JP3579117B2 - 冷・暖房装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、室内の壁や天井やフローリングの床等の冷・暖房を行う冷・暖房装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フローリング等の床暖房を行う暖房装置として、温水式の温水暖房マットが知られている。図7および図9には、この温水暖房マット1の一例が示されており、温水暖房マット1はプラスチック等の断熱発泡基材を板状に形成して成る装置基材としてのマット基材2に、骨材としての複数の小根太3を間隔を介して配設し、四角形状をしたマット基材2の一辺の中央部に組み込み装備された温水接続ヘッダー(接続ヘッダー)4を温水の出入口として、1本以上、図7の例では2本の温水循環パイプ(循環パイプ)5a,5bが小根太3を迂回し、Uターン部55を介しながら引き回して敷設されている。
【0003】
図8に示すように、温水接続ヘッダー4は温水供給側のヘッダー6と温水戻り側のヘッダー7とに分離されており、ヘッダー6側には温水循環パイプ5a,5bの入口側が接続され、ヘッダー7側には温水循環パイプ5a,5bの出口側が接続されている。一般に、2本の温水循環パイプ5a,5bは、図7に示すように、ヘッダー6側から小根太3を迂回し、Uターン部55を介しながらマット基材2の半分側に引き回されて折り返された後、同様にマット基材2の残りの半分側を引き回してヘッダー7に戻る形態で並列状に敷設されている。なお、マット基材2の放熱表面側には必要に応じ、図9に示すように放熱材としてのアルミニウム箔8が張設される。
【0004】
この温水暖房マット1を設置施工する場合には、図9に示すように、例えば、フローリング室の床パネル10の上側に温水暖房マット1を敷設する。そして、マット1の上側にフローリング床材11を張り、釘12によりフローリング床材11を根太13に固定する。そして、図7に示すように、ヘッダー6側には往管14が接続され、ヘッダー7には戻り管15が接続されて、往管14と戻り管15とからなる熱源器9の外部温水循環路(外部循環路)16と温水循環パイプ5a,5bとが温水接続ヘッダー4を介して接続されるものであった。
【0005】
フローリングの床暖房は、前記温水暖房マットの温水循環パイプ5a,5bに熱源器9から外部温水循環路16を通して温度調節媒体である温水を循環させることにより、温水循環パイプ5a,5bからの熱はフローリングの床下から放熱されてフローリング床材11に伝わることにより行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の温水暖房マット1は温水循環パイプ5a,5bにより、熱源器9から送られてくる温水を、まず、マット1の半分側に通して放熱した後に、マット1の残りの半分側に通して暖房する方式であるため、温水が最初に通るマット1の半分側の領域は比較的効率良く床暖房を行うことができるのであるが、マット1の残りの半分側はほぼ放熱しきった戻りの湯が通るために、放熱熱量が小さくなって、暖房が効率的に行われず、このため、温水暖房マット1の一方側半分領域と他方側半分領域とで温度むら(温度差)が生じるという問題がある。
【0007】
特に、面積の大きい大型の温水暖房マット1を敷設した場合にはその一方側半分領域と他方側半分領域との温度むらが大きくなり、フローリングの床面を広い範囲にわたって均一に暖房できないという問題があった。本発明者はマット1の左右両側で温度差を測定したところ、例えば、熱源器9から80℃〜90℃の温水を供給して、床面の暖房温度をほぼ25℃になるように動作させたところ、最初に温水が通る半分領域と、温水の戻り側の残り半分側の領域とでは7℃もの温度差が生じるという結果が確認され、このような事態においては、温水の往側の領域では熱すぎ、戻り側の領域では寒すぎるという結果となり、温水暖房マット1の全領域にわたって快適な均一温度でもって暖房することは極めて困難となり、快適な住環境の提供を図る上で支障があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、面積の広い大型の冷・暖房装置を敷いた場合においても、その装置の全面領域にわたり温度むらがなく均一な快適温度でもって床等の暖房や冷房を行うことができる冷・暖房装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、次のように構成されている。