JP3584969B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタの定着装置、特に電子写真方式のプリンタの定着装置や、インクジェットプリンタの溶媒を乾燥させる定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5はハロゲンランプを加熱源にした従来の定着装置の例を示す図であり、図中、1は定着ローラ、2は加圧ローラ、4はトナー像、5は記録紙、7はバネ、8は温度検出手段、31はハロゲンランプを示す。
【0003】
プリンタの定着装置には、ハロゲンランプを加熱源にしたものや電磁誘導加熱装置を熱源としたものがある。ハロゲンランプを加熱源にした従来の定着装置は、図5に示すように中空状の定着ローラ1の中心に略円筒状のハロゲンランプ31が配置され、電流を流すことによってハロゲンランプ31から赤外線を主体とした電磁波が放射され、定着ローラ1の内側に到達し熱に変わる。その熱は、定着ローラ1の外側に伝達され、定着ローラ1と加圧ローラ2との挟まれたマーキング材(トナー像4)を持つ記録紙5をバネ7により加圧しながら加熱し、トナー像4を定着する。定着ローラ1に対しては、その外側の温度を温度検出手段8により検出して、制御回路によりその検出温度に基づきハロゲンランプ31の電流を制御して定着ローラ1の温度を制御する。
【0004】
定着ローラ1は、通常鉄系又はアルミニウム系のパイプ状芯金に、表面にはトナー像のオフセットを防止するための離型層が施され、必要に応じて弾性層(シリコンゴムなど)がパイプ状芯金の外周に成形される。その場合には、記録紙の凹凸に対してもトナー像を適切に加圧できるため、定着後の画像として、均一にトナーが溶融された良好な画質で得られる。
【0005】
しかし、弾性層は、通常芯金の金属に比べて熱伝導率が劣るため、定着ローラ表面の温度が所定になるまでの時間がかかり、しかも熱応答性が悪くなる。この定着ローラは両端部を軸受けで構造体に回転支持している。
【0006】
また、加圧ローラ2は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの芯金にシリコンゴムなどの弾性層を外周に設ける。さらに両面印刷の場合には、加圧ローラ2にも離型層を設ける。定着ローラ1と加圧ローラ2には、バネ7によってニツプ荷重が与えられて、ニップを形成する。
【0007】
一方、電磁誘導加熱装置を熱源とした従来の定着装置としては、例えば定着ローラの温度を均一にするために、複数のコイルを渦巻き状に分割して外側のコイルを密に、内側のコイルを粗に巻き、それを定着ローラの軸方向に配置する装置(特開平7−295414号公報参照)、定着ローラの内部にコイルを巻き、両端部近傍は定着ローラに近づけ、中央部は定着ローラから離すようにして渦電流の発生に両端部と中央部で違いを設け、定着ローラの温度を均一にする装置(特開平8−179647号公報参照)、定着ローラの肉厚を両端部で厚くして、電気抵抗を両端部で大きくし発熱を大きくすることにより、温度分布を均一にする装置(特開平9−306652号公報参照)などがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の装置(特開平7−295414号公報参照)では、定着ローラの温度を均一にするために渦巻き状に分割して巻かれた複数のコイルを採用しているが、分割コイルを配置するには、シート状の分割されたコイルを多層に積層し、それらを上下電気的に接続する必要があるため、高価になるという問題があった。
【0009】
また、他の装置(特開平8−179647号公報参照)では、定着ローラの加熱層に軸方向に磁束が流れるため、コイルと定着ローラの距離によって磁束密度がそれ程変わらないため、両端部で温度低下を補うには効果が少ないという問題があった。
【0010】
また、他の装置(特開平9−306652号公報参照)では、20〜200kHzの交流磁界を与えるので、表皮効果のため加熱層の表皮厚さの2〜3倍程度の厚さのところにしか磁束が流れない。そのため、定着ローラの加熱層の厚さを変えても温度を均一にするという効果が少ないという問題があった。
【0011】
