JP3115627B2 - 医療用貼付剤 - Google Patents

医療用貼付剤

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JP3115627B2
JP3115627B2 JP03073074A JP7307491A JP3115627B2 JP 3115627 B2 JP3115627 B2 JP 3115627B2 JP 03073074 A JP03073074 A JP 03073074A JP 7307491 A JP7307491 A JP 7307491A JP 3115627 B2 JP3115627 B2 JP 3115627B2
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和雄 北広
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着剤に薬効成分を含
ませてなる膏体層が支持体の片面に設けられて構成され
た医療用貼付剤に関し、さらに詳しくは、腰痛、捻挫、
腱鞘、筋肉痛などに対する消炎や鎮痛に用いられた際
に、患部を固定するコルセット効果を発揮すると共に良
好な通気性を与え、保温効果、貼着力および薬効にも優
れた医療用貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の医療用貼付剤は、支持体
として、スフモスリン、綿布、ネル、起毛不織布などの
織布ないし不織布や、薄いフィルムが用いられ、粘着剤
に薬効成分を含ませてなる膏体層が該支持体の片面に設
けられることにより構成されている。
【0003】これらの織布、不織布またはフィルムから
なる支持体は、貼付剤を体の動きに追従せしめ、貼付部
に違和感を与えないことを狙って、良好な保温性、通気
性、吸水性を有し、かつ薄くてしなやかで伸縮性のある
貼付剤を指向したものである。そのため、市販の貼付剤
の支持体は、たとえばJIS L 1005による剛軟度が17〜
28mm程度の織布または不織布からなるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
材料からなる支持体を用いた従来の医療用貼付剤は、患
部を固定ないしは支える機能を有するものではない。
【0005】本発明の目的とするところは、従来の医療
用貼付剤の上記のような狙いとはむしろ逆であって、患
部を固定するコルセット効果を発揮すると共に良好な通
気性を与え、保温効果、貼着力および薬効にも優れた医
療用貼付剤を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
すべく工夫されたもので、支持体として特定の物性を有
するものを用いることによって、上記のようなコルセッ
ト効果、通気性その他の顕著な効果を発揮させることが
できるという知見を得て完成されたものである。
【0007】すなわち、本発明による医療用貼付剤は、
粘着剤に薬効成分を含ませてなる膏体層が支持体に設け
られている医療用貼付剤において、該支持体が実質上連
続気泡の発泡体からなり、支持体のJIS P 8117による通
気度が90秒以下でかつ厚みが0.3〜7mmであり、
該膏体層が支持体の片面に間欠的に設けられていること
を特徴とするものである。
【0008】以下、本発明による医療用貼付剤を構成す
る各成分および同貼付剤の製造法について説明する。
【0009】1) 支持体 支持体は、気泡が実質上連続気泡である発泡体からな
る。
【0010】(a) 発泡体は、たとえばポリエチレン、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニルなどの樹脂で製造されたもので
ある。これらの樹脂としては架橋タイプおよび非架橋タ
イプとも使用可能であるが、架橋タイプの樹脂が望まし
い。これら樹脂から発泡体を得るには、樹脂に発泡剤、
架橋剤(放射線架橋の場合には不要)、必要に応じて多
官能性モノマーなどを添加し、混合物を所要の形状に成
形し、放射線照射または発泡剤の分解温度以下の温度で
の加熱によって架橋を行ない、ついで発泡剤の分解温度
以上の温度での加熱によって発泡を行なうか架橋と発泡
を同時に行なうなどの方法が採られる。
【0011】発泡体は実質上連続気泡の気泡形態をなす
ものに限定される。その理由は、実質上連続気泡の発泡
