JP3334504B2 - 誘導加熱定着装置 - Google Patents
誘導加熱定着装置Info
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Description
機、プリンタおよびファクシミリなどに用いられる定着
装置に関し、さらに詳しくは、誘導加熱を利用してトナ
ー像を記録媒体に定着する誘導加熱定着装置に関する。
である記録紙ないし転写材などのシート上に転写された
トナー像をシートに定着させる定着装置が設けられてい
る。
熱溶融させる定着ローラと、当該定着ローラに圧接して
シートを挟持する加圧ローラとを有している。定着ロー
ラは円筒状に形成され、この定着ローラの中心軸上に
は、発熱体が保持手段により保持されている。この発熱
体は定着ローラの中心軸に位置し、発熱体から発せられ
た熱は定着ローラ内壁に均一に輻射され、定着ローラの
外壁の温度分布は円周方向において均一となる。定着ロ
ーラの外壁は、その温度が定着に適した温度(例えば、
150〜200℃)になるまで加熱される。この状態で
定着ローラと加圧ローラは摺接しながら互いに逆方向へ
回転し、トナーが付着したシートを挟持する。定着ロー
ラと加圧ローラとの摺接部(以下、ニップ部という)に
おいて、シート上のトナーは定着ローラの熱により溶解
し、両ローラから作用する圧力によりシートに定着され
る。トナーが定着した後、定着ローラおよび加圧ローラ
の回転に伴い、シートは、排紙ローラによって搬送さ
れ、排紙トレイ上に排出される。
ては、一般的にハロゲンランプが用いられており、その
ため電源を投入した後、定着ローラの温度が定着に適し
た所定温度に達するまでには比較的長時間を要してい
た。その間、使用者は複写機を使用することができず、
長時間の待機を強いられるという問題があった。
るためには、定着装置の省エネルギ化(低消費電力化)
と、ユーザの操作性向上(クイックプリント)との両立
を図ることが一層注目され重視されてきている。これに
伴い、従来から行われてきたトナーの定着温度、定着ロ
ーラの熱容量の低減だけでなく、電気−熱変換効率の向
上を図ることが必要となってきた。
熱方式の定着装置が提案されている。例えば特開昭54
−39645号公報には、金属導体からなる定着ローラ
の内部に、螺旋状にコイルを巻装した開磁路鉄芯が配置
されている。そして、定着ローラの内面に近接した前記
コイルに高周波電流を流し、これによって生じた高周波
磁界で定着ローラに誘導渦電流を発生させ、定着ローラ
自体の表皮抵抗によって定着ローラそのものをジュール
発熱させるようになっている。
次のような利点がある。まず第1に、ハロゲンランプの
近赤外加熱のような間接加熱よりも、速く昇温し、定着
ローラ以外の部分の発熱や伝熱が少ない。また、ハロゲ
ンランプの光漏れに相当するロスがない。第2に、定着
ローラ表面に固体抵抗発熱体を持つ表面加熱よりも、電
磁誘導特有の表皮効果があるために発熱効率が良く、ま
た摺動接点がないため定着装置の信頼性も長期にわたっ
て高い。第3に、フィルムベルトと固体抵抗発熱体を持
つ加熱よりも、接触抵抗による熱伝達ロスが少なく、ま
た発熱面の温度検出が容易であるので温度制御性が優れ
ている。
り、その一つにコイル自体の発熱よる定着ローラ内部の
温度が過度に上昇する点がある。これは、コイルに電流
を流すことによってコイル自体の抵抗による発熱が定着
ローラ内部の狭い空間では、十分な放熱することができ
ないために生じるものである。かかる欠点を回避するた
めには、コイルの太さを太くしてその抵抗をさげたり、
また、定着ローラを含む周辺の部材を耐熱性の高い材料
によって形成するなどの工夫が必要である。また、上記
公報においては、この過昇温を回避するために、定着ロ
ーラに螺旋状にコイルを巻くことによって形成されてい
る空心部分に空気を流すことによって温度上昇を抑制し
ている。
着装置にあっては、定着ローラの過昇温という欠点克服
が重要であるが、上記のような従来の技術にはそれぞれ
以下のような問題点がある。
すことにより過昇温を防止する場合であるが、単純に
は、コイル外径を太くすればするほど抵抗が低くなり、
