JP3581275B2 - 植栽装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、植木、草花その他の植物を簡便に植栽することのできる装置、特に建造物の屋上や屋根等で植物を栽培するために設けられる植栽装置およびこの種の植栽装置に直ちに植物を植え付けることのできる育苗パンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建造物の屋上やその他の空間に大規模に植物を植栽し、都市部における無機的な空間の緑化を図る試みが盛んになされるようになっている。
このような時、多くの場合は、建造物等のスラブ面の防水層上に押えのコンクリート層を形成し、この上に、植栽層として、砂、砂利等からなる砂利層と、客土層を順次積層して植物を植栽するようにしている。
【0003】
しかしながら、植物にとって十分な保水性、排水性を得るためには、防水層にかなりの土砂を導入する必要があり、しかもコンクリート層はかなりの重量を有するため、これらの重量が建造物に悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、本出願人は、先に保水性、排水性に優れた軽量の植栽装置を開示している(例えば特許2531542号公報参照)。
【0004】
この植栽装置は、建造物の屋上等に形成されているスラブ面に防水層を固定すると共に、この防水層の上面に、不織布等を有する保水材と、凹部及び凸部2を有するドレイン板等とからなる保水給排水手段を設け、さらにこの保水給排水手段の上方に砂利層および客土層からなる植栽層を積層したものとなっており、前記保水給排水手段等によって適正な保水性、排水性を得られるものとなっている。
このため、排水を考慮して設けられていたコンクリート層が不要となり、保水性の向上によって植栽層も草木の根毛の長さなどを考慮した必要最小限の厚さ、例えば50mm程度に設定することが可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記従来の植栽装置においては、装置全体が軽量化され、建造物に対する悪影響を回避し得るという優れた機能を有しているが、未だ改良すべき幾つかの課題を包含している。
すなわち、まず風に対する対策が施されていない点である。この種の装置は、建造物の屋上等、高所に設けられることが多いが、このような高所では常に方向不規則な風が発生しており、このため客土層の土壌が飛散しやすい。
また、客土層は建造物等に対する荷重の点から出来うる限り薄く構築することが望ましいが、これをあまり薄くすると植栽した植物の根が張れず、僅かの風にも倒壊してしまう。このことは、特に植木を植栽した場合には顕著であって、ある程度の高さに成育する植木に場合には、無風時でさえ正立させることが困難である。
【0006】
さらに、この種の装置では、客土層をいったん構築すると、客土層の土壌を耕すことが困難であり、このため客土層以下の通気が悪くなり、植物の成育に重大な影響をもたらすことになる。
さらにまた、現在では、屋上等の水平な面だけでなく、勾配屋根等のような傾斜した面にも植栽を施したいとするユーザーの要請もあり、このような要請に応じて上記装置を適用した場合には、設置状態は不安定になり、特に客土層の土壌の保持が困難になる。
このような点を解決しようとする技術が、特許第2717632号公報に開示されている。しかしながら、この技術においては、装置の固定が煩雑で、施工コストが嵩むうえ、施工に時間が掛かるという問題がある。
このため、本願発明者等はさらに新たな植栽装置の研究開発に勤め、先に平成10年特許願第146701号として開示した。
しかるに、屋上の緑化需要はさらに促進され、この種の植栽装置に対する要求性能もますます増大している。 すなわち、最近では屋上等に植栽装置を設置して植物の成育を待つだけではあきたらず、植栽装置の設置の時点で、即緑化の実現をもとめられるまでになっているのが現状である。
本願発明は、今日、植栽装置に求められるこのような要求性能の実現を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、建造物の屋上、屋根等に設置される植物の植栽装置を、装置底部に設けられる防水層と、植物の毛根等の装置外への侵出を防止するために前記防水層上に固着張設されるル−トガ−ドと、ル−トガ−ド上に設けられ、上方から浸透する雨水あるいはその他の手段による潅水等を保持・排水し、保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するために、縦横に交叉連通する通直管により形成される保水部と排水部とが複数一体に形成されたドレイン板と、土壌およびこれに定着植栽された植物類を収容保持する育苗パンとを具え、
前記ドレイン板には複数の中空体が凸設し、前記育苗パンは皿状の本体と、本体の底部に形成され前記ドレイン板の前記保水部に嵌合固定されるとともに土壌を把持しその流動を防止するための複数の凹状突出部と、この凹状突出部の底に形成される透水孔と、通水・通気のために前記本体の底部に形成される複数の貫通小孔と、ドレイン板の前記中空体に嵌合されて中空体の頂部から外側壁にかかる部分を被覆するようにして中空体に固定される係止部とを具えるように構成して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0008】
