JP3584575B2 - 光学的素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的素子に関し、例えば、自発光の平面型ディスプレイであって、特に、有機薄膜を電界発光層に用いる有機電界発光ディスプレイに好適な光学的素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機電界発光素子(以下、有機EL素子と称することがある。)は、1μm以下の膜厚であり、電流を注入することにより電気エネルギーを光エネルギーに変換して面状に発光するなど、自発光型の表示デバイスとして理想的な特長を有しており、近年活発な研究開発が進められている。
【0003】
図32は、従来の発光素子としての有機EL素子10の一例を示す。この有機EL素子10は、透明基板(例えばガラス基板)6上に、ITO(Indium tin oxide)透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、陰極(例えばアルミニウム電極)1を例えば真空蒸着法で順次製膜したものである。
【0004】
そして、陽極である透明電極5と陰極1との間に直流電圧7を選択的に印加することによって、透明電極5から注入されたホールがホール輸送層4を経て、また陰極1から注入された電子が電子輸送層2を経て、それぞれ発光層3に到達して電子−ホールの再結合が生じ、ここから所定波長の発光8が生じ、透明基板6の側から観察できる。
【0005】
発光層3には、例えば亜鉛錯体を含有させることもできるが、実質的に亜鉛錯体のみからなる層(但し、複数種の亜鉛錯体の併用が可能)であってよいし、或いは亜鉛錯体に螢光物質を添加した層であってもよい。また、亜鉛錯体と他の発光物質であるアントラセン、ナフタリン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、アクリジン、スチルベン等を併用してよい。こうした亜鉛錯体又は螢光物質等との混合物は、電子輸送層2に含有させることができる。
【0006】
図33は、別の従来例を示すものであり、この例においては、発光層3を省略し、電子輸送層2に上記の亜鉛錯体又は螢光物質との混合物を含有させ、電子輸送層2とホール輸送層4との界面から所定波長の発光18が生じるように構成した有機EL素子20を示すものである。
【0007】
図34は、上記の有機EL素子の具体例を示す。即ち、各有機層(ホール輸送層4、発光層3又は電子輸送層2)の積層体を陰極1と陽極5との間に配するが、これらの電極をマトリクス状に交差させてストライプ状に設け、輝度信号回路30、シフトレジスタ内蔵の制御回路31によって時系列に信号電圧を印加し、交差位置にて発光させるように構成している。従って、このような構成により、ディスプレイとして勿論、画像再生装置としても使用可能となる。なお、上記のストライプパターンを赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に配し、フルカラー又はマルチカラー用として構成することができる。
【0008】
このようなデバイスへの一般的な要求としては、高効率で明るい発光が得られることが望まれている。しかし、発光面から出射された光が透明基板6を通して放射される光量は、実際には全体の光量の一部であり、大半は表示に寄与しない損失光となっている。図35は、図32の有機EL素子の一部分を示し、各構成層の配置を上下逆にしたものであるが、発光層3で励起されて発した光は、透明基板6の発光面6aから面発光として透明基板6を通し取り出されるが、効率が悪いという問題がある。
【0009】
即ち、発光面による光は、発光面6aの1点P部分で発光した光Lについてみれば、発光面6aのP点を中心として円錐状の立体角をなしてほぼ等方的に放射される。しかし、実際には、発光面6aから反対側の基板表面6bへ、更にはこの面6bから外部へ放射される光Lは、透明基板6外へ有効に光を放射である放射許容範囲12の部分(全反射が生じない領域)に達した光Lだけであり、大半は基板6の面6bによって全反射され、或いはこの全反射光が面6aで更に全反射され、これを繰り返して全反射しながら、損失光Lとして透明基板6の側面から放射されてしまう。
【0010】
図36には、上記のような現象を原理的に示すが、透明基板6における光の屈折率nは、空気中における光の屈折率より大きいため、上記したように、発光面6a上の或る点Pから出射した光Lが透明基板6の表面6bに達したもののうち、放射許容範囲12の領域内の光は屈折して空気中へ有効に放射される(太線の矢印Lは空気中に放射される光の発光光路を示すものである)。
【0011】
放射率許容範囲12内に入る光Lの発光点Pにおける角度は、中心線11と直径PQとのなす角度θの範囲内にあるから、透明基板6の屈折率をnとすれば、θ=sin −1(n−1)で表される。そして、この角度θで透明基板6の表面6b上に形成されるP、Qを通る円を底面とする円錐内の光Lが表面6bと空気との界面で屈折して空気中に有効に放射される。
【0012】
しかし、上記角度θ以上の角度でP点から出射された光Lは、表面6bに達して表面6bに入射した後、この入射点での法線に対してなす入射角と対称の反射角で反射(正反射)される。そして、この反射光Lはそのまま透明基板6の側面へ放射されるか、或いは全反射を繰り返しながら透明基板6の側面へ放射される。また、表面6bに入射しない大きい角度でP点から出射した光Lはそのまま透明基板6の側面から放射される。
【0013】
図35において、実際の発光領域は透明基板6と電極1との中間の発光層3であるが、ここで発光した光は、図示のように、透明基板6側へ直接放射される光とその反対側の電極1側へ放射されるものとがある。しかし、電極1側へ放射された光の多くは、反射率の高い材料(例えばアルミニウム)で形成された電極1の内面に反射されて、透明基板6側へ導かれ、上記したようにして基板表面6bから放射される。
【0014】