さらに、いずれの従来の装置においても、コイルからの交流磁界が定着装置の外に漏れないようにしないと、筐体などの鉄板が近くになると加熱されてしまうという問題もある。
【0012】
ハロゲンランプや誘導加熱によって加熱される場合に、定着ローラの温度分布を不均一にする原因には2つある。その1つは、熱源からの熱量は、定着ローラを加熱する有効な熱量の他にも、軸受けや構造体に伝導する熱量、定着ローラ表面などから対流で放出する熱量、定着ローラ表面などから熱放射する熱量、などが熱損失として逃げていくことになる。特に軸受けや構造体に熱が伝導す熱量は大きく、そのため定着ローラ表面の温度分布が両端部で低下するという問題があった。その対策として、従来の装置では、いずれも熱源の分布を定着ローラの両端部を大きくして、熱伝導による損失を補う方式が採用されている。しかしながら、本来は熱伝導による損失が原因であるからには、その熱伝導を抑制することも同時に行なうことが定着ローラの温度分布を均一にするにはさらに有効な方法であるが、従来の上記装置のいずれにもそのような方法を採用したものは見受けられない。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するものであって、定着ローラの熱伝導による損失を小さくし、定着ローラの軸方向の起磁力の不均一を改善し温度分布の不均一をなくすようにするものである。
【0014】
そのために本発明は、定着ローラ、加圧ローラ、前記定着ローラの加熱層に対して交流磁界を与えて加熱するコイル、前記定着ローラの温度を検出して前記コイルに流す交流電流を制御することにより前記定着ローラの温度を制御する手段を備えた定着装置において、前記定着ローラは、芯金の外周に、弾性層、加熱層、離型層を形成し、前記コイルを前記定着ローラの軸方向外周に配置すると共に、前記コイルの発生起磁力の低くなる前記定着ローラの軸方向両端部の前記コイルの軸中心にした外周両側にのみ対にヨークを配置したことを特徴とし、前記ヨークは、積層された珪素鋼板やバルクのソフトフェライトであることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る定着装置の実施の形態を示す図であり、1は定着ローラ、2は加圧ローラ、3はコイル、4はトナー像、5は記録紙、6は磁束、7はバネ、8は温度検出手段、9はヨークを示す。
【0016】
図1において、定着ローラ1及び加圧ローラ2は、回転可能にするため芯金があり、両端が側板に軸受けで回転可能に保持される。定着ローラ1は、回転トルクを伝達するために歯車やベルトなどが取り付けられ、モータによって一定の角速度で回転駆動される。定着ローラ1の芯金の外周には、ニップ形成のため弾性層があり、さらにその外周が加熱層、離型層によって形成される。加圧ローラ2は、芯金、弾性層、離型層によって形成され、その両端の軸受けには、レバーを介してバネ7で対向配置され他定着ローラ1に対してニツプ荷重が付与され、ニヅプを形成し、加圧ローラ2は、定着ローラ1との摩擦で従動する。このバネ7は、両方とも同じ荷重になるように設定される。
【0017】
定着ローラ1と加圧ローラ2との間で形成するニップ荷重が大きいとニップ幅が広くなり、ニップ荷重が小さいとニップ幅が狭くなる。ニップ幅は、定着時間を決める重要なパラメータであり、電子写真のプロセス速度やトナーの熱的な性質との関係で決められる。ニップ幅が広くなると定着時間が長くなり、ニップ幅が狭くなると定着時間が短くなる。ただし、定着時間を長く取ろうとしてニップ荷重を大きくすると、回転トルクも大きくなる傾向があり、そうなるとモータが大きくなるので制約もある。
【0018】
コイル3は、定着ローラ1の外周を覆うように一定のギャップを保持して配置され、交流磁界を与えることにより定着ローラ1を加熱するものである。コイル3は、例えば定着ローラ1の外周に実質的に円周の半分以上を覆って配置され、高周波電流が流れるため、表面抵抗を小さくしてコイルの損失を小さくする必要がある。そのため、絶縁被覆した銅線を複数本束ねて撚ったリッツ線を用いる。例えば直径φ=0.5mmの絶縁被覆した銅線を8本撚りにして使用して渦巻き状に巻いたものである。ヨーク9は、コイル3の発生起磁力の低くなる領域の外周に配置し、定着ローラ1の温度分布を均一にするものであり、外周両端部に配置している。
【0019】
