JP3834015B2 - 屋上緑化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の屋上に緑化植物を植栽するために用いられる屋上緑化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部におけるヒートアイランド現象を緩和するための対策の1つとして、建物の屋上緑化が注目されている。この屋上緑化の手法として、屋上の床面に、防根シート、防水層および排水層を敷設した後、その上に人工土壌材などによって実現される植栽用基材を搬入し、その植栽用基材に植物およびその種子などを植付け、付帯設備として、周囲にコンクリートブロックおよびレンガブロックなどの土留め材および排水用ドレン管などを設けるという手法が多用されている。
【0003】
前記植栽用基材は、防水層上に直接、均一に分散させて所定の厚みに堆積させて植物を植付けるものと、植栽用基材が収容された容器を防水層上に縦横に敷き並べ、それらの容器内に植物を植付けるものとが周知であるが、いずれも薄型化、軽量化、施工性、保水性、移設容易性、耐踏圧性および防根対策などの点で充分に要求を満たすものではなく、これらの点の改善が望まれている。
【0004】
第1の従来の技術では、傾斜した屋根を、美観を損なわずに緑化するために、通気性および通水性を有する不織布から成り、長方形の底板の四辺から側壁が立上がる浅い箱状の枠体内に、不織布から成るハニカム状の仕切枠を設け、この仕切枠によって仕切られた区画内に土を収容して、植物を植栽している。
【0005】
前記枠体および仕切枠は、レーヨン、ポリエステルおよびポリプロピレンなどの化学繊維または天然繊維から成る不織布によって構成されるため、全ての部分で通気性および通水性を有するとともに、適度の保水性を有し、雨水および給水が過剰になることが防がれ、土を透過した水が不織布による濾過されることによって土の流れ出しを防止し、土および植物による断熱効果が得られるように構成されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
第2の従来の技術では、屋上スラブ上にアスファルトまたは防水シートによって不透水下地層を設け、布製の格子状枠体の上に押えコンクリートを打設し、押えコンクリート上に排水層を形成し、排水層上に断熱層を形成し、断熱層上に平面形状が多角形の複数のセルを有する格子状枠体を布設し、各セル内に植栽下地材を充填して芝生などを植栽している。
【0007】
前記格子状枠体は、布などからなる所定幅、所定厚の帯状部材を複数重ね合わせ、帯状部材同士を縫い糸によって、または縫い糸と接着剤の両方によって所定間隔で接合して接合部を形成し、各接合部間の未接合の伸展部を厚み方向に引き離して伸展させることによって、各進展部間を開き、前記平面多角形のセルが形成される。各接合部および各進展部は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を含浸させて、接合部については高い自立性と可撓性とが賦与され、伸展部については高い自立性と可撓性と透水性とが賦与され、格子状枠体の剛性が向上されている。
【0008】
このような格子状枠体によって、植栽下地材を転圧してセル内に充填し、植栽下地材を安定して保持することができるとともに、格子状枠体の保水性および透水性によって、全体の植栽下地材に均等に灌水することができる。
【0009】
前記排水層は、織布または不織布などの布から成るシートおよびペーパードレーン、または排水用の溝が一方向または二方向に形成された耐腐食性の波板によって実現される。前記断熱層は、発泡スチロールなどの硬質の発泡板を敷き詰めて、その全体に排水用孔と誘水用孔とを所定の間隔で形成され、下面側には排水用溝が一方向または二方向に所定の間隔で形成される。前記断熱層の排水用孔および誘水用孔は、厚み方向に貫通する小孔およびスリットによって実現され、豪雨などによって流れ込んだ余分な水を排水層に速やかに排出することができるようにして、根腐れを防止している(たとえば、特許文献2参照)。
【0010】
第3の従来の技術では、防水層と、防水層上に固着されるルートガードと、ルートガード上に設けられ、上方から浸透する水を保持・排水し、保持した水を植物の根部に供給しかつ基材を把持するために、保水部および排水部が一体に形成されるドレイン板と、ドレイン板の上に設置され、植栽層を有する育苗パンとを備える。
【0011】
前記ドレイン板の排水部は、縦横に交差・連通し、上部に孔が形成される断面が下方に開放した逆凹字状の部分によって実現され、前記保水部は、各排水部によって4周が囲まれ、上方に開放した凹状の部分によって実現される。
【0012】
前記育苗パンは、所定の形状および大きさのものを複数連接し、必要に応じて切り離して配置され、大気が中空体、中空突条、通直管、客土層および育苗パンを介して循環可能とされ、通気性および通水性が確保されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−213159号公報
【特許文献2】
特開2003−9648号公報
【特許文献3】
特開2001−54321号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
前記第1の従来の技術では、薄い箱状の枠体内にハニカム状の仕切枠が設けられ、これらの枠体および仕切枠はいずれも不織布から成るので、軽量であり、施工時の搬入、補修および撤去が簡単に行え、施工性が良好であるとともに、通水性が高いため、灌水および降雨によって供給された水の余剰分は常にドリップとして排出され、保水性が低いという問題がある。
【0015】
また、前記ドリップとして排出された水は、建物の屋上の床面が一様な平坦面でない場合、周囲に比べて低い領域に滞留してしまい、前記保水性が低い領域とは反対に、植栽用基材が滞留した水に浸漬して飽和状態となり、根腐れを起こしてしまうという問題がある。さらに、芝などを植栽した場合、その上を人が踏み歩くと、踏み圧によって植栽用基材が容易に移動するため、その移動した植栽用基材の粒子によって前記枠体および仕切枠を構成している不織布に破断が生じて植栽用基材が流れ出てしまい、長期にわたって植栽用基材を確実に保持することができず、乗載荷重に対して耐荷重性が低いという問題がある。
