JP3576746B2 - 原稿押え装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、画像読み取り装置(スキャナ)等の画像処理装置に装着される原稿押え装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複写機、スキャナ等の原稿(画像)読み取り機能を有する画像処理装置において、原稿をコンタクトガラス上に載置して読み取る方式の装置の場合には、コンタクトガラス上に載置した原稿を押さえる板が設けられている。また、近年は、原稿載置台上に置かれた原稿をコンタクトガラス上の読み取り(露光)位置まで搬送し、露光終了後に機外へ排出させる自動原稿給紙装置(以下、ADFという)を装着した画像処理装置も増えている。この原稿押さえ用の板(以下、圧板という)あるいはADFは、通常、ヒンジを介して画像処理装置の本体に回動可能に装着され、コンタクトガラスの上面を開閉可能となっている。
【0003】
このような圧板又はADFを備える画像処理装置において、オペレータが原稿をコンタクトガラス上で位置決めしてセットしても、圧板又はADFを閉じる際に生じる風によって原稿が動いてしまうことが有り、オペレータが手で原稿を押さえながら圧板又はADFを(ADFの自動給紙機能を用いずに、ADFを圧板として用いる場合には)閉じなければならないという不具合がある。
【0004】
そこで、これを解決するための方策として、例えば実開昭60−11332号公報には、圧板を閉める際に原稿を手で押さえやすいように、中央部で中折れ可能な圧板が提案されている。この圧板によれば、原稿が圧板によって押さえられるまで手で原稿を押さえることが容易なため、原稿セット後の位置ズレを防止できる。
【0005】
また、実開平2−78942号公報には、2本の原稿スケールを平行にコンタクトガラス上に配置したものが提案されている。この装置によれば、原稿を2本のスケール間に挟み込み、動き難くすることができる。
【0006】
しかし、上記2つの従来技術では、部品構成が複雑となり、コスト面で不利である。コスト上昇を極力抑えて原稿の位置ズレを防ぐものとして、圧板下面に原稿押え部材とその原稿押え部材に装着されたシート部材とを有する原稿押え装置が提案されている。そのような原稿押え装置の一例を図9,10により説明する。
【0007】
図9は、従来の原稿押え装置の一例を装置正面から見た部分拡大図である。また、図10は、その原稿押え装置を側面から見た部分拡大図である。これらの図は、画像処理装置のコンタクトガラス16上を圧板11が閉鎖した状態を示している。コンタクトガラス16の横(図9の左)側には、画像処理装置の前後(奥行き)方向に延設された原稿スケール(手前スケール)15が設けられている。また、コンタクトガラス16の奥側(図10の右側)には、画像処理装置の左右方向(幅方向)に延設された原稿スケール(奥スケール)18が設けられている。圧板11の下面には、コンタクトガラス16を覆うような長方形の原稿押え部材(弾性部材)13が取り付けられている。その原稿押え部材13の下面には、コンタクトガラス16を覆うような長方形の原稿押えシート14が装着されている。なお、弾性部材13は、コンタクトガラス16の外縁に対応する四角い枠状に配置されることもある。
【0008】
この様に構成された原稿押え装置において、圧板11を閉じると、原稿押え部材13及びその下面に装着された原稿押えシート14によりコンタクトガラス16上に載置された原稿(図示せず)が押さえられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9,10に示す従来の原稿押え装置では、圧板11を閉じたときに、原稿押え部材13の端部が手前スケール15及び奥スケール18に乗り上げて圧縮され、原稿スケール15,18の単面付近に円弧状の空間A部及びD部が形成される。この空間A部及びD部が形成されるために、原稿スケール近傍では原稿が有効に押さえられず、原稿の端部付近がコンタクトガラス16に密着しないという問題が有った。原稿がカールしていたり端部が折れ曲がった原稿の場合には、原稿スケール近傍で原稿を有効に押さえられないことにより、原稿のカールや折れ曲がりを矯正することができず、処理画像に歪みが発生してしまう。