すなわち、第1の発明は、板状体の装置基材を有し、この装置基材には複数の小根太が間隔を介して配設されており、この装置基材には該装置基材側に温度調節媒体を供給する媒体供給接続口と該媒体供給接続口から供給した温度調節媒体の媒体戻り接続口とが箱体にそれぞれ複数ずつ配設された接続ヘッダーが組み込まれており、前記装置基材には、少くとも接続ヘッダー側から該装置基材の半分側に小根太を迂回しUターン部を介して引き回した後装置基材の残り半分側を同じく小根太を迂回しUターン部を介して引き回して接続ヘッダー側に戻る循環パイプが敷設されており、少くともこの隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが装置基材の半分側を通る往きの流れと装置基材の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるように各循環パイプの隣り合う端末が前記接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口へ接続されており、少くとも温度調節媒体が戻り向きに流れている循環パイプの最終のUターン部の戻り口側循環パイプが隣り合う温度調節不良領域の放熱表面側が局部的に放熱体で覆われていることを特徴として構成されている。
【0010】
第2の発明は、板状体の装置基材を有し、この装置基材には複数の小根太が間隔を介して配設されており、この装置基材には該装置基材側に温度調節媒体を供給する媒体供給接続口と該媒体供給接続口から供給した温度調節媒体の媒体戻り接続口とが箱体にそれぞれ複数ずつ配設された接続ヘッダーが組み込まれており、前記装置基材には、少くとも接続ヘッダー側から該装置基材の半分側に小根太を迂回しUターン部を介して引き回した後装置基材の残り半分側を同じく小根太を迂回しUターン部を介して引き回して接続ヘッダー側に戻る循環パイプが敷設されており、少くともこの複数本の隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが装置基材の半分側を通る往きの流れと装置基材の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるように各循環パイプの隣り合う端末が前記接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口へ接続されており、少くとも温度調節媒体が戻り向きに流れている戻り口側の循環パイプが最後に前記小根太を挟んでUターンする部位の当該小根太およびその両側の隣り合う戻り口側循環パイプを含む温度調節不良領域の放熱表面側が局部的に放熱体で覆われていることを特徴として構成されている。
【0011】
また、前記放熱体は、Uターン部の温度調節不良領域と隣り合う、温度調節媒体が往き向きに流れている往き側循環パイプの温度調節良好領域の一部にかかるように拡大伸張して前記Uターン温度調節不良領域の放熱表面側に局部的に被覆されていることも本発明の特徴的な構成とされている。
【0012】
【作用】
上記構成の本発明において、装置基材に敷設される互いに隣り合う循環パイプは、少くとも隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが、装置基材の半分側を通る往きの流れと装置基材の残りの半分側を通る戻りの流れと逆向きとなるように循環パイプの両端側が接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口に接続されているために、装置基材の半分側と残りの半分側とで温度むらが生じることが抑制され、冷・暖房装置の全面領域にわたって放熱される冷・暖の熱量はほぼ均一化される。そして、温度調節媒体が戻り向きに流れている戻り口側循環パイプの少くとも最後のUターン部に形成される温度調節不良領域の放熱表面側を局部的に放熱体で覆うことにより、前記Uターン部の温度調節不良領域において放熱される冷・暖の熱量の放熱効率が向上し、このUターン部の温度調節不良領域の放熱表面側温度が局部的に高くなったり、低くなったりして温度調節不良状態となることが抑制され、冷・暖房装置の全面領域にわたって温度むらのない均一温度での快適な床等の冷・暖房が達成される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、本実施例の説明において、従来例と同一の構成部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1には本発明に係る冷・暖房装置の一実施例が温水暖房マットを例にして示されている。