JP3576684B2 - インクジェットヘッド及びインクジェット装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置に関する。更に詳しくは、インク供給路を構成する部材の接合部に特定のエポキシ樹脂からなる封止材料が配されたインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えたインクジェット装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドでは、プリント媒体に吐出されるインクがインクタンクより吐出口までのインク供給路を構成する部材の接合部からインク漏れが生ずる場合があり、その場合漏れたインクがプリント媒体を汚染してしまう場合もある。また、インクジェットヘッドのインク流路中に気泡が存在すると、この気泡により吐出エネルギーが減衰され、正常な吐出が行なわれなくなる場合がある。こうしたことから、インクジェットヘッドにおいては、インク漏れやインク供給路中への気泡の混入を防止する目的で該インクジェットヘッドやそのインク供給路を構成する構成部材の接合部に封止材が設けられている。
【0003】
こうした封止材の設けられた従来のインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを搭載した装置の例を図2乃至図6に示す。
【0004】
図2は従来のインクジェットヘッドの一例を示す模式的斜視図である。図3は図2のインクジェットヘッドをインク流路に沿って切断したA−B切断面を矢印方向から見たインクジェットヘッドの主要部の断面図である。図4は図2に示したインクジェットヘッドの吐出エレメント部分の模式的斜視図である。図5は図4に示したインクジェットヘッドの吐出エレメント部分の模式的分解斜視図である。図6は図2に示したインクジェットヘッドを搭載したインクジェット装置の一例を示す模式的説明図である。
【0005】
図2において、1はインクジェットヘッドであり、このインクジェットヘッド1にはインクをヘッドに供給するためのインク供給ユニット2が接続されている。インク供給ユニット2は供給チューブ3を介してインクタンク5に接続されている。このインクタンク5はインクジェットヘッドを支持しているアルミベースプレート4を挟んで黒色インクを収納するインクタンク5Bと、イエロー、マゼンダ、シアンインクを収納するインクタンク5Cとからなっており、それぞれのインクタンクには前記供給チューブ3が接合されるための供給チューブ挿入部6を備え、前記インク供給ユニット2に対して脱着可能に連結されている。
【0006】
インクジェットヘッド1は図3乃至図5に示すように、シリコン基板101上には電気熱変換体である発熱素子103と発熱素子用配線とが薄膜形成技術を用いて形成されている。この電気熱変換体が形成されたシリコン基板上にはさらに感光性樹脂等の樹脂により形成されたインク流路壁及び共通インク室壁であるインク通路壁104がある。そして、このインク通路壁104によって形成された凹部を覆うようにガラス基板よりなる天板105が接着されてインク通路や共通インク室が形成されている。該天板105には共通インク入口部107となる開口が設けられており、この共通インク入口部107は天板105に接着されたインク用フィルター106によって覆われている。この天板105には封止材料110がディスペンサーやスクリーン印刷等によって塗布されており、前記共通インク入り口部には該封止材料110を介してインク供給ユニット2が接続されている。
【0007】
図6は図2のインクジェットヘッドをインクジェットヘッドカートリッジ(IJC)として装着したインクジェット装置(IJA)の一例を示す模式的説明図である。
【0008】
図6において、20はプラテン24上に送紙されてきた被プリント媒体であるプリント紙のプリント面に対向してインク吐出を行なうノズル群を具えたインクジェットヘッドカートリッジ(IJC)である。16はIJC20を保持するキャリッジHCであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2本のガイドシャフト19Aおよび19Bと摺動可能とすることにより、IJC20のプリント紙の全幅にわたる往復移動が可能となる。
【0009】
26はヘッド回復装置であり、IJC20の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する位置に配設される。伝動機構23を介したモータ22の駆動力によって、IJC20のキャッピングを行なう。また、プリント終了時等にキャッピングを施すことによりIJCが保護される。
【0010】
