JP2015191787A - 有機エレクトロルミネッセンス素子用基板、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子用基板、有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置 Download PDF

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【課題】ダークスポットの発生抑制かつ発光効率の向上が可能な有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の提供。【解決手段】有機エレクトロルミネッセンス素子用基板(10)は、基材本体(11)と、基材本体(11)の主面上に設けられた凹凸構造と、凹凸構造上に形成された高屈折率材料層(13)と、を具備する。高屈折率材料層(13)の凹凸構造とは反対の表面上に有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層が設けられ、高屈折率材料層(13)の表面の三次元算術平均粗さSaが式(1)で示される範囲であり、かつ、高屈折率材料層(13)の表面の凹凸の平均高さを基準面とした時の最も高い凸部の高さと基準面の高さとの差と、最も低い凹部の低さと基準面の高さとの差の和Stが式(2)で示される範囲であることを特徴とする。(1) 0.3nm<Sa<2nm(2) 5nm<St<30nm【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ、照明等に使用される有機エレクトロルミネッセンス素子に適用可能な有機エレクトロルミネッセンス素子用基板、有機エレクトロルミネッセンス素子、並びにそれを用いた照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は自己発光機能を有し、消費電力も少なく、薄型軽量であることからディスプレイや照明用発光体としての利用が期待されている。しかしながら、屈折率は有機層が1.7程度、透明電極は2.0程度、空気が1.0であるため、それぞれの層の界面で全反射が生じ、実際に発光素子外部に取り出せる光は発光する光の二割程度になってしまう。
近年、この問題を解決するため、有機エレクトロルミネッセンス等の発光デバイスにおける発光効率の改善の検討が行われている。具体的には発光材料の改善、光取り出し効率の改善等が検討されている。
光取り出し効率を改善する方法としては、発光デバイスにおける基板上に凹凸を作製し、その凹凸に沿って発光デバイスを作製したもの(特許文献1)、屈折率の異なる薄膜間に凹凸を作製した光取り出し層を発光素子に用いるもの(特許文献2、特許文献3)等が知られている。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子においてはダークスポットと呼ばれる発光面内で発光しない部分が生じる場合がある。ダークスポットが生じる原因としては素子界面における異物やへこみ等の欠陥により凹凸が生じ、膜厚が一定ではなくなり、膜厚が薄い部分の材料が切れる、又は膜表面の凹凸の部分で封止が甘くなり、水分等が有機発光層に入り込み、有機発光層が劣化する等が起き、問題となると考えられている。
ダークスポットの発生により輝度、発光効率の低下や素子寿命の低下等が起きるため、ダークスポットの低減も有機エレクトロルミネッセンス素子の利用において重要な課題となっている。
特開2004−342521号公報 特開2008−186815号公報 特開2007−287486号公報
しかしながら、これらの先行技術のうち、基板上に凹凸を作製し、その凹凸に沿って発光デバイスを作製する特許文献1に記載の方法や屈折率の異なる薄膜間に凹凸を作製した光取り出し層を用いる特許文献2に記載の方法では、光取り出し効率は向上するものの、その基板上や光取り出し層の表面の凹凸により、ダークスポットが生じ、素子の寿命が低下し、輝度、発光効率が低下する問題点があると考えられる。また、凹凸を持つ特定ゾルゲル層、高屈折率材料層を用いる特許文献3に記載の方法では、ダークスポットに関しては何ら記載が無く、また高屈折率材料を用いて平坦化するとの記載があり、高屈折率材料層の表面の凹凸は非常に少ないと考えられる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、光取り出し効率をより改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することでダークスポットの発生に起因する輝度の低下と寿命の減少を抑えることができる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板、有機エレクトロルミネッセンス素子、並びにそれを具備した照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板は、基材本体と、前記基材本体の主面上に設けられた複数の凸部又は凹部で構成される凹凸構造と、前記凹凸構造上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられ、少なくとも高屈折率を有する材料により形成された高屈折率材料層と、を具備し、前記高屈折率材料層の前記凹凸構造とは反対の表面上に有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層が設けられる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、前記高屈折率材料層の前記表面の三次元算術平均粗さSaが式(1)で示される範囲であり、かつ、前記高屈折率材料層の前記表面の凹凸の平均高さを基準面とした時の最も高い前記凹凸の凸部の高さと前記基準面の高さとの差と、最も低い前記凹凸の凹部の低さと前記基準面の高さとの差の和Stが式(2)で示される範囲であることを特徴とする。
(1) 0.3nm<Sa<2nm
(2) 5nm<St<30nm
この構成により、高屈折率材料層の表面の三次元算術平均粗さSa及び高低差Stを所定の範囲とすることにより、光取り出し効率を改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板は、前記凹凸構造を構成する前記複数の凸部又は凹部のピッチが、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板は、ガスバリア機能、水蒸気バリア機能、耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能、カラーフィルタ機能、カラーシフト機能、偏光修正機能、反射防止機能、光再指向機能、光拡散機能、及び光学回転機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を更に含むことが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする。
本発明の照明装置は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする。
本発明の表示装置は、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、光取り出し効率を改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することができる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板、有機エレクトロルミネッセンス素子、並びにそれを具備した照明装置及び表示装置を提供することができる。
