JP3577122B2 - 除去容易なキャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、容器口部から容易に除去することができるキャップに関するものであり、より詳細には容器とキャップとを分別廃棄するに際し、キャップを容器口部から容易に取り外すことができるキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のゴミ問題及び資源のリサイクル等の観点から、ゴミをその素材ごとに分別して廃棄することが必要になっている。従来より食品等の容器においては、内容物の保存性等の見地からガラス瓶や樹脂製容器が多く使用されており、この容器に成形性、取扱性等の見地から容器の材質とは異なる材質から成る樹脂製キャップが適用されている。
このような異素材から成る容器及びキャップにおいては、内容物がなくなり容器を処分する際には、キャップを容器から取外し、容器とキャップを分別して廃棄する必要がある。
【0003】
キャップを容器口部から容易に取外すことができるようにしたキャップも既に知られている。例えば、キャップ本体と上蓋から成り、キャップ本体のスカート部には外方に向かう把持片及び該把持片の位置の下端から上方に向かい次いで周方向に沿った薄肉部が設けられ、把持片を引っ張って薄肉部分を破断することによりキャップ本体が破壊され、容器口部からキャップ本体が取り外せるようにしたもの(実開平4−118348号公報)や、前記薄肉部がキャップ本体下端から斜め上方に向かったもの(実開平6−32353号公報)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなキャップにおいては、キャップを容器に固定するために、容器口部に設けられた係合用突起とキャップ本体内面に設けられた係合用突起を打栓操作により係合させる。この際キャップ本体の係合用突起は容器口部の係合用突起を乗り越えなければならないため、キャップ本体のスカート部はその径を増す方向に拡がって弱化部が破断されてしまうという問題がある。キャップ本体のスカート部は打栓時に周方向に拡がるため、上記の従来技術のように薄肉部がキャップの軸線方向に延びるものは、破断されやすいという傾向がある。
【0005】
従って本発明の目的は、キャップ破壊用の弱化線が打栓操作によって破断されることがないと共に、容器口部から除去容易なキャップを提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、頂板部及びスカート部から成り、頂板部に内容物取出用開口を形成するスコアが設けられている、容器口部に嵌合されるキャップ本体、キャップ本体頂板部を覆うように開閉可能に固定される上蓋から成るキャップにおいて、前記キャップ本体スカート部には、キャップを軸線方向に破断可能な弱化部が形成されており、該弱化部は縦方向に向く弱化線及び横方向に向く弱化線の組合せから成っていると共に、キャップ本体下端から上方に向かって延びていることを特徴とするキャップが提供される。
本発明によればまた、頂板部及びスカート部から成り、頂板部に内容物取出用開口を形成するスコアが設けられている、容器口部に嵌合されるキャップ本体、キャップ本体のスカート部外周に嵌合される環状側壁、及びキャップ本体の頂板部を覆うように開閉可能に環状側壁にヒンジ連結される上蓋から成るキャップにおいて、前記環状側壁には、ヒンジ連結部の両側から環状側壁下端まで延びる一対の環状側壁を軸線方向に破断可能な弱化部が設けられ、該弱化部が縦方向に向く弱化線及び横方向に向く弱化線の組合せから成ることを特徴とするキャップが提供される。
【0007】
本発明において、キャップ本体スカート部に設けられる弱化部は、縦方向(キャップのほぼ軸線方向)及び横方向(キャップのほぼ周方向)に向く弱化線を複数個組合せ、階段状または鋸刃状の弱化部とすることが特に好ましい。
また、かかる弱化部の一部に肉厚部分を設けておくことにより、更に打栓に対する強度を増すことも可能となる。
更に、キャップ本体スカート部内面に設けられた係合用突起が弱化部と交差する部分を切欠としておくことが特に好ましい。
【0008】
【作用】
キャップを容器口部に固定するには、前述した通り、容器口部に設けられた係合用突起とキャップ本体内面に設けられた係合用突起を打栓により係合させるため、キャップ本体の係合用突起が容器口部の係合用突起を乗り越えようとしてスカート部はその径を増加するように半径方向に拡がる。このため、キャップ本体スカート部には周方向の応力が作用し、キャップの軸線方向に設けられた弱化部は破断されやすい状態になるのである。