また、上記の植栽装置において、育苗パンの土壌には植物苗を横倒し状態に載置したうえ植物苗飛散防止用のネットを育苗パン上面に架設し、ネットは前記本体の立壁上端に設けたフックに係止するように構成することがある。
【0009】
さらに、上記の植栽装置において、前記ドレイン板の周縁には予め栽培生育させ根部が土壌中に張り出すとともに育苗パン本体の貫通小孔に定着して把持され土壌に定立する植物が植設された育苗パンを設置して、これら周縁の育苗パンの定立された植物部により内側にある育苗パンの植物を風から保護するようになすことがある。
【0010】
またさらに、上記いずれかの植栽装置において、育苗パンの前記凹状突出部の外側底部と凹状突出部が嵌合されるドレイン板の保水部の底部内側とは所定長さ離開させ根腐れを防止するようになすことがある。
【0011】
また、上記いずれかの植栽装置において、ドレイン板における前記保水部は400個/平方メートル設け、ドレイン板の保水量を3リットル/平方メートルとして一般植物の最適給水条件が維持できるように構成することがある。
【0012】
そして、上記いずれかの植栽装置において、各保水部の保水量は1/10の勾配において約2立方センチメートルとし、ドレイン板における保水量は0.8リットル/平方メートル前後として、耐乾燥性を有する植物の生育に必要十分な保水量を確保できるように構成することがある。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、この発明の1実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、当該実施形態に係る植栽装置の一部断面図である。図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための樹脂製のルートガードBが張設されている。
【0014】
Cは保水給排水手段としての樹脂または金属製のドレイン板で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。ドレイン板Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dを有する育苗パンPが設置されている。そして、3は固定部であり、固定手段4が一体に形成されている。
【0015】
図2は、図1に示した植栽装置において、育苗パンPを除く部分の一部切欠斜視図である。前記防水層Aは数枚の防水シ−トA1,A2を接着剤によりコンクリ−トスラブ面に帖着固定して形成されている。この防水層Aの上面には、前述のように樹脂製のルートガードBが接着剤により張設されている。
【0016】
ル−トガ−ドB上には保水給排水手段としての前記ドレイン板Cが設けられていて、このドレイン板Cには上方から浸透する雨水あるいはその他の手段による潅水等を保持・排水し、保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される前記育苗パンPにおける植物を良好に成育させるために、前述のように保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。
また、このドレイン板Cには保水部1と排水部2に連続して固定部3および固定手段4が形成されていて固定部1は両面接着テ−プ等によりル−トガ−ドBに固着され、固定手段の頂部はビス等で前記育苗パンPに接合固着されている。
【0017】
図3は、ドレイン板Cを構成する保水部1と排水部2を示す一部切欠斜視図である。図示のように排水部2は、縦横に交叉連通して形成され上面に孔部hを有する断面が台形状をなし下面開口の通直管2aにより、また前記保水部1は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間1aによりそれぞれ一体に構成されている。
【0018】
図4は前記ドレイン板Cに散在して一体に形成される固定部3と固定手段4を示す一部切欠斜視図である。固定部3は前記保水部2の複数個以上の面積を有して前記通直管2aに囲繞された凹部により構成されており、この凹部には格子状に交叉する中空突条3aを一体に設け、凹部すなわち固定部3の剛性を高めている。この固定部3の裏面とル−トガ−ドBとの間は前述のように両面接着テ−プにより固着される。そして、この固定部3の裏面における前記中空突条3aの開口幅は前記通直管2aの開口幅の半分に設定されているため、この固定部3以外の部分すなわち保水部1部分でル−トガ−ドBに接着するのに比較してはるかに大きい接着密度を得ることができる。
さらに、図4において、4は、前記固定部3上に一体に形成された固定手段としての中空体で、その外郭は円錐台形状をなし、頂部には孔部4aが形成されている。
【0019】
図5は、該実施形態に係る植栽装置の要部断面図である。
植栽装置は、その固定部3を両面接着テ−プ3bによりル−トガ−ドBに固着され、ル−トガ−ドB、防水層Aも接着手段によりコンクリ−トスラブ面に順次固着されている。
保水部1と排水部2を具えたドレイン板C上には、底面に突出部Paが形成された皿状の育苗パンPが前記突出部Paを保水部1に係合するようにして設置されている。育苗パンPには、ドレイン板Cにおける固定手段としての中空体4に固定される係止部Pbを有していて、この係止部Pbは中空体4の頂部から外側壁にかけての部分を被覆する形状になっており、中空体4の頂部において係合具4bおよびビスにより固定されている。