本実施例において特徴的なことは、接続ヘッダーを特有な構成をもって形成し、かつその接続ヘッダーと循環パイプの接続方式を特有な構成することにより、温水暖房マット20の隣り合う温水循環パイプ(循環パイプ)5a,5bを通る温水の流れの向きが、装置基材としてのマット基材2の半分側を通る往きの流れとマット基材2の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるようにしたことと、少くとも温水が戻り向きに流れている戻り口側温水循環パイプ(戻り口側循環パイプ)5a,5bのUターン部55a,55bに形成される低温領域(温度調節不良領域)の放熱表面側(上側)を放熱体としてのアルミニウム箔18により覆ったことである。
【0014】
なお、同図において、Uターン部55aは、温水循環パイプ5aが小根太3を挟んでUターンして形成されたUターン部であり、Uターン部55bは、温水循環パイプ5bが小根太3を挟まずにUターンしている折り返しのUターン部となっている。本実施例の上記以外の構成は従来例と同様であり、以下、本実施例の温水暖房マット20に組み込まれる温水接続ヘッダー(接続ヘッダー)21の構成例を説明する。
【0015】
図2は温水暖房マット20に組み込まれる温水接続ヘッダー21の一例を示すものである。この温水接続ヘッダー21は、扁平四角形状の上面開口の箱容器22と、この箱容器22の上面開口を気密閉鎖する蓋板23と、箱容器22内に収容される変形Y字形状パイプ24とを有している。
【0016】
変形Y字形状パイプ24は胴体部25の頭部側に2本の腕26a,26bが二股状に開いて分岐形成されており、胴体部25の基端側(下端側)には、一方側の腕26aとほぼ平行になる方向に折り曲げられた折曲部27が形成されている。
【0017】
前記箱容器22の上端面には、前記変形Y字形状パイプ24の折曲部27が嵌まる凹部28と、腕26aが嵌まる凹部29と、腕26bが嵌まる凹部30とが形成され、これらの凹部28,29,30に変形Y字形状パイプ24の折曲部27、腕26a,26bを嵌め込むことにより、変形Y字形状パイプ24は箱容器22内に収容される。この変形Y字形状パイプ24の収容状態で、箱容器22の上面開口に蓋板23が被せられて一体固定されることで、箱容器22と蓋板23とが一体化して扁平な四角形状の箱体31が構成され、この箱体31内に前記変形Y字形状パイプ24が気密に収容固定された状態となっている。
【0018】
箱体31内に変形Y字形状パイプ24が収容された状態で、変形Y字形状パイプ24の3個のパイプ開口端32〜34は箱体31の3側面に突出して露出し、箱体31の対向側面35,36から突出するパイプ開口端32,33は変形Y字形状パイプ24によって形成される往通路37の温水供給接続口(媒体供給接続口)38,39となっており、箱体31の他の側面40から突出するパイプ開口端34は外部温水循環路(外部循環路)16の往管14が接続する往管接続口41となっている。
【0019】
箱体31の内部空間は戻り通路42となっており、この戻り通路42に連通させて箱体31の側面35,36,40にそれぞれ箱体接続口43,44,45が外に向けて突出形成されている。箱体接続口43,44は温水戻り接続口(媒体戻り接続口)46,47となっており、箱体接続口45は外部温水循環路16の戻り管15が接続する戻り管接続口48となっている。この温水接続ヘッダー21は図1に示す如く、マット基材2の下辺の中央部に装備され、温水戻り接続口46には温水循環パイプ5aの一端側が接続され、温水供給接続口38には温水循環パイプ5bの一端側が接続される。また、対向面側の温水供給接続口39には温水循環パイプ5aの他端側が接続され、温水戻り接続口47には温水循環パイプ5bの他端側がそれぞれ接続される。
【0020】
図3は温水暖房マット20に装備される温水接続ヘッダー21の別の例を示すものである。この温水接続ヘッダー21は箱体31内に2個の変形Y字形状パイプ24a,24bを互いに上下を逆にして斜めに交差させた状態で収容し、変形Y字形状パイプ24aを往通路として構成し、他方の変形Y字形状パイプ24bを戻り通路として構成したものであり、それ以外の構成は前記図2に示した温水接続ヘッダーと同様である。
