JP4858337B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents
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(1) 基層と有機エレクトロルミネッセンス層とを含む積層体からなり、基層と有機エレクトロルミネッセンス層との界面が褶曲しており、該有機エレクトロルミネッセンス層の表面に褶曲に対応する起伏を有し、該起伏は、頂点間距離の平均値Xpが0.1〜20μmであり、頂点間距離の標準偏差σpがXpに対してσp/Xp=0.1〜0.9である、有機エレクトロルミネッセンス素子。
(2) 有機エレクトロルミネッセンス層の表面の起伏は、凸部の高さと頂点間距離との比の平均値が0.1〜4.0である、(1)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(3) 有機エレクトロルミネッセンス層の表面の起伏は、稜線の長さと凸部の幅との比(長さ/幅)の平均値が5以上である、(1)または(2)に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
(4) さらに封止層を含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
111、211:下部電極層
112、212:発光材料層
113、213:上部電極層
114:封止層
図5は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の垂直断面例を示す模式図である。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基層(210)と有機エレクトロルミネッセンス層(211、212、213)とを含む積層体からなり、基層と有機エレクトロルミネッセンス層との界面が褶曲しており、該有機エレクトロルミネッセンス層の表面に褶曲に対応する起伏を有するものである。
ものである。
波形の頂点間の距離の変動係数は、10〜90%となっていることが好ましい。なお、この変動係数は、頂点間の距離の平均値に対する該距離の標準偏差の割合(=標準偏差/平均値×100)である。
本発明の有機EL素子においては、上部電極層が透明又は半透明であることが、発光の取出し効率がよく好都合である。上部電極層の作成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法などが挙げられる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、発光材料層に2種類以上の発光材料を混合して使用してもよく、2層以上の発光材料層が積層されていてもよい。発光材料層の作成方法としては、真空蒸着法、キャスト法などが挙げられる。
下部電極層の平均厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、通常10nm〜10μm、好ましくは100〜500nmである。
正孔注入層とは、陽極に隣接して設ける層であり、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層をいう。正孔注入層の平均厚さは、通常1nm〜100nm、好ましくは2nm〜50nmである。
正孔注入層や正孔輸送層に用いる材料としては、従来の有機EL素子において用いられている正孔伝達化合物として公知のものが挙げられる。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。したがって、電子輸送層の平均厚さは、通常1nm〜1μm、好ましくは2nm〜500nmである。
電子注入層とは、陰極に隣接して設ける層であって、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものをいう。
電子注入層の平均厚さは、通常1nm〜100nmであり、好ましくは2nm〜50nmである。
電子輸送層、電子注入層に用いる材料としては、従来有機EL素子における電子伝達化合物として公知のものが挙げられる。
これらその他の層の作成方法としては、スピンコート法、キャスト法、真空蒸着法などが挙げられる。
有機エレクトロルミネッセンス層の表面の起伏は、稜線の長さと凸部の幅との比(長さ/幅)の平均値が、好ましくは5以上、より好ましくは10以上である。稜線の長さと凸部の幅の比を前記範囲にすることにより、凹凸構造の圧縮強度が向上するため、他部材との積層が容易になる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、フィルム基材の少なくとも一方の表面に有機エレクトロルミネッセンス層を形成して積層フィルムを得る工程、及び該積層フィルムを面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させて有機エレクトロルミネッセンス層を褶曲させる工程を含むものである。
本発明の製造方法に用いるフィルム基材は、有機エレクトロルミネッセンス層を積層させた後に、面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させることができるものであれば特に限定されない。例えば、フィルム基材自身が加熱などの手段によって収縮するものであってもよいし、一軸延伸させたときに延伸方向に直交する方向が収縮するものであってもよい。
樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、メタクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)などが挙げられる。
フィルム基材の材料は、これらのうち、製造が容易な点から熱可塑性樹脂が好ましい。
延伸処理する方法としては、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法;などが挙げられる。
