JP3574689B2 - ダイスカスの発生を防止する方法 - Google Patents

ダイスカスの発生を防止する方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、水架橋性ポリオレフィン系樹脂成形物を製造する際に、ダイスカスの発生を防止する方法に関する。より詳しくは、本発明は、ダイスカスの発生を防止し、製品の外観をきれいにし、製品の品質を高める水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物、ダイスカスの発生防止方法、および前記水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物から得られる水架橋成形物に関する。本発明の水架橋成形物は、各種パイプ、電線ケーブル、各種成形品等として利用される。
【0002】
【従来の技術】
従来、架橋されたポリオレフィン系樹脂成形物を製造する方法としては、放射線をポリオレフィン系樹脂成形物に照射して架橋する方法、有機過酸化物を配合したポリオレフィン系樹脂成形物を有機過酸化物の分解温度以上に加熱し、架橋する方法が行われてきたが、放射線照射架橋法は、設備費が高い上、厚物の架橋が困難であり、また、有機過酸化物による架橋法も設備費が高く、設備費の安い架橋方法が求められていた。これに対し、ポリオレフィン系樹脂に不飽和アルコキシシランをグラフトし、シラノール縮合触媒の存在下で水分により架橋させる、いわゆる水架橋法が開発された(特公昭48−1711号公報参照)。この方法は、まず不飽和アルコキシシランをグラフトしたポリオレフィン系樹脂(以後、シラン変性ポリオレフィン系樹脂と呼ぶ)を押出機で製造し、次に別の押出機中でこのシラン変性ポリオレフィン系樹脂と酸化防止剤、カーボンブラック、シラノール縮合触媒、顔料、滑剤等と均一に混練し、ダイより押出し、成形物とする、いわゆる2工程Sioplas法であった。この方法は2工程を要し、コストアップとなるので、次に、一つの押出機に、全ての原料(ポリオレフィン系樹脂、不飽和アルコキシシラン、有機過酸化物、酸化防止剤、シラノール縮合触媒、その他の添加剤等)を投入し、これらの成分のすべてを押出機の胴部の最初の部分で混合し、混合が完了したならば該混合物を同一押出機の胴部の次の部分で不飽和アルコキシシランがポリオレフィン系樹脂にグラフト縮合を完了するまで加熱し、その後シラン変性ポリオレフィン系樹脂と他の添加剤を同一押出機の最後の部分で均一に混練し、ダイより押出し成形物とする、いわゆる1工程Monosil法が開発された(特公昭58−25583号公報参照)。この方法は、一工程であり、コストダウンとなり現在は、この方法により水架橋成形物が大量に製造されている。
【0003】
これらの方法では、成形物をつくるため押出機のダイスより押出し、成形物とするが、ダイス出口にダイスカスが発生し、これが押出された成形物の表面に付随していき、成形物の外観を悪くしたり、成形物が規格寸法から外れたりし、成形物の性能が悪くなったりする弊害があった。上記のダイスカスは、未反応の不飽和アルコキシシラン同士が重縮合した、アルコキシ基を持つオリゴマーであったり、またはこのオリゴマーのアルコキシ基が空中の水分と反応した架橋物であったり、または上記オリゴマーや架橋物と酸化防止剤、顔料、カーボンブラック、他の添加剤との反応物または吸着体であると考えられるが、不飽和アルコキシシランは必須の原料であるので、これを除外すれば解決するという問題ではなく、別の観点からの解決策を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、ダイスカスが発生すると、外観がよく、高品質の水架橋成形物が得られないので、ダイスカスの発生を防止する方法を提供することが本発明の課題である。また、本発明は上記のようにダイスカスの発生を防止し得る水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物、および該組成物から得られる水架橋成形物の提供をも課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前述した不飽和アルコキシシランに起因すると考えられるダイスカスは、不飽和アルコキシシランおよびこの重縮合体、およびこれらと有機過酸化物、酸化防止剤、顔料、カーボンブラック、シラノール縮合触媒、ポリオレフィン樹脂との反応物または吸着体等のマトリックス中での分散性およびダイスへの付着性と関係あることに注目し、各種の分散剤、滑剤、金属表面不活性剤、ゲル発生防止剤等を配合してみたところ、特定の2種類の添加剤を特定量配合した場合、すぐれた効果があることを見出し、さらに検討を重ね本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物をダイスより押出し、水架橋性ポリオレフィン系樹脂成形物を製造する際に、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、分子量20000〜200000のフッ素系ポリマー0.005〜0.5重量部と分子量10000〜30000のポリ(オキシアルキレン)ポリマー0.005〜0.5重量部を添加することを特徴とするダイスカスの発生を防止する方法に関する。
【0007】
また、本発明は水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部、分子量20000〜200000のフッ素系ポリマー0.005〜0.5重量部および分子量10000〜30000のポリ(オキシアルキレン)ポリマー0.005〜0.5重量部からなることを特徴とする水架橋性樹脂組成物に関する。
【0008】
さらに、本発明は上記本発明の水架橋性樹脂組成物を押出機より押出し成形物とし、水分に接触させて得られた水架橋成形物に関する。