前記育苗パンPに土壌を収納して形成される客土層Dは、岩石焼成物による礫状骨材をベ−スに植物の永続的な成育に不可欠な有機質その他で生成される保水性、排水性、緩衝に優れた軽量人工土壌で形成されていて、この土壌は育苗パンPの底面に形成された前記突出部Pa内に入り込み、これにより客土層Dは、育苗パンPひいてはドレイン板(保水給排水手段)Cにしっかりと把持されることとなり、勾配屋根等の傾斜部にも植栽装置を安定して設置できる。
【0020】
ところで、この実施形態に係る植栽装置には通気機構が設けられているが、この通気機構は、頂部に透孔4aを有する前記中空体4と、この中空体4に連通する前記中空突条3aと、この中空突条3aに連通する排水部2としての前記通直管2aと、育苗パンPの底面に形成された多数の貫通小孔とで構成されている。 すなわち、大気は前記中空体4の孔部4aを通り中空体4内に入り、さらに前記中空突条3a、前記通直管2a、育苗パンPの底面に形成された多数の貫通小孔を通過して客土層Dに至り、植物の成育に必要な酸素分その他の大気成分を供給することになる。
【0021】
図6は、上述の植栽装置における育苗パンPの実施形態を示す斜視図である。 育苗パンPは、方形の皿状に形成されていてその底面には突出部Paが複数形成されていて、底部に通気・通水のための小孔を有する突出部Paは、前述のようにドレイン板Cの保水部1に係合するようになっている。 また、この突出部Pa内には育苗パンPに土壌を収納した際に土壌が入り込み、土壌の流動を防止できることは前述した。さらに、育苗パンPの底面には土壌の通気、通水のために多数の貫通小孔Pcが形成されている。なお、図においてPbは、係止部であり、この係止部Pbは前述のように中空体4の頂部から外側壁にかけての部分を被覆する形状になっており、中空体4の頂部において係合具4bおよびビスにより固定されるようになっている。なお、図において、Pdは立壁の上端に形成されたフックである。 すなわち、パンP内に土壌を収納し、この土壌において植物種子を蒔いて所定の大きさの苗に成育させるか、あるいは土壌に他所で成育した苗を横倒し状態に移植した後、図1または図5に示すようにドレイン板C内にパンPを設置して、植栽装置を構成する。しかしながら、植物苗は、その根が土壌中で成長するまでは、耐風性を有しない。そこで、図9に示すように、植物苗の根が土壌中で定着するまで、風対策としてパンPの上面にネットNを張設して植物Sの根S1が土壌Dに定着するまで保護する必要がある。 このネットNは、前記フックPdを利用してパンP上面に架設される。 なお、図9において、S1は植物Sの躯体である。根S1は、時間の経過につれ土壌D中に埋没定着し、躯体S2部分は、ネットNの網目を通過して上方へ伸長する。
【0022】
図7は、所定の形状、大きさで構成した単位としての育苗パンPを複数連接した実施形態を示す平面図であり、図8は図7におけるA−A線断面図である。各単位を必要に応じてカットして使用できる。なお、図8において、後述の連結部Gによる凹部には必要に応じて給水管を設置することができる。
すなわち、この実施形態では、方形状の育苗パンP1、P2、P3等が連接されている。連接した状態で使用することもできるが、施工条件に応じてP1、P2部分を連結部Gでカットして使うことも可能である。なお、Pbは前述の係止部であり、例えば対向する2枚の育苗パンP2の係止部Pbを組み合わせることにより前記中空体4の外郭部分に係合させるようになっている。なお、突出部Paの底面には透水孔が形成されている。また、パンPの底部から立壁にかけての所要箇所には水抜きとしての貫通溝K、K、Kが形成されている。
【0023】
次に、上記構成に基づいて、この実施形態に係る植栽装置の作用を説明する。 客土層Dに対する降水、あるいは撤水により、水の一部は、客土層Dに含浸保持され、他は、客土層Dおよび苗パンPを通過してドレイン板Cの保水部1に至り貯留される(図1、5参照)。
【0024】
ドレイン板Cに至る水の量が多く、保水部1において収容しきれない場合、水は、各ドレイン板Cの端部相互の重ねあわせ(ジョイント部分)部分に形成されることとなる隙間部、あるいは通直管2aの孔部hを通り、排水部2から適宜排水されるようになっている。
【0025】
そして、客土層Dにおける水の保持量が減少して乾燥するような場合には、保水部1に貯留された水により植物への水分補給がなされることになる。
なお、前述のように通直管2aによる排水部2は相互に連通しているため、常時は、通気路となり、植物の根に新鮮な空気が供給されることになり各種の病害虫を防止することができる。
【0026】
ところで、客土層Dの厚さを薄くすると、植物類の根の張りが制限され、植物の定立が危うくなったり、あるいは少々の風によって倒れてしまう虞があるが、本願発明では、通直管2aの上面に多数設けた孔部hにより、このような不都合を防止することができる。すなわち、客土層Dから進出した植物の根先は前記孔部2a周辺にしっかりと定着して把持されるので、たとえ客土層Dの層厚を薄くしても植物が容易に倒壊することはない。
【0027】
客土層Dの上面には、必要に応じて上述した図9に示すようにネットを張設して、土壌の風雨による飛散・流出を防止する。そして、この育苗層Fは固定手段4により装置に固定されているため、育苗層F自体も風に巻き上げられることがない。 なお、風の影響は装置の周縁部分でより大きくなるから、これに対応して固定手段は装置周縁部分に多く設置することが望ましい。
