JP3582596B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願は、例えば無線通信機などに使用される高周波・高出力用の半導体素子などを有する半導体装置の製造方法に関する。特に、本発明は、そのような半導体装置に使用されるバイアホールの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭59―94818号公報や特開平8―279562号公報に開示されている半導体装置は、基板と、この基板の表面上に形成された半導体素子と、基板の裏面側に設けられた裏面金属層とを備えていて、基板を貫通するバイアホールが半導体素子近傍に設けられている。そして、上記半導体素子の少なくとも1つの電極が、バイアホール内の金属配線を介して裏面金属層に接続されている。これにより、上記半導体装置は、例えば金ワイヤーでパッケージと半導体素子を接続した場合よりも、配線の抵抗やインダクタンスを低減している。
【0003】
また、高周波・高出力用の半導体素子を有する半導体装置においては、接地インダクタンスの低減と熱抵抗の低減を行うことが重要な課題である。上記接地インダクタンスが大きい場合、高周波特性を低下させてしまう要因となる。また、上記熱抵抗が大きい場合、素子動作時の発熱により素子特性が不安定となる。
【0004】
上記接地インダクタンスと熱抵抗を低減するために、基板を貫通するバイアホール内に金属配線を形成し、高周波・高出力素子の電極とバイアホール内配線とを接続して、基板の裏面に設けた裏面金属層と高周波・高出力素子の電極とを接続する構造が提案されている。
【0005】
従来より、半導体装置の製造方法としては、塩素系ガスを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)法のドライエッチングを行って、図10に示すように、バイアホールを形成するためのバイアホール形成用溝267を高周波・高出力素子200近傍の基板201に形成する方法がある。図示しないが、その後、上記基板201の裏面を研磨することにより、バイアホール形成用溝267を用いてバイアホールを形成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の半導体装置の製造方法では、上記バイアホール形成用溝267を深くすると、基板201の結晶方位によってエッチングレートに差が生じて、基板201の表面に対してバイアホール形成用溝267の側壁が斜めになってしまう。これは、ドライエッチングの際にバイアホール形成用溝267が深くなるとプラズマ中のイオン密度が低下するため、イオンによる化学反応の促進が低下しRIE法の特色である垂直加工性が低下してしまい、湿式のエッチング形状に近くなるからである。
【0007】
このように、上記バイアホール形成用溝267を深くしていくと、バイアホール用267の深さに応じてバイアホール形成用溝267の幅が狭くなっていく。したがって、上記バイアホール形成用溝267の表面側の開口が小さい場合は、バイアホール形成用溝267を深くすることができない。その結果、上記バイアホール形成用溝267を用いて、表面側の開口が小さくて、しかも深いバイアホールを形成することができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、表面側の開口が小さくても、深いバイアホールを形成することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
また、基板表面側の開口が小さくても、深いバイアホールを形成できる方法を提供することも本発明の目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
図11に、(100)表面のGaAs基板上に長方形の矩形パターンで長辺側が[011]方向に対して平行方向と垂直方向のパターンを塩酸の水溶液でエッチングした際のエッチング形状を示す。
【0011】
図11に示すように、GaAs基板111の(100)表面に、矩形状の開口縁112,113を形成している。上記開口縁112の長手方向は、[011]方向に対して平行になっており、開口縁113の長手方向は、[011]方向と垂直な方向に対して平行になっている。上記開口縁112を有するエッチング形状は底部が広がる形状となっており、開口縁113を有するエッチング形状は底部が狭くなる形状となっている。このように、上記GaAs基板111の結晶面方位によってエッチング断面形状が異なる。
【0012】
以上のことから、本発明者は、以下の半導体装置の製造方法を発明するに至った。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
上記課題を解決するため、本発明の半導体装置の製造方法は、