【0016】
前記第2の従来の技術では、屋上スラブ上に不透水下地層を設け、不透水下地層上に布製格子状枠体を設け、布製格子状枠体の上に押えコンクリートを打設し、押えコンクリート上に排水層を形成し、排水層上に断熱層を形成し、さらに断熱層上に第2の布製格子状枠体を布設し、この第2の布製格子状枠体に植栽し、豪雨などによって流れ込んだ余分な水を排水層に速やかに排出して、根腐れを防止するというものであるが、不透水下地層、布製格子状枠体、押えコンクリート、排水層、断熱層、および第2の布製格子状枠体という多数の層構造によって実現されるので、構成が複雑であり、施工時の材料の搬入および敷設に極めて多くの手間と時間とを要し、施工期間が長く、施工コストが高価になってしまうという問題がある。
【0017】
前記第3の従来の技術では、防水層上にルートガードが固着され、ルートガード上にドレイン板が設けられ、ドレイン板の上に育苗パンが設けられ、この育苗パンは方形の皿状に形成され、底部には通気および通水のための小孔を有する複数の突出部が形成され、中空体に乗載され、この中空体には縦横に突条が形成される。このように育苗パンおよび中空体は一方向に一様な断面を有していないため、押出し成型によって連続して製造することができず、生産性が悪いという問題がある。また、このような育成パンおよび中空体を含む全体を構成する部材の種類が多く、構造が複雑であり、この従来の技術の屋上緑化装置を実現するためのコストが高価になってしまうという問題がある。
【0018】
さらに、屋上緑化によって建物の屋上が植栽された状態に保たれるのは、ある限られた期間、たとえば3〜5年、長期であれば10〜20年であり、少なくとも建物の耐用年数を超えることはない。前述の第1〜第3の従来の技術では、屋上に植栽した植物の立ち枯れの防止および生育状態の改善などの生育促進に考慮されるが、植栽した植物が灌水および施肥などによって成長するにつれて重量が増加し、建物への荷重が増加し、建物にとっては耐震性などに対して強度的に不利であり、またこの点を回避するためには剪定や刈り込みなどの管理のために、手間および費用を要するという問題が生じる。
【0019】
建物の屋上という特殊な環境において植栽植物の生育だけを専ら推進することは、たとえ植物にとって生態学的により良好な環境を提供するものであったとしても、園芸的な技術の導入だけでは最適な建物の屋上緑化を達成できるものではなく、建物の屋上という地上とは条件の異なる環境条件での植物の栽培という建物への影響をも考慮した屋上緑化装置が所望されている。
【0020】
本発明の目的は、低コストで、踏圧などの乗載荷重に対する耐荷重強度を向上し、屋上での植物の栽培に最適な人工地盤を実現することができるようにした屋上緑化装置を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、建物の屋上における床面上に敷設され、偏平な板状部に相互に間隔をあけて平行に延びる複数の突条が設けられ、板状部上の各突条間に導水溝が形成される不透水性材料から成る底部基盤材と、
透水性材料から成り、底部基盤材の各突条に積重される透水マットと、
前記透水マット上に敷設され、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材が収容される複数の基材収容空間が形成される基材保持枠体と、
前記屋上の床面と底部基盤材との間に介在される薄板状の基板に、可撓性を有する索条が設けられる敷設補助具とを含むことを特徴とする屋上緑化装置である。
【0022】
本発明に従えば、底部基盤材、透水マットおよび基材保持枠体の3層によって屋上緑化装置を構成するので、部品点数が少なくて済み、施工時の搬入、敷設および撤去を容易に行うことができる。前記底部基盤材は、建物の屋上における床面に敷設され、この底部基盤材の各突条には透水マットが敷設され、この透水マット上に基材保持枠体が乗載される。
【0023】
底部基盤材は、偏平な板状部に相互に間隔をあけて平行に延びる複数の突条が設けられ、板状部板状部上の各突条間に導水溝が形成され、不透水性材料から成る透水マットは、透水性材料から成り、前記各突条に支持された状態で接合される。また、基材保持層は、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材が収容される複数の基材収容空間が形成される基材保持枠体を有する。
【0024】
前記底部基盤材は、板状部に複数の突条が平行に設けられるので、各突条が延びる方向に一様な断面で底部基盤材を実現することができる。これによって底部基盤材は、たとえば押出し成型によって連続的に製造することができ、製造コストを低減することが可能となる。また、この底部基盤材は、板状部に複数の突条が設けた構造とされるので、高い圧縮荷重強度および曲げ荷重強度を有し、底部基盤材に乗載される基材保持枠体および植栽用基材の重量ならびに施工時、メンテナンス時および撤去時の作業者の踏圧などに対して大きな強度で抗することができる。
【0025】
さらに、底部基盤材は、不透水性材料から成るので、降雨および灌水によって供給された水が厚み方向に透過してしまうことが防がれ、各突条間に形成される導水溝内に回収して、導水溝の傾斜に従って下流側に排水することができる。このような底部基盤材によって、排水機能が達成されるとともに、植栽された植物の根または地下茎が成長して底部基盤材を貫通し、床面に根を張ることを確実に防ぐことができる。
【0026】
透水マット上には、前記基材保持層が乗載される。基材保持枠体は、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材が収容される複数の基材収容空間を有する。
【0027】