上記したように、透明基板6の表面6bから外部へ放射されて有効に取り出されるべき光量の大部分は、透明基板表面6bと空気との界面での全反射により透明基板6の中を全反射しながら、基板側面へ進み、この側面から損失光として放射されてしまうのである。実際に、有効な光Lとして透明基板6の表面6bから取り出せる光量は、透明基板6をガラス(屈折率は 1.5)とした場合に26%程度にしかならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであって、素子の外部へ有効に取り出される発光光量を増大させ、発光効率を高め、発光輝度を高め、更にコントラストも向上させることのできる光学的素子を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を解決するため鋭意検討を重ねた。その結果、光学的に単位当たりの発光面を増大させると共に、発光面に反射面を形成することにより、従来の損失光をも有効な光として取り出すことが可能であるとの結論を得、本発明に到達したものである。
【0017】
即ち、本発明は、光学的に透明な基体の上に、第1の電極と発光層と第2の電極とが積層して設けられている光学的素子において、
前記第1の電極に接する前記基体の接触面に凹凸が繰り返し形成され、この凹凸形状 がその断面方向でほぼ同一形状の屋根型であって前記断面方向と直交する方向にストラ イプ状の頂部及び底部を有し、これら頂部と底部との間に傾斜面が存在しており、
前記第1の電極の光出射側にて前記基体に、出射光は通すが外光を遮断する直線偏 光手段が、前記ストライプの方向に対して45度傾斜した偏光方向を有するように設置 されている
ことを特徴とする光学的素子に係るものである。
【0018】
ここで、上記の「光学的素子」とは、電界発光素子(エレクトロルミネセンス素子)を意味する以外にも、電界発光表示デバイスや光源、更にはフォトルミネセンス等も意味する。また、発光層が設けられている発光領域、後述するディスプレイの1画素に相当する領域だけでなく、光源として使う場合の発光領域(但し、1個の場合もある。)も意味する。また、上記の「接触面」とは、発光領域からの光の放出面(この放出面を以下、発光面と称することがある。)を指す。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明に基づく光学的素子において、前記接触面(発光面の凹凸形状が繰り返されていること、凹凸形状による発光面の傾斜角がほぼ45度に形成されていることが望ましい。こうした凹凸形状によって、一層有効な反射面が形成される。
【0021】
そして、この凹凸の間隔が発光する光の波長より大きく、素子の発光単位領域より大きくないことが重要である。即ち、このような凹凸の間隔により光が発光面で効果的に反射することになり、発光単位領域が1画素となり得る。
【0023】
また、凹凸形状の断面方向において、隣接する発光面の一方からの発光が他方の発光面によって反射されることが望ましい。
【0026】
この場合、ストライプ状の複数の第1の電極上に、発光層を含む少なくとも一層のストライプ状の複数の有機層と、前記第1の電極に交差したストライプ状の複数の第2の電極とが設けられていることが望ましい。これは、パッシブマトリクス型のディスプレイに好適である。
【0027】
本発明は、上記のように構成することにより、発光素子、例えば有機電界発光ディスプレイに好適である。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例について詳細に説明する。
【0029】
まず、図1〜図21について、本発明を有機EL素子に適用する場合の参考例を説明する
【0030】
図1は、有機EL素子の要部の拡大断面斜視図であり、前述の図35と同じく上下を逆にして示したものである。そして、この例も同じく、ガラス等の透明基板6上に、ITO等の透明電極5、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、アルミニウム等の電極層1がこの順に積層されている。
【0031】
しかし、ここで注目すべきことは、透明基板6が透明電極5と接する内側面が屋根型の凹凸形状の繰り返しパターンに形成されており、この凹凸を形成する傾斜面(発光面)6a、6a’の傾斜角αがほぼ45度になっていることである。この凹凸については、通常、ストライプ状の頂部6c−6c間の間隔(ピッチ)1は10〜1000μm、ストライプ状の頂部6cとストライプ状の底部6dとの距離(凸部の高さ)hは5〜500μmとしてよい。このような凹凸形状は、例えばガラスを型に圧着し、溶融モールド法により作製できる。
【0032】
従って、この素子の発光層3内で発生した光は、直接或いは電極1での反射後に、図2に示すように、上記の凹凸の傾斜面を発光面として基板6内へ放射される。図2は、その発光と発光した光の光路の一例を示したものであり、例えば、斜面6aのP点から出射した光は、透明基板6の表面6b側へ直接進む光と、隣接する反射側斜面6a’側へと進む光とがある。表面6b側へ直接進んだ光Lは、そのまま基板6の外部へ有効に取り出されると共に、斜面6a’側へ進んだ光は斜面6a’で正反射されて表面6b側へ反射光L’として進路変更され、基板6の外部へやはり有効に取り出される。
【0033】
実際には、発光面から出射した光は、図2のように単純な光路をとるのではなく、一定の領域内で無数にそして複雑な光路を形成し、また発光点も傾斜面6aの任意の点を示したにすぎず、傾斜面6a、更には6a’の全面に存在していて出射光は基板6の表面6bの全面から出射する。この出射について更に詳細に示したのが、図3である。
【0034】
即ち、図3は、透明基板6の要部を抽出して、図2における斜面6a上のP点から出射する光の広がりを説明するための原理図である。
【0035】
図3において、6は透明基板、6aは屋根型構造の基板の一方の斜面、6a’は同じく隣接する反対側の斜面、6bは基板表面、6eは説明を分かり易くするために仮想した側面である。
【0036】
上記したように、傾斜角α(ほぼ45度)の発光面6aのP点から出射した光は、基板6の表面6bへ直接到達する光路と、向かい合う発光面6a’で反射されて基板表面6bへ達する光路との2通りがある。これをもっと簡単に考察するために、発光面の一つの面に写し出される基板表面6bの虚像を用いて説明する。
【0037】