30はヘッド回復装置26の側面に配設され、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としてのブレードである。ブレード31はブレード保持部材31Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26と同様、モータ22および伝動機構23によって動作し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これにより、IJC20の記録動作における適切なタイミングで、あるいはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理後に、ブレード31をIJC20の移動経路中に突出させ、IJC20の移動動作に伴なってIJC20の吐出面における結露、濡れあるいは塵埃等をふきとるものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにインクジェットヘッドに設けられる封止材はインクに接する部分に設けられるため、封止材形成用の出発材料である封止材料を過度に塗布した場合、形成された封止材の一部がインク流路中に入り込んでしまう場合がある。このように封止材料がインク流路中に入り込んでしまった場合、最悪の場合ノズルの目詰まりにもつながる。そこで封止材料がインク流路中に入り込まないようにその塗布量を厳密に管理できるようにするために封止材は常温で液状である封止材料を用いて形成される。
【0012】
また、インクジェットヘッドにおける機能面からの要求としては、上述したような気密性及び液密性のほかに、低応力性及び高耐インク性が求められる。
【0013】
つまり、前述のように例えばインク通路壁のようなヘッドの構成部材として熱膨張率の大きな材料を用いる場合は、吐出エレメントの周囲に設けられた封止材に熱膨張による大きな応力がかかるため、この応力によって封止材がはがれてしまうことがある。そこで、封止材がこの応力を吸収することができるだけの低い弾性度(可撓性)を有するようにすることにより剥離の問題を解消している。この可撓性はインクジェットヘッドがワイピング等の回復処理等で受ける衝撃に対しても有効に働く。
【0014】
更に封止材はインクに直接接触する箇所に設けられるため、該封止材については、耐インク性が高いこと、すなわち、インクによって封止材の性能が劣化しないこと、そして封止材がインクの性能に悪影響を与える溶出物を発生しないこと、が必要とされる。
【0015】
このようにインクジェットヘッドに設けられる封止材は上述した封止材に対する要求が総合的に満たされて封止機能を十分に発揮するものであることが必要とされる。
【0016】
従来より上述した観点から封止材としてシリコーンゴムシーラントが用いられている。
【0017】
ところで、インクジェットヘッド内の前記共通インク室やインク流路に何らかの原因で気泡が入り込んでいる場合、通常、この気泡を除去するために、プリンター本体に設けられたタイマー及びマニュアル操作で動作する吸引ポンプ等の回復手段を用いてインクジェットヘッドの回復処理を行う。この時、特にエネルギー発生体よりインクの供給方向上流側に気泡が滞留していると相当の吸引力をもって回復処理を行う必要が生じる。一方、近年、装置の小型化が要求されていることからインクタンクの容量も少なくなる傾向がある。特にインクタンクをキャリッジ上に搭載するカートリッジタイプのインクジェット装置においてはこの傾向が顕著である。このようにインクタンクの容量が小さい場合、プリントに使用される用途以外には出来るだけインクを使用しないようにすることが望まれる。従って上述のような気泡排出のための回復処理は出来るだけ行わないことが好ましい。インクジェットヘッド内に上述のような気泡が混入する原因としては、インクジェットヘッドの製造工程中に混入する場合と、インク中に溶存していた気体が吐出時の温度上昇等によって遊離する場合が考えられるが、これらは製品出荷前に一度回復処理を行っておけば、使用中に気泡が混入していることはない。
【0018】
しかしながら、回復処理済のインクジェットヘッドを長時間未使用状態にしておく場合、インクジェットヘッド内に気泡が発生する場合がある。この原因は主としてインク供給路を構成する部材の接合部を封止する封止部からの空気の入り込みによる。
【0019】
すなわち、前記封止材として従来用いられるシリコーンゴムシーラントはガス透過性が高いため、通常の使用では問題のないものの、長期間の未使用状態においては開口部よりインクがわずかずつではあるが蒸発し、シリコーンゴムシーラントで気密性を保持している共通インク入口部とインク供給ユニットの継ぎ目部分等から、上記インクが蒸発した分の圧力差を補うため代わりに空気が侵入してくるため気泡が発生する。この場合には上述の回復処理が必要となる。そこで、インクジェットヘッドに用いられる封止材にガスバリア性に優れた材料であるエポキシ樹脂を用いることも考えられるが、エポキシ樹脂は一般に前述した応力の点で弾性度が高いことから、封止材の剥離を生ずることもあり、インクジェットヘッドに用いられる封止材としては好ましいものではなかった。
【0020】
一方、近年、インクジェット装置が、複写機や捺染装置といったプリンタの分野以外でも使用されるようになっており、OHPシートや布等の紙以外のプリント媒体にインクを付着させる場合がある。また、印字物により一層の耐水性を持たせることもある。このような場合、定着性や耐水性等を向上させる目的で、高いアルカリ性を示すインクが使われるようになってきている。すなわち、定着性や耐水性を向上させるためにはインクの染料や顔料として比較的溶剤に溶けにくい染料や分散しにくい顔料を用いることもあり、これらの染料及び顔料を使いこなすために高いアルカリ性を示すインクを用いることにより、染料については溶けやすくなり、また、顔料についてが分散安定性を良くなるものである。そして、このように高いアルカリ性を示すインクが使用されるに伴って、封止材の耐インク性の改善が求められている。実際に高アルカリインクを使用したインクジェットヘッドにおいて長時間未使用状態が続いた場合、インク流路内への気泡の混入量も従来よりも多くなっており、また、高アルカリインクを使用したインクジェットヘッドの封止部材を観察してみると、封止材の剥離も見受けられた。
