JP3585561B2 - 洗濯用タグ、洗濯用タグシートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、洗濯用のタグ、すなわち、クリーニング店での洗濯物の受付から返却するまでの間において、顧客または受付クリーニング店などに関する情報、クリーニング情報などの各種の情報を文字や記号(バーコードも含む)により管理するための、洗濯物に取り付けられるタグ(ランドリーチケットとも呼ばれる)、タグを含む洗濯用タグシートおよびその製造方法に関する。
【0002】
特に、細長い基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられ、洗濯物の一部に潜らせ(挿通させ)た後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われる、特にドライクリーニングおよび水洗濯が行われるタグに関するものである。
【0003】
【従来の技術】
この種の洗濯用タグは、現在の主流は、基材、一般には耐水性の紙基材からなるタグの端部をステープルで止め付けるものである。しかし、この場合には、洗濯過程において、ステープルが衣類に引っ掛かり、衣類を損傷する難点がある。
【0004】
そこで、実開平2−111178号においては、細長い基材の長手方向端部に粘着剤層を設け、洗濯物の一部に潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付け、その取付状態でドライクリーニングに供するものが提案されている。特に、この提案は、基材にプラスチックフィルム層を重合し、そのフィルム層に粘着剤層を形成することを要点としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、前記の先行技術は、フィルム層を基材と粘着剤層との間に介在させることにより、ドライクリーニング用溶剤の粘着剤層への浸透を可能な限りフィルム層により遮断することにより防止する目的であり、実際に、その粘着剤の例示は、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂に留まる。
【0006】
クリーニング業界では、汚れの程度に応じて、ドライクリーニングのみの場合、水洗濯のみの場合、ドライクリーニングを行った後に水洗濯を行う場合があるが、最近では、両者を行うことが増加している。
【0007】
したがって、洗濯用タグの粘着剤としては、耐溶剤性と耐水性の両者が要求される。しかし、本発明者らのその後の研究によれば、先行技術において例示されたいずれの粘着剤も耐溶剤性と耐水性の両者を備えるものはなく、粘着剤の面からでなく、タグの構造の面から解決しようとしたものである。
【0008】
しかしながら、フィルム層を設けたとしても、根本的な解決にはならないことが判った。
【0009】
そこで、本発明の課題は、耐溶剤性および耐水性に優れ、ドライクリーニングおよび水洗濯の両者に耐え得る洗濯用タグおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
細長い基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグにおいて、
前記粘着剤層が、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とで構成され、かつ前記基材に対して、その末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層が形成されている、ことを特徴とする洗濯用タグ。
【0011】
〔請求項2記載の発明〕
細長い基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグにおいて、
前記粘着剤層が、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とで構成され、かつループの片側に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層が形成され、かつループの他側に耐水性の粘着剤層のみが前記片側の耐水性の粘着剤層と対向する位置に形成されている、ことを特徴とする洗濯用タグ。
【0012】
〔請求項3記載の発明〕
基材が紙基材であり、かつその粘着剤層の形成がわ面に液の液浸透防止層が形成され、この液浸透防止層上に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層が形成されている請求項1又は請求項2記載の洗濯用タグ。