【0010】
また、圧板11を閉じる際に、原稿押えシート14が原稿よりも先に原稿スケール15,18に当接するため、原稿スケール近傍の原稿を保持することができず、さらには、原稿押えシート14が原稿スケール15,18に乗り上げて空気の逃げ道を塞ぐために、圧板閉鎖時に生じる風がコンタクトガラス16上の原稿に作用し、位置決めされて載置された原稿が移動してしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、従来の原稿押え装置における上述の問題を解決し、圧板を閉じる際に原稿が移動することがなく、また、原稿スケール近傍で原稿のカールや折れ曲がりを有効に矯正することのできる原稿押え装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、画像処理装置に装着され、画像処理装置のコンタクトガラス及び原稿セット基準部材の上面を開放及び閉鎖するよう移動可能な原稿押さえ圧板を備える原稿押え装置であって、前記圧板の下面に配設された弾性部材からなる原稿押え部材と、該原稿押え部材の下面に配設された原稿押えシートとを有する原稿押え装置において、前記原稿押えシートの前記基準部材に対応する辺を前記原稿押え部材から延出させ、該原稿押えシートが前記コンタクトガラス及び基準部材を覆うよう設けられ、前記原稿押えシートの延出部を斜め上方に折り曲げるための曲折部を、前記基準部材に平行して基準部材よりもシート内側に設け、前記圧板を閉じる際の前記原稿押えシートが前記コンタクトガラスに接触を開始する時点では前記原稿押えシートが前記基準部材に接触しないように、前記延出部の長さと前記原稿押え部材の非圧縮時の厚さによる前記延出部の曲げ角度が設定され、前記圧板を閉じる際に、前記原稿押えシートが前記基準部材に接する前に原稿に当接して、原稿を前記コンタクトガラスに圧接させることにより解決される。
【0013】
また、本発明は、前記の課題を解決するために、前記圧板を閉じた状態で、前記原稿押え部材が圧縮されることにより前記圧板が前記原稿押えシートの延出部端部を押え込むことにより、前記原稿押えシートが前記基準部材に押し付けられることを提案する。
【0014】
さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記原稿押えシートの曲折部に切欠溝を設け、原稿押えシートの弾性を小さくすることを提案する。
さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記原稿押え部材が、前記原稿押えシートの曲折部よりもシート内側に配設されていることを提案する。
【0015】
さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記基準部材がコンタクトガラスの複数辺に沿って複数設けられ交差する場合、該複数の基準部材に対応して前記原稿押えシートの複数辺に設けられる前記延出部の交差部に、該交差部が干渉しないよう切り込みを設けることを提案する。
【0016】
さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記圧板がヒンジを介して画像処理装置に装着され、前記弾性部材である原稿押え部材の前記ヒンジ近傍の部分を他の部分よりも弾性率を高く設けることを提案する。
【0017】
さらに、本発明は、前記の課題を解決するために、前記圧板がヒンジを介して画像処理装置に装着され、前記弾性部材である原稿押え部材の前記ヒンジ近傍の部分を他の部分よりも厚さを大きく設けることを提案する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明原稿押え装置の一実施形態が画像処理装置に装着された様子を示す正面図であり、図2は、その側面図である。これらの図では、原稿押え装置の圧板が閉じられた状態が示されている。
【0019】
