JP3574301B2 - パターン照合装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、空間周波数特性に基づいてN次元のパターン〔例えば、指紋(2次元)、立体(3次元)〕の照合を行うパターン照合装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータ室や重要機械室への入退室管理、コンピュータ端末や銀行の金融端末へのアクセス管理などの個人認識を必要とする分野において、これまでの暗証番号やIDカードに代わって、指紋照合装置が採用されつつある。
【0003】
本出願人は、先に特願平7−108526号として、パターン照合装置を提案した。このパターン照合装置では、登録パターンの画像データに2次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエ画像データを作成し、照合パターンの画像データに2次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエ画像データを作成し、登録フーリエ画像データと照合フーリ画像データとを合成し、これによって得られる合成フーリエ画像データに対して2次元離散的フーリエ変換を施し、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データに出現する相関成分エリアよりそのスペクトラム強度の高い上位n画素を抽出し、この抽出したn画素のスペクトラム強度の平均を相関値としてしきい値と比較し、登録パターンと照合パターンとの照合を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このパターン照合装置では、登録パターンと照合パターンとの間に6度以上の回転ずれがあると、登録パターンと照合パターンとが同一であるか否かを識別することができない。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、登録パターンと照合パターンとの間に回転ずれがあっても、登録パターンと照合パターンとが同一であるか否かを識別することのできるパターン照合装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、第1発明(請求項1に係る発明)は、登録パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエN次元パターンデータを作成し、照合パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエN次元パターンデータを作成し、登録フーリエN次元パターンデータおよび照合フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータおよび照合フーリエN次元パターンデータに対して、その位相の符号を振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ抽出したうえで、その座標系を極座標系に変換し、極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータと照合フーリエN次元パターンデータとを振幅抑制相関法によって照合し、この照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量を求め、この求められた回転ずれ量に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで登録パターンと照合パターンとを振幅抑制相関法によって再度照合するようにしたものである。
この発明によれば、登録パターンのN次元パターンデータ(R)にN次元離散的フーリエ変換が施されて登録フーリエN次元パターンデータ(R F )が作成され、照合パターンのN次元パターンデータ(I)にN次元離散的フーリエ変換が施されて照合フーリエN次元パターンデータ(I F )が作成され、登録フーリエN次元パターンデータ(R F )および照合フーリエN次元パターンデータ(I F )に対してlog処理や√処理等の振幅抑制処理が行われ、この振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータ(R FL )および照合フーリエN次元パターンデータ(I FL )に対して、その位相の符号が振幅に付加され、符号付き振幅成分のみ抽出されたしたうえ(R FL ’,I FL ’)、その座標系が極座標系に変換され、この極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータ(R PL ’)と照合フーリエN次元パターンデータ(I PL ’)とが振幅抑制相関法によって照合される。そして、この照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量(Δθ)が求められ、この求められた回転ずれ量(Δθ)に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録パターンと照合パターンとが振幅抑制相関法によって再度照合される。
【0016】
この発明によれば、登録パターンのN次元パターンデータ(R)にN次元離散的フーリエ変換が施されて登録フーリエN次元パターンデータ(R)が作成され、照合パターンのN次元パターンデータ(I)にN次元離散的フーリエ変換が施されて照合フーリエN次元パターンデータ(I)が作成され、登録フーリエN次元パターンデータ(R)および照合フーリエN次元パターンデータ(I)に対してlog処理や√処理等の振幅抑制処理が行われ、この振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータ(RFL)および照合フーリエN次元パターンデータ(IFL)の座標系が極座標系に変換され、この極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータ(RPL)と照合フーリエN次元パターンデータ(IPL)とが振幅抑制相関法によって照合される。そして、この照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量(Δθ)が求められ、この求められた回転ずれ量(Δθ)に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録パターンと照合パターンとが振幅抑制相関法によって再度照合される。
【0018】
第2発明(請求項2に係る発明)は、登録フーリエN次元パターンデータおよび照合フーリエN次元パターンデータの位相成分を除去したうえでこの登録フーリエN次元パターンデータおよび照合フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータおよび照合フーリエN次元パターンデータの座標系を極座標系に変換するようにしたものである。
この発明によれば、登録パターンのN次元パターンデータ(R)にN次元離散的フーリエ変換が施されて登録フーリエN次元パターンデータ(RF )が作成され、照合パターンのN次元パターンデータ(I)にN次元離散的フーリエ変換が施されて照合フーリエN次元パターンデータ(IF )が作成され、登録フーリエN次元パターンデータ(RF )および照合フーリエN次元パターンデータ(IF )に対して位相成分を除去したうえでlog処理や√処理等の振幅抑制処理が行われ、この振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータ(RFL’)および照合フーリエN次元パターンデータ(IFL’)の座標系が極座標系に変換され、この極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータ(RPL’)と照合フーリエN次元パターンデータ(IPL’)とが振幅抑制相関法によって照合される。そして、この照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量(Δθ)が求められ、この求められた回転ずれ量(Δθ)に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録パターンと照合パターンとが振幅抑制相関法によって再度照合される。
【0019】
第3発明(請求項3に係る発明)は、第1又は第2発明において、振幅抑制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より大きい場合は、直ちに登録パターンと照合パターンとの照合を行うようにしたものである。
この発明によれば、振幅抑制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より大きければ、その時点で直ちに照合結果が得られる(粗照合)。これに対し、振幅抑制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より小さければ、その相関ピークの位置から両者の回転ずれ量(Δθ)が求められ、この求められた回転ずれ量(Δθ)に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録パターンと照合パターンとが振幅抑制相関法によって再度照合される(精照合)。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に基づき詳細に説明する。
