JP5953507B1 - 整腸剤 - Google Patents

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【課題】本発明の目的は、日常的に使用することが可能である、整腸作用を有する大麦の茎葉の粉砕末を提供することにある。【解決手段】本発明の整腸剤は、特定品種の大麦からなる群から選ばれる少なくとも1種の粉砕末を有効成分として含有することによって解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、整腸剤に関する。
近年、食生活の変化、食事内容の偏り、ストレスなどから便秘で悩む人が増加している。便秘は、腸内で便が長く滞留することにより生じる。また、重度の便秘は、腸内の有害細菌の増加や有害物質の吸収の増加などを引き起こし、大腸ガンの誘因となる可能性がある。そこで、便秘改善効果のある物質や該物質を配合して得られる整腸作用を有する組成物の開発が進められている。
例えば、本出願人は、水不溶成分を30質量%以上含有する麦若葉末を有効成分とする、便通改善剤を提案した(特許文献1)。しかしながら、特許文献2には単に大麦若葉末が便通改善作用を有することを記載しているに留まり、より良い効果を得るための大麦品種の探索が必要であった。
一方、大麦の普及品種は収量、病虫害抵抗性の基準等に基づき変遷するため、種子の入手困難性やそれに基づく大麦の茎葉の安定供給の困難性等の問題が生じる。さらに、大麦には3万種以上の膨大な数の品種が知られており(非特許文献1)、前記課題を解決しうる特定の大麦品種の探索は容易ではなかった。
特開2010−47605号公報
米国農務省管轄下の遺伝資源データベース「Germplasm Resources Information Network」における大麦の学名「Hordeum vulgare」の検索結果<https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/view2.aspx?dv=web_taxonomyspecies_view_accessionlist&params=:taxonomyid=19333>
本発明は、従前の便通改善作用を有する物質に比べて、より優れた便通改善作用を示す物質を含有する整腸剤を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
本出願人は、上記課題を解決するために、種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウ(以下、「特定品種」ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎葉の粉砕末は、大麦の一種であるイチバンボシの茎葉の粉砕末と比べて、便通改善作用を示すばかりか、腸内環境改善作用をも示し、優れた整腸作用を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する整腸剤。
[2]前記整腸剤の固形分中の前記大麦の茎及び/又は葉の粉砕末の含有量が、乾燥質量で20質量%以上であることを特徴とする、[1]に記載の整腸剤。
[3]前記整腸剤の固形分中の前記大麦の茎及び/又は葉の粉砕末の含有量が、乾燥質量で80質量%以下であることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の整腸剤。
本発明の整腸剤によれば、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することにより、糞便量の増加、摂取物の腸内通過時間の短縮などの便通改善;及び腸内粘膜の増加、それに伴う腸内に棲息する有用細菌の増加又は活性化、糞便の嵩の増大などの腸内環境改善といった整腸作用が期待できる。また、本発明の整腸剤は、経口投与することによっても整腸作用を示し得ることから、本発明の整腸剤は、日常的な使用態様で使用することが可能である。
本発明の整腸剤は、便秘の改善、免疫賦活、有害微生物代謝産物、有害酵素の抑制、生活習慣病の予防、アレルギー体質の改善などの種々の効果が期待できる。
図1は、整腸剤の実施例に係るコントロール、比較例1及び実施例1〜3の乾燥糞便重量(g)の測定結果を示した図である。数値は平均値を表わす。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1.大麦の茎及び/又は葉の粉砕末]
大麦の品種としては実に3万種以上の品種があることが知られているところ、本発明においては、ファイバースノウ、シルキースノウ、シュンライ、イチバンボシ及びはるしずく(特定品種)から選ばれる少なくとも1の品種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を用いる。本明細書では、「茎及び/又は葉」を茎葉とよぶ場合がある。
特定品種の大麦は、例えば精麦用として、具体的には、麦味噌、麦茶、焼酎、ビールなどの原料として一般的に用いられているものである。本発明においては、これらの品種のうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。大麦の茎葉の粉砕末は、大麦の葉、茎又はその両方であり、葉及び茎はそれぞれその一部又は全部であってもよい。
特定品種の大麦の茎葉は、成熟期前、すなわち分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されることが好ましい。大麦の茎葉は、収穫後、直ちに処理されることが好ましい。処理までに時間を要する場合、大麦の茎葉の変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵される。
大麦の茎葉を粉砕末化するには従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、大麦の茎葉に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回でも、2回以上の処理を組合せてもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を組合せることが好ましい。
ブランチング処理とは、茎葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、ブランチング処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。
熱水処理としては、例えば、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水又は水蒸気中で、大麦の茎葉を60〜180秒間、好ましくは90〜120秒間処理する方法などが挙げられる。また、熱水処理に際して、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を用いることが好ましく、炭酸水素の塩を熱水に溶解することにより、大麦の茎葉の緑色をより鮮やかにすることができる。
