JP3579015B2 - マイクロミラー装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001 】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信用の光スイッチング素子、計測機器、ディスプレイ、スキャナなどに使用可能なマイクロミラー装置およびその製造方法に関する。
【0002 】
【従来の技術】
図34は従来のマイクロミラー装置を示す概略斜視図である。
このマイクロミラー装置では、図に示すように、基板1上に回動可能な支持部2が設けられ、これら支持部2にヒンジ7を介して基部3が回動可能に設けられている。基部3にトーションスプリング(図示せず)を介して枠体4が設けられ、枠体4にトーションスプリング(図示せず)を介してミラー5が設けられ、基板1のミラー5と対向する部分に複数の下部電極6が設けられている。これら下部電極6に対して電圧を加えることにより、ミラー5を静電気力で吸引し、ミラー5を任意の方向へ傾動させることができる。
【0003 】
図34に示したマイクロミラー装置は表面マイクロマシニング技術により作製されている。すなわち、多結晶シリコン層の成長と酸化シリコン(SiO2)層の形成とを各層をパターニングしながら行なうことにより、多結晶シリコン層と酸化シリコン層とを交互に堆積し、最終的に緩衝フッ酸などに浸漬して酸化シリコン層を溶解して、酸化シリコン層を除去することにより、可動部を形成している。この酸化シリコン層、たとえば図35に示す酸化シリコン層11は可動部やギャップを構成するために存在することから犠牲層と呼ばれている。
【0004 】
図34に示したマイクロミラー装置においては、酸化シリコン層と多結晶シリコンとからなるパターニングした層を形成したのち、緩衝フッ酸で酸化シリコン層を除去することにより、支持部2、基部3、枠体4、ミラー5を形成している。
この方法によりマイクロミラー装置を作製したときには、多数個のミラーパターンを形成しておくと、犠牲層である酸化シリコン層11を除去するだけで多数個のミラー5が形成される利点がある。
【0005 】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のマイクロミラー装置では、ミラー5の電極と下部電極6とが平行に配置されており、電極間ギャップが大きい。ミラー5に加わる静電気力は電極間ギャップの2乗に反比例することから、ミラー5に大きな傾きを引き起こすには高い電圧が必要だった。
【0006 】
また、このようなマイクロミラー装置においては、ミラー5が多結晶シリコンで形成されているため、結晶成長条件により内部ひずみが残留し、それがミラー5の変形を引き起こす。この変形のために、コリメート光が入射すると、いびつな形状のビームプロファイルをもつビームとなって反射される。したがって、例えば入力光ファイバから出力光ファイバへ切り替える光スイッチとしてこのマイクロミラー装置を使用する場合には、入力ファイバから出射したコリメートビームが反射後出力ファイバに入射する際に損失が大きかった。
【0007 】
そこで、ミラー5の変形に基づく損失を低減するために、変形を補償できる下部電極6とミラー5の電極間における電圧の面分布を予めコンピュータのメモリに記憶しておき、これに基づいてミラー5に与える静電気力の分布をコントロールし、ミラー5の変形を補正している。しかし、このような補正は非常に面倒である。
【0008 】
また、ミラー5の復元力を与えるトーションスプリングが多結晶シリコンで形成され、多結晶シリコンは多数の結晶粒界を有しているから、繰り返しの力が作用すると結晶粒界が疲労破壊の原因となる。したがって、繰り返し力をかけると疲労が速く進み、寿命に問題がある。
【0009 】
また、ミラー5を支える支持部2も多結晶シリコンから構成されていることから、ミラー5に加わる静電気力の変動によって支持部2が変形するという問題もあった。
また、各下部電極6へ通電するプリント配線が基板1の表面側に形成されているために、ミラー5を多数並べてアレイを構成する場合には、必要な配線パターン幅が細かくなる。しかも支持部2を避けて配線する必要があるために、配線自由度が低い問題を有していた。
【0010 】
本発明は、低い電圧でミラーを大きく傾動させることができるマイクロミラー装置を提供することを課題とする。
【0011 】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、本発明のマイクロミラー装置は、ミラー、前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング、前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板、前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部、および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を有する。
【0012 】
このマイクロミラー装置によれば、前記凸部を形成したことにより、ミラーと下部電極の少なくとも一部を接近させることができ、ミラーの傾動に要する電圧を低下することが可能である。
【0013 】
前記トーションスプリングは、その長手方向に対して垂直な断面における、高さ/幅のアスペクト比が1.8以上であってもよい。この場合には、トーションスプリングによるミラー支持強度は維持しつつ、ミラーの傾動がより容易になるので、ミラーの傾動に要する電圧を低減することができる。
【0014 】
前記下部基板の上面には、前記凸部の周囲であって前記ミラーの外周縁と対向する位置に、凹部が形成されていてもよい。この場合には、ミラーの外周縁が凹部に入るまでミラーを傾動させることが可能となるから、ミラーの傾動範囲を拡大できるうえ、ミラーが下部基板と接触しにくくなるから、ミラーの破壊を防止できる。
【0015 】
前記凸部には、ミラーの中心と対向して、絶縁体からなる支点突起が形成されていてもよい。この場合には、支点突起によってミラーが過剰に下方へ変位することが防止でき、ミラー電極と下部電極とがショートすることがないので、ミラー電極および下部電極の破損が防止できる。
【0016 】
前記トーションスプリングは蛇行形状部を有し、前記上部基板には、前記トーションスプリングの変位範囲を規制するための位置規制部が形成されていてもよい。この場合には、位置規制部によりトーションスプリングおよびミラーの過剰な変位を防ぐとともに、トーションスプリングの損傷が防止できる。
【0017 】
前記ミラー、前記トーションスプリング、および前記上部基板は、シリコン単結晶によって一体的に形成され、このシリコン単結晶が、前記下部基板上に形成されたスペーサに接合されていてもよい。この場合には、ミラーの平面度を高め、トーションスプリングの寿命を延ばすことができる。
【0018 】
前記下部基板の下面には配線パターンが形成され、これら配線パターンと、前記下部電極のそれぞれは、前記下部基板の内部に形成されたスルーホールを通じて導通されていてもよい。この場合には、下部電極への配線の自由度が増し、配線が容易になるだけでなく、配線のパターン幅を太くすることができる。
【0019 】
本発明のマイクロミラー装置の製造方法は、以下の工程を具備する:
支持基板上に、第1酸化物層、第1単結晶シリコン層、第2酸化物層、および第2単結晶シリコン層を順に形成する工程;
前記第2単結晶シリコン層、前記第2酸化物層、および前記第1単結晶シリコン層を貫通する溝を形成する工程;
前記溝内に多結晶シリコン層を形成する工程;