本発明のキャップにおいては、キャップ本体に設ける弱化部を縦方向(キャップのほぼ軸線方向)の弱化線と横方向(キャップのほぼ周方向)の弱化線との組合せとして設けることにより、横方向の弱化線が周方向の応力に対して抵抗となって、打栓時の破断を有効に防止することができるのである。
【0009】
本発明のキャップにおいて、弱化部は縦方向及び横方向の弱化線を組合せ、キャップ本体の下端から上方に向かって延びるものであれば本発明の目的を達成し得るが、特に縦方向及び横方向の弱化線を交互に複数個組合せ、階段状にしてキャップ本体の上方まで延びる弱化線とし、この弱化線に連なってキャップ本体の周方向に延びる弱化線を組合せたものを好適に使用できる。
また、縦方向の弱化線及び横方向弱化線は必ずしもキャップの軸線方向と垂直或いは平行である必要はなく、例えば、縦方向の弱化線は斜め上方を向いていてもよい。この場合には、前述した階段状弱化部の角度を更に鋭角にした鋸刃状の弱化部とすることもできる。また、後述する態様のように、弱化部の中間部分が単に斜め上方に向くものだけにすることもできる。
【0010】
本発明のキャップを容器口部から取り除くには、まずキャップ本体下端の縦方向弱化線を破断し、この部分から上方まで弱化線を破断していけばよい。本発明のキャップでは、上方まで弱化線が延びているため、弱化線を完全に破断すればキャップ本体は容易に容器口部から取り外すことが可能となるのである。
また、キャップ本体下端に設ける縦方向弱化線の代わりにスリットを設けることもできる。この場合にはそのままキャップ本体の下端を持上げることができ容器口部から更に簡単に取外すことができる。しかし、容器の使用時にはキャップとしての機能を有効に果たし、使用後において容器口部から容易に除去可能なキャップを提供するという本発明の目的からは弱化線はすべてスコアから形成することが好ましい。
【0011】
更に、弱化部の一部に肉厚の部分を設けておくことにより、弱化部の強度を更に強くすることもできる。このように弱化部の一部に肉厚の部分を設けることにより、弱化部の破断しやすさに影響を与えることなく、弱化部の打栓による破断をより有効に防止することが可能となるのである。
この場合、打栓時に破断しやすい縦方向の弱化線に肉厚の部分を設けることが特に好ましい。肉厚部は一箇所のみならず数箇所設けることが弱化部の打栓に対する強度を増す上で好ましいが、この場合には弱化部の破断しやすさを確保するため分散して設けることが好ましい。
【0012】
【実施例】
以下、本発明のキャップを添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のキャップのキャップ本体の一例を示す図であり、(A)は側断面図、(B)は底面図をそれぞれ表わす。
キャップ本体1は、頂板部2及びスカート部3から成り、頂板部2の中央部には開口予定部4を区画するスコア5が設けられ、スコア5で区画される部分(すなわち開口予定部4)には、開封時にスコア5を破断する手掛かりとなる開封用タブ6が設けられている。この開口予定部4の周囲には注出筒7が設けられている。この注出筒7は内容物が取出される際のノズルの役割を有すると共に、タブを引上げ開口を作成した後にキャップの外面が内容物で汚れないような役割を有している。また頂板部2の内面側にはスコア5より外周側に位置するインナーリング8が設けられ、スカート部3と共に容器口部を嵌合し、密封する。スカート部3の内周面には係合突起9が設けられている。
【0013】
スカート部3には、縦方向スコア10及び横方向スコア11が交互に設けられキャップ本体破壊用の弱化部が形成されている。この弱化部は、スカート部3の下端から先ず縦方向スコア10aから始まり、次いで横方向スコア11bと続き、最後は頂板部付近で軸線方向と垂直な長い横方向スコア11aで終るが、中間部分(最初の縦方向スコア10aに続く横方向スコア11bの終点部分と、最後の横方向スコア11aの始点部分の間)の縦方向に向く弱化線が斜線であるスコア12によって形成されている。この中間部分の斜めスコア12には肉厚部13が2か所設けられている。
【0014】
図2は、本発明のキャップのキャップ本体の他の一例を示す図であり、(A)は側断面図、(B)は底面図をそれぞれ表わす。
