JP3576723B2 - プリント装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッド部材を搭載して移動するキャリッジを備えたプリント装置に関し、特にヘッド部材のキャリッジへの着脱を行う手段を備えたプリント装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録ヘッド等を搭載して記録紙等のシート部材の搬送方向(副走査方向)と交差して略直交する方向(主走査方向)に移動するキャリッジを備えた、いわゆるシリアルプリンタにおいては、キャリッジへのヘッド部材の着脱をキャリッジのホームポジションもしくは操作者にとって着脱操作の行い易い位置でのみ可能とするものがあった。このようなプリンタにおいては、ヘッド部材の着脱を行うための操作部材をヘッド着脱位置でのみ操作可能とする機構を備えていた。
【0003】
例えば、特開平4−86264号公報に記載されているインクジェット記録装置では、記録ヘッドカートリッジをキャリッジから着脱する着脱機構と着脱機構の動作を規制する規制部材とをキャリッジに備え、更に、装置本体側には規制部材による着脱機構の規制を解除する部材を備えることによって、記録領域においてはヘッド部材のキャリッジからの着脱を規制し、記録領域外においてのみ着脱を可能にしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成によると、キャリッジに着脱機構の他に該着脱機構の動作の規制及び規制解除を行う規制部材を搭載しなければならず、キャリッジの構成の複雑化・大型化の原因となっていた。特に、フルカラー画像記録を行うためにキャリッジに複数個搭載されるヘッド部材夫々を個々に着脱する必要性、及び画像形成速度の向上に伴うキャリッジ移動速度の高速化等により、キャリッジに搭載されるヘッド部材の着脱機構の簡素化が求められていた。
【0005】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであって、キャリッジにヘッド着脱手段の着脱動作を規制する機構を設けることなく、キャリッジが所定位置に位置する際にのみヘッド部材のキャリッジからの着脱を可能とするプリント装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヘッド部材を搭載して移動するためのキャリッジと、前記キャリッジに配され、前記ヘッド部材が前記キャリッジに装着されて固定される第1操作位置と、前記ヘッド部材を前記キャリッジに着脱可能な第2操作位置と、に回動変位する着脱操作レバーと、前記キャリッジの移動領域に沿って配される筐体と、を備え、前記筐体は、前記キャリッジがヘッド部材着脱位置にあるときに前記着脱操作レバーの前記第2操作位置への回動変位を許容するとともに、該着脱操作レバーが該第2操作位置にあるときに前記キャリッジの移動を規制する切欠と、前記キャリッジが前記ヘッド部材着脱位置以外にあるときに前記着脱操作レバーの前記第2操作位置への変位を規制する部位と、を備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明に係るプリント装置の不図示のトップカバー(キャリッジの移動領域の上方を覆う装置の外装部材)を開放した状態であって、ヘッド部材装着固定状態を示す模式的斜視図である。
【0008】
図1において、1はプリント装置の下部外装筐体、2はヘッド部材4を搭載して不図示のプラテンのシート部材支持面に沿って該ヘッド部材4を移動させるためのキャリッジ、3は記録紙等を搬送する搬送路の上方を該搬送方向と交差して直交する方向へ不図示のタイミングベルト及びステッピングモータによって移動するキャリッジ2を摺動可能に支持する案内軸、5はキャリッジ4の移動領域の上方に位置する上部筐体、8は上部筐体5の前縁、9は前縁8に設けられ対向する2つの側面9aと突当面9bとで構成される切欠である。
【0009】
また、6は着脱操作キーであり、このキーを操作者が押し下げることにより、キャリッジ2は図1のようなヘッド部材着脱位置へともに不図示のタイミングベルトを介して伝達されるステッピングモータの駆動により移動させることができる。
【0010】
7は本発明に係る着脱手段としての着脱操作レバーである。
【0011】
図2は、図1と同様に不図示のトップカバーを開放した状態であって、ヘッド部材装着固定を解除した状態を示す模式的斜視図である。
