JP3581863B2 - 貼付剤 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、患部を保護するためのコルセット効果を有する貼付剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、腰痛症、捻挫、鞭打ち症、関節炎等の治療にはギプスやコルセットが使用されている。
又、発泡性支持体上に織布または不織布からなる支持体を施し、その上に薬効成分を配合した膏体を間隔をおいて塗布されてなる貼付剤も知られている(特開昭63ー145222号公報) 。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
硬化した石膏の保護作用によるギプスも、腰痛症や鞭打ち症などで使用されるコルセットも、何れも外科医による専門処置であり、素人が簡単に行えるものではない。又、ギプスは保護作用は完全ではあるが軽度の症状には不向きな場合があり、ギプス及びコルセット共に装着中の重さ、嵩高さ、外観等からみて日常手軽に使用することはできない。
【0004】
上記従来の貼付剤に用いられている発泡性支持体は、その表面の発泡構造が内部と実質的に同一で非発泡の表皮層がないため、全体に剛性が低く、コルセット効果がない。又、表面が滑らかでないため、衣類との摩擦が大きくて不快感をもたらすという問題がある。
本発明は上記従来の問題点を解消するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の貼付剤は、発泡体層と同層の片面に織布または不織布が積層された支持体の織布または不織布面に粘着剤層が設けられてなる貼付剤において、発泡体層の両面に表皮層が形成され、上記粘着剤層が間隔をおいて設けられてなることを特徴とするものである。
【0006】
更に、請求項2に記載の貼付剤は、請求項1に記載の支持体がJIS L 1005による剛軟度(45°カンチレバー法)が40mm以上で、且つ厚みが0.2 〜7mm であり、10%モジュラスが0.5Kg /25mm以上となされたものである。
【0007】
以下、本発明による貼付剤を構成する各要素について説明する。
1) 支持体
(a) 請求項1の貼付剤に用いられる支持体は、発泡体層と、同層の片面に積層された織布または不織布とからなり、発泡体層の両面に表皮層が形成されたものである。
【0008】
請求項2の貼付剤では、上記請求項1の支持体としてJIS L 1005による剛軟度(45°カンチレバー法)が40mm以上でかつ厚みが0.2 〜7mm、更に10%モジュラスが0.5 Kg/25mm のものが用いられる。
【0009】
JIS L 1005による剛軟度は、温度23°、相対湿度65%の条件で、25mm幅×15mm長の試験片を、先端部に45°の斜面を有する滑らかな水平台上から斜面方向に押し出し、試験片の先端が斜面と接した時、その押し出された距離で表される。
【0010】
この値が40mm未満の場合には、しなやかで患部を固定ないしは支えている感じが低下する。また、上記値が 600mmを超えると、支持体は硬すぎて使用し難く、肌ざわりも悪くなる。従って、支持体の剛軟度は 150〜 400mmの範囲、特に好ましい剛軟度は 200〜300 mmである。
【0011】
支持体の厚みは0.2 〜7mmの範囲である。0.2mm 未満の場合は患部を固定ないしは支持し得るコルセット効果を発揮するに充分な剛性が発揮されず、また7mmを超えるとコルセット効果はよいが使用中の違和感が大きくなるからである。支持体の特に好ましい厚みは 1.5〜 7mmの範囲である。
【0012】
また、支持体の10%モジュラスは0.5 Kg/25mm 以上である。特に好ましくは1.5 〜2.5 Kg/25mm の範囲である。
【0013】
(b) 支持体の構成要素である発泡体層は、例えばポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂製が使用される。これらの樹脂は架橋型及び非架橋型とも使用可能であるが、架橋型の樹脂が好ましい。発泡体層の気泡形態は連続気泡、独立気泡いずれでも使用できるが、剛性が高く患部のコルセット効果を高める上で独立気泡のものが好ましく、発泡倍率は5〜55倍の範囲で適宜選択されるが、20〜30倍が好ましい。