参考例1
図2はこの発明の説明に入る前の参考例1を示す指紋照合装置(2次元パターン照合装置)のブロック構成図である。同図において10は操作部、20はコントロール部であり、操作部10にはテンキー10−1,ディスプレイ(LCD)10−2と共に指紋センサ10−3が設けられている。指紋センサ10−3は光源10−31,プリズム10−32,CCDカメラ10−33を備えてなる。コントロール部20は、CPUを有してなる制御部20−1と、ROM20−2と、RAM20−3と、ハードディスク(HD)20−4と、フレームメモリ(FM)20−5と、外部接続部(I/F)20−6と、フーリエ変換部(FFT)20−7とを備えてなり、ROM20−2には登録プログラムと照合プログラムが格納されている。
【0021】
〔指紋の登録〕
この指紋照合装置において利用者の指紋は次のようにして登録される。すなわち、運用する前に、利用者は、テンキー10−1を用いて自己に割り当てられたIDナンバを入力のうえ(図3に示すステップ301)、指紋センサ10−3のプリズム10−32上に指を置く。プリズム10−32には光源10−31から光が照射されており、プリズム10−32の面に接触しない指紋の凹部(谷線部)では、光源10−31からの光は全反射し、CCDカメラ10−33に至る。逆にプリズム10−32の面に接触する指紋の凸部(隆線部)では全反射条件がくずれ、光源10−31からの光は散乱する。これにより、指紋の谷線部は明るく、隆線部は暗い、コントラストのある指紋の紋様が採取される。この採取された指紋(登録指紋)の紋様は、A/D変換により、320×400画素,256階調の濃淡画像(画像データ:2次元パターンデータ)として、コントロール部20へ与えられる。
【0022】
制御部20−1は、この操作部10より与えられる登録指紋の画像データをフレームメモリ20−5を介して取り込み(ステップ302)、この取り込んだ登録指紋の画像データに対し縮小処理を行う(ステップ303)。この縮小処理は、320×400画素,256階調の原画像データに対し、そのx方向(横方向)については左右の端を32画素づつ除いて4画素ビッチで間引くことにより、そのy方向(縦方向)については上下の端を8画素づつ除いて3画素ピッチで間引くことにより行う。これにより、登録指紋の画像データが、64×128画素,256階調の画像データに縮小される(図5参照)。
【0023】
そして、制御部20−1は、m=i(この例では、i=−90)とし(ステップ304)、m・a≦K(この例では、a=1、K=+90)か否かをチェックのうえ(ステップ305)、m・a≦Kであれば、ステップ303で縮小した登録指紋の画像データをm・a度回転させ(ステップ306)、このm・a度回転させた登録指紋の画像データをフーリエ変換部20−7へ送り、2次元離散的フーリエ変換(DFT)を施す(ステップ307)。
【0024】
これにより、登録指紋の画像データは、フーリエ画像データ(登録フーリエ画像データ)となる。制御部20−1は、この登録フーリエ画像データをm=iでの登録フーリエ画像データとして、ハードディスク20−4内にIDナンバと対応させてファイル化し(ステップ308)、m=m+1として(ステップ309)、ステップ305以降の処理を繰り返す。この処理の繰り返しにより、ハードディスク20−4内には、m=−90〜+90での登録フーリエ画像データが登録フーリエ回転画像データとして、IDナンバと対応してファイル化される。
【0025】
なお、2次元離散的フーリエ変換については、例えば「コンピュータ画像処理入門、日本工業技術センター編、総研出版(株)発行、P.44〜45(文献1)」等に説明されている。
【0026】
〔指紋の照合〕
この指紋照合装置において利用者の指紋の照合は次のようにして行われる。すなわち、運用中、利用者は、テンキー10−1を用いて自己に割り当てられたIDナンバを入力のうえ(図4に示すステップ401)、指紋センサ10−3のプリズム10−32上に指を置く。これにより、指紋の登録の場合と同様にして、採取された指紋(照合指紋)の紋様が、320×400画素,256階調の濃淡画像(画像データ:2次元パターンデータ)として、コントロール部20へ与えられる。
【0027】
制御部20−1は、テンキー10−1を介してIDナンバが与えられると、m=i(この例では、i=−90)とし(ステップ402)、ハードディスク20−4内にファイル化されている登録フーリエ回転画像データから、そのIDナンバに対応するm=iでの登録フーリエ画像データを読み出す(ステップ403)。すなわち、「登録指紋の画像データをm・a度回転させ、このm・a度回転させた登録指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施して得られる登録フーリエ画像データ」を、ハードディスク20−4内の登録フーリエ回転画像データから読み出す。
【0028】
また、制御部20−1は、操作部10より与えられる照合指紋の画像データをフレームメモリ20−5を介して取り込み(ステップ404)、この取り込んだ照合指紋の画像データに対してステップ303で行ったと同様の縮小処理を行う(ステップ405)。これにより、照合指紋の画像データが、64×128画素,256階調の画像データに縮小される。
【0029】
そして、制御部20−1は、この縮小した照合指紋の画像データをフーリエ変換部20−7へ送り、この照合指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換(DFT)を施す(ステップ406)。これにより、照合指紋の画像データは、フーリエ画像データ(照合フーリエ画像データ)となる。
【0030】
次に、制御部20−1は、ステップ406で得た照合指紋のフーリエ画像データとステップ403で読み出した登録指紋のフーリエ画像データとを合成し(ステップ407)、合成フーリエ画像データを得る。
【0031】
ここで、合成フーリエ画像データは、照合指紋のフーリエ画像データをA・eθとし、登録指紋のフーリエ画像データをB・eφとした場合、A・B・ej(θφ で表される。但し、A,B,θ,φとも周波数(フーリエ)空間(u,v)の関数とする。
【0032】
そして、A・B・ej(θφは、
A・B・ej(θφ=A・B・cos(θ−φ)+j・A・B・sin(θ−φ) ・・・(1)
として表され、A・eθ=α+jβ、B・eφ=α+jβとすると、A=(α +β 1/2,B=(α +β 1/2,θ=tan−1(β/α),φ=tan−1(β/α)となる。この(1)式を計算することにより合成フーリエ画像データを得る。
【0033】
なお、A・B・ej(θφ=A・B・eθ・e−jφ=A・eθ・B・e−jφ=(α+jβ)・(α−jβ)=(α・α+β・β)+j(α・β−α・β)として、合成フーリエ画像データを求めるようにしてもよい。
【0034】
そして、制御部20−1は、このようにして合成フーリエ画像データを得た後、振幅抑制処理を行う(ステップ408)。この参考例1では、振幅抑制処理として、log処理を行う。すなわち、前述した合成フーリエ画像データの演算式であるA・B・ej(θφのlogをとり、log(A・B)・ejθφ とすることにより、振幅であるA・Bをlog(A・B)に抑制する(A・B>log(A・B))。
【0035】
振幅抑制処理を施した合成フーリエ画像データでは登録指紋の採取時と照合指紋の採取時の照度差による影響が小さくなる。すなわち、振幅抑制処理を行うことにより、各画素のスペクトラム強度が抑圧され、飛び抜けた値がなくなり、より多くの情報が有効となる。また、振幅抑制処理を行うことにより、指紋情報の内、個人情報である特徴点(端点,分岐点)や隆線の特徴(渦,分岐)がより強調され、一般的指紋情報である隆線全体の流れ・方向が抑えられる。
【0036】
なお、この参考例1では、振幅抑制処理としてlog処理を行うものとしたが、√処理を行うようにしてもよい。また、log処理や√処理に限らず、振幅を抑制することができればどのような処理でもよい。振幅抑制で全ての振幅を例えば1にすると、すなわち位相のみにすると、log処理や√処理等に比べ、計算量を減らすことができるという利点とデータが少なくなるという利点がある。
【0037】
ステップ408で振幅抑制処理を行った後、制御部20−1は、その振幅抑制処理を行った合成フーリエ画像データをフーリエ変換部20−7へ送り、第2回目の2次元離散的フーリエ変換(DFT)を施す(ステップ409)。
【0038】