【0021】
変形Y字形状パイプ24aの3個のパイプ開口端は箱体31の側面35,36,40からそれぞれ突出されており、側面35のパイプ開口端は温水供給接続口38として機能し、側面36から突出するパイプ開口端は温水供給接続口39として機能し、側面40から突出するパイプ開口端は往管接続口41として機能する。また、変形Y字形状パイプ24bの箱体側面35から突出するパイプ開口端は温水戻り接続口46として機能し、側面36から突出するパイプ開口端は温水戻り接続口47として機能し、側面40から突出するパイプ開口端は戻り管接続口48として機能している。
【0022】
そして、この温水接続ヘッダー21は温水暖房マット20の下辺の中央部に装備され、前記図2に示す温水接続ヘッダーと同様に、温水戻り接続口46には温水循環パイプ5aの一端側が、温水供給接続口38には温水循環パイプ5bの一端側が、温水供給接続口39には温水循環パイプ5aの他端側が、温水戻り接続口47には温水循環パイプ5bの他端側が、往管接続口41には往管14が、戻り管接続口48には戻り管15がそれぞれ接続される。
【0023】
図4は温水暖房マット20に組み込まれる温水接続ヘッダー21のさらに別の例を示すものである。この温水接続ヘッダー21は、2個のT字形状パイプ50,51を上下同方向にし、横と縦に配列ピッチ間隔Δx,Δyを保った状態で箱体31内に収容したもので、一方のT字形状パイプ50は往通路を構成し、他方のT字形状パイプ51は戻り通路を構成している。T字形状パイプ50の3個のパイプ開口端は箱体31の側面52,36,40に露出して突出されており、箱体側面52側に突出するパイプ開口端は温水供給接続口38として機能し、側面36側に突出するパイプ開口端は温水供給接続口39として機能し、側面40に突出するパイプ開口端は往管接続口41として機能している。
【0024】
また、他方側のT字形状パイプ51の3個のパイプ開口端も同じく箱体31の側面52,36,40にそれぞれ露出して突出されており、側面52に突出するパイプ開口端は温水戻り接続口46として機能し、側面36に突出するパイプ開口端は温水戻り接続口47として機能し、側面40から突出するパイプ開口端は戻り管接続口48として機能している。そして、前記図2および図3に示す温水接続ヘッダーと同様に、温水戻り接続口46には温水循環パイプ5aの一端側が、温水供給接続口38には温水循環パイプ5bの一端側が、温水供給接続口39には温水循環パイプ5aの他端側が、温水戻り接続口47には温水循環パイプ5bの他端側が、往管接続口41には往管14が、戻り管接続口48には戻り管15がそれぞれ接続される構成となっている。
【0025】
本実施例の温水暖房マット20においては、温水暖房マット20に組み込まれる温水接続ヘッダー21を、上記図2〜4に示す構成とし、2本の並列状に敷設される温水循環パイプ5a,5bの一端側は、温水戻り接続口46と温水供給接続口38へそれぞれ温水の流れの向きが、マット基材2の半分側を通る往きの流れとマット基材2の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるように交互に接続し、同様に、温水循環パイプ5a,5bの他端側も温水供給接続口39と温水戻り接続口47へそれぞれ温水の流れの向きが前記往きの流れと前記戻りの流れとの逆向きとなるように交互に接続することにより、図1に示す温水暖房マット20の左半分側では、温水循環パイプ5a側は往き側の温水の流れ方向となり、温水循環パイプ5b側は戻り方向の温水の流れとなり、温水暖房マット20の右半分側では温水循環パイプ5a側は戻り方向の温水の流れとなり、温水循環パイプ5bは湯水の往き側の流れとなる。
【0026】
このように、温水循環マット20の一方側の半分側(図1では左側)と残りの半分側(図1では右半分側)とで、隣接する温水循環パイプ5a,5bを通る温水の流れの向きは必ずマット基材20の半分側を通る往きの流れとマット基材20の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなり、従来例のように、温水暖房マットの半分側の温水循環パイプは共に往きの温水の流れとなり、温水暖房マットの残りの半分側の温水循環パイプ5a,5bは共に戻りの向きの温水が流れるというような温水の同方向の流れとなることはなく、必ず、隣り合う温水循環パイプ5a,5bには逆向きの温水の流れが生じる結果、温水暖房マット20の一方の半分側と残りの半分側での温水循環パイプ5a,5bからの総合的(トータル的)な放熱量がほぼ等しくなる。