GaAs基板の表面である結晶面(100)面上に複数の半導体素子を形成する工程と、
上記半導体素子を並列接続する並列接続用配線層を形成する工程と、
上記GaAs基板の上記結晶面(100)に対してエッチングを行うことにより、上記表面側の開口縁の形状が矩形であって、その開口縁の長手方向が上記GaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行になっているバイアホール形成用溝を上記半導体素子近傍の上記GaAs基板に形成する工程と、
上記バイアホール形成用溝内を埋めるバイアホール導電体を形成すると共に、上記半導体素子の電極に接続され、上記半導体素子の上方に位置する表面金属層を形成する工程と、
上記GaAs基板の裏面を研磨することにより、上記GaAs基板を貫通すると共に、上記表面側の開口縁の形状が矩形であって、その開口縁の長手方向が上記GaAs基板の結晶方位[011]方向と平行になっているバイアホールを形成する工程と、
上記GaAs基板の裏面に裏面金属層を設けて、上記バイアホール導電体を介して上記表面金属層と上記裏面金属層とを接続する工程とを備えている。
【0035】
上記構成の半導体装置の製造方法によれば、上記GaAs基板の表面である結晶面(100)面上に複数の半導体素子を形成し、それららの半導体素子を並列接続する並列接続用配線層を形成する。そして、上記GaAs基板の上記結晶面(100)に対してエッチングを行って、半導体素子近傍の上記GaAs基板にバイアホール形成用溝を形成する。このとき、上記バイアホール形成用溝の表面側の開口縁の形状が矩形になっていると共に、その開口縁の長手方向がGaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行にする。これにより、上記バイアホール形成用溝は、GaAs基板の表面から裏面に行くにしたがって幅が広くなる。したがって、上記表面側の開口が小さくても、深いバイアホール形成用溝を形成することができるので、このバイアホール形成用溝を用いることにより、表面側の開口が小さくても、深いバイアホールを形成することができる。
【0036】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記バイアホール導電体と上記裏面金属層とを形成する前に、上記半導体素子の電極に接続する第1の配線を形成して、上記GaAs基板を自転かつ公転させながら、上記第1の配線上に第2の配線を形成する。
【0037】
上記実施形態の半導体装置の製造方法によれば、上記GaAs基板を自転かつ公転させながら、第1の配線上に第2の配線を形成するので、第2の配線の膜厚を均一にすることができる。
【0038】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記GaAs基板の裏面の研磨を行う前に、上記表面金属層上に保護用の有機膜を形成し、上記有機膜上に、加熱で接着力が低下する接着層を両面に備えたシートを介して支持基板を貼り付ける。
【0039】
上記実施形態の半導体装置の製造方法によれば、上記表面金属層上に形成された保護用の有機膜上に、加熱で接着力が低下する接着層を両面に備えたシートを介して支持基板を貼り付ける。そして、上記GaAs基板の裏面の研磨を行った後、支持基板をGaAs基板から取り外す。このとき、上記接着層を加熱することにより、接着層が発泡して、接触層の接着力が低下し、支持基板をGaAs基板から容易に取り外すことができる。したがって、上記支持基板をGaAs基板から取り外す際の取扱性が向上する。
【0040】
また、上記接着層を加熱することにより、支持基板をGaAs基板から無理なく容易に取り外せるので、支持基板を取り外す際にGaAs基板が割れず、GaAs基板の割れによる歩留まりの低下を抑制できる。
【0041】
一実施形態の半導体装置の製造方法において、上記バイアホール形成用溝をドライエッチング法で形成する。
【0042】
【0043】
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半導体装置の製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0045】
図1(a)は本発明の実施の一形態の半導体装置の要部の概略上面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線から見た概略断面図である。また、図1(a)では、エミッタオーミック金属層、ベースオーミック金属層およびコレクタオーミック金属層の図示を省略している。
【0046】
