JP3583568B2 - 循環冷却水の水質管理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、循環冷却水の水質管理方法に関し、特に、冷却塔における循環冷却水の水質管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
化学プラントでは、従来より、反応器や、蒸留塔、熱交換器等の機器のために冷却水が用いられており、特に、冷却塔(冷水塔)で冷却される循環冷却水が多用されている。冷却塔は、循環冷却水を直接に空気と接触させて水を蒸発させ、その潜熱により水を冷却するものであり、冷却水と空気とを直接に接触させる構成を採用するため、単に空気温度を高くして熱を除去する形式の空冷式熱交換器よりも伝熱効率がよい特長がある。
【0003】
開放式循環冷却水系では、種々の水処理薬剤が冷却水に添加されて、冷却塔における腐食防止や、スケール及びスライムの付着防止が図られている。これらの水処理薬剤の添加を有効にするためには、冷却水中の水処理薬剤の濃度を所望の範囲に保持する必要がある。また、開放式循環冷却水系では、循環冷却水の一部が冷却塔で蒸発するため、補給水中に含まれて系内に持ち込まれるカルシウムやマグネシウム等の塩類やSiO等が循環冷却水系で濃縮され、スケール生成の原因となって、熱交換効率を低下させることが知られている。このため、濃縮された冷却水の一部をブローして系外に排出し、それに見合う補給水と、防食剤(腐食防止剤)やスケール防止剤等の水処理薬剤とを補給することが行われている。
【0004】
ここで、上記防食剤やスケール防止剤等の薬剤注入は、ブロー排出による排出水量と、蒸発、飛散、漏洩等による損失水量とに見合う補給水量に応じて定められる。しかし、損失水量を実測することは困難であり、実験的又は経験的に損失水量を推定しているため、正確な補給水量を推定すること、及び、薬剤を所望の濃度に保持することは必ずしも容易ではない。かかる問題を解決するため、防食剤やスケール防止剤等の薬剤注入の管理法として、循環冷却水の電気伝導率(電導度)を測定し、その値が一定となるように自動的にブロー排出量を調節する方法が提案されている。
【0005】
上記提案された方法では、循環冷却水の電気伝導率が所定値より高い場合には、冷却水のブロー排出を行うと共に、それに見合う量の補給水を補給し、更にその補給水量に見合った量の水処理薬剤を注入する。逆に、電気伝導率が所定値より低い場合には、冷却水のブロー排出及び薬剤の注入を停止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記提案された方法は、薬剤の濃縮度の調節を主目的とするものであり、間接的に腐食成分のイオン濃度を推定するものである。従って、循環冷却水の水質は変化するものの、循環冷却水の電気伝導率自体には大きな影響を与えない変化が生ずる場合には、塩素イオンなどの腐食因子の濃度変化を検知できない。例えば、塩素イオンが増加し、硫酸イオンが減少して、循環冷却水全体の電気伝導率がバランスする場合には、かかる腐食性因子の増大は検知できない。
【0007】
また、循環冷却水中にイオンの形態で存在する塩類の一部が析出する場合、例えばカルシウム塩、特に、炭酸カルシウムが析出する場合には、循環冷却水の電気伝導率が下がるため、ブロー排出流量が減少する方向に調節される。しかし、この場合には、炭酸カルシウムの析出によりスケールが生成されるものであり、上記提案された方法では、スケール付着の防止とは逆の方向の制御が行われることとなる。
【0008】
上記したように、電気伝導率で水質管理を行う方法は、循環冷却水中の腐食性因子による腐食や、付着スケール量の増大を防止するための管理には不適当であった。このため、従来から、循環冷却水の水質管理を適正に行うことが出来る方法が要望されていた。
【0009】