前記第2単結晶シリコン層をエッチングして、前記第2単結晶シリコン層によりミラーおよびトーションスプリングを形成する工程;
前記溝内の前記多結晶シリコン層を除去する工程;
前記溝を通じて、前記第1単結晶シリコン層の、前記トーションスプリングの下方に位置する部分をエッチングする工程;および
前記第1酸化物層および前記第2酸化物層を除去して、前記トーションスプリングを独立させる工程。
この製造方法によれば、ミラーおよびトーションスプリングを容易に一体成形できる。
【0020 】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係るマイクロミラー装置の第1実施形態を示す分解斜視図、図2はミラー支持構造を示す斜視図、図3は図2のA−A断面図である。本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を加えてよい。
【0021 】
図に示すように、結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる下部基板(下部電極基板)21の中央部に矩形状をなす突出部34が設けられ、突出部34の上面には四隅の近くにそれぞれ下部電極22が設けられている。
突出部34の周囲にも間隔を空けて複数の下部電極23が設けられている(この例では8個)。下部基板21の下面には、パターン状の配線24が形成され、下部電極23と配線24とは、下部基板21を貫通するスルホール25を通じてそれぞれ電気的に接続されている。
【0022 】
下部基板21の上面の両側にはAuSnからなるはんだ部26が設けられている。また、SOI(Silicon On Insulator)基板からなる上部基板(ミラー形成基板)27の下面には、結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる支柱28が設けられている。支柱28の上部幅は例えば1mmであり、下部幅が300μmである。支柱28の下部に3層のTi/Pt/Auからなる接合部29が設けられ、支柱28は下部基板21のはんだ部26に接合されている。これにより下部基板21に上部基板27がボンディングされている。
【0023 】
上部基板27の上面には酸化シリコン層30が設けられ、酸化シリコン層30上に単結晶シリコンからなる基部31が設けられ、基部31の内側に円環状の枠体32が設けられ、さらに枠体32の内側にミラー33が設けられている。ミラー33の表面には3層のTi/Pt/Au層が形成され、導電性が付与されている。支柱28によりミラー33が支えられており、例えば下部電極22とミラー33との間隔は20μm、下部電極23とミラー33との間隔は40μmに設定されている。
【0024 】
基部31と枠体32とは、180゜隔てた2か所においてトーションスプリング35により連結され、枠体32とミラー33とは180゜隔てた2か所においてトーションスプリング36により連結されている。トーションスプリング35、36は同様の形状をしている。トーションスプリング35同士を結ぶ線と、トーションスプリング36同士を結ぶ線は直交する。基部31、枠体32、ミラー33、およびトーションスプリング35、36は単結晶シリコンで一体形成されている。
【0025 】
トーションスプリング35、36の断面の高さをa、幅をbとすると、高さaと幅bとのアスペクト比a/bが重要なパラメータとなる。アスペクト比a/bは1.8以上であることが望ましく、より好ましくは2.5〜8であり、最も好ましくは約3である。アスペクト比a/bは1.8以上であれば、トーションスプリング35、36はよりねじれやすくなるうえ、ミラー33の自重や静電気力Fによってトーションスプリング35、36が撓みにくくなる。よって、ミラー33の姿勢制御がより高精度に行える。この効果を説明すると以下の通りである。
【0026 】
トーションスプリング35はねじれ(トーション)の復元力を与えるスプリングとして機能するのみならず、ミラー33部の自重を支える支持部として機能する。このため、ミラー33の自重やミラー33を駆動するための静電気力Fにより、トーションスプリング35に曲げ応力が加わり、ミラー33を支柱28で頑丈に支えてはいるものの、ミラー33の撓みを引き起こす原因となる。トーションスプリング35の断面の高さをa、幅をb、定数をβ、単結晶シリコンのせん断弾性係数をGとすると、トーションスプリング35のねじれ角θとトルクTとの関係式は次式で表される。
θ=T/βab
【0027 】
また、定数をα、単結晶シリコンの縦断弾性係数をE、トーションスプリング35の断面二次モーメントをIとすると、曲げ撓み量δと静電気力Fとの関係式は次式で表される。
δ=Fα/EI
断面二次モーメントIは次式で表される。
I=ba/12
【0028 】
したがって、定数をAとすると、曲げ撓み量δとねじれ角θとの比δ/θは次式で表される。
δ/θ=Aβ(b/a)
このため、幅bに比べて高さaを大きくすることにより、相対的にねじれやすくなり、ミラー33の自重や静電気力Fによる撓みが少なくなるのである。
【0029 】
このマイクロミラー装置においては、上部基板27を負、下部電極22、23に正の電場を与えて、しかも下部電極22、23間で非対称な電位差を生じさせることにより、ミラー33を任意の方向へ傾動させる。たとえば、60Vの電圧を下部電極22、23の片側全電極に印加すると、ミラー33を約10°傾けることができる。
【0030 】
このようなマイクロミラー装置においては、ミラー33に加わる静電気力は電極間ギャップの2乗に反比例するが、下部基板21の上面にミラー33の中央部と対向する突出部34を形成し、この突出部34の上面に下部電極22を形成したから、ミラー33の回動範囲を狭めることなく、ミラー33と下部電極22との間の距離を小さくすることができる。したがって、低い電圧でミラー33を大きく傾けることができる。
【0031 】
また、この実施形態では、ミラー33が多結晶シリコンよりも硬質の単結晶シリコンで形成されているから、ミラー33に内部ひずみが残留することがなく、内部歪みによる変形が少ない。よって、コリメート光を照射させたときにいびつな形状のビームプロファイルを生じず、入力光ファイバから出力光ファイバへ光路を切り替える光スイッチとしてこのマイクロミラー装置を使用する場合にも、入力光ファイバから出射したコリメートビームが反射後に出力ファイバに入射する際の損失を低減できる。したがって、ミラー33に与える静電気力の分布をコントロールしてミラー33の変形を補償する必要がない。
【0032 】
また、この実施形態では、ミラー33の復元力を与えるトーションスプリング35、36が単結晶シリコンで形成されていることから、繰り返しの力に対して疲労が生じにくく、寿命が長い。
また、上部基板27としてSOI基板を用いているから、容易にマイクロミラー装置を製造することができる。
【0033 】
また、ミラー33を支える支柱28も、硬質の単結晶シリコンから構成されているから、ミラー33に加わる静電気力の変動によって支柱28が変形することがなく、ミラー33の姿勢制御を正確に行える。
また、ミラー33が設けられた上部基板27は、下部電極22、23が設けられた下部基板21とは別個に製造されているから、製造時にミラーがスティッキングを生じることがない。
【0034 】
また、下部電極23と配線24とをスルホール25により接続しているから、下部電極22、23および支柱28を避けて配線する必要がないので、ミラー33を駆動するための配線24のパターン幅を太くすることができ、また配線自由度ならびに配線密度を高くすることができる。
【0035 】