上記半導体装置は、図1(b)に示すように、結晶面(100)面を表面として有するGaAs基板1と、このGaAs基板1の表面上に形成された半導体素子の一例である複数のヘテロジャンクションバイポーラトランジスタ(以下、HBTと言う)100と、このHBT100の電極の一例であるエミッタオーミック金属層23に接続され、HBT100の上方に位置する表面金属層8と、GaAs基板1の裏面に設けられた裏面金属層9と、GaAs基板1を貫通すると共に、HBT100の近傍に位置するバイアホール7とを備えている。このバイアホール7内には、表面金属層8の一部が埋め込まれている。また、上記バイアホール7は、表面側つまりHBT100側の開口縁の形状が矩形状になっている。また、上記バイアホールのHBT100側の開口縁の長手方向が、GaAs基板1の結晶方位[011]方向に対して平行になっている。なお、図1(b)における参照番号10は実装基板を指し示し、参照番号11は実装基板の配線部を指し示している。
【0047】
また、上記HBT100は、GaAs基板1の表面上に順次積層されたコレクタ層4、ベース層3およびエミッタ層2を有している。このエミッタ層2の表面形状は、短辺が例えば1μm〜6μm程度、長辺が10μm〜50μm程度の矩形状になっている。また、上記コレクタ層4上にはコレクタオーミック金属層25が形成され、ベース層3上にはベースオーミック金属層24が形成され、エミッタ層2上にはエミッタオーミック金属層23が形成されている。また、上記HBT100は、図1(a)に示すように、並列接続用配線層の一例であるコレクタ金属配線21と、並列接続用配線層の一例であるベース金属配線22とで並列に接続されている。
【0048】
また、図1(b)に示すように、上記表面金属層8とHBT100のエミッタオーミック金属層23との間には、第1の配線6を形成している。そして、上記表面金属層8と第1の配線6との間、および、表面金属層8とバイアホール7の壁面との間には、第2の配線の一例である給電用金属配線20を形成している。また、上記第1の配線6とHBT100との間には、有機絶縁膜の一例であるポリイミド樹脂5を形成している。
【0049】
上記構成の半導体装置によれば、HBT100側の開口縁の形状が矩形状となると共に、その開口縁の長手方向がGaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行になるように、バイアホール7が形成されている。このように形成されたバイアホール7は、GaAs基板1の表面から裏面に行くにしたがって幅が広くなる。したがって、上記HBT100側の開口が小さくても、深いバイアホール7を形成することができる。
【0050】
また、上記裏面金属層9に向かって断面が広くなったバイアホール7内の表面金属層8を介して、HBT100の熱を裏面金属層9に放熱するから、熱抵抗を低減できると共に、バイアホール7内の表面金属層8のインダクタンスを低減することができる。
【0051】
次に、図1(a),(b)および図6(a)〜(c)を用いて、上記半導体装置の製造方法について述べる。なお、図6(a)〜(c)では、HBT100、ポリイミド樹脂5、第1の配線6および給電用金属配線20の図示を省略している。
【0052】
まず、図1(a),(b)に示すように、上記GaAs基板1の表面である結晶面(100)面上に、エミッタ層2、ベース層3、コレクタ層4、エミッタオーミック金属層23、ベースオーミック金属層24およびコレクタオーミック金属層25を備えた複数のHBT100を並列に配置する。そして、上記コレクタ金属配線21およびベース金属配線22を形成する。これにより、上記各HBT100のコレクタオーミック金属25がコレクタ金属配線21に対して並列接続されると共に、各HBT100のベースオーミック金属24がベース金属配線22に対して並列接続される。
【0053】
そして、上記各HBT100のエミッタオーミック金属層23に接続する第1の配線6を形成する。この第1の配線6は、例えばチタン(Ti)/白金(Pt)/金(Au)の積層膜をEB(electron beam)蒸着法などで順次成膜することにより形成する。なお、上記コレクタ金属配線21、ベース金属配線22および第1の配線6を形成する前に、予め、光感光性のポリイミド樹脂5を、例えば、3μm程度の厚さでHBT100の配線なとが重なる部分に形成しておく。
【0054】
その後、通常のフォトリソ法により、ポジ型フォトレジスト、例えばクラリアントジャパン(株)製AZ4903を用いてマスクを形成する。このマスクには、例えば開口幅5μm〜20μm、開口長さ30μm〜60μm程度の長方形状の開口パターンが形成されている。すなわち、上記マスクでは、開口パターンの短辺が5μm〜20μm程度、開口パターンの長辺が例えば30μm〜60μm程度になっている。この開口パターンを形成するレジストパターンの側壁は、GaAs基板1の表面に対して垂直になっている。このとき、上記マスクは、開口パターンの長辺がGaAs基板1の結晶方位[011]方向に平行となるように形成される。