本発明は、上記のような実情に鑑みて成されたものであり、冷却塔における循環冷却水の水質管理、特に、腐食性因子の把握に基づく防食管理やスケールなどの汚れ係数把握に基づくスケール防止管理を適正に行うことが出来る、循環冷却水の水質管理方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の第1の視点における循環冷却水の水質管理方法は、ブロー排出装置及び水処理薬剤注入装置を備えた冷却水循環系における循環冷却水の水質管理方法において、
循環冷却水の一部をサンプリングし、該サンプリングした冷却水に浸漬した1対の金属電極間のカップリング電流及び電気化学的電流ノイズを測定し、該測定されたデータに基づいて循環冷却水の水質を判定し、該判定結果に基づいて、ブロー排出装置による循環冷却水の排出量及び/又は水処理薬剤注入装置による薬剤注入量を制御することを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい例では、上記サンプリングした冷却水に浸漬した、少なくとも一方が別の金属電極から成る1対の金属電極を利用して、その間の電気化学的電位ノイズを測定し、前記測定されたカップリング電流、電気化学的電流ノイズ及び電気化学的電位ノイズに基づいて冷却水の水質を判定する構成が採用される。
【0012】
また、上記構成に加えて、前記サンプリングした冷却水に浸漬した金属の腐食度を測定することも本発明の好ましい態様である。本発明の第1の視点の水質管理方法は、特に防食剤の注入量の制御のために用いることが好ましい。
【0013】
本発明の第2の視点の水質管理方法は、ブロー排出装置及び水処理薬剤注入装置を備えた冷却水循環系における循環冷却水の水質管理方法において、
循環冷却水の一部をチューブ内に導き、該循環冷却水を含むチューブの外側より加熱し、チューブからの伝熱状況を測定し、該測定結果に基づいてチューブに付着したスケール量を推定し、該推定結果に基づいてブロー排出装置による循環冷却水の排出量及び/又は水処理剤注入装置による薬剤の注入量を制御することを特徴とする。
【0014】
上記第2の視点の水質管理方法は、特に、スケール防止剤の注入量の制御に用いることが好ましい。
【0015】
本発明の水質管理方法によると、循環冷却水の水質又はスケール付着量が定量的に把握されるので、冷却塔における循環冷却水の水質管理が適正に行われる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明に係る循環冷却水の水質管理方法を、その実施形態例に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態例の方法を実施する、冷却塔を含む循環冷却水系のブロック図である。同図において、101は冷却塔、102は熱交換器、103は水処理装置であり、冷却塔101と熱交換器102との間には冷却水供給管104と冷却水戻り管105とが配設され、冷却水供給管104には循環ポンプ106が配設されている。
【0017】
冷却塔101には、そのケーシング内に図示しない冷却器が設置され、冷却器の上側には図示しない散水器が設けられており、また、冷却器の下側には散水器から散水された冷却水を受ける図示しない受皿が設けられている。散水器には冷却水戻り管105が接続されており、受皿には冷却水供給管104が接続されている。ケーシングの上部にはファンが設置され、側面には通風用開口が設けられている。
【0018】
熱交換器102は蓄熱部として、また冷却塔101は放熱部として、夫々作用する。冷却塔101内の冷却水は、循環ポンプ106によって、冷却供給管104を経由して熱交換器102に供給される。熱交換器102で熱交換された水は、冷却水戻り管105を経由して、冷却塔101に循環冷却水として戻される。このようにして、冷却塔101、冷却水供給管104、熱交換器102、及び、冷却水戻り管105は、冷却水循環系を構成している。この循環系に補給水を供給するために、補給水供給管107が、冷却塔101のケーシング内に差し込まれるように設置され、補給系を構成している。
【0019】
