JP3577963B2 - Cvd用液体原料の気化方法、気化装置及びそれを用いたcvd装置 - Google Patents
Cvd用液体原料の気化方法、気化装置及びそれを用いたcvd装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体メモリ等に用いる薄膜、特に誘電体膜およびセラミックス膜用の形成にかかわるもので、CVD(化学気相堆積)用液体原料の気化方法、気化装置及びそれを用いたCVD装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体におけるメモリデバイスの集積化が急速に進んでおり、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(以下DRAMと称する)では、3年間にビット数が4倍という急激なペースで集積化が進んで来た。これはデバイスの高速化、低消費電力化、低コスト化等の目的のためである。しかし、いかに集積度が向上しても、DRAMの構成要素であるキャパシタは、一定の容量をもたねばならない。このため、キャパシタ材料の膜厚を薄くする必要があり、それまで用いられていたSiO2では薄膜化の限界が生じた。そこで材料を変更して誘電率を上げることができれば、薄膜化と同様に容量を確保することができるため、誘電体(高誘電率)材料をメモリデバイス用として利用する研究が最近注目を集めている。一方、記憶の保持に電力を必要としない不揮発性メモリの一形態として、強誘電体メモリが注目されている。これは、強誘電体の材料特性である分極反転を記憶の有無に対応させたもので、不揮発性である上に、材料の特性向上次第では高速動作と高集積化も可能である。
【0003】
このようなキャパシタ用材料に要求される性能としては、上記のように高誘電率を有する薄膜であることおよびリーク電流が小さいことが重要であり、また強誘電体材料の場合はこれに加え分極特性も重要である。すなわち、高誘電率材料を用いる限りにおいては、出来る限り薄い膜で、かつリーク電流を最小にする必要がある。大まかな開発目標としては、一般的にSiO2換算膜厚で1nm以下および1.65V印加時のリーク電流密度として10−8A/cm2オーダ以下が望ましいとされている。また、段差のあるDRAMキャパシタ用および強誘電体メモリセルの電極上に薄膜として形成するためには、複雑な形状の基体への付き回り性が良好で量産性を有するCVD法による成膜の可能なことがプロセス上非常に有利である。このような観点から、酸化タンタル、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム(ST)、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸バリウム・ストロンチウム(BST)、タンタル酸ビスマス・ストロンチウム(SBT)等の酸化物系誘電体膜の成膜が各種成膜法を用いて検討されている。また、これらの酸化物膜は金属電極との界面で特性劣化を起こしやすいために酸化物系の導電性膜および特定の金属を電極として用いる場合もある。
【0004】
CVD法によって成膜することが最も有利であるにもかかわらず、安定で良好な気化特性を有するCVD原料が存在しないことが大きな問題となっていた。これは、主としてCVD原料として多用されているβ−ジケトン系のジピバロイルメタン(DPM)化合物の加熱による気化特性が良好でないことによるものであり、金属のDPM化合物の本質的な不安定性に起因する欠点であると考えられる。このような状況下において、本発明者らの一部は従来の固体原料をテトラヒドロフラン(THF)という有機溶剤に溶解して溶液化することによって気化性、組成制御性を飛躍的に向上させたCVD原料(特開平6−158328号公報)、およびCVD装置(特開平6−310444号公報)を提案し、非常に良好な気化性と組成制御性を得ることが可能となった。
【0005】