体でなければ充分な通気性が得られないからである。た
だし、所要の通気性を妨げない範囲で独立気泡が混在し
ていてもよい。
【0012】発泡倍率は、5〜55倍の範囲で適宜選択
されるが、本発明における発泡体の使用目的からする
と、通気性の面からは20〜30倍の発泡品が好まし
い。
【0013】支持体のJIS P 8117による通気度(これは
空気100mlが直径25mmの円板状の試験片を通過
するに要する時間として定義される)は90秒以下であ
る。その理由は、90秒を超えると、所望の通気性が得
られないからである。支持体の特に好ましい通気度は6
0秒以下であって、この値は小さいほど好ましい。
【0014】支持体の厚みは0.3〜7mmの範囲であ
る。その理由は、0.3mm未満の厚みでは保温性が乏
しく、患部を固定ないしは支持し得るコルセット効果を
発揮するに充分な剛性が発揮されず、また7mmを超え
た厚みでは通気性が悪くなり、貼った部分が目立ち、違
和感が大きくなるからである。支持体の特に好ましい厚
みは1〜3mmの範囲である。
【0015】支持体として、上記物性に加え、JIS L 10
05による剛軟度が40mm以上のものを用いると、支持
体は患部を固定ないし支持し得る剛性を有するものとな
り、患部が安静にされ、治癒が早められる効果が更に顕
著となる。
【0016】このように剛軟度を40mm以上とするに
は、発泡倍率を低くするか、厚さを増すか、または他の
素材を併用するなどの手段がとられる。
【0017】(b) 支持体への膏体の密着性を高めるため
に、通常は支持体の所要片面に前処理が施される。ただ
し、この処理は必須なものではない。
【0018】前処理方法としてはコロナ放電、プライマ
ー塗工などが行われる。コロナ放電処理は絶縁された電
極と接地ロールとの間に高周波高圧をかけ、その間の空
気を絶縁破壊してイオン化しコロナ放電を起こすもので
ある。また、プライマー塗工では、前処理剤として、メ
チルメタクリレートと天然ゴムないしは合成ゴムとの共
重合体、パラフィンの変性体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ブタジエン系樹脂、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体樹脂などの各種接着剤が適宜選択使用でき
る。イソシアネートや過酸化物などを含む反応型接着剤
を用いることもできる。コロナ放電とプライマー塗工を
併用することも好ましい。
【0019】2) 膏体 膏体は、粘着剤に薬効成分を含ませて構成されている。
【0020】(a) 粘着剤は膏体のベース成分であり、親
油性(油系)粘着剤および親水性(水系)粘着剤の中か
ら適宜選択される。親油性粘着剤の方が比較的好まし
い。
【0021】親油性の粘着剤は一般に温感タイプの貼付
剤に用いられる。親油性の粘着剤としては、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、ポリアク
リル酸エステル系重合体、天然ゴム、各種合成ゴムなど
の親油性重合体に、必要に応じて、テルペン系樹脂、脂
環族系合成樹脂、ロジン系樹脂などの粘着付与剤や、流
動パラフィン、ポリブテンなどの軟化剤や、酸化チタ
ン、酸化亜鉛などの充填剤や、BHTなどの老化防止剤
を配合してなるものが例示される。
【0022】親水系の粘着剤は一般に冷感タイプの貼付
剤に用いられる。親水性の粘着剤としては、アルギン酸
ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントゴ
ム、カゼインなどの天然の水溶性ポリマー;メチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン
−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテルなどの
合成ないし半合成の親水性ポリマーに、必要によりグリ
セリン、プロピレングリコールなどの保湿剤や、水など
の膨潤剤や、アセトン、メチルエチルケトンや、カオリ
ン、ベントナイト、硫酸アルミニウム、酸化亜鉛などを
配合したものが例示される。
【0023】(b) 粘着剤に含まれる薬効成分の代表例と
して下記のものが挙げられる: ・サルチル酸グリコール、サルチル酸メチルなどのサル