循環系から冷却水をブロー排出するためのブロー排出系として、冷却水供給管104から分岐する枝管にブロー弁を設ける方法、或いは、受皿にブロー配管を設ける方法のいずれもが採用できる。本実施形態例では、後者の方法が採用されており、受皿にブロー配管108を接続し、このブロー配管108には、ブローポンプ109及びブロー弁110が対応して設けられる。
【0020】
水処理装置103は、循環系に対して防食剤やスケール防止剤などの水処理薬剤を注入するために設置される。薬剤は、薬注ポンプ111によって、薬剤配管112を経由して冷却塔101に送られる。薬剤配管112は、冷却塔101のケーシング内に差し込まれるように設置されている。
【0021】
冷却水供給管104からは、冷却水を引き抜くためのサンプリング配管113が分岐しており、このサンプリング配管113は、汚れ測定装置120のチューブ121と、腐食測定装置130の水槽とに接続されている。
【0022】
腐食測定装置130は、後述するように、電気化学的ノイズ法を用いて循環冷却水に浸漬した金属電極間のカップリング電流、電気化学的電流ノイズ及び電気化学的電位ノイズを測定し、この測定データから、腐食速度(腐食率)や腐食形態を求めるために利用される。測定結果は、制御装置140に入力され、制御装置140からは、ブロー弁110及び薬注ポンプ111に制御信号が出力される。例えば、循環冷却水による金属の腐食速度が大きくなったと判断されたときには、ブロー弁110を開放して循環冷却水をブロー排出すると共に補給水の補給を行い、且つ、薬注ポンプ111の作動を制御して、防食剤の薬注量を調節する。
【0023】
汚れ測定装置120では、チューブ121内に循環冷却水を通し、チューブ121外側よりヒータ122によって加熱し、この加熱時の伝熱を測定することにより、汚れ係数を算出している。
【0024】
汚れ測定装置120による測定結果は、同様に制御装置140に入力され、制御装置140からは、ブロー弁110及び薬注ポンプ111に対する制御信号が出力される。例えば、汚れ係数が大きく、スケールが析出しやすい水質と判断されたときには、ブロー弁110を開放して循環冷却水をブロー排出すると共に補給水の補給を行い、且つ、薬注ポンプ111の作動を制御して、スケール防止剤の薬注量を調節する。
【0025】
図2は、図1に示した腐食測定装置130の詳細を示す。腐食測定装置130は、サンプリングされた冷却水12を収容する水槽11を備えており、循環冷却水は、図1のチューブ121から所定の流量で水槽11内に導入される。また、水槽11からは図示しない配管を経由して冷却水循環系に戻される。水槽11内の冷却水12中には、腐食測定対象となる金属表面と実質的に同じ材質を有する3個の測定電極、つまり、第1、第2及び第3の各電極21、22、23が浸漬されている。各電極21〜23は、測定対象の金属表面と実質的に同じ腐食条件である同じ温度条件の下におかれる。
【0026】
第1の電極21及び第2の電極22から成る第1の電極対の間には、内部抵抗がほぼゼロの電流測定回路、いわゆる無抵抗電流計(zero resistance ammerter)24が接続されている。また、第2の電極22及び第3の電極23から成る第2の電極対の間には、電極側に電気的な影響を与えないで信号電圧を測定できる、入力インピーダンスが非常に大きなアンプ回路であるバッファー回路25が接続されている。
【0027】
上記構成により、第1の電極21及び第2の電極22から成る第1の電極対の間には、双方の電極表面の腐食の進行程度に応じたカップリング電流(結合電流)が流れる。このカップリング電流は、無抵抗電流計24によって測定され、信号処理回路31で処理されて直流電流成分(Imean)aとしてコンピュータ71に送られると共に、信号処理回路32のフィルタ回路によって、その低周波数領域である1Hz程度以下の周波数領域の成分が抽出された後に所定の信号処理が行われる。
【0028】