図1,2において、画像処理装置(例えば複写装置)2の上面に配設されたコンタクトガラス6の横側(図1の左側)には、複写装置前後方向に延設された原稿スケール(手前スケール)5が設けられている。また、コンタクトガラス6の奥側(図2の右側)には、複写装置左右方向に延設された原稿スケール(奥スケール)8が設けられている。そして、複写装置2にはヒンジ10を介して圧板1が回動可能に装着されている。圧板1はヒンジの支点9を中心に回動し、コンタクトガラス6の上で原稿スケール5,8に突き当てられてセットされた原稿(図示せず)を押さえて、原稿をコンタクトガラスに密着させる。なお、この複写装置2では原稿セットは左奥基準となっている。
【0020】
圧板1の下面には長方形の(または、四角い枠状でもよい)弾性部材により形成された原稿押え部材3が装着されている。なお、本実施形態では、原稿押え部材3とは別部材の原稿押え部材7が奥スケール8と平行に圧板1に装着されている。原稿押え部材3及び7は例えば発泡ウレタン樹脂材料により形成される。それらの原稿押え部材3,7の下面には、コンタクトガラス16を覆うように長方形の原稿押えシート4が装着されている。白色に形成された原稿押えシート4としては、例えばポリエステルフィルムを用いることができる。原稿押えシート4は、例えば両面テープや接着剤により原稿押え部材3,7に貼付される。
【0021】
図3は、原稿押えシート4の形状を示すもので、(a)は平面形状を示す展開図、(b)はシートの端部付近を拡大して示す部分正面図である。
図3において、原稿押えシート4の左辺と上辺(複写装置の手前スケール5と奥スケール8に対応する二辺)の端部近傍にはスリット4aが設けられている。スリット4aは原稿押えシート4の上面の一部を切り欠いた溝状に形成されている。スリット4aで区切られたシート4の左辺部4Lと上辺部4Uは斜め上方に(圧板1の方向に)折り曲げられて、折り曲げ習性を与えられている。ここでは、シート4に直線状に設けられた折り曲げ部4bを曲折部と呼ぶことにする。本実施形態では、スリット4aが設けられていることにより左辺部4Lと上辺部4Uの折り曲げ習性が保持されやすく、また、折れ曲がる際の抵抗も少なくなるように構成されている。なお、スリット4aを設けずに、原稿押えシート4に折り曲げ習性を与える(曲折部4bを設ける)こともできる。
【0022】
原稿押えシート4の左上のコーナー部には、交差する左辺部4Lと上辺部4Uが折り曲げられる際にそのコーナー部(交差部)で干渉しないように2本の切り込み4cが入れられている。本実施形態では2本の切り込み4cは互いに交わらないV字形状に設けられているが、2本の切り込み4c相互の角度は本実施形態の鋭角のV字形状に限らず、90度又は90度以上に開いて設けても良い。ただし、2本の切り込み4cを交わらせた場合にはコーナー部が切断されてしまい、その場合には白色シート4のコーナー部が欠落することにより、複写時に影が形成される不具合が起きるため、適切ではない。
【0023】
ところで、原稿押えシート4は原稿押え部材3及び7の下面に装着され(接着剤・両面テープ等により貼付され)ている部材であるが、左辺部4Lと上辺部4Uの夫々の曲折部4bが原稿押え部材3及び7の下面端部にほぼ一致するように装着されている。その曲折部4bの外側の部分、すなわち左辺部4Lと上辺部4Uは原稿押え部材3及び7から延出して自由端となっている。その延出部の長さ、すなわち、図3における左辺部4Lの左右方向の長さと上辺部4Uの上下方向の長さは、夫々原稿押え部材3及び7の高さ(厚み)よりも大きくされている。このため、原稿押え部材3及び7から延出した原稿押えシート4の左辺部4Lと上辺部4Uは、図1及び2において、その上端部が圧板1の下面に当接し、左辺部4Lと上辺部4Uが斜めになった状態となっている。
【0024】
さて、この様に構成された原稿押え装置において、圧板1を閉じると、原稿押え部材3,7及びその下面に装着された原稿押えシート4によりコンタクトガラス6上に載置された原稿(図示せず)が押さえられる。
【0025】
図4は、圧板1が完全に閉じられる直前の手前スケール付近の様子を拡大して示す部分正面図で、図5は、圧板1が完全に閉じられたときの手前スケール付近の様子を拡大して示す部分正面図である。