定着ローラ1は、一定のギャップを維持したコイル3から交流磁界を与えることにより導電性の加熱層に渦電流を発生させて加熱されるが、表皮効果のためコイル3からの交流磁界は、定着ローラ1の主に表面近傍に集中することになる。電気抵抗率をρ、透磁率をμ、交流磁界の周波数をf、表皮厚さをδとすると、これらの関係は、
【0020】
【数1】
【0021】
で表される。効率よく加熱するために、コイル3からの交流磁界の周波数fを適切に選ぶと、コイル3からの磁束がこの表皮厚さδ近傍に集中し渦電流が効果的に発生することになる。渦電流が発生すると、電気抵抗率ρに応じてジュール熱が発生して、定着ローラ1の温度が上昇することになる。この表皮厚さδは、材質が炭素鋼、SUS304、SUS430などで、交流磁界の周波数をf=40kHzとした場合、数10μm〜100μmになる。薄い導電性加熱層の場合、効率的に加熱するには、その材質として交流透磁率の高いSUS430、炭素鋼が適している。
【0022】
トナー像4が転写された記録紙5は、ニップに入って回転しながらニップ荷重を受け、同時に定着ローラ1から加熱される。トナー像4は、この加熱によって記録紙5の上で溶融し、ニップから出ると冷却されてトナー像4が記録紙5に定着される。トナー像4が記録紙5に定着されるかは、定着温度、記録紙の搬送速度、ニップ幅、ニップ圧力及びトナーの性質に依存する。
【0023】
温度検出手段8は、定着ローラ1の表面に接触して又は一定の距離を持って保持され、温度を検出し温度検出回路を介して制御回路へ信号を伝達する。制御回路は、制御指示温度と定着ローラ1の実際の検出温度との偏差を小さくするようにインバータ回路を制御(PI制御、PID制御)する。例えば制御指示温度に対して定着ローラ1の温度が低い場合には、コイル3に流す交流電流を大きくし、誘導加熱を強めて定着ローラ1の温度を上げ、逆に制御指示温度に対して定着ローラ1の温度が低い場合には、コイル3に流す交流電流を小さくし、誘導加熱を弱めて定着ローラ1の温度を下げる。こうして定着ローラ1の温度はほぼ一定に保たれる。
【0024】
図2はコイルと起磁力の関係及びヨークの配置例を示す図、図3はヨークの各種タイプの例を示す図、図4はヨークによる温度分布の改善効果例を示す図である。
【0025】
本発明の誘導加熱式定着装置においては、定着ローラ1が芯金、弾性層、導電性加熱層、離型層という構造のために導電性加熱層で発生した熱は両端部への熱伝導による損失が小さく、下の弾性層への熱伝導も比較的小さい。したがって、NIアンペアターンのコイル3を図2(a)の上から見た図で示すように定着ローラ1の外周を覆うように一定のギャップを保持して配置すると、中間部では、2NIの起磁力が作用するが、両端部の領域では2NIからNIの起磁力に低下してしまう。定着ローラ1の温度分布の不均一を生じさせている要因は、この起磁力の低下に伴う熱源の発熱分布に依存することになる。
【0026】
本発明のヨーク9は、コイル3の起磁力が低下する定着ローラ1の両端部の領域に、コイル3を覆うように配置する起磁力均一化手段(温度均一化手段)であり、その上から見た図を示したのが図2(b)、側面から見た図を示したのが図2(c)である。本発明では、このヨーク9の配置により発熱分布を均一性を高めると同時に、加熱層の熱容量を小さくし、その下に弾性層を配置することにより、加熱層で発生した熱の伝導による損失を減少させて、フランジ、紬受けや構造体に伝導する熱量が減少することになる。その結果、定着ローラ1の温度分布を均一性を高めている。
【0027】
ヨーク9のタイプには、例えば図3(a)に示すような定着ローラの軸方向に積層する積層タイプ、図3(b)に示すような厚さ方向に積層する積層タイプ、図3(c)に示すようなバルクタイプなどがある。これらは、図2(b)に示すようにコイルの軸中心にした左右両側に対で配置するものであるが、これらの対を接続した両側接続タイプを示したのが図3(d)である。ヨーク材質は、できるだけ渦電流が発生しないような材料及び構造を選定しないと、ヨーク自身が加熱されてしまう。そこで、ヨーク9は、ρが大きくて透磁率の高いソフトフェライト、0.35mm又は0.5mmの厚さの珪素鋼板を積層したものが適している。
【0028】