各基材収容空間に収容された植栽用基材は、相互に隣接する基材収容空間への移動が隔壁によって阻止され、下方への移動は前記透水マットによって阻止され、豪雨などによって各基材収容空間から植栽用基材が流出してしまうことが防がれる。しかも、前記植栽用基材は下方に配置される透水マットによって直接支持されているので、植栽用基材中の余剰水は、短時間で重力などの作用によって下方へ移動し、前記透水マットを通過して導水溝内に排出されるが、各基材収容空間の植栽用基材の水分は完全に排出されのではなく、前記透水マットの保水性および遮水性によって適度の水分が植栽用基材中に保持され、植栽植物の根腐れが防止される。
【0028】
さらに、前記基材保持枠体は、隔壁によって多角形の複数の基材保持空間を形成するので、厚み方向に一様な断面形状とすることができ、これによって基材保持枠体を、たとえば押出し成型によって製造することが可能であり、製造コストを低減することができる。また、隔壁の肉厚を薄くしても前記厚み方向に垂直な断面が多角形とされるので、軽量で高い剛性を有し、施工時、メンテナンス時および撤去時などに作業者が基材保持枠体上で作業を行っても、その踏圧および作業台車の重量程度の乗載荷重に対して大きな強度で抗することができる。
【0029】
このように低コストで、踏圧などの乗載荷重に対して高い強度を有し、保水性および排水性などの屋上での植物に適した生育環境を実現することができるので、前述の施工時のように、作業上の必要からやむを得ず、積層状態に敷設した屋上緑化装置上を踏み歩くなどの比較的踏圧が小さくかつ静的な荷重が作用する場合だけでなく、多人数が、頻繁に、芝などが植栽された屋上緑化装置上を踏み歩き、走り、座るなどの行動によって、比較的踏圧が大きくかつ動的な体重を超える荷重が作用しても、底部基盤材、透水マットおよび基材保持枠体が容易に破損してしまうおそれはない。また、基材保持枠体は、その厚み方向に垂直な断面形状が多角形とされるので、前述のように動的で高い踏圧が作用しても、各基材収容空間を規定する隔壁がほとんど変形することはないので、各基材収容空間内に収容された植栽用基材が不所望に圧縮されるおそれはなく、踏圧によって植栽した植物の根を傷めてしまうという不具合が生じない。
【0030】
このように屋上緑化装置は、厚み方向に関して高い圧縮強度を有するとともに、高い曲げ剛性を有するので、たとえば学校、保育所、病院、養護施設、高層集合住宅および研究所などの各種建物の屋上およびベランダなどを緑化するために好適に、しかも広範囲に実施して、成人健常者が座り、横臥し、散歩するなどの静的荷重の負荷だけでなく、園児、乳幼児、小学生、非健常者および高齢者などが遊びおよびリハビリテーションなどのために運動することも可能であり、幅広い用途に利用することが可能となる。
また、屋上の床面と底部基盤材との間に基板を介在して、その基板から延びる可撓性の索条を底部基盤材よりも上方、あるいは基材保持枠体よりも上方に引き出しておくことによって、その索条を引き上げ、基材保持枠体に植栽用基材が収容されたままで、あるいは底部基盤材だけを全部または部分的に上方へ持上げて、作業者が手作業または吊り具によって取出し易い状態とすることができる。これによって屋上緑化装置のレイアウトの変更、全体または部分的な撤去、および底部基盤材ならびに基材保持枠体の交換などの作業を容易化し、作業性を向上することができる。
【0031】
請求項2記載の本発明は、前記底部基盤材には、各突条が延びる方向に垂直な幅方向一側部に、各突条と平行に延びる嵌合凸部が設けられ、前記幅方向他端部に各突条と平行に延びる嵌合凹部が設けられることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、底部基盤材の幅方向一側部には各突条と平行に嵌合凸部が設けられ、底部基盤材の幅方向他端部には嵌合凹部が設けられるので、複数の底部基盤材を床面に敷設したとき、相互に隣接する2つの底部基盤材間において、一方の底部基盤材の嵌合凹部に他方の底部基盤材の嵌合凸部を嵌合させて各底部基盤材間の隙間の発生をなくし、各基材収容空間内に収容した植栽用基材の床面への流れ出しが防止される。また、各底部基盤材の嵌合凹所と嵌合凸部とが嵌合しているので、一方または他方の底部基盤材に地震などによって外力が作用しても、底部基盤材が容易に変位して各底部基盤材が分離してしまうことが防がれる。
【0033】
請求項3記載の本発明は、前記底部基盤材の各突条が延びる方向の一側部が嵌まり込む嵌合溝と、この嵌合溝に隣接して連通する集水溝とを有する見切り部材を含むことを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、前記底部基盤材の各突条が延びる方向の一側部に見切り部材が装着されることによって、底部基盤材の一側部が嵌合溝に嵌まり込み、底部基盤材の導水溝内の水を集水溝に集水して、屋上に設けられる集水桝などの所定の排水設備に導き、排水を処理することができる。
【0035】
請求項4記載の本発明は、前記基材保持枠体の隔壁には、各基材収容空間を連通する通水孔が形成されることを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、基材保持枠体は、隔壁に各基材収容空間を連通する通水孔が形成されるので、すべての基材収容空間に収容される植栽用基材に前記連通孔を介して水を導き、各基材収容空間内の基材に植栽された植物または種子に均等に給水して、水不足に起因する一部の領域の生育不良および立ち枯れなどを防止することができる。
【0037】
請求項5記載の本発明は、前記底部基盤材は、熱可塑性合成樹脂から成ることを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、底部基盤材が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって底部基盤材を製造することが可能となり、連続生産によって製造コストの削減し、低コスト化を図ることができる。
【0039】
請求項6記載の本発明は、前記基材保持枠体は、熱可塑性合成樹脂から成ることを特徴とする。