【0021】
本発明は従来技術における上述した問題点を解決して改善されたインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置を提供することを主たる目的とする。
【0022】
本発明の他の目的は、インク供給路を構成する部材の接合部において液体及び気体のバリア性に優れ、且つ温度変化のある環境下においても該接合部に剥がれを生じず、また、耐インク性の高い封止材を用いたインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は気泡発生による回復処理を必要とせず、小型のインクタンクであってもインク使用量の優れたインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置を提供することにある。
【0024】
本発明の他の目的は、高アルカリインクを用いた場合であっても気泡の発生や封止材の剥離をもたらさない封止材を有するインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置を提供するものである。
【0025】
本発明の他の目的は、長期間の未使用状態においても優れた印字品質を維持することのできるインクジェットヘッド及び該インクジェットヘッドを備えるインクジェット装置を提供するものである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は下記の構成によって、前記目的を達成するものである。
【0027】
(1)常温で液状であるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂を主剤とし更に硬化剤を含有する樹脂組成物のうち、常温で液状である樹脂組成物を用いて形成された封止材を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
(2)前記硬化剤が芳香族アミン硬化剤である前記(1)項に記載のインクジェットヘッド。
(3)前記硬化剤が酸無水物である前記(1)項に記載のインクジェットヘッド。
(4)前記組成物が更にシランカップリング剤を含有する前記(1)項に記載のインクジェットヘッド。
(5)前記封止材がインク供給路を構成する構成部材の接合部に設けられる前記(1)項に記載のインクジェットヘッド。
(6)インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドの回復を行うための回復装置を有するインクジェット装置において、
前記インクジェットヘッドは、常温で液状であるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂を主剤とし更に硬化剤を含有する樹脂組成物のうち、常温で液状である樹脂組成物を用いて形成された封止材を有することを特徴とするインクジェット装置。
(7)前記硬化剤が芳香族アミン硬化剤である前記(6)項に記載のインクジェット装置。
(8)前記硬化剤が酸無水物である前記(6)項に記載のインクジェット装置。
(9)前記組成物が更にシランカップリング剤を含有する前記(6)項に記載のインクジェット装置。
(10)前記封止材がインク供給路を構成する構成部材の接合部に設けられる前記(6)項に記載のインクジェット装置。
【0042】
【発明の実施の形態】
本発明は従来技術における上述した問題を解決し、上記目的を達成すべく本発明者らが実験を介して鋭意検討を行った結果完成に至ったものである。
【0043】
すなわち、本発明者らはエポキシ樹脂の有する優れたガスバリア性に着目し、このガスバリア性を発揮させながら、エポキシ樹脂の有する応力の問題を改善し、更には耐インク性に関しても従来よりすぐれた性能を有する封止材の実現可能性を検討したところ、ポリサルファイド骨格を主鎖にもつエポキシ樹脂を主剤とする封止材料が、気密性、可撓性、高耐インク性に優れ、この封止材料をインクジェットヘッドのインク供給路を構成する部材の接合部分に用いた場合、長期間の使用において上述した回復処理を行わない場合であってもあるいは高アルカリインクを使用し長時間未使用状態が続く場合であっても、封止材の剥離もなく、安定したインク吐出が行える知見を得た。
【0044】
本発明の上記目的は、常温で液状であるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂を主剤とする組成物を用いて形成された封止材料を用いることにより達成される。
【0045】
即ち、本発明のインクジェットヘッドは、上述したポリサルファイド骨格を主鎖にもつエポキシ樹脂を主剤とする封止材料を有することを特徴とする。
【0046】
本発明のインクジェットヘッドは、電気熱変換体により電気エネルギーを与えて発熱させインクに状態変化を生ぜしめてインクの吐出を行わせる形態を包含する。
【0047】
また、本発明のインクジェットヘッドは、プリント媒体のプリント領域の全幅にわたって吐出口が複数設けられているフルラインタイプのものを包含する。
【0048】