チル酸エステル類、 ・トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミド、カンフ
ル、ハッカ油、メントール、チモール、ビタミンEなど
の外用剤として汎用される薬剤、 ・サンシシ、黄柏、カミツレ、アロエ、アルニカなどの
各種生薬、 ・インドメタシン、ケトプロフェン、クロルビフロフェ
ンなどの鎮痛消炎剤。
【0024】膏体中の薬効成分の含有量は好ましくは
0.1〜1.5重量%である。
【0025】(c) 膏体は、一般に薬効成分と粘着剤を所
要の割合で慣用の方法たとえばホットメルト法によって
配合して調製せられる。
【0026】3) 支持体への膏体層の形成 こうして薬効成分を粘着剤に含ませてなる膏体層は、ホ
ットメルト法、溶剤法、カレンダー法などにより支持体
の片面に、つぎのような手法で設けられる。
【0027】まず、粘着剤をそのまま或いは必要に応じ
てこれに溶剤を加え、これを加温または室温にて粘液状
とし、これに薬効成分を加え全体を均一に混合して膏体
を調製する。ついで、この膏体を塗工機により、前述の
如く必要に応じて前処理を施した支持体の片面に塗布す
る。
【0028】支持体への膏体の塗布形態としては、支持
体の片面において塗工部を分割するなどして膏体を筋
状、網目状、斑点状などのように塗工部どうしの間に非
塗工部を存在させたパターンで、膏体を間欠的に設け
る。したがって、膏体を支持体の片面に実質上全面に設
けた貼付剤、すなわち、縁部などに非塗工部を有しその
他の部分全面に膏体を設けた貼付剤や、膏体を支持体の
片面全面に設け通気用の孔開け加工を施した貼付剤は、
本発明の貼付剤には含まれない。筋状の塗工を行なう場
合には、形成した筋の方向が貼付時に体の筋肉の方向に
一致するように塗工を行なうのが好ましい。
【0029】最後に、膏体上の全面に剥離紙を貼り合わ
せて膏体層を保護し、得られた製品を所定のシート形状
に裁断し包装する。また、製品を所定のシート形状に裁
断せずにロール巻重体とすることもできる。また、剥離
紙上に膏体を塗布し、これに支持体を貼り合わせること
により製品を得ることもできる。
【0030】膏体層の厚みは一般に100〜350μm
である。
【0031】
【作用】本発明による貼付剤は、以上の如く構成されて
いるので、患部を固定ないしは支持し得るコルセット効
果を発揮するに充分な剛性を有する。こうして患部を支
持ないしは固定することにより、患部が安静にされ、治
癒が早められると共に、使用者も貼付剤に対する適度な
違和感により無意識に無理な動きをすることなく安静に
努め、治癒がさらに早まる。
【0032】また、支持体は実質上連続気泡の発泡体か
らなり、支持体のJIS P 8117による通気度は90秒以下
でかつ厚みは0.3〜7mmであるので、貼付剤の通気
性がすこぶる良好で、皮膚面にムレが生じずいわゆる皮
膚の白化が防止せられる。
【0033】さらに、この貼付剤は発泡体製の支持体の
使用により適度な保温効果を発揮するため、血行が改善
され、より充分な治療効果が得られる。
【0034】また、貼着力および薬効の点でも申し分が
ない。
【0035】
【実施例】つぎに、本発明を具体的に説明するために、
本発明の実施例およびこれとの比較のための比較例を挙
げ、さらに各貼付剤の性能評価を示す。
【0036】実施例1 1) 支持体の調製 図1は本発明による医療用貼付剤の実施例を示す斜視図
であり、図2は図1中のII−II線における拡大断面図で
ある。
【0037】発泡倍率が25倍で気泡が実質上連続気泡
であるポリウレタンフォーム(JISP 8117による通気度
28秒)からなる厚み3.0mmの発泡体層の片面に、
前処理剤としてメチルメタクリレートと天然ゴムとの共
重合体を用いて、グラフト法により4〜8g/m(dr
y)でプライマー塗工を施した。
【0038】こうして、前処理を施した支持体(1) を調
製した。
【0039】2) 膏体の調製 スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体10
0重量部、流動パラフィン180重量部、脂環族系樹脂
140重量部、酸化チタン5重量部およびBHT3重量
部からなる親油性の粘着剤組成物に、薬効成分としてサ
ンシシ乾燥エキス1.0重量部、6%トウガラシエキス
0.02重量部およびカンフル3重量部を配合し、ホッ
トメルト法にて130〜140℃の温度で全体が均一に
なるように加熱攪拌して、親油性の膏体を作った。