【0055】
引き続いて、高真空状態で高密度プラズマが得られるドライエッチング装置、例えばICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置を用いて、バイアホール7を形成するためのバイアホール形成用溝67(図6(a)参照)を形成する。このとき、上記GaAs基板1の裏面をHeガスなどで冷却しながら、Cl2とSiCL4の混合ガスを用いて、バイアホール形成用溝67の深さが例えば深さ100μm程度になるように、ドライエッチングを行っている。このとき、上記開口パターンの長辺がGaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行になっているから、バイアホール形成用溝67の底部の幅がバイアホール形成用溝67の開口の幅より広くなる。つまり、上記バイアホール形成用溝67は、開口から底部に行くにしたがって幅が増加している。したがって、上記バイアホール形成用溝67の開口が小さくても、深いバイアホール形成用溝67を形成できる。
【0056】
そして、上記給電用金属配線20を形成した後、表面金属層8を電界メッキ法を用いて形成することにより、上記バイアホール形成用溝67を表面金属層8で完全に埋め尽くすと共に、表面金属層8を、給電用金属配線20を介して第1の配線6に接続する。上記給電用金属配線20は、GaAs基板1を自転かつ公転させながら、Ti/Pt/AuをEB蒸着法やスパッタリング法で50nm/20nm/40nm程度成膜される。これにより、上記給電用金属配線20では、Ti層によりGaAs基板1との密着性を確保し、Au層により配線抵抗を低減し、TiとAuの間のPt層によりTiとAuが製造途中の熱処理工程で反応し高抵抗化することを抑制している。また、上記表面金属層8の形成方法として電界メッキ法を行う場合、バイアホール形成用溝67内の成膜速度とGaAs基板1の表面側の成膜速度を等しくするために、メッキ液に加える電流のONとOFFを繰り返すパルスメッキ法が望ましい。
【0057】
その後、図6(a)に示すように、上記GaAs基板1の表面に保護用の有機膜の一例であるフォトレジスト膜12を回転塗布法などにより数μm〜数10μm成膜する。そして、上記フォトレジスト膜12上に、加熱で接着力が低下する接着層13,13を両面に備えたシート14を介して支持基板15を貼り付ける。
【0058】
そして、図6(b)に示すように、バイアホール形成用溝67に埋め込んだ表面金属層8の底面部が露出するまでGaAs基板1の裏面を研摩する。これにより、図示しないHBT100の近傍にGaAs基板1を貫通するバイアホール7が形成される。このとき、上記バイアホール7は、表面側の開口縁の形状が矩形になっており、その開口縁の長手方向がGaAs基板1の結晶方位[011]方向に対して平行になっている。そして、上記支持基板15を100℃程度に加熱して、接着層13に含まれる熱発泡材を発泡させる。これにより、上記支持基板15を、GaAs基板1の表面保護層12から容易に剥がれる。
【0059】
引き続いて、上記GaAs基板1に洗浄を施して研磨屑などを除去した後、図6(c)に示すように、金の電界メッキを行って、GaAs基板1の裏面に数μm〜数10μm程度の裏面金属層9を形成する。これにより、上記HBT100のエミッタ層2と裏面金属層9がバイアホール7内に形成した表面金属層8により接続される。その後、任意のチップサイズに分離し、実装基板へ接続し半導体装置を完成させる。
【0060】
このように、上記HBT100側の開口縁の形状が矩形になると共に、その開口縁の長手方向がGaAs基板1の結晶方位[011]方向に対して平行になるように、バイアホール形成用溝7を形成していることにより、バイアホール形成用溝67は、GaAs基板1の表面から裏面に行くにしたがって幅が広くなっている。したがって、上記HBT100側の開口が小さくても、深いバイアホール形成用溝67を形成することができるので、このバイアホール形成用溝67を用いることにより、表面側の開口が小さくても、深いバイアホール7を形成することができる。
【0061】
次に、図2(a),(b)および図3を用いて、エミッタ層2とコレクタ層4との間のリーク電流について述べる。また、図2(a),(b)において、図1(a),(b)に示した構成部と同一構成部は、図1(a),(b)における構成部と同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0062】