また、本発明は、上記ポリサルファイド骨格を主鎖にもつエポキシ樹脂を主剤とする封止材料を有するインクジェット装置を包含する。
【0049】
本発明において、「封止材」とは、「インクジェットヘッドの封止部を湿気、振動、衝撃等の外的環境から保護し、同時に電気的絶縁や熱放散をよくする目的で使用される部材」を意味する。上述したように、本発明に係る封止材は、上述したエポキシ樹脂組成物(すなわち、実質的に上述したエポキシ樹脂と硬化剤からなる)で形成される。このエポキシ樹脂組成物は、シリカ、カーボンブラック等のフィラー、アエロジル等のチクソ化剤、顔料等の成分を必要に応じて含有することができる。
【0050】
上記の実施形態の詳細を実施例により説明する。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0052】
本発明実施例の封止材は上述したポリサルファイド骨格を主鎖にもつエポキシ樹脂を主剤とするエポキシ樹脂組成物である。
【0053】
ポリサルファイド骨格の構造式を以下に示す。
【0054】
【数1】
Figure 0003576684
【0055】
本実施例の封止材は、インクジェットヘッドに対して通常、上述したエポキシ樹脂組成物をディスペンサーやスクリーン印刷によって塗布して形成することから、該エポキシ樹脂組成物は常温で液状であることが必要とされる。特にインクジェットヘッドの場合、該エポキシ樹脂組成物を非常に狭い部分に流し込む必要も出てくるため、該エポキシ樹脂組成物は低粘度である必要がある。具体的な該粘度は10〜100000psである。
【0056】
本実施例において使用するポリサルファイド骨格を主鎖にもつエポキシ樹脂は、常温で液状であればいかなるものでも良い。このような樹脂としては、たとえばフレキシブルエポキシ樹脂 FLEP−60、FLEP−50(いずれも商標名:東レチオコール社製)を挙げることができる。
【0057】
また、本実施例において使用される硬化剤は通常エポキシ樹脂の硬化剤として機能するものが選択使用されるが、その中でも、耐インク性に優れた硬化剤として常温で液体である芳香族アミンもしくは酸無水物を主体とする硬化剤が好ましく用いられる。ここで、芳香族アミン硬化剤は一般には固体が多いがブレンドまたはアダクトして液化させたものを用いても良い。このような硬化剤を具体的に列挙すれば、芳香族アミン硬化剤としては、ジアミノジエチルフェニルメタン、樹脂アダクトして液化したエピキュア−Z(商標名:東京応化社製)、ジエチルジアミノフェニルメタンの変性物等、酸無水物硬化剤としては、ドデセニル無水コハク酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、トリアルキリテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
【0058】
また、前述したように封止材はある程度の低弾性度のものでなければならないが、本実施例におけるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂は一般のエポキシ樹脂に比べ比較的低い弾性度を示すため、封止材としての樹脂組成物としても優れた低弾性度を示すものである。ここで、封止材の好ましい弾性度としてはゴム硬度にして10〜90、更に好ましくは20〜70のものであれば良く、硬化剤についても最終的な樹脂組成物が上記範囲に入るよう適宜選択することが望ましい。
【0059】
本実施例の封止材を形成するについて使用するエポキシ樹脂組成物は、上述したエポキシ樹脂及び硬化剤を主成分とするが、該組成物は、必要に応じて無機充填剤、硬化促進剤、シランカップリング剤等を適宜含有することができる。
【0060】
本実施例の封止材は主にインクジェットヘッドのインク供給路の接合部に用いられるものであるが、インクタンクよりインクジェットヘッドまでのインク供給路の接合部分に用いても非常に優れた効果を示すものである。また、インクジェットヘッドの配線部分に用いることも構わない。
【0061】
本実施例は、特にインクジェットプリント方式の中でも、熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記録を行うインクジェットプリント方式のインクジェットヘッド、インクジェット装置に於いて、優れた効果をもたらすものである。
【0062】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されており、本実施例はこれらの基本的な原理を用いて行うものが好ましい。このプリント方式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である。
【0063】
このプリント方式を簡単に説明すると、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、プリント情報に対応して液体(インク)に核沸騰現象を越え、膜沸騰現象を生じる様な急速な温度上昇を与えるための少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、熱エネルギーを発生せしめ、インクジェットヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせる。この様に液体(インク)から電気熱変換体に付与する駆動信号に一対一対応した気泡を形成できるため、特にオンデマンド型のプリント法には有効である。この気泡の成長、収縮により吐出口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができる。インクジェットヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液流路、電気熱変換体を組み合わせた構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に開示されている様に、熱作用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものも本発明に含まれる。