本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を示す断面概略図である。 本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板における高屈折率材料層の表層を示す模式図である。 本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の製造方法を説明するための工程図である。 本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面概略図である。 本発明の実施例2で用いた円筒状金型の凹凸構造のパターンがホール型の場合の上面図である。
以下、本発明の実施の形態について、以下詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を示す断面概略図である。図1に示すように、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10は、基材本体11を具備する。基材本体11の一主面上には、凹凸構造層12が設けられている。凹凸構造層12の表面は凹凸構造を成している。凹凸構造は、複数の凸部12aと、隣接する凸部12aどうしの間をつなぐ凹部12bとで構成されている。
凹凸構造層12の表面上には、複数の凸部12a及び凹部12bを覆うように少なくとも高屈折率を有する材料により形成された高屈折率材料層13が設けられている。
高屈折率材料層13の発光層側表面14の三次元算術平均粗さSaは、0.3nm<Sa<2nmで示される範囲であることが好ましく、より好ましくは0.4nm<Sa<0.8nmである。また、高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸の平均高さを基準面とした時の、最も高い凸部の高さと基準面の高さとの差と、最も低い凹部の低さと基準面の高さとの差の和St(Stを高低差Stと呼ぶ)は、5nm<St<30nmで示される範囲であることが好ましく、より好ましくは10nm<St<23nmである。
本発明者は、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10においては、三次元算術平均粗さSa及び高低差Stを上記範囲に制御することにより、光取り出し効率をより改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することでダークスポットの発生に起因する輝度の低下と寿命の減少を抑制することができることを見出した。
三次元算術平均粗さSaは、JIS B0601による算術平均粗さRaを三次元に拡張したもので、ある測定エリアの高さを平均化した値である。また、高低差Stの値は次のように求めることができる。
図2は、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板における高屈折率材料層の表層を示す模式図である。分かりやすいように二次元で説明する。例えば、図2に示すような高屈折率材料層の表面の凹凸の断面曲線21がある場合、凹凸の平均高さを基準面22とし、その時の最も高い凸部25の高さと基準面22の高さとの差23と、最も低い凹部26の低さと基準面22の高さとの差24の和としてStは計算される。実際は断面を表す形状として三次元のデータが得られるので、同様の計算を三次元に対して行えばよい。
この三次元算術平均粗さSaや高低差Stは、例えば、菱化システム株式会社製「VertScan(登録商標)2.0 R3300G」を用いて測定できる。参照面に入り反射した光とサンプルに到達し反射してくる光の干渉を利用して、サンプル表面の形状を測定する装置であり、三次元算術平均粗さSaや高低差Stを測定することができる。本実施の形態においては、視野を469.97×352.69(μm)に設定し、異なる場所120点の測定を行った。その後、120点それぞれのSa、Stの平均値を算出し、本発明におけるSa、Stの値とした。
高屈折率材料層13の発光層側表面14の三次元算術平均粗さSaが0.3nm以下であると、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の作製コストが増大し好ましくない。これは、例えば、凹凸構造層12の作製のためナノインプリントリソグラフィを行う際に、異物やモールドの欠陥により凹凸構造の高さが変化する等の要因で、発光層側表面14に凹凸が生じる影響が出るため、上記Saが0.3nm以下の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の作製が困難となり、作製しようとすると研磨工程等の平坦化工程が必要となるためである。更にSaが0.3nm以下であると、発光層側表面14の凹凸の差が少なく、十分な電界の集中が起きず、発光効率増大の効果が発揮されない。
三次元算術平均粗さSaが2nm以上である場合には発光層側表面14の凹凸により、発光層側表面14上に有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した際に、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電極層や発光層の膜厚が一定ではなくなり、膜厚が薄い部分の材料が切れる、又は膜表面の凹凸の部分で封止が甘くなり、水分や酸素が有機発光層等に入り込み、有機発光層等が劣化するという理由により、ダークスポットが発生しやすくなり、有機エレクトロルミネッセンス素子において発光効率の低下、素子寿命の低下の悪影響を及ぼす。
三次元算術平均粗さSaが0.3nmより大きい場合には発光層側表面14の凹凸の高さの差が大きくなり、電子が発光層側表面14の凹凸でスムーズに流れなくなり、電子数が増加するという理由により、発光層側表面14の凹凸に電界や電流が集中し、発光効率が増加する、また表面積増大によって発光層側の層との接着力が強まり、素子が破壊されにくくなり好ましい。よって、Saが0.4nmより大きい場合がより好ましい。
三次元算術平均粗さSaが2nmより小さい場合、発光層側表面14の凹凸の高さの差が小さくなり、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する電極層や発光層の膜厚が一定に近くなるため、膜厚が薄い部分の材料が切れる、又は膜表面の凹凸の部分で封止が甘くなり、水分や酸素が有機発光層等に入り込み、有機発光層等が劣化することが起きづらくなるという理由により、ダークスポットの低減の効果が発現する。Saが小さくなるにしたがって発光部の有機層の切断や電極の短絡が起きづらくなるため、Saが小さいほどダークスポット低減の効果は発揮される。よって、0.8nmより小さい場合がより好ましい。
高低差Stが5nm<St<30nmで示される範囲であれば、発光層側表面14の凹凸の高さの差が大きくなり、電子が発光層側表面14の凹凸でスムーズに流れなくなり、電子数が増加するという理由により、高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸部に電界が集中し、発光効率が増加する、また表面積増大によって発光層側の層との接着力が強まり、素子が破壊されにくくなる効果がある。高低差Stが10nmより大きい場合には、電界集中の効果、表面積増大の効果がより大きくなり、発光効率の増加の効果、素子が破壊されにくくなる効果が増すので、より好ましい。高低差Stが23nmより小さい場合には、高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸の高さの差がより小さいためにダークスポット低減効果がより発揮され、より好ましい。
しかし、Stが5nm以下の場合は、発光層側表面14の凹凸の効果が減少し、より高屈折率材料層13が平坦な有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10と変わらない効果しか得ることができない。高低差Stが30nm以上である場合には、ダークスポット低減効果が発揮されず、高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸によりダークスポットが発生しやすくなり好ましくない。