図3において、斜面6aのAO上の一点Pからの発光を考察する。P点からの光の広がりは、螢光の強度分布が半球上で等方的であることより、面6a上の円錐内で等方的であると考えられる。P点から出射した光が基板表面6bから外部へ有効に放射され得る光路の範囲はPQRで示され、基板表面6bに描かれる円27Aを底面とする円錐内である。また、P点から出射した光が隣接する反対側斜面6a’のOBで反射されて、基板表面6bから外部へ有効に放射され得る光路の範囲はPSTで示される光の広がりによる円錐のうち、PBの延長線上のVを通る直線gで区切られた上下両領域のうち下の領域である。従って、PSVで示される上の領域へ放射された光はそのまま仮想的側面6eから外へ放射され、損失光となってしまう。
【0038】
上記のV点が円錐の底面27Bのどこを通るかはAO面上のPの位置により異なり、PがOに近ければ、直線gはSTを通る円27Bを通ることはない。即ち、PをOに近付けてPの位置に設定した場合、仮想的側面6e側における円27BはS、Tを通ることになる。従って、斜面OBの延長線とほぼ一致する位置に円27Bの一方の端Sが存在するときには直線gが形成されることはあり得ないので、このような状態に可能な限り近付くようにPをOに近付けると、上記した斜面OBによる反射は最大となり、この反射による光量を最も多くすることができる。
【0039】
他方、PがAに近づき、A点に達した場合は、直線gは円27Bの中心を通る。即ち、この場合の円27BはS、Tに両端をもつ一点鎖線で描かれる部分となる。従って、この場合の直線gが形成されるV線は、斜面OBのBの位置と同じ位置レベルに形成される。
【0040】
このように、PがOに近いところでは透明基板6の外部へ有効に放射され得る光路の立体角はPQR+PST(又はP)であり、先に図34及び図35のような凹凸のない平面基板の場合に比べて2倍となる。しかし、PがAに近付くにつれて徐々に減り、A位置においてはPQR(又はP)+Pであり、平面基板の場合に比べて 1.5倍となる。
【0041】
また、斜面OA及びOBをほぼ45度傾斜の屋根型構造にすることにより、図3において、直角三角形ACOの底辺CO=1に対して、斜辺AO=√2であり、1:√2である。即ち、発光する表面積(発光面積)は平面の場合に比べて√2倍、即ち約 1.4倍となる。
【0042】
つまり、PをA点に移動した場合の発光の立体角は平面に比べて 1.5倍であり、Oに近いP点においては平面に比べて2倍であることから、上記のような屋根型構造のAO及びOBの2つの面によるP点の発光量の合計は、P点=A点における発光量の合計で 1.5×√2=約 2.1倍であり、P点がO点に近いときの発光量の合計で2×√2=約 2.8倍となる。このことから、図3の屋根型構造の場合、平面基板の場合に比べて発光量が約 2.1倍〜約 2.8倍と大幅に増加する。
【0043】
図4においては、上記した図3での説明を捕捉するものである。図4において、透明基板6の表面に形成される円錐の底面27Aを放射許容範囲とすれば、P点から出射した光が初めから放射許容範囲27A内に放射される光Lと、斜面OBに反射されて放射許容範囲27A内に入る光L’とが有効に取り出される光となる。こうした現象は、凹凸の各斜面6a、6a’上で同時に生じるため、この素子の発光量は十分なものとなる。
【0044】
但し、最初から放射許容範囲27Aの外へ放射された光L及びPB線上に放射された光Lは、図示のように、基板表面6bに達した後に全反射される。このように全反射された光は、隣接する若しくは近傍の別の斜面6a又は6a’により一部は反射され、隣接する若しくは近傍の別の放射許容範囲に入り、有効に活用されるものがある。その一部は、全反射を繰り返しながら、透明基板6の側面から損失光として放射されるものであるが、これは図34及び図35の場合に比べて著しく少ない。
【0045】
この例において、発光量を従来例に比べて上記した2.1倍〜2.8倍の如くに向上させるためには、上記した屋根型構造の凹凸の間隔1が発光する光の波長に比べて十分に大きく、素子の1画素よりも大きくないようにすることが望ましく、例えば10〜1000μmとするのが適切である。更に、凹凸の斜面において僅かな凹凸が存在しているとしても、その斜面上の表面凹凸は発光する光の波長以下の微細なものであり、滑らかないわゆる鏡面状を呈していることが望ましい。以下に、これらについて説明する。
【0046】
図5(a)は上記の条件を示すものである。P点から出射した光がP点で反射して矢印方向へ進む場合を考察すると、光は図示のように波14として進行し、反射面に当たれば法線13に対する入射角βと対称な角度βで正反射し、出射面から反射面までの波14と対称の波14として反射される。従って、出射光が正常に反射され、その波長λ又は波としての性質を保持しながら進行するには、凹凸の間隔lは波長λより十分に大きいことが望ましい。
【0047】
しかしながら、図5(b)のように、凹凸の間隔lが光の波長λよりも短い場合、例えば1/2波長の位置で反射されると、この反射光は入射光に比べて対称的な波形となるものの周期的な波、即ち正常な光として取り出すことができない。従って、光の波長λより凹凸の間隔lを十分に大きくすることが望ましい。
【0048】
また、このような屋根型の凹凸構造の斜面は全てが発光面でもあり、反射面でもある。これら斜面が反射面として作用するとき、この反射面の表面に発光する光の波長より大きい凹凸が存在していれば、反射を効果的に行えない。従って、この斜面に凹凸が存在していても、この凹凸は図示のように波長以下の大きさであって、非常に小さく、斜面が鏡面のように滑らかであることが望ましい。
【0049】
更に、この例において、上記凹凸形状の間隔1が、素子を発光表示素子として構成するときには、1画素より大きくないこと、即ち1画素以下のサイズであることが望ましい。
【0050】
図6(a)はこの条件を示すものであって、凹凸形状の間隔lは1画素の領域15と同等以下と小さいものである。従って、発光面からの出射光は1画素内で必ず反射されるため、基板表面6bから放射される光量の総和は十分となり、発光効率及び輝度共に画像を構成するのに十分となる。しかし、図6(b)のように、凹凸の間隔lが大きく斜面6a又は6a’の一方だけが1画素の領域15に含まれる場合には、反射面が1画素内に存在しないため光量不足となり、画質やコントラストが悪くなり、また、1つの画素からの出射光が隣接する他の画素の反射面で反射されるため、両画素間でクロストーク現象が発生し、ノイズの原因となる。