上記のようなヨークを配置した定着ローラの表面温度とヨークを配置しない定着ローラの表面温度、ヨークとして珪素鋼板を用いた場合とフェライトを用いた場合の定着ローラの表面温度の比較例を示したのが図4である。図4では、定着ローラの中央からの位置(%)を横軸で、各位置における定着ローラの表面温度℃を縦軸で表している。ヨークを配置しない場合には、中央から端部に50%程の位置で160℃を切っているが、フェライトのヨークを配置した場合には、中央から端部に70%の位置、珪素鋼板のヨークを配置した場合には、中央から端部に85%の位置まで160℃以上の表面温度が得られている。また、中央から端部に85%の位置で見ると、定着ローラの表面温度は、ヨークを配置しないと140℃まで低下しているが、フェライトのヨークを配置すると156℃と中央とほとんど変わらず、珪素鋼板のヨークを配置すると中央より高い164℃にもなっている。
【0029】
定着ローラ1は、芯金、弾性層、導電性で熱容量の小さい加熱層、離型層から構成され、必要に応じて加熱層の下の第1弾性層のほかに離型層の下に第2弾性層が配置される。第2の弾性層がある定着ローラは、記録紙5の凹凸に対してもトナーに十分なニップ圧力を与えることができるので、記録紙5の凹凸でも溶融後のトナー層がしっかり定着され、定着後の画像がムラなく仕上げられる。それに対し、第2弾性層16がない場合には、記録紙の凹部では溶融後のトナー層表面に複数の凹状部が観察される。したがって、第2弾性層16がある方は、その分だけコストが高くなるが、画質は向上することになる。
【0030】
このように定着ローラ1は、いずれにしても回転体としての強度は芯金に持たせ、加熱体を加熱層に持たせた機能分離型の構造を有するものである。しかし、弾性層は、熱伝導率が低いシリコンゴムやフッ素ゴムなどが利用されるため、定着ローラ1の加熱立ち上がり時間を長くする傾向がある。
【0031】
芯金には、炭素鋼、ステンレスなど、強度を有している材料が適している。弾性層には、シリコンゴム、発泡シリコンゴム、フッ素ゴム、発泡フッ素ゴムなど、定着の熱に耐える耐熱性があり定着ローラと加圧ローラとの間にニップを形成するのに適度な弾性を持っている材料が適している。
【0032】
ニップ形成について見ると、所定のニップ幅を確保してさらに水平ニップを形成するためには、定着ローラと加圧ローラが両方とも適度に変形することが要求される。ハロゲンランプのように内側から加熱する場合には、定着ローラにおいて、弾性層を加熱層の内側に配置すると、ハロゲンランプからの熱が伝導しにくいため、定着ローラに適度な弾性を持たせる弾性層を加熱層の外側に設ける構成が採用されてきた。しかし外周の弾性層は、熱伝導が良くないため、加熱層の熱を速やかに表面の離型層に伝えることは困難であった。
【0033】
電磁誘導加熱の場合には、外側からも効率よく加熱できるため、定着ローラとして弾性を持った構造が採用可能となる。加熱層は、薄い金属パイプであり、弾性層にシリコンゴムや発泡シリコンゴムなどの変形し易い材質が選定できる。そのため定着ローラと加圧ローラの両方に適度な弾性を持たせることができ、略水平ニップが可能になる。
【0034】
加熱層は、コイル3からの交流磁界によって渦電流が効率的に発生するために、導電性が必要であり、熱容量が小さいほど加熱立ち上がり時間は短くなる。交流磁界の適正周波数は、加熱層の電気抵抗率、透磁率によって決められる。しかしながら、あまり周波数が高くなると共振インバータのスイッチング素子の損失が大きくなるので、概ね20〜100kHzの範囲が好ましい。周波数が20kHz以下の場合には、可聴領域になるので、共振インバータの騒音が聞こえることになる。コイル3からの交流磁界は表皮効果により表皮厚さ程度しか加熱層に侵入しない。加熱層は、ステンレス、鉄、ニッケル、アルミニウムなどを含む薄い金属のパイプで構成され、熱容量の小さい材料を用いることによって加熱の立ち上がり時間を短縮する。加熱層の厚さは、ニップ形成にも関係し、あまり厚いと変形し難くなるので、ある程度薄く、ニップ幅が十分取れる程度に変形する厚さがよい。加熱層は、適切なニップを形成するために適度な弾性を持っていることが重要であり、数10μm以下になると耐久性が劣ってしまい、逆に数100μm以上になると弾性を失ってしまうので、表皮厚さなども考慮すると30〜150μmが好ましい。
【0035】