自己発熱による損失を減らせ、その結果、コイルの発熱
を減少させ得ると共に、定着ローラの誘導加熱に使われ
るエネルギーの割合が増える。しかし、高周波では表皮
効果により、コイル外径を太くすればするほど、銅損の
低減効果は薄れ、その効果は期待されるほど大きなもの
とはならい。また、コイルが定着ローラ内部に配設され
るため、必然的にコイルを巻くことができる空間には制
限があり、太いコイルを使用すると、その巻数が少なく
なって必要なアンペアターンが得られなくなってしまう
という問題がある。また、部材に耐熱性の高い材料を用
いる場合には、使用する部材のコストアップになり経済
的に好ましいものとはいえない。
いたコイルの空心に空気を送り込むことは、そのための
送風手段が必要となり、送風手段が必要とする電力のた
めに上述した省エネルギーの要望に反することとなり、
また、送風手段を設けることによるコストアップをさけ
ることができないという問題もある。
られる定着ローラの過昇温を、経済的にかつ効率よく防
止することができる誘導加熱定着装置を提供することを
目的とする。
の請求項1記載の本発明は記録媒体上に形成されたトナ
ー像を前記記録媒体へ定着する定着装置であって、導電
性部材で形成された円筒形の被加熱体と、該被加熱体の
内部に、該被加熱体の回転軸方向に直交する向きに設け
られたコアと、該コアに、前記被加熱体の回転軸方向に
沿って巻き回されたコイルと、を有し、該コイルが、前
記コアの最も近い最下層の巻数より、上層の巻数が徐々
に少なくなるように巻き回され、前記被加熱体の内部空
間を埋めるように前記被加熱体の内周壁に沿って配置さ
れていることを特徴とする誘導加熱定着装置である。
項1記載の誘導加熱定着装置において、前記コアには、
前記コイルが巻き回されるボビンが設けられており、該
ボビンの前記被加熱体の回転軸方向に直交する方向の幅
が前記コアの幅と等しいことを特徴とする。
項1または2記載の誘導加熱定着装置においては、前記
コアおよびコイルが、前記被加熱体の内部に挿入される
円筒形の絶縁体によって支持され、前記コイルと前記被
加熱体が直接接触することのないようにされていること
を特徴とする。
る誘導加熱定着装置を図面に基づいて説明する。なお、
同一機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明
を省略した。
であり、図2はコイル・アセンブリを説明するための透
視図であり、図3は定着ローラの斜視図である。
まれた誘導加熱定着装置は、矢印a方向に回転駆動可能
に設けられた被加熱体である定着ローラ1と、当該定着
ローラ1に圧接して設けられ定着ローラ1の回転に伴っ
て従動回転する加圧ローラ2とを有する。定着ローラ1
は、導電体の円筒形中空パイプであり、その内部には、
当該定着ローラ1に誘導電流を発生させるためのコイル
・アセンブリ3が回転軸方向(円筒軸方向)に沿って配
設されている。
コア10を取り囲むようにボビン8が設けられており、
このボビン8の周りに銅線を巻いてコイル9を形成して
あり、これらが図2に示すように、円筒形のホルダ11
内に納められている。
は積層コアからなり、ボビン8は、例えば、セラミック
や耐熱絶縁性エンジニアリング・プラスチックで形成さ
れ、少なくともコイルの最下層部分を押えてその形状を
整える役割を果たす。このボビン8はコア10の幅とほ
ぼ同じ幅とし、コア10近くの最下層でできるだけ多く
コイルを巻くことができるようにしてある。
径0.8mmの単一またはリッツ銅線を用いて、ボビン
8の回りに定着ローラ1の回転軸に沿った方向に巻き回
され、最下層部分がボビン8によって規制されることで
形状が整えられて、上層に行くほどその巻数を少なく、
ホルダ11の円周に沿って、その内部空間のほとんどを
埋めている。
るにつれて、その巻数を減らすようにしたことで、定着
ローラ1の内周壁に沿ってコイルを配設することができ
るようになり、定着ローラ1内部の限られた空間が効率
よく利用でき、コイル9の太さを太くしても必要なアン
ペアターンを確保することが可能となる。したがって、
コイル9の太さを太くし銅損を減らしてコイルの抵抗を
下げ、定着ローラの過昇温を防止することができる。