蒸煮処理としては、常圧又は加圧下において、大麦の茎葉を水蒸気により蒸煮する処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理が好ましい。間歇的蒸煮処理において、水蒸気により蒸煮する処理は、例えば、20〜40秒間、好ましくは30秒間行われる。蒸煮処理後の冷却処理は、直ちに行われることが好ましく、その方法は特に限定されないが、冷水への浸漬、冷蔵、冷風による冷却、温風による気化冷却、温風と冷風とを組み合わせた気化冷却などが用いられる。このうち温風と冷風とを組み合わせた気化冷却が好ましい。このような冷却処理は、大麦の茎葉の品温が、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下となるように行われる。また、ビタミン、ミネラル、葉緑素などの栄養成分に富んだ大麦の茎葉の粉末を製造するためには、間歇的蒸煮処理を2〜5回繰り返すことが好ましい。
殺菌処理は当業者に通常知られている処理であれば特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理であるということができる。乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合、ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。また乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により茎葉が変色しない温度及び時間で行われ得る。
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された大麦の茎葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを大麦の茎葉の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に大麦の茎葉の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、大麦の茎葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
具体的な粉砕末の製造方法としては、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004−000210号公報を参照)。この他にも、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002−065204号公報、特許第3428956号公報を参照);大麦の茎葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003−033151号公報、特許第3277181号公報を参照)などが挙げられる。
大麦の茎葉の粉砕末の特性は特に限定されないが、例えば、その安息角について、20°〜80°が好ましく、30°〜70°がより好ましく、40°〜60°がさらに好ましく、45°〜55°がなおさらに好ましい。なお、安息角の測定方法は、安息角測定器(アズワン、ASK−01)を用いて、サンプル約50gを高度12cmから半径4.3cmのシャーレ中央に落下させ、次いで山型に堆積したサンプルの高さを測定し、次いでシャーレの半径及び堆積したサンプルの高さから下記式にて安息角を算出できる。
安息角=tan−1(b/a)×180÷π(式中、a=シャーレ半径、b=堆積したサンプルの高さを表わす。)
本発明に用いられる特定品種の大麦の茎葉の粉砕末は、水不溶性食物繊維を含み得る。粉砕末に含まれる水不溶性食物繊維は、乾燥質量換算で20質量%以上、好ましくは30質量%以上含有することが好ましく、20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜60質量%含有することがより好ましい。
[2.整腸剤]
本発明は、大麦の茎葉の粉砕末を含有する整腸剤に関するものである。
本発明の整腸剤は、整腸作用を有する物質として、シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウ(特定品種)のいずれか1種又は2種以上の大麦の茎葉の粉砕末を少なくとも含有する。
本発明の整腸剤は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することによって、整腸作用を有するだけでなく、色が鮮やかであることによる見た目の美しさと、風味の良好さとを両立することができるものである。
本発明の整腸剤において、大麦の茎葉の粉砕末の含有量は、本発明の課題を解決し得る限り特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の乾燥質量換算で、0.1wt%以上100wt%以下であり、好ましくは5wt%以上90wt%以下であり、より好ましくは8wt%以上80wt%以下であり、さらに好ましくは10wt%以上70wt%以下である。大麦の茎葉の粉砕末の含有量が5wt%より少ない場合、所望の整腸作用が得られない可能性がある。
本発明の整腸剤に用いられる大麦の茎葉の粉砕末は、優れた整腸作用を有する。本発明の技術的範囲はいかなる推論にも拘泥されるわけではないが、例えば、大麦の茎葉の粉砕末を使用することにより、総糞便量(乾燥糞便量)が増大し、さらに糞便中の水分含量が増加して排便に適した便を形成するという保水効果によって湿糞便量が増大し、排泄がスムーズになるという便通改善作用が得られ得る。また、盲腸組織重量及び盲腸内容物重量が増加して腸内発酵が促進されることによって、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸が増加し、盲腸内容物pHが低下する傾向にある。腸内発酵により生成される短鎖脂肪酸は癌細胞増を抑制し、また腸内pHが低下すると病原菌の感染を抑制することによって、腸内環境改善作用が得られ得る。
また、便通改善により、便秘による腸内悪玉細菌の増殖を抑制し、腸内環境が正常に維持及び改善され得る。腸内環境が改善されれば、腸内の有用細菌の働きにより、腸の動きの活性化がなされ、便通が改善され得る。このように、本発明の整腸剤を使用すると、便通改善作用及び腸内環境改善作用が相互作用的に発揮され、結果的に整腸作用が達成できる。また、保水効果やスムーズな排泄は、例えば、痔の防止などとしても有効である。そこで、本発明の別の態様は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有する、便通障害に起因する疾患を予防及び治療するための医薬組成物である。
本発明の整腸剤は、便通改善作用や腸内環境改善作用を有することから、このような作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。本発明の整腸剤は、例えば、特別な処理を加えることなく種々の目的に利用されてもよい。本発明の整腸剤に含有される大麦の茎葉の粉砕末の量は特に限定されず、例えば、整腸剤の利用形態に応じて適宜設定される。
本発明の整腸剤の固形分中、大麦の茎葉の粉砕末の含有量は、乾燥質量で、下限値としては、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がなおさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましく、上限値としては、99.9質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。整腸作用を十分に発揮するためには、大麦の茎葉の粉砕末の含有量が0.1質量%であることが好ましい。