【0012】
着脱操作レバー7はキャリッジ2に回動可能に変位するように設けられており、ヘッド部材4をキャリッジ2へ装着もしくは取り外す際に、操作者が回動変位させることにより、不図示の機構を介してヘッド部材4とキャリッジ2との装着固定もしくは固定解除を行うための部材である。着脱操作レバー7は、ヘッド部材4がキャリッジ2へ装着されて固定されている状態の際には図1に示す第1操作位置にあり、図2に示す第2操作位置に変位することで、例えば、前述の特開平4−86264号公報に記載されている着脱機構のような不図示の着脱のための機構を作動させることができ、ヘッド部材4とキャリッジ2との間の固定状態を解除してヘッド部材4をキャリッジ2に対して着脱可能な状態にする。
【0013】
ここで、切欠9は、キャリッジ2が本発明に係る所定位置であるヘッド部材着脱位置にあるときの着脱操作レバー7の回動変位範囲内に位置するように上部筐体5のキャリッジ2と対向する部位に設けられている。そしてこの切欠9は、回動変位する着脱操作レバー7を受容可能な大きさの2つの側面9aと突当面9bとで構成される空間内において、着脱操作レバー7が前述の第2操作位置へ位置し得るように構成されている。一方、キャリッジ2がヘッド部材着脱位置以外に位置する場合には、着脱操作レバー7は前縁8に当接してその回動変位を規制され、第2操作位置まで変位することができない。この構成により、事実上、ヘッド部材4のキャリッジ2に対する着脱操作は規制されることになる。従って、前縁8をヘッド部材着脱位置以外のキャリッジ移動領域に沿って設けることにより、着脱操作レバー7の第2操作位置への回動変位を規制し、ヘッド部材4の切欠9の設けられている位置以外でのキャリッジ2に対する着脱が規制されることになる。
【0014】
このヘッド部材着脱位置を記録領域(少なくともキャリッジの移動領域内であって、不図示のプラテンに支持される記録媒体に記録ヘッドによって記録が実行される領域)の外に設定することにより、特に記録ヘッドがインクジェット記録ヘッドの場合には、ヘッドの着脱操作時のインク漏れによりプラテンに配した記録媒体をインクで汚すことがない。また、ヘッド部材着脱位置をキャリッジの移動領域内であってプラテンが存在しない領域に設定した場合には、着脱操作時に読取ヘッドや記録ヘッドとプラテンとの当接によりヘッドが破損したり、インクジェット記録ヘッドの着脱操作時のインク漏れによりプラテンをインクで汚したりすることがない。
【0015】
また、回動変位する着脱操作レバー7に対する突当部としての突当面9bは、操作者が過って第2操作位置を越えて更に着脱操作レバー7を変位させようとした場合に、この第2操作位置を越えるような変位を規制して、着脱操作レバー7の回動機構等の破損を未然に防止することができる。また、側面9aは、ヘッド着脱部材4のキャリッジ2に対する着脱操作時等において、キャリッジが案内軸3に沿って移動する動きを規制することができる。
【0016】
尚、より好ましくは、着脱操作レバー7の位置が図1に示す位置から上部筐体5の前縁8に当接するまでの回動範囲においては、不図示の着脱機構はヘッド部材4をキャリッジ2に装着固定しているものとし(即ち、その回動範囲全域は、着脱レバー操作7の第1操作位置に相当する)、着脱操作レバー7が切欠9の内部に受容されるまで回動した後、不図示の着脱機構がヘッド部材4をキャリッジ2に対して装着もしくは取り外し可能とするものとする(第2操作位置)構成にすることで、仮に、ヘッド部材着脱位置以外にキャリッジ2がある場合に操作者が着脱操作レバー7を回動操作しても、着脱操作レバー7は前縁8に当接するので常に第1操作位置にあることになる。そのため、ヘッド部材着脱位置以外にキャリッジ2がある場合には、常にヘッド部材はキャリッジ2から外れかかった形態を取ることはなく、確実に装着固定された状態を維持することができる。
【0017】
また、ヘッド部材4としては、キャリッジ2に装着あるいは取り外しできる形態のものであれば、原稿を読み取る読取ヘッドであっても、記録紙あるいはプラスチック性シート等の記録媒体へ画像記録を行う記録ヘッドであってもよい。
【0018】