最近では、さらに、メモリ製造の生産性を向上させるために、従来の気化器に僅かに発生していた残渣に対する対策が講じられてきた。この残渣に起因するパーティクルが成膜の再現性を悪化させ、また気化器そのものの連続稼働時間を短縮させ、結果としてメモリ製造の生産性を低下させていたからである。この残渣は、従来の方法が気化装置を簡便にする為に各々の元素に相当する原料液体を混合した状態で一つの気化器を用いて気化する手法がとられていたことに起因し、、混合液体の状態での加熱過程が気化性の悪い複合酸化物の前駆体および多量体の形成を促進する為と考えられる。この問題を解決する為には、それぞれの液体原料の気化を、別々の気化器で行い、ガス化した後に混合を行えばよく、この様な方法および装置は例えば特開平9−241849号公報に記載されている。しかし、複合酸化物の前駆体および多量体の形成し易さは原料の種類によって異なり、必ずしも全ての原料を独立に気化する必要はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の気化方法および気化装置ではそれぞれの液体原料に対応した気化装置を用意し、気化温度を各原料に最適な値とすることで気化器中での残渣の生成を低減することが可能となった。しかし、その一方で、気化器の数が各原料の数だけ必要となり、装置が複雑で大がかりなものとなってしまうという欠点があった。また液体の加熱気化をヒータのみによる加熱とした場合には液体が気化温度に達するまでにある程度の時間を要し、気化性の悪い多量体の生成を完全に抑制することはできない。この残渣は、パーティクルとなってCVD反応炉まで到達し成膜不良を引き起こすと共に、気化器の連続稼働時間の長時間化の妨げとなっていた。また、従来のCVD液体原料の気化装置を複数用意し各原料の独立気化を行おうとした場合、気化後の各ガスを均一に混合する必要があり、別途ガスミキサー等の混合装置を必要とするという欠点があった。
【0007】
本願発明は上記のような問題を解決するためになされたもので、一つの気化器に複数の原料および液体原料の溶媒を時分割送入することで、多くの気化器を必要としない、気化方法、気化装置及びそれを用いたCVD装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るCVD用液体原料の気化方法は、二元以上の元素を含む薄膜形成用のCVD液体原料の気化方法において、供給量の制御されたそれぞれの液体原料のうち、少なくとも二つおよび液体原料の溶媒を時分割にて一つの気化器に送入し、該気化器において液体原料を気化するものである。
【0010】
本発明の請求項2に係るCVD用液体原料の気化方法は、請求項1において、CVD液体原料が、Ba,Sr,Tiであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともBa,Srであることを規定するものである。
【0011】
本発明の請求項3に係るCVD用液体原料の気化方法は、請求項1において、CVD液体原料が、Pb,Zr,Tiであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともPb,Zrであることを規定するものである。
【0012】
本発明の請求項4に係るCVD用液体原料の気化方法は、請求項1において、CVD液体原料が、Sr,Bi,Taであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともSr,Biであることを規定するものである。
【0013】
本発明の請求項5に係るCVD用液体原料の気化装置は、二元以上の元素を含む薄膜形成用のCVD液体原料を気化する気化器を備えた気化装置において、少なくとも一つの気化器において、二つ以上の液体原料および液体原料の溶媒を時分割に送入する切り替え送入手段を備えたものである。
【0014】
本発明の請求項6に係るCVD用液体原料の気化装置は、請求項5において、液体原料および液体原料の溶媒独立に噴霧して気化器に送入する噴霧ノズルを備えたものである。
【0015】
本発明の請求項7に係るCVD用液体原料の気化装置は、請求項5または6において、液体原料および液体原料の溶媒を一つの気化器内の独立の部屋に送入する切り替え手段と、前記独立の部屋で気化された原料を混合する部屋とを気化器に備えたものである。
【0018】
本発明の請求項8に係るCVD装置は、液体原料容器から供給された液体原料の供給量を制御する供給量制御手段と、該供給量制御手段を介して供給された液体原料を気化するための装置であって、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のCVD用液体原料の気化装置と、基板を設置し前記気化された原料を送入して前記基板上に堆積させるための反応容器とを備えたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
発明者らは従来の気化方法および気化装置の改良を行い、気化器内の残渣および成膜時のパーティクルの生成状態を評価し、詳細な検討を加えた結果、本発明に至った。
【0020】
実施の形態1.