【0026】
図4に示す圧板1が完全に閉じられる直前の状態では、原稿押え部材3(正確には、その下面に装着された原稿押えシート4)がコンタクトガラス6の上面に接しており、まだ原稿押え部材3は圧縮されていない。この状態から、図5に示すように圧板1が完全に閉じられると、弾性部材である原稿押え部材3が圧縮される。
【0027】
本実施形態では、図4,5に示すように、圧板1を閉じるときに、原稿押えシート4の曲折部4b(図3参照)が手前スケール5に乗り上げないように、曲折部4bの位置が原稿スケール5より右側(原稿押えシート4の内側)となるように、原稿押え部材3及び原稿押えシート4が設けられている。また、図4の状態で、左辺部4Lと手前スケール5とが接触せずに、両者の間に距離c(例えば1mm)の隙間ができるように、左辺部4Lの長さが決定されている。
【0028】
図4の状態から図5に示す(及び図4に二点鎖線で示す)ように圧板1が完全に閉じられると、原稿押え部材3が圧縮されることによりその高さ(厚み)が減り、左辺部4Lの上端が圧板1に押されて図中左方向に変位し(左辺部4Lの上端は圧板1に固定されておらず自由端となっている)、その結果、左辺部4Lは曲折部4bを支点として反時計回りに角度αだけ回動する。その回動の過程で左辺部4Lは手前スケール5の角部に当接し、圧板1が完全に閉じられたときには、圧板1で押さえられた左辺部4Lは手前スケール5に押し付けられ、図4に距離cで示す前述の隙間は消失する。
【0029】
圧板1が完全に閉じられた状態では、左辺部4Lの曲折部4bは手前スケール5から距離bのところに位置し、手前スケール5近傍のコンタクトガラス6上には小さな空間部Bが形成されることになる。この空間部Bは、図9に示す従来例における空間部Aよりも小さい。その理由は、図9の空間部Aが、弾性部材13が手前スケール15に乗り上げて変形したことにより形成される空間であるために、シート部材14がコンタクトガラス16と接触する位置が手前スケール15から遠く離れるのに対して、本実施形態における原稿押え部材3は手前スケール5に乗り上げておらず、原稿押えシート4の曲折部4bを手前スケール5の近傍に設けているために、原稿押えシート4がコンタクトガラス6と接触する位置を手前スケール5の近くとすることができるためである。
【0030】
次に、図6,7により奥スケール8付近の様子を説明する。図6は、圧板1が完全に閉じられる直前の奥スケール付近の様子を拡大して示す部分側面図で、図7は、圧板1が完全に閉じられたときの奥スケール付近の様子を拡大して示す部分側面図である。
【0031】
図6に示す圧板1が完全に閉じられる直前の状態では、原稿押え部材7の角部(正確には、その下面に装着された原稿押えシート4の曲折部4b)がコンタクトガラス6の上面に接しており、まだ原稿押え部材7及び3は圧縮されていない。この状態から、図7に示すように圧板1が完全に閉じられると、弾性部材である原稿押え部材7及び3が圧縮される。
【0032】
本実施形態では、図6,7に示すように、圧板1を閉じるときに、原稿押えシート4の曲折部4b(図3参照)が奥スケール8に乗り上げないように、曲折部4bの位置が原稿スケール8より装置手前側(原稿押えシート4の内側)となるように、原稿押え部材7及び原稿押えシート4が設けられている。また、図6の状態で、上辺部4Uと奥スケール8とが接触せずに、両者の間に距離e(例えば1mm)の隙間ができるように、上辺部4Uの長さが決定されている。
【0033】
図6の状態から図7に示す(及び図6に二点鎖線で示す)ように圧板1が完全に閉じられると、原稿押え部材3及び7が圧縮されることによりその高さ(厚み)が減り、上辺部4Uの上端が圧板1に押されて図中右方向に変位し(上辺部4Uの上端は圧板1に固定されておらず自由端となっている)、その結果、上辺部4Uは曲折部4bを支点として図中時計回りに角度βだけ回動する。その回動の過で上辺部4Uは奥スケール8の角部に当接し、圧板1が完全に閉じられたときには、圧板1で押さえられた上辺部4Uは奥スケール8に押し付けられ、図6に距離eで示す前述の隙間は消失する。
【0034】