本実施形態例では、特に、カップリング電流を信号処理回路32内のバンドパスフィルタ回路で濾波することによって、カップリング電流の内の0.01〜1Hz程度の周波数帯域の信号成分が抽出され、これに所定の信号処理を行うことにより、電気化学的電流ノイズ(I)bが得られる。得られた電気化学的電流ノイズbも、コンピュータ71のデータ記憶部72に時系列で蓄積される。また、これに代えて、電気化学的電流ノイズbは、コンピュータ71に取り込まれたカップリング電流の直流成分a(Imean)に所定の演算処理を行って、その標準偏差を求めることによっても同様に得られる。
【0029】
第2の電極22及び第3の電極23から成る第2の電極対の間の電位差は、バッファー回路25によって測定され、この電位差から、信号処理回路33内のフィルタ回路によって1Hz程度以下の周波数成分が抽出される。本実施形態例では、特にバンドパスフィルタ回路を利用して、0.01〜1Hz程度の周波数帯域の電位差変動を抽出し、これを信号処理することによって、電気化学的電位ノイズc(V)を得る。電気化学的電位ノイズcは、コンピュータ71のデータ記憶部72に時系列で蓄積される。なお、これに代えて、電気化学的電位ノイズcは、電位差を直接にコンピュータ71に取り込んで所定の演算処理を行って、その標準偏差を求めることによっても同様に得られる。
【0030】
図3(a)及び(b)は、上記実施形態例における、カップリング電流の直流成分(Imean)a、電気化学的電流ノイズb(I)を求める演算回路31、32、及び、電気化学的電位ノイズc(V)を求める演算回路33の構成を夫々示している。これら演算回路31〜33は、各データをアナログ的に処理する一例である。
【0031】
図3(a)において、第1の電極21及び第2の電極22から成る第1の電極対の間の電流(電流信号)は、無抵抗電流計24によってカップリング電流として測定される。カップリング電流は、信号処理回路31に入力され、まず、図示しないRMS処理回路部分、DCコンバータ部分、及び、対数変換回路部分を内蔵する対数コンバータ41に入力される。対数コンバータ41では、そのRMS処理回路部分で、カップリング電流の2乗平均が求められ、次いで、DCコンバータ部分でその2乗平均が直流に変換され、次いで、対数変換回路部分で対数に変換される。対数コンバータ41の出力は、A/Dコンバータ42に送られ、ここでデジタル信号に変換されて、カップリング電流の直流成分a(Imean)としてコンピュータ71に入力される。
【0032】
無抵抗電流計24によって測定されたカップリング電流は、更に、信号処理回路32のバンドパスフィルタ回路51にも入力されており、0.01〜1Hz程度の周波数帯域の成分が抽出された上で、先の対数コンバータ41と同様な構成を有する対数コンバータ52に入力されて、所定の信号処理及び対数変換が行われ、さらに、A/Dコンバータ53によってデジタル信号に変換された後に、電気化学的電流ノイズ(I)bとしてコンピュータ71に入力される。
【0033】
第2の電極22及び第3の電極23から成る第2の電極対の間の電位差(電圧信号)は、図3(b)に示したように、バッファー回路25によって測定され、信号処理回路33内のバンドパスフィルタ回路61によって0.01〜1Hz程度の周波数帯域の成分が抽出された上で、先の対数コンバータ41、52の構成と同様な構成を有する対数コンバータ62に入力される。対数コンバータ62によって所定の信号処理及び対数変換が行われ、さらに、A/Dコンバータ63によってデジタル信号に変換された後に、電気化学的電位ノイズ(V)cとしてコンピュータ71に入力される。
【0034】
図3(a)及び(b)の信号処理回路に代えて、デジタル処理を行う回路構成を採用することもでき、このようなデジタル回路構成によっても同様な信号が得られる。
【0035】
図2において、水槽11内の冷却水12中には、更に、金属細片20が浸漬されている。金属細片20は、腐食を測定する対象である循環水冷却系内の金属表面と同一材質の金属片から成り、水槽11内の冷却水12中に一定時間浸漬した後に取り出される。腐食による金属細片20の肉厚の減量(mm)が測定され、その測定データは、入力装置26によって入力され、コンピュータ71の記憶装置72内に腐食度dとして蓄積される。