図2に示す具体例は、図1に示す例とキャップ本体に設けられた弱化部の態様のみが異なるものである。図2においては、縦方向スコア10はキャップ軸線方向に対して平行ではなく、中間部分が鋸刃状の形状で下端から上方に向かっている。図2に示す場合においても、キャップ本体下端から軸線方向と平行な縦方向スコア10aで始まり、スコア破断のための把持片を形成するために軸線方向と垂直なスコア11bを形成し、次いで鋸刃形状のスコアとなり、最後は頂板部付近で軸線方向と垂直な長い横方向スコア11aで終る。この態様においては縦方向スコアのみを斜めにしたが、もちろん横方向スコアも斜めにしても同様の効果を得ることができる。
【0015】
図3は、本発明のキャップのキャップ本体の他の一例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は底面図をそれぞれ示すものである。
図3に示す具体例も、図2と同様にキャップ本体に設けられた弱化部の態様のみが図1と異なるものである。図3も、図1及び2と同様に弱化部の始まりであるキャップ本体下端は軸線方向と平行な縦方向スコア10aで始まり、最後は頂板部付近で軸線方向と垂直な長い横方向スコア11aで終るが、その中間部分は縦方向スコア10aに続いて、横方向スコア11b次いで縦方向スコア10・・・と続いて階段状に上方に向かって横方向スコア11aに続いている。
【0016】
前述した例のように、弱化部が頂板部付近まで延びる場合には、弱化部とキャップ本体内面に設けられている係合突起は交差することになる。係合突起の部分は肉厚に形成されているため、そのままでは交差部分の弱化部は破断しにくくなるおそれがある。このため係合突起は完全な環状にしないで弱化部との交差部分に切欠を設けておくことが特に好ましい。
図4は、図3に示すキャップ本体において、弱化部の形状とキャップ本体スカート部の肉厚の関係を示したものであり、図3(A)でA〜Dに示す各位置でのスカート部の断面図をそれぞれ示している。図4において、図3(A)のD−D断面を示す(a)では、弱化線10a,11bはキャップ本体3の内面に設けられた係合突起9よりも下方に位置し、この部分の破断に係合突起9は関与しないので、係合突起9には切欠が設けられていない。C−C断面、B−B断面及びA−A断面をそれぞれ示す(b),(c),(d)においては、係合突起9に切欠が設けられており(図中では係合突起9がない状態として表わされる)、この部分の肉厚は係合突起が設けられているところよりも薄肉であるので、弱化線の破断を容易に行うことが可能となるのである。
【0017】
図5は、キャップ本体及び上蓋付環状側壁の2ピース構造から成る態様のキャップを示すものである。図5は上蓋を開いた状態の、上蓋付環状側壁及びキャップ本体の分解斜視図(一部断面で示す)を示すものであり、(A)は環状側壁及び上蓋を、(B)はキャップ本体をそれぞれ示すものである。
キャップ本体20は、頂板部21及びスカート部22から成っており、上蓋がヒンジに連結されておらず、弱化部が設けられていることを除けば前述したキャップ本体とほぼ同じ構造であるが、スカート部22には、その外周面には後述する環状側壁の係合突起が係合する環状凹部23、及び頂板部21に環状側壁のフランジが係合する係合凹部24が設けられていると共に、スカート部下端から上方に延びるスリット25,25が複数個設けられている。
【0018】
環状側壁30は、上端に周方向内側に張り出したフランジ31が設けられ、フランジ31がキャップ本体口部付近の係合凹部24と、環状側壁30の内面に設けられた係合突起32がキャップ本体の環状凹部23と係合する係合部を形成し、これらにより環状側壁30はキャップ本体20に固定されている。また、フランジ31には、上蓋40の内面側に設けられた係止用突起41と係止して上蓋40を固定する係止用突起33が設けられている。
上蓋40はヒンジ43を介して環状側壁30に開閉自在に連結されている。また環状側壁30に設けられたフランジ(係合突起)31には、ヒンジ43の部分に切欠44が設けられている。この切欠44に弱化部が続くことにより、環状側壁の破壊を容易に行うことができる。
図6は、図5に示すキャップのヒンジ部分を正面として示す側面図である。図6に示すように、このヒンジ43の両脇に向かって、下端から軸線方向のスコア10a、横方向スコア11、縦方向スコア10・・と階段状に延びる弱化部が2つ環状側壁30に形成されている。この態様においては、この環状側壁の切欠44に弱化部が続くことにより、環状側壁の破壊を容易に行うことができ、環状側壁30に設けられる弱化部の上端最終部分となるスコア10bはヒンジ43の両脇に続く縦方向スコアとなる。