【0040】
本発明に従えば、基材保持枠体が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって基材保持枠体を製造することが可能となり、連続生産によって製造コストの削減を図し、低コスト化を図ることができる。
【0043】
請求項7記載の本発明は、前記植栽用基材は、植栽された植物の根の成長を抑制する生育調整材を含むことを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、植栽用基材は、植栽された植物の根の成長を抑制する生育調整材を含む。この生育調整材は、植栽植物の根が基材保持枠体の各機材収容空間内でむやみに成長する、いわゆる無限成長ないしは伸長成長を阻止することができる材料が用いられ、保水性および保肥性などの機能を有する他の人工土壌材とともに用いられる。このような成長調整材を用いることによって、植物の成長を抑制して、過大な重量の増加を阻止し、屋上の床を構成するコンクリートスラブなどの建物自体への荷重の増加を制限することができる。
【0045】
請求項8記載の本発明は、前記底部基盤材は、前記板状部に各突条とは反対側に相互に間隔をあけて突出する隆起部を含むことを特徴とする。
【0046】
本発明に従えば、底部基盤材の前記板状部の各突条が形成される側とは反対側に突出する隆起部を設けることによって、底部基盤材と建物の床面との間に空隙を形成することができる。このような空隙を有する底部基盤材と建物の床面との間に設けることによって、日射による加熱によって温度上昇した植栽用基材が充填された基材保持枠体の熱が、床面との接触領域を経て、その床面を形成しているスラブなどの構造物に伝達することを少なくし、屋上から建物への入熱量を低減して、建物の空調負荷を低減することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態の屋上緑化装置1を示す一部の拡大断面図である。本実施の形態の屋上緑化装置1は、建物の屋上のコンクリートスラブ2における床面3上に敷設される防根排水層4と、図1の上下方向である厚み方向に貫通しかつ植栽用基材5が収容される複数の基材収容空間6が形成される基材保持層7とを含む。
【0048】
前記防根排水層4は、複数の導水パネル8を含む。各導水パネル8は、偏平な第1板状部9に相互に間隔をあけて平行に延びる複数の突条である断面が逆凹状のリブ11aが設けられ、偏平な第2板状部10に平板状のリブ11bが設けられ、板状部9上の各リブ11a間に導水溝12が、また板状部10上の各リブ11b間に通気孔13が形成される不透水性材料から成る底部基盤材14と、底部基盤材14の各リブ11aの上端部である横壁部15に支持された状態で接合される透水性材料から成る透水マット16と有する。
【0049】
上下に各複数のリブ11a,11bは、平行に延び、相互に隣接する上方の各リブ11a間の導水溝12は開口60(後述の図4参照)によって上方に開放し、上方からの水を導水溝12内に導いて排水することができるように構成されている。下方の各リブ11bと第2板状部10とは、第1板状部9の前記上方の各リブ11aとは反対側で下方に突出する隆起部を構成する。
【0050】
前記基材保持層7は、複数の基材保持枠体20を含む。各基材保持枠体20は、防根排水層4上に敷設され、厚み方向に垂直な断面が多角形(本実施の形態では6角形)を成す隔壁21によって、植栽用基材5が収容される前記複数の基材収容空間6が形成される。前記基材保持枠体20は、隔壁21に各基材収容空間6を連通する通水孔28が形成される。
【0051】
前記植栽用基材5は、基材保持枠体20の各基材収容空間6内の前記透水マット16上にほぼ均一な層厚H1に充填され、植栽された植物Gの根の成長を抑制する生育調整材5aと、充填された生育調整材5a上に基材保持枠体20に上面付近にわたってほぼ均一な層厚H2に充填され、保水性および保肥性などの機能を有する人工土壌材5bとを含む。
【0052】
生育調整材5aは、植栽植物Gの根が基材保持枠体20の各機材収容空間6内でむやみに成長する、いわゆる無限成長ないしは伸長成長を阻止することができる材料が用いられる。この材料としては、ガラスビンや板ガラスなどの廃棄ガラスカレットを原料とした発泡ガラスの粉砕物を用いることができる。この発泡ガラスは、前記廃棄ガラスカレットを微粉砕したものに、2〜10重量%の発泡剤および0.1〜1重量%の有機結合剤を混合して、平均粒径3〜15mm程度に造粒し、加熱によって発泡させながら焼成することによって製造することができる。
【0053】
前記発泡剤としては、代表的には、たとえば炭酸カルシウムを用いることができる。また前記有機結合剤としては、代表的には、たとえばカルボキシメチルセルロース(略称CMC)を用いることができる。
【0054】
このように成長調整材5aとして発泡ガラスの砕片を用いることによって、各基材収容空間6の底部に約9.6pHという強アルカリ層を形成することができ、これによって植物Gの成長または進展を抑制して、植物Gの過剰な成長による重量増加を阻止し、これに伴う屋上スラブへの過大な乗載荷重の増加を阻止し、屋上のコンクリートスラブ2などの建物の構造体の許容重量を超えて荷重が増加することを防止することができる。また、発泡ガラスの原料として廃棄ガラスを利用することによって、資源の有効利用が図られ、安価に防根機能を実現することができる。
【0055】
屋上緑化装置1はまた、底部基盤材14の各リブ11a,11bが延びる方向(図1の左右方向)の一側部22が嵌まり込む嵌合溝23およびこの嵌合溝23に隣接して連通する集水溝24を形成する樋体25に、少なくとも前記基材保持層7を側方から覆う見切り壁部26が設けられる見切り部材27を含む。
【0056】
見切り部材27の外周側(図1の左側)には、コンクリートブロックまたはレンガブロックなどによって実現される複数の縁石29が所定のレイアウトで整列して、屋上緑化装置1によって緑化される領域を外囲するようにして設けられる。このような縁石29によって、見切り部材27の見切り壁部26が踏圧などによって破損することが防がれるとともに、通行可能な領域と通行を制限したい緑化領域との境界を明瞭にして、植栽した植物を保護することができ美観を向上することができる。