記録ヘッドとしては、感熱式、熱転写式、昇華式等があるが、小型化で高精細なフルカラー画像を高速プリントできるプリンタに最適な記録方式はインクジェット式である。インクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するインク吐出口を複数個配する吐出口形成面を、記録媒体(記録紙等)と所定の隙間(例えば、約0.5mm〜2.0mm程度)をおいて対面するようにキャリッジ2に装着され、各吐出口内部のインク液路の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体など)が配設されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体を駆動(通電)して、インク液路内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によってインク吐出口からインクを吐出させる記録手段が構成されている。
【0019】
このような記録手段を用いるインクジェットプリント装置においては、インクジェット記録ヘッドのインク吐出口は微細な口であるので、吐出口内方への気泡や塵埃の混入が生じた場合、あるいはインク溶剤の蒸発に伴う増粘等によってインクが吐出または記録に適さない状態となった場合等においても、非記録時にインクを吐出させたり、負圧を利用してインク吐出口からインクを吸引することで、吐出不良要因を除去する吐出回復処理が行われている。尚、本実施の形態では、非記録時にキャリッジ2を記録領域外へ移動させ、そこに設けられた不図示のキャップとインクジェット記録ヘッドのインク吐出口と対向させる。そして、インク吐出口からキャップ内へインクを吐出させて回復処理を行った後、キャップ内に吐出されたインクを不図示の吸引ポンプを用いてキャップ内から外へ排出している。
【0020】
このようなエネルギーを発生させる他のエネルギー発生手段としては、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いた記録方法、レーザ等の電磁波を照射して発熱させ該発熱による作用で液滴を吐出させるエネルギー発生手段を用いた記録方法などがある。
【0021】
しかしながら、それらのインク吐出エネルギー発生方法の中でも、熱エネルギーによって液滴を吐出させるインクジェット記録方法に用いられている記録ヘッドは、記録用の液体を吐出して吐出用液滴を形成するための液体吐出口を高密度に配列することができるため、高解像度の記録をすることが可能である。その中でも電気熱変換体をエネルギー発生源として用いた記録ヘッドは、コンパクト化も容易であり、かつ最近の半導体分野における技術の進歩と信頼性の向上が著しいIC技術やマイクロ加工技術の長所を十二分に活用でき、高密度実装化が容易で製造コストも安価なことから有利である。
【0022】
このようなインクジェット記録ヘッドの形態としては、インクジェットヘッド部と吐出用インクを貯留するインク貯留部(インクタンク)とを一体の筐体内に形成して両者を同時にキャリッジ2に対して装着もしくは取り外しする形態であっても、一方、インクジェットヘッド部とインク貯留部とを互いに分離可能であってインク貯留部からインクジェットヘッド部へインク供給可能となるように連結して用いる形態のものであってもよい。後者の形態のもにあっては、インクジェットヘッド部もしくはインク貯留部、あるいはその両者を同時にキャリッジ2に対して装着もしくは取り外しする際に着脱操作レバー7を操作する形態であってよい。
【0023】
また、本実施の形態では、キャリッジ2に搭載するヘッド部材4は2つであるが、搭載されるヘッド部材4の個数はこれに限られるものではなく、1個あるいは3個以上であってもよい。複数のヘッド部材4をキャリッジ2に搭載する場合は、▲1▼モノクロ(通常は黒色)インクを吐出するモノクロインクジェット記録ヘッド、▲2▼シアン、イエロー、マゼンダの3色(もしくは更に黒色を加えた4色)のインクを吐出するカラーインクジェット記録ヘッド、▲3▼原稿の画像を白黒画像情報として読み取るモノクロ読取ヘッド、▲4▼原稿の画像をフルカラー画像情報として読み取るカラー読取ヘッドのいずれかを適宜選択してキャリッジ2に搭載する形態であってもよい。
【0024】
また、複数のヘッド部材4をキャリッジ2に搭載する場合に、着脱操作レバー7は夫々のヘッド部材の着脱操作用として個々のヘッド部材4に対応して同数個設けられている形態であっても、一方、1つの着脱操作レバー7で複数のヘッド部材4の着脱操作を行う形態であってもよい。
【0025】
