JP3580527B2 - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期耐熱性及び長期寸法安定性に優れ、主として自動車部品をはじめとする各種金属部品の代替に好適なフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フェノール樹脂成形材料は、耐熱性、寸法安定性、機械的強度及びコストのバランスに優れた材料として、各分野において幅広く用いられている。しかしながら、市場の要求特性はますます厳しくなる一方であり、特に近年の自動車産業における高温雰囲気で使用されるトランスミッション部品やエンジン付近の部品などのプラスチックへの代替化、あるいはすでにプラスチックに代替されているコンミテーターなどの次世代における高耐久化の要求に対しては、従来のフェノール樹脂成形材料では、その耐熱性が限界にきているのが実状である。
さらに、長時間高温下に曝されることによって成形材料が収縮すると、特にコンミテーターなどの回転体においては、真円度のバラツキによる異音が生じるなど、好ましくない事態を招来することから、寸法安定性も極めて重要な要求特性である。
【0003】
そこで、フェノール樹脂成形材料の改良材として、例えばフェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂などを使用した材料が開発されている。これらの材料中の樹脂は、フェノール性水酸基の少ない構造のものであって、耐酸化劣化性に優れていることから、高度の長期耐熱性を有している。しかしながら、フェノール樹脂の硬化反応はフェノール性水酸基によって促進されるため、上記フェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂は、従来のものに比べて3〜4倍程度の硬化時間を要し、したがって、これらの樹脂を使用した材料は、成形時間が長くなるのを免れない上、熱間での強度が従来のフェノール樹脂を用いた材料に比べて低いなどの問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のフェノール樹脂成形材料が有する欠点を克服し、従来の材料と同等の成形性を有するとともに、長期耐熱性と長期寸法安定性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記の好ましい性質を有するフェノール樹脂成形材料を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、ノボラック型フェノール樹脂に、メラミン及び無機充填材を、それぞれ特定の割合で配合することにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し、(B)メラミン20〜65重量部及び(C)無機充填材160〜250重量部を配合してなるフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のフェノール樹脂成形材料における(A)成分のノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させることにより得られたものであって、その性状などについては特に制限はなく、従来成形材料として慣用されているノボラック型フェノール樹脂の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
【0008】
本発明の成形材料においては、(B)成分としてメラミンを用いることが必要である。このメラミンは、前記(A)成分のノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し、20〜65重量部の割合で配合される。この配合量が20重量部未満では、長期耐熱性と長期寸法安定性の向上効果が十分に発揮されないし、65重量部を超えると機械的強度が低下し、かつ得られる成形品は高温中でクラックが生じやすくなる上、成形材料調製時の作業性が低下する。長期耐熱性、長期寸法安定性、機械的強度などの物性バランス及び成形材料調製時の作業性などを考慮すると、このメラミンの好ましい配合量は20〜50重量部の範囲である。
【0009】
本発明の成形材料における(C)成分の無機充填材としては特に制限はなく、従来フェノール樹脂成形材料において、無機充填材として慣用されている球状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラーなどの中から適宜選択して用いることができる。上記球状フィラーの例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、クレー、パーライト、シラスバルーン、けいそう土、焼成アルミナ、ケイ酸カルシウムなどが、板状フィラーの例としては、タルクやマイカなどが挙げられる。一方、繊維状フィラーとしては、例えばガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、あるいはポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ポリイミド繊維などの有機繊維などが挙げられる。
これらの無機充填材は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、特にガラス繊維を主体としたものが、強度、耐熱性、コストなどの面で好ましい。このガラス繊維の形態については特に制限はなく、例えばロービング、チョップドストランド、ウイスカーなどが挙げられる。また、このガラス繊維は、ノボラック型フェノール樹脂との接着性を良くする目的で、シランカップリング剤などで表面処理することが望ましい。
【0010】
このシランカップリング剤としては、従来フェノール樹脂成形材料に用いられるガラス繊維に適用されているもの、例えばγ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β‐(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中で、得られる成形材料の機械的強度、耐熱性、成形材料調製時の作業性などの点から、特にアミノシラン類やエポキシシラン類が好適である。
【0011】
本発明においては、この(C)成分の無機充填材は、前記(A)成分のノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し、160〜250重量部の割合で配合することが必要である。この量が160重量部未満では、十分な機械的強度及び耐熱性が得られないし、250重量部を超えると成形材料調製時の作業性及び該材料の成形性が低下する。機械的強度、耐熱性、成形性及び材料調製時の作業性などを考慮すると、この無機充填材の好ましい配合量は180〜230重量部の範囲である。
