JP6051353B2 - 血中コレステロール上昇抑制剤 - Google Patents

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Description

本発明は、血中コレステロール上昇抑制剤に関する。
コレステロール(cholesterol)はステロイドに分類される有機化合物であり、その分子式はC2746Oであり、かつ、そのCAS登録番号は57−88−5である。コレステロールそれ自体は、細胞膜の生成、ビタミンDの合成、副腎皮質ホルモンや胆汁酸の生成などに寄与する生体分子であり、生体内での生理現象に重要な役割を担う脂質の一種とされている。
一方で、コレステロールはリポタンパク質と複合体を形成し、リポタンパク質の種類や複合体を形成した後の血液中の挙動などによって、しばしば問題視される。すなわち、高密度リポタンパク質とコレステロールとの複合体(HDLコレステロール)は余剰のコレステロールを細胞外へ運び出す役割を担うので、一般的に「善玉コレステロール」とよばれている。しかし、低密度リポタンパク質とコレステロールとの複合体(LDLコレステロール)は、血液にのってコレステロールを運ぶ役割を担うところ、これが血液中に過剰に増えると、血管内壁に付着し、動脈硬化の原因となり、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞のリスクを高めるようになる。そこで、LDLコレステロールは、一般的に「悪玉コレステロール」とよばれている。
また、余剰のコレステロールは肝臓で処理されるところ、コレステロールがあまりにも多いと、肝臓から排出される際に結晶化し、胆のうや胆管などで結石化して胆石症を招く場合がある。
したがって、血液中に余剰のコレステロールが多くなると、それ自体で、又はLDLコレステロールとなって、生体内で様々な悪影響を与える。そこで、血液中のコレステロールを低下させるために、コレステロールの生合成に重要な役割を担う酵素であるHMG−CoA還元酵素を阻害する薬剤が使用されている。HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、アトルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンなどのスタチンが知られている。
例えば、本出願人は、麦若葉由来の素材を含む抗コレステロール組成物を提案した(特許文献1)。しかしながら、特許文献5には単に麦若葉が抗コレステロール作用に有効であることを記載しているに留まり、より良い効果を得るための大麦品種の探索が必要であった。
一方、大麦の普及品種は収量、病虫害抵抗性の基準等に基づき変遷するため、種子の入手困難性やそれに基づく大麦の茎葉の安定供給の困難性等の問題が生じる。さらに、大麦には3万種以上の膨大な数の品種が知られており(非特許文献1)、前記課題を解決しうる特定の大麦品種の探索は容易ではなかった。
特開2001−314170号公報
米国農務省管轄下の遺伝資源データベース「Germplasm Resources Information Network」における大麦の学名「Hordeum vulgare」の検索結果<https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/view2.aspx?dv=web_taxonomyspecies_view_accessionlist&params=:taxonomyid=19333>
本発明は、従前の血中コレステロール上昇抑制作用を有する物質に比べて、より優れた血中コレステロール上昇抑制作用を示す物質を含有する血中コレステロール上昇抑制剤を提供することを、発明が解決しようとする課題とする。
本出願人は、上記課題を解決するために、種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウ(以下、「特定品種」ともいう)からなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎葉の粉砕末が、大麦の茎葉の粉砕末を含有しないものや大麦の一品種であるニシノホシの茎葉の粉砕末を含有するものと比べて、格別優れた血中コレステロール上昇抑制作用を示すことを見出した。本発明は、かかる成功例や知見に基づき、完成された発明である。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する血中コレステロール上昇抑制剤。
[2]前記血中コレステロール上昇抑制剤の固形分中の前記大麦の茎及び/又は葉の粉砕末の含有量が、乾燥質量で20質量%以上であることを特徴とする、[1]に記載の抗酸化剤。
[3]前記抗酸化剤の固形分中の前記大麦の茎及び/又は葉の粉砕末の含有量が、乾燥質量で80質量%以下であることを特徴とする、[1]又は[2]のいずれかに記載の血中コレステロール上昇抑制剤。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤によれば、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することにより、効率的に血液中のコレステロールの上昇を抑制することができる。また、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、経口投与することによっても血中コレステロール上昇抑制作用を示し得ることから、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、日常的な使用態様で使用することが可能である。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中コレステロールが上昇することに起因する疾患、例えば、脂質異常症(高脂血症)、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、動脈硬化、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、間歇性跛行症、胆石症、ネフローゼ症候群などの疾患を予防又は治療することが期待できる。