圧板1が完全に閉じられた状態では、上辺部4Uの曲折部4bは奥スケール8から距離dのところに位置し、奥スケール8近傍のコンタクトガラス6上には小さな空間部Eが形成されることになる。この空間部Eは、図10に示す従来例における空間部Dよりも小さい。その理由は、先に図5の空間部Bについて説明した理由と同じである。
【0035】
この様に、本実施形態の原稿押え装置によれば、圧板1を閉じたときに手前スケール5及び奥スケール8近傍でコンタクトガラス6上に形成される空間部B及びEの大きさを小さくすることができるので、手前スケール5及び奥スケール8近傍で原稿をコンタクトガラス6に良好に密着させることができる(原稿押え部材3,7及び原稿押えシート4で押さえられない部分の面積を小さくすることができる)。通常、複写機等の画像処理装置においては、基準スケール(原稿スケール)が画像に現れないように(読み取られないように)基準スケール周辺を例えば2mmだけイレースして(電子写真方式では、イレーサにより潜像を消去して)いる。本実施形態では、空間部B及びEの大きさをこのイレース面の幅と同じにすることが可能であり、有効に押さえられない原稿端部での異常画像の形成等を防ぐことができる。
【0036】
また、圧板1を閉じる際に、原稿押えシート4が手前スケール5及び奥スケール8に接触する前に原稿を押さえるため、圧板閉鎖時に発生する風によって原稿が移動してしまうことが無い。しかも、圧板閉鎖時に、原稿押えシート4が原稿を押さえるまでに発生する風は、原稿押えシート4と手前スケール5及び奥スケール8との間に夫々距離c,eの隙間があることにより、その隙間から風が逃げ、原稿を移動させることがない。
【0037】
ところで、本実施形態において、奥スケール8に平行に設けられた原稿押え部材7は、それよりも装置手前側に設けられている原稿押え部材3より硬い(弾性係数の高い)部材で形成されている。原稿押え部材7の弾性係数が原稿押え部材3より高くても、原稿押え部材7の配設位置がヒンジ10の支点9に近いためにより大きな力で圧縮され、圧板閉鎖時には原稿押え部材3と同じ高さ(厚み)に圧縮される。このことにより、奥スケール8側で原稿はより強く押さえられてコンタクトガラス6に密着され、原稿端部のカールや皺をより強く矯正することができる。なお、原稿押え部材3と原稿押え部材7の硬さを同じにした場合でも原稿を押さえる効果は有している。
【0038】
また、先に、原稿押えシート4の左辺部4Lと上辺部4Uの夫々の曲折部4bが原稿押え部材3及び7の下面端部にほぼ一致するように装着されている、と述べたが、より正確には、原稿押え部材3及び7の端部(外側端部)は左辺部4Lと上辺部4Uの夫々の曲折部4bよりもシート内側の位置(手前スケール5及び奥スケール8から離れた位置)となるように配設されている。この構成により、圧板1を閉じたときに、原稿押え部材3及び7が原稿押えシート4の曲折部4bを押圧することが無い。もし、原稿押え部材3及び7の端部位置が原稿押えシート4の曲折部4bよりも外側の場合には、左辺部4Lと上辺部4Uの折れ曲がり(回動)がし難くなり、圧板1を閉じたときに原稿押えシート4の弾性により原稿を押圧する圧力が減少し、原稿を押さえる力が弱まってしまう。それと同時に、この構成により、左辺部4Lと上辺部4Uの折れ曲がり習性が弱まることも防いでいる。左辺部4Lと上辺部4Uの折れ曲がり習性が弱まった場合には、圧板1を閉じる際に早い時機に左辺部4Lと上辺部4Uが手前スケール5及び奥スケール8に当接して、圧板閉鎖時に発生する風が逃げる際の抵抗を増大させてしまう。
【0039】
なお、本実施形態では複写装置の手前スケールと奥スケールに対応して原稿押えシートの2辺に延出部(左辺部4L,上辺部4U)及び曲折部4bを設けたが、例えば、原稿セット基準が中央基準で手前スケール5のみに原稿を突き当ててセットするような装置の場合には、原稿押えシートの延出部及び曲折部を手前スケール5のみに対応して1辺だけに設けても効果があり、基準スケールに対応した数だけ原稿押えシートに延出部及び曲折部を設ければ良い。もちろん、原稿押えシートの3辺以上に延出部及び曲折部を設けた場合も同様の効果を得ることができる。