そして、制御部20−1は、ステップ409で得た2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データを取り込み、この合成フーリエ画像データより所定の相関成分エリアの各画素の相関成分の強度(振幅)をスキャンし、各画素の相関成分の強度のヒストグラムを求め、このヒストグラムより相関成分の強度の高い上位n画素(この参考例1では、8画素)を抽出し、この抽出したn画素の相関成分の強度の平均を相関値(スコア)として求める(ステップ410)。
【0039】
そして、制御部20−1は、ステップ410で得た相関値を予め定められているしきい値と比較し(ステップ411)、相関値がしきい値以上であれば、登録指紋と照合指紋とが一致したと判断し(ステップ412)、その旨の表示を行うと共に電気錠用の出力を送出する。相関値がしきい値以下であれば、m・a<K(この例では、a=1、K=+90)か否かをチェックのうえ(ステップ413)、m・a<Kであれば、m=m+1として(ステップ414)、ステップ403以降の処理を繰り返す。
【0040】
このステップ403以降の処理の繰り返しにより、ハードディスク20−4内の登録フーリエ回転画像データから1パターンずつ登録フーリエ画像データが読み出され、この読み出された登録フーリエ画像データと照合フーリエ画像データとが合成され、これによって得られる合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理が行われたうえ2次元離散的フーリエ変換が施され、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データに出現する相関成分エリアの各画素の相関成分の強度に基づいて登録指紋と照合指紋との照合が行われる。
【0041】
すなわち、この参考例1では、実質的に、照合指紋を固定とし、登録指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合が行われる。この場合、+90度に至る前に登録指紋と照合指紋とが一致すれば、すなわちステップ411において相関値がしきい値以上となれば、その時点で登録指紋と照合指紋との照合を終了する。これに対して、+90度としてもまだ登録指紋と照合指紋とが一致しなければ、ステップ413でのNOに応じ、登録指紋と照合指紋とが一致しないと判断され(ステップ415)、その旨の表示が行われる。
【0042】
図1に登録指紋と照合指紋とが一致すると判断される場合の指紋照合状況を示す。同図(e)は照合指紋の画像データ、同図(a)はm・a度回転された登録指紋の画像データ、同図(b)は同図(a)に2次元離散的フーリエ変換を施して得られる登録フーリエ画像データ、同図(f)は同図(e)に2次元離散的フーリエ変換を施して得られる照合フーリエ画像データ、同図(d)は同図(b)と(f)とを合成して得た振幅抑制処理後の合成フーリエ画像データ、同図(h)は同図(d)に2次元離散的フーリエ変換を施して得た合成フーリエ画像データである。
【0043】
図1(h)において、相関成分エリアは、白い点線で囲んだ領域S0として定められている。この相関成分エリアS0の一部における各画素の相関成分の強度の数値例を図6に示す。この図において、○で囲んだ値が、上位8画素の相関成分の強度である。この上位8画素の平均が相関値(スコア)として求められる。この場合、この求められる相関値が予め定められているしきい値以上となり、登録指紋と照合指紋とが一致したと判断される。
【0044】
ここで、相関値と比較されるしきい値は、サンプルとして20〜50歳代の男女10人の人指し指の指紋を各10回入力して得た合計100指をそれぞれ登録と照合に用いて1万回の照合を行い、この照合結果から求めている。本人対本人、本人対他人、それぞれの相関値の相対度数分布図を図7に示す。X軸は本人対本人の組合せにおける相関値の平均値μと標準偏差σで表した相関度を示し、Y軸は相対度数を示している。他人排他率が100%となる所の相関値をしきい値として用いる。なお、他人排他率は100%でなくても良く、目的に合わせて任意の率に定めれば良い。
【0045】
図8に振幅抑制処理を行わなかった場合の本人対本人、本人対他人、それぞれの相関値の相対度数分布図を示す。この参考例1では、ステップ407で振幅抑制処理を行っているので、合成フーリエ画像データにおける登録指紋の採取時と照合指紋の採取時の照度差による影響が小さくなり、また指紋情報の内、個人情報である特徴点(端点,分岐点)や隆線の特徴(渦,分岐)がより強調され、照合精度が格段にアップする。すなわち、図8では他人排他率100%のときの本人認識率が6.6%であるが、図7では他人排他率100%のときの本人認識率は93.1%となる。
【0046】
なお、この参考例1においては、相関成分エリアS0の各画素から相関成分の強度の高い上位n画素を抽出しその平均を相関値としたが、その上位n画素の相関成分の強度の加算値を相関値としてもよい。また、しきい値を越える全ての画素の相関成分の強度を加算し、その加算値を相関値としたり、その加算値の平均を相関値とするなどとしてもよい。また、各画素の相関成分の強度のうち1つでもしきい値以上のものがあれば「一致」と判断してもよく、しきい値を越えるものがn個以上であれば「一致」と判断する等、種々の判定方法が考えられる。
【0047】
また、この参考例1では、2次元離散的フーリエ変換をフーリエ変換部20−7において行うものとしたが、CPU20−1内で行うものとしてもよい。また、この参考例1では、登録指紋の画像データに対しステップ303で縮小処理を行うようにしたが、登録指紋のフーリエ画像データを読み出した後の段階(ステップ403と404との間)で縮小処理を行うようにしてもよい。また、登録指紋や照合指紋の画像データに対しては必ずしも縮小処理を行わなくてもよく、入力画像データをそのまま用いてフーリエ画像データを作成するようにしてもよい。縮小処理を行うようにすれば、その分、入力画像データの処理に際して用いる画像メモリの容量を少なくすることができる。
【0048】
また、この参考例1では、図4に示したステップ409にて2次元離散的フーリエ変換を行うようにしたが、2次元離散的フーリエ変換ではなく2次元離散的逆フーリエ変換を行うようにしてもよい。すなわち、振幅抑制処理の施された合成フーリエ画像データに対して2次元離散的フーリエ変換を行うのに代えて、2次元離散的逆フーリエ変換を行うようにしてもよい。2次元離散的フーリエ変換と2次元離散的逆フーリエ変換とは、定量的にみて照合精度は変わらない。2次元離散的逆フーリエ変換については、先の文献1に説明されている。
【0049】
また、この参考例1では、合成後のフーリエ画像データに対して振幅抑制処理を施して2次元離散的フーリエ変換を行うようにしたが(ステップ408,409)、合成前の登録指紋および照合指紋のフーリエ画像データにそれぞれ振幅抑制処理を行った後に合成するようにしてもよい。すなわち、図9(a)に示すように、図3のステップ306と307との間に振幅抑制処理を行うステップ310を設け、図9(b)に示すように、図4のステップ407と408とを入れ替えるようにしてもよい。
【0050】
このようにした場合、ステップ310の振幅抑制処理によって、図1(c)に示すような振幅抑制処理の施された登録指紋のフーリエ画像データ(登録フーリエ画像データ)が得られ、ステップ407と408との入れ替えによって、図1(g)に示すような振幅抑制処理の施された照合指紋のフーリエ画像データ(照合フーリエ画像データ)が得られる。そして、それぞれ振幅抑制処理の施された登録指紋および照合指紋のフーリエ画像データが合成され、図1(d)に示されるような合成フーリエ画像データが得られる。
【0051】
この時の合成フーリエ画像データの振幅の抑制率は、合成フーリエ画像データとしてから振幅抑制処理を行う場合(図4)に対して小さい。したがって、合成フーリエ画像データとしてから振幅抑制処理を行う(図4)方が、振幅抑制処理を行ってから合成フーリエ画像データとする方法(図9)に比べて、その照合精度がアップする。なお、振幅抑制処理を行ってから合成フーリエ画像データとする場合(図9)にも、合成フーリエ画像データに対して2次元離散的フーリエ変換ではなく、2次元離散的逆フーリエ変換を行うようにしてもよい。
【0052】
参考として図10に照合指紋が他人である場合の指紋照合状況を図1と対応して示す。図1は照合指紋が本人である場合の指紋照合状況であり、照合指紋が本人である場合には相関成分エリアS0に相関成分の強度の高い部分が生じるが、照合指紋が他人である場合に生じない。すなわち、照合指紋が本人である場合には、登録指紋の画像データを−90度から1度ずつ正方向へ回転させたとき、+90度に至るまでの間のいずれかの回転角度で相関成分エリアS0に相関成分の強度の高い部分が生じる。これに対し、照合指紋が他人である場合には、登録指紋の画像データを−90度から1度ずつ正方向へ回転させたとき、+90度になっても相関成分エリアS0には相関成分の強度の高い部分は生じない。
【0053】
なお、この参考例1では、指紋照合を行う場合を例として説明したが、声紋照合を行う場合にも同様にして適用することができ、指紋,声紋に拘らず画像データとして取り扱うことのできる各種の2次元パターンの照合に用いることができる。
【0054】