以下、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の各構成について詳細に説明する。
上記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10は平板形状の他、フィルム形状であってもよい。
基材本体11としては、例えば、石英、ガラス、金属、シリコン、セラミック等の無機基材や、樹脂基材等を用いることができる。樹脂基材としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。更に、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を用いることができる。
基材本体11として樹脂基材を用いると、フレキシブルかつ軽い有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10が得られる。また、ロール・ツー・ロール方式の製造方法に容易に適用でき、連続生産性が向上する等、工業生産上の利点が多い。
有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10において、図1に示すように、基材本体11の主面上に被転写材料からなる薄膜(以下、被転写層ともいう)を成膜し、この薄膜に凹凸構造を形成し、凹凸構造層12としているが、これに限定されない。例えば、基材本体11の表面に凹凸構造を直接形成してもよく、この場合基材本体11の表面が凹凸構造を成している。
上述のように、凹凸構造層12の表面は凹凸構造を成している。凹凸構造は、複数の凸部12aと、隣接する凸部12aどうしの間をつなぐ凹部12bとで構成されている。このような凹凸構造を、いわゆる、ドット型と呼ぶ。凹凸構造は、複数の凹部と、複数の凹部の間をつなぐ凸部とで構成される、いわゆるホール型であってもよい。
凹凸構造層12を構成する複数の凸部12a又は凹部12bのピッチは、特に限定されないが、100nm以上1000nm以下であることが好ましい。ピッチが前記範囲中であると、後述の有機エレクトロルミネッセンス素子における発光部からの光の波長と同程度のピッチとなり、光の回折や散乱の効果が大きくなるため、光取り出し効率が向上する。
上記ピッチは不定間隔であっても定期的な間隔であっても問題は無い。ピッチが不定間隔であった場合、凸部12a及び凹部12bのナノオーダーでの周期性は乱れることになり、発光層からの発光に対し、光散乱性を強く発現させることができ、光取り出し効率を高めることが可能となる。更に凸部12a及び凹部12bのナノオーダーでの均一性が乱れることによって、カラーシフトを低減し、より自然光に近い発光特性を得ることが可能となる。
ピッチが定期的な間隔であった場合、周期性の乱れが減少し、散乱効果が減少するため、自然光に近い発光特性は低下するが回折による光取り出し効率が向上する。回折の効果が向上するので、光の干渉効果により取り出された光の強度に角度依存性が生まれ光の指向性が増大することになる。
つまり、発光素子の特性と用途等により凹凸構造のピッチを種々選択し、最適な構造を選択することができる。例えば、光の指向性が問題となりやすい照明用途の場合は、ピッチを不定間隔とする構造を採用し、光の指向性を出さないように設計すれば、光散乱性を高めつつ、光取り出し効率を高めることができる。逆に指向性を高めた方がよい用途においては、回折による光取り出し効率向上の効果をより高めるため、ピッチを定期的にする構造を採用すればよい。
上記の通り、凹凸構造層12は基材本体11の主面上に別途形成しても、基材本体を直接加工し凹凸構造を作製してもよい。凹凸構造層が、基材本体を直接加工し凹凸構造を形成している場合は、凹凸構造層と基材本体との界面において、これらの屈折率が実質的に等しくなる。
一方、基材本体11上に別途凹凸構造層12を形成する場合は、凹凸構造層12を構成する材料の屈折率が、凹凸構造層12と基材本体11との界面において、これらの屈折率が実質的に等しくなるような材料を選定することが好ましい。
上記材料としては、特に限定されないが、例えば、ゾルゲル材料を含むことができる。ゾルゲル材料を含むことで、屈折率を容易に調整可能であり、かつ、本実施の形態の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用した場合の、凹凸構造層12の劣化を抑制できるため好ましい。凹凸構造層12を構成する材料は、上述したようにゾルゲル材料を含むことができるが、ゾルゲル材料のみで構成されても、ゾルゲル材料に金属酸化物微粒子(フィラー)を含有しても、また、ゾルゲル材料と有機樹脂(光重合性樹脂や熱重合性樹脂、熱可塑性樹脂等)との有機無機ハイブリッド材料で構成されてもよい。
ゾルゲル材料とは、熱や触媒の作用により、加水分解重縮合が進行し、硬化する化合物群である。例えば、金属アルコキシド(金属アルコラート)、シルセスキオキサン化合物、金属キレート化合物、ハロゲン化金属、ハロゲン化シラン、液状ガラス、スピンオングラス、もしくはこれらの反応物であり、又は、これらに硬化を促進させる触媒を含ませたものである。これらは、要求される物性に応じて、単独で用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。また、ゾルゲル材料に、シリコーンをはじめとするシロキサン材料や、反応抑制剤等を含ませてもよい。また、ゾルゲル材料としては、未硬化のもののみでなく、部分硬化体を用いることもできる。ここで、ゾルゲル材料の部分硬化体とは、ゾルゲル材料の重合反応が部分的に進行し、未反応の官能基が残っているものをいう。当該部分硬化体に、更に、熱、光等を加えると、未反応の官能基が縮合し、更に硬化が進行する。
本実施の形態に係る凹凸構造層12は、ナノインプリントリソグラフィ、EB描画、フォトリソグラフィ、干渉露光等により作製することができる。特にナノインプリントリソグラフィを用いることによって製造時のコストを低減することができ、より安価に有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を提供することができる。
高屈折率材料層13は、凹凸構造層12上に複数の凸部12a及び凹部12bを覆うように設けられている。
高屈折率材料層13は、少なくとも高屈折率を有する材料により形成されている。高屈折率材料層13を構成する材料の屈折率は、1.5以上2.1以下であることが好ましい。屈折率が前記範囲中であることにより、発光層側から有機エレクトロルミネッセンス素子用基板へと透過する発光光の、発光層と高屈折率材料層13との界面での反射が抑制され、結果、光取り出し効率が向上する。
高屈折率材料層13を構成する高屈折率材料としては、熱により硬化する熱硬化樹脂や光により硬化する光硬化樹脂等の有機物の他、酸化チタン等の無機物、又はそれらの混合物であってもよい。
本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10においては、ガスバリア機能、水蒸気バリア機能、耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能、カラーフィルタ機能、カラーシフト機能、偏光修正機能、反射防止機能、光再指向機能、光拡散機能、及び光学回転機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を更に含むことが好ましい。