【0051】
図7は、上記のように構成された有機EL素子25の概略平面図である。透明基板6の上面にはITO透明電極5が同一パターンでストライプ状に形成され、これらの透明電極5の上にはこれらの電極とマトリクス状に直交してSiO絶縁膜9が同一パターンでストライプ状に形成されている。そして、絶縁膜9−9間には、ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2、アルミニウム電極1がこの順でほぼ同じパターンに積層され、この積層体が絶縁膜9と同一方向にて同一パターンでストライプ状に形成されている。
【0052】
このようにマトリクス状に各層が積そうされた透明基板6の内面には、上記した屋根型形状の凹凸が形成されている。その状態を示した図8は、図7のA−A線断面におけるa部の拡大図である。上下の電極の交差部が個々の画素PXである。そして、このa部のB−B線拡大断面図を示したのが図9である。ここでは、上記の凹凸形状を形成する傾斜面6a、6a’は有機層(ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2)と同じ方向にストライプ状パターンに設けられているが、透明電極5と同じ方向にストライプ状パターンに設けられていてもよい。
【0053】
次に、図7〜図9に示した有機EL素子を図10〜図19に示す製造工程について更に詳細に説明する。
【0054】
図10は、傾斜面6a、6a’が交互に繰り返された屋根型の凹凸構造を形成した透明基板6の平面図、図11は図10のXI−XI線に沿う拡大断面図である。例えば、縦横のサイズがそれぞれ30mmである基板6のうち、縦W=26mm、横W=26mmの領域に、高さh=25μmの凹凸を間隔l(又は凹凸のピッチ)=50μmで形成する。これにより、図11に示すように、屋根型の斜面6a、6a’が26mm内にストライプ状パターンに形成される。
【0055】
このような凹凸を形成した基板6は、光ディスクの製造において行われているフォトポリマーを用いる方法(2P法)をはじめ、低融点ガラス又は高分子化合物を用いたプレス成形や射出成形によって容易に量産可能である。但し、高分子の基板6を使用する場合には、通気性及び透水性を遮断するために、成形後に、SiNやAlN等を例えばECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマCVD法やスパッタ法により基板表面に成膜する。
【0056】
次に、図12に示すように、透明基板6の凹凸形成面の全面にITO(Indium Tin Oxide)をスパッタ法により成膜した後、図13(図12のXIII−XIII線断面図)のように、エッチングにより、透明電極5を幅w=2mm、ピッチw=2.54mmで8本を単位としてストライプパターンに形成する。これら8本の透明電極5はそれぞれ、1本の両端の抵抗を約 300Ωとする。
【0057】
次に、図14のように、後述する有機積層体を絶縁するためのSiO絶縁膜9をSiOの全面蒸着後のエッチングでストライプ状に形成する。その幅wは1mm、ピッチwは2.54mm、膜厚tは 100nmとする。
【0058】
有機層(ホール輸送層4、発光層3、電子輸送層2)及びアルミニウム電極1の蒸着は、図15に示すような真空蒸着装置11を使用する。この装置の内部には、アーム12の下に固定された一対の支持手段13が設けられ、この双方の固定手段13、13の間には、透明基板6を下向きにし、後述するマスク22、23又は24をセットできるステージ機構(図示省略)が設けられている。そして、透明基板及びマスクの下方には、所定個数の各種蒸着源28を配置する。蒸着源28は、電源29による抵抗加熱方式で加熱される。この加熱には、必要に応じてEB(電子線)加熱方式等も使用される。
【0059】
SiO絶縁膜9を形成した透明基板6は、有機溶剤、紫外線(UV)オゾン処理により表面を十分に清浄した後、上記真空蒸着装置11により赤(R)、緑(G)、青(B)の3色を発光するストライプを隣接して形成するため、有機層及び金属電極を各色毎に別の蒸着マスクを用いて次の手順で行った。
【0060】
まず、真空蒸着装置11の中に透明電極基板6と赤(R)色用のマスク22をセットする。図16は、その透明基板6とマスク22の位置関係を示した一部分の拡大断面図である。図示のように、蒸着は絶縁膜9−9間の領域にマスク22のスリット状の開口部22aを位置合わせ(マスク掛け)する。マスク22の開口部22aは、絶縁膜9−9間の領域に対して3本おきの間隔で形成されている。従って、このマスク掛けにより、赤(R)の発光体領域以外は遮蔽される。
【0061】
このように、赤(R)色用のマスク22を掛けてから、真空蒸着装置を2×10−6Torrの真空度に保ち、下記構造式のトリフェニルジアミン誘導体TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)を蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Rを形成する。
【0062】
続いて、同じマスク22をそのまま用いて、下記構造式のAlq(トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)とレーザー色素DCM(4−ジシアノメチレン−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン)をそれぞれ 0.3nm/s及び0.03nm/sの蒸着レートで20nmの厚さに蒸着し、発光層3Rをホール輸送層4R上にほぼ同じパターンに積層する。
【0063】
続いて、同じマスク22をそのまま用いて、下記構造式のAlq(トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)を蒸着レート 0.3nm/sで40nmの厚さに蒸着し、電子輸送層2Rを発光層3R上にほぼ同じパターンに積層し、最後にアルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、電子輸送層2R上にほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0064】