また、この参考例1では、2次元パターンを画像として得るものとしたが、必ずしも画像として得るようにしなくてもよい。例えば、振動検出器を各場所に2次元的に配置し、この2次元的に配置された振動検出器により得られる2次元パターン(地震波)を照合パターンとし、予め登録されているパターンと照合するようにしてもよい。また、各部位に流量計測器を2次元的に配置し、この2次元的に配置された流量計測器により得られる2次元パターン(流量分布)を照合パターンとし、予め登録されているパターンと照合するようにしてもよい。
また、この参考例1では、2次元パターンの照合について説明したが、3次元パターンの照合についても同様にして行うことが可能であり、2次元,3次元に拘らず多次元のパターンの照合を同様にして行うことができる。
【0055】
参考例2
参考例1では、登録指紋の画像データをm・a度回転させ、このm・a度回転させた登録指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施し、これにより得られるm=−90〜+90での登録フーリエ画像データを登録フーリエ回転画像データとしてファイル化するものとした。これに対し、参考例2では、登録指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエ画像データを作成し、この登録フーリエ画像データをm・a度回転させ、これにより得られるm=−90〜+90での登録フーリエ画像データを登録フーリエ回転画像データとしてファイル化する。
【0056】
すなわち、図11に示すように、図3のステップ301,302,303に対応してステップ501,502,503の処理を行い、ステップ503で得た登録指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施し(ステップ504)、登録フーリエ画像データを得る。そして、m=i(この例では、i=−90)とし(ステップ505)、m・a≦K(この例では、a=1、K=+90)か否かをチェックのうえ(ステップ506)、m・a≦Kであれば、ステップ504で得た登録フーリエ画像データをm・a度回転させ(ステップ507)、このm・a度回転させた登録フーリエ画像データをm=iでの登録フーリエ画像データとして、IDナンバと対応させてファイル化し(ステップ508)、m=m+1として(ステップ509)、ステップ506以降の処理を繰り返す。この処理の繰り返しにより、m=−90〜+90での登録フーリエ画像データが登録フーリエ回転画像データとして、IDナンバと対応してファイル化される。
【0057】
なお、この参考例2において、指紋照合時の処理動作は、参考例1と同じ(図4に示したフローチャートと同じ)であるので、その説明は省略する。この参考例2でも、参考例1と同様、実質的に、照合指紋を固定とし、登録指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合が行われる。
【0058】
参考例3
参考例1,2では、実質的に、照合指紋を固定とし、登録指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合を行うようにした。これに対し、参考例3では、実質的に、登録指紋を固定とし、照合指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合を行うようにする。
【0059】
〔指紋の登録〕
この参考例3では、図12にそのフローチャートを示すように、図11のステップ501,502,503,504に対応してステップ601,602,603,604の処理を行い、ステップ604で得た登録フーリエ画像データを登録指紋の原画像データとして、IDナンバと対応させてハードディスク20−4内にファイル化する(ステップ605)。
【0060】
〔指紋の照合〕
運用中、利用者は、テンキー10−1を用いて自己に割り当てられたIDナンバを入力のうえ(図13に示すステップ701)、指紋センサ10−3のプリズム10−32上に指を置く。これにより、指紋の登録の場合と同様にして、採取された指紋(照合指紋)の紋様が画像データとしてコントロール部20へ与えられる。
【0061】
制御部20−1は、テンキー10−1を介してIDナンバが与えられると、ハードディスク20−4内にファイル化されている登録フーリエ画像データを読み出す(ステップ702)。また、制御部20−1は、操作部10より与えられる照合指紋の画像データをフレームメモリ20−5を介して取り込み(ステップ703)、この取り込んだ照合指紋の画像データに対して縮小処理を行う(ステップ704)。
【0062】
そして、制御部20−1は、m=i(この例では、i=−90)とし(ステップ705)、ステップ704で縮小した照合指紋の画像データをm・a度回転させ(ステップ706)、このm・a度回転させた照合指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施し(ステップ707)、m=iでの照合フーリエ画像データを得る。
【0063】
次に、制御部20−1は、ステップ706で得た照合フーリエ画像データとステップ702で読み出した登録フーリエ画像データとを合成し(ステップ708)、合成フーリエ画像データを得る。そして、この合成フーリエ画像データに対して、振幅抑制処理(log処理)を行い(ステップ709)、この振幅抑制処理を行った合成フーリエ画像データに第2回目の2次元離散的フーリエ変換を施す(ステップ710)。
【0064】
そして、制御部20−1は、ステップ710で得た2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データより所定の相関成分エリアの各画素の相関成分の強度(振幅)をスキャンし、各画素の相関成分の強度のヒストグラムを求め、このヒストグラムより相関成分の強度の高い上位n画素(この参考例3では、8画素)を抽出し、この抽出したn画素の相関成分の強度の平均を相関値(スコア)として求める(ステップ711)。
【0065】
そして、制御部20−1は、ステップ711で得た相関値を予め定められているしきい値と比較し(ステップ712)、相関値がしきい値以上であれば、登録指紋と照合指紋とが一致したと判断し(ステップ713)、その旨の表示を行うと共に電気錠用の出力を送出する。相関値がしきい値以下であれば、m・a<K(この例では、a=1、K=+90)か否かをチェックのうえ(ステップ714)、m・a<Kであれば、m=m+1として(ステップ715)、ステップ706以降の処理を繰り返す。
【0066】
このステップ706以降の処理の繰り返しにより、m=−90〜+90としてm・a度回転させた照合指紋の画像データを照合指紋の回転画像データとし、この照合指紋の回転画像データに1パターンずつ2次元離散的フーリエ変換が施されて照合フーリエ画像データとされ、この照合フーリエ画像データと登録フーリエ画像データとが合成され、これによって得られる合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理が行われたうえ2次元離散的フーリエ変換が施され、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データに出現する相関成分エリアの各画素の相関成分の強度に基づいて登録指紋と照合指紋との照合が行われる。
【0067】
すなわち、この参考例3では、実質的に、登録指紋を固定とし、照合指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合が行われる。この場合、+90度に至る前に登録指紋と照合指紋とが一致すれば、すなわちステップ712において相関値がしきい値以上となれば、その時点で登録指紋と照合指紋との照合が終了する。これに対して、+90度としてもまだ登録指紋と照合指紋とが一致しなければ、ステップ712でのNOに応じ、登録指紋と照合指紋とが一致しないと判断され(ステップ716)、その旨の表示が行われる。
【0068】
参考例4
参考例3では、m=−90〜+90としてm・a度回転させた照合指紋の画像データを照合指紋の回転画像データとし、この照合指紋の回転画像データに1パターンずつ2次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエ画像データとし、この照合フーリエ画像データと登録フーリエ画像データとを合成するようにした。
【0069】
これに対し、参考例4では、照合指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエ画像データを作成し、m=−90〜+90としてm・a度回転させた照合フーリエ画像データを照合フーリエ回転画像データとし、この照合フーリエ回転画像データを1パターンずつ登録フーリエ画像データと合成するようにする。
【0070】
すなわち、図14に示すように、図13のステップ701,702,703,704に対応してステップ801,802,803,804の処理を行い、ステップ804で得た照合指紋の画像データに2次元離散的フーリエ変換を施し(ステップ805)、照合フーリエ画像データを得る。そして、m=i(この例では、i=−90)とし(ステップ806)、ステップ805で得た照合フーリエ画像データをm・a度回転させ(ステップ807)、このm・a度回転させた照合フーリエ画像データをm=iでの照合フーリエ画像データとする。
