うと好適である。洗浄水としては、一般の飲用に適した水道水や井戸水であれば良いが、アルカリイオン水を用いると、甜菜の葉及び茎部の風味がさらに改善され、甜菜中のクロロフィルが安定なクロロフィリンに変換され、甜菜の鮮緑色を保持することが可能となるため好ましい。
洗浄後、必要に応じてカッター、スライサーなどを用いて、適当な大きさ、例えば5cm程度以下の大きさに、細断する工程を行う。そしてなるべく時間を置かずに−20℃以下に設定された雰囲気下、例えば−20℃以下に設定された公知の冷凍庫で凍結する工程を行う。この凍結工程は、氷晶が生じないように−30℃以下に設定された雰囲気下、さらに好ましくは−40℃以下に設定された雰囲気下で急速凍結すると好適である。凍結後、真空乾燥により凍結乾燥する。真空度の条件は、1.0〜0.01mmHgの範囲とするとよい。
次に、得られた凍結乾燥品を粉砕するが、高速回転式ミルで粉砕すると、滑らかな食感の粉砕品を得ることができるため好ましい。
本願発明の青汁食品には、必要に応じて、賦形剤、添加物、結合剤、増粘剤、乳化剤、着
色料、香料、食品添加物、調味料等が混合される。例えばローヤルゼリー、ビタミン、ミネラル、プロテイン、キトサン、レシチンなどが配合され、さらに糖液や調味料を加えて味を調えることもできる。そして、用途に応じて顆粒、錠剤などの形態に成型することもできる。そしてこれらは、用途又は好みに応じて、液状の食品として供することができる。あるいはハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル錠、錠剤、丸剤もしくは糖衣錠としてか、又は粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状等の形状で、もしくは飴、アイス、焼き菓子等に配合して提供され得る。これらはその形状や好みに応じてそのまま食しても、水、お湯もしくは牛乳などに溶いて飲んでも、あるいは成分を浸出させてから飲んでも良い。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
収穫した甜菜の葉及び茎部を、水洗いして水切りを行い、長さ5cmに切りそろえた。切りそろえた甜菜を−40℃に設定されたフリーザーに入れ、凍結工程を行った。そして1.0mmHgの条件下で真空乾燥を行い、高速回転式ミルで粉砕し、凍結乾燥粉末品を得た。
比較例1〜5
実施例1と同様にして、ケール、大麦若葉、緑茶、ニガウリ、セロリを原料として青汁凍結乾燥粉末品を調製し、比較例1〜5とした。
実施例2〜6
実施例1の凍結乾燥品と、比較例1のケール凍結乾燥品を同量混合したものを実施例2とした。同様に比較例2の大麦若葉凍結乾燥品との混合品を実施例3、比較例3の緑茶凍結乾燥品との混合品を実施例4、比較例4のニガウリ凍結乾燥品との混合品を実施例5、比較例5のセロリ凍結乾燥品との混合品を実施例6とした。
上記の実施例及び比較例に係る青汁食品について以下のように官能評価を行った。
(評価方法)
実施例及び比較例で得られた凍結乾燥品3gを100mLの水に分散させ、20名のパネラーに飲用してもらい、飲みやすさに関する各項目について、表2の評価基準に従って評価してもらった。20名のパネラーの評点の平均値をそれぞれの項目における評価点とした。
Figure 2009159998
評価結果を表3、表4に示す。
Figure 2009159998
表3の結果から、甜菜の葉及び茎部の凍結乾燥粉末は、他の青汁素材と比較して飲みやすさにおいて優れていることが示された。また、飲んだときの食感は滑らかであり、ざらつき感等の口に残る違和感は感じられなかった。
Figure 2009159998
表4の結果から、甜菜の葉及び茎部の凍結乾燥粉末と他の青汁素材の凍結乾燥粉末とを組み合わせることにより、青汁の素材の飲みにくさを改善できることが確認できた。特にケールと組み合わせた場合、ケール単独の場合の飲みにくさが大幅に改善できることが確認できた。
本願発明により、従来利用されていなかった甜菜の葉や茎部を用いて、青臭さや苦味のない嗜好性に優れた青汁食品が提供でき、その有用な栄養成分の摂取が可能となる。さらに他の青汁素材と組み合わせることにより、飲みやすさが改善された、栄養的にもさらに優れた青汁食品を提供することができる。

Claims (5)

  1. 甜菜の葉及び/又は茎部を原料とする青汁食品。
  2. 他の青汁原料と組み合わせることを特徴とする請求項1に記載の青汁食品。
  3. 甜菜の葉及び/又は茎部由来の成分が10質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の青汁食品。
  4. 他の青汁原料が、ケールであることを特徴とする請求項2又は3記載の青汁食品。
  5. 甜菜の葉及び/又は茎部が凍結乾燥処理されたものであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の青汁食品。
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