図1〜図3に示したマイクロミラー装置の製造方法について説明する。まず、結晶方位が(100)の単結晶シリコン基板に酸素イオン注入して、一定の深さに酸化シリコン層30を形成してSIMOX基板とする。SIMOX基板の活性層の上にエピタキシャルで単結晶シリコンを成長させて、約10μmの厚さのSOI層を形成して、SOI基板を用意する。
【0036 】
つぎに、SOI基板のSOI層に不純物濃度が1×1020となるように不純物をドープして、比抵抗を1000分の数Ωcmにする。つぎに、リフトオフにより3層のTi/Pt/Auからなる反射膜を形成する。その表面のミラーパターンに合わせて両面アライナを用いてSOI基板の支持基板の裏面に3層のTi/Pt/Auからなる接合部29をパターニングする。支持基板のバックエッチングを行なうことにより支柱28を形成する。
【0037 】
つぎに、ICP(inductively−coupled plasma)を用いてSOI層をエッチングして、基部31、枠体32、ミラー33ならびにトーションスプリング35、36を一体形成する。PCVD(プラズマCVD)で表面に酸化シリコン層(パッシベーション膜)を形成して表面を保護したのちに、KOHのエッチャントでエッチングする。エッチング条件等については、H. Seidel他、Anisotropic Etching of Crystalline Silicon in Alkaline Solutions I., J. Electrochem. Soc., Vol.137, No.11 (1990) 3612−3626およびH. Seidel他、Anisotropic Etching of Crystalline Silicon in Alkaline Solutions II., J. Electrochem. Soc., Vol.137, No.11 (1990) 3626を参照することができる。
【0038 】
結晶方位が(100)の単結晶シリコン基板をKOHでエッチングして突出部34を形成し、下部電極22、23を形成し、段差の最下部には3層のTi/Pt/Au層を形成したのち、Ti/Pt/Au層上にはんだ部26を形成する。
【0039 】
つぎに、下部電極23に対応してスルーホール25を形成し、単結晶シリコン基板の裏面側に配線24を形成する。その後、上部基板27と下部基板21との位置合わせを行なったのち、接合部29をはんだ部26に押し付けた状態で390℃で加熱により、はんだ部26のはんだを溶融して下部基板21に上部基板27をボンディングする。
【0040 】
このマイクロミラー装置の製造方法によれば、ミラー33が単結晶シリコンで形成されるから、内部歪みによる変形が少なく、またトーションスプリング35、36が単結晶シリコンで形成されていることから、繰り返しの力に対して寿命が長くなる。
【0041 】
図4は本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。図に示すように、支柱28上に単結晶シリコンからなる下部シリコン層41が設けられ、下部シリコン層41上に酸化シリコン層42が設けられ、酸化シリコン層42上に単結晶シリコンからなる上部シリコン層43が設けられ、基部31が下部シリコン層41、酸化シリコン層42、上部シリコン層43により構成されている。
【0042 】
トーションスプリング35、枠体32は上部シリコン層43で形成されている。また、トーションスプリング35の下方には、ミラー33部の自重や静電気力Fによるトーションスプリング35の撓みが生ずるのを防止するために、水平な保持部44が設けられている。保持部44は下部シリコン層41の一部から構成されている。ミラー33に過剰な荷重がかかると、トーションスプリング35の先端が保持部44に当接して、それ以上の変位を規制する。
【0043 】
このようなマイクロミラー装置においては、トーションスプリング35にミラー33部の自重や静電気力Fによる撓みが生ずるのを防止するための保持部44が設けられているから、トーションスプリング35の比a/bをそれほど大きくする必要がないので、トーションスプリング35の形成が容易になる。
【0044 】
図4のマイクロミラー装置の製造方法を図5(a)〜5(d)および図6(a)〜6(c)により説明する。
図5(a)に示すように、単結晶シリコンからなる支持基板50上に順に、酸化シリコン層45、下部シリコン層41、酸化シリコン層42、上部シリコン層43を形成し、この5層構造の基板の下部に接合部29を形成する。
【0045 】
つぎに、図5(b)に示すように、エッチングにより下部シリコン層41に達する溝(穴)46を形成する。つぎに、図5(c)に示すように、エッチングにより酸化シリコン層45までを貫通した溝(穴)47a、47bを形成する。この場合、まず上部シリコン層43をSF6ガスでICPを用いてエッチングし、酸化シリコン層42をCF系ガスで反応性エッチングする。その後、さらにSF6ガスでICPを用いて下部シリコン層41をエッチングし、酸化シリコン層45をCF系ガスで反応性エッチングする。
【0046 】
つぎに、図5(d)に示すように、溝46、47a、47b内に多結晶シリコン層48を形成する。
つぎに、図6(a)に示すように、上部シリコン層43をエッチングすることにより、トーションスプリング35を形成する。この場合、酸化シリコン層42がエッチングストッパになる。
【0047 】
つぎに、図6(b)に示すように、上部シリコン層43の上面に3層のTi/Pt/Au層49を形成する。つぎに、図6(c)に示すように、支持基板50のバックエッチングを行なうことにより支柱28を形成する。この場合、溝47bは酸化シリコン層45を貫通しているから、下部シリコン層41の溝47b部もエッチングされ、保持部44が形成される。
【0048 】
つぎに、緩衝フッ酸に浸漬することにより酸化シリコン層42、45を除去して、トーションスプリング35の根元と保持部44とを互いに分離する。
【0049 】
このマイクロミラー装置の製造方法においては、溝47aが酸化シリコン層42、45を貫通しているから、緩衝フッ酸に浸漬することにより酸化シリコン層42、45を除去したときに、基部31において酸化シリコン層42、45が除去されるのを防止することができるので、基部31において支持基板50(支柱28)、下部シリコン層41、上部シリコン層43が分離することがない。
【0050 】
図7は本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す斜視図、図8は図7に示したマイクロミラー装置の一部を示す断面図である。図に示すように、支柱28上に単結晶シリコンからなる下部シリコン層51が設けられ、下部シリコン層51上にSi−B−Oからなりかつ厚さが10μmの中間層52が設けられ、中間層52上に単結晶シリコンからなる上部シリコン層53が設けられ、基部31が下部シリコン層51、中間層52、上部シリコン層53により構成されている。
【0051 】
下部シリコン層51の一部に下部電極板54が設けられ、上部シリコン層53により構成されたトーションスプリング35と枠体32との間に上部電極板55が設けられている。上部電極板55の幅すなわちトーションスプリング35の両端を結ぶ線の方向の寸法が40μm、それに直角方向の長さが55μmである。
【0052 】
基部31に下部電極板54の電極に接続された入力電極56が設けられ、トーションスプリング35の両側部に上部電極板55の電極に接続された入力電極57が設けられている。
【0053 】
このマイクロミラー装置においては、入力電極56に負の電圧を印加し、入力電極57に正の電圧を印加すると、上部電極板55を傾斜することができるから、ミラー33を傾斜することができる。
【0054 】