【0071】
そして、この照合フーリエ画像データとステップ802で読み出した登録フーリエ画像データとを合成し(ステップ808)、これによって得られる合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理(log処理)を行い(ステップ809)、この振幅抑制処理を行った合成フーリエ画像データに第2回目の2次元離散的フーリエ変換を施す(ステップ810)。そして、ステップ711と同様の「相関値の算出」を行い(ステップ811)、ステップ8111で得た相関値を予め定められているしきい値と比較し(ステップ812)、相関値がしきい値以上であれば、登録指紋と照合指紋とが一致したと判断する(ステップ813)。相関値がしきい値以下であれば、m・a<K(この例では、a=1、K=+90)か否かをチェックのうえ(ステップ814)、m・a<Kであれば、m=m+1として(ステップ815)、ステップ807以降の処理を繰り返す。
【0072】
このステップ807以降の処理の繰り返しにより、m=−90〜+90としてm・a度回転させた照合フーリエ画像データを照合フーリエ回転画像データとし、この照合フーリエ回転画像データが1パターンずつ登録フーリエ画像データと合成され、これによって得られる合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理が行われたうえ2次元離散的フーリエ変換が施され、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データに出現する相関成分エリアの各画素の相関成分の強度に基づいて登録指紋と照合指紋との照合が行われる。
【0073】
なお、この参考例4において、指紋登録時の処理動作は、参考例3と同じ(図12に示したフローチャートと同じ)であるので、その説明は省略する。この参考例4でも、参考例3と同様、実質的に、登録指紋を固定とし、照合指紋を−90度から1度ずつ正方向へ回転させながら、登録指紋と照合指紋との照合が行われる。
【0074】
また、上述した参考例2,3,4においても、参考例1で説明したような変形が自在であることは言うまでもない。すなわち、参考例3,4では、図13,図14に示したステップ710,810にて2次元離散的フーリエ変換を行うようにしているが、2次元離散的逆フーリエ変換を行うようにしてもよい。また、合成前の登録指紋および照合指紋のフーリエ画像データにそれぞれ振幅抑制処理を行った後に合成する等としてもよい。また、振幅抑制処理は、必ずしも行わなくてもよい。
【0075】
参考例5
参考例1〜4では、登録指紋と照合指紋との間で回転ずれがある場合でも登録指紋と照合指紋とが同一であるか否か識別できるようにするために、実質的に、登録指紋(照合指紋)を固定とし、照合指紋(登録指紋)を回転させながら登録指紋と照合指紋とを照合するようにした。
【0076】
しかしながら、この方法では、登録指紋と照合指紋との間での回転ずれ量が分からないので、多数の回転パターンを作成しなければならない。また、作成された個々の回転パターンと固定パターンとの照合を逐次行わなければならない。このため、照合処理の負荷が重く、最終的な照合結果が得られるまでに過大な時間を必要とする。
【0077】
そこで、この参考例5では、登録指紋の画像データRに2次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエ画像データRを作成し、照合指紋の画像データIに2次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエ画像データIを作成し、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIの座標系を極座標系に変換し、この極座標系に変換した登録フーリエ画像データRと照合フーリエ画像データIとを振幅抑制相関法によって照合(粗照合)する。そして、この照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量Δθを求め、この求めた回転ずれ量Δθに基づいて登録指紋と照合指紋の何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録指紋と照合指紋とを振幅抑制相関法によって再度照合(精照合)する。このような方法で照合を行うことによって、照合処理の負荷を軽くし、照合結果が得られるまでの時間を短くすることができる。
【0078】
以下、フローチャートを参照しながら、この参考例5での指紋照合動作について具体的に説明する。
〔指紋の登録〕
この参考例5では、図15にそのフローチャートを示すように、図12のステップ601,602,603に対応してステップ151,152,153の処理を行い、ステップ153で得た登録指紋の画像データRを登録指紋の原画像データとして、IDナンバと対応させてファイル化する(ステップ154)。なお、図12に示したフローチャートと同様にして、登録指紋の画像データRに2次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエ画像データRとし、この登録フーリエ画像データRを登録指紋の原画像データとしてIDナンバと対応させてファイル化するようにしてもよい。
【0079】
〔指紋の照合(振幅そのまま+位相有り)〕
指紋の照合は次のようにして行われる。IDナンバを入力すると(図16に示すステップ161)、そのIDナンバと対応してファイル化されている登録指紋の画像データRが読み出される(ステップ162:図17(a)参照)。また、照合指紋を入力し(ステップ163)、この照合指紋に対して縮小処理を行い(ステップ164)、照合指紋の画像データIを得る(図17(b)参照)。そして、ステップ162で読み出した登録指紋の画像データRに対し2次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエ画像データRとし(ステップ165:図17(c)参照)、ステップ164で得た照合指紋の画像データIに対し2次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエ画像データIとする(ステップ166:図17(d)参照)。
【0080】
この登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIには振幅成分と位相成分とが含まれている。また、この登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIは、デカルト座標系すなわち(x,y)座標系とされている。
【0081】
そして、ステップ165で得た登録フーリエ画像データRの座標系を極座標系に変換し(ステップ167)、極座標系に変換された登録フーリエ画像データRを得る(図17(e)参照)。また、ステップ166で得た照合フーリエ画像データIの座標系を極座標系に変換し(ステップ168)、極座標系に変換された照合フーリエ画像データIを得る(図17(f)参照)。ここで、極座標変換とは、デカルト座標系(x,y)を極座標系(r,θ)に変換する処理のことをいう。すなわち、図18(a)に示されるデカルト座標系(x=rcosθ,y=rsinθ)を図18(b)に示されるような極座標系(r=(x+y1/2,θ=tan−1(y/x))に変換する処理のことをいう。
【0082】
そして、ステップ167で得た極座標系とされた登録フーリエ画像データRとステップ168で得た極座標系とされた照合フーリエ画像データIとを振幅抑制相関法で照合する(ステップ169)。図19にその照合過程を示す。
【0083】
この場合、極座標系とされた登録フーリエ画像データR(図20(a)参照)および照合フーリエ画像データI(図20(b)参照)に対して2次元離散的フーリエ変換を施し(ステップ169−1,169−2)、登録フーリエ画像データRPF(図20(c)参照)および照合フーリエ画像データIPF(図20(e)参照)を得る。
【0084】
そして、この登録フーリエ画像データRPFおよび照合フーリエ画像データIPFとを合成し(ステップ169−3)、合成フーリエ画像データを得る。そして、この合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理を行い(ステップ169−4:図20(g)参照)、この振幅抑制処理を行った合成フーリエ画像データに2次元離散的フーリエ変換を施す(ステップ169−5:図20(h)、図17(g)参照、図20(h)=図17(g))。
【0085】
なお、この参考例5では、RPFとIPFとの合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理を行ったが、RPFおよびIPFに対して振幅抑制処理を行って登録フーリエ画像データRPF’および照合フーリエ画像データIPF’とし(図20(d),(f)参照)、このRPF’とIPF’とを合成するようにしてもよい。図20(d),(f),(g)では、振幅抑制で全ての振幅を1、すなわち位相のみとしている。