この構成によれば、機能層を更に含むことにより、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を使用し作製された有機エレクトロルミネッセンス素子の素子機能が向上する。例えば、ガスバリア性や水蒸気バリア性を有する機能層を更に含むことにより、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光部の寿命を延ばすことが可能となる。また、例えば、基材本体11の露出する面上に耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能等を有する機能層を更に含むことにより、素子に付着する汚れの量を低減すると共に、ふき取りが容易になる。また、例えば、基材本体11の露出する面上に反射防止機能を有する機能層を付加することで視認性が向上する。また、例えば、基材本体11の露出する面上に光拡散機能を有する機能層を付加することで光取り出し効率が向上する。
上述のような本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10は、以下のように製造することができる。ただし、以下に示す製造方法は一例であって、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の製造方法はこれに限定されるものではない。
図3は、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の製造方法を説明するための工程図である。まず、表面に所望の凹凸構造310が形成された平板状、フィルム状又は円筒状のモールド300を作製する(図3A)。このモールドは、例えば、EB描画、フォトリソグラフィ、熱リソグラフィ等を用いて作製することができる。
次に作製されたモールド300を用いて被転写層31へと転写を行う。例えば、シリコンウエハやガラスウエハ又はフィルム等の基材321の上にキャスト法やスピンコート法、インクジェット法等の手法により被転写材料からなる被転写層31を配置し、モールド300と基材321とで挟持する(図3B)。その後、モールド300側、又は基材321側の少なくとも一方から光を照射し、被転写層31を硬化する。続いてモールド300を剥がし、反転モールド320が完成する。得られた反転モールド320の凹凸構造322の形状はモールド300の凹凸構造310とは逆のものとなり、凸部が凹部に、凹部が凸部になる(図3C)。この際、被転写材料としては、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、無機前駆体、或いは熱可塑性樹脂等を使用することができる。
なお、工程前に、モールド300の凹凸構造310を有する表面を離型処理すると好ましい。或いは、モールド300の凹凸構造310を構成する材料を、フッ素含有樹脂、メチル基を含む樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に代表されるシリコーン、或いはこれらを組み合わせた材料で構成することが好ましい。更に、離型処理を行う前に、モールド300の凹凸構造310を有する表面に金属、金属酸化物、或いは金属と金属酸化物から成る層を形成してもよい。
また、工程で使用する基材321は、被転写層31との密着性を向上させるために、被転写層31との化学結合や、浸透等の物理的結合のための易接着コーティング(シランカップリング処理等)、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理等を施してもよい。更に被転写層31が光硬化性樹脂の場合、光照射工程は低酸素環境下で行ってもよい。基材321として屈曲性の低い無機基材を使用する場合は、モールド300は屈曲性を有す構成のものが好ましく、基材321として屈曲性の高いフィルム基材を使用する場合は、モールド300は屈曲性の低い構成のものも、屈曲性の高い構成のものも使用することができる。
次にこの反転モールド320を用いて転写を行う。被転写材料からなる被転写層32に反転モールド320の凹凸構造322を転写し、基材本体11の一主面上に凹凸構造層12を形成する。例えば、反転モールド320の被転写層31を構成する材料が光硬化性樹脂だった場合、その光硬化性樹脂を基材本体11上にキャストやスピンコート法、インクジェット法等の手法により配置し、反転モールド320と基材本体11とで挟持する(図3D)。挟持する前にホットプレート上で加熱処理を施してもよい。その後、反転モールド320側、又は基材本体11側の少なくとも一方から光を照射し、光硬化性樹脂を硬化する。最後にモールド320を剥がし基材本体11上に凹凸構造層12が配置されたものが完成する(図3E)。
このように凹凸構造層12を基材本体11上に別途形成する方法としては、転写法が挙げられる。転写法には、光ナノインプリント法、熱ナノインプリント法、室温ナノインプリント法等が含まれる。転写法は、例えば、被転写材料を、モールドの凹凸構造を備えた表面と、基材本体の一主面との間に狭持し、モールドを剥離することで被転写材料の表面に凹凸構造を形成する方法である。この際、被転写材料としては、上述した、ゾルゲル材料を含むことができる。
以上、凹凸構造層12を基材本体11上に別途形成する場合について説明したが、これに限定されず、既に説明したとおり、基材本体11の表面に凹凸構造を直接形成し、凹凸構造付の基材を得てもよい。
凹凸構造を基材本体11に直接形成する方法は、特に限定されない。凹凸構造の凸部及び凹部の形状を制御して製造するという観点から、例えば、上述したガラス、石英、又は熱可塑性樹脂を直接加工する加工方法が挙げられる。
例えば、基材本体11として透明なガラスを用い、その表面をナノスケールで加工する方法としては、EB描画、フォトリソグラフィ、熱或いは光ナノインプリントリソグラフィ、熱ナノインプリント、リソグラフィ等を適用することができる。
熱ナノインプリントを適用する場合、凹凸構造を表面に有する反転モールドをガラス転移温度(以下、Tgという)以上まで加熱し、その状態にて基材本体11に反転モールドの凹凸構造を押圧することで、基材本体11をリソグラフィ工程無く加工することができる。
また、熱ナノインプリントリソグラフィを適用する場合は、反転モールドの凹凸構造と基材本体との間に熱可塑性のレジストを狭持して、レジストのTgよりも高い温度にて押圧して、Tgより低い温度にて反転モールド320を剥離する。
また、光ナノインプリントリソグラフィを適用する場合は、反転モールドの凹凸構造と基材本体との間に光硬化性のレジストを狭持して、押圧状態にて光を照射した後に反転モールドを剥離する。
上述のようにして得られた、凹凸構造を表面に有するレジスト層/基材本体から構成される積層体に対し、レジスト層面側からレジスト層の残膜を除去(例えば、酸素を使用したドライエッチング)する。続いて、レジスト層をマスクとして基材本体をエッチングする。これにより、基材本体を加工し、凹凸構造を直接形成することができる。
続いて、凹凸構造層12上の複数の凸部12a及び凹部12bを覆うようにして、高屈折率材料層13を設け、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を得る(図3F)。
高屈折率材料層13の成膜方法としては、例えば、高屈折率材料の希釈溶液を、凹凸構造層12の表面に塗工する方法が挙げられる。塗工方法としては、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ブレードコート法、ワイヤーバーコート法、エアーナイフコート法、ディップコート法、コンマナイフコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、インクジェット法、スピンコート法、ダイコート法等を採用することができる。
高屈折率材料を希釈して塗工した場合は、余剰な溶剤を除去すると好ましい。除去方法としては、加熱処理、減圧(真空)処理やこれらの組み合わせによる処理が挙げられる。
加熱処理の場合の温度及び時間は、特に限定はされず、希釈溶液を作製する際に使用する溶剤の蒸気圧や沸点等、及び塗工膜厚により適宜設定できる。加熱処理の条件としては、高屈折率材料層13の配置精度が高まる観点から、温度50℃〜250℃、及び、処理時間60秒〜1時間の範囲であることが好ましい。