【0013】
〔請求項4記載の発明〕
液浸透防止層が、粘着性を示さずかつ180℃以下の温度では軟化しない耐熱性を有するアクリル樹脂のエマルジョンからなる、請求項3記載の洗濯用タグ。
【0014】
〔請求項5記載の発明〕
ドライクリーニングおよび水洗濯に供されるものである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の洗濯用タグ。
【0015】
〔請求項6記載の発明〕
請求項1〜5のいずれか一つに記載の洗濯用タグが多数隣接されており、これらが離型処理された剥離シート上に仮接着されている、ことを特徴とする洗濯用タグシート。
【0016】
〔請求項7記載の発明〕
洗濯用タグがドライクリーニングおよび水洗濯に供されるものである、請求項6記載の洗濯用タグシート。
【0017】
〔請求項8記載の発明〕
細長い基材の長手方向末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層がそれぞれ設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記両粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグが仮接着されてい る洗濯用タグシートを得るに際して、
両面が離型処理された剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に耐溶剤性及び耐水性のいずれか一方の性質を有する第1粘着剤を塗布し、乾燥後に巻取り、第1粘着剤塗布原反を得て、
他方で、基材シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に他方の性質を有する第2粘着剤を塗布、乾燥し、前記第1粘着剤塗布原反と、第1粘着剤層と第2粘着剤層とが同一の面にあるように重合した後、半製品ロールとして巻取り、
前記半製品ロールを繰り出して、平判加工により、所定のタグ寸法にて基材にスリットを入れて、剥離シート上にタグを残したものを得る、ことを特徴とする洗濯用タグシートの製造方法。
【0018】
〔請求項9記載の発明〕
細長い基材の長手方向末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層がそれぞれ設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記両粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグが仮接着されている洗濯用タグシートを得るに際して、
片面のみが離型処理された第1片面剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に耐溶剤性及び耐水性のいずれか一方の性質を有する第1粘着剤を塗布し、乾燥後に、基材シートと重合しながら巻取り、第1粘着剤塗布重合ロール原反を得て、
他方で、片面のみが離型処理された第2片面剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に他方の性質を有する第2粘着剤を塗布、乾燥させて第2粘着剤塗布重合シートを得るとともに、
前記第1粘着剤塗布重合ロール原反を繰り出しながら、前記第1片面剥離シートを前記基材シートから剥がしつつ、基材シートのみを貼り合わせ部位に供給し、
この貼り合わせ部位において、前記基材シートと前記第2粘着剤塗布重合シートとを貼り合わせながら、半製品ロールとして巻取り、
前記半製品ロールを繰り出して、平判加工により、所定のタグ寸法にて基材にスリットを入れて、剥離シート上にタグを残したものを得る、ことを特徴とする洗濯用タグシートの製造方法。
【0019】
【作用】
本発明の洗濯用タグは、細長い基材、たとえば耐水性紙基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられたものであり、洗濯物の一部、たとえばボタンホール、ズボンのベルト通し、スーツのネックのブランド表示タグに潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯、たとえばドライクリーニングおよび水洗濯が行われる用途のものである。
【0020】
本発明では、前記粘着剤が、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とで構成され、かつ前記基材に対して異なる領域に形成されている。
【0021】