【0086】
そして、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データより所定の相関成分エリアの各画素の相関成分の強度(振幅)をスキャンし、各画素の相関成分の強度のヒストグラムを求め、このヒストグラムより相関成分の強度の高い上位n画素を抽出し、この抽出したn画素の相関成分の強度の平均を相関値(スコア)として求める(ステップ169−6)。この場合、求まった相関値が高ければ、粗くではあるが登録指紋と照合指紋とが一致したと判断(粗照合)することが可能である。但し、この参考例5では、この粗照合での照合結果は使用しない。
【0087】
そして、先の2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データより相関成分の強度の最も高い画素を相関ピークとして求め、この相関ピークの位置から登録指紋と照合指紋との回転ずれ量Δθ、すなわち登録指紋の画像データRと照合指紋の画像データIとの回転ずれ量Δθを求める(ステップ169−7)。
【0088】
図17(g)では相関ピークとしてP1が出現している。この相関ピークP1と相関エリアの中心との位置関係から回転ずれ量Δθを求める。すなわち、図における領域中の相関ピークP1の縦方向の位置から回転ずれ量Δθを求める。この場合、領域中の縦方向の上限位置がΔθ=+180゜、下限位置がΔθ=−180゜を示す。
【0089】
そして、この登録指紋の画像データRと照合指紋の画像データIとの回転ずれ量Δθを求めた後、この求めた回転ずれ量Δθに基づいて照合指紋の画像データIの回転ずれの補正を行い、登録指紋と照合指紋とを振幅抑制相関法によって再度照合する(ステップ170)。図21にその再照合過程を示す。
【0090】
この場合、照合指紋の画像データIに対して回転ずれ量Δθの補正を行い(ステップ171−1)、登録指紋の画像データRとその回転角度を合致させた画像データIを得る(図22(a)および(b)参照)。そして、この照合指紋の画像データIに対して2次元離散的フーリエ変換を施し(ステップ170−2)、照合フーリエ画像データINFを得る(図22(e)参照)。
【0091】
そして、この照合フーリエ画像データINFと先のステップ165で得られている登録フーリエ画像データR(図22(c)参照)とを合成し(ステップ170−3)、合成フーリエ画像データを得る。そして、この合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理を行い(ステップ170−4)、この振幅抑制処理を行った合成フーリエ画像データ(図22(g)参照)に2次元離散的フーリエ変換を施す(ステップ170−5)。
【0092】
そして、この2次元離散的フーリエ変換の施された合成フーリエ画像データ(図22(h)参照)より所定の相関成分エリアの各画素の相関成分の強度(振幅)をスキャンし、各画素の相関成分の強度のヒストグラムを求め、このヒストグラムより相関成分の強度の高い上位n画素を抽出し、この抽出したn画素の相関成分の強度の平均を相関値(スコア)として求める(ステップ170−6)。
【0093】
そして、ステップ170−6で得た相関値を予め定められているしきい値と比較し(ステップ170−7)、相関値がしきい値以上であれば、登録指紋と照合指紋とが一致したと判断する(ステップ170−8)。相関値がしきい値以下であれば、登録指紋と照合指紋とは一致しないと判断する(ステップ170−9)。これによって、登録指紋と照合指紋との精照合が行われる。
【0094】
なお、この参考例5では、RとINFとの合成フーリエ画像データに対して振幅抑制処理を行ったが、RおよびINFに対して振幅抑制処理を行って登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データINF’とし(図22(d),(f)参照)、このR’とINF’とを合成するようにしてもよい。図22(d),(f),(g)では、振幅抑制で全ての振幅を1、すなわち位相のみとしている。
【0095】
また、図21では、照合指紋の画像データIに対して回転ずれの補正を行って登録指紋と照合指紋とを再度照合するようにしたが、登録指紋の画像データRに対して回転ずれの補正を行って登録指紋と照合指紋とを再度照合するようにしてもよい。
【0096】
参考例6:振幅抑制+位相有り
参考例5では、粗照合において、振幅成分(振幅そのまま)と位相成分とが含まれている登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF について、その座標系を極座標系に変換した(図16におけるステップ165〜168)。
【0097】
これに対して、参考例6では、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対し振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLについて、その座標系を極座標系に変換する。図23にこの場合のフローチャートを示す。
【0098】
図16に示したフローチャートと比較して分かるように、この参考例6では、ステップ171,172を付加し、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対して振幅抑制処理を行い(ステップ171,172)、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLの座標系を極座標系に変換してRPLおよびIPLを得る(ステップ167,168)。
【0099】
この参考例6によれば、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対して振幅抑制処理を行うことによって、照度変化の影響を受けにくくなり、登録時と照合時で照度に差があっても高精度での照合が可能となる。
【0100】
なお、この参考例6では、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対して振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLの座標系を極座標系に変換したが、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF の座標系を極座標系に変換した後、この極座標系に変換された登録フーリエ画像データRP および照合フーリエ画像データIp に振幅抑制処理を行ってRPLおよびIPLを得るようにしてもよい。
【0101】
実施の形態1:第1発明(振幅抑制+位相の符号(±)を振幅に付ける)〕
参考例6では、粗照合において、振幅抑制された振幅成分と位相成分とが含まれている登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLについて、その座標系を極座標系に変換した(図23におけるステップ167,168)。
【0102】
これに対して、実施の形態1では、振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLに対し、それぞれの位相の符号をそれぞれ振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ(RFL’,IFL’)を抽出する。このRFL’,IFL’についてその座標系を極座標系に変換する。図24にこの場合のフローチャートを示す。
【0103】
図23に示したフローチャートと比較して分かるように、この実施の形態1では、ステップ173,174を付加し、振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLに対し、それぞれの位相の符号をそれぞれ振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ(RFL’,IFL’)を抽出したうえで、その座標系を極座標系に変換してRPL’およびIPL’を得る(ステップ167,168)。
【0104】
この実施の形態1によれば、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対してそれぞれの位相の符号を、それぞれ振幅に付加し、符号付き振幅成分のみを抽出することによって、位相の不連続性による誤差の影響を受けにくくなり、登録時と照合時で位置ずれ等の誤差があっても高精度での照合が可能となる。
【0105】