【0036】
コンピュータ71では、データ記憶部72に蓄積されている各測定データ、つまり、カップリング電流a(Imean)、電気化学的電流ノイズb(I)、電気化学的電位ノイズc(V)、及び、腐食度dから成る測定データに基づいて、下記式(1)、(2)、(3)を利用し、対応する演算手段73、74、75によって、各腐食係数K、K、Kが算出される。
【0037】
第1の腐食係数Kの算出:C=K・ΣImeanを利用して
=C/ΣImean −−−−−−−−−−−−(1)
からKを算出する。ここで、Cは、腐食液12中に金属細片20を所定時間浸漬した後の腐食度(mm)dを示し、ΣImeanは、腐食度Cに対応した所定時間内における電流Imeanの蓄積量(クーロン)を示す。
【0038】
第2の腐食係数Kの算出:C=K/ΣR=K・ΣI/Vを利用して
=C/Σ(I/V) −−−−−−−−−−−−(2)
からKを算出する。ここで、Rは電気化学的抵抗ノイズ(Ω・秒)であり、Σ(I/V)は、腐食度Cに対応した所定時間内におけるI(電気化学的電流ノイズb)/V(電気化学的電位ノイズc)の蓄積量(クーロン/ボルト)を示す。
【0039】
第3の腐食係数Kの算出:C=√(K・ΣI・ΣImean/ΣV)を利用して
=C /(ΣI・ΣImean/ΣV) −−−−−−−−(3)
からKを算出する。ここで、ΣI、ΣImean、及び、ΣVは夫々、腐食度Cに対応した所定時間内におけるI(電気化学的電流ノイズb)の蓄積量(クーロン)、Imean(カップリング電流a)の蓄積量(クーロン)、及び、V(電気化学的電位ノイズc)の蓄積量(ボルト・秒)を示す。
【0040】
次に、算出した各腐食係数K、K、Kを用い、特定の時間周期毎に測定したImean(カップリング電流a)と、I(電気化学的電流ノイズb)、及び、V(電気化学的電位ノイズc)の各測定データに基づいて、下記式(4)、(5)、(6)を利用し、対応する演算手段76、77、78によって、各腐食速度C、C、C(mm/年)が算出される。
【0041】
第1の腐食速度Cの算出:
=K・Imean −−−−−−−−−−−−(4)
【0042】
第2の腐食速度Cの算出:
=K・I/V −−−−−−−−−−−(5)
【0043】
第3の腐食速度Cの算出:
=√(K・I・Imean/V −−−−−(6)
【0044】
引き続き、上記で算出した各腐食速度C、C、C(mm/年)を、演算手段79によって算術平均し、この値Cを平均腐食速度とする。
【0045】
平均腐食速度Cの算出:
=(C+C+C)/3 −−−−−−−(7)
【0046】
上記のようにして得られた各腐食速度C、C、C、及び、平均腐食速度Cの推移は、CRT13の画面上に出力され、或いは、プリンタ14によるプリントアウトとして出力表示される。同様に、腐食速度の瞬時値や、それを時系列で表すトレンドの推移についても出力表示させることが出来る。
【0047】
上記に代えて、腐食速度C、C、C、Cの出力に加えて、Imean(カップリング電流a)と、I(電気化学的電流ノイズb)、及び、V(電気化学的電位ノイズc)の各測定データの瞬時値や、それを時系列で表したトレンドの推移や、その累積値なども夫々個別に、或いは、相互に関連付けて表示させることもできる。
【0048】
図4は、本発明の第2の実施形態例の方法を実施する腐食度測定装置を示すブロック図である。本実施形態例における腐食度測定装置130Aは、図2のコンピュータ71外部で行われる腐食の有無の判断に代えて、腐食の有無等の判断自体をコンピュータ71A内部で行う。水槽11内の電極等の構成及び各演算部等の構成は、コンピュータ内部の構成を除いて、先の実施形態例の構成と同様である。コンピュータ71Aの内部には、図2に示したと同様なデータを記憶するデータ記憶部72と、信号処理部を構成する第1の処理部81〜84、及び、第2の処理部91〜97とが示されている。各信号処理部内における演算部及び判断部には、対応する処理内容が流れ記号形式で示してある。