【0057】
前記底部基盤材14は、熱可塑性合成樹脂から成る。また、前記基材保持枠体20は、熱可塑性合成樹脂から成る。これらの熱可塑性合成樹脂としては、ポリ塩化ビニルが用いられる。
【0058】
図2は、底部基盤材14に対する基材保持枠体20の配置状態を示す図であり、図2(1)は屋上緑化装置1の一部の平面図であり、図2(2)は図2(1)の下方から見た屋上緑化装置1の一部の正面図であり、図2(3)は図2(1)の右側から見た屋上緑化装置1の一部の側面図である。前記底部基盤材14には、各リブ11a,11bが延びる方向に垂直な幅方向一側部22に、各リブ11a,11bと平行に延びる嵌合凸部30が設けられ、前記幅方向他端部31に各リブ11a,11bと平行に延びる嵌合凹部32が設けられる。
【0059】
図3は、見切り部材27と底部基盤材14とを分離した状態を示す斜視図であり、図4は見切り部材27に底部基盤材14を装着して基材保持枠体20を乗載した状態を示す斜視図であり、図5は隣接する基材保持枠体20を連結した状態を示す斜視図である。上方の各リブ11aは、長手方向に垂直な断面が逆凹状に形成され、上方に配置される第1板状部9に垂直に突出して一体的に形成される複数の縦壁部61の上端部に垂直に連なって一体的に形成される前記横壁部15を有する。
【0060】
前記底部基盤材14において、上方のリブ11aのピッチp1は25mm、底部基盤材14の厚みbは32mm、下方のリブ11bのピッチp2は25mm、上下の各リブ11a、11bの肉厚tはそれぞれ1mmに選ばれる。平面的に隣接する基材保持枠体20同士は、たとえばステンレス鋼製の複数のクリップ81によって弾発的に挟着された状態で相互に着脱可能に連結され、撤去時およびレイアウト変更時に容易に移動することができるように、本実施の形態では、屋上緑化装置1が防根排水層4および基材保持層7の2層構造によって構成されるので、屋上緑化に必要な部品点数が少なくて済み、施工時の搬入作業、敷設作業および撤去作業を容易に行うことができる。
【0061】
このような底部基盤材14と透水マット16とを含んで、前記導水パネル8を構成する。上方の各リブ11a間には開口60を介して透水マット16が露出する導水溝12が形成され、下方の各リブ11b間には、上方の各導水溝12よりも断面積が大きい通気孔13が形成される。透水マット16は、前記上方の各リブ11aの横壁部15の上面に接着剤によって接着され、この透水マット16上に基材保持枠体20が植栽用基材5とともに支持される。
【0062】
また、基材保持層7は、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁21によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材5が収容される複数の基材収容空間6が形成される基材保持枠体20を有する。
【0063】
前記底部基盤材14は、板状部9,10に各複数のリブ11a,11bが平行に設けられるので、一方向に一様な断面で底部基盤材14を実現することができる。これによって底部基盤材14は、たとえば押出し成型によって連続的に製造することができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0064】
底部基盤材14は、不透水性材料から成るので、厚み方向に降雨および灌水によって供給された水が透過してしまうことが防がれ、各リブ11a間に形成される導水溝12内に集水して、導水溝12の傾斜方向下流側に迅速に排水することができる。また、底部基盤材14の前記板状部9の各リブ11aが形成される側とは反対側に突出してリブ11bおよび板状部10が一体化された隆起部が設けられるので、基材保持枠体20と建物の床面3との間に通気孔13を形成することができる。
【0065】
このような底部基盤材14と建物の床面3との間に設けることによって、日射による加熱によって温度上昇した植栽用基材5が充填された基材保持枠体20からの熱が、床面3との接触領域を経て、その床面3を形成しているスラブなどの構造物に伝達することを少なくし、屋上から建物への入熱量を低減して、建物の空調負荷を低減することができる。
【0066】
このように底部基盤材14によって、排水機能が達成されるとともに、床面3に対して開口が存在しないので、植栽された植物Gの根または地下茎が成長して底部基盤材14を貫通し、床面3に根を張ることを確実に防ぐことができるという防根機能が達成される。
【0067】
上方および下方の各リブ11a,11bには、透水性を有する透水マット16が上方の各リブ11aによって支持された状態で接合されて、乗載荷重に対して高い強度を有する導水パネル8を構成し、この導水パネル8を1または複数、床面3上に所定の配列方向に整列して設置することによって、前記防根排水層4が構築される。前記透水マット16は、撥水性を有するたとえばポリエチレンなどの化学繊維から成る通水性および通気性を有する不織布によって実現される。
【0068】
防根排水層4上には、前記基材保持層7が敷設される。この基材保持層7は、1または複数の基材保持枠体20を前記導水パネル8の配置に対応させて設置することによって実現される。基材保持枠体20は、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁21によって、前記厚み方向に貫通しかつ前述の植栽用基材5が収容される複数の基材収容空間6を有する。
【0069】
各基材収容空間6に収容された植栽用基材5は、横方向への移動が隔壁21によって阻止され、下方への移動は前記透水マット16によって阻止され、豪雨などによって各基材収容空間6から流出してしまうことが防がれる。
【0070】