【0027】
また、温水が戻り向きに流れている戻り口側温水循環パイプ5a,5bのUターン部55a,55bは、温水循環パイプ5a,5bを流れる温水の向きが戻りの流れの向きであることから、温度調節媒体としての温水による温度調節が不良となって局部的に低温となり、このUターン部55a,55bに低温領域が形成される。特に、小根太3は、一般に、プラスチックや木材等から形成されており、放熱効率が低いために、小根太3を挟んだUターン部55aの上側(放熱表面側)は局部的に温度むらが生じ易いが、本実施例では、Uターン部55a,55bの低温領域の放熱表面側がアルミニウム箔18で覆われているために、この低温領域において放熱される熱量の放熱効率が向上し、その結果、低温領域の上側温度が局部的に低くなることが抑制される。
【0028】
以上のことから、本実施例においては、温水暖房マット20の左右領域で暖房による温度むらが発生するということがなくなり、また、局部的な温度むらの発生もなくなり、面積の広い大型の温水暖房マット20を敷設した場合においても、同マット20の全領域にわたって温度むらのない均一な床暖房が可能となり、快適な住暖房環境を作り出すということができることとなる。
【0029】
図5には、本発明の冷・暖房装置の第2の実施例として、図1とは異なる構成の温水暖房マットの構成例が示されている。本実施例が上記第1の実施例と異なる特徴的なことは、アルミニウム箔18を、Uターン部55a,55bの低温領域(温度調節不良領域)と隣り合う高温領域(温度調節良好領域)にかかるように拡大伸張して、前記Uターン低温領域の放熱表面側(上側)に被覆したことである。なお、前記高温領域は、温水が往き向きに流れている往き側温水循環パイプ(往き側循環パイプ)5a,5bが敷設されて形成されている。本実施例の上記以外の構成は上記第1の実施例と同様に構成されている。
【0030】
本実施例は以上のように構成されており、本実施例でも上記第1の実施例と同様の効果を奏し、さらに、本実施例では、アルミニウム箔18による被覆を、Uターン部55a,55bの低温領域と隣り合う高温領域まで拡大伸張することにより、高温領域の熱をアルミニウム箔18により蓄熱して低温領域側で放熱することにより、低温領域の上側温度が低くなることを効果的に抑制し、温水循環マット20の全領域に渡って温度むらのない均一な床暖房を行うことが可能となる。
【0031】
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、温水接続ヘッダー21を形成するときに、図2に示す温水接続ヘッダー21では、変形Y字形状パイプ24の通路を往通路とし、箱体31の内部空間を戻り通路としたが、これを逆にし、変形Y字形状パイプ24の通路を戻り通路とし、箱体31の内部空間を往通路としてもよい。
【0032】
また、上記実施例では温水暖房マット20に2本の温水循環パイプ5a,5bを敷設したが、3本以上の複数個の温水循環パイプを敷設してもよい。この場合には、その温水循環パイプの数に対応させて、変形Y字形状パイプ24,24a,24bやT字形状パイプ50,51の分岐開口端(パイプ開口端)の数を増加し、図2に示す温水接続ヘッダーの場合には箱体側面35,36側に設ける箱体接続口の数も同様に増やすこととなる。このように、温水循環パイプの本数が増加した場合も、前記実施例と同様に、温水循環パイプ群の両端側は隣り合うパイプの温水の流れが逆向きとなるように温水接続ヘッダー21の温水供給接続口と温水戻り接続口へ交互に接続することとなる。
【0033】
さらに、上記実施例では、少くとも温水循環パイプ5a,5bのUターン部55a,55bの低温領域放熱表面側を放熱体としてのアルミニウム箔18により被覆したが、放熱体は必ずしもアルミニウム箔18にするとは限らず、例えばアルミニウム以外の銅等の材料でもよく、また、箔よりは多少厚みを有する板材によって構成してもよい。
【0035】
また、上記実施例では、温水接続ヘッダー21は、箱体31内に変形Y字形状パイプやT字形状パイプを収容して往通路あるいは戻り通路を形成したが、変形Y字形状やT字形状と異なる形状のパイプを用いて往通路や戻り通路を箱体31内に形成することも可能である。また、変形Y字形状パイプを用いる場合には、例えば、図3の(a)や図4の破線で示すように、異なる形状の変形Y字形状パイプとすることもできる。