記(1)式および(2)式によって表すことができる。 P=I2 R …(1) R=ρ・L/S …(2) (ただし、各式中、Pは銅損、Iはコイルに流す電流、
Rは銅損の抵抗、ρはコイルとなる同線の抵抗率、Lは
コイルとなる銅線の長さ、Sはコイルとなる銅線の断面
積である。) 各式から分かるように、コイル(コイルを形成する銅
線)の太さ(断面積)が太くなるほど銅損が減少して、
コイルの発熱が減少する。
数を減らすことにより、全ての層が同じ巻数で巻た場合
と比較して、より太いコイル9を用いることができる。
例えば本実施の形態1と同じ巻数を全ての層が同じ巻数
で巻た場合には、コイル9の太さを約0.5mmにする
必要がある。したがって、本発明を適用したことで、よ
り太いコイルを用い、かつ必要なアンペアターンを得る
こととができ、コイルの銅損を減らして通電時における
コイルの発熱量を減少させ、定着ローラ1の過昇温を防
止することが可能となる。
際に、その形状がくずれないように、コイル9の形状を
整えて巻くために設けられているものであるが、ボビン
8の幅をコア10の幅と等しくすることで、コイル9の
巻数をできるだけ多くするようにした。
PPS(ポリフェニレンサルファイド)や液晶ポリマー
などで形成されている。そして、このコイル・アセンブ
リ3が、図3に示すように、定着ローラ1内部に収納さ
れている。これにより、導電性の被加熱体である定着ロ
ーラ1とコイル9との間の絶縁性が保たれる。
金管あるいはアルミニウム合金管などの導電性部材から
形成され、その外周面にフッ素樹脂をコーティングし
て、表面に耐熱離型性層が形成されている。定着ローラ
1は、導電性磁性部材から形成することがさらに好まし
い。加圧ローラ2は、軸芯18の周囲に、表面離型性耐
熱ゴム層であるシリコンゴム層19が形成されている。
ないスベリ軸受部が形成され、定着ユニットフレームに
回転自在に取り付けられている。さらに、定着ローラ1
は、その片端に図示しない駆動ギアが固定され、この駆
動ギアに接続されたモータなどの図示しない駆動源によ
って回転駆動される。また、ホルダ11は、定着ローラ
1の内周面との間に所定寸法の最小限ギャップを保っ
て、定着ローラ1の内部に収納され、定着ユニットフレ
ームに固定されて非回転となっている。スベリ軸受や分
離爪15は、耐熱摺動性エンジニアリング・プラスチッ
クなどから形成されている。
着ローラ1の温度を検出する温度センサ16が設けられ
ている。この温度センサ16は、定着ローラ1を隔てて
コイル9の側面に向かい合うように、定着ローラ1の表
面に圧接している。温度センサ16は、例えばサーミス
タより構成される。この温度センサ16で定着ローラ1
の温度を検出しつつ、定着ローラ1の温度が最適温度と
なるように、コイル9への通電が制御される。また、温
度の異常上昇時の安全機構として、温度センサ16のほ
かに、異常な高温を検知した場合に、コイル9への通電
を切断するサーモスタットなどを設けてもよい。
以下のように動作する。まず、未定着のトナー像が転写
されているシート14は、図1中左方向から搬送され、
定着ローラ1と加圧ローラ2との間のニップ部に向けて
送り込まれる。シート14は、後述する原理により熱せ
られた定着ローラ1の熱と、両ローラ1、2から作用す
る圧力とが加えられながら、ニップ部を搬送される。こ
れにより、未定着トナーが定着されて、シート14上に
は定着トナー像が形成される。ニップ部を通過したシー
ト14は、定着ローラ1から自然に分離し、あるいは図
1に示すように、先端部が定着ローラ1の表面に摺接す
るように設けられた分離爪15ないし分離ガイドによっ
て定着ローラ1から強制的に分離され、図1中右方向に
搬送される。このシート14は、図示しない排紙ローラ
によって搬送されて、排紙トレイ上に排出される。
置における定着ローラ1の加熱原理を説明する説明図で
ある。コイル9に高周波(数kHz〜数十kHz)の電
流が流されると、「アンペアの右ネジの法則」に従っ
て、図示するように、コア10から定着ローラ1の長手
軸方向に対し直交する磁束31aが発生する。この磁束
31aもまた高周波磁束である。
bは、定着ローラ1に沿って曲り、導電体の比透磁率に