また、キャリッジ2に複数個の着脱操作レバー7が設けられている場合に、切欠9は、キャリッジ2がヘッド部材着脱位置にあるときに複数の着脱操作レバー7に対応して複数個設けられる形態であっても、一方、切欠9の個数が着脱操作レバー7の数より少ない場合であって着脱操作レバー7の回動変位範囲に切欠9が来るように適宜キャリッジを少しずつ左右に移動させる形態であってもよい。
【0026】
また、本実施の形態では、着脱操作キー6を操作者が押し下げることにより、キャリッジ2をヘッド部材着脱位置へ移動させる形態であったが、前述の不図示のトップカバーを開けることに連動して、マイクロスイッチ等の公知の開閉検知手段を介してキャリッジ2をヘッド部材着脱位置へ移動させる形態としてもよい。
【0027】
更に、本実施の形態では、シリアルプリント装置を用いて説明したが、本実施の形態のシリアルプリント機構を用いたワードプロセッサ、複写機、ファクシミリ等の装置の形態を採るものであっても同様に適用でき、同様の効果を奏し得るものである。
【0028】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によると、キャリッジにヘッド着脱手段の着脱動作を規制する機構を設けることなく、キャリッジが所定位置に位置する際にのみヘッド部材のキャリッジからの着脱が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態におけるプリント装置の着脱レバーがヘッド装着固定位置にある状態の模式的斜視図である。
【図2】実施の形態におけるプリント装置の着脱レバーがヘッド装着可能位置にある状態の模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 装置下部外装筐体
2 キャリッジ
3 案内軸
4 ヘッド部材
5 上部筐体
6 着脱操作キー
7 着脱操作レバー
8 キャリッジ上部筐体前縁
9 キャリッジ上部筐体切欠
9a キャリッジ上部筐体切欠の側面
9b キャリッジ上部筐体切欠の突当面

Claims (7)

  1. ヘッド部材を搭載して移動するためのキャリッジと、
    前記キャリッジに配され、前記ヘッド部材が前記キャリッジに装着されて固定される第1操作位置と、前記ヘッド部材を前記キャリッジに着脱可能な第2操作位置と、に回動変位する着脱操作レバーと、
    前記キャリッジの移動領域に沿って配される筐体と、
    を備え、
    前記筐体は、前記キャリッジがヘッド部材着脱位置にあるときに前記着脱操作レバーの前記第2操作位置への回動変位を許容するとともに、該着脱操作レバーが該第2操作位置にあるときに前記キャリッジの移動を規制する切欠と、前記キャリッジが前記ヘッド部材着脱位置以外にあるときに前記着脱操作レバーの前記第2操作位置への変位を規制する部位と、を有することを特徴とするプリント装置。
  2. 前記キャリッジの移動領域を覆うトップカバー部材を備え、前記トップカバー部材の開放に応じて、前記キャリッジは前記ヘッド部材着脱位置に移動することを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
  3. 前記キャリッジを前記ヘッド部材着脱位置に移動させる操作を行うための操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載のプリント装置。
  4. 前記切欠は、前記着脱操作レバーの前記第2操作位置を越える回動変位を規制する突当部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリント装置。
  5. 前記ヘッド部材は、原稿の画像情報を読み取る読取ヘッドであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント装置。
  6. 前記ヘッド部材は、記録媒体へ画像記録を行う記録ヘッドであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプリント装置。
  7. 前記ヘッド部材は、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項6に記載のプリント装置。
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