このようなマイクロミラー装置においては、中間層52の厚さが10μmであるから、下部電極板54と上部電極板55との間のギャップすなわち電極間ギャップが10μmである。静電気力は電極間ギャップの2乗に反比例するから、ミラー33をより大きく傾斜することができる。すなわち、上部電極板55の面積はミラー33の面積の6分の1であるが、この電極間ギャップは下部基板の電極部に段差を設けないときの電極間ギャップ40μmの4分の1であるから、下部基板の電極部に段差を設けないときと比べて入力電極56、57に印加する電圧を2分の1以下すなわち40Vとすることができる。
【0055 】
この例ではさらに、図1に示すように下部基板21の突出部34にも下部電極が設けられており、こちらも併用した場合には、入力電極56、57に印加する電圧を例えば25V以下にすることができる。
【0056 】
図7、図8に示したマイクロミラー装置を製造する場合には、SOI基板のSOI層(下部シリコン層51)上にSi−B−Oを堆積し、その上にエピタキシャル結晶成長を施したSIMOX基板を重ね合わせてシンク(焼結)することにより、SOI基板とSIMOX基板とをボンディングし(特開昭61−242033号公報参照)、その後研磨とエッチングを行なうことによって基板を作製すれば、容易に中間層52の厚さを10μmにすることができる。
【0057 】
図9は本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す図である。図に示すように、基部31と枠体32との間にトーションスプリング61が設けられており、枠体32を基部31に対して直角に交わる2方向線を中心に傾けることができる。
【0058 】
図10は本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。図に示すように、結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる下部基板(下部電極基板)71に突出部72が設けられ、突出部72に下部電極73が設けられ、下部基板71の上面に配線74が設けられている。配線74に下部電極73が接続され、下部基板71の上面に単結晶シリコンからなる支柱80が設けられている。
【0059 】
上部基板(ミラー形成基板)75に結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる枠部79が設けられ、枠部79に単結晶シリコンからなる基部76が設けられ、基部76の内部に円環状の枠体77が設けられている。枠体77の内側部にミラー78が設けられ、ミラー78の表面には3層のTi/Pt/Au層が設けられ、下部電極73とミラー78との間隔は20μmである。
【0060 】
図1に示したマイクロミラー装置と同様に、基部76と枠体77とは2か所においてトーションスプリング(図示せず)により連結されており、枠体77とミラー78とは2か所においてトーションスプリング(図示せず)により連結されている。また、支柱80にはんだにより上部基板75が取り付けられ、下部基板71に上部基板75がボンディングされている。
【0061 】
このマイクロミラー装置においては、SOI基板の支持基板をバックエッチングすることにより枠部79を形成することができ、またSOI基板のSOI層をエッチングすることにより枠体77、ミラー78、トーションスプリングを一体形成することができる。
【0062 】
図11は本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。図に示すように、下部基板71の下面すなわち図11紙面下部面に配線81が設けられ、下部電極73と配線81とを接続するスルホール82が設けられている。
【0063 】
このマイクロミラー装置においては、下部電極73と配線81とをスルホール82により接続しているから、下部電極73、支柱80を避けて配線する必要がないので、ミラー78を駆動するための配線81のパターン幅を太くすることができる。
【0064 】
図12は本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。図に示すように、結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる下部基板(下部電極基板)91の上面すなわち図12紙面上部面に下部電極92が設けられ、下部基板91に配線93が設けられ、配線93に下部電極92が接続されている。
【0065 】
上部基板(ミラー形成基板)94に結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる枠部101が設けられ、枠部101に単結晶シリコンからなる基部95が設けられている。基部95の内部に円環状の枠体96が設けられ、枠体96の内側部にミラー97が設けられ、ミラー97の表面には3層のTi/Pt/Au層が設けられている。ミラー97の裏面には突出部98が設けられている。
【0066 】
図1に示したマイクロミラー装置と同様に、基部95と枠体96とは2か所においてトーションスプリング(図示せず)により連結されており、枠体96とミラー97とは2か所においてトーションスプリング(図示せず)により連結されている。単結晶シリコンからなる基部95、枠体96、ミラー97、トーションスプリングが一体形成されている。
【0067 】
基部95の両側部には支柱102が設けられ、支柱102ははんだにより下部基板91に取り付けられ、下部基板91に上部基板94がボンディングされている。すなわち、この実施形態では、図12に示した上部基板94を裏返してつまり表と裏とを反対にして、下部基板91に上部基板94がボンディングされている。
【0068 】
このマイクロミラー装置においては、ミラー97の裏面に突出部98が設けられているから、下部電極92とミラー97の電極との間のギャップすなわち電極間ギャップを小さくすることができ、上述の如く静電気力は電極間ギャップの2乗に反比例するから、ミラー97をより大きく傾斜することができる。
【0069 】
図13は本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。図に示すように、基部76と枠体77との間にトーションスプリング99が設けられ、ミラー78部の自重や静電気力Fによる曲げが生ずるのを防止するための保持部100が設けられている。
【0070 】
図13に示したマイクロミラー装置の製造方法を図14(a)〜14(d)、図15(a)〜15(c)により説明する。
図14(a)に示すように、単結晶シリコンからなる支持基板111上に酸化シリコン層112が設けられ、かつ酸化シリコン層112上にシリコン層(SOI層)113が設けられたSOI基板の下部に、3層のTi/Pt/Auからなる接合部114を設け、シリコン層113上にエッチングレジスト層を形成し、さらにシリコン層113に溝(穴)115を形成する。
【0071 】
つぎに、図14(b)に示すように、シリコン層113の表面を熱酸化して酸化シリコン層116を形成したのち、エッチングにより支持基板111に達する溝(穴)117を形成する。この場合、まず酸化シリコン層116をCF系ガスで反応性エッチングしたのち、SF6ガスでICPを用いてシリコン層113をエッチングする。その後、さらに酸化シリコン層112をCF系ガスで反応性エッチングしたのち、SF6ガスでICPを用いて支持基板111をエッチングする。
【0072 】
つぎに、図14(c)に示すように、エッチングにより酸化シリコン層116に溝(穴)118を形成する。つぎに、図14(d)に示すように、表面に多結晶シリコン層119を形成したのち、多結晶シリコン層119の一部をエッチングにより除去する。
【0073 】