図2(a),(b)に示すように、上記GaAs基板1の表面上にHBT100を形成し、その近傍にバイアホール7を設け、HBT100のエミッタ層2を表面金属層8でバイアホール7に接続する場合、バイアホール7のHBT100側の開口縁と、HBT100のコレクタ層5との間の間隔Wを2μm以上離すのが好ましい。上記コレクタ層4とバイアホール7の開口縁との間隔Wを2μm未満にした場合、図3に示すように、エミッタ層2とコレクタ層4との間のリーク電流値が著しく増加してしまう。したがって、上記コレクタ層4とバイアホール7の開口縁との間隔Wを2μm以上にすることにより、エミッタ層2とコレクタ層4との間のリーク電流を抑制することができる。その結果、上記HBT100の素子特性の向上と信頼性の向上とが図れる。
【0063】
次に、図4(a),(b)を用いて、上記裏面金属層9の変形例について述べる。また、図4(a),(b)において、図1(a),(b)に示した構成部と同一構成部は、図1(a),(b)における構成部と同一の参照番号を付して説明を省略する。なお、図4(a),(b)の参照番号80は、表面金属層8と第1の配線6との間、および、表面金属層8とバイアホール7の壁面との間に形成された第2の配線の一例である給電用金属配線である。
【0064】
図4に示すように、上記バイアホール7の下方およびバイアホール7の周囲部分のみに位置する裏面金属層49を形成してもよい。この裏面金属層49は、GaAs基板1を薄く削除して、バイアホール7内の表面金属層8の底面部を露出させた後、GaAs基板1の裏面にバイアホール7を取り囲む形状で裏面金属層49を形成する。この裏面金属層49は、図4(b)に示すように、実装基板10の配線部11に接続される。このように、上記バイアホール7の下方とその周囲部分のみに裏面金属層49を設け、実装基板10のパターンに合わせることにより、接地配線だけでなく信号線や電源線をバイアホール配線で接続できることから、それぞれの配線の低抵抗化、低インダクタンス化が行え、素子の高性能化が図れる。
【0065】
次に、図5(a),(b)を用いて、上記裏面金属層9の材料について述べる。また、図5(a),(b)において、図1(a),(b)および図4(a),(b)に示した構成部と同一構成部は、図1(a),(b)および図4(a),(b)における構成部と同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0066】
図5(a),(b)に示す裏面金属層9の材料としては、例えば、金とスズとの合金がある。上記GaAs基板1の裏面に、金とスズとの合金をメッキ法などで成膜する。そして、図示しない実装基板にGaAs基板1を接続する場合、加熱処理を施すことにより、金とスズとの合金を熔融させ、実装基板の配線部11と裏面金属層9とを接続する。
【0067】
このように、上記裏面金属層9の材料として金とスズとの合金を用いることにより、チップ状の半導体装置を実装基板へ実装する際に300℃程度に加熱して、GaAs基板1を実装基板に金属で接続することができる。
【0068】
また、素子動作時に発生する熱は、バイアホール7内の表面金属層8を通して裏面金属層9へ伝わり、さらに実装基板へ放熱される。このとき、上記裏面金属層9が金とスズとの合金からなるので、放熱経路の低熱抵抗化が図れて、半導体装置の高信頼性化を実現できる。
【0069】
次に、図7(a)〜(d)および図8を用いて、上記HBT100の動作時の発熱について述べる。また、図7(a)〜(d)において、図1(a),(b)に示した構成部と同一構成部は、図1(a),(b)における構成部と同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0070】
図7(a)は、GaAs基板1の表面上に複数のHBT100並列に配置し、バイアホールをGaAs基板1に設けない場合の半導体装置の要部を上方から見た概略図である。また、図7(b)は、複数のHBT100の全部の両側にバイアホール7を設けている場合の半導体装置の要部を上方から見た概略図である。そして、図7(c)は、バイアホール7をGaAs基板1に不等ピッチで設けている場合の半導体装置の要部を上方から見た概略図である。また、図7(d)は、バイアホール7をGaAs基板1に等ピッチで設け、両端のHBT100の外側にはバイアホール7を設けない場合の半導体装置を上方から見た概略図である。なお、図7(a)〜(d)において金属配線等の図示は省略されているが、図7(b)〜(d)におけるHBT100のエミッタ層は表面金属層を介して図示しない裏面金属層に接続されている。
【0071】
また、図8は、図7(a)〜(d)の半導体装置における素子動作時の発熱分布を示すグラフである。図8の素子番号が、図7(a)〜(d)のHBT100のNo.X(X=1〜11)に相当する。
【0072】