希釈溶液の余剰な溶剤を除去することで、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10が得られる(図3F)。
ガスバリア機能、水蒸気バリア機能、耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能、カラーフィルタ機能、カラーシフト機能、偏光修正機能、反射防止機能、光再指向機能、光拡散機能、及び光学回転機能等を持つ機能層を加える場合には、上記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10のうち高屈折率材料層13の発光層側表面14若しくは基材本体11の露出する面上、又はその両方に作製を行えばよい。この機能層の作製は有機エレクトロルミネッセンス素子の作製の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。例えば様々な光学機能を有するフィルム又はシートを貼合する方法や、機能層の材料の成膜後にEB描画、フォトリソグラフィ、熱或いは光ナノインプリントリソグラフィ、熱ナノインプリント、リソグラフィ等を用いて各機能を持つ構造を作製する方法を用いることができる。
高屈折率材料層13を作製する際に、凹凸構造層12のパターンの形状、ピッチ、深さや、高屈折率材料層13の高屈折率材料、作製方法、作製条件を変化させることによって、高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸の状態、即ち三次元算術平均粗さSa及び高低差Stの値を変化させることができる。即ち、三次元算術平均粗さSa及び高低差Stを上記範囲に制御することにより、光取り出し効率をより改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することでダークスポットの発生に起因する輝度の低下と寿命の減少を抑えることができる。
例えば、凹凸構造層12のパターンを変化させた場合、凹凸構造層12の凹部12bへの高屈折率材料の充填率、埋まる量が変化するため、Sa、Stの値は変化する。これを利用し、パターンの形状、ピッチ、深さを適切に制御することによりSa、Stの値を制御することができる。また高屈折率材料を変えた場合、その収縮率がそれぞれの材料で異なるため、余剰な溶剤を除去した際の高屈折率材料層13の発光層側表面14の凹凸の残り方が変化し、Sa、Stの値を変化させることができる。これを利用し、材料の収縮率を制御することによりSa、Stの値を制御することができる。
次に、ロール・ツー・ロール法により有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を製造する場合について説明する。
例えば、バリア層(例えばSi)をあらかじめ成膜したリールに、ロール状モールドを用いた光ナノインプリント法によってバリア層上に凹凸構造層を形成させる。次に、凹凸構造層に高屈折率材料を連続塗布(マイクログラビア、ダイコート法等)させることで、凹凸構造が高屈折率材料に覆われたリールを得ることができる。
上述のような本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を用いて、以下のような有機エレクトロルミネッセンス素子を製造することができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し方式としては、トップエミッション方式(以下、「トップエミッション型有機EL素子」という)とボトムエミッション方式(以下、「ボトムエミッション型有機EL素子」という)とがある。いずれの方式であっても各層内や層間に凹凸構造を導入することで光取り出し効率の改善が取り組まれている。
トップエミッション型有機EL素子に、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を用いる場合は、高屈折率材料層13を、発光部の、陰極としての光透過性の第2導電層上に貼合することで、光取り出しが一層向上し、かつ、ダークスポットの発生が抑制された有機EL素子を得ることができる。
一方、ボトムエミッション型有機EL素子の場合、高屈折率材料層13上に、少なくとも、陽極としての光透過性の第1導電層、発光層、及び陰極としての第2導電層をこの順に設けることにより、光取り出し効率が一層向上し、かつ、ダークスポットの発生が抑制された有機EL素子を製造することができる。
次に、ボトムエミッション型有機EL素子を例に挙げてより詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を示す断面概略図である。図4に示すように、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の高屈折率材料層13の発光層側表面14上に、発光部5が設けられている。発光部5は、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10の高屈折率材料層13側に配置される。発光部5は、陽極としての光透過性の第1導電層51と、第1導電層51に対向して設けられた陰極としての第2導電層52を有する。第1導電層51と第2導電層52の間には、少なくとも1層の発光層で構成される有機層が配置される。図4に示す有機EL素子40においては、有機層として第1導電層51側から順番に、ホール輸送層53、発光層54、及び電子輸送層55が順次積層されている。
発光部5においては、第1導電層51とホール輸送層53との間にホール注入層、ホール輸送層53と発光層54との間にホール輸送性中間層、及び/又は第2導電層52と電子輸送層55との間に電子注入層を設けてもよい。更に各層は複数の二次層に分かれていてもよい。一つの層が二以上の機能を兼ねてもよく、発光層54が電子輸送層を兼ねてもよい。
本実施の形態に係る、陽極としての第1導電層51と、ホール注入層、ホール輸送層53、発光層54、電子輸送層55、電子注入層、陰極としての第2導電層52の作製法は特に限定しないが、第1導電層51及び第2導電層52は、真空蒸着法又はスパッタリング法等によって行い、ホール注入層、ホール輸送層53、発光層54、電子輸送層55、電子注入層は、真空蒸着法、有機蒸着法又は薄膜塗工法によって行う。
陽極としての第1導電層51は、発光層54から発光される光を透過し、有機層に正孔を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機EL素子40の用途や目的に応じて、公知の導電性材料から適宜選択することができる。第1導電層51の材料としては、仕事関数の大きい金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又は、これらの混合物を含むものが好ましい。その具体例としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫亜鉛(ZTO)、フッ素やアンチモン等をドープした酸化錫(FTO、ATO)、ガリウムやアルミニウム等をドープした酸化亜鉛(GZO、AZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、更にこれら金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物が挙げられる。
陰極としての第2導電層52は、有機層に電子を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機EL素子40の用途や目的に応じて、公知の導電性材料から適宜選択することができる。第2導電層52の材料としては、仕事関数の小さい金属、合金、金属酸化物、導電性化合物又はこれらの混合物を含むものが好ましい。具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金、銀、アルミニウム合金、銀合金等が挙げられ、これら2種以上を併用してもよい。LiFやLi系化合物等をごく少量付けた後、Al、AgやAl/Ag合金などを積層する方法が一般的である。