なお、この実施の形態1では、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対して振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLに対して、それぞれの位相の符号をそれぞれの振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ抽出したうえで、その座標系を極座標系に変換したが、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF の座標系を極座標系に変換した後、この極座標系に変換された登録フーリエ画像データRP および照合フーリエ画像データIp に振幅抑制処理を行って、それぞれの位相の符号をそれぞれの振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ抽出し、RPL’およびIPL’を得るようにしてもよい。但し、この実施の形態1では、相関成分エリアの各画素の相関成分の強度を振幅でなく、複素数の実部のままとし、相関値(スコア)を求める。
【0106】
〔実施の形態2:第2発明(振幅抑制+位相無し)〕
実施の形態1−1では、登録フーリエ画像データRF および照合フーリエ画像データIF に対し振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFLおよび照合フーリエ画像データIFLについて、その座標系を極座標系に変換した。
【0107】
これに対して、実施の形態2では、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して位相成分を除去し、この位相成分の除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’に対して振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFL’および照合フーリエ画像データIFL’について、その座標系を極座標系に変換する。但し、ここでの振幅抑制処理では、すべての振幅を1とする振幅抑制処理とせず、log処理や√処理とする。図25にこの場合のフローチャートを示す。
【0108】
図16のフローチャートと比較して分かるように、この実施の形態2では、ステップ175,176,177,178を付加し、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して振幅成分のみを抽出(位相成分をカット)し(ステップ175,176)、この位相成分の除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’に対して振幅抑制処理を行い(ステップ177,178)、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFL’および照合フーリエ画像データIFL’の座標系を極座標系に変換してRPL’およびIPL’を得る(ステップ167,168)。
【0109】
この実施の形態2によれば、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して位相成分を除去したうえで振幅抑制処理を行うことによって、照度変化の影響を受けにくくなり、登録時と照合時で照度に差があっても高精度での照合が可能となるのに加えて、極座標変換して振幅抑制相関法で相関ピークを求める際の性能が向上するという効果が得られる。すなわち、位相は各画素の連続性が乏しく、逆に振幅は各画素の連続性がよい。したがって、位相成分を除去することによって、極座標変換して振幅抑制相関法で相関ピークを求める際の性能が向上する。
【0110】
但し、この時、図26に示すように、相関成分エリア上では相関ピークとしてP1,P2が出現している。これは振幅スペクトルが点対称であることによる。この相関ピークP1,P2のうちの1つを、マスク処理を行うことによって回転方向を含めた回転ずれ量Δθを示す正規の相関ピークと判定し、この判定した相関ピークから回転ずれ量Δθを求める。例えば、相関ピークP1が正規の相関ピークと判定されれば、図における領域中の相関ピークP1の縦方向の位置から回転ずれ量Δθを求める。この場合、領域中の縦方向の上限位置がΔθ=+180゜、下限位置がΔθ=−180゜を示す。
【0111】
なお、この実施の形態2では、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して位相成分を除去したうえで振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFL’および照合フーリエ画像データIFL’の座標系を極座標系に変換したが、位相成分の除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’の座標系を極座標系に変換した後、この極座標系に変換された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’に振幅抑制処理を行ってRPL’およびIPL’を得るようにしてもよい。
【0112】
実施の形態3:(振幅そのまま+位相無し)〕
実施の形態2では、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して位相成分を除去したうえで振幅抑制処理を行い、この振幅抑制処理された登録フーリエ画像データRFL’および照合フーリエ画像データIFL’について、その座標系を極座標系に変換した。
【0113】
これに対して、実施の形態3では、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して位相成分を除去し、この位相成分が除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’について、すなわち振幅成分をそのままとして位相成分のみが除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’について、その座標系を極座標系に変換する。図27にこの場合のフローチャートを示す。
【0114】
図16のフローチャートと比較して分かるように、この実施の形態3では、(ステップ)175,176を付加し、登録フーリエ画像データRおよび照合フーリエ画像データIに対して振幅成分のみを抽出(位相成分をカット)し(ステップ175,176)、この位相成分の除去された登録フーリエ画像データR’および照合フーリエ画像データI’の座標系を極座標系に変換してR’およびI’を得る(ステップ167,168)。
【0115】
この実施の形態3によれば、登録フーリエ画像データ(R)および照合フーリエ画像データ(I)に対して位相成分を除去することにより、実施の形態2と同様、極座標変換して振幅抑制相関法で相関ピークを求める際の性能が向上するという効果が得られる。
【0116】
〔実施の形態4:第3発明
実施の形態1〜3では、ステップ169より直ちにステップ170へ進むものとしたが、すなわち粗照合での照合結果を使用せずに直ちに精照合へ進むものとしたが、粗照合において登録指紋と照合指紋とが不一致という結果が得られた場合にのみ精照合へ進むようにしてもよい。
【0117】
すなわち、図16,図23,図24,図25,図27におけるステップ170を図28に示すような処理内容としてもよい。この場合、粗照合で得た相関値を予め定められたしきい値と比較し(ステップ170−0)、相関値がしきい値よりも大きい場合には直ちに登録指紋と照合指紋とが一致したと判断する(ステップ170−9)。これに対して、相関値がしきい値よりも小さい場合には、粗照合における照合結果が「不一致」であるとして、ステップ170−1以降の精照合へ進む。
【0118】
この実施の形態4によれば、粗照合で「一致」と判断された場合、その時点で直ちに照合結果が得られる。これにより登録指紋と照合指紋とが合致する場合の照合スピードがアップする。また、この実施の形態4によれば、粗照合で「不一致」と判断された場合、その時点で照合結果を出さずに精照合へ移行する。これにより、粗照合と精照合とが組み合わされ、照合精度がアップする。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、第1及び第2発明によれば、粗照合の過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量Δθが求められ、この求められた回転ずれ量Δθに基づいて登録指紋と照合指紋の何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録指紋と照合指紋とが振幅抑制相関法によって再度照合(精照合)されるものとなり、登録パターンと照合パターンとの間に回転ずれがあっても、登録パターンと照合パターンとが同一であるか否かを識別することを可能としたうえ、照合処理の負荷を軽くし、照合結果が得られるまでの時間を短くすることができる。
【0121】