つぎに、図15(a)に示すように、PCVDで表面に酸化シリコン層(パッシベーション膜)120を形成する。つぎに、図15(b)に示すように、支持基板111のバックエッチングを行なうことにより枠部79を形成する。
つぎに、図15(c)に示すように、緩衝フッ酸に浸漬することにより酸化シリコン層112、116、120を除去してトーションスプリング99、保持部100を形成する。
【0074 】
このマイクロミラー装置の製造方法においては、溝117が酸化シリコン層112を貫通しているから、緩衝フッ酸に浸漬することにより酸化シリコン層112を除去したときに、基部76において酸化シリコン層112が除去されるのを防止することができるので、基部76において支持基板111(枠部79)とシリコン層113とが分離することがない。
【0075 】
上述した各実施形態においては、基板すなわち上部基板としてSOI基板を用いたが、基板としてSIMOX基板を用いてもよい。
また、上述した各実施形態においては、酸化物層として酸化シリコン層42、45、中間層52、酸化シリコン層112を用いたが、他の酸化物層を用いてもよい。
【0076 】
また、上述した各実施形態においては、上部基板27、75に1つのミラー33、78を設けたが、上部基板に多数個のミラー(アレイミラー)を設けてもよく、この場合に下部基板の下面にミラーを駆動するための配線を設け、下部基板に下部電極と配線とを接続するスルーホールを設けたときには、配線のパターン幅を太くすることができる。
【0077 】
また、上述した各実施形態においては、単結晶シリコンからなる支持基板50上に酸化シリコン層45が設けられ、酸化シリコン層45上に下部シリコン層41、酸化シリコン層42、上部シリコン層43が設けられた3層構造の基板を用いたが、2枚のエピタキシャル結晶成長を施したSIMOX基板のうちの一方にシリカを主成分とするガラス微粒子(スート)を堆積したのち、他方のSIMOX基板を重ね合わせてシンク(焼結)することにより、両SIMOX基板をボンディングし(特開昭61−242033号公報参照)、その後研磨とエッチングを行なうことによって基板を作製してもよい。
【0078 】
次に、ミラー33と突出部34とが大面積で接触してしまうこと(プルインという)を防止できる実施形態を説明する。
【0079 】
静電気力Fは距離dの2乗に反比例するから、ミラー33が突出部34にある所定距離以下に近づいたとたんに、静電気力Fが、ミラー33を元の位置に戻そうとするトーションスプリング35、36の復元力よりも遥かに大きくなり、ミラー33と突出部34とが大面積で接触してしまう場合がある。
【0080 】
このプルインは、電圧Vを小さくしてミラー33を回転させたいがために、距離dをできるだけ小さくするほど、トーションスプリング35、36のバネ定数を小さくするほど、傾動限界値をプルインが起こるしきい値のぎりぎりの値まで近づけるほど、起こりやすくなる。このため、プルインが生じるしきい値を超えないように、数ミリ秒の間に高精度の電圧制御をしていかなければならない。この数ミリ秒のミラー33の姿勢制御がスイッチング時間に相当する。
【0081 】
ミラー33がプルインを起こすと、ミラー33の電極と下部電極22とがショートして、ミラー33の電極、下部電極22が破損することがある。アレイミラーの場合には、各ミラー33のトーションスプリング35、36のバネ定数が均一でないから、ミラー33のプルインが起こる静電気力Fが異なる場合がある。この場合、各ミラー33の特性が大きく異なり、実用に供しない。
【0082 】
また、ミラー33の回転が大きくなったときには、ミラー33のエッジ(周辺部)と下部基板21とが点で接触するから、瞬間的にミラー33のエッジに応力集中が起こり、ミラー33の破壊を引きやすくなる。また、薄くて変形しやすいミラー33であれば、プルインの起こる距離dがしきい値よりも小さくなる傾向がある。また、プルインが起こらなくとも、静電気力Fによりミラー33が下部電極22、23に接近したとき、すなわちミラー33が下部電極22、23の方向にシフトしたときには、ミラー33に入射した光ビームの光軸がシフトすることになるから、ミラー33の下部電極22、23の方向へのシフトは極力小さく抑える必要がある。
【0083 】
本実施形態はこのような問題を解決するためになされたもので、この目的を達成するため、本実施形態においては、ミラーと、下部電極が設けられた下部基板とを有するマイクロミラー装置において、上記下部基板の上記下部電極が設けられた部分に絶縁体からなる突起を設ける。
【0084 】
図16は本実施形態に係るマイクロミラー装置を示す概略断面図、図17は図16に示したマイクロミラー装置の下部基板を示す概略平面図である。図に示すように、結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる下部基板(下部電極基板)241に高さ40μmの突出部253が設けられ、突出部253に下部電極242が設けられている。突出部253の中央部すなわち下部電極242の中央部には、表面が絶縁体からなり、かつ高さが5μm、幅が3μmの突起243が設けられている。下部電極242の周辺には溝244が設けられ、溝244の側壁上部および開口縁部を含む下部基板241の表面に絶縁膜245が設けられている。下部電極242は絶縁膜245上に設けられている。
【0085 】
SOI基板からなる上部基板(ミラー形成基板)252に結晶方位が(100)の単結晶シリコンからなる支柱246が設けられ、支柱246は下部基板241に取り付けられ、下部基板241に上部基板252がボンディングされている。
【0086 】
支柱246に厚さが約10μmの単結晶シリコンからなる基部247が設けられ、基部247の内部に円環状の枠体248が設けられ、枠体248の内側部にミラー249が設けられている。ミラー249の表面には3層のTi/Pt/Au層からなる電極が設けられている。支柱246によりミラー249が空間に支えられており、下部電極242とミラー249との距離は20μmである。そして、基部247と枠体248とは2か所において、図4、7、9に示したトーションスプリングと同様のトーションスプリング250により連結されており、枠体248とミラー249とは2か所においてトーションスプリング250と同様の形状をしたトーションスプリング251により連結され、2つのトーションスプリング250を結ぶ線と2つのトーションスプリング251を結ぶ線とは直交している。厚さが約10μmの単結晶シリコンからなる基部247、枠体248、ミラー249、トーションスプリング250、251が一体形成されている。
【0087 】
つぎに、図16、図17に示したマイクロミラー装置の製造方法について説明する。まず、結晶方位が(100)の単結晶シリコン基板に酸素イオン注入して、一定の深さに酸化シリコン層を形成してSIMOX基板とし、SIMOX基板の活性層の上にエピタキシャルで単結晶シリコンを成長させて、約10μmの厚さのSOI層を形成して、SOI基板を用意する。つぎに、SOI基板のSOI層に不純物濃度が1×1020となるように不純物をドープして、比抵抗を1000分の数Ωcmにする。つぎに、リフトオフにより3層のTi/Pt/Auからなる反射膜を形成し、その表面のミラーパターンに合わせて両面アライナを用いてSOI基板の支持基板の裏面に3層のTi/Pt/Auからなる接合部をパターニングする。つぎに、ICP(inductively−coupled plasma)を用いてSOI層をエッチングして、基部247、枠体248、ミラー249ならびにトーションスプリング250、251を一体形成する。つぎに、PCVD(プラズマCVD)で表面に酸化シリコン層(パッシベーション膜)を形成して表面を保護したのちに、KOHのエッチャントでSOI基板の支持基板をエッチングすることにより、支柱246を形成する。