発光層54は、電界印加時に、ホール輸送層53から正孔を受け取り、且つ、第2導電層52から電子を受け取って、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。この機能を有していれば、有機EL素子40の用途や目的に応じて、公知の発光材料から適宜選択することができる。発光層54は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色であってもよい。
また、発光層54は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光性ドーパントの混合層としてもよい。発光性ドーパントは蛍光発光材料でも燐光性発光材料であってもよく、2種類以上であってもよい。蛍光発光材料は、蛍光性色素化合物であるジチエニルエテン(DTE)等が挙げられるが、ホールや電子輸送化合物に蛍光性色素化合物をドープしてもよい。燐光性発光材料を用いると、理論変換効率が約25%から約100%に向上するため好ましい。前記発光性ドーパントの含有量は一般に0.1重量部〜50重量部であるが、耐久性、発光効率の観点から1質量部〜50質量部であることが好ましい。
ホール注入層及びホール輸送層53は、第1導電層51から正孔を受け取り、発光層54に正孔を輸送する機能を有する層である。この機能を有していれば、有機EL素子40の用途や目的に応じて、公知の材料から適宜選択することができる。具体例としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリアニオンポリ(スチレンスルホン酸塩)混合物(PEDOT−PSS)、ヘキサデカフルオロ銅フタロシアニン、酸化モリブデン、酸化タングステン、又はこれらの組み合わせ、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2−ジメチル(α―NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)又は、銅(II)フタロシアニン(CuPc)等の芳香族縮合環を有するアミン誘導体が挙げられる。α―NPDやCuPc等の芳香族縮合環を有するアミン誘導体は、イオン化ポテンシャルとホール輸送特性が適切であり、電気化学的に可逆であるため、ホール輸送材料として最も多く使用される。
電子注入層及び電子輸送層55は、第2導電層52から電子を受け取り、発光層54に電子を輸送する機能を有する層である。この機能を有していれば、有機EL素子40の用途や目的に応じて、公知の材料から適宜選択することができる。具体例としては、トリス(8−キノリノレート)アルミニウム(Alq)等のキノリン誘導体、オキサジオール系(PBD等)、トリアゾール系(TAZ)、BAlq、LiF、NaCl、CsF、LiO、BaO等が挙げられる。金属錯体系(Alq等)の物質を用いると、電子輸送層55と発光層54を兼ねることができ便利である。
発光部5を構成する各層の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、又はプラズマCVD等の化学的方式の中から材料の適性を考慮して適宜選択した方法を用いる事ができる。
また、各層のパターニング方法としては、例えば、フォトリソグラフィ等による化学的エッチング、レーザ等による物理的エッチング、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタする部分成膜、リフトオフ法、又は、印刷法を用いることができる。
以上のように有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10を用いて有機EL素子40を製造することで、高屈折率材料層13の発光層側表面14の三次元算術平均粗さSaが0.3nm<Sa<2nmであり、高低差Stが5nm<St<30nmであることにより、光取り出し効率をより改善し、かつ、ダークスポットの発生を抑制することでダークスポットの発生に起因する輝度の低下と寿命の減少を抑えることができる。
本実施の形態に係る照明装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10と、高屈折率材料層13の発光層側表面14上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部5と、を具備することを特徴とする。
例えば、本実施の形態に係るボトムエミッション型の有機EL素子40を照明装置に用いることができる。即ち、前記照明装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動するための電源回路と、本実施の形態に係るボトムエミッション型の有機EL素子40を含む。
本実施の形態に係る表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板10と、高屈折率材料層13の発光層側表面14上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部5と、を具備することを特徴とする。
例えば、本実施の形態に係るボトムエミッション型の有機EL素子40を表示装置に用いることができる。即ち、前記表示装置は、画像信号に基づいて駆動される表示パネルと、前記表示パネルを照明する光を発する発光素子を含み、前記発光素子は、本実施の形態に係るボトムエミッション型の有機EL素子40を具備する。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例をもとに本発明をより詳細に説明する。なお、下記実施の形態における材料、使用組成、処理工程等は例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。そのため、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(円筒状金型(転写用モールド)の作製)
円筒状金型の基材としては、円筒型石英ガラスロールを用いた。この円筒型石英ガラスロール表面にレジスト層を成膜し、レジスト層の表面に、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により微細構造(微細凹凸構造)を形成した。
まず、この石英ガラス表面の微細構造上にスパッタリング法によりレジスト層を成膜した。スパッタリング法は、ターゲット(レジスト層)として、CuOを用いて、RF100Wの電力で実施した。成膜後のレジスト層の膜厚は20nmであった。以上のように作製した円筒状金型を線速度s=1.0m/秒で回転させながら、以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザ波長:405nm
露光レーザパワー:3.5mW
微細凹凸構造はピッチ700nm、高さ200nmの六方正規構造とした。次に、レジスト層を現像する。レジスト層の現像は、0.03wt%のグリシン水溶液を用いて、処理時間240秒の条件で実施した。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用い、処理ガス圧1Pa、処理電力300W、処理時間5分の条件で実施した。次に、表面に微細構造が付与された円筒状金型から、残渣のレジスト層のみをpH1の塩酸で6分間の条件で剥離して円筒状金型(転写用モールド)を作製した。
(リール状透明樹脂モールドの作製)
得られた円筒状金型(転写用モールド)に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)で3回洗浄し、離型処理を施した。