図1は、血中コレステロール上昇抑制剤の実施例に係るコントロール群及び被験物質を用いた試験群の血中コレステロール濃度を表わした図である。数値及びバーは平均値±標準偏差を表わす。
以下、本発明を詳細に説明する。
[1.大麦の茎及び/又は葉の粉砕末]
大麦の品種としては実に3万種以上の品種があることが知られているところ、本発明においては、ファイバースノウ、シルキースノウ、シュンライ、イチバンボシ及びはるしずく(特定品種)から選ばれる少なくとも1の品種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を用いる。本明細書では、「茎及び/又は葉」を茎葉とよぶ場合がある。
特定品種の大麦は、例えば精麦用として、具体的には、麦味噌、麦茶、焼酎、ビールなどの原料として一般的に用いられているものである。本発明においては、これらの品種のうち1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。大麦の茎葉の粉砕末は、大麦の葉、茎又はその両方であり、葉及び茎はそれぞれその一部又は全部であってもよい。
特定品種の大麦の茎葉は、成熟期前、すなわち分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されることが好ましい。大麦の茎葉は、収穫後、直ちに処理されることが好ましい。処理までに時間を要する場合、大麦の茎葉の変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵される。
大麦の茎葉を粉砕末化するには従来公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、大麦の茎葉に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じブランチング処理、殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回でも、2回以上の処理を組合せてもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を組合せることが好ましい。
ブランチング処理とは、茎葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、ブランチング処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。
熱水処理としては、例えば、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水又は水蒸気中で、大麦の茎葉を60〜180秒間、好ましくは90〜120秒間処理する方法などが挙げられる。また、熱水処理に際して、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を用いることが好ましく、炭酸水素の塩を熱水に溶解することにより、大麦の茎葉の緑色をより鮮やかにすることができる。
蒸煮処理としては、常圧又は加圧下において、大麦の茎葉を水蒸気により蒸煮する処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理が好ましい。間歇的蒸煮処理において、水蒸気により蒸煮する処理は、例えば、20〜40秒間、好ましくは30秒間行われる。蒸煮処理後の冷却処理は、直ちに行われることが好ましく、その方法は特に限定されないが、冷水への浸漬、冷蔵、冷風による冷却、温風による気化冷却、温風と冷風とを組み合わせた気化冷却などが用いられる。このうち温風と冷風とを組み合わせた気化冷却が好ましい。このような冷却処理は、大麦の茎葉の品温が、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下となるように行われる。また、ビタミン、ミネラル、葉緑素などの栄養成分に富んだ大麦の茎葉の粉末を製造するためには、間歇的蒸煮処理を2〜5回繰り返すことが好ましい。
殺菌処理は当業者に通常知られている処理であれば特に限定されないが、例えば、温度、圧力、電磁波、薬剤などを用いて物理的又は化学的に微生物を殺滅させる処理であるということができる。乾燥処理及び粉砕処理に追加してブランチング処理を行う場合、ブランチング処理は乾燥処理の前に行われることが好ましい。また乾燥処理及び粉砕処理に追加して殺菌処理を行う場合、殺菌処理は、乾燥処理の後か、粉砕処理の前又は後に行われることが好ましい。
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、大麦の茎葉の水分含量が10%以下、好ましくは5%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃〜140℃、好ましくは80℃〜130℃にて加温により茎葉が変色しない温度及び時間で行われ得る。
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された大麦の茎葉は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30〜250メッシュを通過するものを大麦の茎葉の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に大麦の茎葉の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、大麦の茎葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