図8に示すように、バイアホール7を設けない場合、つまり図7(a)に示す半導体装置の場合は、並列に配置された複数のHBT100のうち素子番号6のHBT100が最も高温となる。すなわち、図7(a)におけるNo.6のHBT100が最も高温となる。これに対して、全てのHBT100の両側にバイアホール7を設けた場合、つまり図7(b)に示す半導体装置の場合は、均一な温度分布が得られる。また、2つのHBT100に対して1つ以上のバイアホール7を設けた場合、つまり図7(c)及び図7(d)の半導体装置の場合は、図7(b)の半導体装置に比べて、全体の温度が僅かに上昇するが温度分布の均一性は保たれる。
【0073】
図7(b)〜(d)の半導体装置では、HBT100で発熱した熱がバイアホール7内の表面金属層を通じて基板裏面側の裏面金属層へ伝わる。このとき、上記バイアホール7は、各HBT100に対応して少なくとも1つある。つまり、上記バイアホール7は、各HBT100に対して少なくとも1つ隣り合っている。これにより、No.1〜No.11のHBT100と裏面金属層との間の熱抵抗が均一になる。したがって、図7(a)の半導体装置の温度分布に比べて、図7(b)〜(d)の半導体装置の温度分布を均一に保つことができる。
【0074】
ただし、図7(b)の半導体装置では、HBT100の並びの両端に位置するHBT100(No.1,No.11のHBT100)は、No.2〜No.10のHBT100よりもGaAs基板1を介した放熱量が多い。このため、動作時に、No.1,No.11のHBT100の温度は、HBT100の並びの中央付近に位置するHBT100(No.5〜No.7のHBT100)の温度よりも低い場合が多い。つまり、上記半導体装置では、No.1〜No.11のHBT100の動作時の温度が不均一になることがある。
【0075】
これに対して、図7(d)の半導体装置では、No.1〜No.11のHBT100の動作時の温度を次のような構成によって均一にする。上記半導体装置では、No.1〜No.11のHBT100間の全てにバイアホール7が設けられ、かつ、No.1〜No.11のHBT100の間のみにバイアホール7が設けられている。つまり、No.1,No.11のHBT100に関しては、片側のみにバイアホール7が設けられている一方、No.2〜No.10のHBT100に関しては、両側にバイアホール7が設けられている。これにより、No.1,No.11のHBT100は1つのバイアホール7を介して裏面金属層に熱を放出する一方、No.2〜No.10のHBT100は2つのバイアホール7を介して裏面金属層に熱を放出する。このため、No.1,No.11のHBT100は、No.2〜No.10のHBT100に比べてバイアホール7を介した放熱量が少ない。したがって、各HBT100についてそれぞれGaAs基板1を介した放熱量とバイアホール7を介した放熱量とを加味すると、No.1,No.11のHBT100の放熱量と、No.2〜No.10のHBT100の放熱量との差が小さくなる。その結果、動作時に、No.1,No.11のHBT100の温度と、No.2〜No.10のHBT100の温度とを確実に均一にすることができる。すなわち、図7(d)の半導体装置は、図7(b)の半導体装置に比べて均一な温度分布を確実に保つことができる。
【0076】
このように、複数のHBT100を並列接続し、その全てのHBT100の間にバイアホール7を形成した場合には、素子全体の温度分布を平坦にできることから、半導体装置の安定動作と高信頼化が図れる。また、2つのHBT100の間に1つのバイアホール7を設けても、同様に温度分布の均一化が図れると共に、素子設計の自由度が向上する。
【0077】
次に、図9を用いて、本発明の実施の一形態の送受信機の一例である折りたたみ式の携帯情報端末機について述べる。図9の参照番号において、91は折りたたみ式携帯情報端末機、92は入力キー、93は表示部、94は回路基板、95はパワーアンプ、96はマイク、97はスピーカー、98はアンテナ、99は曲げ部である。
【0078】
上記携帯情報端末機91では、本発明の上記半導体装置をパワーアンプ95に用いている。上記携帯情報端末91のような機械の主電源は蓄電池であることから、機械全体の電子回路の消費電力を抑制し、電池の長寿命化を図る必要がある。上記携帯情報端末機91では、本発明の半導体装置をパワーアンプ95に用いているので、高効率で高利得性能が実現でき、しかも素子の低消費電力化が実現できる。その結果、上記携帯情報端末機91における図示しない電池の長寿命化を実現することができる。
【0079】
上記実施の形態では、ポリイミド樹脂5の図1(b)中の左側の端部から、ポリイミド樹脂5の図1(b)中の右側の端部まで沿うように、第1の配線6を形成していたが、例えば、ポリイミド樹脂5の図1(b)中の左側の端部より内側から、ポリイミド樹脂5の図1(b)中の右側の端部より内側まで沿うように、第1の配線6を形成してもよい。要するに、上記第1の配線6は、ポリイミド樹脂5の少なくとも一部に沿うように形成されて、エミッタオーミック金属層23と接続していればよい。