したがって、ドライクリーニング時において、使用する溶剤により耐水性の粘着剤の粘着力が低下するとしても、耐溶剤性の粘着剤が必要な接着力を保持し、その後、水洗濯時において使用する水により耐溶剤性の粘着剤の粘着力が低下するとしても、耐水性の粘着剤が必要な接着力を保持する。したがって、全洗濯工程において、タグが洗濯物から剥がれ落ちることがない。
【0022】
なお、粘着剤は、溶剤または水に接触して粘着力が低下したとしても、溶剤または水に溶出しない限り、その溶剤または水との接触を絶てば、元の粘着力を回復する傾向がある。したがって、本発明においては、一方の粘着剤層の粘着力が低下したとしても、他の粘着剤層の粘着力によりタグがループ状態を保持し剥離が防止されるために、たとえばドライクリーニング洗濯工程が終了したならば、耐水性の粘着剤の粘着力が回復し、水洗濯に耐えるようになり、結果として、本発明の構造が有効に機能する。
【0023】
これに対して、耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層相互を重ね合わせる場合について検討したが、この場合には、一方の層の粘着剤力が溶剤または水に接触して低下した場合には、たとえば耐水性の粘着剤層の粘着剤力が低下した場合には、他にループ形状を支えるものがないために、剥離することがあり、結果として、初期の機能を果たさなくなる。
【0024】
本発明において、基材に対してその末端側に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側に耐水性の粘着剤層が形成されているのが好ましい。すなわち、タグループは末端側から剥がれる傾向があるので、最初にドライクリーニングが行われるために、剥がれるのを防止することを目的として、耐溶剤性の粘着剤層を末端側に形成するものである。
【0025】
本発明のより好適な態様の下では、ループの片側に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層が形成され、かつループの他側に耐水性の粘着剤層のみが前記片側の耐水性の粘着剤層と対向する位置に形成される。したがって、洗濯用タグの使用時においては、耐水性の粘着剤層相互が重ね合わされる。その結果、耐水性の粘着剤層相互がいわゆる自着性を示す。
【0026】
水洗濯の場合には、5〜10分程度のドライクリーニング時間に比較して、30〜60分と長く、接着力の低下が大きい。しかるに、耐水性の粘着剤層は基材に対して製造段階で塗布された後、十分な時間の経過後にクリーニング業者の手元に製品として渡されるので、その時間において、耐水性の粘着剤層が基材に対して十分に馴染み、基材に対して強固に接着される。また、耐水性の粘着剤層相互が自着性を示すので、自着力は高い。したがって、クリーニング業者が使用時においてはじめて、耐水性の粘着剤層を反対側のループ基材に対して接着し、まもなく洗濯に供する場合に比較して、剥離に対する接着の対向力は高いものとなる。その結果、十分に水洗濯に耐えるものを得ることができる。
【0027】
他方で、ループの両端に粘着剤層が形成されていると、たとえばボタンホールにループの一端部を通すときに、粘着剤層の存在によりボタンホールに通し難くなる。したがって、元来、ボタンホールへの挿通性の観点のみからは、ループの片側のみに粘着剤層を形成するのが好ましいけれども、前述のとおり、水洗濯に耐えることを考慮すれば、ループの他側にも耐水性の粘着剤層を塗布する必要がある。また、耐溶剤性の粘着剤層を片側に形成するのみで、耐ドライクリーニング性が得られる。したがって、ループの他側には耐水性の粘着剤層のみを形成し、耐溶剤性の粘着剤層は形成しないことによって、ボタンホールへの挿通性と耐水洗濯性の両者を満足できる。
【0028】
基材はコストの低減の観点から、紙基材であるのが望ましい。また、紙基材であることによって、前述の各種の情報を印刷するときにおいて、印刷適性がプラスチックシートである場合に比較して優れる。
【0029】
このように紙基材であることによる利点は大きい。しかし、反面、紙基材として耐水紙を用いたとしても、ドライクリーニング用の液および水洗濯時における水が紙基材に浸透し、耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層の接着力を低下させる原因となる。
【0030】
そこで、紙基材の粘着剤層の形成がわ面に液の液浸透防止層を形成し、この液浸透防止層上に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層を形成するのが望ましい。
【0031】