【化1】
Figure 0003584575
【0065】
【化2】
Figure 0003584575
【0066】
【化3】
Figure 0003584575
【0067】
次に、図17のように、緑(G)色用のマスク23に掛け替える。このマスク23は、図示のように、上記の赤(R)色用のマスク22による積層領域に隣接する絶縁膜9−9間の領域にスリット状の開口部23aが一致するように、位置合わせされる。マスク23は上記した赤(R)色用のマスク22と同じパターンに形成され、緑(G)以外の発光領域を遮蔽する。
【0068】
このようにして緑(G)色用のマスク23掛けをしてから、真空蒸着装置を3×10−6Torrの真空度に保ち、まず、上記したトリフェニルジアミン誘導体TPDを蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Gを形成する。
【0069】
続いて、同じマスク23をそのまま用いて、上記したAlqを蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4G上にほぼ同じパターンに発光層3Gを積層する。この発光層は電子輸送層2Gを兼用するものである。
【0070】
更に、この上にアルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、発光層3G(及び電子輸送層2G)とほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0071】
次に、図18のように、青(B)色用のマスク24に掛け替える。このマスク24は、図示のように、上記の緑(G)色用のマスク23による積層領域に隣接する絶縁層9−9間の領域にスリット状の開口部24aが一致するように、位置合わせされる。マスク24は赤(R)色用及び緑(G)色用のマスクと同じパターンに形成され、青(B)以外の発光領域を遮蔽する。
【0072】
このように青(B)色用のマスク24を掛けてから、真空蒸着装置を3×10−6Torrの真空度に保ちながら、まず上記したトリフェニルジアミン誘導体TPDを蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4Bを形成する。
【0073】
続いて、同じマスク24をそのまま用いて、下記構造式のZn(oxz)(2−(o−ヒドロキシフェニル)−ベンズオキサゾールの亜鉛錯体)を蒸着レート 0.3nm/sで50nmの厚さに蒸着し、ホール輸送層4B上にほぼ同じパターンに発光層3Bを積層する。この発光層は電子輸送層2Bを兼用するものである。
【0074】
最後に、アルミニウムを蒸着レート2nm/sで 300nmの厚さに蒸着し、発光層3B(及び電子輸送層2B)上にほぼ同じパターンに電極1を積層する。
【0075】
【化4】
Figure 0003584575
【0076】
図19は、上記した製造工程において、蒸着により有機層から電極(陰極)までを各色毎に所定の色用の同じマスクを使用して積層して得られる有機EL素子を示す。そして、図20は、陽極の透明電極5と陰極の金属電極1とを駆動・制御回路に配線した状態であるが、その動作については後述する。
【0077】
以上の製造プロセスにおいて、マスクの掛け替えは、真空状態下で真空中のまま、或いは真空を破って蒸着膜が大気に曝される状態下で行ったが、初期の発光性能に大きな差は見られなかった。
【0078】
この例によれば、上記したように、透明電極5と接触する透明基板6の面にほぼ45度で傾斜した屋根型の凹凸形状の発光面6a、6a’を形成しているので、発光面で発光した光を隣接する斜面で効果的に反射させて、光路を基板表面6bへ変え、放射許容範囲内へ振り向けて取り出すことにより、発光効率及び輝度を高め、更には素子の長寿命化を図ることができる。
【0079】
しかも、凹凸の間隔lが発光する光の波長よりは十分に大きく、しかも、発光面は凹凸が存在していても非常に小さくて発光する光の波長より小さい(鏡面のように滑らかな)面を形成しているので、発光した光を十分に反射させて有効に取り出すことができる。
【0080】
また、上記の凹凸の間隔lが1画素領域より小さいため、発光面から発光する光を1画素内で確実に反射させることができ、画質を劣化させることはない。
【0081】
こうした凹凸形状の基板6を用いた素子に対し、比較のために図22に示すように、透明基板6’の内面は凹凸構造のない平坦面であり、その他は図8と同様に構成した有機EL素子45を作製した。
【0082】
上記した参考例及び比較例のサンプルをいわゆるダイナミックドライブ方式で点灯させて電流及び輝度を比較した。その際に使用した駆動回路を図20に示す。
【0083】
この駆動回路は、オペアンプOPAを用いて、コラムを流れる素子電流(画素PXを流れる電流)iを外部からの輝度信号によって制御できるように構成したものである。
【0084】
即ち、ストライプ状のコラム電極(上記した電極1)とストライプ状のライン電極(上記した透明電極5)とが上下でマトリクス状に交差して、この交差位置にそれぞれのピクセル(画素)PXがパッシブマトリクス型構造に形成されている。各ピクセルPXは、順方向に接続されたダイオードDとして等価的にみなせる。そして、一方のコラム電極1はそれぞれの電流制御回路部40に接続されると共に、他方のライン電極5はそれぞれ駆動電源Vに接続され、制御信号CSによって駆動される。この駆動回路とその動作を更に詳細に説明する。
【0085】
電流制御回路部40は、多数のピクセルPXのそれぞれに流れる電流iを電圧Vとしてモニターできる基準抵抗Rref と;この基準抵抗Rref とピクセルPXとの間に接続された電流制御素子としてのFET(Field Effect Transistor)と;前記のモニターされた電圧Vと電流制御回路部40に対し外部のPROM(Programmable Read Only Memory)から供給される輝度信号電圧Vとを比較してFETに対する制御電圧VCSを出力する演算増幅素子(オペアンプ)OPAと;を有している。