【0028】
この実施形態に係るドレイン板C(保水給排水手段)では、保水部1が約400/m2 程度形成されている。そして、平坦に設置された状態での保水部1の保水量は約1個/7.56cm3
と算定されるから、ドレイン板Cにおける保水量は約3,024cm3 /m2 、すなわち約3.02リッタ−となる。
一般に、植物には常時、約3リッタ−/m2 の水の供給ができる条件を設定することが望ましいとされている。 したがって、本実施形態では最適の水供給条件を実現することができる。しかも、植物への供給スタンバイ状態にある水量は単位面積あたり平均化された数値で保持される。
また、ドレイン板Cを例えば勾配10/10の傾斜部に設置した場合、保水部1も当然傾斜するが、この傾斜状態の保水部1に保持される水量は約2cm3 と算定されるから、各単位ドレイン板Cにおける保水量は800cm3
/m2 、すなわち約0.8リッタ−/m2 となり、耐乾性を有する植物の成育には十分の貯留量である。
このため、図1に示す実施例で、客土層のは約40mmの薄さに設定したが、植物の成育状況はすべて正常で、通常の土壌に植栽した場合となんら変わらない結果を得ることができた。
【0029】
次に、当該実施形態に係る植栽装置の構築の手順を図5をもとに説明する。
まず、コンクリ−ト面上に防水層Aを固着し、この防水層Aの表面にル−トガ−ドBを接着する。次いで、ドレイン板Cをセットし、その固定部3をアスファルトまたは両面接着テ−プ3bによりル−トガ−ドBに固着する。
次いで、収納した土壌にある程度の大きさまで成育させた植物が植立した状態の育苗パンPをドレイン板C上に設置して固定する。
なお、育苗パンPは、空のままドレイン板C上に設置した後、土壌を投入して植物を成育させてもよいが、育苗パンPにおいて、予め植物を栽培成育させておき、その状態で植栽装置に組み込めば、工事の完成と同時に緑化が完成する。
また、植物の成育に適した環境下で育苗パンPにおいて植物を栽培してから、植栽装置に組み込むことにより、植物の安定した成育を期待できる。
なお、前述の実施形態では、ドレイン板Cの全面に育苗パンPを設置した場合を説明したが、植栽装置の端縁部分その他、風の影響を受けやすい部分に植物が植立定着した育苗パンPを設置してもよい。育苗パンPにおける植物はすでに根付きが完了していて耐風性を具えているからである。育苗パンPを設置しない部分には従来のように土壌を投入して植物を成育させる。この部分は、育苗パンPに定着した植物による防風効果も期待できる。
【0030】
【発明の効果】
本願発明は、以上説明した構成・作用により施工の完了と同時に緑化を実現でき、従来のように別途の植え付け作業が不要で工期も短縮できる。
また、植立された植物は、十分に根付きが完了しているため風雨による土壌の飛散・流出がなく、建造物の屋上、屋根等を始めとして平面部、勾配部等種々の場所に迅速かつ容易、しかも堅固に設置することができ、都市空間の緑化実現に資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示した植栽装置において、育苗パンPを除く部分の一部切欠斜視図である。
【図3】同上実施形態におけるドレイン板Cを構成する保水部1と排水部2を示す一部切欠斜視図である。
【図4】同上実施例において、前記ドレイン板Cに散在して一体に形成される固定部3と固定手段4を示す一部切欠斜視図である。
【図5】図1に示す該実施形態に係る植栽装置の要部断面図である。
【図6】育苗パンの実施形態を示す一部切欠斜視図である。
【図7】各種の育苗パンを連接した場合の平面図である。
【図8】図7におけるA−A線断面図である。
【図9】パンPの上面に植物苗の押えとしてネットを設置した状況を示す断面図である。
【符号の説明】
A ......防水層
B.......ル−トガ−ド
C...... ドレイン板(保水給排水手段)
D...... 客土層
P.......育苗パン
Pa......突出部
1.......保水部
2.......排水部
2a......通直管
h.......通直管上部の孔部
3.......固定部
3a......中空突条
4.......固定手段(中空体)
4a......中空体の頂部の孔部
4b......(育苗パンの)係止手段
【産業上の利用分野】
この発明は、植木、草花その他の植物を簡便に植栽することのできる装置、特に建造物の屋上や屋根等で植物を栽培するために設けられる植栽装置およびこの種の植栽装置に直ちに植物を植え付けることのできる育苗パンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建造物の屋上やその他の空間に大規模に植物を植栽し、都市部における無機的な空間の緑化を図る試みが盛んになされるようになっている。
このような時、多くの場合は、建造物等のスラブ面の防水層上に押えのコンクリート層を形成し、この上に、植栽層として、砂、砂利等からなる砂利層と、客土層を順次積層して植物を植栽するようにしている。
【0003】
しかしながら、植物にとって十分な保水性、排水性を得るためには、防水層にかなりの土砂を導入する必要があり、しかもコンクリート層はかなりの重量を有するため、これらの重量が建造物に悪影響を及ぼすという問題がある。
そこで、本出願人は、先に保水性、排水性に優れた軽量の植栽装置を開示している(例えば特許2531542号公報参照)。