この液浸透防止層としては、粘着性を示さず、180℃以下の温度では軟化しない耐熱性を示すものが好適である。この物性を有するものとしては、ポリエスエルの溶剤タイプ、ポリエステルのラミネート、アクリル樹脂のエマルジョン等が挙げられるが、粘着剤との親和性が良好である点より特にアクリル樹脂エマルジョンからなるものが好適に選定される。粘着剤性を示す場合には、ボタンホールへの挿通に邪魔になる。また、洗濯終了後は、アイロンがかけられるので、高温のアイロン温度によっても、軟化して洗濯済の衣類を汚染することを防止する必要がある。したがって、180℃以下の温度では軟化しない耐熱性を有するものが選択される。
【0032】
本発明の洗濯用タグシートは、上記の洗濯用タグが多数隣接されており、これらが離型処理された剥離シート上に仮接着されているものとされる。クリーニング業者は、順次洗濯用タグを剥離シートから剥がして、これを衣服に対して取り付けることができる。
【0033】
本発明の製造方法に関する事項は、後記の実施例とともに説明する。
【0034】
【実施例】
以下本発明を図面を参照しながら実施例によりさらに詳説する。
<第1基本例>
図1および図2は洗濯用タグTを示したもので、基材1、たとえば耐水性の細長い紙基材の長手方向端部に、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とが、基材1に対して異なる領域に形成されている。
【0035】
本発明における好適な態様の下では、基材1に対してその末端側に耐溶剤性の粘着剤層2が、その内側に耐水性の粘着剤層3が形成されている。
【0036】
このタグTは、使用前においては、各粘着剤層2,3が露出していると、取扱に不便であるために、剥離シート4が予め重ね合わされ、使用時においては、剥離シート4からタグTを剥離し、図2に示すように、洗濯物、たとえばワイシャツのボタンホール5に他端部を潜らせた後、粘着剤層2,3と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態でドライクリーニングおよび水洗濯が行われる。
【0037】
図2から想像できるように、ループ形状とした場合には、先端部から剥がれ易い。また、最初のドライクリーニングが行われる。したがって、基材1の末端側に耐溶剤性の粘着剤層2が形成され、その内側に耐水性の粘着剤層3が形成される。しかしながら、粘着剤の選定などにより、逆であってもよい。
【0038】
図3に示すように、粘着剤層2,3は、タグTの長手方向に沿ってストライプ状に形成することもできる。さらに、粘着剤層2,3は、図4に示すように、散点状に形成することもできる。このように、基材1に対して異なる領域に粘着剤層2,3を形成する限り、その形成態様に限定されるものではない。また、異なる領域に粘着剤層2,3が存在する限り、一部においてラップしている(ただし、一方の層が他方の層内に完全に包含される態様は除く)ことも可能である。タグTの寸法や形状は、目的に応じて、適宜選定できるが、1cm×8cm程度のものが汎用性がある。
【0039】
<第2基本例>
他方、上記例は、耐溶剤性の粘着剤層2および耐水性の粘着剤層3が基材1の長手方向一端部のみに形成されたものであるが、より好適には、図5〜図7に示すように、紙基材1の長手方向の一端部、したがって使用状態においては、ループの片側に、耐溶剤性の粘着剤層2および耐水性の粘着剤層3Aが形成され、かつループの他側に耐水性の粘着剤層3Bのみが前記片側の耐水性の粘着剤層3Aと対向する位置に形成されている構造が、前記の作用の欄に記載の理由によって、特に好適である。図7は、衣服への取り付け状態を示すものである(ただし、衣服は図示していない)。
【0040】
また、基材1が特に紙基材であるときに、紙基材1の粘着剤層2,3A,3Bの形成がわ面に液の液浸透防止層5を形成するのが望ましく、この液浸透防止層5上に耐溶剤性の粘着剤層2および耐水性の粘着剤層3A,3Bが形成される。
【0041】
この液浸透防止層は、粘着性を示さずかつ180℃以下の温度では軟化しない耐熱性を有するアクリル樹脂のエマルジョンからなるものが好適である。
【0042】
<第1の製造方法(両面剥離シートを用いる場合)>
このようなタグ、特に図1に示すタグTの製造に際しては、次記のようにして製造できる。すなわち、図8に示すように、両面がシリコーンなどにより離型処理された剥離シート原反10を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に第1粘着剤、たとえば耐水性粘着剤3をコータ11により塗布し、ドライヤー12により乾燥後に巻取り、第1粘着剤塗布原反13を得る。なお、同図において(図9も同様)、粘着剤はストライプ状に塗布されるが、塗布面を表すために図示してあるので、そのストライプ状には図示されてはいない。