【0086】
PROMには、有機EL素子25で表示したい映像情報が予めプログラムされてメモリされている。これは、パーソナルコンピュータPCで操作されるマイクロプロセッシングユニットMPUからの指示によりPROMに入力され、上記映像情報がサンプリングされて所定の輝度信号電圧VがPROMから出力される。この輝度信号電圧は抵抗器rで所望の電圧値に調整され、この調整された電圧VSAがオペアンプOPAの+端子に入力される。
【0087】
一方、ピクセルPXを点灯させるために、電源VとピクセルPXとの間に駆動トランジスタ(ここではNPNバイポーラトランジスタ)Trが接続され、このトランジスタのベースにスイッチング用の制御電圧CSが選択的に印加され、各ライン電極5が逐次切り替えられる。従って、制御電圧CSによってトランジスタTrがオンしたタイミングで、そのライン電極5に電源電圧Vが印加され、これによってコラム電極1との間に電流iが流れ、ピクセルPXが点灯することになる。
【0088】
こうした点灯動作は、ライン電極5に電源電圧Vが印加されると同時に、上記した輝度信号電圧によるFETのオン状態が続く間(即ち、電流iが流れる期間中)は継続され、こうした動作が各ライン毎に輝度信号に対応して行われるため、目的とするディスプレイ画像がEL素子25から得られる。
【0089】
この場合、ピクセルPXを通して流れる電流iは、そこに要求される発光輝度に相当して流れるようにしているが、これは上記の電流制御回路部40によって実現可能である。これを以下に説明する。
【0090】
オペアンプOPAの+端子には、上記した輝度信号電圧VSAが入力されると共に、その−端子には、基準抵抗Rref を電流iが流れることにより、基準抵抗Rref の両端に生じる電位差(上記のモニターされた検出電圧V)が入力される。
【0091】
そして、VSA>Vの条件下では、オペアンプOPAの出力VCSが上昇し、FETのゲート電位Vが上昇し、V−Vが小さくなってFETのソース−ドレイン抵抗を下げて電流iを増加させる。このようにiが増加してi・Rref =VがVSAに達すると、それ以上はVCSが上昇しなくなり、FETの抵抗値が安定し、iは一定値V/Rref に安定する。
【0092】
従って、PROMからの輝度信号電圧が印加されている間は、その輝度信号電圧VSAと検出電圧Vとが一致するまで、可変抵抗としてのFETを介して電流iが流れ、ピクセルPXには目的とする電流量となるまで電流が流れるから、所望の発光輝度が常に得られることになる。この動作のタイミングチャートは図21に示す。
【0093】
電源V側のライン電極5の切り替え動作を説明すると、クロックジェネレータからなる発振器CLKからの発振パルスがカウンタCTに入力され、同じビット数のカウンタCTとの組み合わせによって所定のカウント数毎にスイッチング用ラインセレクタLSが作動され、所定の選択ラインにTTLレベルの電圧が出力される。この出力は、インバータINVによって反転され、この反転出力が制御信号CSとしてトランジスタTrのベースに印加されるが、この印加によってオンしたトランジスタTrを介して電源電圧Vが上述したようにライン電極5に供給される。なお、上記のPROMは、カウンタCTによってクロック制御される。
【0094】
上記したように、図20の駆動回路によって、画素PXを流れる電流量を制御するため、各画素の輝度を正確にコントロールし、常に鮮明な発光(画像表示)を実現することができる。
【0095】
そして、図20の駆動回路において、各ラインの各画素PXの点灯時間比率(デューティ比)を1/256 とし、電源電圧Vを20V印加し、各素子の輝度信号を5Vにして作動させたところ、概ね本実施例の素子の方が比較例の素子よりも 1.4倍程度電流が多く流れるのが計測された。これは、仮に電流制御回路部40による電流制御を行わない条件でも、各素子に電流量のばらつきはあるものの、同様であった。
【0096】
次に、各素子の与える輝度信号を1Vとして、1画素にかかる電流量を6.25mA(電流密度 200mA/cm)として輝度測定を行った。輝度を輝度計BM5A(トプコン社製)で測定したところ、本実施例の方が 1.6倍程度、比較例に比べて明るいことが確認された。
【0097】
なお、図20の駆動回路は一例であって、例えば、電流制御回路部40に電圧ホールド回路を設けたり、構成素子を適宜変更する等、電流制御を一層正確に行うように構成することができる。また、輝度信号電圧を外部から供給するための回路も種々変更してよく、ラインセンサLSと連動してPROMを作動させてもよい。また、PROMでは映像信号がサンプルホールドされるか、或いはサンプリング後にA/D変換されてよい。更に、これらの変更を含む図20の駆動回路を設けずに、従来から行われている印加電圧の制御による輝度制御を行うこともできる。
【0098】
図23〜図25は、本発明を有機EL素子に適用した第の実施例を示すものである。
【0099】
上述の参考例で述べた如く、基板6の面にほぼ45度傾斜の屋根型の凹凸構造が形成されている場合、図26において矢印で示すように、外からの光Leは必ず2回反射され、まず斜面6aで反射されて90度向きを変えられ、この反射光Le’が更に斜面6a’で反射されて90度向きを変えられ、入射時と反対の方向へ反射光Le”として戻り、基板6の外部へ放出される。従って、この反射がディスプレイとしての画像を見にくくする原因となる。こうした反射光による悪影響は、図22に示した平坦な基板6’を用いるときに特に顕著となり、電極1がAl、Al合金、MgAg合金、InMg合金等の反射率の高い材料からなっているために、電極1がミラーの如くに外光を反射したり外の景色を映し出すことになり、極めて表示が見にくくなる。
【0100】
そこで、図23〜図25に示すように、透明基板6の表面6b上に偏光板26を設置することにより、画像が見にくくなる上記の原因を解消することができる。
【0101】