次に、得られた円筒状金型からリール状樹脂モールドを作製した。OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M350)及びIrgacure(登録商標) 184(BASF社製)を重量部で10:100:5の割合で混合して光硬化性樹脂を調製した。次に、この光硬化性樹脂をPETフィルム(A4100、東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように塗布した。
次いで、円筒状金型に対し、光硬化性樹脂を塗布したPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cmとなるように、UV露光装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製、Hバルブ)を用いて紫外線を照射して連続的に5分間光硬化を実施して、表面に微細構造が反転転写されたリール状透明樹脂モールドを得た。
(反転樹脂モールドの作製)
次に、OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M350)、及びIrgacure(登録商標) 184(BASF社製)を重量部で10:100:5の割合で混合して光硬化性樹脂を調製した。この光硬化性樹脂をPETフィルム(A4100、東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面にマイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により、塗布膜厚6μmになるように塗布した。
次いで、上記リール状透明樹脂モールドに、光硬化性樹脂を塗布したPETフィルムをハンドローラー押し付け、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cmとなるように、UV露光装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製、Hバルブ)を用いて紫外線を照射し、連続的に5分間光硬化を実施して、表面に微細凹凸構造が反転転写されたシート状の反転樹脂モールドを得た。
(有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の作製)
凹凸構造層の材料である光硬化性樹脂としてSR−833、3−APTMS、TEOS、I184、CPI−100P、PGMEを重量部で1:1:1:0.04:0.04:3の割合で混合し作製した。
基材本体はテクノプリント株式会社製無アルカリガラスOA−10Gの3cm角のガラス基材を選択した。ガラス基材上に上記光硬化性樹脂を塗布しスピンコーターにて2000回転で15秒回転させ、その後15秒で1000回転まで減速させる条件でスピンコートを行った。次いで、ホットプレートにて100℃、30秒加熱した。
その後、反転樹脂モールドを光硬化性樹脂にハンドローラーにて押し付けた。次いで、大気下、温度25℃、湿度60%で、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cmとなるように、UV照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン社製、Hバルブ)にて5分間紫外線を照射し、光硬化性樹脂を硬化させた。次いで、ガラスから反転樹脂モールドを剥がし、ホットプレートにて150℃、30分加熱し、ガラス基材上に微細凹凸構造を作製した。
次に、高屈折率材料層の作製を行った。高屈折率材料としてポリマー中にチタニア粒子を分散させた材料を選択した。この材料をスピンコーターにて2000回転15秒回転させ、その後15秒で1000回転まで減速させる条件でスピンコートを行った。その後ホットプレートにて始めに100℃、1分、次に200℃、5分の条件で加熱処理を行い、高屈折率材料層を作製し、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板が完成した。
完成した有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の三次元算術平均粗さSa、Stを菱化システム株式会社製「VertScan(登録商標)2.0 R3300G」を用いて測定した結果、Saの値は0.43nm、Stの値は22.4nmと測定された。
(有機エレクトロルミネッセンス素子の作製)
有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。高屈折率材料層の表面上に発光部を作製した。各層の材料膜厚、及び成膜方法は以下の通りである。
(1)IZO 120nm スパッタリング
(2)HAT−CN 60nm 真空蒸着
(3)NPD 20nm 真空蒸着
(4)Ir(ppy)3@CBP(6%) 30nm 真空蒸着
(5)BAlq 10nm 真空蒸着
(6)Alq 30nm 真空蒸着
(7)LiF 1.6nm 真空蒸着
(8)Al 150nm 真空蒸着
発光部を作製した後、ガラスによる封止を行い、有機エレクトロルミネッセンス素子を完成させた。
[実施例2]
実施例1と同様の方法により円筒状金型を作製した。ただし凹凸構造のパターンは図5に示すようなパターンとした。図5は、本発明の実施例2で用いた円筒状金型の凹凸構造のパターンがホール型の場合の上面図である。図5中、符号410は凹部を表している。2つの軸に沿ったピッチ430及び440は700nmとし、一つの軸に沿って3個凹部410が配置されたら次は凹部410を配置しない部分420を作製するという決まりでパターンを作製している。
このような円筒状金型を用いて実施例1と同様に有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を作製した。実施例1の方法と同様にSa、Stを測定した結果、Saの値は0.71nm、Stの値は16.3nmであった。
作製した有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて実施例1と同様の方法により有機エレクトロルミネッセンス素子を完成させた。
[実施例3]
まず、4インチΦガラス基板上にスパッタリング法によりレジスト層を成膜し、レジスト層の表面に、半導体パルスレーザを用いた直接描画リソグラフィ法により微細凹凸構造を形成した。スパッタリング法は、レジスト層として、CuOを用いて、RF100Wの電力で実施した。成膜後のレジスト層の膜厚は25nmであった。以上のように作製したガラス基板を線速度s=1.0m/秒で回転させながら、以下の条件で露光した。
露光用半導体レーザ波長:405nm
露光レーザパワー:4.5mW
ピッチは500nm、高さ200nmの微細凹凸構造であり、凸部パターンを作製した。レジスト層の現像は、0.03wt%のグリシン水溶液を用いて、処理時間240秒の条件で実施した。次に、現像したレジスト層をマスクとし、ドライエッチングを行った。ドライエッチングは、エッチングガスとしてSFを用い、処理ガス圧1Pa、処理電力300W、処理時間5分の条件で実施した。次に、表面に微細凹凸構造が付与されたモールドから、残渣のレジスト層のみをpH1の塩酸で6分間の条件で剥離して平板状ガラスモールドを作製した。
その後、リール状透明樹脂モールドに代えて、上述の平板状ガラスモールドを用いた他は、実施例1と同様の方法で反転樹脂モールドを作製し、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を作製した。ただし高屈折率材料は実施例1とは異なる材料を用い、ポリマー中にチタニア粒子を分散させた材料を用いた。ここで用いた材料は実施例1、実施例2、及び実施例4で用いた材料より大きな粒径をもつチタニア粒子を含んでいる。実施例1の方法と同様にSa、Stを測定した結果、Saの値は0.58nm、Stの値は13.9nmであった。
この有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて実施例1と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