しかも、前記植栽用基材5は下方に配置される透水マット16によって直接支持されているので、植栽用基材5中の余剰水は、短時間で重力などの作用によって下方へ移動し、前記透水マット16を通過して上方の導水溝12内に排出されるが、各基材収容空間6の植栽用基材5の水分は完全に排出されのではなく、前記透水マット16の保水性および遮水性によって適度の水分が植栽用基材5中に保持され、植栽植物Gの根腐れが防止される。
【0071】
各基材収容空間6には、人工土壌材5bに植栽された植栽植物Gの根の成長を抑制する生育調整材5aが充填されるので、植栽植物Gの根が基材保持枠体20の各機材収容空間6内でむやみに成長する、いわゆる無限成長ないしは伸長成長を阻止することができる。このような成長調整材5aを用いることによって、植栽植物Gの成長を抑制して、過大な重量の増加を阻止し、屋上の床を構成するスラブなどの建物自体への荷重の増加を制限することができる。
【0072】
また本実施の形態によれば、底部基盤材14の幅方向一側部22には各リブ11a,11bと平行に嵌合凸部30が設けられ、底部基盤材14の幅方向他側部31には嵌合凹部32が設けられるので、複数の底部基盤材14を床面3に敷設したとき、相互に隣接する2つの底部基盤材14間において、一方の底部基盤材14の嵌合凹部32に他方の底部基盤材14の嵌合凸部30を嵌合させて各底部基盤材14間の隙間の発生をなくし、各基材収容空間6内に収容した植栽用基材5の床面3への流れ出しを防止し、床面3の汚損を防止することができる。
【0073】
また、各底部基盤材14の嵌合凹部32と嵌合凸部30とが嵌合しているので、一方または他方の底部基盤材14に地震などによって外力が作用しても、底部基盤材14が容易に変位して各底部基盤材14が分離してしまうことが防がれる。
【0074】
さらに本実施の形態によれば、前記底部基盤材14の各リブ11が延びる方向の一側部に見切り部材27が装着されることによって、底部基盤材14の一側部が樋体25の嵌合溝23に嵌まり込み、底部基盤材14の上方の導水溝12内の水を集水溝24に集水して、屋上に設けられる集水桝などの所定の排水設備に導き、排水を処理することができる。また、樋体25には、少なくとも基材保持層を側方から覆う見切り壁部26が設けられるので、基材保持枠体20が側方にずれてしまい、底部基盤材14または樋体25から突出して下方に支持面が存在しなくなった基材収容空間6から植栽用基材5が脱落してしまうことが防がれる。
【0075】
さらに、基材保持枠体20は、隔壁に各基材収容空間6を連通する通水孔28が形成されるので、すべての基材収容空間6に収容される植栽用基材5に前記連通孔28を介して水を導き、各基材収容空間6内の基材に植栽された植物Gまたは種子に給水して、水不足に起因する部分的な生育不良および立ち枯れなどを防止することができる。
【0076】
さらに、底部基盤材14が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって底部基盤材14を製造して、製造コストの削減を図ることができるとともに、日射による底部基盤材14の熱変形を防止することができる。
【0077】
さらに、基材保持枠体20が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって基材保持枠体20を製造して、製造コストの削減を図ることができるとともに、日射による基材保持枠体20の熱変形を防止することができる。
【0078】
図6は、本発明に実施の他の形態の屋上緑化装置1aを示す一部の拡大断面図であり、図7は屋上緑化装置1aに設けられる敷設補助具50を示す斜視図である。本実施の形態の屋上緑化装置1aは、敷設補助具50を含む。なお、前述の実施の形態と対応する部分には、同一の参照符を付し、重複を避けて説明は省略する。
【0079】
敷設補助具50は、前記屋上の床面3と底部基盤材14との間に介在される薄板状の基板51に、可撓性を有する索条であるワイヤ52が巻き掛けられる。前記基板51は、耐侯性の合成樹脂から成り、前記ワイヤ52は耐腐食性の高いステンレス鋼線から成る。
【0080】
このような敷設補助具50を用いることによって、屋上の床面3と底部基盤材14との間に基板51を介在して、その基板51から延びる可撓性のワイヤ52を、隣接する基材保持枠体20の各基材収容空間6を下から上へ挿通させ、底部基盤材14よりも上方、あるいは基材保持枠体20よりも上方に引き出して結束しておく。
【0081】
これによって、隣接する基材保持枠体20を相互に連結するとともに、前記ワイヤ52を把持して上方へ引き上げ、基材保持枠体20に植栽用基材5が収容されたままで、あるいは底部基盤材14だけを全部または部分的に上方へ持上げて、作業者が手作業または吊り具によって取出し易い状態とすることができる。
【0082】
このような敷設補助具50を屋上のメンテナンス、屋上緑化装置のレイアウトの変更、全体または部分的な撤去、底部基盤材14および基材保持枠体20の交換などの作業を容易化し、作業性を向上することができる。
【0083】
図8は、本発明の実施のさらに他の形態の基材保持枠体20aが底部基盤材14上に乗載された状態を示す斜視図である。前述の図1〜図7に示される実施の各形態では、基材保持枠体20は一定の厚みであったが、これに代えて、上方および下方の各リブ11a,11bが延びる方向に隣接して各複数の基材収容空間6を形成し、各リブ11a,11bが延びる方向に垂直な方向一方側から他方側に向かって厚みH10(=高さ)が変化量ΔHずつ増加して多段状に形成される複数の基材保持枠体部分80から成る基材保持枠体20aが用いられてもよい。各基材保持枠体部分80は、たとえば前述の熱可塑性合成樹脂の押出し成形材によって実現され、各基材保持枠体部分80を接着剤によって、あるいは熱融着によって相互に平行に接合することによって、前記基材保持枠体20aが形成される。
【0084】
このような厚みH10が多段的に変化する基材保持枠体20aによって、たとえば野球およびゴルフなどに利用することができるマウンド状に隆起した、いわば立体的な植栽人工地盤を構築することができる。前記厚みH10の変化量ΔHは、構築したいマウンドの高さに応じて適宜選択すればよく、希望する傾斜のマウンドを実現することができる。