本発明の整腸剤の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定され得るが、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、使用者の体重を基準として、1〜6000mg/kgであり、好ましくは1〜4000mg/kgであり、より好ましくは10〜3000mg/kgであり、さらに好ましくは10〜2000mg/kgである。本発明の整腸剤の1回の使用量についても同様に特に限定されず、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、使用者の体重を基準として、0.5〜3000mg/kgであり、好ましくは1〜2000mg/kgであり、より好ましくは5〜1000mg/kgである。
また、本発明の整腸剤の1回の使用量は、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、0.01〜30g、好ましくは0.05〜20g、より好ましくは0.1〜10g、特に好ましくは0.3〜7gとすることができる。同様に、本発明の整腸剤の1日の使用量は、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、0.01〜100g、好ましくは0.05〜70g、より好ましくは0.5〜50g、特に好ましくは1〜30gとすることができる。
本発明の整腸剤は、大麦の茎葉の粉砕末のみを含むものであってもよいし、大麦の茎葉の粉砕末に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の整腸剤の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
本発明の整腸剤は、整腸作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。本発明の整腸剤は、例えば、経口用又は非経口用の整腸剤とすることができる。
本発明の整腸剤の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口用の整腸剤の形態としては、例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状などの各形態が挙げられる。
本発明の整腸剤の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
本発明の整腸剤は、粉末状(粉末、顆粒などの粉の形態)であって、水と混合した混合物を経口的に使用する形態であると、腐敗を防ぎ長期保存に適することから好ましい。また本発明の整腸剤が粉末状やタブレット状などの固体の形態である場合、上述したように、これを水と混合して液状体となし、経口的に使用することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口的に使用してもよい。
本発明の整腸剤は、従来の大麦の茎葉の粉砕末が有する整腸作用に加えて、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末に由来するビタミン類、ミネラル類などを多く含むため、これを使用することは、健康維持に非常に有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウの茎葉の粉砕末が、便通改善作用を有することにより、格別顕著な整腸作用を示すことを以下のとおりに実証した。
1.被験物質
実施例1〜3として、シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウを用いた。また、比較例1として、イチバンボシを用いた。
2.被験飼料の調製
被験試料として、実施例1〜3及び比較例1の大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分含量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を、ミキサーを用いて、約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、粉砕機を用いて、200メッシュ区分を90%以上が通過するように粉砕処理し、大麦の茎葉の粉砕末を得た。
以下の表1に示す組成のとおりに、大麦の茎葉の粉砕末及びAIN−76をベースとした無繊維高脂肪食(NFHF)を構成する各成分を、乳棒及び乳鉢を用いて飼料中の各成分が均一となるように調製して、10wt%大麦茎葉含有NFHF粉末飼料を得た。また、大麦の茎葉の粉砕末を含まないものとして、NFHF粉末飼料を得た。
Figure 0005953507
3.被験動物
6週齢の雄性Wistar系ラット(九動社)にMF固形飼料(オリエンタル酵母工業社)及び水を5日間自由摂取させて馴化した。馴化後の7週齢の雄性Wistar系ラットについて、体重の平均値がほぼ均一となるように下記表2に示すとおりに群分けし、それぞれの粉末飼料を、給餌開始日を0日目として、自由摂取させて飼育した。ただし、群分けでは、試験開始前(−1〜0日目)の糞便個数に各群で有意差がみられないように考慮した(優先順位:体重値>糞便個数)。
Figure 0005953507
4.評価方法及び結果
試験開始前(−1〜0日目)、試験開始後6〜7、13〜14、20〜21、27〜28日目に、各群の1日分の糞便を回収して、各測定日ごとに個数を測定した。得られた糞便を、インキュベータ内で100℃、3日間以上乾燥させた。乾燥後の糞便重量を測定し、乾燥糞便重量とした。各群の乾燥糞便重量についてまとめたものを図1とした。
図1が示すとおり、乾燥糞便重量は、コントロール群に対して、実施例1〜3群及び比較例1群は総じて多かった。さらに、驚くべきことに、実施例1〜3群については、比較例1群に対して、乾燥糞便重量が多かった。したがって、シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウの大麦茎葉は、使用されることにより糞便量の増大を促進し、便通を改善するという効果を示し、さらにその効果は比較例であるイチバンボシの大麦茎葉が示すものと比べて格段に優れていることが示された。これらの結果から、シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウの大麦茎葉は、使用される被験体に対して、便通改善作用を通じて顕著な整腸作用を示すことがわかった。
本発明の整腸剤は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することにより、従前の便通改善作用を有する物質に比べて、安全性が高く、かつ、優れた便通改善作用を含む整腸作用を示す物質を含有するものであり、排便障害の治療及び予防などの種々の効果が期待できるものである。
本発明は、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品、その他の健康飲食品、医薬用部外品、化粧品、医薬品として利用できる。

Claims (3)

  1. シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する整腸剤。
  2. シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する整腸用組成物
  3. シュンライ、ファイバースノウ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する整腸用飲食品組成物。
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