即ち、図23及び図24のように、基板6の屋根型構造の辺に対して偏光方向Aが45度傾斜するように偏光板26を設置すれば、外部からの入射光Leが偏光板26を通って得られる偏光光Lepが透明基板6の斜面6aで反射され、90度偏光されて偏光方向Bの反射光Lep’となり、これが更に斜面6a’で反射され、この反射光Lep”の偏光方向Cは入射時の偏光光Lepの偏光方向Aに対して90度傾斜する。このため、入射光Lepが反射光Lep”として再び偏光板26に入射する際には、偏光軸Aを有する偏光板26で遮られ、もはや外部へ戻ることはない。
【0102】
これにより、上述した参考例と同様に凹凸形状の発光面6a、6a’によって発光効率及び輝度が向上するだけでなく、安価な直線偏光板26を設置することにより、外光の反射を大きく低下させることのできる有機EL素子35を安価に実現することができる。
【0103】
図25は、本実施例による有機EL素子35の構造を概略的に示すものであるが、偏光板26は基板6の外面に貼り付け等により一体化することができる。
【0104】
但し、この有機EL素子の発光面からの発光は無偏光であるので、その光が基板表面6bから放射される際に偏光板26を1回通過することにより、光量は例えば1/2に低下する。即ち、偏光板26の偏光軸Aに一致する偏光方向の光だけが偏光板26を通過することができるからである。しかし、光量は低下するものの、上述したように屋根型の凹凸構造により既に発光光量が平面基板の場合の 2.1〜2.8 倍も増加し、輝度増加が実現されているため、輝度の点で平面基板のパネルと同等以上を確保できる。
【0105】
しかも、上記した如く、安価な偏光板26を使用して外光の反射を十二分に抑制でき、コントラスト及び色純度が非常に高くて見易い平面ディスプレイを提供できる。そして、外部光の強い屋外等での使用も可能であり、ディスプレイの用途を拡大できる。
【0106】
次に、偏光板26として、表面無反射コートフィルムを施したポラロイド偏光板(日東電工社製)を使用し、本実施例の素子35(図24)及び前記比較例の素子45(図22)において各基板6及び6’の外面にそれぞれ貼り付け、以下のように両者を比較した。
【0107】
無点灯状態で各サンプルを正面から観察した結果、本実施例の素子35は、図23及び図24のように偏光板26の偏光軸Aを屋根型構造の屋根の辺の方向に対して45度傾けて貼り付けたときに、基板6の表面が黒く観察された。しかし、比較例の素子45では、偏光板26を貼り付けない場合に比べて暗くはなったものの、外の景色がかなり映っているのが観察された。
【0108】
更に、各サンプルを発光させたときには、本実施例の素子35は、偏光板26を貼り付けない状態に比べて外光の反射量が1/100 に大幅に減少し、非常にコントラストが高く、色純度の良い発光が得られた。しかし、比較例の素子45ではコントラストや色純度の改善は認められなかった。
【0109】
図27は、本発明を有機EL素子に適用した更に他の実施例を示すものである。この実施例では、図25の例に比べて発光層3が電子輸送層2を兼ねており、その他の構成は上述の第の実施例と同様である(但し、偏光板26は図示省略)。
【0110】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0111】
例えば、透明基板6の面の凹凸形状は、上述した45度の傾斜以外にも、他の種々の角度の傾斜面からなっていてよく、また、角ばった形状以外に曲線による波形等でもよい。
【0112】
例えば、図28の例は角ばった屋根型ではあるが、斜面6a、6a’のなす角度α及びαが鋭角に形成された(従って、傾斜角αは45度以上の)屋根型である。この場合、傾斜角が45の場合とは異なる反射状態となるが、同様の優れた効果を期待できる。
【0113】
また、図29は、図27の例とは逆に、純角α、αに形成された屋根型であり、更に異なる反射効果がある。
【0114】
また、図30は、凹凸形状を曲線による波形の凹凸面に形成したものであるが、平面の反射とは異なって曲面による反射方向が様々である。
【0115】
また、図31は、傾斜角α、αの屋根型ではあるが、角部に丸みを形成した形状である。この場合も、上述した実施例と同じような反射と共に、角部の丸みによって発光層を含む各層の膜付きが良好となり、その物性劣化が生じ難くなる。また、角部の丸み部分での発光も有効に利用することができ、また、そこでの反射方向は様々となる。
【0116】
更に、凹凸形状は、一次元方向にのみ形成される必要はなく、平面上の二次元方向に、微小なピラミッド構造が規則的又は不規則的に配列していても、上記と同様の効果がある。
【0117】
更に、偏光板も、上述の実施例の偏光板26とは異なる偏光軸の偏光板とし、この偏光板に合った反射面の角度や形状と任意に組み合わせることが可能である。
【0118】
また、電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層のそれぞれの厚さは、素子の動作電圧を考慮して決められるものであり、上述の実施例に限定されるものではない。これら各層の組成や配置、画素のパターン及びレイアウト等は様々に変化させることができる。
【0119】
また、素子の各層の作製法も通常の真空蒸着法、ラングミュアブロジェット(LB)蒸着法をはじめ、ディップコーティング法、スピンコーティング法、真空気体蒸着法、有機分子線エピタキシ法(OMBE)が採用可能である。なお、ホール輸送層又は電子輸送層には螢光物質を含有させておいてもよい。
【0120】
また、本発明の光学的素子は、撮像素子として応用してもよく、そして、ディスプレイ以外にも、例えば、文字板等の光源として利用することも可能であり、この場合はマトリクス状にする必要はなく、また、発光領域を分割してもよい。
【0121】
また、この光学的素子は、上述のEL素子以外の自発光型の素子に適用してよく、更に光起電装置(バッテリー用)、光通信機器等にも応用することができる。
【0122】
【発明の作用効果】
本発明は、上述したように、光学的に透明な基体の上に、第1の電極と発光層と第2の電極とが積層して設けられている光学的素子において、前記第1の電極に接する前記基体の接触面に凹凸が繰り返し形成され、この凹凸形状がその断面方向でほぼ同一形状の屋根型であって前記断面方向と直交する方向にストライプ状の頂部及び底部を有し、これらの頂部と底部との間に傾斜面が存在しているので、発光領域の発光面積が増加すると共に、凹凸面の反射により、発光した光が素子外部へ有効に放射される光路が増え、有効に放射される総光量が増加するため、発光効率、発光輝度が向上する。