本形態においては、二元以上の元素を含むセラミックス膜用のCVD液体原料の気化装置に、一つ以上の気化器を用い、そのうちの少なくとも一つの気化器において二つ以上の液体原料の時分割送入を行うことの可能な液体切り替え送入機構を設け、この機構により液体原料の時分割送入を行うものである。これにより、各原料それぞれに独立の気化器を用いて気化を行う場合と同等の効果を少ない気化器数において得ることができる。従って、本発明により、気化器部分の複雑化をまねくことなく気化器内残渣とパーティクルの生成を抑制し、成膜再現性の向上と気化器の連続稼働可能時間の長時間化により生産性が向上した。
【0021】
実施の形態2.
本形態においては、セラミックス膜用CVD液体原料を気化する際に、液体原料を噴霧する噴霧ノズルと噴霧された液体原料を気化するための気化器の組み合わせを用い、噴霧液体の加熱気化にマイクロ波による加熱気化を併用することにより、液体原料の完全な気化を行うものである。従来の気化器が外部からの熱源により間接的に液体原料を加熱気化させるのに対し、通常の気化器壁面の加熱にマイクロ波の照射による液体原料の誘電損失による自己加熱を併用することにより、残渣生成の少ない気化が可能となった。これにより、気化器部分の複雑化をまねくことなく気化器内残渣とパーティクルの生成を抑制し、成膜再現性の向上と気化器の連続稼働可能時間の長時間化により生産性が向上した。
【0022】
実施の形態3.
本形態においては、二元以上の元素を含むセラミックス膜用のCVD液体原料を気化するための装置において、一つの気化器がそれぞれに噴霧ノズルをもつ複数の部屋と、複数の部屋の原料排出側に気化されたガスの逆流を防止するための混合板をもち、この混合板を経て複数の部屋が結合された原料混合室を有するものである。これにより、気化装置全体のコンパクト化が可能となった。また、気化器内部に混合板と混合室を持つので、従来は別途必要であったガスミキサーが不要となった。
【0023】
また、上記実施の形態1〜3は各々を任意に組み合わせることが可能で、たとえば実施の形態3の気化器内の一つの部屋において、実施の形態2のマイクロ波の照射を併用したり、または、実施の形態3の気化器の内の一つの部屋に対してのみ噴霧ノズルから、実施の形態1のような時分割送入を行ってもよい。あるいは実施の形態1〜3の全てを組み合わせてもよい。
【0024】
【実施例】
以下に、具体的な実施例を元に、さらに詳細に説明する。
【0025】
実施例1.
図1は本発明を用いてCVD液体原料を気化し、セラミックス膜としてBST系誘電体膜を成膜する場合の一実施例を示すCVD装置の構成図である。それぞれBa、Sr、Tiを析出するための液体原料は充填されたそれぞれの原料容器1a、1b、1cから導入され、液体供給器4a、4b、4cで供給量が設定される。液体供給器4a、4bを介して供給された原料(ここではBaとSr)は、液体切り替え送入機構7を介して、噴霧ノズル8、気化器9へ導入される。液体切り替え送入機構7は高速での特定のタイミングで液体流路の切り替えが可能な自動バルブであって、任意の設定時間の間隔で液体の切り替えを行い、必要で有れば切り替えの途中に全閉状態を設けることが可能である。ここではBaとSrが順次切り替えられて供給されることになる。一方、Ti原料は液体供給器4cで供給量が設定されたあと、噴霧ノズル8、気化器9へ導入される。この際に、ノズル8までは、いずれの原料も液体状態で導入され、ノズル8により加熱された気化器中に噴霧される。気化器9で気化された原料は、原料ガス供給管10を介して、排気装置16を有するCVD反応炉12のCVDガスノズル13へ導入される。一方、他の反応ガスも反応ガス供給管11から供給され、原料ガスとともにCVDガスノズル13中で混合されて、基板加熱ヒータ14上に設置された基板15上へ所望のBST膜が堆積、形成される。
本実施例においては、2つの液体原料の経路の切り替えが可能なものであるが、必要に応じ多数の経路の切り替えが可能なものも使用可能である。
【0026】