依存した比率で定着ローラ1の円周面内を通る磁束31
cとなる。定着ローラ1の周面に集中した磁束31c
は、コイル9に対向する部分で密度が最大となる。
R点で円周面内の磁束密度が極大になり、逆に、Q、S
点で極小になる。よって、誘導電流密度も同様の傾向に
なるので、定着ローラ1の発熱は、円周面内において均
一ではなく、2点鎖線で囲んだ部分32a、32bが局
所的に発熱する。この局所的に発熱する部分32a、3
2bは、図1において示せば、定着ローラ1の上部領域
と下部領域に相当する。したがって、ニップ部と一方の
発熱箇所(領域)とは、少なくとも一部で重複してい
る。また、他方の発熱箇所(領域)には、サーミスタ1
6が接触するように配置される。なお、サーミスタ16
の取り付け箇所は、定着ローラ1の上部か下部のどちら
かにすれば良いが、本実施の形態では図示するように、
上部の外側に取り付けてある。また、サーミスタ16が
小型であれば、定着ローラ1上部の内側または下部の内
側に取り付けても良い。
作用により、定着ローラ1には「レンツの法則」に従っ
て、前記磁束31cを妨げる前記磁束31cと逆方向の
磁束を生じるような渦状の誘導電流が壁面内部で発生す
る。この誘導電流は、定着ローラ1の表皮抵抗によりジ
ュール熱に変換されるので、定着ローラ1が発熱して、
前述のように、シート14にトナー像の定着が行われ
る。このとき、コイル9は、本発明を適用したことによ
り、ホルダ11の内周に沿って配置されているので、定
着ローラ1との距離が近く、磁気的な結合が強くなるた
め熱変換効率が良くなる。したがって、相対的にコイル
電流を減らすことができる。
ような効果を奏する。請求項1記載の本発明の誘導加熱
定着装置によれば、導電性部材で形成された被加熱体の
内部に回転軸方向に沿って配置され、該被加熱体に誘導
電流を生じさせるコイルをコアの最下層より上層の方の
巻数を徐々に減らして巻き回することとしたので、被加
熱体内部の空間利用率がよくなり、より太いコイルを用
いて必要なアンペアターンを稼ぐことができ、これによ
り、通電時のコイルの発熱量を減らすことができて、被
加熱体の過昇温が防止できる。また、コイルと被加熱体
との距離が少なくなるので、熱変換率が向上して消費電
力が少なくなる。
を巻き回すボビンの幅をコアの幅と等しくすることで、
コイルの巻数をできるだけ多くすることができ、また、
このボビンによってコイルを回巻きする際の工程が容易
になる。
絶縁性のホルダにより覆うことで、万が一コイルの被覆
が損傷したような場合であっても被加熱体との間で短絡
を防止できる。
着装置を示す断面図である。
ブリを示す透視図である。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 記録媒体上に形成されたトナー像を前記
記録媒体へ定着する定着装置であって、 導電性部材で形成された円筒形の被加熱体と、 該被加熱体の内部に、該被加熱体の回転軸方向に直交す
る向きに設けられたコアと、 該コアに、前記被加熱体の回転軸方向に沿って巻き回さ
れたコイルと、を有し、 該コイルが、前記コアの最も近い最下層の巻数より、上
層の巻数が徐々に少なくなるように巻き回され、前記被
加熱体の内部空間を埋めるように前記被加熱体の内周壁
に沿って配置されていることを特徴とする誘導加熱定着
装置。 - 【請求項2】 前記コアには、前記コイルが巻き回され
るボビンが設けられており、該ボビンの前記被加熱体の
回転軸方向に直交する方向の幅が前記コアの幅と等しい
ことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱定着装置。 - 【請求項3】 前記コアおよびコイルが、前記被加熱体
の内部に挿入される円筒形の絶縁体によって支持され、
前記コイルと前記被加熱体が直接接触することのないよ
うにされていることを特徴とする請求項1または2記載
の誘導加熱定着装置。
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1996
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