【0085】
このように本発明に従う基材保持枠体20aは、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁21によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材5が収容される複数の基材収容空間6が形成されることによって、図1〜図7に示す実施の各形態のように、一様な厚みの基材保持枠体20だけでなく、図8の他の実施の形態の基材保持枠体20aのように、厚みを多段的に異ならせることができるので、起伏のある植栽緑化人工地盤を容易に実現することができ、観賞用だけでなく、他の用途、たとえば成人健常者が座り、横臥し、散歩するなどの静的荷重の負荷だけでなく、園児、乳幼児、小学生、非健常者および高齢者などが遊びおよびリハビリテーションなどのために運動することも可能となる。
【0086】
以上のように図1〜図8の実施の各形態によれば、低コストで、踏圧などの乗載荷重に対して高い強度を有し、保水性および排水性などの屋上での植物に適した生育環境を実現することができるので、施工時のように、作業上の必要からやむを得ず、積層状態に敷設した屋上緑化装置20,20a上を踏み歩くなどの比較的踏圧が小さくかつ静的な荷重が作用する場合だけでなく、多人数が、頻繁に、芝などが植栽された屋上緑化装置20,20a上を踏み歩き、走り、座るなどの行動によって、比較的踏圧が大きくかつ動的な体重を超える荷重が作用しても、底部基盤材14、透水マット16および基材保持枠体20,20aが容易に破損してしまうおそれはない。また、基材保持枠体20,20aは、その厚み方向に垂直な断面形状が多角形とされるので、前述のように動的で高い踏圧が作用しても、各基材収容空間6を規定する隔壁21がほとんど変形することはないので、各基材収容空間6内に収容された植栽用基材5が不所望に圧縮されるおそれはなく、踏圧によって植栽した植物Gの根を傷めてしまうという不具合が生じない。
【0087】
このように前述の屋上緑化装置20,20aは、厚み方向に関して高い圧縮強度を有するとともに、高い曲げ剛性を有するので、たとえば学校、保育所、病院、養護施設、高層集合住宅および研究所などの各種建物の屋上およびベランダなどを緑化するために好適に、しかも広範囲の用途に実施して、成人健常者が座り、横臥し、散歩するなどの静的荷重の負荷だけでなく、園児、乳幼児、小学生、非健常者および高齢者などが遊びおよびリハビリテーションなどのために運動することも可能であり、幅広い用途に利用することが可能となる。
【0088】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、防根排水層および基材保持層の2層によって屋上緑化装置を構成するので、部品点数が少なくて済み、施工時の搬入、敷設および撤去を容易に行うことができる。前記底部基盤材は、板状部板状部に複数の突条が平行に設けられるので、一方向に一様な断面で底部基盤材を実現することができる。これによって底部基盤材は、たとえば押出し成型によって連続的に製造することができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0089】
底部基盤材は、不透水性材料から成るので、厚み方向に降雨および灌水によって供給された水が透過してしまうことが防がれ、各突条間に形成される導水溝内に集水して、導水溝の傾斜方向に排水することができる。このように底部基盤材によって、排水機能が達成されるとともに、床面に対して開口が存在しないので、植栽された植物の根または地下茎が成長して底部基盤材を貫通し、床面に根を張ることを確実に防ぐことができるという防根機能が達成される。
【0090】
基材保持枠体は、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材が収容される複数の基材収容空間を有するので、各基材収容空間に収容された植栽用基材は、横方向への移動が隔壁によって阻止され、下方への移動は前記透水マットによって阻止され、豪雨などによって各基材収容空間から流出してしまうことが防がれる。
【0091】
しかも、前記植栽用基材は下方に配置される透水マットによって直接支持されているので、植栽用基材中の余剰水は、短時間で重力などの作用によって下方へ移動し、前記透水マットを通過して導水溝内に排出されるが、各基材収容空間の植栽用基材の水分は完全に排出されのではなく、前記透水マットの保水性および遮水性によって適度の水分が植栽用基材中に保持され、植栽植物の根腐れが防止される。
【0092】
さらに、前記基材保持枠体は、隔壁によって多角形の複数の基材保持空間を形成するので、厚み方向に一様な断面形状とすることができ、これによって基材保持枠体を、たとえば押出し成型によって製造することが可能であり、製造コストを低減することができる。
【0093】
このように低コストで、乗載荷重に対して強度が高く、植物に適した生育環境を実現することができる。
また、敷設補助具を用いることによって、屋上の床面と底部基盤材との間に基板を介在させて索条を引き上げ、基材保持枠体に植栽用基材が収容されたままで、あるいは底部基盤材だけを全部または部分的に上方へ持上げて、作業者が手作業または吊り具によって取出し易い状態とし、屋上緑化装置のレイアウトの変更、全体または部分的な撤去、底部基盤材および基材保持枠体の交換などの作業を容易化し、作業性を向上することができる。
【0094】
請求項2記載の本発明によれば、底部基盤材の幅方向一側部には各突条と平行に嵌合凸部が設けられ、底部基盤材の幅方向他端部には嵌合凹部が設けられるので、複数の底部基盤材を床面に敷設したとき、相互に隣接する2つの底部基盤材間において、一方の底部基盤材の嵌合凹部に他方の底部基盤材の嵌合凸部を嵌合させて各底部基盤材間の隙間の発生をなくし、各基材収容空間内に収容した植栽用基材の床面への流れ出しが防止される。また、各底部基盤材の嵌合凹所と嵌合凸部とが嵌合しているので、一方または他方の底部基盤材に地震などによって外力が作用しても、底部基盤材が容易に変位して各底部基盤材が分離してしまうことが防がれる。