それぞれのDPM系原料をTHF(テトラヒドロフラン)に溶解し濃度0.1mol/LのBa、Sr、Tiの各原料液体を用意し用いた。本発明を適用した上記構成の装置を用い、気化温度250℃でそれぞれ各1Lの原料液体を使用し、三元混合液体を気化する従来法との比較を行った。液体切り替え送入機構7の切り替えタイミングは5秒とした。ただし、そのままではBa、Srの供給量が半分となってしまうので、Ba、Srの供給流量は3元混合時の2倍とした。このときのタイミングチャートを図2に示す。また、時分割送入の時間比が異なる場合はその比に応じて供給量を適宜調整し、単位時間あたりの原料供給量が混合気化時と同等となる様にする必要がある。
その結果、各気化器中の残渣生成量は大幅に減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)も減少した。しかも、気化器の連続稼働時間の長時間化により最終的な半導体メモリの生産性が向上した。
本実施例はBa、Sr、Tiの各原料液体のうち、混合液体気化とした場合に最も未気化残渣の生成を引き起こしやすいTiを独立気化、さらにBa、Srを交互切り替え送入とし、2つの気化器で3つの気化器を用いた各元独立気化と同等の効果を持たせたものである。これにより各原料の混合液体状態での加熱過程がなくなり、気化性の悪い複合酸化物の前駆体および多量体の形成が阻止されたものと考えられる。
【0027】
一方、BaとSrの交互送入による膜質の劣化は切り替えタイミングが長くなる程現れる傾向があるので、必要とする膜質に応じて適宜選択すればよい。また、切り替えタイミングが短い程、ノズル部分での液体状態での混合が起こり残渣の生成を引き起こしやすくなる。従って、この切り替え時の僅かな液体混合の問題は、切り替え途中に全閉状態を僅かな時間設定するか、洗浄用の溶剤(例えばTHFのみ)の送入過程を加える、あるいは液体送入に際し噴霧ガスを併用すればよい。切り替え途中に全閉状態を僅かな時間設定することが有効であるのは、気化器側が減圧状態である場合に、この操作によって液体切り替え送入機構と噴霧ノズル間の液体が気化器内へと吸い込まれ空隙状態となることによる。
図3には、Ba、Srの液体切り替え送入機構7に有機金属を含まないTHFを導入する構成を示したもので、2はTHF容器、5はTHF用供給器である。BaとSrの切り替えタイミングに適宜時THFを供給するあるいは、未成膜時にTHFのみ供給するようにすれば、残渣の発生を抑制、また発生した残渣も排除できる。
【0028】
実施例2.
図4は上記実施例1における気化器を1つとし、Ba、Sr、Tiの全てを液体切り替え送入機構7による交互気化とした場合の一部装置構成図である。実施例1よりも装置構成が簡略化されるこの場合でも、三元混合液体を気化する従来法と比較して未気化残渣の生成がかなり減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が大幅に減少すると共に、気化器の連続稼働時間の長時間化により最終的な半導体メモリの生産性が向上した。
また、原料供給器をさらに1つこの液体切り替え送入機構7に設け、洗浄用の溶剤(例えばTHFのみ)の送入過程を加えることで、残渣の生成はさらに減少した。
【0029】
実施例3.
実施例2と同じ構成の気化器系により本発明の気化方法を用いてCVD液体原料を気化し、PZT系誘電体膜を成膜した。Pb、Zr、TiのそれぞれのDPM系原料をTHFに溶解し濃度0.05mol/Lの各原料液体を用意した。気化温度200℃でそれぞれ各2Lの原料液体を使用し成膜を行った。その結果、三元混合液体を気化する従来法と比較して未気化残渣の生成がかなり減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が大幅に減少すると共に、気化器の連続稼働時間の長時間化により最終的な半導体メモリの生産性が向上した。
これは、本発明の気化方法とすることによりPb、Zr、Ti原料の混合液体状態での加熱過程がなくなり、気化性の悪い複合酸化物の前駆体および多量体の形成が阻止されたものと考えられる。また、洗浄用の溶剤(例えばTHFのみ)の送入過程を加えることで、残渣の生成はさらに減少した。
【0030】
本実施例において、実施例1と同様にTi原料のみを単独気化とすることによって、より完全な未気化残渣の低減が可能である。
【0031】
実施例4.