【0036】
さらに、上記実施例では、温水接続ヘッダー21の箱体31を扁平四角体としたが、例えば、図6に示すような、四角形以外の扁平多角形の箱体としてもよく、あるいは、扁平の円や楕円形状の箱体としてもよい。また、箱体は必ずしも扁平でなくてもよい。
【0037】
さらに、温水暖房マット20に組み込まれる温水接続ヘッダー21の箱体31はステンレス等の金属や他の金属材料を用いて形成されるが、金属以外の材料、例えばプラスチック材料を用いて箱体31を形成することも可能である。また、箱体31内に収容する変形Y字形状やT字形状のパイプ材料も、通常は、銅等の熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成されるが、これもプラスチック等の他の材料を用いて形成することも可能であり、さらには、温水循環パイプ5a,5bも銅等の熱伝導性に優れた金属材料を用いて形成する以外に、プラスチック等の金属以外の材料を用いて形成することも可能である。
【0038】
さらに、マット基材2は四角形としたがそれ以外の形状であってもよく、また、実施例では温水接続ヘッダー21をマット基材2の一辺の中央に配設したが、その配設位置は必ずしも一辺の中央に設けなくてもよく、仕様に応じた他の適宜の位置に設けることができるものである。
【0039】
さらに、上記実施例では温水暖房を例に説明したが、熱源器から加熱しない水又は冷却した水を循環供給することにより、循環パイプ5a,5bから冷熱が放射されて冷房を行うことができる。この場合も暖房の場合と同様にマット基材2の一方側半分領域と他方側半分領域の放熱量のバランスがとれ、マット表面全域にわたり温度むらのない均一な床冷房を達成することができる。
【0040】
さらに、上記実施例ではマット20を床パネル10の上に敷設する例で説明したが、建物(室内)の壁内や天井に敷設して、室内の暖房や冷房を行うようにしてもよい。
【0041】
さらに、実施例では基材をマットの例で説明したが、マット以外の基材でもよく、また、温度調節媒体として水を使用したが、蒸気や冷媒等の他の媒体を使用して冷・暖房を行うようにしてもよい。
【0042】
さらに、上記実施例では、温水接続ヘッダー21の各構成例として、箱体31の外面に複数の媒体供給接続口(温水供給接続口)と複数の媒体戻り接続口(温水戻り接続口)を設ける例について説明したが、1本の循環パイプを装置基材(マット基材)に敷設する場合(実施例の変形例の場合)は、箱体31の外面に1個の媒体供給接続口と1個の媒体戻り接続口が設けられることになる。この場合には冷・暖房の温度むらが生じない態様で、1本の循環パイプを装置基材(マット基材)に引き回し敷設することとなる。
【0043】
さらに、図10に示すように、温水接続ヘッダー部で交差する循環路と交差しない循環路とを設けることもできる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、接続ヘッダーの箱体に、温度調節媒体を供給する媒体供給接続口と温度調節媒体の戻り口としての媒体戻り接続口を露出形成し、冷・暖房装置の装置基材に敷設される複数本の循環パイプの両端側を前記接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口へ接続して、少くとも隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが装置基材の半分側を通る往きの流れと戻りの流れとの逆向きの流れとなるように構成したものであるから、面積の広い大型の冷・暖房装置を敷設した場合にも、冷・暖房装置の一方側の半分領域と残りの他方側の半分領域とで放熱量にむらが生じるという従来例の欠点がなくなり、冷・暖房装置の全面領域からほぼ等しい冷房や暖房の熱量を放熱できるようになる。
【0045】
そして、温度調節媒体が戻り向きに流れている戻り口側循環パイプの少くとも最後のUターン部に形成される温度調節不良領域の放熱表面側を局部的に放熱体で覆うことにより、前記Uターン部の温度調節不良領域において放熱される冷房や暖房の熱量の放熱効率が向上し、Uターン部の温度調節不良領域の放熱表面側温度が局部的に温度調節不良となることを抑制し、その結果、冷・暖房装置の全面領域にわたって温度むらのない均一な冷・暖房を行うことが可能となり、以上のことにより、快適な冷・暖房環境を作り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷・暖房装置の第1の実施例である温水暖房マットを示す構成説明図である。