【0012】
本発明の成形材料には、所望により従来フェノール樹脂成形材料において慣用されている各種添加剤、例えばヘキサメチレンテトラミンなどのノボラック型フェノール樹脂用硬化剤、ステアリン酸カルシウム、酸化マグネシウムのような離型剤、硬化促進剤などを添加することができる。
【0013】
本発明のフェノール樹脂成形材料の調製方法としては、特に制限はないが、耐熱性をより一層効果的に向上させるためには、各成分を十分に混練するのがよく、特にミキシング熱ロールを用いて混練し、調製するのが有利である。
このようにして調製された本発明のフェノール樹脂成形材料は、公知の成形方法、例えば射出成形、トランスファー成形、圧縮成形などの方法によって、所望形状の成形品を製造することができる。
【0014】
【作用】
本発明のフェノール樹脂成形材料を用いて得られた成形品が、長期耐熱性に優れる理由については必ずしも明確ではないが、以下の理由によるものと推察される。
すなわち、メラミンの窒素原子はフェノール性水酸基と水素結合するため、該水酸基が保護された構造となり、その酸化劣化が抑制される。この点は、水酸基の密度が低いフェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂が酸化劣化しにくいことと同様である。しかしながら、フェノール樹脂は、フェノール核が水酸基によって活性化されることではじめて硬化反応が促進されるため、水酸基の密度が低いと反応性が阻害される。このことが、フェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂の硬化速度が遅い理由である。これに対し、本発明のフェノール樹脂成形材料は、メラミンとの水素結合で水酸基の活性力が損なわれることはないため、フェノール樹脂の硬化反応が抑制されることはなく、良好な成形性を有することとなる。
また、本発明のフェノール樹脂成形材料は、従来の一般的フェノール樹脂成形材料と同等に成形収縮するが、アフターキュア処理し、さらに長期高温下に曝した後の寸法変化は、従来よりも非常に小さくなる。
【0015】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、得られた成形材料の性能は、以下に示す方法に従って評価した。
【0016】
(1)初期の曲げ強度、曲げ弾性率
JIS K6911に準拠し、耐熱試験前の曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(2)長期耐熱性
試験片を270℃で500時間保持したのち上記(1)と同様にして、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定し、それぞれの保持率を算出するとともに、質量変化率を求めた。
(3)長期寸法安定性
試験片を200℃で1000時間保持したのち、JIS K6911に準拠し、寸法変化率を求めた。
【0017】
実施例1
ノボラック樹脂[旭有機材工業(株)製、数平均分子量800]100重量部、メラミン[三井化学(株)製]20重量部、アミノシラン系カップリング剤で表面処理したガラス繊維[日本電気ガラス(株)製]90重量部、クレー90重量部、硬化剤のヘキサメチレンテトラミン16重量部、硬化促進剤の酸化マグネシウム5重量部及び離型剤のステアリン酸カルシウム5重量部を配合し、ミキシング熱ロールにて混練したのち、パワーミルで粉砕し、成形材料を調製した。
得られた成形材料を、
シリンダー温度:前部90℃、後部50℃
金型温度 :175℃
硬化時間 :60秒
の条件で射出成形し、JIS曲げ試験片(80×10×4mm)及びJIS成形収縮試験片(φ90×11mm)を作製した。得られた試験片について、以下の条件でアフターキュアを行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定するとともに、長期耐熱性及び長期寸法安定性評価した。その結果を表1に示す。
【0018】
[アフターキュア条件]
・JIS曲げ試験片
180℃で3時間保持したのち、さらに250℃で3時間保持した。
・JIS成形収縮試験片
180℃で8時間保持した。
【0019】
実施例2及び比較例
実施例1において、配合割合を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして実施し、成形材料を調製したのち、各試験片を作製し、性能を評価した。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
表1から分かるように、本発明のフェノール樹脂成形材料を使用した成形品は、長期耐熱性評価試験において、曲げ強度、曲げ弾性率の保持率の低下及び重量変化率が比較例に比べて格段に小さく、長期耐熱性に優れている。これは、成形品の酸化劣化が抑制されていることを示すものである。また、長期寸法安定性評価試験において、寸法変化率が比較例の1/3〜1/5と小さく、長期寸法安定性にも優れている。さらに、硬化速度も従来のフェノール樹脂成形材料と同等で、良好な成形性を示す。
【0022】
なお、本発明のフェノール樹脂成形材料では、初期曲げ強度が比較例に示す従来のフェノール樹脂成形材料と比べて低くなる傾向を示すが、コンミテーターなどでは、長期使用における回転強度は、材料の初期強度よりもむしろ高温雰囲気中における酸化劣化の度合い、すなわち強度保持率の高さが重要視されるため、コンミテーターの特性に悪影響を与えることはない。
【0023】
【発明の効果】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、高温雰囲気での熱的特性(特に長期耐熱性と長期寸法安定性)に優れており、これまで不可能であった高温雰囲気中での使用が可能となるため、例えばトランスミッション、エンジン付近などの自動車部品の金属の代替に適している。また、前記耐熱改良材であるフェノールアラルキル樹脂や多環芳香族型フェノール樹脂を使用した成形材料と比較して、明らかに硬化速度が速いことから成形性に優れており、さらにコストも従来の一般的フェノール樹脂成形材料と同等であることから、工業的に非常に好適な材料である。
Claims (2)
- (A)ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し、(B)メラミン20〜65重量部及び(C)無機充填材160〜250重量部を配合してなるフェノール樹脂成形材料。
- (C)成分の無機充填材が、少なくともガラス繊維を含むものである請求項1記載のフェノール樹脂成形材料。
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