実施例2と同じ構成の気化器系により本発明の気化方法を用いてCVD液体原料を気化し、SBT系誘電体膜を成膜した。Sr、TaのそれぞれのDPM系原料、およびトリフェニルBiをTHFに溶解し濃度0.05mol/Lの各原料液体を用意した。気化温度220℃でそれぞれ各1Lの原料液体を使用して成膜を行った。その結果、三元混合液体を気化する従来法と比較して未気化残渣の生成が減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が大幅に減少すると共に、気化器の連続稼働時間の長時間化により最終的な半導体メモリの生産性が向上した。これは、本発明の気化方法とすることによりSr、Bi、Ta原料の混合液体状態での加熱過程がなくなり、気化性の悪い複合酸化物の前駆体および多量体の形成が阻止されたものと考えられる。また、洗浄用の溶剤(例えばTHFのみ)の送入過程を加えることで、残渣の生成はさらに減少した。
【0032】
実施例5.
以下に本発明の一実施例を図について説明する。図5は本発明の一実施例を示すCVD装置の構成図である。17は複数の液体原料を噴霧ノズル18を介して気化器19aに導く流路、20は気化器19aの内部に設置された気化器加熱ヒータ、21は気化ガス出口、22はマグネトロン用電源23により動作されるマグネトロン用発振管である。このように構成されたCVD原料気化装置を成膜装置の気化装置として使用した。ただし、各原料液体は図に示すように混合後に単一の本発明の気化器を用いて気化を行った。
【0033】
DPM系原料をTHFに溶解し濃度0.1mol/LのBa、Sr、Tiの各原料液体を用意し用いた。液体切り替え送入機構がなく気化器部分が図3の構成である以外は図1と同様の構成であるCVD装置を用い、各原料の流量を1ml/分とし、ヒータ温度250℃、マイクロ波出力500Wでそれぞれ各1Lの液体原料の気化を行った。その結果、同じ三元混合液体の気化であっても、本発明の気化方法を用いた気化装置は従来法と比較して各気化器中の残渣生成が大幅に減少した。これは、Ba、SrおよびTiの混合液体状態での加熱過程による気化であっても、マイクロ波による加熱を併用することにより液体の瞬間的な加熱気化が可能となり、気化性の悪い複合酸化物の前駆体および多量体の形成が阻止されたものと考えられる。
【0034】
上記実施例では混合液体のマイクロ波加熱による気化を行ったが、各原料液体の単独気化に複数の本気化装置を用いることによる、残渣生成のより精度良く抑制することが可能となる。
【0035】
実施例6.