【0080】
また、上記表面金属層8は、図1(b)に示すように、第1の配線6および給電用金属配線20を介してエミッタ層2に接続していたが、図2(b)に示すように、エミッタ層2に直接接続してもよい。また、上記表面金属層8は、エミッタオーミック金属層23、ベースオーミック金属層24およびコレクタオーミック金属層25のうちの少なくとも1つに電気的に接続されていればよい。
【0081】
また、上記バイアホール7内には、表面金属層8の一部が埋め込まれていた。つまり、本実施の形態では、HBT100の電極に接続され、HBT100の上方に位置する表面金属層と、バイアホール7内に埋められたバイアホール導電体とが一体になっていたが、HBT100の上方に位置する表面金属層と、バイアホール7内に埋められたバイアホール導電体とが別体であってもよい。また、上記HBT100の上方に位置する表面金属層と、バイアホール7内に埋められたバイアホール導電体とを同一の材料で形成してもよい。また、上記HBT100の上方に位置する表面金属層と、バイアホール7内に埋められたバイアホール導電体とを夫々異なる材料で形成してもよい。
【0082】
また、上記表面金属層8と裏面金属層9との間に給電用金属配線を設けてもよい。
【0083】
また、上記支持基板15として、例えば、シリコン基板、石英基板、ガラス基板などを用いてもよい。また、上記GaAs基板1は半絶縁性であってもよい。
【0084】
また、上記バイアホール7内の表面金属層8を露出させるために、GaAs基板1の裏面を研磨していたが、GaAs基板の裏面を例えば研削などで削ってもよい。
【0085】
上記バイアホール7は、各HBT100に対応して少なくとも1つあればよい。この場合、素子動作時において、複数のHBT100の発熱温度を均一することができる。
【0086】
また、上記GaAs基板の裏面の研摩後に、GaAs基板1の裏面をフッ酸、硝酸、塩酸などの水溶液で数μm程度エッチングしてもよい。
【0087】
また、上記裏面金属層9とGaAs基板1との間に、Ti/Au層からなる50nm〜500nm程度の給電メタルを形成してもよい。この給電メタルは、EB蒸着法やスパッタ法などで成膜すればよい。
【0088】
また、上記バイアホール形成用溝67を、ドライエッチングで形成していたが、ウエットエッチングで形成してもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、半導体素子としてHBT100を用いたが、例えば、例えばMESFETやHEMTなどを用いてもよい。上記HBT100の代わりにMESFETやHEMTなどを用いても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、本発明の半導体装置は、例えば携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯電子機器に用いることができる。この場合、上記携帯電子機器の消費電力が少なくなり、また、電池の寿命が延びる。
【0091】
【発明の効果】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
以上より明らかなように、本発明の半導体装置の製造方法は、GaAs基板の上記結晶面(100)に対してエッチングを行って、半導体素子近傍の上記GaAs基板にバイアホール形成用溝を形成する。このとき、上記バイアホール形成用溝の表面側の開口縁の形状が矩形になっていると共に、その開口縁の長手方向がGaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行になっている。これにより、上記バイアホール形成用溝は、GaAs基板の表面から裏面に行くにしたがって幅が広くなる。したがって、上記表面側の開口が小さくても、深いバイアホール形成用溝を形成することができるので、このバイアホール形成用溝を用いることにより、表面側の開口が小さくても、深いバイアホールを形成することができる。
【0102】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、上記GaAs基板を自転かつ公転させながら、第1の配線上に第2の配線を形成するので、第2の配線の膜厚を均一にすることができる。
【0103】
一実施形態の半導体装置の製造方法は、表面金属層上に設けられた保護用の有機膜上に、加熱で接着力が低下する接着層を両面に備えたシートを介して支持基板を貼り付けるから、その接着層を加熱することにより、接着層が発泡して、接触層の接着力が低下し、支持基板をGaAs基板から容易に取り外すことができる。したがって、上記支持基板をGaAs基板から取り外す際の取扱性を向上できる。