【0049】
本実施形態例では、第1の処理部81〜84において、データ記憶部72から得られるデータに基づいて、カップリング電流a(Imean)と電気化学的電流ノイズb(I)とを対応させ腐食の程度を把握する。この場合、I(電気化学的電流ノイズb)/Imean(カップリング電流a)の比をI/Imean比較部81において演算し、腐食の形態を次の4形態に分け、対応する判定部82〜83で判定する。
【0050】
全面腐食 :0.001<I/Imean<0.01
混合腐食 :0.01<I/Imean<0.1
局所(部分)腐食 :0.1<I/Imean<1.0
ピッチング(孔状腐食):1.0<I/Imean
【0051】
全面腐食の判断は判定部82で、混合腐食及び局所腐食の判断は判定部83で、また、ピッチングの判断は判定部84で夫々行い、対応する警報が出力される。このように、第1の処理部81〜84では、I/Imeanの比を求め、その瞬時値から腐食の発生を判断する。或いは、これに代えて、I/Imean比較部81で得られた比の瞬時値を時系列で表したトレンドの推移を判断することにより、腐食の形態の推移を把握することも出来る。局所腐食においては、全面腐食での腐食速度又は腐食度のような定量的な判断のみでは十分でなく、その腐食の形態を判断することが重要になる。
【0052】
第2の処理部91〜97では、以下に述べるように、I(電気化学的電流ノイズb)、及び/又は、V(電気化学的電位ノイズc)の信号波形を解析し、腐食の形態判断が行われる。特に、局部腐食については、各ノイズ信号の測定データにおいて、低周波ノイズ成分が増加してくることから、この低周波ノイズ成分のピーク波形信号を解析して局部腐食の形態を判断する。
【0053】
上記形態判断は、以下の態様で行われる。
(a)ノイズ信号のピーク高さ/ピーク幅の比の大小を比較して判断する。
(b)ノイズ信号のピーク繰返し周期の大小を比較して判断する。
(c)ノイズ信号の低周波数ピーク成分数の大小を比較して判断する。
【0054】
先ず、データ記憶部72から抽出したI(電気化学的電流ノイズb)又はV(電気化学的電位ノイズc)の信号のピーク波形を、ノイズピーク波形解析部91によって解析する。引続き、解析された信号のピーク高さ/ピーク幅の比を高さ/幅比較部92によって求める。更に、繰返し周期検出部93によって、ノイズピークの繰返し周期が検出されると共に、低周波数成分検出部94によって、ノイズピークの内で0.01〜1Hzの範囲の低周波成分のピーク数(低周波数成分ピーク数)が検出される。各比較部92及び検出部93、94によって求められた結果を、次の3通りに区別することで、対応する判定部95〜97において、腐食形態が判定され、その旨が出力される。
【0055】
(イ)ピーク高さ/ピーク幅の比が小で、且つ、ピーク繰返し周期及び低周波数成分ピーク数の少なくとも一方が小さいときには、全面腐食判定部95により、全面腐食と判定される。
【0056】
(ロ)ピーク高さ/ピーク幅の比が大で、且つ、ピーク繰返し周期及び低周波数成分ピーク数の少なくとも一方が大きいときには、応力腐食割れ判定部96により、応力腐食割れと判定される。。
【0057】
(ハ)上記(イ)及び(ロ)の中間領域のときには、ピッチング判定部97でピッチングと判定される。
【0058】
上記判定結果は、CRT13やプリンタ14に表示される。また、上記に代えて、前記比の瞬時値や、それを時系列で表したトレンドをCRT13上に表示し、或いは、プリンタ14でプリントアウトして、その推移を観察して腐食形態を把握してもよい。
【0059】
上記判断基準に用いる数値については、予め、既知の水質を有する循環冷却水中で、全面腐食、応力腐食割れ又はピッチングを生起した標準金属から成る試料試験片についてのデータを取得し、各チェック項目についての判断基準値を求めることが好ましい。