以下に本発明の一実施例を図について説明する。図6は本発明の一実施例を示すCVD装置の構成図である。本発明においては一つの気化器19bがそれぞれに噴霧ノズルをもつ複数の部屋と、複数の部屋の原料排出側に気化されたガスの逆流を防止するための混合板をもち、この混合板を経て複数の部屋が結合された原料混合室を有するものである。図において、24、26は液体原料流路、25、27は噴霧ノズル、28、29は気化室、30は混合室、31は気化室28、29を分離する隔壁、32はそれぞれの気化室28、29で気化されたガスが混合室30から逆流しないようにするための混合板である。このように構成された気化器19bにBa,Sr系の原料を、さらに別の気化器9にはTi系の原料を実施例1に準じて導入し、BST膜を形成した。
【0036】
本発明の装置を用いて実施例1と同一の条件で成膜実験を行ったところ、気化器中の残渣生成は大幅に減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が減少した。また、集積した複数の気化器ブロックの下流側結合部において各々の気化ガスが相互に逆流することを防止するための混合板と均一なガス混合を行うための混合室を設けることにより、気化器における残渣生成の抑制を損なうことなく気化装置の省スペース化が可能となった。これにより、気化器の連続稼働時間を長くし最終的な半導体メモリの生産性を向上させることが可能となった。この混合板部分の構造としては、図7、8、9に示す様に多数の細孔を設けた板や、多数の細管を設けた板、および三次元網目構造を持つ多孔板などが使用可能である。図7において33は多数の細孔を設けた板、図8において34は多数の細管を設けた板、図9において35は三次元網目構造を持つ多孔板である。
【0037】
本実施例において、集積した複数の気化器ブロックの下流側結合部の混合板と混合室を設けず、各気化器の気化ガス出口近傍で結合し、混合するだけでも、各原料の独立気化と気化装置の省スペース化が可能となる。この場合、気化ガスの逆流による僅かな残渣の生成とともに、気化原料ガスの均一な混合が困難となる。従って、可能な限り、混合板と混合室を設ける方がよい。
【0038】
実施例7.
図10は本発明の別の実施例を示す装置の一部構成図であり、実施例6において、三つ原料を一つの気化器19cに導入できるようにしたものである。本発明の気化器構成において、36は液体原料流路、37は噴霧ノズル、38は気化室である。このように構成されたCVD原料気化装置を図1の成膜装置の気化装置として使用しBSTの成膜実験を行った。
【0039】
本実施例はBa、Sr、Tiの各原料液体の全ての原料を独立気化としたものである。DPM系原料をTHFに溶解し濃度0.2mol/LのBa,Sr,Tiの各原料液体を用意し用いた。本発明を適用した上記構成の装置を用い、気化温度250℃でそれぞれ各1Lの原料液体を使用し、三元混合液体を気化する従来法との比較を行った。その結果、未気化残渣の生成がほとんどゼロに近いくらいまでに減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が大幅に減少した。これにより、気化器の省スペース化と残渣生成の低減が同時に可能となった。
【0040】
実施例8.
図11は本発明の別の実施例を示す装置の一部構成図であり、本実施例の気化器19dは、実施例6の気化器19bに実施例5のマイクロ波源を搭載したものである。
本発明の装置を用いて実施例1と同一の条件でBSTの成膜実験を行った。なお、本気化器19dに導入されるのはBa,Sr系で、Tiは別の気化器に導かれる。ヒータ温度は250℃、マイクロ波出力は300Wとした。その結果、気化器中の残渣生成は大幅に減少し、パーティクルに起因する成膜の再現性低下(不良品発生)が減少した。また、集積した複数の気化器ブロックの下流側結合部において各々の気化ガスが相互に逆流することを防止するための混合板と均一なガス混合を行うための混合室を設けることにより、単独気化およびマイクロ波加熱による気化器内での残渣生成の抑制を損なうことなく気化装置の省スペース化が可能となった。これにより、気化器の連続稼働時間を長くし最終的な半導体メモリの生産性を向上させることが可能となった。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、二元以上の元素を含む薄膜形成用のCVD液体原料の気化装置を構成する気化器のうち、少なくとも一つの気化器において二つ以上の液体原料の時分割送入を行うことの可能な液体切り替え送入機構を設け、この機構により液体原料の時分割送入を行ったので、また、時分割で少なくとも二つの原料を一つの気化器に送入する工程において、さらに液体原料の溶媒を時分割で送入するようにしたので、気化器部分の複雑化をまねくことなく気化器における残渣の生成を抑制し、成膜の再現性を悪化させるパーティクルの生成の抑制、および気化器の連続稼働時間の長時間化により最終的な半導体メモリの生産性を向上させるという効果を奏する。