【0104】
また、上記接着層を加熱することにより、支持基板をGaAs基板から無理なく取り外せるので、支持基板を取り外す際にGaAs基板が割れず、GaAs基板の割れによる歩留まりの低下を抑制できる。
【0105】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の実施の一形態の半導体装置の要部の概略上面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線から見た概略断面図である。
【図2】図2(a)は本発明の半導体装置の変形例の要部の概略上面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線から見た概略断面図である。
【図3】図3は図2(a),(b)の半導体装置のHBTのエミッタ/コレクタ間のリーク電流と、コレクタ端とバイアホール端の距離との関係を示すグラフである。
【図4】図4(a),(b)は本発明の半導体装置の変形例の概略断面図である。
【図5】図5(a),(b)は本発明の半導体装置の変形例の概略断面図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の半導体装置の製造方法の概略工程断面図である。
【図7】図7(a)は、バイアホールをGaAs基板に設けない場合の半導体装置の要部の概略上面図であり、図7(b)は、複数のHBTの全部の両側にバイアホールを設けている場合の半導体装置の要部の概略上面図であり、図7(c)は、バイアホールをGaAs基板に不等ピッチで設けている場合の半導体装置の要部の概略上面図であり、図7(d)は、バイアホールをGaAs基板に等ピッチで設け両端の素子の外側にはバイアホールを設けない場合の半導体装置の概略上面図である。
【図8】図8は図7(a)〜(c)の半導体装置の動作時の発熱温度分布を示すグラフである。
【図9】図9は本発明の実施の一形態の送受信機の概略構成図である。
【図10】図10は従来の半導体装置の製造方法の一工程の概略断面図である。
【図11】図11は本発明の半導体装置の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1,111 GaAs基板
2 エミッタ層
3 ベース層
4 コレクタ層
8 表面金属層
7 バイアホール
9,49 裏面金属層
21 コレクタ金属配線
22 ベース金属配線
23 エミッタオーミック金属層
24 ベースオーミック金属層
25 コレクタオーミック金属層
67 バイアホール形成用溝
100 HBT
Claims (4)
- GaAs基板の表面である結晶面(100)面上に複数の半導体素子を形成する工程と、
上記半導体素子を並列接続する並列接続用配線層を形成する工程と、
上記GaAs基板の上記結晶面(100)に対してエッチングを行うことにより、上記表面側の開口縁の形状が矩形であって、その開口縁の長手方向が上記GaAs基板の結晶方位[011]方向に対して平行になっているバイアホール形成用溝を上記半導体素子近傍の上記GaAs基板に形成する工程と、
上記バイアホール形成用溝内を埋めるバイアホール導電体を形成すると共に、上記半導体素子の電極に接続され、上記半導体素子の上方に位置する表面金属層を形成する工程と、
上記GaAs基板の裏面を研磨することにより、上記GaAs基板を貫通すると共に、上記表面側の開口縁の形状が矩形であって、その開口縁の長手方向が上記GaAs基板の結晶方位[011]方向と平行になっているバイアホールを形成する工程と、
上記GaAs基板の裏面に裏面金属層を設けて、上記バイアホール導電体を介して上記表面金属層と上記裏面金属層とを接続する工程とを備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
上記バイアホール導電体と上記裏面金属層とを形成する前に、上記半導体素子の電極に接続する第1の配線を形成して、上記GaAs基板を自転かつ公転させながら、上記第1の配線上に第2の配線を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法において、
上記GaAs基板の裏面の研磨を行う前に、上記表面金属層上に保護用の有機膜を形成し、上記有機膜上に、加熱で接着力が低下する接着層を両面に備えたシートを介して支持基板を貼り付けることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
上記バイアホール形成用溝をドライエッチング法で形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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