しかも、前記第1の電極の光出射側にて前記基体上に、出射光は通すが外光を遮断する直線偏光手段が、前記ストライプの方向に対して45度傾斜した偏光方向を有するように設置されているので、安価な直線偏光手段を設置することにより、外光の反射を大きく低下させることのできる素子を安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考例による有機EL素子の要部の拡大断面斜視図である。
【図2】同有機EL素子の発光による出射光の光路の一例を示す要部の拡大断面斜視図である。
【図3】同出射光の広がりを示す原理図である。
【図4】同出射光について更に捕捉説明するための原理図である。
【図5】同有機EL素子における光の波動性を示す原理図であり、(a)は波動性が確保される場合、(b)は波動性が確保されない場合、を示す。
【図6】同有機EL素子において透明基板の凹凸形状と1画素の大きさとの関係を示し、(a)は1画素より凹凸が小さい場合、(b)は1画素より凹凸が大きい場合を示す。
【図7】同有機EL素子の概略平面図である。
【図8】図7のA−A線断面におけるa部の拡大図である。
【図9】図7のB−B線断面におけるa部の拡大図である。
【図10】同有機EL素子の製造工程を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う要部の拡大断面図である。
【図12】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図13】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図14】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図15】同製造工程に使用可能な真空蒸着装置の概略図である。
【図16】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図17】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図18】同他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図19】同更に他の製造工程を示す要部の拡大断面図である。
【図20】同有機EL素子の駆動回路図である。
【図21】同駆動回路の素子電流制御時のタイミングチャートである。
【図22】比較例による有機EL素子の要部の拡大断面図である。
【図23】本発明の第の実施例による有機EL素子の要部の一部分解拡大断面斜視図である。
【図24】同要部の拡大図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図25】同有機EL素子の概略断面図である。
【図26】有機EL素子へ入射する外部光の光路の一例を示す要部の拡大断面斜視図である。
【図27】本発明の他の実施例による有機EL素子の概略断面図である。
【図28】本発明の更に他の例による有機EL素子の基板の要部の拡大断面図である。
【図29】本発明の更に他の例による有機EL素子の基板の要部の拡大断面図である。
【図30】本発明の更に他の例による有機EL素子の基板の要部の拡大断面図である。
【図31】本発明の更に他の例による有機EL素子の基板の要部の拡大断面図である。
【図32】従来例による有機EL素子の概略断面図である。
【図33】同他の有機EL素子の概略断面図である。
【図34】同有機EL素子の具体例を示す概略斜視図である。
【図35】図32の有機EL素子の発光による出射光の光路を示す要部の拡大断面斜視図である。
【図36】同出射光の光路を示す原理図である。
【符号の説明】
1・・・電極(陰極)
2・・・電子輸送層
3・・・発光層
4・・・ホール輸送層
5・・・透明電極(陽極)
6・・・透明基板
6a、6a’・・・斜面(凹凸面)
6b・・・基板表面
6c・・・頂部
6d・・・底部
6e・・・基板側面
9・・・絶縁膜
11・・・真空蒸着装置
12・・・アーム
13・・・支持手段
21・・・絶縁膜用マスク
22・・・赤色用マスク
23・・・緑色用マスク
24・・・青色用マスク
25、35・・・有機EL素子
26・・・偏光板
27A・・・放射許容範囲
λ・・・波長
L、L・・・出射光
’・・・反射光
P・・・発光点
l・・・凹凸の間隔
h・・・凹凸の高さ
α・・・傾斜角
PX・・・画素
A、B・・・偏光軸又は偏光方向
Lep、Le・・・外部光
Lep’、Lep”、Le’、Le”・・・反射光

Claims (7)

  1. 光学的に透明な基体の上に、第1の電極と発光層と第2の電極とが積層して設けられている光学的素子において、
    前記第1の電極に接する前記基体の接触面に凹凸が繰り返し形成され、この凹凸形状 がその断面方向でほぼ同一形状の屋根型であって前記断面方向と直交する方向にストラ イプ状の頂部及び底部を有し、これら頂部と底部との間に傾斜面が存在しており、
    前記第1の電極の光出射側にて前記基体に、直線偏光手段が、前記ストライプの方 向に対して45度傾斜した偏光方向を有するように設置されている
    ことを特徴とする光学的素子。
  2. 前記凹凸による前記接触面の傾斜角がほぼ45度である、請求項1に記載した光学的素子。
  3. 前記凹凸の間隔が、発光する光の波長より大きく、素子の発光単位領域より大きくない、請求項に記載した光学的素子。
  4. 前記凹凸の凹凸形状の断面方向において、隣接する傾斜面の一方からの発光が他方の傾斜面によって反射される、請求項1に記載した光学的素子。
  5. ストライプ状の複数の前記第1の電極上に、前記発光層を含む少なくとも一層のストライプ状の複数の有機層と、前記第1の電極に交差したストライプ状の複数の前記第2の電極とが設けられている、請求項1に記載した光学的素子。
  6. 発光素子として構成された、請求項1に記載した光学的素子。
  7. 有機電界発光ディスプレイである、請求項に記載した光学的素子。
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