【0043】
他方で、図9に示すように、基材シート1の原反20を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に第2粘着剤、たとえば耐溶剤性粘着剤2をコータ21により塗布し、ドライヤー22により乾燥した後、前記第1粘着剤塗布原反13と、第1粘着剤層3と第2粘着剤層2とが同一の面にあるように重合ロール23により重合した後、半製品ロール24として巻取る。この場合、図1にも示されているように、第1粘着剤層3と第2粘着剤層2とは隣接するように、塗布位置および重合の位置合せが行われる。
【0044】
次いで、半製品ロール24を繰り出して、平判加工により、所定のタグT寸法にて基材にスリットを入れて、剥離シート上にタグTを残したものを得る。この加工形態としては適宜であり、たとえば、図10に示すように、原剥離シート4Aを残して、原基材1Aのみ(各粘着剤層を含む)にタグTの幅でスリットSを入れるとともに、タグTの長さごと切断線Cで切断し、同図左右方向に所定の長さの重合シートを得る。
【0045】
かかる所定寸法の剥離シート4に多数枚のタグT,T…が貼り合わされた重合シートは、使用時において、剥離シート4から、1枚ごとタグTを剥離して、洗濯物に取り付ける。
【0046】
粘着剤の塗布に際しては、適宜のコータを用いることができる。好適には、図11に示すように、コンマコータ30を用いることができるものの、この場合には、ストライプ塗工が困難であるために、同図に示されているように、たとえばポリエステルフィルムなどのフィルム31で粘着剤のダムを構成するとともに、幅方向に間隔を置いてスリット31a,31a…を形成し、そのスリット31a,31a…を通して粘着剤を塗布することができる。
【0047】
その他、図12に示すように、塗布ヘッド32A,32Bを幅方向に並べたカーテンコータを用いてもよい。この場合には、各塗布ヘッド32A,32Bからの粘着剤層を一部ラップして塗布することができる。また、図示してないが、エアーナイフコータ、グラビアコータ、ブレードコータ、ロールコータなどを用いることができる。
【0048】
<第2の製造方法(片面剥離シートを用いる場合)>
前記の第1製造方法では、両面剥離シートを用いた。この両面剥離シートを用いる場合にはいくつかの問題がある。第1に、製品化した後において、洗濯用タグの外面に各種の情報用印刷を行う際において、両面剥離シートの下面が滑り、いわゆる見当合せを行い難い。第2に、図9の状態から明らかなように、基材シート1を乾燥機に通すので、全幅当たり約3mm程度の収縮が生じ、先に塗布した耐水性粘着剤3と、塗布する耐溶剤性粘着剤2との幅方向の位置ずれが生じる。第3に、図8および図9に示すように、テンション調整用ロール14,25に各粘着剤3,2が当たるために、これを仮想線で示すようにパスして巻取を行う必要が生じ、結果として良好なテンションコントロールを行い難い。
【0049】
これに対して、次述の片面剥離シートを用いる場合にはかかる問題はなく、好適に製造が可能である。
【0050】
すなわち、図5〜図7の洗濯用タグを得る場合における例をもって説明すると、まず、図13に示すように、基材1のシート原反40を繰り出しながら、実質的にその全面に液浸透防止層5をキスコーター41により塗布形成した後、乾燥機42を通して乾燥した後、基材シート1Aの基材ロール43として巻き取る。
【0051】
次いで、図14に示すように、片面のみが離型処理された第1片面剥離シート44の原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に第1粘着剤3A,3Bをコータ21により塗布し、乾燥後に、基材ロール43から繰り出した基材シート1Aと重合しながら巻取り、第1粘着剤塗布重合ロール原反45を得る。
【0052】
他方で、図15に示すように、片面のみが離型処理された第2片面剥離シート原反46を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に第2粘着剤2を塗布、乾燥させて第2粘着剤塗布重合シートを得るとともに、前記第1粘着剤塗布重合ロール原反45を繰り出しながら、第1片面剥離シート44を、第1粘着剤3A,3Bを塗布済の基材シート1Aから剥がしつつ、基材シート1Aのみを貼り合わせ部位、図示例においては重合ロール23に供給し、この貼り合わせ部位において、基材シート1Aと第2粘着剤塗布重合シートとを貼り合わせながら、半製品ロール47として巻取る。