【0088 】
結晶方位が(100)の単結晶シリコン基板の中央部に異方性エッチングにより突起243を形成し、突起243をマスクして単結晶シリコン基板をKOHでエッチングして突出部253を形成し、単結晶シリコン基板の突出部253の周囲に溝244を形成し、単結晶シリコン基板の表面を熱酸化することにより絶縁膜245を形成するとともに、突起243の表面を絶縁体とし、また絶縁膜245上に下部電極242を形成し、単結晶シリコン基板の周囲部に3層のTi/Pt/Au層を形成したのち、Ti/Pt/Au層上にAuSnからなるはんだ部を形成する。つぎに、下部基板241と上部基板252との位置合わせを行なったのち、接合部をはんだ部に押し付けた状態で390℃で加熱により、はんだ部のはんだを溶融して下部基板241に上部基板252をボンディングする。
【0089 】
このマイクロミラー装置においては、下部電極242に大きな電圧を対称に印加したときに、図18に示すようにミラー249が下部基板241の方向即ち図18紙面下方に移動するが、ミラー249が突起243に接触するから、ミラー249と突出部253とが大面積で接触してしまうことはなく、プルインが起こることもない。
【0090 】
また、下部電極242に大きな電圧を非対称に印加したときには、図19に示すようにミラー249が大きく傾斜するが、ミラー249のエッジが溝244内に位置するから、ミラー249のエッジが下部基板241と接触することがない。
【0091 】
たとえば95V差の電圧を下部電極242の片側の全電極に与えると、ミラー249を12°だけ傾斜させることができた。この時点で、ミラー249の中央部が突起243に接触し、同時にミラー249の周辺が溝244の縁と線で接触をした。
【0092 】
さらに、下部電極242に200V差の電圧を加えても、ミラー249は突起243のみで接触し、その接触面積が狭いから、プルインが起こらなかった。プルインが起こっていないことを実証するために、200V差の電圧を下部電極242に与えた上で、数十V差の電圧を下部電極242に非対称に印加したときには、ミラー249を回転させることができた。つぎに、最大回転角を与える95Vを遥かに超える200V差の電圧を下部電極242に非対称に与えて回転させても、ミラー249と下部基板241との接触部は電圧差が95Vの場合と変わらず突起243と溝244の上部縁のみであった(図20参照)。
【0093 】
また、ミラー249のエッジが下部電極242に衝突することがないから、ミラー249が破壊することは全くなかった。
【0094 】
同じ実験を突起なしで行なったら、電圧差が70Vでプルインが起こるために、回転制御は電圧差が65V以内で行なう必要があり、ミラーの可動回転角は±6度が限界であった。このように、本発明ではミラー249は突起243と絶縁膜245が形成された溝244の縁でその動きが止められるから、プルインが起こることもなく、またショートも起こらない。
【0095 】
以上のように、このマイクロミラー装置においては、ミラー249がプルインを起こすことがないから、ミラー249の電極と下部電極242とがショートすることがないので、ミラー249の電極、下部電極242が破損することがない。また、アレイミラーの場合に、各ミラー249のトーションスプリング250、251のバネ定数が均一でなくとも、実用に供することができる。また、ミラー249の回転がかなり大きくなったときにも、ミラー249が下部基板241と接触することがないから、ミラー249の破壊を防止することができる。
【0096 】
また、少なくとも溝244の側壁上部および開口縁部に絶縁膜245が設けられているから、たとえ仮りにミラー249の回転が非常に大きくなって、ミラー249が下部基板241と接触したとしても、ミラー249の破壊を確実に防止することができる。
【0097 】
図21は本発明に係る他のマイクロミラー装置の下部基板を示す概略平面図、図22は図21のB−B断面図である。図に示すように、下部基板241に下部基板241を貫通した穴261が設けられ、穴261の側壁上部および開口縁部を含む下部基板241の表面に絶縁膜262が設けられている。
【0098 】
なお、以上の実施形態においては、凹部として溝244と穴261を設けたが、他の凹部を設けてもよい。
また、上述した実施形態においては、表面が絶縁体からなる突起243を設けたが、全体が絶縁体からなる突起を設けてもよい。
【0099 】
また、上述実施形態においては、高さが5μmの突起243を設けたが、下部電極に電圧を印加しないときのミラーと突起との距離をより小さくすれば、ミラー249が下部電極242に接近することすなわちミラー249の下部電極242の方向へのシフトを防止することができるから、ミラー249に入射した光ビームの光軸がシフトすることがない。
【0100 】
図23〜図27は、より具体的な本発明の他の実施形態を示している。この実施形態のマイクロミラー装置は、図27に示すように、平行に接合された下部基板300および上部基板301とを有している。
【0101 】
下部基板300には、図23に示すように、上面の中央部にミラー318の下面中央部と対向して凸部302が形成されている。この凸部302は、平面視してほぼ正方形をなし、中央にはほぼ正方形状をなす水平な上段面302bが形成され、その周囲には一段低い水平な下段面302aが形成されている。上段面302bの中心には、ミラー318の中心部と対向する支点突起304が形成され、ミラー318との間に僅かな間隙が形成されている。支点突起304はすくなくとも表面が絶縁体で形成されている。
【0102 】
凸部302の外面を含む下部基板300の上面中央には、平面視してミラー318と同心の円形をなすように、それぞれ扇状をなす4つの下部電極306が形成されている。下部電極306の材質等は前述した実施形態と同様である。下部電極306の扇の中心は支点突起304と一致し、各下部電極306の間には、一定幅の間隙307が形成されている。図示していないが下部電極306の下方において、下部基板300にはそれぞれスルーホールが形成され、これらスルーホールを通じて下部電極306は下部基板300の下面に形成されている配線パターン(図示略)に接続されている。配線パターンを通じて下部電極306とミラー318とに電圧を印可することにより、ミラー318を傾動させることができる。このとき、ミラー318が所定値以上に下方へ変位すれば、支点突起304がミラー318の中心に当接してミラー318が傾動するための支点となる。
【0103 】
下部電極306の数はこの実施形態では4つであるが、3つ以上であればミラー318を任意の方向へ傾動させることができる。ただし、配線の容易さ、および制御の容易さを考慮すると、4つの場合が好ましい。
【0104 】
下部基板300の上面には、リング部314の外周部の2カ所、およびミラー318の外周部の2カ所と対向する位置に、それぞれ凹部308、309が形成されている。凹部308はリング部314を支えるトーションスプリング316から90゜隔てた位置、凹部309はミラー318を支えるトーションスプリング316から90゜隔てた位置にそれぞれ形成されている。これにより、トーションスプリング316を軸とするミラー318およびリング部314の傾動範囲を大きく採ることができる。
【0105 】
図24に示すように、上部基板301は、中央のミラー318、ミラー318の外周を取り巻くリング部314、リング部314の外周を取り巻く基部312、および外周縁に形成されたフレーム322が、一体的にシリコン単結晶で形成されたものである。フレーム322はシリコン酸化膜320を介して形成されている。基部312とリング部314との間は180゜隔てた一対のトーションスプリング316で接続され、リング部314とミラー318との間は、先のトーションスプリング316から90゜隔てた位置において、一対のトーションスプリング316で接続されている。これらトーションスプリング316も、ミラー318、リング部314、基部312と一体的に形成されている。