[実施例4]
実施例3と同様の方法により有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を作製した。ただし高屈折率材料としては実施例1で用いた材料を選択した。実施例3と同様の方法によりSa、Stを測定した結果、Saの値は0.50nm、Stの値は8.2nmであった。その後前記有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて、有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
[実施例5]
実施例1の方法において有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を作製した。
実施例1の方法と同様にSa、Stを測定した結果、Saの値は0.43nm、Stの値は22.4nmであった。
この有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて実施例1と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この有機エレクトロルミネッセンス素子の基材本体の露出する面上に光拡散機能を含む機能を有するマイクロレンズシートを光学用粘着シートを用いて貼りつけてマイクロレンズシートによる光拡散機能を更に含んだ有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
[比較例1]
有機エレクトロルミネッセンス素子用基板の代わりにテクノプリント株式会社製無アルカリガラスOA−10Gの3cm角のガラス基材のみの基板を用いて、実施例1と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製したものを比較例1とした。ガラス基板のSa、Stを実施例1と同様の方法で測定した結果、Saの値は0.20nm、Stの値は3.1nmであった。
[比較例2]
実施例2と同様の方法により反転樹脂モールドを作製した。その後、実施例2と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を作製した。ただし高屈折率材料として、実施例3で用いた高屈折率材料を選択した。実施例2と同様の方法によりSa、Stを測定した結果、Saの値は2.30nm、Stの値は39.4nmであった。その後有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて、実施例2と同様の方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。
(三次元算術平均粗さSa及び高低差St)
三次元算術平均粗さSa及び高低差Stの値は菱化システム株式会社製「VertScan(登録商標)2.0 R3300G」を用いて測定した。視野を469.97×352.69(μm)に設定し、異なる場所120点の測定を行った。その後、120点それぞれのSa、Stの平均値を算出し、表1におけるSa、Stの値とした。
(発光特性)
実施例1から実施例5、比較例1及び比較例2の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率特性をオーシャンフォトニクス製全光束測定システムにより測定した。比較例1の発光効率を1としたときの強度比の結果を表1の発光特性に示す。
(ダークスポットの評価)
各実施例及び各比較例において作製された有機エレクトロルミネッセンス素子それぞれを発光させた状態で、ダークスポット数を光学顕微鏡により観察した。2mm角の発光領域中にダークスポットの数が4個以下観察されたサンプル(ダークスポットが観察されなかったサンプルを含む)を○、4個以上観察されたサンプルを×とし、表1に示す。
Figure 2015191787
表1から分かるように比較例2においてダークスポットが多く発生していることが分かる。また、高屈折率材料層及び凹凸構造層を具備しない有機エレクトロルミネッセンス素子(比較例1)に比べ、高屈折率材料層及び凹凸構造層を具備した有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(実施例1から実施例5、比較例2)の方が発光特性は向上している。つまり、0.3nm<Sa<2nm、かつ、5nm<St<30nmが最適な範囲となる。
発光特性の向上率を比較すると、実施例1から実施例3、実施例5、及び比較例2の方が実施例4よりも大きい。より好ましい条件は、0.4nm<Sa<0.8nm、かつ、10nm<St<23nmであることが分かる。
また実施例5の結果より光拡散機能を更に含んだ有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子においても発光効率を向上させ、かつダークスポットを低減する効果は発揮されており、他の実施例、比較例より発光効率を向上させる効果は大きく発揮されている。
以上の結果から、有機エレクトロルミネッセンス素子用基板を用いて作製された照明装置及び表示装置においても発光効率を向上させかつダークスポットを低減する効果は発揮されることは明らかである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子に適用でき、発光効率を向上させ、かつ、ダークスポットが低減された有機エレクトロルミネッセンス素子、及びそれを具備した照明装置と表示装置を提供可能である。
10 有機エレクトロルミネッセンス素子用基板
11 基材本体
12 凹凸構造層
13 高屈折率材料層
14 発光層側表面

Claims (6)

  1. 基材本体と、
    前記基材本体の主面上に設けられた複数の凸部又は凹部で構成される凹凸構造と、
    前記凹凸構造上に前記複数の凸部又は凹部を覆うように設けられ、少なくとも高屈折率を有する材料により形成された高屈折率材料層と、を具備し、前記高屈折率材料層の前記凹凸構造とは反対の表面上に有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層が設けられる有機エレクトロルミネッセンス素子用基板であって、
    前記高屈折率材料層の前記表面の三次元算術平均粗さSaが式(1)で示される範囲であり、かつ、前記高屈折率材料層の前記表面の凹凸の平均高さを基準面とした時の最も高い前記凹凸の凸部の高さと前記基準面の高さとの差と、最も低い前記凹凸の凹部の低さと前記基準面の高さとの差の和Stが式(2)で示される範囲であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
    (1) 0.3nm<Sa<2nm
    (2) 5nm<St<30nm
  2. 前記凹凸構造を構成する前記複数の凸部又は凹部のピッチが、100nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  3. ガスバリア機能、水蒸気バリア機能、耐摩耗機能、防汚機能、疎水性機能、親水性機能、帯電防止機能、カラーフィルタ機能、カラーシフト機能、偏光修正機能、反射防止機能、光再指向機能、光拡散機能、及び光学回転機能からなる群から選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を更に含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする照明装置。
  6. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用基板と、前記高屈折率材料層の前記表面上に設けられた少なくとも陽極、発光層、及び陰極とで構成された発光部と、を具備することを特徴とする表示装置。
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