【0004】
この植栽装置は、建造物の屋上等に形成されているスラブ面に防水層を固定すると共に、この防水層の上面に、不織布等を有する保水材と、凹部及び凸部2を有するドレイン板等とからなる保水給排水手段を設け、さらにこの保水給排水手段の上方に砂利層および客土層からなる植栽層を積層したものとなっており、前記保水給排水手段等によって適正な保水性、排水性を得られるものとなっている。
このため、排水を考慮して設けられていたコンクリート層が不要となり、保水性の向上によって植栽層も草木の根毛の長さなどを考慮した必要最小限の厚さ、例えば50mm程度に設定することが可能となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上記従来の植栽装置においては、装置全体が軽量化され、建造物に対する悪影響を回避し得るという優れた機能を有しているが、未だ改良すべき幾つかの課題を包含している。
すなわち、まず風に対する対策が施されていない点である。この種の装置は、建造物の屋上等、高所に設けられることが多いが、このような高所では常に方向不規則な風が発生しており、このため客土層の土壌が飛散しやすい。
また、客土層は建造物等に対する荷重の点から出来うる限り薄く構築することが望ましいが、これをあまり薄くすると植栽した植物の根が張れず、僅かの風にも倒壊してしまう。このことは、特に植木を植栽した場合には顕著であって、ある程度の高さに成育する植木に場合には、無風時でさえ正立させることが困難である。
【0006】
さらに、この種の装置では、客土層をいったん構築すると、客土層の土壌を耕すことが困難であり、このため客土層以下の通気が悪くなり、植物の成育に重大な影響をもたらすことになる。
さらにまた、現在では、屋上等の水平な面だけでなく、勾配屋根等のような傾斜した面にも植栽を施したいとするユーザーの要請もあり、このような要請に応じて上記装置を適用した場合には、設置状態は不安定になり、特に客土層の土壌の保持が困難になる。
このような点を解決しようとする技術が、特許第2717632号公報に開示されている。しかしながら、この技術においては、装置の固定が煩雑で、施工コストが嵩むうえ、施工に時間が掛かるという問題がある。
このため、本願発明者等はさらに新たな植栽装置の研究開発に勤め、先に平成10年特許願第146701号として開示した。
しかるに、屋上の緑化需要はさらに促進され、この種の植栽装置に対する要求性能もますます増大している。 すなわち、最近では屋上等に植栽装置を設置して植物の成育を待つだけではあきたらず、植栽装置の設置の時点で、即緑化の実現をもとめられるまでになっているのが現状である。
本願発明は、今日、植栽装置に求められるこのような要求性能の実現を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、建造物の屋上、屋根等に設置される植物の植栽装置を、装置底部に設けられる防水層と、植物の毛根等の装置外への侵出を防止するために前記防水層上に固着張設されるル−トガ−ドと、ル−トガ−ド上に設けられ、上方から浸透する雨水あるいはその他の手段による潅水等を保持・排水し、保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するために、縦横に交叉連通する通直管により形成される保水部と排水部とが複数一体に形成されたドレイン板と、土壌およびこれに定着植栽された植物類を収容保持する育苗パンとを具え、
前記ドレイン板には複数の中空体が凸設し、前記育苗パンは皿状の本体と、本体の底部に形成され前記ドレイン板の前記保水部に嵌合固定されるとともに土壌を把持しその流動を防止するための複数の凹状突出部と、この凹状突出部の底に形成される透水孔と、通水・通気のために前記本体の底部に形成される複数の貫通小孔と、ドレイン板の前記中空体に嵌合されて中空体の頂部から外側壁にかかる部分を被覆するようにして中空体に固定される係止部とを具えるように構成して、上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0008】
また、上記の植栽装置において、育苗パンの土壌には植物苗を横倒し状態に載置したうえ植物苗飛散防止用のネットを育苗パン上面に架設し、ネットは前記本体の立壁上端に設けたフックに係止するように構成することがある。
【0009】
さらに、上記の植栽装置において、前記ドレイン板の周縁には予め栽培生育させ根部が土壌中に張り出すとともに育苗パン本体の貫通小孔に定着して把持され土壌に定立する植物が植設された育苗パンを設置して、これら周縁の育苗パンの定立された植物部により内側にある育苗パンの植物を風から保護するようになすことがある。
【0010】
またさらに、上記いずれかの植栽装置において、育苗パンの前記凹状突出部の外側底部と凹状突出部が嵌合されるドレイン板の保水部の底部内側とは所定長さ離開させ根腐れを防止するようになすことがある。
【0011】
また、上記いずれかの植栽装置において、ドレイン板における前記保水部は400個/平方メートル設け、ドレイン板の保水量を3リットル/平方メートルとして一般植物の最適給水条件が維持できるように構成することがある。
【0012】