【0009】
本発明において、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物とは、ポリオレフィン系樹脂、例えば高圧法低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アイオノマー、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、直鎖状超低密度エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1共重合体等を不飽和アルコキシシランとポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度にて有機過酸化物を用いて、該ポリオレフィン系樹脂に遊離ラジカル部位を発生させ、反応させることにより得られるものに、シラノール縮合触媒および必要に応じその他の添加剤、例えば酸化防止剤、カーボンブラック、顔料、滑剤等を配合して得られる組成物である。
【0010】
本発明において用いられる不飽和アルコキシシランは、例えば一般式RR′SiYで表されるものである。上記式中、Rはポリオレフィン系樹脂中に発生した遊離ラジカル部位と反応性である脂肪族の不飽和な炭化水素基またはハイドロカーボンオキシ基である。このような基の例としては、ビニル基、アリル基、ブチニル基、ジクロヘキセニル基、シクロペンタジエニル基を挙げることができ、ビニル基が好適である。また、Yは、例えばメトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基のようなアルコキシ基であり、そしてR′はオレフィン性不飽和を含まない一価の炭化水素基、基Yまたは水素原子である。
【0011】
上記不飽和アルコキシシランの例としては、以下のものが挙げられる:γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、アリルフェニルジエトキシシラン、メトキシビニルジフェニルシラン、ドデセニルジプロポキシシラン、ジデセニルジメトキシシラン、ジドデセニルメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルヘキソキシジメトキシシラン、ビニル−トリ−n−ブトキシシラン、ヘキセニル−トリ−n−ブトキシシラン、ビニル−トリス(n−ブトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ペントキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ヘキソキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ヘプトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−オクトキシ)シラン、ビニル−トリス(n−ドデシルオキソ)シラン、ビニル−ビス(n−ブトキシ)メチルシラン、ビニル−ビス(n−ペントキシ)メチルシラン、ビニル−ビス(n−ヘキソキシ)メチルシラン、ビニル−(n−ブトキシ)ジメチルシラン、ビニル−(n−ペントキシ)ジメチルシラン、アリルジペントキシシラン、ブテニルジデコキシシラン、デセニルジデコキシシラン、ドデセニルトリオクトキシシラン、ヘプテニルトリヘプキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、、ジビニルジエトキシシラン、ジアリル−ジ−n−ブトキシシラン、ペンテニルトリプロポキシシラン、アリル−ジ−n−ブトキシシラン、第二ブテニルトリエトキシシラン、β−メタクリルオキシエチル−トリス(n−ブトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(n−ドデシル)シラン。
なお、不飽和アルコキシシランはポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜3重量部配合される。
【0012】
使用する有機過酸化物としては、グラフト反応条件下でポリオレフィン系樹脂に遊離ラジカル部位を生成することができ、反応温度において6分より短い半減期、好ましくは1分よりも短い半減期を有する任意の化合物を使用でき、代表的なものとしては、ジクミルパーオキサイド、ジ−第三ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3等が挙げられる。有機過酸化物はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜0.75重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部配合される。
【0013】
本発明で使用するシラノール縮合触媒としては、シリコーンのシラノール間の脱水縮合を促進する触媒として使用されるものであり、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオリテート、酢酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、カプリル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、チタン酸エステル、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ビス(アセチルアセトニトリル)ジ−イソプロピルチタン−エチルアミン、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、ピリジン等が挙げられる。シラノール縮合触媒の配合量は、シラン変性を実施するポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.001〜10重量部程度であり、0.1〜5重量部が好ましい。