【図2】本発明の実施例の温水暖房マットに装備される温水接続ヘッダーの一例を示す構成説明図である。
【図3】同じく本発明の実施例の温水暖房マットに装備される温水接続ヘッダーの別の例を示す構成説明図である。
【図4】同じく本発明の実施例の温水暖房マットに装備される温水接続ヘッダーのさらに別の例を示す構成説明図である。
【図5】本発明に係る冷・暖房装置の第2の実施例である温水暖房マットを示す構成説明図である。
【図6】上記実施例の温水暖房マット等に装備される温水接続ヘッダーの他の形態例を示す説明図である。
【図7】一般的な温水暖房マットの暖房システムの説明図である。
【図8】従来の温水暖房マットに装備される従来の一般的な温水接続ヘッダーの説明図である。
【図9】温水暖房マットの敷設施工状態の説明図である。
【図10】温水接続ヘッダーと温水循環パイプの他の接続例を示す実施例説明図である。
【符号の説明】
2 マット基材
3 小根太
5a,5b 温水循環パイプ
18 アルミニウム箔
20 温水暖房マット
21 温水接続ヘッダー
31 箱体
38,39 温水供給接続口
46,47 温水戻り接続口
55a,55b Uターン部
Claims (4)
- 板状体の装置基材を有し、この装置基材には複数の小根太が間隔を介して配設されており、この装置基材には該装置基材側に温度調節媒体を供給する媒体供給接続口と該媒体供給接続口から供給した温度調節媒体の媒体戻り接続口とが箱体にそれぞれ複数ずつ配設された接続ヘッダーが組み込まれており、前記装置基材には、少くとも接続ヘッダー側から該装置基材の半分側に小根太を迂回しUターン部を介して引き回した後装置基材の残り半分側を同じく小根太を迂回しUターン部を介して引き回して接続ヘッダー側に戻る循環パイプが敷設されており、少くともこの隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが装置基材の半分側を通る往きの流れと装置基材の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるように各循環パイプの隣り合う端末が前記接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口へ接続されており、少くとも温度調節媒体が戻り向きに流れている循環パイプの最終のUターン部の戻り口側循環パイプが隣り合う温度調節不良領域の放熱表面側が局部的に放熱体で覆われていることを特徴とする冷・暖房装置。
- 板状体の装置基材を有し、この装置基材には複数の小根太が間隔を介して配設されており、この装置基材には該装置基材側に温度調節媒体を供給する媒体供給接続口と該媒体供給接続口から供給した温度調節媒体の媒体戻り接続口とが箱体にそれぞれ複数ずつ配設された接続ヘッダーが組み込まれており、前記装置基材には、少くとも接続ヘッダー側から該装置基材の半分側に小根太を迂回しUターン部を介して引き回した後装置基材の残り半分側を同じく小根太を迂回しUターン部を介して引き回して接続ヘッダー側に戻る循環パイプが敷設されており、少くともこの複数本の隣り合う循環パイプを通る温度調節媒体の流れの向きが装置基材の半分側を通る往きの流れと装置基材の残りの半分側を通る戻りの流れとの逆向きの流れとなるように各循環パイプの隣り合う端末が前記接続ヘッダーの媒体供給接続口と媒体戻り接続口へ接続されており、少くとも温度調節媒体が戻り向きに流れている戻り口側の循環パイプが最後に前記小根太を挟んでUターンする部位の当該小根太およびその両側の隣り合う戻り口側循環パイプを含む温度調節不良領域の放熱表面側が局部的に放熱体で覆われていることを特徴とする冷・暖房装置。
- 放熱体は、Uターン部の温度調節不良領域と隣り合う、温度調節媒体が往き向きに流れている往き側循環パイプの温度調節良好領域の一部にかかるように拡大伸張して前記Uターン温度調節不良領域の放熱表面側に局部的に被覆されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の冷・暖房装置。
- 装置基材はマットにより形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載の冷・暖房装置。
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