そして、上記いずれかの植栽装置において、各保水部の保水量は1/10の勾配において約2立方センチメートルとし、ドレイン板における保水量は0.8リットル/平方メートル前後として、耐乾燥性を有する植物の生育に必要十分な保水量を確保できるように構成することがある。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、この発明の1実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、当該実施形態に係る植栽装置の一部断面図である。図において、Aは建造物の屋上のコンクリートスラブ面に貼着される防水層であり、この防水層Aの上面には、植物の毛根等の防水層への進出を防止するための樹脂製のルートガードBが張設されている。
【0014】
Cは保水給排水手段としての樹脂または金属製のドレイン板で、全面にわたり保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。ドレイン板Cの上部には種々の植物等が植立される客土層Dを有する育苗パンPが設置されている。そして、3は固定部であり、固定手段4が一体に形成されている。
【0015】
図2は、図1に示した植栽装置において、育苗パンPを除く部分の一部切欠斜視図である。前記防水層Aは数枚の防水シ−トA1,A2を接着剤によりコンクリ−トスラブ面に帖着固定して形成されている。この防水層Aの上面には、前述のように樹脂製のルートガードBが接着剤により張設されている。
【0016】
ル−トガ−ドB上には保水給排水手段としての前記ドレイン板Cが設けられていて、このドレイン板Cには上方から浸透する雨水あるいはその他の手段による潅水等を保持・排水し、保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される前記育苗パンPにおける植物を良好に成育させるために、前述のように保水部1と排水部2とが複数一体に形成されている。
また、このドレイン板Cには保水部1と排水部2に連続して固定部3および固定手段4が形成されていて固定部1は両面接着テ−プ等によりル−トガ−ドBに固着され、固定手段の頂部はビス等で前記育苗パンPに接合固着されている。
【0017】
図3は、ドレイン板Cを構成する保水部1と排水部2を示す一部切欠斜視図である。図示のように排水部2は、縦横に交叉連通して形成され上面に孔部hを有する断面が台形状をなし下面開口の通直管2aにより、また前記保水部1は各通直管により囲繞されて形成される凹部空間1aによりそれぞれ一体に構成されている。
【0018】
図4は前記ドレイン板Cに散在して一体に形成される固定部3と固定手段4を示す一部切欠斜視図である。固定部3は前記保水部2の複数個以上の面積を有して前記通直管2aに囲繞された凹部により構成されており、この凹部には格子状に交叉する中空突条3aを一体に設け、凹部すなわち固定部3の剛性を高めている。この固定部3の裏面とル−トガ−ドBとの間は前述のように両面接着テ−プにより固着される。そして、この固定部3の裏面における前記中空突条3aの開口幅は前記通直管2aの開口幅の半分に設定されているため、この固定部3以外の部分すなわち保水部1部分でル−トガ−ドBに接着するのに比較してはるかに大きい接着密度を得ることができる。
さらに、図4において、4は、前記固定部3上に一体に形成された固定手段としての中空体で、その外郭は円錐台形状をなし、頂部には孔部4aが形成されている。
【0019】
図5は、該実施形態に係る植栽装置の要部断面図である。
植栽装置は、その固定部3を両面接着テ−プ3bによりル−トガ−ドBに固着され、ル−トガ−ドB、防水層Aも接着手段によりコンクリ−トスラブ面に順次固着されている。
保水部1と排水部2を具えたドレイン板C上には、底面に突出部Paが形成された皿状の育苗パンPが前記突出部Paを保水部1に係合するようにして設置されている。育苗パンPには、ドレイン板Cにおける固定手段としての中空体4に固定される係止部Pbを有していて、この係止部Pbは中空体4の頂部から外側壁にかけての部分を被覆する形状になっており、中空体4の頂部において係合具4bおよびビスにより固定されている。
前記育苗パンPに土壌を収納して形成される客土層Dは、岩石焼成物による礫状骨材をベ−スに植物の永続的な成育に不可欠な有機質その他で生成される保水性、排水性、緩衝に優れた軽量人工土壌で形成されていて、この土壌は育苗パンPの底面に形成された前記突出部Pa内に入り込み、これにより客土層Dは、育苗パンPひいてはドレイン板(保水給排水手段)Cにしっかりと把持されることとなり、勾配屋根等の傾斜部にも植栽装置を安定して設置できる。
【0020】
ところで、この実施形態に係る植栽装置には通気機構が設けられているが、この通気機構は、頂部に透孔4aを有する前記中空体4と、この中空体4に連通する前記中空突条3aと、この中空突条3aに連通する排水部2としての前記通直管2aと、育苗パンPの底面に形成された多数の貫通小孔とで構成されている。 すなわち、大気は前記中空体4の孔部4aを通り中空体4内に入り、さらに前記中空突条3a、前記通直管2a、育苗パンPの底面に形成された多数の貫通小孔を通過して客土層Dに至り、植物の成育に必要な酸素分その他の大気成分を供給することになる。
【0021】