延伸に用いる装置として、例えば、縦一軸延伸機、テンター延伸機、バブル延伸機、ローラー延伸機等が挙げられる。
延伸倍率は、使用するフィルムの引張り特性に応じて、起伏中の凸部が所望するアスペクト比になるように適宜選択すればよい。
次に、フィルム基材の少なくとも一方の表面に下部電極層、発光材料層、上部電極層などを順次積層し、有機エレクトロルミネッセンス層を形成する。有機エレクトロルミネッセンス層の収縮率は、フィルム基材を収縮させる条件下において、フィルム基材の収縮率の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。有機エレクトロルミネッセンス層の収縮率が大きすぎると褶曲が生じず、表面に起伏を形成しない場合がある。
本発明の製造方法においては、フィルム基材表面に有機エレクトロルミネッセンス層を形成する前に、有機エレクトロルミネッセンス層と基層との界面に褶曲を引き起こさせるための構造(褶曲誘起構造)をフィルム基材の表面に形成しても良い。
褶曲誘起構造は一定間隔の位置に形成されることが好ましい。褶曲誘起構造の間隔は、所望する起伏の頂点間の距離とは直接に関係無いので、所望の起伏頂点間の距離よりも狭くても、広くても良いが、起伏の頂点間の所望距離の0.05倍〜100倍の褶曲誘起構造の間隔にすることが好ましい。
無機物質としては、金属酸化物や金属窒化物などの金属化合物、非金属酸化物や非金属窒化物などの非金属化合物などが挙げられ、具体的には、珪素、パラジウム、亜鉛、錫、ニッケル、アンチモン、イットリウム、ステンレス鋼、クロム、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、等の金属若しくは非金属;またはこれらの酸化物や窒化物;又はそれらの混合物が挙げられる。これらのうち、可視光を透過する無機物質を選択することが好ましく、その具体的な例としてSnO2、SiO2、TiO2、ZrO2等が挙げられる。これらのうち、薄膜の柔軟性という観点からSiO2が好ましい。
硬化性樹脂には、熱硬化性のものと、エネルギー線硬化性のものとがある。なお、エネルギー線とは、可視光線、紫外線、電子線、などのことをいう。
前記熱硬化性樹脂の具体例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
プライマー層の平均厚さは特に制限は無いが、褶曲を効果的に発現させる観点から、100nm〜20μmであることが好ましい。
式〔2):ΔM=(M0−M1)/M0×100 (M0:主たる収縮方向に直交する方向の収縮前の長さ、M1:主たる収縮方向に直交する方向の収縮後の長さ)
式〔3〕:ΔL>0
式〔4〕:−(ΔL×0.3)≦ΔM≦ΔL
式〔5〕:−(ΔL×0.2)≦ΔM≦(ΔL×0.2)
主たる収縮方向に直交する方向の収縮率は、1%〜90%であることが好ましく、1%〜50%であることがより好ましい。
電界放出形走査電子顕微鏡(S−4700、日立製作所製)にて、素子表面に形成された構造を撮影し、画像解析ソフト(AnlySIS、Soft Imaging System製)を用い2次元高速フーリエ変換を実施して、空間周波数のパワースペクトル解析から周期性の強い方向を読み取った。この方向にウルトラミクロトームを用い切断し、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−4700)にて断面を写真撮影した。この作業をフィルム幅方向および流れ方向に少なくとも10cm以上離れた点で、3箇所実施し、30点の測定データーに基づいて各特性を求めた。
脂環式オレフィン樹脂(日本ゼオン社製、ZEONOR1060R、ガラス転移温度100℃)のペレットを、窒素を流通させた熱風乾燥機を用いて、80℃で4時間乾燥した。次いでこのペレットを、50mmφのスクリューを備えたTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用して、溶融樹脂温度200℃で押出し成形することにより、幅650mm、厚さ188μmのフィルムを製造し、両端25mmずつをトリミングして幅600mmの脂環式オレフィン樹脂からなる原反フィルムを得た。
幅600mmの原反フィルムの両端をクリップに把持させて、テンター延伸機内に導入し、温度105℃でフィルム幅方向に1.2倍、フィルム流れ方向に1倍の延伸倍率になるように横一軸延伸し、延伸機から出た延伸フィルムをクリップから外し、両端を連続的にトリミングして幅700mmのフィルム基材1を得た。
幅600mmの原反フィルムを、縦一軸延伸装置を用い、温度105℃で縦方向に1.1倍に延伸した。この延伸フィルムの両端をクリップに把持させて、テンター延伸機内に導入し、温度100℃でフィルム幅方向に1.3倍、フィルム流れ方向に1倍の延伸倍率になるように横一軸延伸し、延伸機から出た延伸フィルムをクリップから外し、両端を連続的にトリミングしてフィルム基材2を得た。
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(NKエステル AD−TMP、新中村化学社製) 90重量部、光重合開始剤(イルガキュア−907、チバガイギー社製) 10重量部、および酢酸ブチル 900重量部をホモジナイザーで混合し均一な溶液を得、これを1μmのフィルタで濾過して、紫外線硬化性樹脂溶液を調製した。
製造例1で得たフィルム基材1の片面側に、厚さ50nmのAg蒸着膜を形成し、次いで、Mg1nm/s、Ag0.1nm/sの蒸着速度で共蒸着し、厚さ100nmのMg・Ag共蒸着膜(反射性電極〔陰極〕)を形成した。
フォトレジストを用いて、反射性電極をエッチングし、50×50mmの発光面積になるようなパターンを形成した。該パターンを超音波洗浄し、さらに、低圧紫外線ランプによるオゾン洗浄を行った。