【0053】
かくして得られた半製品ロール47については、基本的に第1の製造方法と同様に、半製品ロール47を繰り出して、図16に示すように、平判加工により、所定のタグT寸法にて基材にスリットを入れて、第2剥離シート上にタグTを残したものを得る。すなわち、タグTの幅でスリットSを入れるとともに、タグTの長さごと切断線Cで切断し、同図左右方向に所定の長さの重合シートを得る。
【0054】
〔その他〕
本発明において、耐溶剤性粘着剤および耐水性粘着剤は、前記に例示などの公知のものを用いることができるものの、好適には、アクリル系のものである。特に、架橋タイプのものが望ましく、たとえば、ドライクリーニングに対しては、溶剤系のイソシアネート架橋のアクリル粘着剤を、水洗濯に対しては、水溶性のエポキシ架橋のアクリル粘着剤を挙げることができる。各粘着剤の塗布量としては、乾燥膜厚で10〜100μm 、最適には20〜5μm である。目付量としては、それぞれ10〜70g/m2 、特に30〜50g/m2 が好ましい。
【0055】
本発明における基材としては、コストの面から紙が最適であるが、フィルムや不織布、あるいはそれらの積層シートなどを用いることもできる。タグに対しては、各種の情報を文字や記号、あるいはバーコードなどを書き込むために、紙が印刷適性の点で最適である。印刷適性のほか、耐水性や耐溶剤性を高めるために、粘着剤が塗布されていない他面に、各種の処理剤などを塗布または含有させることができる。
【0056】
前記の液浸透防止層5は各粘着剤層2,3A,3Bのアンダーコート層でもある。この液浸透防止層5は、ドライクリーニングおよび水洗濯の両者が行われる事を前提とすれば、耐トリクレン性および耐水性の両者を兼ね備える必要がある。また、アイロンかけに対する耐熱性をも有することが望ましいので、このための材料としては、耐熱アクリルエマルジョン、特にホルマリンで架橋した耐熱アクリルエマルジョンが望ましい。具体的には、各種のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの単独重合体、あるいは、これらを、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸と共重合させた共重合体をも含む。
【0057】
液浸透防止層5の目付量としては、3〜20g/m2 、特に3〜10g/m2 が望ましい。
【0058】
この液浸透防止層5を形成する代わりに、あるいは液浸透防止層5の形成とともに、紙基材1の反対面(粘着剤層が形成されていない面)にプラスチックラミネート層を形成することができる。このラミネート層の材料としては、ポリエチレンではアイロンの熱により溶融してしまうので、耐熱性に優れるポリプロピレンが望ましい。ラミネート層は、熱溶融により紙基材1に積層するほか、適宜のホットメルト接着剤により積層することができる。
【0059】
図17は本発明の洗濯用タグTへの情報表示例を示すもので、中央を挟んで左側に顧客名を、右側に受付日を印刷により表示したものである。また、同図のように、ボタンホールに挿入し易くするために、一方端を斜めにカットすることができる。なお、前述のとおり、表示例はこれに限定されない。
【0060】
一方で、前述のとおり、基材としては、紙からなるものが、コストのほか、折れ曲がりや感触性の点で好適である。しかし、この種の洗濯用タグは、水洗濯時において水の浸透を完全に防止することができないばかりでなく、洗濯機内に水流により強大な剪断力を受ける。その結果、紙基材において層間剥離を生じる。
【0061】
端部相互を重ね合わせステープルで止め付ける場合には、仮に若干の層間剥離を生じても、そのステープルが衣服からの洗濯用タグの外れを防止するので比較的問題は少ない。これに対して、本発明では粘着剤のみで洗濯用タグを衣服に止め付けるものであり、ステープルを用いるものではないので、必要とされる紙の物性としては、紙基材のZ軸方向(すなわち面と直交する方向)の動的剥離強度(インターナルボンド)〔参考規格TAPPI UM-403,584〕としては、2.5〜4.0kg−cm、特に3.0〜3.5kg−cmが望ましい。また、湿潤強度〔規格JIS P 8135〕としては、縦(抄紙方向)で4.5〜6.5(より好適には5.3〜6.0)kgが、横で3.0〜5.0(より好適には3.8〜4.5)kgが望ましい。
【0062】
(実験例)
次に、本発明の効果は実験例により明らかにする。
<実験例1>
予備実験により、粘着剤としては、アクリル系の架橋タイプのものが好適であることが判明したので、その種の粘着剤により各種の実験を行った。