具体的な粉砕末の製造方法としては、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで水分含量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥し、その後粉砕する方法が挙げられる(特開2004−000210号公報を参照)。この他にも、例えば、大麦の茎葉を切断した後、ブランチング処理を行い、次いで揉捻し、その後、乾燥し、粉砕する方法(特開2002−065204号公報、特許第3428956号公報を参照);大麦の茎葉を乾燥し、粗粉砕した後、110℃以上で加熱し、さらに微粉砕する方法(特開2003−033151号公報、特許第3277181号公報を参照)などが挙げられる。
大麦の茎葉の粉砕末の特性は特に限定されないが、例えば、その安息角について、20°〜80°が好ましく、30°〜70°がより好ましく、40°〜60°がさらに好ましく、45°〜55°がなおさらに好ましい。なお、安息角の測定方法は、安息角測定器(アズワン、ASK−01)を用いて、サンプル約50gを高度12cmから半径4.3cmのシャーレ中央に落下させ、次いで山型に堆積したサンプルの高さを測定し、次いでシャーレの半径及び堆積したサンプルの高さから下記式にて安息角を算出できる。
安息角=tan−1(b/a)×180÷π(式中、a=シャーレ半径、b=堆積したサンプルの高さを表わす。)
本発明に用いられる特定品種の大麦の茎葉の粉砕末は、水不溶性食物繊維を含み得る。粉砕末に含まれる水不溶性食物繊維は、乾燥質量換算で20質量%以上、好ましくは30質量%以上含有することが好ましく、20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは35〜60質量%含有することがより好ましい。
%、より好ましくは35〜60質量%含有することがより好ましい。
[2.血中コレステロール上昇抑制剤]
本発明は、大麦の茎葉の粉砕末を含有する血中コレステロール上昇抑制剤に関するものである。
本発明の本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中コレステロール上昇抑制作用を有する物質として、ファイバースノウ、シルキースノウ、シュンライ、イチバンボシ及びはるしずく(特定品種)のいずれか1種又は2種以上の大麦の茎葉の粉砕末を少なくとも含有する。
血中コレステロール上昇抑制作用は通常知られているとおりの意味の作用であれば特に限定されないが、例えば、血液中でのコレステロールの濃度の上昇が低減、抑制若しくは緩和される作用又は血液内でのコレステロールの濃度が維持若しくは低減される作用をいう。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、特定の品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することによって、血中コレステロール上昇抑制作用を有するだけでなく、色が鮮やかであることによる見た目の美しさと、風味の良好さとを両立することができるものである。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することにより、血中コレステロール上昇抑制作用を示し得る。血中コレステロール上昇抑制作用の程度は特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載されているように、血中コレステロール濃度を測定及び比較することにより評価できる。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が示す血中コレステロール上昇抑制作用は、例えば、コレステロールエステル類がコレステロールエステラーゼの作用により遊離のコレステロールと脂肪酸に分解され、次いで生成したコレステロールが既存の遊離型コレステロールとともにコレステロールオキシダーゼの作用を受けて酸化されると同時に過酸化水素を生じ、次いで生成した過酸化水素がペルオキシダーゼの作用によりDAOSと4−アミノアンチピリンとを定量的に酸化縮合して青色の色素を生成させることを測定原理とするコレステロールオキシダ-ゼ・DAOS法を用いて測定される、空腹時の血中コレステロール濃度が、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤に含有される特定品種の大麦の茎葉の粉砕末と同量のニシノホシの茎葉の粉砕末を用いた場合の血中コレステロール濃度よりも大きい程度の血中コレステロール上昇抑制作用である。
具体的には、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が示す血中コレステロール上昇抑制作用は、例えば、ニシノホシの茎葉の粉砕末を用いた場合と比べて、空腹時の血中コレステロール濃度又は血中総コレステロール濃度が90%以下、好ましくは87%以下である程度の血中コレステロール上昇抑制作用である。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が使用されることによって、血中コレステロール濃度が130〜200mg/dL、血中総コレステロール濃度が220mg/dL未満に維持されることが好ましい。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中コレステロール上昇抑制作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。例えば、特別な処理を加えることなく種々の目的に利用されてもよい。