【0106 】
図25はトーションスプリング316の詳細を示している。この図はリング部314と基部312とを接続するトーションスプリング316を示しているが、リング部314とミラー318とを接続するものも全く同様である。
【0107 】
トーションスプリング316は、基部312に形成された凹部332内に収容され、基部312に接続された基端部316aと、蛇行部316bと、蛇行部316bの先端に形成されたストッパ316cと、ストッパ316cから延びてリング部314に接続された先端部316dとからなる。基端部316aと先端部316dはリング部314の径方向に向けて延び、蛇行部316bは径方向と垂直な方向へ延びている。先端部316dは基部312に形成されたスリット330を通過している。スリット330の幅は、先端部316dの捻れを許容するように、先端部316dの幅よりも十分に大きくされている。
【0108 】
基端部316a、蛇行部316b、および先端部316dは、ほぼ長方形をなす互いに同一の断面形状を有し、その高さH(図27参照)と幅W(図25参照)とのアスペクト比H/Wは1.8以上、より好ましくは2.5〜8であり、最も好ましくは約3である。このようなアスペクト比を採ることにより、鉛直方向におけるリング部314の支持強度を高めつつも、先端部316dの捻れ方向への弾力を低下させることができ、より少ない電力でミラー318を傾動させることが可能となる。
【0109 】
この実施形態のストッパ316cは、リング部314へ向けて凸をなす二等辺三角柱状であり、スリット330に形成されている一対の位置規制部330aとの間に若干の間隙が形成されている。ストッパ316cの幅は、スリット330の幅よりも小さい。このため、リング部314が下方またはトーションスプリング316から離間する方向へ過剰に変位した場合にも、ストッパ316cと位置規制部330aとが接触して、それ以上の変位を抑制する。これにより、トーションスプリング316の損傷を防ぐことができる。ミラー318側のトーションスプリング316についても同様の作用が得られる。
【0110 】
図26はストッパ機構の変形例を示す。この例のストッパ316eは、先端部316dに対して垂直な面を有する直方体状をなしている。基部312のスリット330の開口縁には、ストッパ316eへ向けて突出する一対の位置規制部330bが形成されている。これら位置規制部330bは水平断面がほぼ半円形状をなしており、ストッパ316eとの間に僅かな間隙があいている。このため、リング部314が下方またはトーションスプリング316から離間する方向へ過剰に変位した場合にも、ストッパ316eと位置規制部330bとが接触して、それ以上の変位を抑制する。これにより、トーションスプリング316の損傷を防ぐことができる。また、ストッパ316eと位置規制部330bとは当接しつつリング部314の半径方向に対して垂直な面に沿って任意方向へ摺動できるため、リング部314の傾動を抑制することが少ない。
【0111 】
上記構成からなるマイクロミラー装置によれば、トーションスプリング316の変位量を規制するストッパ316cまたは316eと、位置規制部330aまたは330bを形成しているから、リング部314およびミラー318の過剰な変位、ならびにトーションスプリング316の損傷を防ぐことができる。
【0112 】
また、下段面302aおよび上段面302bを有する凸部302を形成して下部電極306のミラー中心側をミラー318に接近させたことにより、比較的低電圧でミラー318を傾動させることが可能である。
【0113 】
また、下部基板300に凹部308、309を形成したことにより、装置全体の厚さを抑えつつ、リング部314およびミラー318の傾動範囲を拡大することができる。なお、凹部308、309は下部基板300を貫通していてもよい。
【0114 】
図28は本発明のさらに他の実施形態を示している。この実施形態では、下部基板300の中央部に形成された凸部340が円錐形状をなし、その外面340a上にも下部電極306が形成されている。その他の構成は図23〜図27の実施形態と同様でよい。
【0115 】
図33は、図23〜図27の実施形態を一部変更した実施形態を示している。この実施形態では、凸部302の上部(すなわち中央部)であって、支点突起304および上段面302bを含む部分が絶縁層で覆われ、4つの下部電極306は下段面302aおよびそれより下の領域のみに形成されている。
【0116 】
これにより、この実施形態では、凸部302の頂点を中心とする一定の領域において、凸部302の外周面に下部電極306が形成されていない。この実施形態では、凸部302の頂点(中心)を中心とし、前記ミラーの直径の1/5〜1/2の直径を有する円形の領域には、下部電極306が形成されていないことが好ましい。その場合には、傾斜角の正確な制御がより容易に行える。また、凸部302の高さの50%までの範囲において、下部電極306が形成されていないことが好ましい。凸部302の高さとは、支点突起304の高さを含むものとする。
【0117 】
このように、下部電極306を凸部302の上部(すなわち中央部)を除く環状部分にのみ形成した場合、図23〜図27の実施形態に比べて傾斜角/印加電圧の比は低下するものの、比較的高電圧の領域(傾斜角が比較的大きい領域)において、傾斜角の正確な制御が容易に行えるという利点が得られる。
【0118 】
【実施例】
[実験1]
本発明の実施例を4種作成した。いずれの実施例も図23〜25および図27に示す共通の構造を有しており、各部の寸法は図30に示すとおりとした。各実施例はトーションスプリングの断面のアスペクト比(H/W)のみが異なり、それぞれ0.2、1.2、2.0、3.0とした。これら実施例を用いて、50Vを印加した場合のミラー傾斜角度、およびミラーが下部基板に衝突するプルイン現象の起きる電圧(プルイン電圧と称す)を測定した。電圧を印加する際には、ミラーの片側に対応する2つの下部電極のみに電圧を印加した。結果を図29に示す。このグラフから明らかなように、各実施例の感度すなわち50V印加時の傾斜角度はいずれも同程度であったが、プルイン電圧はアスペクト比を大きくすることにより顕著に向上した。
【0119 】
[実験2]
次に、図31に示す比較例のマイクロミラー装置を作成した。この比較例におけるトーションスプリングのアスペクト比(H/W)は3.0とした。比較例は凸部302が形成されていない点のみ実施例と異なり、他の構成はアスペクト比3.0である実施例と全く同じである。
【0120 】
さらに実施例5として、図33に示す構造を有し、図30に示したとおりの各部寸法を有するマイクロミラー装置を作成した。
これら6種のマイクロミラー装置に様々な電圧を印加し、ミラーの傾斜角度を測定した。結果を図32に示す。このグラフから明らかな通り、図30および図33に示すように下部基板上に凸部302を形成することにより、同じ印加電圧でも傾斜角度を大きくできた。また、図33の実施例は、傾斜角度が特に4゜を超えた場合に、傾斜角度を制御することが容易であることもわかった。
【0121 】
【発明の効果】
本発明のマイクロミラー装置は、下部基板の上面にミラーの中央部と対向して凸部を設け、この凸部の外面に形成された下部電極を形成しているので、ミラーと下部電極の少なくとも一部を接近させることができ、ミラーの傾動に要する電圧を低下することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示したマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。