図6は、上述の植栽装置における育苗パンPの実施形態を示す斜視図である。 育苗パンPは、方形の皿状に形成されていてその底面には突出部Paが複数形成されていて、底部に通気・通水のための小孔を有する突出部Paは、前述のようにドレイン板Cの保水部1に係合するようになっている。 また、この突出部Pa内には育苗パンPに土壌を収納した際に土壌が入り込み、土壌の流動を防止できることは前述した。さらに、育苗パンPの底面には土壌の通気、通水のために多数の貫通小孔Pcが形成されている。なお、図においてPbは、係止部であり、この係止部Pbは前述のように中空体4の頂部から外側壁にかけての部分を被覆する形状になっており、中空体4の頂部において係合具4bおよびビスにより固定されるようになっている。なお、図において、Pdは立壁の上端に形成されたフックである。 すなわち、パンP内に土壌を収納し、この土壌において植物種子を蒔いて所定の大きさの苗に成育させるか、あるいは土壌に他所で成育した苗を横倒し状態に移植した後、図1または図5に示すようにドレイン板C内にパンPを設置して、植栽装置を構成する。しかしながら、植物苗は、その根が土壌中で成長するまでは、耐風性を有しない。そこで、図9に示すように、植物苗の根が土壌中で定着するまで、風対策としてパンPの上面にネットNを張設して植物Sの根S1が土壌Dに定着するまで保護する必要がある。 このネットNは、前記フックPdを利用してパンP上面に架設される。 なお、図9において、S1は植物Sの躯体である。根S1は、時間の経過につれ土壌D中に埋没定着し、躯体S2部分は、ネットNの網目を通過して上方へ伸長する。
【0022】
図7は、所定の形状、大きさで構成した単位としての育苗パンPを複数連接した実施形態を示す平面図であり、図8は図7におけるA−A線断面図である。各単位を必要に応じてカットして使用できる。なお、図8において、後述の連結部Gによる凹部には必要に応じて給水管を設置することができる。
すなわち、この実施形態では、方形状の育苗パンP1、P2、P3等が連接されている。連接した状態で使用することもできるが、施工条件に応じてP1、P2部分を連結部Gでカットして使うことも可能である。なお、Pbは前述の係止部であり、例えば対向する2枚の育苗パンP2の係止部Pbを組み合わせることにより前記中空体4の外郭部分に係合させるようになっている。なお、突出部Paの底面には透水孔が形成されている。また、パンPの底部から立壁にかけての所要箇所には水抜きとしての貫通溝K、K、Kが形成されている。
【0023】
次に、上記構成に基づいて、この実施形態に係る植栽装置の作用を説明する。 客土層Dに対する降水、あるいは撤水により、水の一部は、客土層Dに含浸保持され、他は、客土層Dおよび苗パンPを通過してドレイン板Cの保水部1に至り貯留される(図1、5参照)。
【0024】
ドレイン板Cに至る水の量が多く、保水部1において収容しきれない場合、水は、各ドレイン板Cの端部相互の重ねあわせ(ジョイント部分)部分に形成されることとなる隙間部、あるいは通直管2aの孔部hを通り、排水部2から適宜排水されるようになっている。
【0025】
そして、客土層Dにおける水の保持量が減少して乾燥するような場合には、保水部1に貯留された水により植物への水分補給がなされることになる。
なお、前述のように通直管2aによる排水部2は相互に連通しているため、常時は、通気路となり、植物の根に新鮮な空気が供給されることになり各種の病害虫を防止することができる。
【0026】
ところで、客土層Dの厚さを薄くすると、植物類の根の張りが制限され、植物の定立が危うくなったり、あるいは少々の風によって倒れてしまう虞があるが、本願発明では、通直管2aの上面に多数設けた孔部hにより、このような不都合を防止することができる。すなわち、客土層Dから進出した植物の根先は前記孔部2a周辺にしっかりと定着して把持されるので、たとえ客土層Dの層厚を薄くしても植物が容易に倒壊することはない。
【0027】
客土層Dの上面には、必要に応じて上述した図9に示すようにネットを張設して、土壌の風雨による飛散・流出を防止する。そして、この育苗層Fは固定手段4により装置に固定されているため、育苗層F自体も風に巻き上げられることがない。 なお、風の影響は装置の周縁部分でより大きくなるから、これに対応して固定手段は装置周縁部分に多く設置することが望ましい。
【0028】
この実施形態に係るドレイン板C(保水給排水手段)では、保水部1が約400/m2 程度形成されている。そして、平坦に設置された状態での保水部1の保水量は約1個/7.56cm3
と算定されるから、ドレイン板Cにおける保水量は約3,024cm3 /m2 、すなわち約3.02リッタ−となる。
一般に、植物には常時、約3リッタ−/m2 の水の供給ができる条件を設定することが望ましいとされている。 したがって、本実施形態では最適の水供給条件を実現することができる。しかも、植物への供給スタンバイ状態にある水量は単位面積あたり平均化された数値で保持される。
また、ドレイン板Cを例えば勾配10/10の傾斜部に設置した場合、保水部1も当然傾斜するが、この傾斜状態の保水部1に保持される水量は約2cm3 と算定されるから、各単位ドレイン板Cにおける保水量は800cm3
/m2 、すなわち約0.8リッタ−/m2 となり、耐乾性を有する植物の成育には十分の貯留量である。
このため、図1に示す実施例で、客土層のは約40mmの薄さに設定したが、植物の成育状況はすべて正常で、通常の土壌に植栽した場合となんら変わらない結果を得ることができた。
【0029】
次に、当該実施形態に係る植栽装置の構築の手順を図5をもとに説明する。