なお、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、同時的に使用した脂肪分などの血中コレステロール上昇成分の影響だけではなく、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の使用の前又は後に使用した血中コレステロール上昇成分の影響を緩和又は低減することが期待できる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の固形分中、大麦の茎葉の粉砕末の含有量は、乾燥質量で、下限値としては、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がなおさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましく、上限値としては、99.9質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。血中コレステロール上昇抑制作用を十分に発揮するためには、大麦の茎葉の粉砕末の含有量が0.1質量%であることが好ましい。なお、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が血中コレステロール上昇成分を多く含む場合は大麦の茎葉の粉砕末の使用量を多くし、大麦の茎葉の粉砕末とは異なるその他の血中コレステロール上昇抑制成分をさらに含む場合は大麦の茎葉の粉砕末の使用量を減じることができる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定され得るが、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、使用者の体重を基準として、1〜6000mg/kgであり、好ましくは1〜4000mg/kgであり、より好ましくは10〜3000mg/kgであり、さらに好ましくは10〜2000mg/kgである。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の1回の使用量についても同様に特に限定されず、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、使用者の体重を基準として、0.5〜3000mg/kgであり、好ましくは1〜2000mg/kgであり、より好ましくは5〜1000mg/kgである。
また、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の1回の使用量は、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、0.01〜30g、好ましくは0.05〜20g、より好ましくは0.1〜10g、特に好ましくは0.3〜7gとすることができる。同様に、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の1日の使用量は、例えば、大麦の茎葉の粉砕末の質量換算で、0.01〜100g、好ましくは0.05〜70g、より好ましくは0.5〜50g、特に好ましくは1〜30gとすることができる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、大麦の茎葉の粉砕末のみを含むものであってもよいし、大麦の茎葉の粉砕末に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中コレステロール上昇抑制作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、例えば、経口用又は非経口用の血中コレステロール上昇抑制剤とすることができる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口用の血中コレステロール上昇抑制剤の形態としては、例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状などの各形態が挙げられる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、粉末状(粉末、顆粒などの粉の形態)であって、水と混合した混合物を経口的に使用する形態であると、腐敗を防ぎ長期保存に適することから好ましい。また本発明の血中コレステロール上昇抑制剤が粉末状やタブレット状などの固体の形態である場合、上述したように、これを水と混合して液状体となし、経口的に使用することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口的に使用してもよい。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は血中コレステロール上昇抑制作用を有することにより、これを使用することは、血中コレステロールが上昇することに起因する疾患の罹患者及びそのリスクがある者に対しての健康維持に有用であり、特に脂質異常症(高脂血症)、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、動脈硬化、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、間歇性跛行症、胆石症、ネフローゼ症候群などの疾患の罹患者や血中総コレステロール濃度が220mg/dl以上である者、肥満者及び40歳以上の壮年期、中年期及び高年期にある中高年者の健康維持に非常に有用である。本発明の別の態様は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有する、上記の血中コレステロールが上昇することに起因する疾患を予防及び治療するための医薬組成物である。なお、本明細書でいう肥満とは、BMI(BodyMassIndex;肥満指数)が25以上である状態や腹囲(へそを通るウエスト周囲径)が男性であれば85cm以上であり、女性であれば90cm以上である状態をいう。