【0014】
本発明において、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物および水架橋性樹脂組成物を製造する方法としては、前述したように、2工程Sioplas法や1工程Monosil法が代表的なものである。すなわち、前者の方法では、不飽和アルコキシシランをグラフトしたポリオレフィン系樹脂を押出機でまず製造し、次に別の押出機で該グラフト共重合体、シラノール縮合触媒、酸化防止剤、顔料、滑剤等と均一に混練後、ダイより押出す。一方、後者の方法では、一つの押出機に、全ての原料(ポリオレフィン系樹脂、不飽和アルコキシシラン、有機過酸化物、シラノール縮合触媒、その他の添加剤等)を投入し、これらの成分のすべてを押出機の胴部の最初の部分で混合し、混合が完了したならば該混合物を同一押出機の胴部の次の部分で不飽和アルコキシシランがポリオレフィン系樹脂にグラフト縮合を完了するまで加熱し、その後シラン変性ポリオレフィン系樹脂と他の添加剤を同一押出機の最後の部分で均一に混練し、ダイより押出す。
【0015】
他の方法として、オレフィンモノマー(例えばエチレン)と不飽和アルコキシシランを重合反応器中で、ラジカル重合またはイオン重合で、共重合させオレフィン−不飽和アルコキシシラン共重合体(エチレンを用いた場合、エチレン−不飽和アルコキシシラン共重合体)を得て、これにシラノール縮合触媒、酸化防止剤、カーボンブラック、顔料、滑剤、界面活性剤等を配合して製造する方法がある。
【0016】
本発明において使用するフッ素系ポリマーとは、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン、二フッ化ビニリデン、一フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、含フッ素ビニルエーテル、エチレン、プロピレン、パーフルオロプロピレン等から選択された2種類以上のモノマーを共重合させて得た共重合体である。
【0017】
本発明におけるフッ素系ポリマーの例としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(3M社製Fluorel,デュポン社製VitonA,モンテエジソン社製Technoflon,ダイキン社製Dai−El)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(デュポン社製VitonB,ダイキン社製Dai−ElG−501)、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(旭硝子社製Aflas100,150)、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(3M社製KelF−3700)、フッ化ビニリデン−1−ヒドロペンタフルオロプロピレン共重合体(モンテエジソン社製Technoflon SL)、フッ化ビニリデン−1−ヒドロペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(モンテエジソン社製Technoflon T)等が挙げられる(上で製造会社の次に記載の名称はいずれも商品名である)。
【0018】
フッ素系ポリマーの分子量は20000〜200000の範囲である。20000未満では、ダイスカスが発生しやすく、200000を越えるものは、ポリオレフィン系樹脂等との相溶性が悪く結果的にダイスカスが発生しやすくなり、望ましくない。
【0019】
本発明において使用されるポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の重合ユニットを持つポリマーであり、末端基は、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、水酸基、アシル基、水素原子等から選択されたものであり、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン−アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン高級脂肪酸アルコール、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン第2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシメチレングリコール、ポリオキシメチレン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレングリコール、ポリブチレンオキサイド、ポリオキシエチレンポリオキシブチレンブロックコポリマー等が挙げられる。
【0020】
上記ポリ(オキシアルキレン)ポリマーの分子量は5000〜100000、好ましくは10000〜30000の範囲である。5000未満であると熱安定性が悪く、成形品の表面にブリードしやすく、また空中の水分を吸着するので、押出機中で早期水架橋を起しダイスカスを発生し、望ましくなく、100000を越えると分散性が悪く、望ましくない。
【0021】
本発明において、フッ素系ポリマーは水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、0.005〜0.5重量部配合する。0.005重量部未満であるとダイスカス防止効果がなく、0.5重量部を越えるとダイスカス防止効果が飽和点に達し、経済性がない。
【0022】