まず、コンクリ−ト面上に防水層Aを固着し、この防水層Aの表面にル−トガ−ドBを接着する。次いで、ドレイン板Cをセットし、その固定部3をアスファルトまたは両面接着テ−プ3bによりル−トガ−ドBに固着する。
次いで、収納した土壌にある程度の大きさまで成育させた植物が植立した状態の育苗パンPをドレイン板C上に設置して固定する。
なお、育苗パンPは、空のままドレイン板C上に設置した後、土壌を投入して植物を成育させてもよいが、育苗パンPにおいて、予め植物を栽培成育させておき、その状態で植栽装置に組み込めば、工事の完成と同時に緑化が完成する。
また、植物の成育に適した環境下で育苗パンPにおいて植物を栽培してから、植栽装置に組み込むことにより、植物の安定した成育を期待できる。
なお、前述の実施形態では、ドレイン板Cの全面に育苗パンPを設置した場合を説明したが、植栽装置の端縁部分その他、風の影響を受けやすい部分に植物が植立定着した育苗パンPを設置してもよい。育苗パンPにおける植物はすでに根付きが完了していて耐風性を具えているからである。育苗パンPを設置しない部分には従来のように土壌を投入して植物を成育させる。この部分は、育苗パンPに定着した植物による防風効果も期待できる。
【0030】
【発明の効果】
本願発明は、以上説明した構成・作用により施工の完了と同時に緑化を実現でき、従来のように別途の植え付け作業が不要で工期も短縮できる。
また、植立された植物は、十分に根付きが完了しているため風雨による土壌の飛散・流出がなく、建造物の屋上、屋根等を始めとして平面部、勾配部等種々の場所に迅速かつ容易、しかも堅固に設置することができ、都市空間の緑化実現に資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示した植栽装置において、育苗パンPを除く部分の一部切欠斜視図である。
【図3】同上実施形態におけるドレイン板Cを構成する保水部1と排水部2を示す一部切欠斜視図である。
【図4】同上実施例において、前記ドレイン板Cに散在して一体に形成される固定部3と固定手段4を示す一部切欠斜視図である。
【図5】図1に示す該実施形態に係る植栽装置の要部断面図である。
【図6】育苗パンの実施形態を示す一部切欠斜視図である。
【図7】各種の育苗パンを連接した場合の平面図である。
【図8】図7におけるA−A線断面図である。
【図9】パンPの上面に植物苗の押えとしてネットを設置した状況を示す断面図である。
【符号の説明】
A ......防水層
B.......ル−トガ−ド
C...... ドレイン板(保水給排水手段)
D...... 客土層
P.......育苗パン
Pa......突出部
1.......保水部
2.......排水部
2a......通直管
h.......通直管上部の孔部
3.......固定部
3a......中空突条
4.......固定手段(中空体)
4a......中空体の頂部の孔部
4b......(育苗パンの)係止手段
Claims (6)
- 装置底部に設けられる防水層と、植物の毛根等の装置外への侵出を防止するために前記防水層上に固着張設されるル−トガ−ドと、ル−トガ−ド上に設けられ、上方から浸透する雨水あるいはその他の手段による潅水等を保持・排水し、保持した水分を植物の根部に供給するとともに積層される土壌を把持するために、縦横に交叉連通する通直管により形成される保水部と排水部とが複数一体に形成されたドレイン板と、土壌およびこれに定着植栽された植物類を収容保持する育苗パンとからなり、前記ドレイン板には複数の中空体が凸設され、前記育苗パンは皿状の本体と、本体の底部に形成され前記ドレイン板の前記保水部に嵌合固定されるとともに土壌を把持しその流動を防止するための複数の凹状突出部と、この凹状突出部の底に形成される透水孔と、通水・通気のために前記本体の底部に形成される複数の貫通小孔と、ドレイン板の前記中空体に嵌合されて中空体の頂部から外側壁にかかる部分を被覆するようにして中空体に固定される係止部とを、具えたことを特徴とする植栽装置。
- 請求項1の植栽装置において、育苗パンの土壌には植物苗を横倒し状態に載置したうえ植物苗飛散防止用のネットを育苗パン上面に架設し、ネットは前記本体の立壁上端に設けたフックに係止するようにしたことを特徴とする植栽装置。
- 請求項1の植栽装置において、前記ドレイン板の周縁には予め栽培生育させ根部が土壌中に張り出すとともに育苗パン本体の貫通小孔に定着して把持され土壌に定立する植物が植設された育苗パンを設置して、これら周縁の育苗パンの定立された植物部により内側にある育苗パンの植物を風から保護するようにしたことを特徴とする植栽装置。
- 請求項1ないし3いずれかの植栽装置において、育苗パンの前記凹状突出部の外側底部と凹状突出部が嵌合されるドレイン板の保水部の底部内側とは所定長さ離開していることを特徴とする植栽装置。
- 請求項1ないし4いずれかの植栽装置において、ドレイン板における前記保水部は400個/平方メートル設け、ドレイン板の保水量を3リットル/平方メートルとして一般植物の最適給水条件に設定したことを特徴とする植栽装置。
- 請求項1ないし4いずれかの植栽装置において、各保水部の保水量は1/10の勾配において約2立方センチメートルとし、ドレイン板における保水量は0.8リットル/平方メートル前後として耐乾燥性を有する植物の生育に必要十分な保水量を確保できるようにしたことを特徴とする植栽装置。
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