また、第3発明によれば、粗照合の過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より大きければ、その時点で直ちに照合結果が得られるものとなり、登録パターンと照合パターンとが合致する場合の照合スピードがアップする。また、粗照合の過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より小さければ、その相関ピークの位置から両者の回転ずれ量(Δθ)が求められ、この求められた回転ずれ量(Δθ)に基づいて登録パターンと照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行ったうえで、登録パターンと照合パターンとが振幅抑制相関法によって再度照合される(精照合)ものとなり、粗照合と精照合とが組み合わされて照合精度がアップする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る指紋照合装置における登録指紋と照合指紋とが一致すると判断される場合の指紋照合状況を示す図である。
【図2】この指紋照合装置のブロック構成図である。
【図3】この指紋照合装置における指紋登録動作(参考例1)を説明するためのフローチャートである。
【図4】この指紋照合装置における指紋照合動作(参考例1)を説明するためのフローチャートである。
【図5】画像データに対する縮小処理を説明するための図である。
【図6】相関成分エリアの一部における各画素の相関成分の強度の数値例を示す図である。
【図7】実験結果から求められた本人対本人、本人対他人、それぞれの相関値の相対度数分布図である。
【図8】振幅抑制処理を行わなかった場合の本人対本人、本人対他人、それぞれの相関値の相対度数分布図である。
【図9】参考例1における指紋登録動作および指紋照合動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図10】照合指紋が他人である場合の指紋照合状況を図1と対応して示す図である。
【図11】参考例2における指紋登録動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】参考例3における指紋登録動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】参考例3における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】参考例4における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】参考例5における指紋登録動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】参考例5における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】参考例5における粗照合過程を説明するための図である。
【図18】デカルト座標系からの極座標系への変換を説明するための図である。
【図19】図16に示したステップ169での処理内容を示すフローチャートである。
【図20】粗照合過程での極座標変換されてからの処理を説明する図である。
【図21】図16に示したステップ170での処理内容を示すフローチャートである。
【図22】参考例5における精照合過程を説明するための図である。
【図23】参考例6における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図24】実施の形態1における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図25】実施の形態2における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図26】実施の形態2における指紋照合過程を説明するための図である。
【図27】実施の形態3における指紋照合動作を説明するためのフローチャートである。
【図28】実施の形態4を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
10…操作部、20…コントロール部、10−1…テンキー、10−2…ディスプレイ(LCD)、10−3…指紋センサ、10−31…光源、10−32,プリズム、10−33…CCDカメラ、20−1…制御部、20−2…ROM、20−3…RAM、20−4…ハードディスク(HD)、20−5…フレームメモリ(FM)、20−6…外部接続部(I/F)、20−7…フーリエ変換部(FFT)。

Claims (3)

  1. 登録パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエN次元パターンデータを作成する登録フーリエパターンデータ作成手段と、
    照合パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエN次元パターンデータを作成する照合フーリエパターンデータ作成手段と、
    前記登録フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を施す第1の振幅抑制手段と、
    前記照合フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を施す第2の振幅抑制手段と、
    前記第1の振幅抑制手段によって振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータに対して、その位相の符号を振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ抽出したうえで、その座標系を極座標系に変換する第1の極座標系変換手段と、
    前記第2の振幅抑制手段によって振幅抑制処理された照合フーリエN次元パターンデータに対して、その位相の符号を振幅に付加し、符号付き振幅成分のみ抽出したうえで、その座標系を極座標系に変換する第2の極座標系変換手段と、
    前記第1の極座標系変換手段によって極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータと前記第2の極座標系変換手段によって極座標系に変換された照合フーリエN次元パターンデータとを振幅抑制相関法によって照合する振幅抑制相関照合手段と、
    この振幅抑制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量を求める回転ずれ量測定手段と、
    この回転ずれ量測定手段で求められた回転ずれ量に基づいて前記登録パターンと前記照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行う回転ずれ補正手段とを備え、
    前記回転ずれ補正手段によって回転ずれの補正を行ったうえで前記登録パターンと前記照合パターンとを振幅抑制相関法によって再度照合する
    ことを特徴とするパターン照合装置。
  2. 登録パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して登録フーリエN次元パターンデータを作成する登録フーリエパターンデータ作成手段と、
    照合パターンのN次元パターンデータにN次元離散的フーリエ変換を施して照合フーリエN次元パターンデータを作成する照合フーリエパターンデータ作成手段と、
    前記登録フーリエN次元パターンデータの位相成分を除去したうえでこの登録フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を施す第1の振幅抑制手段と、
    前記照合フーリエN次元パターンデータの位相成分を除去したうえでこの照合フーリエN次元パターンデータに対して振幅抑制処理を施す第2の振幅抑制手段と、
    前記第1の振幅抑制手段によって振幅抑制処理された登録フーリエN次元パターンデータの座標系を極座標系に変換する第1の極座標系変換手段と、
    前記第2の振幅抑制手段によって振幅抑制処理された照合フーリエN次元パターンデータの座標系を極座標系に変換する第2の極座標系変換手段と、
    前記第1の極座標系変換手段によって極座標系に変換された登録フーリエN次元パターンデータと前記第2の極座標系変換手段によって極座標系に変換された照合フーリエN次元パターンデータとを振幅抑制相関法によって照合する振幅抑制相関照合手段と、
    この振幅抑制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの位置から両者の回転ずれ量を求める回転ずれ量測定手段と、
    この回転ずれ量測定手段で求められた回転ずれ量に基づいて前記登録パターンと前記照合パターンの何れか一方に回転ずれ補正を行う回転ずれ補正手段とを備え、
    前記回転ずれ補正手段によって回転ずれの補正を行ったうえで前記登録パターンと前記照合パターンとを振幅抑制相関法によって再度照合する
    ことを特徴とするパターン照合装置。
  3. 請求項1又は2に記載されたパターン照合装置において、前記振幅抑 制相関照合手段での照合過程で得られる相関ピークの相関値が所定のしきい値より大きい場合は、直ちに登録パターンと照合パターンとの照合を行うようにしたことを特徴とするパターン照合装置。
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