パターニングされた反射性電極面上に、式(4)で表されるAlqを蒸着速度0.3nm/sの真空蒸着法で90nmの厚さに積層し電子輸送層を形成した。その上に、式(3)で表されるTAZを蒸着速度0.3nm/sの真空蒸着法で15nmの厚さに積層し正孔ブロック層を形成した。次いで、式(2)で表されるTPDを蒸着速度0.3nm/sの真空蒸着法で40nmの厚さに積層し正孔輸送性青色発光層を形成し、式(1)で表されるCuPcを蒸着速度0.3nm/sの真空蒸着法で15nmの厚さに積層し正孔注入層を形成した。
さらに、ITOセラミツクターゲット(In2O3:SnO2=90重量%:10重量%)を使用しスパッタリング法にて、厚さ100nmのITOを積層し透明電極(陽極)を形成した。
作製した有機EL素子を透明電極側から見たところ、金属電極の鏡面反射による像の写り込みは見られなかった。次に、陽極層と陰極層の間に5Vの電圧をかけ500時間発光させた。発光から500時間経過時の発光ムラの有無を目視で確認した。また、発光開始時と500時間経過時の正面輝度をPrometric社製輝度計にて測定した。発光ムラは全く見られなかった。また正面輝度は500時間発光後も発光開始時と変わらない値を示した。
フィルム基材1をコロナ処理により表面改質し、製造例2で作製した紫外線硬化性樹脂溶液をグラビアコーターを用いて、基材フィルム1上に乾燥膜厚5.0μmになるように塗布し、80℃で5分間乾燥させ、超高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射(積算光量400mJ/cm2)し、樹脂を硬化させ、薄膜(プライマー層)が形成された積層フィルムを得た。
次いで、該積層フィルム上に、実施例1と同様にして、反射性電極、電子輸送層、正孔ブロック層、正孔輸送性青色発光層、正孔注入層、透明電極を形成した。得られた積層体を温度105℃の温風を循環させた温風乾燥機内に放置し、フィルムを収縮させ有機EL積層体を得た。作製した有機EL積層体のSEM写真を図3に示した。全面に褶曲に対応する起伏が形成されており、起伏の稜線の長さと凸部の幅との比が5以上であった。また、頂点間距離の平均値Xpは19.0μm、頂点間距離の標準偏差(σp)は5.47μm、σp/Xpは0.288であった。
作製した有機EL素子を透明電極側から見たところ、金属電極の鏡面反射による像の写り込みは見られなかった。次に、陽極層と陰極層の間に5Vの電圧をかけ500時間発光させた。発光から500時間経過時の発光ムラの有無を目視で確認した。また、発光開始時と500時間経過時の正面輝度をPrometric社製輝度計にて測定した。発光ムラは全く見られなかった。また正面輝度は500時間発光後も発光開始時と変わらない値を示した。
フィルム基材2の片面に、スパッタリング法にて、厚さ5nmのSiO2膜を形成した。次いで、該積層フィルム上に、実施例1と同様にして、反射性電極、電子輸送層、正孔ブロック層、正孔輸送性青色発光層、正孔注入層、透明電極を形成した。得られた積層体を温度105℃の温風を循環させた温風乾燥機内に放置し、フィルムを収縮させ有機EL積層体を得た。作製した有機EL積層体のSEM写真を図4に示した。全面に褶曲に対応する起伏が形成されており、起伏の稜線の長さと凸部の幅との比が5以上であった。また、頂点間距離の平均値Xpは0.45μm、頂点間距離の標準偏差(σp)は0.387μm、σp/Xpは0.860であった。
作製した有機EL素子を透明電極側から見たところ、金属電極の鏡面反射による像の写り込みは見られなかった。次に、陽極層と陰極層の間に5Vの電圧をかけ500時間発光させた。発光から500時間経過時の発光ムラの有無を目視で確認した。また、発光開始時と500時間経過時の正面輝度をPrometric社製輝度計にて測定した。発光ムラは全く見られなかった。また正面輝度は500時間発光後も発光開始時と変わらない値を示した。
エポキシ樹脂(YDPN−601、東都化成製)390重量部及びアクリル酸108重量部を1,6−ヘキサンジオールアクリレート750重量部中に溶解させ、ハイドロキノン0.5重量部及びメチルエチルアンモニウムアイオダイド3重量部の存在下に、100〜150℃で2時間反応させた。次いで、無水マレイン酸279重量部を添加し、100〜150℃で2時間反応させて、水溶性光重合性オリゴマーを得た。
Claims (5)
- 基層と有機エレクトロルミネッセンス層とを含む積層体からなり、
基層と有機エレクトロルミネッセンス層との界面が褶曲しており、
該有機エレクトロルミネッセンス層の表面に褶曲に対応する起伏を有し、
該起伏は、頂点間距離の平均値Xpが0.1〜20μmであり、頂点間距離の標準偏差σpがXpに対してσp/Xp=0.1〜0.9である、有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 有機エレクトロルミネッセンス層の表面の起伏は、凸部の高さと頂点間距離との比(高さ/間隔)の平均値が0.1〜4.0である、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 有機エレクトロルミネッセンス層の表面の起伏は、稜線の長さと凸部の幅との比(長さ/幅)の平均値が5以上である、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- さらに封止層を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- フィルム基材の少なくとも一方の表面に有機エレクトロルミネッセンス層を形成して積層フィルムを得る工程、および該積層フィルムを面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させて有機エレクトロルミネッセンス層を褶曲させる工程を含む、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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