【0040】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
図8に示す原稿押え装置は、複写装置の奥スケール8に平行に設けられた原稿押え部材17の高さ(厚み)が手前側(図の左側)の原稿押え部材3よりも大きく、且つ、その弾性係数が原稿押え部材3と同じに設けられている。これ以外の構成は、前記実施形態と同様であるので、異なる部分を中心に説明する。
【0041】
原稿押え部材17の設置位置は原稿押え部材3よりもヒンジ10の支点9に近いので、圧板1の閉鎖時に、原稿押え部材17は原稿押え部材3よりも大きな力で圧縮される。そのため、原稿押え部材17が原稿押え部材3よりも厚さgだけ厚く設けられていても、圧板1を完全に閉じたときには両原稿押え部材は同じ厚さに圧縮される。これにより、コンタクトガラス6の奥側の位置において、原稿(図示せず)はより大きな力で押圧され、より有効にコンタクトガラス6に密着される。従って、原稿端部におけるカールや皺がより矯正されることができる。
【0042】
また、ヒンジ支点に近い奥側の原稿押え部材17が原稿押え部材3よりも厚い場合には、圧板1を閉じる際に、原稿押え部材17の奥側下面端部(原稿押えシートの曲折部4b)がより早く原稿に当接して原稿を押さえるので、原稿の移動がより確実に規制される。本実施形態では圧板閉鎖角δで原稿押え部材17の奥側下面端部(原稿押えシートの曲折部4b)がコンタクトガラス6(上の原稿)に当接するが、これは図6に示す前記実施形態の圧板閉鎖角γよりも大きく、より早く原稿が押さえられることが解る。なお、原稿押え部材17の弾性係数を原稿押え部材3より高くしても良い。
【0043】
以上、本発明を2つの実施形態により説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、圧板露光部と原稿を搬送しながら読み取る自動原稿露光部が別れて設置されているようなシートスルータイプのADFにおける、圧板部に本発明を適用することができる。また、複写装置以外にもファクシミリやスキャナ等に本発明を適用できることは言うまでもない。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の原稿押え装置によれば、圧板を閉じる際に、原稿押えシートが原稿スケールよりも先に原稿に当接して原稿を押さえることができる。また、圧板閉鎖時に生じる風は原稿押えシートと原稿スケールの間の隙間から逃げるので、原稿の移動が抑制される。さらに、圧板を閉じたときの原稿押えシートと原稿スケールの間の空間が小さくなり、スケール近傍の原稿をコンタクトガラスに密着させることができる。
【0045】
請求項2の構成により、圧板が閉じられた状態では原稿押えシートが原稿スケールに押し付けられるので、外部からの光の入射を防ぎ露光ムラを防止することができる。
【0046】
請求項3の構成により、原稿押えシートの延出部の折り曲げ習性が保持されやすく、また、折れ曲がる際の抵抗も少なくなり、風を逃がす際の妨げとならない。
【0047】
請求項4の構成により、原稿押えシートの延出部の折れ曲がりを妨げず原稿押圧力を減少させることがない。また、原稿押えシートの延出部の折り曲げ習性を弱めることもない。
【0048】
請求項5の構成により、原稿押えシートの延出部が複数ある場合、その延出部の交差する角部の干渉を防ぐことができる。
請求項6の構成により、ヒンジに近い側における原稿端部のカールや皺をより強く矯正することができる。
【0049】
請求項7の構成により、ヒンジに近い側における原稿端部のカールや皺をより強く矯正することができる。また、圧板を閉じる際に、ヒンジに近い側において原稿押え部材がより早く原稿に当接して原稿を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の原稿押え装置が画像処理装置に装着された様子を示す正面図である。
【図2】その原稿押え装置の側面図である。
【図3】その原稿押え装置の原稿押えシートの形状を示すもので、(a)は平面形状を示す展開図、(b)はシートの端部付近を拡大して示す部分正面図である。