【図5】図4に示したマイクロミラー装置の製造方法の説明図である。
【図6】図4に示したマイクロミラー装置の製造方法の説明図である。
【図7】本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。
【図8】図7に示したマイクロミラー装置の一部を示す断面図である。
【図9】本発明に係る他のマイクロミラー装置の一部を示す図である。
【図10】本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。
【図11】本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。
【図12】本発明に係る他のマイクロミラー装置を示す分解斜視図である。
【図13】図12に示したマイクロミラー装置の一部を示す斜視図である。
【図14】図12および図13に示したマイクロミラー装置の製造方法の説明図である。
【図15】図12および図13に示したマイクロミラー装置の製造方法の説明図である。
【図16】本発明に係るマイクロミラー装置を示す概略断面図である。
【図17】図16に示したマイクロミラー装置の下部基板を示す概略平面図である。
【図18】図16および図17に示したマイクロミラー装置の動作説明図である。
【図19】図16および図17に示したマイクロミラー装置の動作説明図である。
【図20】図16および図17に示したマイクロミラー装置の動作説明図である。
【図21】本発明に係る他のマイクロミラー装置の下部基板を示す概略平面図である。
【図22】図21のB−B断面図である。
【図23】本発明の他の実施形態の下部基板を示す平面図である。
【図24】他の実施形態の上部基板を示す平面図である。
【図25】トーションスプリングのストッパ機構を示す平面図である。
【図26】トーションスプリングのストッパ機構を示す平面図である。
【図27】他の実施形態の縦断面図である。
【図28】さらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図29】本発明の効果を示すグラフである。
【図30】本発明の実施例を示す断面図である。
【図31】比較例を示す断面図である。
【図32】図30および図31の装置による実験結果を示すグラフである。
【図33】他の実施形態の断面図である。
【図34】従来のマイクロミラー装置を示す概略斜視図である。
【図35】図34に示したマイクロミラー装置の製造方法の説明図である。
【符号の説明】
21、71、91、241、300 下部基板
22、23、73、92、242、306 下部電極
24、74、81、93 配線パターン
25 スルーホール
27、75、94、252、301 上部基板
28、80、102、246 支柱
33、78、97、249、318 ミラー
34、72、98、253 突出部
35、36、99、250、251、316 トーションスプリング
302 凸部
304 支点突起
330a、330b 位置規制部
41、51 下部シリコン層
42、45、112 酸化シリコン層
43、53 上部シリコン層

Claims (10)

  1. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記トーションスプリングは、その長手方向に対して垂直な断面における、高さ/幅のアスペクト比が1.8以上であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  2. 請求項1のマイクロミラー装置であって、前記下部基板の上面には、前記凸部の周囲であって前記ミラーの外周縁と対向する位置に、凹部が形成されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  3. 請求項1のマイクロミラー装置であって、
    前記凸部には、前記ミラーの中心と対向して、絶縁体からなる支点突起が形成されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  4. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記トーションスプリングは蛇行形状部を有し、前記上部基板には、前記トーションスプリングの変位範囲を規制するための位置規制部が形成されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  5. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記ミラー、前記トーションスプリング、および前記上部基板は、シリコン単結晶によって一体的に形成され、このシリコン単結晶が、前記下部基板上に形成されたスペーサに接合されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  6. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記下部基板の下面には配線パターンが形成され、これら配線パターンと、前記下部電極のそれぞれは、前記下部基板の内部に形成されたスルーホールを通じて導通されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  7. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記上部基板は、SOI基板またはSIMOX基板であることを特徴とするマイクロミラー装置。
  8. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記下部基板の上面には、前記凸部の周囲であって前記ミラーの外周縁と対向する位置に、凹部が形成されており、
    少なくとも前記凹部の開口縁部に絶縁膜が形成されていることを特徴とするマイクロミラー装置。
  9. マイクロミラー装置であって、
    ミラー;
    前記ミラーを上部基板に対して傾動可能に支持する複数のトーションスプリング;
    前記ミラーの下面と対向して配置された下部基板;
    前記下部基板の上面に前記ミラーの中央部と対向して設けられた凸部;および前記凸部の外面に形成された複数の下部電極を具備し、
    前記凸部の頂点を中心とし、前記ミラーの直径の1/5〜1/2の直径を有する円形の領域には、前記下部電極が形成されていないことを特徴とするマイクロミラー装置。
  10. マイクロミラー装置の製造方法であって、
    支持基板上に、第1酸化物層、第1単結晶シリコン層、第2酸化物層、および第2単結晶シリコン層を順に形成する工程;
    前記第2単結晶シリコン層、前記第2酸化物層、および前記第1単結晶シリコン層を貫通する溝を形成する工程;
    前記溝内に多結晶シリコン層を形成する工程;
    前記第2単結晶シリコン層をエッチングして、前記第2単結晶シリコン層によりミラーおよびトーションスプリングを形成する工程;
    前記溝内の前記多結晶シリコン層を除去する工程;
    前記溝を通じて、前記第1単結晶シリコン層の、前記トーションスプリングの下方に位置する部分をエッチングする工程;および
    前記第1酸化物層および前記第2酸化物層を除去して、前記トーションスプリングを独立させる工程を具備することを特徴とするマイクロミラー装置の製造方法。
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