離型層は、溶融したトナーが定着ローラから剥離し易くするため最外周に設けるものであり、オフセット防止が目的である。離型層としては、フッ素樹脂(PFA、PTFE、PEP)、シリコン樹脂、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの表面エネルギーが小さく、可撓性があり、耐熱性がある材質がよく、その厚さは5〜100μmの範囲が好ましい。例えば5μmより薄くなると記録紙との摩耗で破損してしまい、逆に100μmより厚くなると、上記のような離型層に適する材料は、熱伝導率が小さいため、加熱層からの熱が効率的に伝達できなくなる。つまり、加熱層からの熱を伝達するのに時間がかかることになる。
【0036】
加圧ローラ2は、芯金の外周に弾性層、離型層を形成している。芯金は、主に鉄系の材料で加圧ローラの軸となり回転可能に支持するものである。弾性層は、定着温度に耐える耐熱性があり、定着ローラとニツプを形成するに適切な弾性を持っていることが必要で、シリコンゴム、フツ素ゴムなどが良い。加圧ローラ2の熱容量を小さくするためには、これらのゴムを発泡させて断熱性を持たせると更に効果がある。離型層は定着ローラ1の離型層と同じである。
【0037】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、定着ローラ、加圧ローラ、前記定着ローラの加熱層に対して交流磁界を与えて加熱するコイル、前記定着ローラの温度を検出して前記コイルに流す交流電流を制御することにより前記定着ローラの温度を制御する手段を備えた定着装置において、前記定着ローラは、芯金の外周に、弾性層、加熱層、離型層を形成し、前記コイルを前記定着ローラの軸方向外周に配置すると共に、前記コイルの発生起磁力の低くなる前記定着ローラの軸方向両端部の前記コイルの軸中心にした外周両側にのみ対にヨークを配置したので、定着ローラの加熱層から軸受けや構造体への熱伝導による損失を少なくし、しかも加熱層の熱容量を小さくすることができると共に、磁束密度が低くなる定着ローラの軸方向両端部近傍の磁束密度を高くし、渦電流による発熱を増やすことができる。
【0038】
したがって、定着ローラが所定温度まで加熱される加熱時間を短くし、印刷開始から実際に印刷されるまでの待ち時間の短縮が可能になり、定着装置の消費電力を小さくし、定着ローラの温度分布を均一にすることができる。また、ヨークをコイル外周に配置することで、コイルからの交流磁界の漏洩を防止することができ、筐体などの鉄板を加熱して誘導加熱定着装置の加熱効率を低下させるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の実施の形態を示す図である。
【図2】コイルと起磁力の関係及びヨークの配置例を示す図である。
【図3】ヨークの各種タイプの例を示す図である。
【図4】ヨークによる温度分布の改善効果例を示す図である。
【図5】ハロゲンランプを加熱源にした従来の定着装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1…定着ローラ、2…加圧ローラ、3…コイル、4…トナー像、5…記録紙、6…磁束、7…バネ、8…温度検出手段、9…ヨーク
Claims (3)
- 定着ローラ、加圧ローラ、前記定着ローラの加熱層に対して交流磁界を与えて加熱するコイル、前記定着ローラの温度を検出して前記コイルに流す交流電流を制御することにより前記定着ローラの温度を制御する手段を備えた定着装置において、
前記定着ローラは、芯金の外周に、弾性層、加熱層、離型層を形成し、前記コイルを前記定着ローラの軸方向外周に配置すると共に、前記コイルの発生起磁力の低くなる前記定着ローラの軸方向両端部の前記コイルの軸中心にした外周両側にのみ対にヨークを配置したことを特徴とする定着装置。 - 前記ヨークは、積層された珪素鋼板であることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記ヨークは、バルクのソフトフェライトであることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
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