【図4】その原稿押え装置における、圧板が完全に閉じられる直前の手前スケール付近の様子を拡大して示す部分正面図である。
【図5】その原稿押え装置における、圧板が完全に閉じられたときの手前スケール付近の様子を拡大して示す部分正面図である。
【図6】その原稿押え装置における、圧板が完全に閉じられる直前の奥スケール付近の様子を拡大して示す部分側面図である。
【図7】その原稿押え装置における、圧板が完全に閉じられたときの奥スケール付近の様子を拡大して示す部分側面図である。
【図8】本発明の他の実施形態の原稿押え装置を示す部分側面図である。
【図9】従来の原稿押え装置の一例を示す部分拡大図である。
【図10】その原稿押え装置を側面から見た部分拡大図である。
【符号の説明】
1,11 圧板
2 複写装置(画像処理装置)
3,13 弾性部材(原稿押え部材)
4,14 原稿押えシート
4a スリット(切欠き溝)
4b 曲折部(折り曲げ部)
4c 切り込み
4L 左辺部(延出部)
4U 上辺部(延出部)
5,15 手前スケール(原稿セット基準部材)
6,16 コンタクトガラス
7 弾性部材(原稿押え部材)
8,18 奥スケール(原稿セット基準部材)
9,19 支点
10 ヒンジ
Claims (7)
- 画像処理装置に装着され、画像処理装置のコンタクトガラス及び原稿セット基準部材の上面を開放及び閉鎖するよう移動可能な原稿押さえ圧板を備える原稿押え装置であって、前記圧板の下面に配設された弾性部材からなる原稿押え部材と、該原稿押え部材の下面に配設された原稿押えシートとを有する原稿押え装置において、
前記原稿押えシートの前記基準部材に対応する辺を前記原稿押え部材から延出させ、該原稿押えシートが前記コンタクトガラス及び基準部材を覆うよう設けられ、
前記原稿押えシートの延出部を斜め上方に折り曲げるための曲折部を、前記基準部材に平行して基準部材よりもシート内側に設け、
前記圧板を閉じる際の前記原稿押えシートが前記コンタクトガラスに接触を開始する時点では前記原稿押えシートが前記基準部材に接触しないように、前記延出部の長さと前記原稿押え部材の非圧縮時の厚さによる前記延出部の曲げ角度が設定され、
前記圧板を閉じる際に、前記原稿押えシートが前記基準部材に接する前に原稿に当接して、原稿を前記コンタクトガラスに圧接させることを特徴とする原稿押え装置。 - 前記圧板を閉じた状態で、前記原稿押え部材が圧縮されることにより前記圧板が前記原稿押えシートの延出部端部を押え込むことにより、前記原稿押えシートが前記基準部材に押し付けられることを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
- 前記原稿押えシートの曲折部に切欠溝を設け、原稿押えシートの弾性を小さくしたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
- 前記原稿押え部材が、前記原稿押えシートの曲折部よりもシート内側に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
- 前記基準部材がコンタクトガラスの複数辺に沿って複数設けられ交差する場合、該複数の基準部材に対応して前記原稿押えシートの複数辺に設けられる前記延出部の交差部に、該交差部が干渉しないよう切り込みを設けたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
- 前記圧板がヒンジを介して画像処理装置に装着され、前記弾性部材である原稿押え部材の前記ヒンジ近傍の部分を他の部分よりも弾性率を高く設けたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
- 前記圧板がヒンジを介して画像処理装置に装着され、前記弾性部材である原稿押え部材の前記ヒンジ近傍の部分を他の部分よりも厚さを大きく設けたことを特徴とする、請求項1に記載の原稿押え装置。
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-
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