【0064】
加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出口とする構成を開示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構成においても本発明は有効である。
【0065】
さらに、本発明が有効に利用されるインクジェットヘッドとしては、インクジェット装置が記録できるプリント媒体の最大幅に対応した長さのフルラインタイプのインクジェットヘッドがある。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示されているようなインクジェットヘッドを複数組み合わせることによってフルライン構成にしたものや、一体的に形成された一個のフルラインヘッドであっても良い。
【0066】
加えて、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプのインクジェットヘッド、あるいはインクジェットヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタイプのインクジェットヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0067】
又、本発明実施例のインクジェット装置に、予備的な補助手段等を付加することは、本発明のインクジェット装置を一層安定にすることができるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子、或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、プリントとは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう手段を付加することも安定したプリントを行なうために有効である。
【0068】
更に、インクジェット装置のプリントモードとしては黒色等の主流色のみをプリントするモードだけではなく、インクジェットヘッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせて構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0069】
以上説明した本発明の実施例においては、液体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるインクであっても用いることができる。上述のインクジェット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
【0070】
加えて、熱エネルギーによるヘッドやインクの過剰な昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するか又は、インクの蒸発防止を目的として放置状態で固化するインクを用いることも出来る。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化してインク液状として吐出するものやプリント媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質を持つインクの使用も本発明には適用可能である。
【0071】
このようなインクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シートの凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても良い。
【0072】
本発明実施例において、上述した各インクにたいして最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0073】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例であるインクジェットヘッドの主要部の断面図である。
【0074】
図中、2はインク供給ユニット、4はアルミベースプレート、101はシリコン基板、104はインク通路壁、105は天板、106はインク用フィルター、109は吐出口、110’は封止材料である。
【0075】
ポリサルファイド骨格を主鎖に持つフレキシブルエポキシ樹脂FLEP−60(東レチオコール社製)粘度170ps 100部に対して酸無水物硬化剤のリカシッドMH−700(新日本理化社製)粘度60ps 44部混合した樹脂組成物を作製し、該樹脂組成物を常法によって作成した図6のインクジェットヘッドの天板105にスクリーン印刷により50μmの厚さに塗布した後、インク供給ユニット2を接合し、室温で24Hr放置した後、80℃で5Hr硬化させ、インクジェットヘッドを作成した。硬化後の樹脂組成物のゴム硬度は70(JISA)であった。