本発明において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、0.005〜0.5重量部配合する。0.005重量部未満であると、ダイスカス防止効果がなく、0.5重量部を越えると、ダイスカス防止効果が飽和点に達し、経済性がなく、また表面にブリードし、白化やべとつきの原因となり望ましくない。
【0023】
また、本発明において、フッ素系ポリマーとポリ(オキシアルキレン)ポリマーとの配合比率は、特に限定されないが、2:8〜8:2の範囲が経済性があり、好ましい。
【0024】
本発明において、フッ素系ポリマーやポリ(オキシアルキレン)ポリマーの配合は、直接、他の原料、例えば、ポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物、不飽和アルコキシシラン等に混合しても、シラン変性ポリオレフィン系樹脂に配合してもよく、また、フッ素系ポリマーおよび/またはポリ(オキシアルキレン)ポリマーとポリオレフィン系樹脂からつくったマスターバッチとして、1工程Monosil法、2工程Sioplasのプロセスの途中で配合してもよい。マスターバッチとする場合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部にフッ素系ポリマーおよび/またはポリ(オキシアルキレン)ポリマーを1〜10重量部配合したものが好適である。1重量部未満であると、マスターバッチの使用量が増加し、経済性がなく、10重量部を越えると分散性が悪くなり望ましくない。
【0025】
上記のように、本発明はフッ素系ポリマーおよびポリ(オキシアルキレン)ポリマーの配合によりダイスカスの発生の防止を可能としたものであるので、これらを水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物に配合した組成物からなる製品として流通させ得ることはもちろんであるが、シラノール縮合触媒を配合していない、シラン変性ポリオレフィン系樹脂組成物またはシラン変性していないポリオレフィン系樹脂組成物にフッ素系ポリマーおよびポリ(オキシアルキレン)ポリマーを配合した組成物からなる製品として流通させることもでき、この場合も、押出機からの押出によりダイスカスの発生は十分に防止される。
【0026】
本発明の水架橋成形物は、上記本発明の水架橋性樹脂組成物の製造において最終的にダイより押出すことにより、所望形状に成形され、次いで水架橋を行うことにより製造される。この水架橋は成形物を水分と接触させることにより行われ、常温〜200℃、好ましくは常温〜100℃の水(液体または蒸気)と10秒〜10日程度、好ましくは1分〜1日程度接触させることからなる。
【0027】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の要旨を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
〔フッ素系ポリマーとポリ(オキシアルキレン)ポリマーを含有するマスターバッチの調製〕
分子量70000のフッ素系ポリマー(デュポン社製,商品名バイトンA)1.1重量部と分子量20000のポリエチレングリコール(日本油脂製,商品名ニッサンポリエチレングリコール#20000)2.2重量部を直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体(日本ユニカー製,商品名NUCG−9301)100重量部に配合し、バンバリーミキサーで150℃、10分間混練し、穴アキダイスより水中に押し出し、回転カッターで切断し、直径3mm、長さ3mmの円柱状ペレットを得た(以下、マスターバッチペレットと呼ぶ)。
【0028】
〔シラノール縮合触媒マスターバッチの調製〕
直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体(日本ユニカー製,商品名NUCG−9301)100重量部に対し、ジブチル錫ラウレート1重量部およびフェノール系酸化防止剤であるテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ハイドロオキシフェニル)プロピオネート〕メタンを2.4重量部配合し、バンバリーミキサーで150℃、10分間混練し、穴アキダイスより水中に押出し、回転カッターで切断し、直径3mm、長さ3mmの円柱状ペレットを得た(以下、触媒マスターバッチペレットと呼ぶ)。
【0029】
〔水架橋性ポリオレフィン系樹脂成形物の製造およびダイスカス発生防止効果の評価〕
気相法で製造した直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合体(日本ユニカー製,ユニポール法で製造,密度0.920g/ml,メルトインデックス0.76g/10分,ペレット状)100重量部、触媒マスターバッチペレット5重量部、フッ素系ポリマーとポリ(オキシアルキレン)ポリマーを配合したマスターバッチペレット1重量部を混合し、ジクミルパーオキサイド0.12重量部とビニルトリメトキシシラン1.7重量部を押出機ホッパー下で添加混合し、混合物を65mmφ押出機(口金内面クロムメッキのダイ付き)に導入し、下記条件で押し出し、外径3mmの銅導体上に厚さ0.5mmのポリエチレン系半導電層が被覆されている外周に絶縁体厚2mmとなるように押出被覆し、80℃の温水中に8時間浸漬して架橋絶縁電線を得た。ゲル分率は72%、引張強さ2.2kg/mm、伸び540%であり、水架橋物は電線絶縁層として良好な物性であった。ダイスカスの発生は、操業開始後30時間経過してもほとんど認められなかった。
Figure 0003574689
【0030】
実施例2
実施例1において、フッ素系ポリマーとポリ(オキシアルキレン)ポリマーを含有するマスターバッチペレットの配合量を0.5重量部に代えた以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、ダイスカスは操業開始後20時間経過するまでは大きな発生が全く認められなかった。なお、20時間経過後、ダイスカスは少量発生したが、製品の外観に悪影響を及ぼすほどのものではなかった。