【0060】
上記にようにして得られた電極の腐食の有無や程度の判定に基づいて、循環冷却水の水質が判断され、これに基づいて、循環水冷却系に対するブロー排出量及び防食剤の注入量の調節が可能となる。
【0061】
上記のように、本実施形態例の水質管理方法では、冷却塔における循環冷却水の水質管理において、腐食性因子の把握に基づく循環冷却水系の金属材料の防食管理と、スケール付着等に関する汚れ係数の把握に基づく熱交換材料へのスケール防止管理との双方を可能とするものである。
【0062】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の循環冷却水の水質管理方法は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、冷却塔における循環冷却水の水質が定量的に把握でき、ブロー排出量及び薬剤注入量の制御を定量的に行うことが出来る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の循環冷却水の水質管理方法を実施する冷却水循環系の系統図。
【図2】図1の冷却水循環系における腐食度測定装置の構成を示すブロック図。
【図3】(a)及び(b)は夫々、図2の腐食度測定装置の信号処理回路の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第2の実施形態例の循環冷却水の水質管理方法を実施する腐食度測定装置の信号処理回路の構成及び処理を示す模式的ブロック図。
【符号の説明】
101 冷却塔
102 熱交換器
103 水処理装置
104 冷却水供給管
105 冷却水戻り管
106 循環ポンプ
107 補給水供給管
108 ブロー配管
109 ブローポンプ
110 ブロー弁
111 薬注ポンプ
112 薬剤配管
113 サンプリング配管
120 汚れ測定装置
121 チューブ
122 ヒータ
130、130A 腐食度測定装置
140 制御装置
11 水槽
12 冷却水
13 CRT
14 プリンタ
20 金属細片
21、22、23 電極
24 無抵抗電流計
25 バッファ回路
26 入力装置
31、32、33 信号処理回路
41 対数コンバータ
42 A/Dコンバータ
51 バンドパスフィルタ
52 対数コンバータ
53 A/Dコンバータ
61 バンドパスフィルタ
62 対数コンバータ
63 A/Dコンバータ
71 コンピュータ
72 データ記憶部
73〜79 演算手段
81 I/Imean比較部
82〜84 判定部
91 ノイズピーク解析部
92 ピーク高さ/幅比較部
93 繰返し周期検出部
94 低周波数成分ピーク数検出部
95〜97 判定部

Claims (4)

  1. ブロー排出装置及び水処理薬剤注入装置を備えた冷却水循環系における循環冷却水の水質管理方法において、
    循環冷却水の一部をサンプリングし、該サンプリングした冷却水に浸漬した1対の金属電極間のカップリング電流及び電気化学的電流ノイズを測定し、該測定されたデータに基づいて循環冷却水の水質を判定し、該判定結果に基づいて、ブロー排出装置による循環冷却水の排出量及び/又は水処理薬剤注入装置による薬剤注入量を制御することを特徴とする、循環冷却水の水質管理方法。
  2. 前記サンプリングした冷却水に浸漬した、少なくとも一方が別の金属電極から成る1対の金属電極間の電気化学的電位ノイズを更に測定し、前記測定されたカップリング電流、電気化学的電流ノイズ及び電気化学的電位ノイズに基づいて前記冷却水の水質を判定する、請求項1に記載の循環冷却水の水質管理方法。
  3. 更に、前記サンプリングした冷却水に浸漬した金属材料の腐食度を測定する、請求項1又は2に記載の循環冷却水の水質管理方法。
  4. 前記薬剤が防食剤である、請求項1乃至3の何れか一に記載の循環冷却水の水質管理方法。
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