【0095】
請求項3記載の本発明によれば、底部基盤材の各突条が延びる方向の一側部に見切り部材が装着されることによって、底部基盤材の一側部が樋体の嵌合溝に嵌まり込み、底部基盤材の導水溝内の水を集水溝に集水して、屋上に設けられる集水桝などの所定の排水設備に導き、排水を処理することができる。
【0096】
請求項4記載の本発明によれば、基材保持枠体は、隔壁に各基材収容空間を連通する通水孔が形成されるので、すべての基材収容空間に収容される植栽用基材に前記連通孔を介して水を導き、各基材収容空間内の基材に植栽された植物または種子に給水して、水不足に起因する部分的な生育不良および立ち枯れなどを防止することができる。
【0097】
請求項5記載の本発明によれば、底部基盤材が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって底部基盤材を製造して、製造コストの削減を図ることができる。
【0098】
請求項6記載の本発明によれば、基材保持枠体が熱可塑性合成樹脂から成ることによって、押出し成型によって基材保持枠体を製造して、製造コストの削減を図ることができる。
【0100】
請求項7記載の本発明によれば、成長調整材を用いることによって、植物の成長を抑制して、過大な重量の増加を阻止し、屋上を構成するスラブなどの建物自体への荷重の増加を制限することができる。
【0101】
請求項8記載の本発明によれば、空隙を底部基盤材と建物の床面との間に設けることによって、日射による加熱によって温度上昇した防根排水層および基材保持層からの熱が、床面との接触領域を経て、その床面を形成しているスラブなどの構造物に伝達することを抑制し、建物の屋上からの入熱量を少なくして、建物の空調負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の屋上緑化装置1を示す一部の拡大断面図である。
【図2】底部基盤材14に対する基材保持枠体20の配置状態を示す図であり、図2(1)は屋上緑化装置1の一部の平面図であり、図2(2)は図2(1)の下方から見た屋上緑化装置1の一部の正面図であり、図2(3)は図2(1)の右側から見た屋上緑化装置1の一部の側面図である。
【図3】見切り部材27と底部基盤材14とを分離した状態を示す斜視図である。
【図4】見切り部材27に底部基盤材14を装着して基材保持枠体20を乗載した状態を示す斜視図である。
【図5】隣接する基材保持枠体20を連結した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に実施の他の形態の屋上緑化装置1aを示す一部の拡大断面図である。
【図7】屋上緑化装置1aに設けられる敷設補助具50を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施のさらに他の形態の基材保持枠体20aが底部基盤材14に乗載された状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 屋上緑化装置
2 コンクリートスラブ
3 床面
4 防根排水層
5 植栽用基材
6 基材収容空間
7 基材保持層
8 導水パネル
9,10 板状部
11a,11b リブ
12 導水溝
13 通気孔
14 底部基盤材
15 横壁部
16 透水マット
20 基材保持枠体
21 隔壁
22 底部基盤材14の一側部
23 嵌合溝
24 集水溝
25 樋体
26 見切り壁部
27 見切り部材
28 通水孔
50 敷設補助具
51 基板
52 ワイヤ
Claims (8)
- 建物の屋上における床面上に敷設され、偏平な板状部に相互に間隔をあけて平行に延びる複数の突条が設けられ、板状部上の各突条間に導水溝が形成される不透水性材料から成る底部基盤材と、
透水性材料から成り、底部基盤材の各突条に積重される透水マットと、
前記透水マット上に敷設され、厚み方向に垂直な断面が多角形を成す隔壁によって、前記厚み方向に貫通しかつ植栽用基材が収容される複数の基材収容空間が形成される基材保持枠体と、
前記屋上の床面と底部基盤材との間に介在される薄板状の基板に、可撓性を有する索条が設けられる敷設補助具とを含むことを特徴とする屋上緑化装置。 - 前記底部基盤材には、各突条が延びる方向に垂直な幅方向一側部に、各突条と平行に延びる嵌合凸部が設けられ、前記幅方向他端部に各突条と平行に延びる嵌合凹部が設けられることを特徴とする請求項1記載の屋上緑化装置。
- 前記底部基盤材の各突条が延びる方向の一側部が嵌まり込む嵌合溝と、この嵌合溝に隣接して連通する集水溝とを有する見切り部材を含むことを特徴とする請求項1または2記載の屋上緑化装置。
- 前記基材保持枠体の隔壁には、各基材収容空間を連通する通水孔が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の屋上緑化装置。
- 前記底部基盤材は、熱可塑性合成樹脂から成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の屋上緑化装置。
- 前記基材保持枠体は、熱可塑性合成樹脂から成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の屋上緑化装置。
- 前記植栽用基材は、植栽された植物の根の成長を抑制する生育調整材を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の屋上緑化装置。
- 前記底部基盤材は、前記板状部に各突条とは反対側に相互に間隔をあけて突出する隆起部を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の屋上緑化装置。
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