【0040】3) 支持体への膏体の塗工 まず、片面にシリコーン層を有するポリエチレングリコ
ールテレフタレートフィルムからなる厚み25μmの剥
離紙(3) を用意し、この剥離紙(3)のシリコーン層側の
面に、先に調製した膏体をホットメルト塗工機で厚み2
50μm、塗工幅1cm、非塗工幅1cmで平行な多数
の筋状に塗布した。その直後に膏体層(2) がまだ80〜
90℃の温度を保っている間に、先に調製した支持体
(1) の前処理面に膏体層(2) を貼り合わせ、得られた積
層品をロール状に巻き取った。
【0041】4) シート化 このロール状物から縦215mm×横100mmの角部
に丸みのあるシートを打ち抜き裁断し、最終製品として
貼付剤を製造した。
【0042】比較例 対象の貼付剤として市販の貼付剤(ライオン社製、商品
名「ハリックス55」を用いた。この対象貼付剤は、不
織布を支持体としたものである。
【0043】性能試験 実施例および比較例の各貼付剤を腰痛のあるボランティ
アの複数の被験者(男子22名、女子7名、年齢32〜
57才)に、背骨に沿って腰部に縦長に貼り付け、アン
ケート形式で性能評価を行なった。
【0044】その結果、実施例の貼付剤は、対象の貼付
剤と比較して、常に腰部を支えるコルセット効果により
腰に固定感を与え、心理的にも安堵感を与え、薬効に加
え物理的効果および心理的効果の点で優れていることが
認められた。
【0045】また、実施例の貼付剤は、対象の貼付剤と
比べ、保温効果、および貼着力と薬効の点で明らかに優
れていることが確認された。
【0046】さらに、貼付剤剥離後の皮膚面を観察する
と、実施例の貼付剤は、対象の貼付剤と比べ、皮膚面に
ムレがなくいわゆる皮膚の白化が生じない点でも勝って
いることが確認された。
【0047】
【発明の効果】本発明の貼付剤によれば、支持体として
特定の物性を有するものを用いているので、患部を固定
ないしは支持し得るコルセット効果を発揮させることが
できる。そして、こうして患部を支持ないしは固定する
ことにより、患部を安静にさせ、治癒を早めることがで
きると共に、使用者も貼付剤に対する適度な違和感によ
り無意識に無理な動きをすることなく安静に努め、治癒
をさらに早めることができる。
【0048】また、支持体は実質上連続気泡の発泡体か
らなり、支持体のJIS P 8117による通気度は90秒以下
でかつ厚みは0.3〜7mmであるので、貼付剤の通気
性を向上せしめ、皮膚面にムレを生じさせずいわゆる皮
膚の白化を防止することができる。
【0049】さらに、この貼付剤は発泡体製の支持体の
使用により適度な保温効果を発揮するため、血行を改善
し、より充分な治療効果を発揮させることができる。
【0050】また、貼着力および薬効の点でも申し分が
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の医療用貼付剤を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線における拡大断面図である。
【符号の説明】
(1) 支持体 (2) 膏体層 (3) 剥離紙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 不二雄 兵庫県伊丹市池尻3丁目44番地 (56)参考文献 特開 昭63−145222(JP,A) 特開 昭62−77315(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/70 401 A61F 7/08 370 A61F 13/00 355

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着剤に薬効成分を含ませてなる膏体層
    が支持体に設けられている医療用貼付剤において、該支
    持体が実質上連続気泡の発泡体からなり、支持体のJIS
    P 8117による通気度が90秒以下でかつ厚みが0.3〜
    7mmであり、該膏体層が支持体の片面に間欠的に設け
    られていることを特徴とする医療用貼付剤。
JP03073074A 1991-04-05 1991-04-05 医療用貼付剤 Expired - Fee Related JP3115627B2 (ja)

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