【0019】
この態様のキャップにおいては、先ず開栓状態の上蓋をヒンジを中心に環状側壁下端方向に向けて引っ張り、環状側壁30に設けられた弱化線を破断すると、上蓋40と2つの弱化部で挟まれた部分45が環状側壁30から離脱するので、環状側壁をキャップ本体20から取り外すことができる。次いでキャップ本体20にはスリット25が設けられているので、環状側壁が取り外されれば容易に容器口部から取り外すことができるのである。
この態様のキャップは、2ピース構造であり、環状側壁がキャップ本体を覆ってキャップ本体を固定し、キャップ本体及び環状側壁が合体した状態で打栓に付されるものであるため、キャップ本体においては外側から環状側壁で拘束されているため、スリットを設けて取り外しやすくすることができ、また環状側壁においては直接打栓により力を受けにくいため、打栓によって弱化部が破断されにくいという利点を有している。
【0020】
本発明においては、上述した具体例に限定されることなく、種々の変更をすることができる。
例えば、上蓋はキャップ本体とヒンジで連結されていてもよいし、また、キャップ本体とは別個に成形されて、螺子等の係合手段によってキャップ本体と係合するようなものでもよい。
また弱化部は、スコアとして設けることが好ましいが、ミシン目のようなものでもよい。また弱化部破断のための把持片を形成してもよい。
更に、図5及び6に示した2ピース構造のキャップにおいても、環状側壁に設けられたキャップ本体との係合突起が弱化部と交差する場合は、その交差部分の係合突起に切欠を設けておくことが好ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、容器を廃棄する際に、容器口部から容易にキャップを取り外すことができる。しかもキャップを容器口部に取り付ける際の打栓操作によりキャップが損傷することも有効に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキャップのキャップ本体の一例の側断面図及び底面図である。
【図2】本発明のキャップのキャップ本体の他の一例の側断面図及び平面図である。
【図3】本発明のキャップのキャップ本体の他の一例の側断面図及び平面図である。
【図4】弱化部とスカート部の肉厚の関係を示す図である。
【図5】本発明のキャップの他の態様を示す斜視図である。
【図6】図5に示すキャップにおいて環状側壁のヒンジ部分の側面図を示す。
【符合の説明】
1 キャップ本体
3 スカート部
9 係合用突起
10 縦方向スコア
11 横方向スコア
12 斜線スコア
13 肉厚部
30 環状側壁

Claims (5)

  1. 頂板部及びスカート部から成り、頂板部に内容物取出用開口を形成するスコアが設けられている、容器口部に嵌合されるキャップ本体、キャップ本体頂板部を覆うように開閉可能に固定される上蓋から成るキャップにおいて、
    前記キャップ本体スカート部には、キャップを軸線方向に破断可能な弱化部が形成されており、該弱化部は縦方向に向く弱化線及び横方向に向く弱化線の組合せから成っていると共に、キャップ本体下端から上方に向かって延びていることを特徴とするキャップ。
  2. 前記キャップ本体のスカート部には、前記軸線方向に設けられた弱化部に連なって、キャップ本体の周方向に延びる弱化部が形成されている請求項1記載のキャップ。
  3. 頂板部及びスカート部から成り、頂板部に内容物取出用開口を形成するスコアが設けられている、容器口部に嵌合されるキャップ本体、キャップ本体のスカート部外周に嵌合される環状側壁、及びキャップ本体の頂板部を覆うように開閉可能に環状側壁にヒンジ連結される上蓋から成るキャップにおいて、前記環状側壁には、ヒンジ連結部の両側から環状側壁下端まで延びる一対の環状側壁を軸線方向に破断可能な弱化部が設けられ、該弱化部が縦方向に向く弱化線及び横方向に向く弱化線の組合せから成ることを特徴とするキャップ。
  4. 前記軸線方向に設けられた弱化部が縦方向に向く弱化線及び横方向に向く弱化線の複数個の組合せから成る請求項1乃至3のいずれかに記載のキャップ。
  5. 前記軸線方向に設けられた弱化部の一部が厚肉になっている請求項1乃至4のいずれかに記載のキャップ。
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