【0063】
すなわち、表1に示すように、5社により市販されている合計9種類の粘着剤について、硬化剤の配合部数を変えながら、紙基材に塗布した後、これを1cm×8cmの短冊状に切断し、タグを得た。
【0064】
この13種類のタグについて、耐水洗濯性および耐ドライクリーニング性を調べた。耐水洗濯性については、JIS L 0844に規定のA−4法およびA−5法に準じて、高分子洗剤0.5%、過炭酸ソーダ0.5%、メタ珪酸ソーダ0.5%のものを用いた。耐ドライクリーニング性については、JIS L 0860の規定により、パークロルエチレンを用いるとともに、耐ゾール性としてジャパンエナジー社製の石油系溶剤「ホワイトN10」を用いた。試験は、前記試料を2つ折りにして貼り合わせ、各液中に浸漬し、30分間、マグネティックスターラーにより攪拌した後、試料を取り出して、接着面のはずれがあるものを×、外れはないものの接着力が著しく低下したものを△、接着面の外れも接着力の低下も実質的にないものを○としたものであり、結果を表1に合わせて示す。
【0065】
【表1】
【0066】
これらの結果から、全てを満足するものが見出せないことが判明した。
【0067】
<実験例2>
実験例1で特に好適であった試料6および9を選択し、図1に示すタグを得て、同様の実験を行ったところ、剥離が全くみられなかった。その後、前記の製造方法により、実機により大量のサンプルを製造し、現実に、50枚のワイシャツのボタンホールにタグを取付けて、ドライクリーニングおよび水洗濯を行った(ドライクリーニング時間7分および水洗濯時間40分)ところ、いずれもタグが剥がれることがなかった。
【0068】
<実験例3>
実験例1で特に好適であった試料6および9を選択し、図1に示すタグと、図5および図6に示すタグについて、現実に、各50枚のワイシャツのボタンホールにタグを取付けて、実験例より過酷なドライクリーニング時間15分および水洗濯時間80分で洗濯を行ったところ、図1のタグについては、ドライクリーニング時には、いずれもタグが剥がれることがなかったが、水洗濯時において2枚のタグの剥がれが生じたのに対して、図5および図6に示すタグについて全く剥がれが生じなかった。
【0069】
<実験例4>
実験例1で特に好適であった試料6および9を選択し、図5および図6に示すタグについて、現実に、100枚のワイシャツのボタンホールにタグを取付けて、各50枚ごと、20分のドライクリーニングのみ、100分の水洗濯のみで洗濯を行ったところ、いずれの洗濯の場合にも、全く剥がれが生じなかった。
【0070】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、耐溶剤性および耐水性に優れ、ドライクリーニングおよび水洗濯の単独の場合のほか、両洗濯にも耐え得る洗濯用タグを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る洗濯用タグの第1基本例の斜視図である。
【図2】その取付状態縦断面図である。
【図3】粘着剤の塗布態様の変形例を示す平面図である。
【図4】粘着剤の塗布態様の他の変形例を示す平面図である。
【図5】本発明に係る洗濯用タグの第2基本例の縦断面図である。
【図6】その斜視図である。
【図7】その取付状態縦断面図である。
【図8】本発明に係る第1基本例のタグの第1の製造方法の第1工程を示す概要図である。
【図9】その第2工程を示す概要図である。
【図10】平判加工の説明図である。
【図11】粘着剤の塗工例の斜視図である。
【図12】粘着剤の他の塗工例の斜視図である。
【図13】本発明に係る第2基本例のタグの第2の製造方法の第1工程を示す概要図である。
【図14】その第2工程を示す概要図である。
【図15】その第3工程を示す概要図である。
【図16】平判加工の説明図である。
【図17】洗濯用タグへの情報表示例の平面図である。
【符号の説明】
1…基材、1A…基材シート、2…耐溶剤性の粘着剤層、3,3A,3B…耐水性の粘着剤層、4…剥離シート、5…液浸透防止層、10…剥離シート原反、11…コータ、12,22…ドライヤー、13…第1粘着剤塗布原反、20…基材シート原反、21…コータ、42…乾燥機、23…重合ロール、24…半製品ロール、40…基材シート原反、43…基材ロール、44…第1片面剥離シート、45…第1粘着剤塗布重合ロール原反、46…第2片面剥離シート原反、47…半製品ロール、T…タグ。
Claims (9)
- 細長い基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグにおいて、