【0014】
本発明では、発泡体層として両面に表皮層が形成されたものが使用される。
表皮層とは、発泡体層と異質のものでもよいが、実質的に発泡体層と同質であり、且つ実質的に非発泡であることが発泡体層の強度や製造上の面で望ましい。
【0015】
この表皮層の厚みは0.01〜0.7 mmである。0.01mm未満では発泡体層に充分な剛性を付与できず、発泡体層の表面強度が低くて傷つき易くなる。0.7 mmを超えると、発泡体層の剛性が高すぎて皮膚に貼ったとき違和感が大となるので好ましくない。
【0016】
上記表皮層は、例えば、発泡体層と同質のフイルムを発泡体層に熱熔融するか、発泡体層上に同質の樹脂を押出しラミネートするか、フイルムを接着剤で積層する等の手段、又は、発泡させる樹脂に発泡剤等を添加した混合物を所要の形状に成形して表面を冷却し、その後発泡剤の分解温度以下に加熱して架橋を行い、ついで発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡させること等によって形成することができる。
【0017】
上記表皮層は発泡体層の両面に形成するので発泡体層の強度が高くなり、各面の表皮層を薄くできるので剛性を有しながらしなやかなものが得られる。
【0018】
(c) 織布または不織布の織布としては、綿、スフ、ナイロン、レーヨンなどの繊維が用いられる。不織布としては、レーヨン、セルロース、ナンロン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの繊維の単独もしくはこれらの混抄品が使用できる。上記織布または不織布の厚みは0.15〜0.4 mmが好ましい。
【0019】
(d) 発泡体層への織布または不織布の積層は、熱融着法、接着剤法などが適宜採用可能であるが、予め、不織布の一面にポリエチレン等の融点の低いフイルムを貼り合わせておいて、該融点の低いフイルム面を発泡体層に熱融着するのが実用的である。
【0020】
2) 粘着剤
本発明に使用される粘着剤としては、ゴム系、アクリル樹脂系等のベースに水添ロジン樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂等の粘着付与樹脂、動植物油、その他適宜添加物を混合してなるものが使用可能であるが、皮膚刺激性が少なく、皮膚への糊残りの少ないものが好ましい。
【0021】
本発明では、支持体の織布または不織布面に粘着剤層が間隔をおいて設けられる。
間隔をおいて塗布するとは、例えば、筋状、網目状、斑点状などのように塗布部どうしの間隔をおいて塗布することをいう。
粘着剤層を間隔をおいて設けるのは、皮膚と貼付剤との間で粘着剤層の非塗布部で通気性を付与し蒸れないようにするためである。
尚、粘着剤には必要に応じて消炎剤、鎮痛剤等適当な薬効成分を配合してもよい。
【0022】
3) 形状
本発明の貼付剤は、これを用いる部位によって適当な形状に打ち抜き、または切り抜き、切断して用いる。
【0023】
【作用】
本発明では、発泡体層の両面に表皮層が形成されているので、発泡体層自体に剛性が付与されてコルセット効果が得られる。更に、支持体がJIS L 1005による剛軟度が40mm以上で厚みが0.2 〜7mm 、10%モジュラスが0.5Kg /25mm以上となされている場合には、コルセット効果が一層顕著となり、その分だけ織布または不織布として柔らかいものを使用できるので、肌ざわりが良くなる。
又、粘着剤層が間隔をおいて設けられているので、皮膚と粘着剤層との間で通気性が得られ、蒸れを防止する。
【0024】
【実施例】
1) 支持体の調整
両面に厚さ約0.2 mmの表皮層を有する発泡倍率が30倍で独立気泡である電子線架橋型のポリエチレン発泡体(積水化学社製、商品名「セキスイソフトロンIF30025 」)からなる厚み3mmの発泡体層(21)の一方の表皮層(22)に、一面にポリエチレンフイルム(24)を貼り合わせたレーヨンとポリエチレンテレフタレート繊維の混抄からなる不織布(23)(混抄重量比80対20、厚み0.7 mm、重量90g/m2)のポリエチレンフイルム(24)面を熱ラミネートにより貼り合わせて支持体(2) とした。即ち、ポリエチレンフイルム(24)面に炎を軽く当て、ポリエチレンフイルム(24)面が熔融したときに発泡体層(21)に積層し、支持体(2) としたものである。上記支持体の剛軟度は120 mm、10%モジュラス1.7 Kg/25 mmであった。