【0076】
このように作成したインクジェットヘッドをキヤノン製インクジェットカートリッジBC−01に組み込んで、温度35℃、湿度10%の環境下に15日間放置した後、カートリッジ内のインクを使い切るまで印字したところ、印字不良や不吐出等は発生せず、泡の除去処理をせずとも最後まで良好な印字を行なうことができた。
【0077】
(実施例2)
樹脂組成物としてフレキシブルエポキシ樹脂FLEP−50(東レチオコール社製)粘度270ps 100部に対して酸無水物硬化剤のHN−2200(日立化成社製)粘度50ps 46部混合したものを用いて室温で24Hr放置した後、100℃で2Hrで硬化させた以外は実施例1と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。このインクジェットヘッドを実施例1と同様の条件で放置させた後印字させたところ印字不良や不吐出等は発生せず、泡の除去処理をせずとも最後まで良好な印字を行なうことができた。また、本実施例の硬化後の樹脂組成物のゴム硬度は55(JISA)であった。
【0078】
(実施例3)
樹脂組成物としてフレキシブルエポキシ樹脂FLEP−60(東レチオコール社製)粘度170ps 100部に対して芳香族アミン硬化剤のカヤハードAA(日本火薬社製)粘度20ps 23部混合したものを用いた以外は実施例2と同様にしてインクジェットヘッドを作製した。このインクジェットヘッドを実施例1と同様の条件で放置させた後印字させたところ印字不良や不吐出等は発生せず、泡の除去処理をせずとも最後まで良好な印字を行なうことができた。また、本実施例の硬化後の樹脂組成物のゴム硬度は60(JISA)であった。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エポキシ樹脂を使用してインクジェットヘッドのインク供給路を構成する部材の接合部分を封止する場合、該封止部を気密性に富み、剥離等の問題のないものとすることができ、常時安定したインク吐出がなされて高品質のプリントをもたらす所望のインクジェットヘッド及びインクジェット装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるインクジェットヘッドの主要部の断面図である。
【図2】従来のインクジェットヘッドの一例を示す模式的斜視図である。
【図3】図2のインクジェットヘッドをインク流路に沿って切断したA−B切断面を矢印方向から見たインクジェットヘッドの主要部の断面図である。
【図4】図2に示したインクジェットヘッドの吐出エレメント部分の模式的斜視図である。
【図5】図4に示したインクジェットヘッドの吐出エレメント部分の模式的分解斜視図である。
【図6】図2に示したインクジェットヘッドを搭載したインクジェット装置の一例を示す模式的説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 インク供給ユニット
4 アルミベースプレート
101 シリコン基板
104 インク流路壁
105 天板
106 インク用フィルター
109 吐出口
110’ 封止材料

Claims (10)

  1. 常温で液状であるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂を主剤とし更に硬化剤を含有する樹脂組成物のうち、常温で液状である樹脂組成物を用いて形成された封止材を有することを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記硬化剤が芳香族アミン硬化剤である請求項に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記硬化剤が酸無水物である請求項に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記組成物が更にシランカップリング剤を含有する請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記封止材がインク供給路を構成する構成部材の接合部に設けられる請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  6. インクを吐出するためのインクジェットヘッドと、該インクジェットヘッドの回復を行うための回復装置を有するインクジェット装置において、
    前記インクジェットヘッドは、常温で液状であるポリサルファイド骨格を主鎖に持つエポキシ樹脂を主剤とし更に硬化剤を含有する樹脂組成物のうち、常温で液状である樹脂組成物を用いて形成された封止材を有することを特徴とするインクジェット装置。
  7. 前記硬化剤が芳香族アミン硬化剤である請求項に記載のインクジェット装置。
  8. 前記硬化剤が酸無水物である請求項に記載のインクジェット装置。
  9. 前記組成物が更にシランカップリング剤を含有する請求項に記載のインクジェット装置。
  10. 前記封止材がインク供給路を構成する構成部材の接合部に設けられる請求項に記載のインクジェット装置。
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