【0031】
実施例3
実施例1において、マスターバッチペレットの配合量を2.5重量部に代えた以外は実施例1と同様な実験を行ったところ、ダイスカスは操業開始後40時間経過するまで発生は全く認められなかった。
【0032】
実施例4
実施例1において、マスターバッチペレット中のフッ素系ポリマーおよびポリエチレングリコールの量をそれぞれ2.2重量部および1.1重量部に代えた以外は、実施例1と同様な実験を行ったところ、操業開始後25時間経過するまではダイスカスは発生しなかった。その後、少量ダイスカスが発生したが、製品の外観に悪影響を与えるほどのものではなかった。
【0033】
実施例5
実施例1において、直鎖状低密度エチレン−ブテン−1共重合のペレット状物を、グラニュラー状物(表面積1000cm/g,かさ密度0.4g/ml,平均粒径0.8mm,日本ユニカー製,ユニポール法で製造,密度0.920g/ml,メルトインデックス0.76g/10分)に代え、各マスターバッチペレットを同じ組成の粉状物(平均粒径0.1mm)に代えた以外は実施例1と同様な実験を行ったところ、実施例1より良好な結果が得られた。
【0034】
比較例1
実施例1においてマスターバッチペレットの配合量を、フッ素系ポリマー量換算で0.003重量部に相当する量まで減らした以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、操業開始後数時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0035】
比較例2
実施例4においてマスターバッチペレットの配合量を、ポリエチレングリコール量換算で0.003重量部に相当する量まで減らした以外は、実施例4と同様の実験を行ったところ、操業開始後数時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0036】
比較例3
実施例1においてフッ素系ポリマーを分子量10000のものに代えた以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、操業開始後6時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0037】
比較例4
実施例1においてフッ素系ポリマーを分子量250000のものに代えた以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、操業開始後1時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0038】
比較例5
実施例1においてポリエチレングリコールを分子量3000のものに代えた以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、操業開始後2時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0039】
比較例6
実施例1においてポリエチレングリコールを分子量150000のものに代えた以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、操業開始後6時間でダイスカスが発生し、その後、ダイスカスは大量に増え、成形物の外観に悪影響を与えた。
【0040】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明においては、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物という非常に成形加工時にダイスカスを発生しやすい組成物に、特定のフッ素系ポリマーと特定のポリ(オキシアルキレン)ポリマーを特定量配合することにより、成形加工時において、ダイスカスの発生を抑制でき成形品の外観や品質を損うことなく長時間連続操業ができ、コストダウンを図ることができるという効果を奏する。また、本発明において、原料のポリオレフィン系樹脂をグラニュラー状の形態で用いたり、その他の成分またはそのマスターバッチを、粉状に粉砕して用いると、さらに良好な結果が得ることができる。
【0041】
本発明により得られる水架橋成形物は、外観が美しく、高品質のものであり、温水用パイプ、水道水用パイプ、温泉用パイプ、農業用パイプ、暖房用パイプ、電線ケーブル、各種成形品等として好適に利用できる。

Claims (3)

  1. 水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物をダイスより押出し、水架橋性ポリオレフィン系樹脂成形物を製造する際に、水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して、分子量20000〜200000のフッ素系ポリマー0.005〜0.5重量部と分子量10000〜30000のポリ(オキシアルキレン)ポリマー0.005〜0.5重量部を添加することを特徴とするダイスカスの発生を防止する方法。
  2. 水架橋性ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部、分子量20000〜200000のフッ素系ポリマー0.005〜0.5重量部および分子量10000〜30000のポリ(オキシアルキレン)ポリマー0.005〜0.5重量部からなることを特徴とする水架橋性樹脂組成物。
  3. 請求項2記載の水架橋性樹脂組成物を押出機より押出し成形物とし、水分に接触させて得られた水架橋成形物。
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