【0044】
以上の発明による気化装置をCVD装置に用いれば、装置の安定性が補償され、装置の連続可動時間を長くすることができ、また、形成された膜の特性も向上し、半導体メモリの生産性を向上させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1による気化装置を備えたCVD装置の構成を示した図である。
【図2】本発明の実施例1による気化装置を用いた場合の原料供給のタイミングチャートを示した模式図である。
【図3】本発明の実施例1による別の気化装置を備えたCVD装置の構成を示した図である。
【図4】本発明の実施例2による気化装置の構成を示した図である。
【図5】本発明の実施例5による気化装置を備えたCVD装置の構成を示した図である。
【図6】本発明の実施例6による気化装置を備えたCVD装置の構成を示した図である。
【図7】本発明の実施例6による別の気化装置の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施例6によるさらに別の気化装置の構成を示した図である。
【図9】本発明の実施例6によるさらに別の気化装置の構成を示した図である。
【図10】本発明の実施例7による気化装置の構成を示した図である。
【図11】本発明の実施例8による別の気化装置の構成を示した図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c 液体原料容器、 2 液体原料容器、
4a,4b,4c 液体供給器、 5 液体供給器、
7 液体切り替え送入機構、 8 噴霧ノズル、 9 気化器、
10 原料ガス供給管、 11 反応ガス供給管、
12 CVD反応炉、 13 CVDガスノズル、
14 基板加熱ヒータ、 15 基板、 16 真空排気、
17 液体原料流路、 18 噴霧ノズル、
19,19a,19b,19c,19d 気化器、
20 気化器加熱ヒータ、 21 気化ガス出口、
22 マグネトロン発振管、 23 マグネトロン用電源、
24,26,36 液体原料流路、 25,27,37 噴霧ノズル、
28,29,38 気化室、 30 混合室、
31 気化室隔壁、 32 混合板、 33 多数の細孔を設けた板、
34 多数の細管を設けた板、 35 三次元網目構造を持つ多孔板。
Claims (8)
- 二元以上の元素を含む薄膜形成用のCVD液体原料の気化方法において、供給量の制御されたそれぞれの液体原料のうち、少なくとも二つおよび液体原料の溶媒を時分割にて一つの気化器に送入し、該気化器において液体原料を気化することを特徴とするCVD用液体原料の気化方法。
- CVD液体原料が、Ba,Sr,Tiであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともBa,Srであることを特徴とする請求項1に記載のCVD液体原料の気化方法。
- CVD液体原料が、Pb,Zr,Tiであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともPb,Zrであることを特徴とする請求項1に記載のCVD液体原料の気化方法。
- CVD液体原料が、Sr,Bi,Taであって、時分割にて一つの気化器に送入される原料が、少なくともSr,Biであることを特徴とする請求項1に記載のCVD液体原料の気化方法。
- 二元以上の元素を含む薄膜形成用のCVD液体原料を気化する気化器を備えた気化装置において、少なくとも一つの気化器において、二つ以上の液体原料および液体原料の溶媒を時分割に送入する切り替え送入手段を備えたことを特徴とするCVD用液体原料の気化装置。
- 液体原料および液体原料の溶媒を独立に噴霧して気化器に送入する噴霧ノズルをさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載のCVD用液体原料の気化装置。
- 液体原料および液体原料の溶媒を一つの気化器内の独立の部屋に送入する切り替え送入手段と、前記独立の部屋で気化された原料を混合する部屋を有する気化器とを備えたことを特徴とする請求項5または6に記載のCVD用液体原料の気化装置。
- 液体原料容器から供給された液体原料の供給量を制御する供給量制御手段と、該供給量制御手段を介して供給された液体原料を気化するための装置であって、請求項5乃至7のいずれか1項に記載のCVD用液体原料の気化装置と、基板を設置し前記気化された原料を送入して前記基板上に堆積させるための反応容器とを備えたことを特徴とするCVD装置。
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