【0025】
2) 支持体への粘着剤の塗布
片面にシリコン層を有するポリエチレンテレフタレートフイルムからなる厚み25μm の剥離紙(4) を塗工機の原反装着部に装着し、粘着剤を間隔をあけて塗布するために、塗布厚みを設定するロールと塗工ロールとの間に幅10mmのスペーサーを10mm間隔で挿入し、上記スペーサーの間から粘着剤を塗工ロールに供給して剥離紙(4) のシリコン層面に粘着剤層(3) を筋状に塗布乾燥した。
【0026】
剥離紙(4) 上に塗工された筋状の粘着剤層(3) の上に不織布(23)が積層された支持体(2) の不織布(23)面を粘着剤層(3) に向けて重ね合わせ、ピンチロールを通して圧着したのち捲きとった。
【0027】
3) 上記の如くして製した図1に示す貼付剤原反(1) を腰痛用として図2に示す形状に、鞭打ち症用として図3に示す形状に、捻挫用として図4に示す形状に打ち抜いて、それぞれ約200mm ×100mm の大きさの貼付剤(A,B,C ) を製し、且つ、通気用の孔(5) を2〜4個設けた。又、図5に示すように、関節炎用として幅25mmのテープ状にした貼付剤 (D)を準備した。
【0028】
比較例として、実施例1と同じで厚さ6mmの発泡体を厚さが半分となるようにスライスした発泡体層を用いて、表皮層面に不織布を熱ラミネートにより貼り合わせた他は実施例1と同様にして、表皮層のないスライス面が露出した貼付剤を作製した。
【0029】
4) 評価試験
腰痛症8人、捻挫1人、鞭打ち症3人、手の突き指2人のそれぞれの症状を有する人に使用したところ、全員が▲1▼「多少は患部が固定している」、▲2▼「しっかり支えている」という実感と自覚症状の軽減を覚えた。また、他人の手を借りず自分で貼り付けることが簡単にでき、使用部位で保温感が明らかであった。更に発汗しても汗は不織布に吸収され、又、通気用の孔から蒸発してむれも極めて少なかった。
一方、比較例のものは、露出した面に表皮層がないので腰部に使用した場合には、下着との摩擦が大きくてかなり違和感があった。また、首や足首に使用すると下着の外に出た部分に汚れが付き易かった。
【0030】
【発明の効果】
本発明は上記の構成となされているので、患部を固定ないしは支持し得るコルセット効果を発揮できる。又、支持体がJIS L 1005による剛軟度(45°カンチレバー法)が40mm以上で、且つ厚みが0.2 〜7mm であり、10%モジュラスが0.5Kg /25mm以上となされている場合には、コルセット効果が一層顕著となり、それにより患部を安静にさせ、治療を早めることができる。又、自分の手で簡単に貼ることができ、動きやすく、軽くて実用効果大である。
又、粘着剤層が間隔をおいて設けられているので、使用中に汗等による蒸れで不快感を伴うことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す部分拡大断面図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
A,B,C,D 貼付剤
1 貼付剤原反
2 支持体
21 発泡体層
22 表皮層
23 不織布
24 ポリエチレンフイルム
3 粘着剤層
4 剥離紙
5 孔
Claims (3)
- コルセット効果を有し、患部を保護するための貼付剤であって、発泡体層と同層の片面に織布または不織布が積層された支持体の織布または不織布面に粘着剤層が設けられてなる貼付剤において、発泡体層の両面に表皮層が形成され、上記支持体が、JIS L 1005による剛軟度(45°カンチレバー法)が40mm以上で、且つ厚みが0.2〜7mmであり、10%モジュラスが0.5Kg/25mm以上であって、上記粘着剤層が間隔をおいて設けられてなることを特徴とする貼付剤。
- 表皮層の厚みが0.01〜0.7mmである請求項1に記載の貼付剤。
- 発泡体層は、気泡形態が独立気泡であって、発泡倍率が5〜55倍の範囲である請求項1又は2に記載の貼付剤。
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