また、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、従来の大麦の茎葉の粉砕末が有する血中コレステロール上昇抑制作用に加えて、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末に由来するビタミン類、ミネラル類などを多く含むことから、これらに基づく副次的な効果を奏し、使用者の健康維持に資する。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウの大麦茎葉の粉砕末が、格別顕著な血中コレステロール上昇抑制作用を示すことを以下のとおりに実証した。
1.被験物質
実施例1〜5として、はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウを用いた。また、比較例1としてニシノホシを用いた。
2.被験試料の調製
被験試料として、上記の実施例及び比較例の大麦の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5〜10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90〜100℃の熱湯で90秒間〜120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間〜180分間、80℃〜130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を、ミキサーを用いて、約1mmの大きさに粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、粉砕機を用いて、200メッシュ区分を90%以上が通過するように粉砕処理し、大麦の茎葉の粉砕末を得た。
以下の表1に示す組成のとおりに、大麦の茎葉の粉砕末及びAIN−76をベースとした無繊維高脂肪食(NFHF)を構成する各成分を、乳棒及び乳鉢を用いて飼料中の各成分が均一となるように調製して、10wt%大麦茎葉含有NFHF粉末飼料を得た。また、大麦の茎葉を含まないものとして、NFHF粉末飼料を得た。
Figure 0006051353
3.被験動物
6週齢の雄性Wistar系ラット(九動社)にMF固形飼料(オリエンタル酵母工業社)及び水を5日間自由摂取させて馴化した。馴化後の7週齢の雄性Wistar系ラットについて、体重の平均値がほぼ均一となるように下記表2に示すとおりに群分けし、それぞれの粉末飼料を、給餌開始日を0日目として、28日間自由摂取させて飼育した。ただし、群分けでは、試験開始前(−1〜0日目)の糞便個数に各群で有意差がみられないように考慮した(優先順位:体重値>糞便個数)。
Figure 0006051353
4.評価方法
給餌29日目に、一晩絶食させたラットの静脈より一定量採血した。採血後、血液試料を30分間以上室温で放置した後、遠心(8000rpm、20分、4℃)に供することにより、血清を採取した。血清は、コレステロール濃度の測定に供するまで、−30℃にて保存した。得られた血清を用いて、血中コレステロール濃度を、市販のキットであるコレステロールE−テストワコー(和光純薬工業社)を用いて血清中総コレステロール量として測定した。測定結果を図1に示す。
5.血中コレステロール上昇抑制作用の評価結果
図8に示されているとおり、血中コレステロール濃度は、コントロール群に対して、被験物質を用いた試験群の方が総じて低かった。驚くべきことに、実施例群(はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウ)については、比較例群(ニシノホシ)に対して、血中コレステロール濃度が低くなるという傾向を示した。したがって、はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウの茎葉末は、摂取されることにより、血中コレステロール濃度を低下する、ひいては血中コレステロール上昇を抑制するという効果を有することが示された。
以上の結果から、はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウが血中コレステロール上昇抑制作用を有することが明らかとなった。すなわち、はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウの大麦茎葉は血中コレステロール上昇抑制剤として有用な素材であることが明らかとなった。
本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、特定品種の大麦の茎葉の粉砕末を含有することにより、日常的な使用態様によって血中コレステロール上昇抑制作用が期待できるものであり、血中コレステロールの上昇に不安を抱える者の健康維持に有用である。したがって、本発明の血中コレステロール上昇抑制剤は、血中コレステロール上昇に関連する疾病、例えば、高脂血症、動脈硬化、ネフローゼ症候群などの疾病を予防又は治療することができるものであることから、これらの疾病に纏わる医療費の低減や労働力低下の解消など、国民経済全体に資するものである。
本発明は、特定保健用飲食品、栄養機能飲食品、保健機能飲食品、特別用途飲食品、栄養補助飲食品、健康補助飲食品、サプリメント、美容飲食品、その他の健康飲食品、医薬用部外品、化粧品、医薬品として利用できる。

Claims (3)

  1. はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する血中コレステロール上昇抑制剤。
  2. はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する血中コレステロール上昇抑制用組成物
  3. はるしずく、シュンライ、ファイバースノウ、イチバンボシ及びシルキースノウからなる群から選ばれる少なくとも1種の大麦の茎及び/又は葉の粉砕末を含有する血中コレステロール上昇抑制用飲食品組成物
JP2015249928A 2015-03-09 2015-12-22 血中コレステロール上昇抑制剤 Active JP6051353B2 (ja)

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