前記粘着剤層が、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とで構成され、かつ前記基材に対して、その末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層が形成されている、ことを特徴とする洗濯用タグ。 - 細長い基材の長手方向端部に粘着剤層が設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグにおいて、
前記粘着剤層が、耐溶剤性の粘着剤層と、耐水性の粘着剤層とで構成され、かつループの片側に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層が形成され、かつループの他側に耐水性の粘着剤層のみが前記片側の耐水性の粘着剤層と対向する位置に形成されている、ことを特徴とする洗濯用タグ。 - 基材が紙基材であり、かつその粘着剤層の形成がわ面に液の液浸透防止層が形成され、この液浸透防止層上に耐溶剤性の粘着剤層および耐水性の粘着剤層が形成されている請求項1又は請求項2記載の洗濯用タグ。
- 液浸透防止層が、粘着性を示さずかつ180℃以下の温度では軟化しない耐熱性を有するアクリル樹脂のエマルジョンからなる、請求項3記載の洗濯用タグ。
- ドライクリーニングおよび水洗濯に供されるものである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の洗濯用タグ。
- 請求項1〜5のいずれか一つに記載の洗濯用タグが多数隣接されており、これらが離型処理された剥離シート上に仮接着されている、ことを特徴とする洗濯用タグシート。
- 洗濯用タグがドライクリーニングおよび水洗濯に供されるものである、請求項6記載の洗濯用タグシート。
- 細長い基材の長手方向末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層がそれぞれ設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記両粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグが仮接着されている洗濯用タグシートを得るに際して、
両面が離型処理された剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に耐溶剤性及び耐水性のいずれか一方の性質を有する第1粘着剤を塗布し、乾燥後に巻取り、第1粘着剤塗布原反を得て、
他方で、基材シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に他方の性質を有する第2粘着剤を塗布、乾燥し、前記第1粘着剤塗布原反と、第1粘着剤層と第2粘着剤層とが同一の面にあるように重合した後、半製品ロールとして巻取り、
前記半製品ロールを繰り出して、平判加工により、所定のタグ寸法にて基材にスリットを入れて、剥離シート上にタグを残したものを得る、ことを特徴とする洗濯用タグシートの製造方法。 - 細長い基材の長手方向末端側領域に耐溶剤性の粘着剤層が、その内側領域に耐水性の粘着剤層がそれぞれ設けられ、洗濯物の一部に潜らせた後、前記両粘着剤層と他端部とを貼合わせてループ状に取り付けられ、その取付状態で洗濯が行われるタグが仮接着されている洗濯用タグシートを得るに際して、
片面のみが離型処理された第1片面剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に耐溶剤性及び耐水性のいずれか一方の性質を有する第1粘着剤を塗布し、乾燥後に、基材シートと重合しながら巻取り、第1粘着剤塗布重合ロール原反を得て、
他方で、片面のみが離型処理された第2片面剥離シート原反を搬送する過程で、連続的に、幅方向に間隔を置いてストライプ状に他方の性質を有する第2粘着剤を塗布、乾燥させて第2粘着剤塗布重合シートを得るとともに、
前記第1粘着剤塗布重合ロール原反を繰り出しながら、前記第1片面剥離シートを前記基材シートから剥がしつつ、基材シートのみを貼り合わせ部位に供給し、
この貼り合わせ部位において、前記基材シートと前記第2粘着剤塗布重合シートとを貼り合わせながら、半製品ロールとして巻取り、
前記半製品ロールを繰り出して、平判加工により、所定のタグ寸法にて基材にスリットを入れて、剥離シート上にタグを残したものを得る、ことを特徴とする洗濯用タグシートの製造方法。
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